親愛なるエス君へ


あらすじ

 親愛なるエス君――
 私は、この手紙がいつか誰かの手で日本語に翻訳され、パリにいる君のもとに届けられることを期待しながら書いている。私が日本へ来てもう四年が過ぎつつあるが、日常の会話には困らなくなったものの、依然日本語で手紙を書くのは大きな苦痛である。この国の文字は私には東洋的神秘を秘めた美しい図柄か、永遠に解き明かすことのできない暗号のように思える。例えば日本人が「脚」と「腕」という文字を簡単に読みわけるのを見るとき、彼らは皆、天性の画家なのだと私は驚嘆するのだった。

親愛なるエス君――。私の君と出会いたかった。私と君はこの世界で唯一、誰よりも深くわかり合える友になれるはずだったから。そう、君がパリで犯したあの事件に、二年遅れて私も手を染めようとしているのだから……。

登場人物

  • 私(ジャック)
    • フランスからの留学生。
  • ミツ子
    • 「私」の交際相手のひとり。
  • エイコ
    • 「私」の交際相手のひとり。
  • 女医
    • 「私」を轢き逃げした女。
  • ヒシダ
    • 「私」の脚を治療した医師。
  • キャシー
    • 晩餐に招かれたアメリカ娘。

解題

(スタブ)

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収録アンソロジー

  • 日本推理作家協会編『推理小説代表作選集 1984年版』(1984年、講談社)
    • 日本推理作家協会編『殺人者へのレクイエム ミステリー傑作選19』(1989年、講談社文庫)
  • 綾辻行人・有栖川有栖『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー2』(2009年、講談社)

関連作品


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最終更新:2017年08月10日 11:18