デジタルピンボール ラストグラディエーターズ

【でじたるぴんぼーる らすとぐらでぃえーたーず】

ジャンル ピンボール
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM
発売・開発元 KAZe
発売日 1995年6月23日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
KAZe/デジタルピンボールシリーズ


概要

セガサターン初期に発売されたリアリティを追求したピンボール。
本作は剣闘士を始めとした各時代の戦士たちの戦いをモチーフとした4つの台を攻略していく。


システム

  • システム的には一般的なピンボールのルールと同様。左右のフリッパー操作のほか、台を揺らしてボールの軌道をずらすことも可能。
  • 操作系統としてはパッドでの操作のほか、シャトルマウスにも対応。ボタンでフリッパーを操作し、マウスを動かすことで台を揺らす。
    • ただしあまり揺らしすぎるとティルトセンサーが反応し、フリッパーが操作不能となり強制的に1ボールロストとなる上に各種ボーナスもリセットされる。
  • ゲーム中一定の条件を満たすとラウンドと呼ばれるミニゲームが始まる。
    • 時間制限などのフューチャーが盛り込まれているが、その分高得点も稼げる。
    • また、すべてのラウンドを制覇したうえでラウンドを開始するとさらに高得点を狙えるファイナルラウンドが開始される。
  • マルチボールホールと呼ばれるポイントに一定数ボールを入れるなど、特定の条件を満たすとマルチボールラウンドが開始、指定されたレーン・ターゲットにボールを当てることで高得点のジャックポットを獲得する。
    • さらにジャックポットの条件を一定数満たすとさらに高得点となるスーパージャックポットが発生。更なる高得点のチャンスとなる。

台の一覧

  • GRADIATORS
    • ローマ帝国の剣闘士の戦いをモチーフとした台。
    • 左半分にトップレーンとバンパーなどのターゲット、右半分に各種レーンの多くを集約したシンプルなレイアウト。
  • KNIGHT OF THE ROSES
    • 邪悪な魔術師にさらわれた王女を薔薇の騎士が救い出すという英雄譚をモチーフとした台。
    • 右半分に多くのギミックがまとまっているレイアウト。
  • DRAGON SHOWDOWN
    • 日本の戦国時代をモチーフとした台。
    • 非常に変則的な構成で中央への軌道になりやすいレーンが多く、難易度の極めて高いテーブルレイアウト。
  • WARLOCK
    • 永遠の命を持ち世界を彷徨う「戦いを封じるもの」と名付けられた戦士をモチーフとした台。
    • 左右のランプレーンを軸としたレイアウト。

評価点

  • これまでのコンピュータ向けピンボールとは一線を画した、格段にリアリティを追求したピンボールのシステム
    • ハードウェアの進歩によってボールの動きがこれまでのコンピュータ向けピンボールゲームと異なり非常に綿密な物理演算によって動いており、これまでとは比較にならないほどリアリティの高いピンボールゲームに仕上がっている。
    • さらに本作からコンピュータ向けピンボールでは無視されがちだったボール同士の衝突も再現されており、よりリアルなピンボールの挙動に近づけている。
    • 本作もデジタルピンボールシリーズらしく、従来のコンピュータ向けピンボールにありがちだった非現実的なギミックを排除し、できる限り現実にもあるようなテーブルレイアウトを行っている。どれもリアリティが高く、あたかも現実のピンボール台をプレイしている感覚を体験できる。
  • ユーザーフレンドリーなシステム
    • ラウンドの開始条件を満たした際やラウンド時のポイントターゲットについてははどのターゲットやレーンにボールを向かわせるかがわかりやすく表示され、プレイを阻害しにくいレイアウトで表示されるの親切な設計。
    • 台のターゲットの説明、ラウンドの開始条件や概要はゲーム内説明書コーナーやポーズボタンでプレイ中でも確認可能。
  • 完成度の高い台の設計
    • 高解像度で表現された台の完成度はいかにも現実にありそうなピンボールだと錯覚してしまうほど完成度が高い。
    • 台ごとのテーマも明確なこともあって没入感も高く、演出の完成度の高さもあってどの台もやりごたえ十分。
  • 高品質のBGM
    • BGMはド派手なロックのBGMであり、ゲームの雰囲気に非常にマッチした良曲揃い。
    • BGMを担当したのは高濱祐輔と「バッド・ムーン・ライジング」のダグ・アルドリッチ。

問題点

  • スコアの最大桁数が10桁であるためにピンボールとしてはスコアの桁範囲的には超上級者レベルでは若干物足りないうえ、100億点を超えてしまうとスコアが0に戻ってしまう。
    • ハイスコアが命題になってくる本作では致命的。
    • 後述のVer.9.7では修正済み。
  • ネームエントリーが各台につきトップの一つしか登録できない。

総評

これまでのコンピュータ向けピンボールとは一線を画したリアリティを追求したピンボールとなっており、各台の完成度も非常に高く演出も派手であるため没入感も高い名作。
ピンボール初心者はもちろん、ピンボールの上級者にも満足いくクォリティのピンボールゲームなので、ピンボール好きのプレイヤーであれば是非プレイしたい一作。


その後の展開

  • デジタルピンボール ラストグラディエーターズVer.9.7(1997年9月11日発売)
    • ボールの挙動*1やバグを修正したバージョンアップ版。完成度はさらに強化されたものの、コンビニ専売のため出回りはよくない。
  • デジタルピンボール ラストグラディエーターズVer.2010(2010年4月22日配信開始)
    • Ver.9.7ベースのiPhone移植版。GLADIATORSのみ収録で残りの台についてはアドオンで購入する方式。
    • 後のアップデートでiPadに対応したほか、筐体のバックボックスとプレイフィールドが同時表示される縦画面モードが追加された。
    • 残念ながら現在は配信終了。

余談

  • 本作を開発販売したカゼはそれまでは他社の下請けで任天堂系ハードを中心に開発していたこともあってセガ系ハードのユーザーにはあまり名が知られていなかったためか、本作発売当時はセガの誤記ととらえていたユーザーも少なくなかった。
    • なお、現状Amazonにおける本作の縮小表示でのブランド名はセガになってしまっている。
最終更新:2025年03月23日 13:34

*1 ボールの挙動は続編のネクロノミコンに準じた挙動となっている。