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Cookie Clicker
【くっきーくりっかー】
ジャンル
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放置系ゲーム
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対応機種
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Windows/MacOS/Linux(Steam) Nintendo Switch プレイステーション5 プレイステーション4 Xbox Series X/S Xbox One
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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【Steam/PS5/PS4/XSX/One】Playsaurus 【Switch】DashNet
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開発元
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Orteil DashNet
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発売日
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【Steam】2021年9月2日 【CS】2025年5月22日
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定価
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【Steam/Switch/XSX/One】580円(税込) 【PS5/PS4】660円(税込)
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レーティング
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IARC:7+
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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バカゲー
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ポイント
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放置系&クリッカー系ゲームの元祖 青天井に増え続けるクッキー カオスかつシュールな独特の世界観
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概要
Orteil氏によって作られ、2013年に公開された無料のブラウザゲームが原作。
巧みなゲームデザインによる中毒性と、「桁外れに増えていくクッキー」「鉱山でクッキーを採掘」などのカオスさが話題となり、同年に日本でも流行していた。
2021年9月にSteam版が、2025年5月にCS版がリリースされた。
※本Wikiのルール上、原作はブラウザゲームにつき執筆・取扱不可のため、ブラウザ版は比較用の参考記述のみとする。
特徴
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画面左部に表示された巨大なクッキーをクリックして、クッキーを増やしていくゲーム。
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ゲームクリアやゲームオーバーの概念は無く、基本的にクッキーを増やしていくことのみが目的となる。
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建物
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クッキーを自動的に生成してくれる施設。クッキーを支払うことで購入できる。
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アップグレード
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クッキーを支払うことで、施設の性能やクリック時に増えるクッキーの量などを上げることができる。
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転生と天界チップ
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ゲーム中いつでも現在のセッションを放棄して累計クッキー入手0枚の初期状態からやり直す「転生」を行うことが可能。
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転生までに入手したクッキーの量に応じて、天界チップが手に入る。
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転生するとそれまでに入手したクッキーやアップグレードなどはリセットされるが、天界チップの消費によって、永続的なアップグレードの購入が可能になり、レベルアップに応じて生産速度の%も加算される。
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そのため、転生せずに遊び続けるより成長速度の鈍化を感じた時点で積極的に転生を行うほうが今後稼げるクッキーは増えていく仕組みである。
評価点
積み上げによるインフレーションの快感
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ゲーム開始時はクリック1回=クッキー1枚だったものが、生み出したクッキーを元手に施設やアップグレードを積み上げていくことにより生み出すクッキーの単位はみるみる膨らんでいき、最も多くクッキーを生み出す施設を買う際には1.9𥝱クッキーを支払って64兆CpSを発生させるという日常生活で絶対に触れないような天文学的数字を浴びることができる。
独特の世界観とストーリーテリング
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ゲームを進めていくうえで、おばあちゃんを雇ったり、工場を購入することでクッキー生産が自動化することは必須になるが、ゲームを進めるたびに異常な方向性に向かっていくのがこのゲームのストーリー進捗となる。
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シュール、コメディックかつ、どこかラブクラフト的な恐怖も誘う世界観はプレイを続ける上で大きなモチベーションとなり、「次はどんなアップグレードが出るのだろう」と興味を誘う。
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また、世界観描写のためのビジュアル表現を最小限に落とし、アップグレード時の文章や、画面上部に常に表示されるフレーバーテキストから世界観の内容・状況を想像を掻き立てさせるストーリーテリングは、方向性は違うものの、後年の『Citizen Sleeper』や『In Other Waters』にも通ずる点がある。
黄金のクッキーの存在
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ゲームを放置していると、たまに黄金のクッキーが画面上に表示され、それをクリックすることで様々なボーナスを得ることができる。
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この黄金のクッキーが存在するおかげで、ゲームプレイが単調になりにくい。
クッキーの作成効率を上げるミニゲーム
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ゲームをある程度進めると、農園や魔導書といったミニゲームが解禁される。
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ミニゲームといっても基本は各種設定を行い効果を見守るといったボーナス設定であり、複雑な操作は求められない。
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とはいえ、効率よくボーナスを得ようとすると細かな設定変更が必要となり、戦略性が出てくる。
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上記黄金のクッキーと合わせて放置の隙間を埋める介入要素となっており、程よいアクセントになっている。
値段の割に遊びごたえは抜群
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600円前後という低価格でありながら、ゲームボリュームはかなりのもの。
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本作は単にクリックでクッキーを増やしていくだけでなく、転生によって何度もプレイし直せるほか、実績やアップグレードの収集などもあるため、やり込もうと思えばかなりの遊びごたえがある。
ブラウザ版からの変更点
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クラウドセーブに対応
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原作はフリーでプレイできるブラウザゲームという特性上、ブラウザに
CookieのゲームだけにCookieで
セーブデータが保存される。公開後まもなくパスワード生成によるセーブデータのエクスポート(バックアップ)・インポート(引継ぎ)機能が導入されはしたものの、PCの買い替え時等ではデータの移行がこの機能で手動で行わないとできなかったり、トラブルなどでデータが消失する、進行が巻き戻る可能性もあった。
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一方、Steam版ではクラウドセーブに対応し、この点が解決。CS版も(各種サービスの加入は必須だが)クラウドセーブによってデータ消失のリスクが大幅に減った。
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いわゆる「放置ゲー」であり、構造上一度に集中してゲームを進行させることも難しい本作において、単純に費やした時間という意味ではデータ損失の衝撃は一般的なクリア型コンシューマー作品の比ではなく、セーブ周りで安心感を持てるようになったことは大きい。
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BGMの追加
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『Minecraft』のサウンドデザインを行ったC418氏による楽曲がBGMとして追加されている。ゲーム開始してクッキーにクリックすると流れ始める「Click」は美しいChill系のBGMで、いつまでも聴き続けられるような心地よい雰囲気を醸している。
変な点
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クッキーを自動生成してくれる施設があることは前述した通りだが、その多くがどこかしらツッコミどころのあるものとなっている。
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詳細 軽いネタバレ注意
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例えば、クッキーの種からクッキーを栽培する「農場」、金をクッキーに変換する「錬金術」、光をクッキーに変換する「プリズム」など、現実的にあり得ない製造方法の施設が多い。
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更に、食べられる前のクッキーを過去から持ってくる「タイムマシン」、クッキーからクッキーを増やす「フラクタルエンジン」、ゲームのプログラムを書き換えてクッキーを増やす「Javascript console」など、もはや現実的かどうか以前に理屈としてどうなんだと思わざるを得ないものも。
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一応、自動的にクリックしてくれる「カーソル」、生産量を上げる「ミルクチョコクッキー」など、まともなものもある。だが「宇宙船」より「ミルクチョコクッキー」の方が入手が難しいなど、金銭的なツッコミどころでもある。
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クッキーを焼いてくれる「グランマ(おばあちゃん)」は本作を象徴するキャラクター
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「カーソル」に次いで安いため、すぐに生産効率を上げてくれるキャラとして序盤からお世話になる。フレーバーテキストも老婆らしさを感じさせて雰囲気づくりに一役買っている。
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しかし、ゲームが進行すると……?
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グランマは作った施設を手伝うという形で扮装しているのだが、先述したように施設の内容がおかしな方向に行き始めると宇宙人(宇宙船)や金メッキ(錬金術)といった奇抜な恰好のグランマも現れ、テキストも妙なものが増えていく。
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ある研究アイテムの購入時には警告が表示され、それでも続行すると「Grandmapocalypse(ババアポカリプス)」イベントが発生し、背景がおどろおどろしいものへと変貌、グランマが異形へと変化していく。
ボーナスアイテムの黄金のクッキーも赤クッキーに変わり、運が悪いとクッキー生産量が減るデメリットも発生する。
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とはいえ、イベント完走で元通りになり、メリットも大きいため見た目ほどビビる必要はなかったりする。
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賛否両論点
良くも悪くもクッキーを増やしていくだけの内容
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実績やトロフィーなどを考慮しなければ、本作は本当にクッキーをクリックして増やすだけのゲームである。
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深く考えず、クリックと購入を繰り返すだけでクッキーが増え続けるため、良く言えば誰でも簡単にカジュアルに遊べる。
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施設の購入順などで大きく効率が変わるので戦略性はあるが、あくまでソロプレイで時間無制限のゲームであるため、悪く言えば複雑なテクニック・操作・思考などは求められず、人によっては単純過ぎて飽きやすい。
問題点
文字が小さくて読みづらい
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PC版はともかく、テレビに映像を表示するCS版の場合は特に読みづらくなってしまう。
待ちの時間が発生しやすい
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施設購入やランクアップのため、クッキーが増えるのを見守るだけの時間がどうしてもできてしまう。
クッキーのクリックによってクッキーを増やす必要があるのはごく初期のみで、すぐに施設が自動生成するクッキーの量がクリックによるクッキーの生成量を大きく上回るようになる。そのためクッキーをクリックしてもクッキー量の増加にほとんど貢献しない状況がプレイ時間の大半を占める。
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放置系ゲームである以上、待ち時間ができるのはやむを得ない部分もある。とはいえ、ゲームに積極的に介入したい人にとっては退屈に感じるであろう。
CS版の問題点
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CS版の場合は方向キーを使用してカーソルを移動させ、各種クリックや購入などを行うのだが、どうしても快適とは言い難い操作性をしている。
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また発売当初のCS版では、自由移動モードに切り替えた際のカーソルの移動が遅く、黄金のクッキーのクッキーチェーンに間に合わないなどの不備があった。(V. 2.052-C. 1.02で解消)
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Steam版には「ヘラルド」という天界アップグレードが存在するが、CS版には実装されていない。
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代わりとなるアップグレードが用意されているわけでもないので、Steam版と比べるとCS版は若干クッキーを増やしにくくなっている。
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このアップグレードはSteam版では「同時接続数(Steamクライアントを通して本作を起動中のプレイヤーの数)に応じてCpSをボーナス(プレイヤー100人につきヘラルド1人が生成されてCpS+1%、定員は最大100人)」という効果で、CS版ではシステムの違いから再現不可能であると思われる。
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なお、参考として原作のブラウザ版では「Herald(先駆者)」の名の通り「Patreonの最高額帯(月額$30)支援者1人につきプレイヤー全員にCpS+1%(定員は最大100人)」という内容だった。
無料のブラウザ版と比べて追加要素が乏しい
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ブラウザ版からの追加要素は、評価点に記したクラウドセーブの対応とBGMの追加のみ。
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ゲームシステムの変更点は前述したヘラルドの仕様が違うくらいで、それ以外の仕様はほぼ一緒。人によっては低価格とはいえ有料で買う魅力が乏しく感じるかもしれない。
総評
クリッカーゲーム・放置系ゲームというジャンルを確立させた草分け的な存在。
クリックと建物・アップグレードの購入を繰り返すだけで遊べるカジュアルさと、クッキー数の凄まじいインフレによって、誰でも簡単に楽しめる。
ゲームボリュームもかなりのものであるため、総合的には値段以上の満足度を得られる一作となっている。
その一方で、クリックでクッキーを増やしていくだけという、これ以上ないほどカジュアル過ぎるゲーム性は少なからず人を選ぶ。
良くも悪くも作業ゲーとしての性質が強いゲームなので、楽しめるかどうか心配な人は、まずはブラウザ版をプレイしてみた方が良いかもしれない。
余談
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本作を象徴するGrandma(通称:クッキーババア)は日本で話題となり、「クッキークリッカーオンリーイベント」が開かれるなど、二次創作が盛り上がっていた。
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同じくブラウザゲームの『艦隊これくしょん』も同時期に話題となり、「『艦これ』待ち時間の暇つぶしにクッキーを焼いていたはずが、クッキーにも夢中になっていた」など当時は両作を引き合いに出す投稿が多々見られた。
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開発者も日本での人気を把握しており、「美少女にしておけば良かった」とコメントを残している。(参考:ねとらぼ)
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カジュアルゲームとして本作を真似た「クリッカーゲーム」も多く配信・販売されている。
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中には『クッキークリッカー』を名乗る偽物もあるため注意。
最終更新:2025年09月09日 10:55