- 分類:短編小説
- 初出:「週刊小説」1982年6月4日号
- 雑誌時挿絵:中沢潮
- 収録短編集:『夜よ鼠たちのために』
あらすじ
電話が鳴った。喉が、細い紐で巻きつけられたようにちょっとだけ苦しくなる。イヤな予感がする時のオレの癖だ。稲葉のヤツかもしれない。昨日までの依頼者で、製薬会社の重役だ。オレの調査にいちいち文句をつけた。「奥さんに浮気の形跡はないから」いくらオレが言っても疑惑の目で報告書を睨みつけていた。まるで女房が浮気しているのを望んでいるみたいだった。そういう客が時々いるものだ。オレはいい加減この仕事が厭になってきている。稲葉は所長にオレが手抜きをしているように話した。オレがサボったのは、一昨日の夕方、稲葉の妻が文化センターを出たところで尾行をうちきったことだけだった。昨日見せた最終的な調査書には五時半帰宅と書いた。十分ぐらい狂っていたかもしれない。その点を突っついてきたんじゃないか。受話器をとる。
KK興信所に勤める調査員のオレの元に、妻の浮気調査の依頼が来る。吐き気がするほどありきたりな依頼のはずだったが、尾行5日目、オレは女がわざと尾行させていることに気付く。そして女は、オレに思わぬことを言い出す……。
登場人物
解題
(スタブ)
掲載号「筆者の近況」より
ここ数年、肥りぎみだった連城さん、決意を新たに減量作戦を断行中。カロリーの本を買ってきて細かに計算し、好きな酒もカロリーが高いと断酒。このかいあって一カ月で六キロも痩せたという。
現在の体重は五十キロだが、腹がへこむまでは、まだまだ頑張るつもりだそうだ。
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最終更新:2017年08月10日 14:43