戦場のフーガ3

【せんじょうのふーがすりー】

ジャンル シミレーションRPG
対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox Series X/S
Xbox One
Windows(Steam/Epic Games Store/Microsoft Store)
Linux(Steam)
開発・発売 サイバーコネクトツー
発売日 2025年5月29日
定価(税10%込) 通常版: 4,180円
デラックスエディション アップグレードパック: 2,200円
アルティメットエディション :7200円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 賛否両論
ゲームバランスが不安定
ポイント シリーズ完結編
遂に舞台は宇宙へ
リトルテイルブロンクスシリーズ
テイルコンチェルト / Solatorobo / リトルテイルストーリー
戦場のフーガシリーズ
1 / 2 / 3


概要

リトルテイルブロンクスシリーズ5作目であり、戦場のフーガシリーズ3作目。
ラストで突如物語が中断された前作から地続きに続く構成になっていて、1作目と2作目で明かされなかった謎について迫る完結編である。 前作でディレクターを務めたヨアン・ゲリト氏は降板し、キャラクターデザインとイベントグラフィックを担当した時津佑介氏も本作には関わっておらず、デザインは全てサイバーコネクトツー内制となった。


ストーリー

すべての"絶望"の意味がついに明かされる…!

突然のマルトの失踪!謎の声に誘われ禁忌の洞窟へ向かった子どもたちは、雲海に捨てたはずのタラニスを発見する。

マルトを救うべく再びタラニスに乗り込み、ベルマン帝国に進入した子どもたちの前に、ベルマン最強の”魔血騎隊”が立ちはだかる!

(公式サイトより引用)

ゲームシステムの特徴

基本的なシステムは前2作の項を参照


新要素

新キャラクター

  • シャティ
    • 本作で初登場したタラニスΩのナビゲーションaiであり、見た目は完全な四足の雌猫。過去作のナビゲーションaiよりも高性能であり、本作の新要素である『シャティの記憶領域』は彼女の能力を使ってタラニスΩの能力を拡張させるという、システムと直結したキャラクターである。『1』のブリッツ、『2』のバニラと同様に本作のキーキャラクターであり、終盤にて正体が明かされる。

新システム

  • シャティの記憶領域
    • ゲームを進行させる事によって『ここ掘れワンニャン』『シャティのお店』『スキルマネージャー』の3つの機能が解禁され、ゲーム内で習得した(後述)VPを記憶領域内で消費する事でタラニスΩの能力を上昇させる事が出来る。
  • ここ掘れワンニャン
    • バーチャル空間内にある採掘場に子供達と同行するアシストキャラを模したアバターを派遣する。所謂『放置系ゲーム』に近いシステムであり、採掘所に派遣するアバターを選択し、次のインターミッションで採掘結果が出るとVPを入手可能となる。
  • スキルタイル
    • 獲得したVPでタラニスΩの性能を向上させるシステム。ヘックス状にパネルが配置されており、VPを消費してパネルを開放させる事が出来る。
  • シャティのお店
    • 獲得したVPでアイテムを購入する事が出来る。
  • アシストアタックとアシストキャラ
    • 前作同様イベントの進行中に『覚悟』のパラメーターと『共感』のパラメータどちらかを上昇させる選択肢が出現し、特定の数値に達するとアシストキャラが加入する。各キャラには好感度が設定されており、後述の通信イベントで上昇させる事が出来る。
    • 加入したアシストキャラの必殺技を発動させる事が出来る新システム。技の発動にはダメージを与えるor受ける事で蓄積される『アシストゲージ』が必要であり、加入しているキャラクターの好感度によって技の威力が異なる。一部のキャラの技の発動条件にはアシストゲージの蓄積以外にもクールタイムが設定されており、ターンの経過と共にクールタイムが蓄積されて行くという仕組みになっている。
+ 加入するアシストキャラ
  • バニラ
    • 前作でタラニスの乗員だったガスコ大統領の令嬢が本作ではアシストキャラとして加入する。通信イベントで前作で死亡したシェイン大統領の跡を継ぐ為に戦線から退き、首都ファラオの復興の為に勉学に励む姿が描かれている。
    • アシスト技は自軍の運を上昇させる『おしゃれロケット弾』。
  • ニア
    • ベルマン帝国の女性軍人でありながら腐敗した帝国政治を武力で打倒しようと企てるレジスタンス組織のリーダー。腐敗した帝国の軍人達を『ベルマンの悪魔』と罵倒し、一人称は『オレ』。性格は勇敢で獰猛だが、同じくベルマンの女軍人だったフラムとは対称的に加入当初から子供達に対して協力的な態度を見せる。
    • アシスト技は『迅速なる空爆』。バニラと同じくアシストゲージさえ溜まればリチャージ無しで発動出来る為、序盤での有用性は高い。
  • メルロー
    • 『1』から登場しているガスコの将軍がアシストキャラとして参戦する。チックとの関わりが中心だったマスカットのアシストイベントとは対照的にメルローのアシストイベントはハックとの関わりが中心となる。
      • アシスト技は自軍の守備力を高める『団結力の空爆』。
  • マスカット
    • 『1』から登場しているメルローの副官がアシストキャラとして参戦する。ハックとの関わりが中心だったメルローのアシストイベントとは対照的にマスカットのアシストイベントはチックとの関わりが中心となる。
    • 前作で父であるシェイン大統領を亡くした事を悔やむ姿がアシストイベントで明かされており、唯一の肉親が16歳離れたバニラのみとなった事がきっかけで疎遠だった妹とヨリを戻そうとする姿が描かれている。イベント内ではチックと交流することで仲が深まっていく様が描写され、『カネルお姉ちゃん』という愛称で呼ばれる様になる姿は必見。
      • アシスト技は『華麗なる爆撃』。
  • フラム
    • 『1』でタラニスに敗北して機体の炎上に巻き込まれ、『2』でジンの看病を受けて生存していたベルマン帝国の女軍人が戦線復帰する。本作では多少の啖呵を切りつつも、改心して子供達の味方になった様子が描かれている。
      • 搭乗機はバイク。アシスト技である『冷徹なる一撃』は装甲ランクを最大2段階下げる全体攻撃。
  • 老将校(バウムとシュトーレン)
    • 『1』から登場している老将校2人が本作でもアシストキャラとして参戦する。シュトーレンは軍に残留し、カイザーの腐敗政治に対して異を唱える反乱組織側だが、バウムは度重なる戦争に対して嫌気が指したせいで退役し、『シューカの冒険』のアパレルを身に纏う一般人となっている。
      • アシストアタックはバーストシンボルを上昇させる『狡猾なる一撃』。
  • ルネ
    • 子供達の協力者であり、月の陣営である『シューカの冒険』の原作者がアシストキャラとして加入する。
      • アシストアタックは敵機体を感電状態にする『ペンは剣よりも強し』。
  • ジル
    • 前作でハンナを復活させる為に消滅したはずのハイブリットの少年がハンナと一心同体と化して生存していた事が明かされる。前作での敵対心は完全に薄れ、子供達との関係はかなり友好的になっている事が通信イベントで明かされているが、その反面ハンナと同化した代償で彼女の命を奪いかねない事態に陥っている事を悔やんでいる。
    • アシスト技は全体攻撃と共にタラニスのHPを回復させる『ベレノス召喚』。
  • ハクス
    • 前作で消滅したと思われたタラニスのAIがデータ破損した状態で現存していた事がアシストイベントで明かされる。
      • アシスト技は『タラスクス召喚』。
  • ジャンヌ
    • 『1』で退場したと思われたタラニスのAIがスリープモードから目覚め、アシストイベントのみで再登場する。
      • アシストアタックは全体攻撃と共に自軍を回復させる『原初の一撃』。
  • 軍神
    • シシ族の亡霊戦士であり本作最大のネタキャラ
      • アシストアタックは『神の一撃』
  • コンボシステム
    • 前2作の弱点攻撃を発展させたシステム。敵機体の弱点を突くと高いダメージを与えられる他、バーストシンボルを上昇させる事が可能であり、シンボルが高ければ高い程、弱点攻撃時のダメージが上昇する。ゲージが最大になると必殺技が自動発動する。
  • パワースポット
  • 前作の飛行船サービスに該当するシステム。『アイテムを生成』(通常のショップで言う購入)、『アイテムを分解』(通常のショップで言う売却)、指定のエンカウントマスを排除出来る『長射程キャノン』、指定のマスへ移動する『テレポート』、空のマスを指定のマスに変換出来る『ポイントクリエイト』が使用可能であるが、最初から全ての機能が使えた飛行船サービスとは異なり、スキルタイルを開放する事で段階的に使用可能となる。
  • アカシャパネル
  • 様々な隠しイベントを条件付きで解放したり、一度クリアした章を遡る事が出来る新システム。1周目は大半のイベントにロックが掛かっており、実質的にシステムとして機能するのは2周目以降となる。
  • アシストイベント
    • 加入したアシストキャラの様々な一面を垣間見る事が出来る隠しイベント。各イベント名は『○○の回想』と題されており、解放する為にはゲーム中で対象となるアシストキャラを覚悟/共感のパラメーターの取得によって加入させる必要があり、一度解放させると『○○の回想2』『○○の回想3』と続けて解放される。
  • アドバンスジェネレーター
    • クリア後に解禁される所謂ボスラッシュ。本編と同様に12章で構成されており、1章クリアする度に隠しイベント『アッシュの回想』が解放される。
  • 通信イベント
    • 前作の出会いイベントを継承したシステム。通常の絆イベント同様に加入したアシストキャラ達が子供達と対話を行う事が可能であり、イベント終了時には好感度が上がる。
  • ケモペディア
    • 前2作の登場人物紹介と地名紹介を統合したシステム。イベントシーンで青色の掛かった文字が表示されると自動的にケモペディア登録される仕組みになっており、章の進行によって情報が追加される
  • ソウルキャノン
    • 本作ではタラニスのHPが一定数下回るとランダムで子供達がソウルキャノンのチャンバー室に駆け込むシステムに変更され、発射までのターン数が前作の20ターンから4ターンに変更された。確定演出が入ればソフトリセットを実行しても無効化される事は無く、敵機体撃破後のイベントから始まる。
  • メガソウルキャノン
    • 章の山場となる特定のボス戦で発動可能となるタラニスの最終兵器。マーナガルムや通常のソウルキャノンと異なるのは子供達全員が犠牲なる点が挙げられる。ゲーム中では5回発動を迫られる事となり、発動条件はタラニスのHPが残り2割に達する事。一度発動すると全滅エンドに突入する。
  • ファストモード
  • 全戦闘をスキップ可能にするシステム。言うなればRPGの部分を排除してゲーム全体をイベントのみの進行にする公式デバッグモードであり、ファイナルファンタジー7~9のリマスターで実装されたブースト機能に近い。
  • 新規セーブデータ作成時にファストモードでゲームを開始するとエンカウントマスは爆撃で強制排除して素材アイテムのみ入手可能になり、戦闘時には通常攻撃が『反応弾』(無条件で戦闘に勝利出来る砲撃)に変化する。

評価点

シリーズ集大成と言うべきストーリー展開

  • 前作のエンディングで中断されたストーリーのその後が本作で描かれる事となり、今まで明かされなかった謎が怒涛の展開と共に明かされるのは圧巻と言える。
    • ストーリー自体も敵対勢力のドラマが薄かった前作よりも様々な軍事的陰謀うずまく『1』に近い構成となっており、序盤から重く残酷なシーンが続くが、タラニスΩに乗った子供達が戦争に勝利する事で、ガスコの人々が救われて行く王道の展開と変化していくのが本作の魅力と言える。
      • ただし、王道である一方で『1』から敵対勢力として描かれてきたベルマン帝国の終焉が本作で遂に描かれる事となり、帝国の内部腐敗や築き上げてきた科学力による滅亡など今まで以上に暗くシリアスなストーリーも展開される。
  • 『ジュブナイル物の王道でありつつ、陰で不穏さも見え隠れするシリアスなストーリー』と言うのはこれまでのリトルテイルブロンクス作品全てのストーリーテリングを凝縮したと言える構成となっており、本作で描かれる戦争の結末もどの陣営が正しかったのかはプレイヤーの想像に任せる形となっている。
  • 前2作で描写の薄かった子供達や周りを固めるガスコの軍人達も、本作で追加された各種イベントにより設定が補完される事となり、問題点が大幅に改善されることとなった。特にマルトとメイを主役としたメインストーリーでは王道とも言える兄弟の絆が描かれる事となり、前作まで悩み苦しんでいたマルトが覚醒し、世界の命運を背負う正義のヒーローへと成長していくのは『soratorobo』の主人公レッドを彷彿させる熱さがある。
  • アシストシステムと通信システムの導入により、それまで影の薄かったガスコ軍もストーリーの根幹に関わる様になった。特にメルローとマスカットは子供達に対して未来を託しつつ、戦争を終わらせる為に加勢するなど描写が大幅に増え、前作の失態を返上する位のキャラ付けが成されている。

向上した巨大兵器同士のバトル

  • ストーリーのスケールが広がった影響で、機体のグラフィックが画面半分を埋め尽くす程巨大なものとなった。機動兵器(所謂ロボットアニメ)物の要素が強かったシリーズだが、3部作の完結編である本作ではそれまでのリトルテイルブロンクスが培ってきたメカニックガジェットのノウハウが最大限に生かされたものとなっており、特に11章の地球全生命を賭けた決戦は非常に熱く盛り上がるものとなっている。

豊富なファンサービス

  • 前シリーズにあたる『soratorobo』との繋がりが明確なものとなり、ストーリーの後半ではプラズマ雲海を超えて旧世界から存在しているオーストラリア大陸に向かい、タラニスΩに乗った子供達は世界の真実を知る事となる。
    • 『1』のエンディングでも僅かに『soratorobo』のキャラが顔と名前を伏せた状態で登場していたが、本作ではオーストラリア大陸にそびえ立つフツの塔のAIであるユルルングルが直接登場し、旧来のファンを驚かせる展開を見せる。
  • ストーリー中盤でも『soratorobo』の序盤に登場したクイニィが重要なキャラとして登場する。ただし設定も性格も全く違うキャラとして扱われているので、過去作で登場したクイニィと同一人物なのか、姿を借りただけの所謂スターシステムなのかは不明。

一部のイベントがフルボイス化した

  • 前作まではナレーションとナビゲーションAIのみにフルボイスが当てられていたが、本作では一部のシーンに限り『テイルコンチェルト』以来のフルボイス化が実現した。
    • それまでテキストのみでしか言語を発さなかった獣人キャラが声優陣によって声が吹き込まれるのは圧巻であり、村瀬歩氏が演じるマルトの主人公らしい熱演はもちろんの事、ラスボスであるとある人物の怨念に満ちた怪演は必見。フルボイス化によってキャラクター性が掘り下げられる事となった。

賛否両論点

人を選ぶストーリー展開

  • 完結編と称されているがストーリー自体は過去作以上に人を選ぶものとなっており、良く言えば結末まで一直線の勧善懲悪の王道展開、悪く言えば説明不足感が強い駆け足気味の展開が終始続いているとも取れる。
    • 本作のストーリーは端的に表すと『世界の滅亡を企む3つの敵陣営とタラニスΩに乗る子供達が交戦する』というものである。3つの敵陣営は思想こそ異なるものの、目的自体は共通しており、12章の中でタラニスΩと交戦する勢力が頻繁に入れ替わる弊害で意表を突いた展開が続く。
    • 中盤辺りを過ぎると唐突に文明滅亡前の旧世界の謎に迫る展開となり、それまで目立たなかったとある人物が獣人ではなく世界滅亡前から生きている生身の人間だという事実が発覚する。終盤になるまではその人物の亡くなった恋人を懐述するロマンスに発展するので、マルトを始めとする獣人の子供達は彼の恋路を見守る脇役の様な立場となる。獣人主体のリトルテイルブロンクスであるはずなのに滅亡前の人間達のロマンスに話が割かれるので置いてけぼり感が強くなりがちである。
+ ベルマン帝国について
  • 本作のベルマン帝国は『1』でネコヒトから抽出した生体エネルギーを『魔導』として実用化する事に成功し、皇帝であるカイザーがガスコとの終戦を破棄するという序盤から前作否定の過激さを見せる。その技術革命の恩恵で戦艦や魔導兵器を製造してガスコを侵攻するが、『1』で行われた人体実験が何故数百年飛び越す程の超科学に発展したのかは説明が無く、現実で言う第2次世界大戦期並の文明レベルであった帝国が突然に未来文明を築き上げるのは説明不足感が強い。

帝国側のネームドキャラについて

レバーカイザー皇帝

  • 『1』で存在のみ言及されていた皇帝が突然本作になって登場する。魔導を動力とした『巨大戦艦ガルガンチュラ』を駆動させストーリー序盤で立ち塞がる最大の悪役として存在感を放つ。監禁したマルトを銃殺する等、皇帝としての残虐さを見せる様になるが、ガスコ側が勝算を見出して行く内に序盤の優勢さから一転して追い詰められて行く様が描かれており、6章においてそれまで主力兵器だった魔導を放棄して、ガルガンチュラの周囲に巨大電動コイルを設置して旧世界の兵器ヘルヘイムを呼び出そうとするが、突然現れたヘルヘイムにガルガンチュラとカイザーは乗っ取られ、巨大人型兵器『パラスカイザー』へと変貌してしまう
  • 良く言えば悪役らしい多大なインパクトはあるものの、悪く言えば多くのプレイヤーが共感出来ない狂人の様なキャラ付けであり、物語の中盤において帝国内部でも内乱が起きている事が判明し、一部の帝国の軍人達はガスコ軍と結託して反乱組織を結成している事実が明かされており、態度が尊大の割には人望の薄い独裁者でしかなく、インターミッション内の絆イベントでもシーナとブリッツは頻繁に『早くカイザーが居なくなれば良いのに』とヘイトを持たされる事から(当然だが)作中での扱いは非常に悪い。
    • ぞんざいな扱いである事には変わりないが、カイザー自身の発言から過去にガスコとの何らかの因縁があった事が明かされ、その恨みから戦争勃発に踏み込んだとの事だが、発言を汲み取るのならば、カイザー自身もガスコ側から加虐的な被害を受けたと言う事であり、生々しく残る額の傷が何かしら凄惨な過去があると思われるが結局明かされる事は無かった。

ブルットヴルスト

  • 『1』の7章で戦死したと思われたネコヒトの狂科学者がサイボーグになって再登場する。本作ではカイザーの下で兵器開発を行っており、一度タラニスに敗北した恨みから同じくカイザーの部下である魔血騎隊と組む事になるが、収容所の主任を務めていた時の威厳は完全に失われ、魔血騎隊のメンバーからは全く信用されずに軽蔑されている。
    • 背中には生命維持する為の魔導エネルギーが刺さっており、四肢は完全な義手と義足、顔にはフランケンシュタインのような縫い目があるなど五体満足だったかつての容姿は失われ、グロテスクな容姿になってしまっている。4章では魔血騎隊のメンバーであるサイクと共に魔導兵器『サイグリフ』に搭乗してタラニスΩに戦いを挑んだ時に『やめろ!古傷が疼く!』と戦闘時の衝撃を嫌がったり、修復作業の際に『あっ・・・・あっあっ!』と自身が造り出した毒ガス砲座に対して快楽を覚えるかのような奇声を発する事からサイボーグとなってしまった影響で身体能力も知能も著しく低下している事が窺える。また、本作のアシストイベントであるバウムとシュトーレンが主役の『老将の回想2』ではシュトーレンに対してまるで別人の様な媚へつらう態度を取るなど、以前の尊大で傲岸不遜さとはかけ離れており、精神的には完全に崩壊してしまっている。
      • それもそのはず、以前のブルットの『実験の為にネコヒトを乱獲し、自らが暴君として君臨する』と言うポジションはカイザーに奪われてしまった為、作中での存在感は非常に薄く、アクの強かった性格もまるで別人の様に変貌してしまった為、何故再登場したのかが分からず存在自体が不快でしかない。
  • 11章で地球の命運を掛けた決戦が行われた後、子供達が全員生存していれば最終章である12章に進む事が出来るが、その衝撃的な内容が『ガルガンチュラ融合したブルットがガスコの上空を飛来し、核爆発を起こして国ごと心中しようとする』と言うあまりにも突然過ぎる展開であり、つまりブルットは本作のラスボスと言う事である
    • 本作の物語は実質的に11章で終わっていて、12章はそれまでの決戦の流れとは一切関係無い完全に独立した物語であり、何故その様な展開になったのかは謎。艦の先端には顔面崩壊した巨大なブルットの顔面が融合していると言うあまりにもグロテスクなビジュアルで表現され、ボス戦開始前の半壊したガルガンチュラからメキメキと顔面が生えて来る紙芝居は最早トラウマレベルである。
    • 突然脇役でしか無かったブルットが兵器化してラスボスとして立ち塞がるのは多くのプレイヤーを困惑させるだけでしかなく、超展開に至るまでの経緯があまりにも欠如しているので『ポッと出のラスボスを皆の力で滅する王道展開』や『この様な展開を迎えて後味が悪くなる』等、意見が非常に分かれてしまっている
      • 『それまで多くの罪を犯した悪役が異形の力に飲まれて醜く変貌してしまった』と言う末路は一見すると救いの無い様に見えるが、『1』の時点で実験の為に多くの命を蹂躙したのは事実であり、本作での末路も愚者に対する報いだと解釈すれば腑に落ちると言えるだろう。
      • ただし、本作のラストバトルで行われる2度目のジャッジメントチャンスで他人を排し、自らの力で頂点に上り詰めた事を告発する。つまり、今までブルットがやってきた行為は自分以外の人間を排する為の復讐であるという事であり、人格が歪んで復讐鬼になったと言えども、根は孤高の努力家だったという事である。しかし、それらの要素は物語全体を読み込まないと見えてこないので、あまり興味のないプレイヤーからするとカイザーと同じくポッとでの悪役でしか無いであろう。自身が生み出した究極の発明が僅か1年半で自国の文明を爆発的に飛躍させるが、周囲の軍人達は嘲笑うばかりで驚異的な努力を微塵にも認めておらず、それどころか破滅への引き金を引いてしまったのは見方によっては救いがないとも取れる。
      • 一応、フォローしておくと混血故に迫害を受けた身でありながら、33歳の時点で収容所の主任を務め、自身の部屋のデスクには山詰みになった大量の書類や試験管が散乱し、傍らには脱走者を始末する為の拳銃が置かれている事から軍の中でもトップクラスの実力と権威を持っている事が明かされおり、本作のシークレットイベントである『ソックスの秘密』では過去にマエストロがブルットと深層域で接触して生体電池を開発する様に知識操作した事が明かされており、選ばれた者しか到達できない深層域に踏み込んで上位者と接触出来た事からすると、形こそは異なるものの、マルトやアッシュと同じくブルットも一概に絶対悪ではない選ばれた存在であるという補完がなされている。

魔血騎隊

  • ベルマン帝国最強の戦闘部隊であり、『soratorobo』に登場するクーパーズ特務室を彷彿させる存在。メンバー全員が魔導能力を有していて、リーダーのアッシュを筆頭に火炎能力を操るパイロック、念動力を操るサイク、テレパシーを有するティーエで構成されている。ストーリー上でも屈指の強さを誇り、序盤の1章では生身のマルトを各自の能力で圧倒させる等、その戦闘力は計り知れない。カイザー直属の戦闘部隊と言う事になっているが、その実態はカイザーも帝国の事も全く信用してない破壊活動を楽しむ集団であり、6章になると各自所有している魔導兵器を帝国軍から持ち逃げして人望の無いカイザーをあっさり裏切って離反する。これ以降、魔血騎隊は独立した陣営としてタラニスと対峙する事となるが、魔血騎隊とカイザー(及び帝国)がどういう関係だったのかは明かされていない。
    • 一見すると他の帝国のネームドキャラと同じく雑な扱いに見えるが、実際は独自の美学を持った悪の陣営として物語上の扱いは優遇されており、雑に退場したカイザーやブルットよりも遥かに悪役としての見せ場が多い。
    • 物語上では世界の破壊を目的とするリーダーのアッシュの命令で3度タラニスΩの前に立ち塞がるが、ボス戦前には操縦席に座するメンバーの特殊演出*1が挿入され、非常にダサいが熱くバトルを盛り上げる。
  • 本作のシークレットイベント『アッシュの回想』では魔血騎隊は世界破滅を企む組織『赤の一族』の末端だった事が明かされる。『soratorobo』でも登場した謎の男クイニィが異能の力を持つ獣人達を迎え入れ、組織入りを果した者は赤い衣装を纏うと言う掟がある。つまり、ベルマン帝国に属する戦闘部隊と言うのは名ばかりで、アッシュ達は最初から赤の一族として破壊活動を行っていたと言う事である。
    • 何故クイニィが組織のスカウトマンを務めているのかは作中では明かされておらず、そもそも『soratorobo』で登場したクイニィと同一人物なのかすら謎。『soratorobo』の序盤で登場したクイニィは本作の冷徹さとは対照的に、主人公レッドに対して知識と助言を授ける理性的な人物であったため、本作とのギャップが非常に激しい。
+ 回収される数々の新事実について

浮島世界の獣人達について

  • 8章の終盤で黒幕であるマエストロがメイをウイルス銃でハッキングした事により、浮島世界の獣人達が純粋な生物ではなくデータで構成された人工生物だという事実が明かされる。11章でマエストロが浮島世界の獣人達のデータを一人残らず掌握し、強制的にリセットコマンドを発動させようとしたのもこの設定があるからこそと言える。
    • データで構成された人工生物と言えども、食事を取ったり子孫を残したりする事が可能であるため、生態的にはなんら生身の生物と変わらない事は(過去作を含めて)前2作から描かれているが、データで構成されている故にマエストロの様な上位者から改竄を受ける事が可能であるというのは本作で突然出てきた新設定である。『2』でハンナが復活したり『1』でフラムやブルットが即死レベルの爆発に巻き込まれても生存出来たのもデータ上の存在だからという説明が付く。

マジパン家について

  • 物語の終盤において突如マルトの母方家系が時空干渉の能力(作中では未来視と表記)を有している事実が明かされる
    • 過去や現在など様々な時空に干渉する事が可能であり、タラニスが敗北しても特定のチェックポイントまで遡る事が可能というシステムが実装されているのもこの干渉能力があるためと上手く説明がつく。ただし、過去や未来に身を投じて破滅の結末をその身で体感すればする程精神に異常きたして身体までもが狂暴になっていくという副作用が存在し、作中ではマルトとメイとアッシュの兄妹3人、そして母エマが時空干渉の能力を有しており、5年前の事件でアッシュがエマとウィードを殺したのも、2人が将来マルトが能力の副作用で狂暴化するのを危惧して家に火を放ち殺害しようとした所、アッシュが共々殺害してしまったと言うものである。兵器に搭乗する事でその力はより強大な物となり、世界すら滅ぼす力を得てしまう事が明かされている。
      • 上記の通り、マルトの時折見せる気性の荒さ等で伏線らしきものは見せていたが、完結編3作目で突然明かされるのはあまりにも唐突な新事実の判明であり、辺境の村で暮らす一家が世界を破滅しかねない特殊能力を持っているのは設定的に若干無理があるだろう。一方で父方家系であるマルトの父ウィードと祖父バーリィは村の人間ではなく他所から渡り歩いて来た牧師だという事が村人の発言から明かされており、マルトの殺害を不本意ながら企んだウィードはともかく、バーリィはストーリーには全く関わらない存在なので違和感が強い。
+ 本作最大の黒幕について
  • 前作から登場した黒幕であるマエストロと似た容姿の前作までヌーヴェルン卿と呼ばれたルネとキーキャラクターとなるカタリナはベルマン帝国とも魔血騎隊とも異なる第3の陣営であり、彼らは獣人ではなく冷凍睡眠の副作用で長寿となった旧世界の人間だと言う事がストーリー終盤で明かされる。タラニスΩに乗る子供達と対峙する第3の陣営と言っても実質的に敵対するのはマエストロのみであり、ルネとカタリナは子供達の協力者と言う位置付けである。
    • 前作で断片的に語られていたマエストロは兵器製造組織『クルセイド』の創設者であり本名はピエール。リセット後の地球に降り立ったルネとカタリナとは異なり、月のジュノ・ミネルヴァと結託して地球の新種族である獣人を滅亡させ、同時にデータとして保存されている人類を復活させる事を目的としている。
      • 上記の通り地球には降りずに月を拠点としている為、深層域を利用して様々な獣人達の知識操作を行う事で戦争の原因を生み出して自身の計画を遂行する姿が描かれているが、タラニスに乗った子供達によって幾度と無く戦争は終結させられているので、完結編である本作ではメイを誘拐して時空干渉の能力を強制的に覚醒させようとする荒業を見せる。能力を覚醒させたメイを様々な時空に飛ばす事によって無数の知識を集めさせて人類を復活させる方法を見つけ出すが、ゲーム上では破滅的な体験をしたメイが精神崩壊を起こして泣き叫ぶと言う表現に統一され、実際にどのような凄惨な体験をしたのかは描写されていない為、どう見ても獣人の幼女を苦しめている変質者にしか見えない
      • 前作では間接的にマルトの手助けをする等、中立的な立場にあるキャラだったが、目的が明かされた本作では獣人滅亡とジュノの中にデータとして格納された人類を復活させる為に自ら戦争を起こす戦犯者としての本性を現す事となる。ただしストーリーが進むにつれ、またもや計画が潰える事となり、その度にミネルヴァに責任転換する等、悪役らしかぬ情けなさが見えてくる。
      • 同じ月開発チームであるルネとカタリナとは異なり、コールドスリープから目覚めた後も40年間月基地に残留し続ける事になるが、10章ではマルトとルネはマエストロの自室に入る事になるが、足を踏み入れた彼らは現代感丸出しのモデルルームの様な部屋を目にする。確かに40年間孤独であれば快適な空間を欲するのも頷けるが、暗くシリアスな本作の世界観とは全く合わないのは事実であり、その光景は余りにもシュール過ぎる。
      • 終盤ではミネルヴァが生み出したティタノマキナ『ヘカテケイア』と融合し、タラニスΩに乗った子供達と地球の存亡を賭けた決戦を行うが、マエストロは地球全体に謎の粒子を散布する事で獣人達のデータを1人残らず掌握し、情報集積体の器である『マスターシード』に格納する事で文字通り浮島世界の全獣人達を人質にする事に成功する。恐らく時空干渉を発動させているメイからマスターシードの製造法を抽出させたと思われるが、今まで企てた計画が失敗続きだったマエストロが幼女を検索機に仕立て上げただけで万能の技術体系を得る事が出来たのかは説明不足感が強い。
      • トゥルーエンドではヘカテケイアが破壊された事により、肉体そのものを無くして魂だけの状態と化して自身の敗北を認めるが、クリア後に解禁されるシークレットイベントを見ると、相変わらず飄々とした態度で深層域を通じて獣人滅亡を企んでいる事が判明する。つまり、敗北しようが肉体を失おうがマエストロ自身は不死身であり、深層域を通じて幾らでも悪事を企む事が可能であると言う事である。地球を守る為に打倒した黒幕が何の反省もしないのはプレイヤー(と、必死に闘ってきた子供達)からすればあまりにも報われないだろう。
+ マルトとメイ以外のタラニスの子供達について
  • 完結編である本作は主要キャラクターである12人の子供達の掘り下げが大幅に行われ、前2作で薄かったキャラクター性が改善される事となった。
    • しかし、それらの掘り下げはクリア後の後日譚で突然行われるので、非常に賛否が分かれてしまっている。

以下、判明する衝撃の新事実について

  • ハンナ
    • 前作の事件を経てジルと同化した事が絆イベントの端々で明かされ、ジルのアシストイベントで同化が進行すれば命の危険にまで及ぶ事が明かされるが、シークレットイベント『ハンナの秘密』で7年後にまで時系列が飛び、カイルと結婚し子供を出産する姿が描かれる。ハンナの子供を取り上げた助産師はヌヒトともネコヒトとも異なる人間の様な顔つきに驚愕し、反ハンナは生まれたばかりの子供に『ジル』と名付ける。
    • 前作でハンナとマルトのロマンスを描いてきたが、本作のシークレットイベントでカイルと結ばれたのは突然明かされた新事実であるだろう。
  • カイルとブリッツ
    • 『1』で断片的に語られて来た彼らの父親について明かされ、カイルの父のパレシアでの事業運用はマフィアとの結託により円滑に進められていたものと明かされる。しかし、ベルマンの軍人であるブリッツの父が機密情報をガスコ軍に漏洩させた事により防衛網が強化され、侵攻作戦への対策を取る事が出来たが、その代償としてブリッツの父は反逆者としての烙印を押され、懸賞金が掛けられてしまう。その状況を知ったカイルの父はブリッツの父を匿う事になるが、それまで結託していたマフィアが逆上してカイルの父は追われる身となる。
      • つまり、これまで語られてきたカイルの父の事業失敗は半ば嘘に近く、実際はマフィアを逆上させてしまった報復を受けてパレシアから辺境の村に身を引かざる得なかったと言うあまりにも開いた口が塞がらない新事実の判明でしかなく、突然クリア後の後日譚で帝国とガスコの戦争の裏で獣人のマフィア達が暗躍する物語があったと明かされるのはあまりにも世界観から浮き過ぎているであろう。
      • ちなみに、この衝撃事実が明かされるのはトゥルーエンドから7年後のシークレットイベント『カイルの秘密』『ブリッツの秘密』であり、青年へと成長したカイルが家族を捨てて失踪した父からの手紙を受け取った事で判明するが、この時既にカイルの身にもマフィアへの報復が及んでおり、素手でイヌヒトのマフィアの末端を再起不能にしていると言う衝撃的な締め方をする。闇落ちしたマルトと同様に何処で驚異的な戦闘能力を身に着けたのかは一切説明は無く、かつてのタラニスの乗組員と言うだけで一切の戦闘力を持って無かったかつてのカイルとはかけ離れているだろう。
      • そして、更に6年後の『カイルの秘密EX』ではマフィアの組織を結成し、妻と息子であるハンナとジルを村に置き去りにして自らがマフィア組織のボスとして君臨したカイルが裏社会での抗争に身を投じていると言う衝撃事実が明かされる。一応カイルの発言からすると『穢れ役を請け負ってまでも家族だけは守ると言う信念の元で暴力を行使しているらしく、一応の正当性はあると言える。
  • ソックス
    • トゥルーエンド直後の後日譚にあたるシークレットイベント『ソックスの秘密』で二足歩行の人型搭乗兵器の開発に一石を投じる。それを深層域で監視していたマエストロが自身が予測していた未来とは異なる未来をソックスが築こうとする事に動揺する姿が描かれる。しかし諦めの悪いマエストロは『新しい科学の誕生が良い方向に進むとは限らない』とほくそ笑む所で締め括られる。
      • 一見すると希望のあるエンディングに見えるが、マエストロの察する通り科学力により滅亡への一歩を再び歩みかねない事を予感させる若干の不穏さを残したエンディングである。
  • ジン
    • トゥルーエンド直後の後日譚にあたるシークレットイベント『ジンの秘密』でフラムとのその後が描かれ、厳重処罰を受けるはずだったフラムがガスコ軍の働きにより処罰が軽減され、フラムは自らの意志で帝国には帰還せずにシェットランドに残留して償いを行うと言う事実が明かされる。動揺するジンだったが、やはりそこでもフラムは本心を明かさない為、彼女の心の中で復讐心が消えたのかは明かされない。
  • チックとハック
    • 本作の絆イベントで兄弟揃って意識が朦朧とする等の精神面での不調を訴えていたが、トゥルーエンド後日譚であるシークレットイベント『チックとハックの秘密』ではマエストロからチックとハックはマルトの因子から生まれた存在、すなわちもう一人のマルトと言う衝撃事実が明かされ、意識が朦朧としているのもマルトの時空干渉の副作用によるよるものだと言う事らしく、精神の崩壊を防ぐ為にマエストロが自ら不具合を直そうとするが、度重なるデータの改変は崩壊を招くと言う救われない事実が判明したまま締め括られる。
      • 確かにチックとハックの容姿や髪のカラーリングはマルトと重なっている事から、もう一人のマルトだと言われても頷けるが、『1』の時点で父親と母親の存在が明かされているので矛盾が生じているとも感じ、プチ・モナ村とは遠く離れたガスコの村に何故同じ因子を共有する存在が居るのかは全く明かされていない。
  • シーナ
    • ベルマン帝国の迫害を受けた事が切っ掛けで、生体電池の被害者となったネコヒト達が決起して隠れ里『ラグドール』を作る事を決意。かつての被害者であったシーナと姉と母もそこに移り住む事となる希望が持てる結末と言えるが、浮島世界の差別や弾圧から逃れて隠棲するのは若干の後味の悪さを感じなくもない。
  • ワッパ
    • これまで孤児だったワッパが本作の絆イベントにて急に母親の身を案じる様になり、それまで楽観的だった彼女の性格からすると急に物思いにふけるのは若干の違和感を感じる。
      • シークレットイベント『ワッパの秘密』ではワッパを探していると言う老人と会う事となり、老人の口からワッパが滅亡したとある小国の生き残りであり、生まれたばかりの頃に母親である女王と共に亡命したと乳児だった言う事実を告げられ、老人から正当な王位継承者として称えられる。
      • 完結編である本作でそれまでバックボーンが一切明かされなかったワッパの過去が突然明かされるのは良い意味で意表を突いているが、何故孤児だったワッパがムーディ村で暮らしてい居るのか、結局亡命した母はどうなったのかは明かされていない。
  • ボロン
    • これまで穏やかで争いを好まなかったボロンが本作の絆イベントにて『僕は軍神の生まれ変わりだ』と自慢げに話す様になる。
      • どうやら父親から聞いた話を鵜呑みにしているらしいが、シークレットイベント『ボロンの秘密』では、軍神の生まれ変わりと言うのはブリオッシュ家に伝わる冗談の様なもので、父自身も先代からそう吹き込まれていた事が判明する。その後のボロン自身の悲惨な末路も描かれていないので、他の子供達の救いの無い結末に比べるとコメディテイストの幕引きである。
+ シークレットイベント『マルトの秘密EX』について
  • エンディング後の時系列にあたる『マルトの秘密EX』なんと15年後の後日譚が描かれその内容とは、ガスコともベルマンとも異なる何処かの国『某国』(原文ママ)で成長したワッパが赤い衣を纏った犯罪者を追跡している場面から始まり、その男は成長したメイを標的にしている事が明かされる。メイを見つけ出して男は銃口を向けるが、何者か問い詰めるワッパに対して男は『僕はアッシュじゃない・・・・・マルトだ!』と発言し、その話は突然終わってしまう。
    • 場面は変わって退場したはずのマエストロが登場し、『終わったはずの物語が何らかの力が作用して再び動き出している』という旨の衝撃発言を残す。作中でも赤い衣を纏った集団は『赤の一族』と呼ばれ、危険な破壊活動を行うが、マルトはアッシュの予言通りに組織入りして闇落ちしたと言う事なのだろうか?。
      • また、細かい指摘抜きにしても後日譚でいきなり15年後に飛ぶのはあまりにも唐突過ぎる展開でしかなく、空白の時間の中でマルトの実質的な宿敵である魔血騎隊との因縁がどうなったかも完全に有耶無耶にされており、平和になったガスコと滅亡したベルマン帝国のその後を一切描写する事もなく『闇落ちした主人公が実の妹に殺意を向ける打ち切りエンド』と言う結末が誰が予想しただろうか。これでは3作通しての積み重ねが台無しになると捉えられても仕方が無く、あまりにも報われない結末であろう。
  • 本作でもゲーム中での特定の記録を残す事によってタイトル画面の歯車が点灯する仕組みになっているが、全て点灯すると『シークレット動画』が解放される。
    • その衝撃的な内容はと言うと『陰謀渦巻く何処かの国の大都市で、ネコヒトの女性が赤い衣を纏った謎の男に頭を銃弾で打ち抜かれて息絶えている』と言う衝撃的な映像で、最後に男の全身が映し出されるシーンで帽子の羽飾りの位置が右向きになっている事から赤の一族入りしたマルトによる犯行だと言う事が分かる。*2
      • 完結作だと称されていた本作だが、またもやシークレット動画で次回作と思わしき映像を流すのは好意的に受け取れば『次回作に期待する』と刮目して待つ事が出来るが、完結を望んでいたプレイヤーにとっては所謂『終わる終わる詐欺』だと解釈されても仕方がない。トゥルーエンドでもタラニスは『1』のエンディングと同じ機能停止しただけで、機体そのものは丁重に禁忌の洞窟に保管されているので、『2』の序盤の様にいつ再起動してもおかしくない状況であろう。

ファストモードについて

  • 全戦闘を排除して実質的に難易度をゼロに出来るファストモードだが、一度ゲーム開始時に設定しまうと本作のシステムの殆どを停止させた状態でゲームが進行してしまうので、プレイヤーによっては単調に感じてしまう。
    • ただし、ファストモードに設定した状態でも実績解除とシークレット含む全てのイベントを開放させる事は可能であり、実質的に資金もVPも無制限に使えるので、通常のプレイでは出来ないやり込みも可能というメリットもある。

問題点

両極端と化したゲームバランス

  • 敵機体の新技『アクセルバースト』の導入により前2作以上に敵の火力が上昇し、序盤から初見殺しの高難易度となった。
    • 戦略重視の『1』新要素との兼ね合いが功を成して安定した良バランスの『2』とは別ベクトルの難易度であり、理不尽な敵機体の集中砲火をプレイヤーが切り抜けなければならないという所謂『死にゲー』に属する不安定な調整となっている。
      • 極めつけはボス戦でのソウルキャノンの使用イベントであり、20回行動で強制発射となった前作とは大きく異なり、本作では4回タラニスのHPが一定数下回るとソウルキャノンの発射が確定してしまう仕様に変更された。無論スキルや回復アイテムでHPを最大近くまで回復すればカウントを停止させる事が出来るが、対策を考えないとすぐにダメージを受けて再びカウントが進行してしまうので、回復する→ダメージを受けるの悪循環に陥りがちである。
      • 最も最難関なのが6章のパラスカイザー戦であり、両腕部分が攻撃力最大5段階上昇のバフ技を行動順無視で連続使用してくるので、一瞬でソウルキャノン使用イベントを発生されられる事も珍しくない。対策を取るには6章ボス戦までに最大までタラニスΩのステータスを上昇させる必要があり、火力で両腕を沈めればバフは解除出来るので優位に立てるだろう。
  • 本作の新要素としてスキルタイルが挙げられるが、序盤は50~100程度のVPしか獲得出来ない為、まるで使い物にならないが、ストーリーを進める度に獲得できるVPが増えて行くので効果を発揮するのは中盤以降となる。
    • ただし、スキルタイルはVP消費して一度解放すれば永続的に効果が発揮されるので、有利なタイルを優先的に解放していけば中盤以降はバランスが徐々に崩壊し、難易度低下に繋がってしまう。
      • 最もバランス崩壊を引き起こすのがポイントクリエイトによるインターミッションマスの設置であり、それまで3回までしか行えなかったインターミッションを最大5回まで行う事が可能となる。デメリットとして通常のインターミッションよりも使えるAPが少なく10しかないものの、VPの乱獲やタラニスΩの改造等、出来る事が一気に増えるせいで後半の戦闘が有利になり過ぎてしまう。それまで劣勢を強いられてきたゲームプレイが一気に単調なものとなるので、バランス崩壊を引き起こさない為には敢えてスキルタイルを開放させない等の縛りを設けるしかない。
  • クリア後に解禁されると言う触れ込みのアカシャパネルだが、実際は最終章である12章より手前の11章でノーマルエンド(バットエンド)をわざと達成すれば解禁されるので、12章の難易度が皆無になると言う問題点が生じる事となり、ある意味本作最大の被害者とも言えるラスボスが上記のフライング解禁によりあっさり滅する事となるのはあまりにも報われないであろう。
    • アカシャパネル自体も常に制限が設けられた中でゲームが進行する本シリーズのシステムを根幹から否定するかのような仕様であり、一度解禁させるとファストモード同様に制限なくショップでの売買やインターミッションの利用が可能となってしまう。

『マーナガルム』『出会いイベント』『港イベント』『ベルマンレポート及びドキュメント』『禁断のルート』『飛行船サービス』『リーダスキル』『フランス語音声によるナレーション』の廃止

  • システムの刷新に伴い、前作で実装されていた多くのシステムが廃止される事となった。
    • 前作で子供達の戦闘不能と引き換えに強力な攻撃を放つマーナガルムは有利になり過ぎたせいか今作では使用不可となり、任意で放つ特殊攻撃という点ではアシストアタックに継承されたと言える。*3
    • 出会いイベントは通信イベントに継承される形で廃止となり、好感度の実装によりゲーム性が増したが、モブキャラと会話する上での選択肢も廃止された弊害で味のある交流が無くなってしまった。
    • 本作ではタラニスが航空能力を得たために港には立ち寄る事が出来なくなり、代わりに章が始まる前にメイが過去世界にダイブする『黄昏の村』に立ち寄る事が出来る様になった。
      • 黄昏の村は港と同様に村人との会話とショップの利用が可能であるが、港の様に多くの人々との交流やカフェでの戦争の状況に対する情報収集が出来なくなっている。確かに黄昏の村自体は後半のストーリー展開にも大きく関わる重要な場所であるが、戦争の状況が把握出来なくなったのでストーリーの説明不足感を引き起こしてしまった感が強く、それが後半の超展開の引き金を引いてしまったと言える。
    • ストーリーを補完するゲーム内小説であるベルマンレポート及びドキュメントはキャラクターごとのサブイベントに代わる形で完全廃止された。各サブイベントは便宜上主役を務める11人の子供達とサポートキャラ12人+宿敵であるアッシュにまつわるエピソードが展開されるが、中には本編との関連性がない水増しのコメディテイストのエピソードも含まれているので、プレイヤーにとっては蛇足に感じる事も。
    • リーダスキルはマルチリーダスキルに継承される事となったが、任意でのスキル習得が廃止され、子供達各自が最初から習得しているのでシステム面では劣化とも言える仕様になってしまった。
    • 前作まで実装されていたフランス語音声によるナレーションは日本語のフルボイスに代わる形で廃止され、フランス語音声は掛け声のみの続投となった。恐らく前作までフランス語音声の監修を担当していたヨアン氏が降板した事が原因だと思われるが、設定変更でフランス語音声に切り替えてもナレーションは無音のままなのは違和感が強く、本シリーズで売りだった日本人声優によるフランス語の音声収録が急に廃止になってフルボイスの日本語音声に差し替えられるのも妙な話である。

ビジュアル面での劣化

  • 前2作よりもイベントシーンでのスチルの量が増えた本作だが、キャラクターデザインとイベントの作画を担当した時津祐介氏は本作では不参加である為、使用されているスチルの大半は前作の使い回しと圧巻の巨大兵器が描かれているビジュアルが中心なった。
    • その弊害で時津氏持つ独特の水彩画のような色彩はシンプルなブラシ塗りに変更され、シリーズの顔役である獣人が描かれているスチルの数が減少している。
  • キャラクターデザインも過去作に比べて新規デザインが圧倒的に減少し、本作初登場のキャラクターで全身の立ち絵が描かれているのは魔血騎隊のみ。その他のキャラは肩までのデザインしか描かれていないと言う不遇さである。
    • 後日談であるシークレットイベントでは成長したマルト達の姿が描かれているが、顔のデザインはそのままに服装と等身が変更されただけなので、背が高くなってオシャレしただけにしか見えない。*4
    • 前半の悪役を務めるカイザーに至ってはイベントシーンの立ち絵すら用意されておらず、イベントで使用されているイベントグラフィックは初登場のスチル『卑劣なる嘲笑』のトリミングである。
      • そのスチルは『頬杖を突きながら余裕の表情を浮かべて玉座に座っている』と言うもので、どんなに非常事態に陥っても微動だにせずに同じトリミング画像が表示され続けるのは非常にシュールである。
  • 本作では戦車に搭乗せず獣人達が白兵戦を行うと言う描写が存在するが、その実態はゲーム上ではなく2Dのイベントシーンで表現されており、1章において魔血騎隊が兵器に搭乗しない生身の状態でマルトを制圧するシーンなどはスキル名の表示→画面上に点滅するエフェクト→苦しむマルトの掛け声というまるで一昔前のADVの様な安っぽさ全開であるため、劇的に向上した3Dの巨大兵器バトルとの差が激しい。トゥルーエンドでも魔血騎隊がとある人物を粛清する為に銃殺する場面があるが、そのシーンも画面が一瞬だけ赤く点滅するエフェクトだけで表現されているため、凄惨なシーンがあまり伝わらずにシュールに感じる。

パズル要素が強くなった遺跡探索

  • 広範囲で複数の標的を破壊できる『ボム』と遺跡探索を行わずにAPだけを消費して素材だけを入手出来る『ドローン』が追加されたが、どの遺跡もボムを有効活用しないと全素材回収が出来ない仕組みになっているので、プレイヤー腕組みの複雑なパズルが中心となった。
  • その弊害で探索でのアクション要素が減少し、パズルを解く為に前2作以上に部屋を往復しなければならないので非常にテンポが悪くなった。
  • 前作ではツタの絡んだ壁は通常弾と発と炎の結晶を付加した属性弾の2発で破壊出来たが、ボムは一回の爆破で壁ごと破壊可能なので、炎の結晶の存在意義が失われてしまった。
  • ドローンによる素材回収は通常プレイで直接回収するよりも効率の悪いものとなっており、狙った素材が回収出来ないので有用性は低い。ドローンを使う位なら直接回収した方が有益なのでシステムとしては存在意義の薄いものとなっている。

頻発する不具合と粗が目立つ仕様

  • 新システムの大幅追加の弊害で前2作よりも不具合が頻発し、発売当初はゲームが進行不能になる致命的な不具合がプレイしたユーザーから多数報告される不祥事が起きた。
  • クリア後にボスラッシュに挑戦出来る『アドバンスジェネレーター』は最終章よりも手前の11章のノーマルエンドを達成すれば一週クリア前に解禁されると言う仕様なので、最後までボスラッシュを進めると最終章に突入する前にラスボスと戦えると言う不具合が生じてしまう。特にラスボスの存在は大どんでん返しと言える位の意表を突く位のインパクトがあるので、ネタバレを回避したければ注意してプレイする必要があるだろう。

総評

前作からの衝撃のラストを経て満を持して発売されたシリーズ完結作。集大成と言うべきロボットアニメ最終章さながらの熱く泣ける展開の連続はプレイしたユーザーから高い評価を得る事に成功し、意表を突いた数々の展開は良い意味で3部作のラストに相応しい出来となっている。

だが一方で、開発サイドで大きな問題があった事が公表されており*5、前作まで続投されていた主要スタッフが大幅に抜けた事で大幅なシステム変更が生じたのは事実であり、良バランスだった前作から一転して本作のシステムはバランス崩壊を招く大味なものとなった。ストーリーに関しても熱く感動できる反面、駆け足気味かつ説明不足な一面も兼ね備えており、非常に人を選ぶ出来となってしまった。

また、本作で描かれる結末も王道のラストから一転して非常に報われないものとなっており、完結作と称しておきならが『次回作に続く』と言う形式で締め括られるのは半ば打ち切りエンドに近いと言っても過言では無いだろう。

上記の総評から過去作以上に賛否が分かれてしまっており、過去作以上に賛否両論の作品となっている。

余談

  • 前作のシークレット動画では本作の開発段階のスチルがボイス付きで映し出されていたが、製品版となる本作で使用されたスチルとは完全に別物になっている。
    • 中でも『プチモナ村が英雄を生み出す為の村』と村長が発言するスチルや『軍神の生まれ変わりであるボロンが覚醒して真の姿を発現させる』スチル等、本作の製品版では実装されなかったスチルが数多く存在する。

最終更新:2025年10月18日 16:44

*1 何故かサイクだけは狂気の表情を浮かべている

*2 アッシュは羽飾りの位置が左向き、マルトは右向きと言う対称的なデザインとなっている

*3 タラスクスが前作で完全消滅してしまった為、使用不可となってしまったのも設定面の整合性の擦り合わせとして考えれば頷ける

*4 例として挙げるのならばワッパは顔は10歳のままに無駄に豊満なバストとなっている

*5 https://x.com/BGBEJAPAN/status/1873351596136190398?s=19 45分辺りの発言