群雄割拠(遊戯王OCG)

登録日:2022/12/01(木) 00:22:24
更新日:2024/01/01 Mon 10:30:01
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《群雄割拠》とは遊戯王OCGのカードの1枚。
本項目では類似効果を持つ《御前試合》と《センサー万別》についても解説する。

カードテキスト

永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのフィールドにそれぞれ1種類の種族のモンスターしか表側表示で存在できない。
お互いのプレイヤーは自身のフィールドの表側表示モンスターの種族が2種類以上の場合には1種類になるように墓地へ送らなければならない。

第3期のパックである「ユニオンの降臨」で収録された。
レアリティはノーマル。

モンスターの展開を縛る妨害を行うタイプの永続罠。
ノーコストでフリーチェーンで発動でき、お互いに自分のフィールドで存在できる、モンスターの種族は1種類のみとなる。
【グッドスタッフ】系などの種族統一を意識していないデッキには良く刺さり、デザイナーズデッキであっても種族がばらけている【ライトロード】【剣闘獣】などに対しても大きく行動を縛ることができる。
また、メインデッキの種族が統一されているデッキでも展開や除去などをエクストラデッキの汎用モンスターに頼るデッキでは、素材を並べてもそれらのモンスターにアクセスできず刺さる事もある。

このカードの効果が適用されると、思うようにモンスターを並べられず、刺さり方が深刻なデッキではデッキコンセプトが破綻してしまいデッキが機能不全に陥ることも。
しかも、永続罠なので除去しない限り苦しめられ続ける事になり、特に近年の遊戯王ではメインデッキから魔法・罠の除去を多く採用することは少ないためセットカードから開かれた時の絶望度は大きい。
そのまま敗北に追い込まれることもあり得るため、誇張抜きでこれ1枚で勝てる可能性すらある。

種族統一のデッキではあまり刺さらず、自分で採用することで武器として使うことができる。
ただし前述の通りエクストラデッキの汎用モンスターを使う場合を使えなくなる可能性があり、自身にも悪影響がないということは珍しい。
相手の方が自分より深刻に刺さるのであればリターンの方が大きいので、自分へのデメリットを承知の上でも使う価値はある。
構築次第だったり、特殊な例ではあるが【ふわんだりぃず】の様にエクストラのモンスターに頼らない種族統一デッキや、
そもそもモンスターを主軸とせず、使っても時械神の様な1体しか出さない上にフィールドからすぐいなくなる【チェーンバーン】などではほぼ影響がない。

変わったところでは相手がモンスターを出す前に《おジャマトリオ》などで何かしらのモンスターを送り付けてから、《群雄割拠》を発動して行動を縛り付けるロックコンボに使うこともできる。
アンデットワールド》と併用し、相手フィールドのモンスターをアンデット族にして縛るのが一番実用的だろうか。
また、壊獣などのコストでリリースしてモンスターを送り付ける除去の対策として使う事も可能。

メタカードとして大会環境に顔を出す事があり、環境次第ではサイドデッキどころかメインデッキから投入されることもある。
ただし、前述した性質の通り何のデッキにも入れられる様なカードではない。

群雄割拠とは「数多くの英雄が各地に勢力を張り、対立し覇権を巡って争う状況のこと」である。
遊戯王OCGでもデッキパワーが均衡してて、数多くのデッキタイプが活躍する環境では「群雄割拠な環境」と言われることもある。
逆のデッキパワーの格差が酷く、活躍できるデッキタイプが少ない環境は「暗黒期」「暗黒時代」「暗黒環境」と言われる事も。
このカードはフィールドに存在できる種族の数が大きく縛られるためやってることは暗黒期寄りではあるのだが、
元々の意味である、英雄(プレイヤー)が勢力(自分のモンスターかデッキ)を張り、相手プレイヤーと対立する様子をイメージしているのだろう。
イラストは遊戯王OCGのモンスターは一切描かれておらず、戦国時代での一騎打ちと思われるイラストが描かれている。


類似カード

基本的な性質が同じ、類似カードを2枚紹介する。

《御前試合》
永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
お互いのフィールドにそれぞれ1種類の属性のモンスターしか表側表示で存在できない。
お互いのプレイヤーは自身のフィールドの表側表示モンスターの属性が2種類以上の場合には
1種類になるように墓地へ送らなければならない。

第6期のパックである「CROSSROADS OF CHAOS」で収録された。
レアリティはノーマル。

《群雄割拠》の種族参照を属性参照に置き換えたもの。自分のフィールドで存在できる、モンスターの属性は1種類のみとなる。
現時点で25種類ある種族に対して、属性は7属性なので比較すると固まりやすく、あちらと比べると若干すり抜けられやすい。
実際登場当初はボチヤミサンタイとかボチライロヨンシュルイの全盛期なので、環境デッキ相手には大して効果がなかった。

とはいえ種族は統一されているが属性がバラバラな【フォーチュンレディ】【オルターガイスト】等のデッキもあるため、《群雄割拠》は効果が薄いのに、こちらは強烈に刺さると言ったことはある。
デザイナーズデッキではない種族デッキに刺さるかはまちまちと言った所で、属性が偏りがちな岩石族魚族水族などには効果が薄い事が多い。

《御前試合》の使い捨て版とでも言えるカードとして、通常罠の《異種闘争》が存在する。
モンスターが全て表側表示でなければ発動できず、使い捨てであるため《御前試合》の様な拘束力はなく、
除去として見ると相手への依存度も高く、自分にも影響し、狙ったカードを除去できるかも不安定…と効果はほぼ同じだが永続でないが故に大きく使い勝手が劣る。
ただし、永続じゃないのは利点とも言え、《サイクロン》などの罠除去をチェーンされても効果は通り、発動後に自分も縛られ続けるという事もない。
とはいえ、《御前試合》自体が相手への拘束力を期待して使うカードなため、拘束力が弱いこちらまで使われることは稀。

タッグフォース5では元キングが禁止カード未使用時では最高レベルのデッキ【緋色の魂】で2枚採用されている。
基本的にあまり強い内容のデッキではないのだが、バック除去が薄いデッキだとこれ1枚で思わぬ苦戦を強いられてしまう事もある。
デッキ内容はエクストラ含め闇属性で統一されているので、ジャック自身は影響を受けない。
タッグ時だとパートナーを思いっきり振り回すことになるけど。

御前試合とは「将軍や大名などの前で行われる試合」のこと。
イラストは《大将軍 紫炎》の前で《真六武衆-キザン》と《真六武衆-エニシ》が手合わせしている様子が描かれている。
【六武衆】は属性がばらけているため相性は非常に悪く、自分からはまず採用できない。
【六武衆】で使うなら《群雄割拠》にしよう。


《センサー万別》
永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
お互いのフィールドにそれぞれ1体しか同じ種族のモンスターは表側表示で存在できない。
お互いのプレイヤーは自身のフィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在する場合には、
同じ種族のモンスターが1体になるように墓地へ送らなければならない。

第10期のパックである「EXTREME FORCE」に収録された。
KONAMIがこの手のカードの有用性が分かってきたのかレアリティはこの系統のカードでは唯一のスーパーレア。
そのため、環境で注目された際に一時期高騰していたが、「RARITY COLLECTION-PREMIUM GOLD EDITION-」にて最高レアリティであるシークレットレア含めて同一レアリティで再録されたため、現在では値段は落ち着いている。

《群雄割拠》の逆で同じ種族が存在できず、自分のフィールドで存在できるモンスターは、種族ごとに1体ずつのみとなる。
デザイナーズデッキでは種族属性統一されていることは珍しくはなかったため、この手のカードの脅威からは逃れ続けていたが、とうとう刺されることになった。*1
種族シナジーを意識したデッキは大きく苦しめられる事になるが、逆に【グッドスタッフ】の様なデッキは何も意識していなくても、あまり影響がない。
また、汎用エクストラをメインとするデッキ程すり抜けられやすいという弱点があり、この辺も《群雄割拠》と真逆の性質を持っている。
とはいえ素材の調達を特定の種族のモンスターを並べる事でやろうとしているデッキであれば、エクストラデッキのモンスターにアクセスできないのだが。
性質上同名カードを並べられないため、ハイランダー構築でもない限りモンスターを使うデッキでは何かしら影響を受けるカードとなっている。
《群雄割拠》と一緒に発動している場合は、表側表示のモンスターは1体しか存在できなくなる。

おそらく、カード名の元ネタは千差万別であり「さまざまに異なって同じではないこと」を意味する。
同じ種族が存在できないこのカードにぴったりと言えるだろう。
今まで4文字熟語そのままだったのに何故かこのカードだけダジャレにされているが。
イラストに描かれているのは《検疫》の続きのようで、空港の金属探知機の様なゲートで検査に引っかかってしまっている《ワイトキング》と《ワイト夫人》の様子となってる。
《ワイトプリンス》と《骨犬マロン》も描かれており、彼らは検査を通過したと思われる。
これはこのカードの効果に当てはめると検査を通過した先がフィールドとするならば、アンデット族の《ワイトプリンス》と獣族の《骨犬マロン》は種族が違うため存在できるが、
既にアンデット族が存在するのでアンデット族である《ワイトキング》と《ワイト夫人》はフィールドに出る事が出来ない様子を表していることになる。


カードの効果について

見た目以上に非常に複雑な効果をしている。
使用する際は裁定を覚えておきたい。
また、使用されることを警戒する際は穴を突くことで突破を狙えるため、裁定を覚えておく事に越したことは無い。
以下では、その裁定の一例を紹介する。
ほとんど同じなため基本的に《群雄割拠》を例にして説明をするが、《御前試合》《センサー万別》でしか起こらない状況もあるため、その状況は下記に記載する。

カードの効果の裁定について(一部のみ解説)

カードの発動は発動可能な状況であればダメージステップ時以外ならいつでも発動できる。
フィールドにモンスターが1体も居なくても発動ができる。

効果処理時に異なる種族のモンスターが存在していた場合、残すモンスターの種族を1つ宣言しそれ以外のモンスターを墓地へ送る。
《センサー万別》の場合は種族ごとに残すモンスターを選び、それ以外のモンスターは墓地へ送る。
尚、この効果はプレイヤーに上記の行為を行う事を強制する効果であり、効果によって墓地へ送る効果ではない。
この効果でモンスターが墓地へ送られても、カードの効果によって墓地へ送られた扱いではないのでティアラメンツシャドールなどの効果は発動しない。
また、罠カードの効果を受けない《ジ・アライバル・サイバース@イグニスター》なども残すモンスターとして指定されなければ墓地へ送られる。

効果が適用されている間は他の種族のモンスターを表側表示で出そうと召喚・反転召喚・特殊召喚しようとする行為自体が封じられる。
水族の《黄泉ガエル》をリリースして、悪魔族の《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚したり、
戦士族の《ジャンク・シンクロン》と《ドッペル・ウォリアー》を素材として、機械族の《A・O・J カタストル》をシンクロ召喚することは不可能。
相手の罠カードをコストとして墓地へ送る《トラップ・イーター》でも、自分フィールド上に悪魔族以外のモンスターがいる場合には《群雄割拠》を墓地へ送っての特殊召喚はできず、
フィールドにレベル1モンスターが1体のみでも、それがサイバース族以外であれば《リンクリボー》を墓地から特殊召喚する効果は発動すらできない。

ただし、表側表示で出さなければ良いので悪魔族の《モリンフェン》をリリースして、魔法使い族の《レオ・ウィザード》をセットすることはでき、
既にフィールドに表側表示でモンスターがいて、それと違う種族のモンスターを裏側守備表示でセット及び特殊召喚することはできる。
鳥獣族の《剣闘獣ベストロウリィ》が表側表示で存在する場合に、鳥獣族以外の剣闘獣モンスターをセットして、鳥獣族の《剣闘獣ガイザレス》を特殊召喚することは可能。

効果の適用時の制限として課すのは「フィールドに表側で存在するモンスターと違う種族のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できず、それをしようとする行為も封じる」であり、違う種族のモンスターがフィールドに並んでしまう行為を一切封じている訳ではない。
つまり、召喚•反転召喚•特殊召喚以外の手段によってフィールドに違う種族のモンスターが並んでしまう可能性がある。
この事例はコントロール奪取や、セットされたモンスターが戦闘やカードの効果でリバースした場合などに起こり得る。
その場合は残すモンスターの種族を再選択することはできず、後からフィールドに表側表示で出たモンスターを墓地へ送る事になる。
戦闘によってリバースした場合はダメージ計算までは行うが戦闘破壊される前に墓地へ送られる。
そのため「リバース効果」「戦闘を行った後に発動する効果」「戦闘破壊された時に発動する効果」は発動できない。
《亜空間物質転送装置》などで一時的に除外してからフィールドに戻る効果に関しては、フィールドに戻れずそのまま墓地へ送られる。

フィールドに表側表示のモンスターがいなくなった場合は、効果が解除され何の種族のモンスターでも出せる様になる。
魔法使い族の《ブラック・マジシャン》が存在する時に《群雄割拠》を発動された後に、フィールドに表側表示のモンスターがいなくなった後にはドラゴン族の《青眼の白龍》を出す事ができる。
この場合、フィールドから表側表示のドラゴン族モンスターがいなくなるまでドラゴン族しか出せなくなる。
「発動コストとしてフィールドから自主退場してモンスターを特殊召喚する効果」は、発動時には同じ種族しか選択できないが、発動することでフィールドの表側表示モンスターがいなくなる場合には違う種族を選択できる。

フィールドに表側表示のモンスターがいない状況では効果が適用されていないため、《ソウル・チャージ》などで複数の種族のモンスターを同時に特殊召喚することは可能。
その場合は処理は通常通りに行われた上で、効果処理終了後にフィールドに残す種族のモンスターを1つ宣言して残りは墓地へ送ることになる。

《DNA改造手術》などの「フィールド上に存在するモンスターの種族を特定の種族に変化させる」効果が適用されている場合、フィールドに存在する種族以外のモンスターをフィールドに出す事は不可能。
《DNA改造手術》で魔法使い族が宣言されていても、戦士族の《E・HERO ネオス》を出す事はできない。

《御前試合》のみで起こる状況

「フィールドでは自身の元々の持つ属性以外としても扱う」効果を持つ《ダーク・シムルグ》などは、フィールドにそれ単体のみしか存在しない場合でも墓地へ送られる。
ただし、フィールドに出ていなければ他の属性として扱う効果は適用されていないため出す事は可能。
効果適用中でも《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード-ネオテンペスト》などの効果によって自身の属性を増やす事はできるが、その場合には効果処理後に墓地へ送られる。

《センサー万別》のみで起こる状況

《DNA改造手術》などの「フィールド上に存在するモンスターの種族を特定の種族に変化させる」効果が適用されている場合でも、フィールドに既に存在している種族以外のモンスターを出す事は可能。
ただし、場に出た瞬間に既にフィールドにいるモンスターと同じ種族になってしまうため即座に墓地へ送られる。


…と以上が一例である。
効果は複雑ではあるが、《群雄割拠》を例にするならば、
  • 発動条件なしで、フリーチェーンで発動できる
  • 表側表示のモンスターがいなければ効果は適用されない
  • 効果適用中は違う種族のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚ができず、それをしようとする行為も封じる
  • 効果適用中に違う種族のモンスターが存在してしまった場合、後から来た方を墓地へ送る
  • 効果適用中でも違う種族のモンスターを裏側表示でフィールドに出す事は可能
辺りを抑えておけば基本的な運用は出来ると思われる。

追記・修正は《群雄割拠》《御前試合》《センサー万別》を同時に発動された人にお願いします。

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最終更新:2024年01月01日 10:30

*1 BFなどにはごく一部例外となるモンスターがいるが、ほぼ統一されていると言っても過言ではない