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ゾイドインフィニティ - (2022/02/20 (日) 13:42:29) の1つ前との変更点

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*ゾイドインフィニティ (AC) 【ぞいどいんふぃにてぃ】 *ゾイドインフィニティEX (AC) 【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす】 *ゾイドインフィニティEX PLUS (AC) 【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす ぷらす】 *ゾイドインフィニティ フューザーズ (PS2) 【ぞいどいんふぃにてぃ ふゅーざーず】 *ゾイドインフィニティEX NEO (360) 【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす ねお】 |ジャンル|アクションゲーム|&amazon(B0006MQ1KA,image);&amazon(B000E3WPWE)| |対応機種|アーケード(SYSTEM246)&br;プレイステーション2&br;Xbox360|~| |発売元|トミー(EX PLUS以前)&br;タカラトミー(EX PLUS/EX NEO)|~| |開発元|タイトー、翔泳社|~| |稼働開始日【AC】|2004年6月24日|~| |発売日|【PS2】2005年2月17日&br;【360】2006年3月30日|~| |定価|【PS2/360】6,800円(税別)|~| |廉価版|【PS2】トミコレ・ベスト&br;2007年3月29日/2,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ファン納得のゾイドによる3D対戦ゲーム|~| |>|>|CENTER:''[[ゾイドシリーズ・関連作品リンク>ゾイドシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 タカラトミーの玩具「ゾイド」を題材にしたツインスティック操作による3D対戦アクションゲーム。~ 『[[ZOIDS VS.シリーズ>ZOIDS VS.]]』では不完全燃焼であった「3Dアクションでゾイドを動かしたい」というファンの願いが叶った作品。~ AC版は専用筐体による高い臨場感を有し、人型ロボットを扱った同系統作品とはまた違った独特の戦闘と操作感を楽しめる。~ 数度に分けてバージョンアップが繰り返され、バランス調整と共にシナリオやゾイドの追加が行われた。~ 音楽は[[ダライアス>ダライアスシリーズ]]などの作曲でも有名なZUNTATAが担当。 ストーリーは原作であるバトルストーリー寄りだが本作オリジナルのものとなっている。((後に、本作オリジナルキャラクターが正史側の別作品に登場したが、同一人物とは明言されていない。))~ 正史との大きな違いはヘリック共和国、ガイロス帝国、ネオゼネバス帝国の三国が独立勢力として対立している点などがある。~ 三国にとって因縁の地である『ニカイドス島』に、主人公が任務で訪れるところから物語は始まる。 ---- **特徴 ''専用筐体及びツインスティックによる臨場感のある戦闘'' -対戦形式は基本的に1on1。1ラウンド99秒。耐久値とEN((ブーストや各種武装で消費する))は全機体共通で10000。 -筐体や対戦形式など[[バーチャロンシリーズ>電脳戦機バーチャロン]]を彷彿とさせる所もあるがプレイ感覚はかなり異なる。 -基本操作 --コントローラーはツインスティック+4ボタン(加えてコンパネ中央の決定ボダン)。 ---親指部分にブーストボタン、人差し指部分に武装トリガーが配置されている。 ---アニメ版ゾイドのオーソドックスなコックピットがツインレバー式であった((所属国家問わず陸戦機体の殆どがこの形式))ためその再現という面もある。 --基本操作はどちらかのスティック1本で行い、特殊な動作を行う時に2本目を補助的に使う特徴的な形式。~ 公式紹介によれば「右利き・左利き問わず違和感なくプレイしてもらうため」というのが理由である模様。 --左右どちらかのスティックを前後に倒すと移動。前進にくらべ後退動作はかなり遅い。~ 横に倒すと横移動ではなく旋回を行う。斜め前に入力すれば前進+旋回することができる。 --2本を同じ方向に倒すとステップを行う。ステップは4方向((慣性を引き継ぐため斜め方向への移動も可能))((左右ステップ・前後ジャンプが公式での呼称))であり、横ステップは本作でも可能な横移動。 ---先述のバーチャロンシリーズとの基本操作に於ける大きな違いであり、双方のプレイヤーが触れた際に最も戸惑う要素。 --ブーストボタンを押すことでENゲージを消費してブーストによる加速ができる。加速方向は前方のみ。 ---通常移動では攻撃の回避は難しいため、基本的にブーストとステップを駆使して移動・回避を行う。 ---ENは時間により回復していくが使い切るとシステムダウンとなり全回復するまでENを使った行動が一切不能になる。 --ダッシュ中に左右のレバーを内側に倒すと急ブレーキと同時に相手の方向に向くハイパーブレーキと呼ばれる動作を行う。~ 視角外の敵を捕捉し直すのに役立つが機体が停止するため、攻撃の回避が難しい最も判り易い隙でもある。((ステップにより中断できるが慣性の乗っていないステップでは回避は難しい)) -ステップがあるとはいえ前進移動を基本とし、人型をしていないといった点からゾイドの操作感覚はむしろ自動車に近い。 -カメラは自機後方から見下ろす三人称視点で固定されており、敵機の捕捉は自身で行わねばならない。~ 画面構成なども含めるとTPS的な色合いもやや強め。[[アーマード・コアシリーズ]]を思い浮かべるプレイヤーもいた。 -ゾイドの耐久力は他の同タイプのゲームと比較して高めに設定されており、初心者でもワンプレイをそれなりに長い時間楽しみやすい ''攻撃・防御'' -武器は右武器2種類、左武器2種類、中央(同時押し)武器1種類の計5種類まで搭載できる。ゲージは全て独立している。 --2種類ある右左武器の武器の切り替えは左右のブーストボタン同時押しで行う。片方だけ切り替えると言うのは不可能。 --射撃系武装は大きく実弾系とEN系に分かれている。 ---実弾系は武装自体に弾数が設定されており、撃ち切ってしまうと使用できなくなるというデメリットがある。 ---EN系には弾数の制約は無いが、ENを消費して射撃を行うためEN管理が難しくなるデメリットがある。 -バーチャロンと同じく、一定以内の距離だと自動的に格闘攻撃に切り替わる。 --格闘距離に入るとロックカーソルが赤色に変化する。格闘距離は機体によって異なる。~ また、この状態では横ステップが敵機体を中心とした円弧の軌道になる。((敵の正面で横ステップすると的側面へ回り込む軌道になる)) --ブーストボタンを同時押しすることで格闘間合い内でも射撃武装は使用できる。 --左右のトリガーがそれぞれ左右の格闘に対応しているのに加え、ステップ中に入力することでステップ格闘に変化する。~ 中央武装に相当するものも2種類存在し、通常時は後述の投げ技となり、ジャンプ中に入力することでジャンプ格闘に変化する。~ 合計6種と種類が多くそれぞれに性能も異なる。((左右の格闘に性能差が無い機体や、一部格闘が存在しない機体も存在する。)) --移動中の敵機に振って当たる格闘は殆ど無く攻撃前後に隙を晒すこともあり非常にリスクが高い。格闘を主軸に戦える機体は極少数。 -やはりバーチャロンと同じくレバーを内側に倒す事で格闘のみをガード出来る。 --各武装には内部硬直が設定されており、この硬直中にはガードが出来ない。 --ガード成立時に完全に停止することと、入力自体がハイパーブレーキと同じであることからその後の回避行動が難しくなる。 --バーチャロンとの違いとして防御不能の投げ技に相当する技が全ゾイドに存在する。~ 独特のエフェクトで判別でき、誘導は強いものの間合いは短いため離脱は容易だったりする。~ 通常格闘では転倒させられないデススティンガーをも転倒させる事もできる。 ---アニメ版シールドライガーの必殺技であるシールドアタックはこの分類。ブレードライガーもシールドアタックを使う。 -主軸とはし難いとはいえ、格闘が基本だけで6種もあるため仕掛けるにも対応するにも判断が難しい。 --人型ロボットにおける『剣で斬りつける』様な共通化されたモーションが少なく機体ごとの差異が非常に大きい。 --格闘をガードさせて射撃を当てる、射撃を回避してガード不能中に格闘を当てる、格闘を回避して硬直中に攻撃を仕掛ける、とにかく離脱する等、近距離距離での駆け引きはこのゲームの醍醐味とも言える。 -一部機体はレバーを外側に倒して武装ボタン同時押しをすることで独自の特殊武装が発動する。 --コマンド以外にも条件付きであることが多く、デメリットも付加されている場合が多い。 --代表的なものでは、ブレードライガー等のブレード持ち機体はこれによってブレードを展開し格闘判定を出したまま移動が可能になる。~ ブースト中にしか使用できず、展開中はブースト以上にEN消費を消費し続け、ブーストよりも速度が上昇するという具合。 --ブレードの様な加速突進系の他には全ENを消費する全弾発射系や極めて威力の高い近接距離限定の投げ系などがある。 --なお、アニメ版で猛威を振るった荷電粒子砲だが本作では通常の射撃武装であり特殊武装ではない。 ---それどころか、キャパシティが重く、実戦での命中が期待できないこともあって(本来固定武装のはずだが)装備されないことも多々ある。 ---とはいえ、その威力は全武装中最高クラスで、シールドでの防御は出来ないし稀に壁を貫通することもあるあたりは流石と言ったところか。 ''所属国家という概念'' -へリック共和国・ガイロス帝国・ネオゼネバス帝国のうちから所属国家を一つ選択してゲームを開始する。 --ストーリーモードでの敵機体の傾向が若干異なる程度で大きく差の出る要素ではない。 --明確に難易度に差があるわけではないが、初心者の内は単純に火力のある機体が脅威となるため影響を大きく感じ易い。 --ライバル兼相棒の『チャクト』は主人公と同国家所属、ヒロインの『カノン』やラスボスの『ザルカ』は無所属と、ゲームオリジナル人物の動向には国家要素が影響しないストーリーである。 --所属国家によって使用機体が制限されたりアイテムのドロップ率が変わるといった要素はない。 --ゲームや後述のベンダーのデモ画面などでは国家別の勝敗やBPランキングなどが表示される。 ''キャラクターゲームとしての側面'' -AC版の稼働がアニメシリーズ3~4作目の放映時期にあたることもあって、アニメシリーズの登場人物が多数登場する。 -「ゾイドサーガ」等の他ゲームシリーズの登場人物まで選択できる。一部はプレイヤーの行動に合いの手を入れることも。 --単に敵キャラクターとして登場するだけで無く、ゾイドの能力を変化させる相棒キャラクターとしても設定できる。 -オリジナルの登場人物(と言っても3人しかいないが)にも人気声優や実力派声優が担当するなど、かなり力が入っている。 --アーケード版のオリジナルキャラクター担当声優は、田村ゆかり、檜山修之、郷里大輔と錚々たる顔ぶれである。 -流石に声やグラフィックは存在しないが、バトルストーリーの登場人物も名前のみだが登場する。 ''ICカードを用いたプレイデータの記録'' -筐体とセットで配置されている専用端末「カスタマイズベンダー」でICカードを購入し使用ゾイドを登録できる。 --このカードにはプレイヤーの戦績・BP(バトルポイント。主にゾイドカスタマイズに使用する)・所有ゾイド・その他ゲームの進行情報が記録される。 ---カードの使用可能回数は100回で、使い切った場合も引継ぎは可能。また、最終プレイ日時から60日が経過するとカード情報自体が無効になり、更新も不可能となる。 --カードなしでのプレイも可能だが、当然戦績は記録されないので、初期ゾイドしか選べないうえ、カスタマイズも不可能。ストーリーモードも進行できない((本作は1コインでストーリーが完結しないため))。 ''ゾイドカスタマイズ'' -100を越える多くの武装が存在し、自分だけのオリジナルゾイドを製作できる。 -武装を変更すれば外見にもしっかりと反映され、機体カラーリングの変更なども可能。 --アニメやバトストと同一の装備をするも良し、勝ちに拘ったカスタマイズにするも良し。 --高圧濃硫酸噴射砲、三連電磁砲、マクサービームキャノンなどバトルストーリー設定そのままの武器が殆ど。~ 初期装備で揃うものもあるが強化改修機などまで含めれば原作再現が捗るだろう。 -機体数と武器数から武器の組み合わせは非常に幅があり、プレイヤー毎にオンリーワンなゾイドを使うことになる。 --所謂ガチ装備となればある程度は固定されてしまうが、武装ごとにかなりの差異が存在しそれが勝敗を分けることもある。 ---単純な『ダメージ値』の他に、高い程ダウンを奪い易くなる『衝撃値』、防御力の影響を受けにくくする『貫通力』等々、武器ごとにかなり細かく設定されている。厄介なことに多くがマスクデータであるため、実際に使用感を確認することが重要となる。 ---同じ『8連装ミサイルポッド』でも装備した機体によって同時発射型と連続発射型で分かれていたり、装備場所によって射角に差が出たりといった影響が発生する。 ---武装の追加アップデートもされており、総弾数を犠牲に1発あたりの威力を向上させた強化型や、実弾⇔ENの属性が変更されたバージョン等が追加されたりしている。 --ただし、ゾイド毎に搭載可能キャパシティという物もあり、際限なく好きな武装が可能なわけでは無い。 ---キャパシティを超えての搭載も可能だが超過量が増えるほどゾイドの運動性能が悪化する。~ 特にブーストに武装にと攻守両面で用いられるEN回復速度が落ちるのは致命的。1on1という対戦形式であれば猶更。 ---元々のEN効率が良好な機体で実弾主体にカスタマイズするなど、それこそプレイヤー次第ではある程度は許容範囲というスタイルもあった。 ---残念ながら武装のパージというシステムが無いため、それを前提に過積載で出撃という戦法は存在しなかった。 -武器の他、ゾイドの機能を様々に強化させるオプションも設定できる。 --わかりやすいもので言えば装甲やレーダーの強化。ただしオプションは外見には反映されない。 --デメリット付のものも存在する他、全体的に使用キャパシティが高めに設定されている。 --一部の登場人物などもこの枠に存在し各種能力を向上させてくれる。((ゾイドの潜在能力を引き出す設定を持つ古代ゾイド人やオーガノイド、戦闘補助AIなど)) ''巨大ゾイド'' -ゾイドのアニメでは原作設定((ゾイドはプラモキット付属の「バトルストーリー」が原作(故に原作:タカラトミー)であり、アニメの方が派生作品である。))よりも遙かに巨大な姿のゾイドが多数登場したが、本作でも巨大ゾイドがストーリーモードのボスキャラとして登場する。 --ただしアニメ版程の理不尽なサイズには巨大化しておらず演出の範囲と言えなくもない。 --最初のボスであるデススティンガーは、広大なはずの戦闘フィールドが狭く感じるほど軽快に走り回り、様々なアクションを見せてくれる。 ---近寄ればハサミによる近接攻撃やジャンプしてからの全周囲攻撃を行い、離れれば高誘導ショックカノンや極太の荷電粒子砲を使ってくる強敵。 &bold(){収集ゲーム要素} -相棒や武器は、戦いの中でランダムに入手したり、実績を稼ぐことで手に入れることができる。 --強力な武器、原作再現するための特殊な武器など望み通りのゾイドをカスタマイズするのは大変だが、集める楽しみもある。 --たとえ所有する武器が少なくても、ジェノザウラーの荷電粒子砲やブレードライガーのブレードなど、デフォルトで装備された武器もあるため、最低限の戦闘力は十分に確保できる。 **評価点 ''システム'' -実際にゾイドのコクピットに座って戦っているような臨場感が素晴らしい。 --筐体デザインはゾイドの頭部を模しており、家庭用限定版に付属したゾイド「インフィニティレオ」は筐体のミニチュアに組み替える事も出来る。 -アーケードのサービスは終了したが、多くのゾイドを題材にしたゲームが誕生した現在(2017年)になっても、ゾイドゲームの最高傑作と評価するファンも多い。 -照準システムが独特、かつサイドステップや急ブレーキなど攻撃前後の挙動もあり、対戦相手との駆け引きが非常に重要。鍔迫り合いをしているような緊張感が楽しめるだろう。 ''豊富な登場ゾイド'' -アニメにも登場して人気のコマンドウルフ、セイバータイガーやジェノブレイカーだけでなく、ゴジュラス、アイアンコングなど最終的に30以上のゾイドがプレイヤー機として使用可能になった。 --AC版は『EX』でアニメ『フューザーズ』のゾイド((バスターフューラーや(敵専用だが)セイスモサウルス等。ただしフューザーズゾイドは(色違いとバスターフューラーを除き)全てバトルストーリーに登場しているゾイドである。))、『EX PLUS』で『ジェネシス』のゾイド((ムラサメライガーとハヤテライガー(生憎、ムゲンライガーは追加されなかった)。))が追加された。 ---移植版の『フューザーズ』や『EX NEO』では、更に多数のゾイドが追加されている。 -装備に関しても、原作の時点でプラモデルとして立体化されている上にであらゆる武装に名称や用途が設定されているため、その殆どが再現武装となっている。 ''アニメからの登場人物'' -新録されたボイスも多く、アニメ本編ではあり得ない作品をまたいだクロスオーバー的な会話などもある。 -主人公≒プレイヤーが喋らないタイプだが、ライバル兼同僚のチャクト(CV:檜山修之)はよく喋り、場を盛り上げる。 ''ハイクオリティなBGM'' -タイトー開発ということもあり、BGMの制作はZUNTATAが担当。 --「OGR」こと小倉久佳氏がサウンドディレクターを努めた。氏がZUNTATA在籍時代に務めた最終期の作品でもある。 **賛否両論点 ''戦闘が平面に終始している'' -ゲームシステム上、機体及び武装の挙動に立体的な要素が殆ど無い --前ステップ入力によりジャンプが可能だが、一部の段差や障害物を跳び越えられる程度の高度しかない --各ステージの地形もあまり高度差の無いものになっており、登れる障害物といったものも殆ど存在しない --武装に関しても基本的にロック対象に直進するものばかりで放物線軌道で飛んでいくものは極僅か -僅かにある要素もシステムやゲーム性と相性が悪く利用されづらい --ジャンプ(前ステップ)には他のステップよりも高度がある代わりに慣性が失われやすいというデメリットがある ---殆どの機体の主力火器が肩や背中等に装備される都合、多少高度が上がった程度では躱せない位置にある ---足元に飛んでくるような弾なら飛び越えられるが、上記デメリットから敢えて上に避ける意味は薄い --上空から飛来する攻撃も存在するが実質専用武装1系統のみしかない。 ---障害物越しに攻撃できるメリットはあるが、ステージがランダムなのでそもそも利用できない可能性がある ---なお、他武装に比べ誘導性が優秀だったため『水平撃ち』するための研究が行われた -尤も原作が陸戦重視だったので仕方のないことではある -初期の最上位機体の1機であるライガーゼロ・フェニックスは固有能力として『滑空』((前ステップ入力+ブーストボタンで、ジャンプの頂点から文字通り滑空する))が可能~ EXへのバージョンアップ時に一部の原作で飛行可能だった他の機体も可能になった。 --『滑空』可能な機体はジャンプ高度が高く、これらの機体でようやく回避の択として機能する水準である ''攻め側不利によるタイムアップ'' -本作でのステップには誘導を切るといった効果は無く、敵機から発射された射撃はプレイヤーが機体を操作して回避しなければならない。そのため、射撃の誘導性能や弾速は(一部例外を除き)相応に設定されており、直進して突っ込んでくる相手でもない限りブースト移動している相手に射撃は基本的に当たらない。 -本作では(急ブレーキを使わない限り)ブースト終了時に硬直が存在しない代わりに、ブーストにはENゲージを要求するというシステムである。そのため回避のためにブースト移動を続けていればENが枯渇し隙を晒してしまう・・・はずなのだが。 --ステップ及びステップ中はENゲージを消費しない(ENは常時回復なので結果的に回復する)うえ、ステップ中は慣性に従って直進しか出来ないが旋回は可能。これを利用したステップ旋回と呼ばれる技術により、ENの消費を大幅に軽減してブースト時と同程度の速度と旋回を維持することが可能。 --そのためある程度の機動性(移動速度、慣性の乗り、旋回性能、ステップ性能)を持つ機体であれば、回避に徹すれば延々と逃げ続けれてしまう。 --もっとも、あくまで明確な隙を晒さない安定行動でしかなく、システム的に相手方向へ向かなければ(≒被弾のリスクを被らなければ)攻撃が出来ないこともあって、コレだけでは問題にはならず、むしろ基本的な操作テクニックと呼べるものではある。 --ロック外しによる偏差射撃やばら撒き武装で削る方法も存在するが、回避側も使える手段でしかなくその上で自動回復効果のオプションを積むなど徹底されると機動力で劣る機体では延々と勝ち目のない追いかけっこを続けることになる。 -ステージやカスタマイズによっては、高防御と瞬間火力に優れる籠城側に対して、高機動側が攻めを強要されるという展開もあり一概に高機動側が有利というわけではない。 -結果的にリスクを嫌った立ち回りをしていると戦闘時間が間延びし易く、さりとてリスク承知で攻めに行ってもリターンが取れなければその後は無理にでも攻めるしかなくジリ貧に陥ってしまうため、対戦カードによってはタイムアップ付近まで戦況が硬直することも少なくなかった。 -全機体に備わっているハイリスクハイリターン攻撃である格闘攻撃がシステム的に実用性が低かったことも影響している。~ 端的に言えばリスクリターンが釣り合っておらず、あえて格闘を振りに行く旨味に乏しい。 --格闘間合いまで接近する際の被弾のリスクが無視できないレベルで高い。 ---システム的に横移動や咄嗟の方向転換が難しく、接近するだけ回避が困難になる。 ---仮に接近して格闘を当てたとしても格闘のダメージは2000前後。主兵装となるような射撃武器ならば同等の威力があり火力の優位性は無い。 ---極端な例を挙げれば正面火力に特化した機体が後述の接射を用いた場合、4000を超えることもある。 ---ポピュラーな汎用武装である8連装ミサイルポッドでばら撒かれたミサイルを1発貰っても400ダメージである。 --ブースト移動してる敵機に振って当たる格闘は全機体通してみても極少数であり格闘を主軸に戦える機体自体が稀である。 ---実用的なのはブレードの様な移動しながら使用可能な特殊武装の類。 ---純粋な格闘では、敢えて断定的な書き方をするならば、ジェノザウラー系のステップ格闘以外では格闘を主軸とした戦いは不可能と言っても過言ではない。 --発動前後の隙などカバーの難しい要素もあるため、近距離で戦う機体であっても格闘ではなく接射((一瞬だけ射角を逸らしたり、ブーストやステップにより格闘を発生させないことで格闘間合いでも射撃が可能))が主流。 ---格闘の出番は近距離でダウンを奪った場合の追撃用途というのが実情。火器と違い弾数やENの制約もなく接射テクにより併用も可能。 ---ブレードですらも「ブレードを一瞬展開して格闘を振るとブレードのダメージを上乗せできる」というテクにより追撃に用いられる。 --どうしても格闘に頼らざるを得ないほど射撃武装が少ない機体も殆どおらず、格闘機が総じて高機動機体であるため何だかんだ射撃戦が可能であった。 ''機体使用条件の緩和'' -無印からEXへの大型アップデートによって乗り換え・使用条件が変更された機体が多数存在する。 --大きなところでは『ライガーゼロ・フェニックス』『バーサークフューラー』が初期機体に変更された。~ これは『フューザーズ』機体の追加に伴って同作の主要機体を使用し易くする狙いがあったと思われる。 --しかし『ライガーゼロ・フェニックス』は『エナジーライガー』と並んで最終機体とされていた機体である。~ それがまさかの初期機体への変更(悪く言えば降格)であり、苦労して手に入れたり目標としていたプレイヤーは思うところもあったであろう。 -乗り換え条件が緩和されたことで多様な機体に手を出しやすくなった面は確かに存在する。 **問題点 ''がっかりなボス戦'' -デススティンガーを除いたボスキャラ(ウルトラザウルス、デスザウラー、セイスモサウルス)との戦闘が酷い。 --これらの敵とは専用の円形MAPでの戦闘となっており、ボスキャラはその中央にある昇降する足場から攻撃を行う。 早い話が身動きしない固定砲台であり、ボスの足場へは渡ることが出来ないため対岸から射撃を撃ち込むことで撃破する。 --ボス側の攻撃は相応に激しく格闘判定の衝撃派も織り交ぜてきたりと緊迫感が無い訳では無いものの、強大な敵との激しいぶつかり合いを期待したユーザーは肩透かしを食らう事請け合い。 ---ボスに接近できないためブレードアタックやファイブレード・ストームといった近接攻撃最大の見せ場はない。 ---近接攻撃特化タイプのゾイドで戦った場合、勝つことは不可能では無いが撃破に時間が掛かるため、高ランククリアは困難である。 ---また、この戦闘に限って言えば上級者であっても攻略法は殆ど変わらず搭載火器の火力のみがモノを言う。作業と言っても過言ではない。((ボス側の射撃の切れ間に射撃を撃ち込み、攻撃が再開される前に回避の繰り返し)) --デススティンガーとの戦闘で存在した、位置取りや、接近戦をするタイミングを含めた駆け引き要素などは皆無である。 --なまじデススティンガー戦の出来が良かっただけに、非常に悔やまれる部分である。 ---もっとも、アニメ同様100メートル越えの巨大ゾイドに接近戦を挑んでも、立体的な機動の困難な本作では足首を切りつけるくらいしかできなかった可能性はあり、それはそれで画的に退屈な戦闘になっていたかもしれない。 &bold(){機体の乗り換え} -初期から選択できる機体以外へは機体の乗り換えという形式で移行するのだが、これにはかなりの制約が存在する。 --まず、ゲームシステム的な制限として乗り換え元の機体から乗り換え可能な機体は分岐することはあれど固定されている。~ また、機体の乗り換えには専用のアイテムが必要となり、乗り換え条件となる階級を満たしている必要がある。((階級は戦績やポイントによる)) ---乗り換えアイテムのドロップには所属国家や使用機体による偏りは無く、自分の機体から乗り換えすることが不可能なアイテムもドロップする。 ---乗り換える前の機体に戻す場合にもその機体に対応したアイテムが必要となる。そもそも初期機体7機の内、戻すための乗り換えアイテムが存在するのは2機しかいない。 --そして乗り換えを行う際には''機体の登録されているICカードを更新する必要がある''。つまり有料である。~ 上記、そして下記の様な難点があるにも拘らず、気軽に行うことも戻すこともできないシステムとなっている。 -システム上は上位機体への乗り換えとなっているものの、完全上位互換となりうるパターンは少ない。 --参戦機体の都合から、順当に後継機へと乗り換えが可能な組み合わせは殆ど存在していないという事情もあるにはある。~ このあたりが明確に判別できる様な機体に関してはしっかりと乗り換えが可能になっている。((ゴジュラス⇒ジ・オーガ、ライガーゼロ⇒各換装機など)) --逆にそれ以外の機体の場合、乗り換え前後の機体に関連性があまりなく、所属国家の枠さえ超えて乗り換える場合もある。 ---例えば、帝国ゾイド「レッドホーン」の乗り換え先の機体は「ダークホーン」では無く、共和国ゾイド「ディバイソン」となっている。 ---二脚、四脚といった縛りも無く、全く成り立ちの異なるブロックスゾイドへの乗り換えなどもある。 ---このため著しく操作性が異なる機体に乗り換える場合もあり習熟に苦労することもある。~ また、装備可能な武装がガラリと変わってしまい、乗り換え後に装備できる武装基本装備しかないといった事も有り得る。 --たとえステータスの総合値が高くなっていても実際の戦闘で強いかどうかは別の話なのがアクションゲームである。~ まして、愛着のある機体・武装からは易々と乗り換え難いという感情もある。 ---「設定上では強機体だが、ゲーム内では弱機体」というのは本作に限らずままあることだが……。 -最終的にEXPlusでのアップデートで機体の種類による制約は無くなり、階級を満たしていれば乗り換え可能となった。 ''初心者狩り'' -対戦ゲームで初心者狩りが存在するのはある程度仕方のない事ではある -しかし本作では最終機体であるエナジーライガーの解放条件の一つに『階級が准将以上であること』が存在する --この准将という階級には『対人戦500戦以上で勝率5割以上』という戦績が必要であったため、手っ取り早く対戦数を稼ぎつつ勝率をキープ、あるいは引き上げる為の初心者狩りを助長してしまった。 ''高性能な追加機体'' -ゲームという商品の性質上仕方のないことであり多くのゲームに共通することだが・・・ -やはり本作においても一部機体、一部武装が突出して高いという事態が発生した。ここでは2つの例を紹介。 --''凱龍輝'' ---専用武装の弾速と衝撃値が異常に高く、回避が非常に困難な上に当たれば確定でダウンを取られてしまう ---一度ダウンを取られると機動力で劣る機体は起き攻めで延々とダウンを奪われ続けるハメが成立してしまう ---凱龍輝自身の機動力も十分にあるため高機動機と言えど完全に逃げ切ることは困難 ---ビーム兵器(基本的に高弾速であり高機動へのアンチ武装)を軽減する機体特性で不利が付きにくい --''ブラストルタイガー'' ---ミサイル系武装最上位の誘導性を持つAZ6連装ミサイルが障害物がない限り回避不能の凶悪な性能 ---それ以外の武装も軒並み性能が高い上に『専用武装』なので他機体は装備できない ---そして特殊技『サーミックバースト』はその全武装を''リロード状況に関わらず''フルバーストする~ 特殊な発動条件も無く、個々の武装の弾数を消費せず、前後の硬直も少ない ---高性能な索敵能力で殆どのステージで開幕位置から既に射程距離に収めている ---CPU戦なら『サーミックバースト』を連射するだけで10秒程度で終わるレベルである~ 大型ボス相手であっても真正面から撃ち合って10秒程度で終わる~ 対人戦でも対策が出来ていなければ10秒程度で終わりかねない~ 対策が出来ていても無被害とはいかない ---速度では最速機体2機には及ばないものの挙動もトップクラスに軽快、それに加え装甲まで硬い。~ 普通に戦っても純粋に強く、事実『サーミックバースト』に下方修正が入っても評価は揺るがなかった ''アップデート、バランス調整への不満'' -既存機体へのアップデートの方向性が優劣問わず尖っていた性能をマイルド化する方向性であることが多かった。 --乗り慣れた機体が下方修正され、そこに前項の強力な追加機体が投入される形になったため余計に不満を煽ってしまった面もある。 --無印からEXへのアップデートでステップ後の硬直等に調整が入り全体的なゲームスピードが低下した。~ 前項の強機体の武装以外にも衝撃値が高い武装が追加されダウンしている時間が増えたこともあって、~ アップデートと言いながらも『ゾイドを思い通りに動かす』という最大の魅力は発揮できなくなっていった。 ''トレード機能の仕様とトレード詐欺'' -ゲーム全体を通して装備&使用制限が非常に仕様でありながら、トレード機能が非常に不親切な設計となっている。 -筐体やカスタマイズベンダーにはトレード機能が存在せず、公式サイト「ゾイドベース」でしか行えない。 --「ゾイドベース」は月額制の会員有料サイトである。~ ICカードのシリアルNoを登録することでベース(基地)にゾイドを登録することができる。~ 登録ゾイドのカスタマイズの他、所持アイテムをベース側の保管庫とやり取りが可能。 --ベース未登録であれば相手にシリアルNoを教えて同ベースに登録してもらえばアイテムのやり取りは可能である。~ 自分のデータを相手に渡すようなものなので余程仲の良い知人同士でもない限り成立しない。 -機能として存在するのは他ゾイドベースへのアイテム送信のみであり厳密には「トレード機能」は存在しない。~ 「送信」しかできないため信用取引とならざるを得ず、アイテムの持ち逃げ等の詐欺行為が当時掲示板で頻発してしまった。 -なお、当時はスマホなど影も形もないので、ゲームセンターでトレード交渉が成立しても帰宅しないとトレードできなかった。 **総評  3D対戦アクションゲームとしての完成度は高い。ゾイドという原作の存在を別にしても、広く勧められる良作と言える。 対人戦や各ゾイドの能力のバランスに若干の問題はあるが、ある意味原作再現なので仕方が無い一面と言える。&br()  一方で、各ゾイドや武装を細かく見ていくと、その性能も原作に忠実とは言い難いところもある(でないとコマンドウルフでデスザウラーの撃破は不可能である((バトルストーリーで勝ったこともあるが、あくまでも作戦勝ちであって、正面切って戦ったわけではない。)))。その点は原作設定を重視する人には不満なところだろうが、1on1かつコストの概念の無い対戦ゲームという特性上、やたらと原作にこだわってバランスを崩壊させるわけにもいかなかったのだろう。&br()  そういった細かい問題はあるものの、ゲームとしての出来が今一つだった[[ZOIDS VS.]]と比較して非常に優れた「ゾイドのアクションゲーム」である点は高く評価できる。一体感の高い筐体、息詰まる駆け引きのあるバトルなど、多くのゾイドファン待望の作品だったといっても過言ではない。 選出ゾイドのミーハーさや、挙動・性能の細部はコアなゾイドファンにはやや不満ではあったかもしれないが、そこを踏まえてもゾイド史に残る良作と断言して間違いないだろう。 ---- **移植 -2005年にPS2版『ゾイドインフィニティ フューザーズ』が、2006年にXbox360版の『ゾイドインフィニティEX NEO』が発売された。 --アーケード版では移植版発売後も更新が入っており『ジェネシス』のゾイドも登場するようになったが、家庭用ゲーム機にオンラインアップデートが存在しなかった時代なので、『EX』時点の移植であるPS2版には『ジェネシス』の機体が登場しない。 -『ゾイドインフィニティ フューザーズ』には従来のアーケードモードに加え、当時放映されたアニメのストーリーに沿ったオリジナルのストーリーモードが追加されている。 --端的に言えばこの部分の造りは悪く、AC版の良さを潰している部分が多い。 ---元々の1on1対戦アクションのシステムをそのまま使って、護衛ミッションなどを行うのだから当然と言えば当然である。 ---実績や機体入手の条件などには開発時に想定されていなかったであろう『クリアランク』等の要素が絡んでおりあまりバランスが良いとは言えない。 -移植版には2P対戦可能なVSモードも存在する。 --画面が上下二段に分かれ、当時の家庭用テレビのサイズを考慮した地面とほぼ並行のカメラアングルになっている。そのため、ゾイド自身が正面の視界を遮る形となり、お世辞にも見えやすいとは言いがたかった。 --このカメラアングルは、なぜかストーリーモードの方でも採用されており、ストーリーモードの大きな不満点の一つである。
*ゾイドインフィニティ (AC) 【ぞいどいんふぃにてぃ】 *ゾイドインフィニティEX (AC) 【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす】 *ゾイドインフィニティEX PLUS (AC) 【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす ぷらす】 *ゾイドインフィニティ フューザーズ (PS2) 【ぞいどいんふぃにてぃ ふゅーざーず】 *ゾイドインフィニティEX NEO (360) 【ぞいどいんふぃにてぃ いーえっくす ねお】 |ジャンル|アクションゲーム|&amazon(B0006MQ1KA,image);&amazon(B000E3WPWE)| |対応機種|アーケード(SYSTEM246)&br;プレイステーション2&br;Xbox360|~| |発売元|トミー(EX PLUS以前)&br;タカラトミー(EX PLUS/EX NEO)|~| |開発元|タイトー、翔泳社|~| |稼働開始日【AC】|2004年6月24日|~| |発売日|【PS2】2005年2月17日&br;【360】2006年3月30日|~| |定価|【PS2/360】6,800円(税別)|~| |廉価版|【PS2】トミコレ・ベスト&br;2007年3月29日/2,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ファン納得のゾイドによる3D対戦ゲーム|~| |>|>|CENTER:''[[ゾイドシリーズ・関連作品リンク>ゾイドシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 タカラトミーの玩具「ゾイド」を題材にしたツインスティック操作による3D対戦アクションゲーム。~ 『[[ZOIDS VS.シリーズ>ZOIDS VS.]]』では不完全燃焼であった「3Dアクションでゾイドを動かしたい」というファンの願いが叶った作品。~ AC版は専用筐体による高い臨場感を有し、人型ロボットを扱った同系統作品とはまた違った独特の戦闘と操作感を楽しめる。~ 数度に分けてバージョンアップが繰り返され、バランス調整と共にシナリオやゾイドの追加が行われた。~ 音楽は[[ダライアス>ダライアスシリーズ]]などの作曲でも有名なZUNTATAが担当。 ストーリーは原作であるバトルストーリー寄りだが本作オリジナルのものとなっている。((後に、本作オリジナルキャラクターが正史側の別作品に登場したが、同一人物とは明言されていない。))~ 正史との大きな違いはヘリック共和国、ガイロス帝国、ネオゼネバス帝国の三国が独立勢力として対立している点などがある。~ 三国にとって因縁の地である『ニカイドス島』に、主人公が任務で訪れるところから物語は始まる。 ---- **特徴 ''専用筐体及びツインスティックによる臨場感のある戦闘'' -対戦形式は基本的に1on1。1ラウンド99秒。耐久値とEN((ブーストや各種武装で消費する))は全機体共通で10000。 -筐体や対戦形式など[[バーチャロンシリーズ>電脳戦機バーチャロン]]を彷彿とさせる所もあるがプレイ感覚はかなり異なる。 -基本操作 --コントローラーはツインスティック+4ボタン(加えてコンパネ中央の決定ボダン)。 ---親指部分にブーストボタン、人差し指部分に武装トリガーが配置されている。 ---アニメ版ゾイドのオーソドックスなコックピットがツインレバー式であった((所属国家問わず陸戦機体の殆どがこの形式))ためその再現という面もある。 --基本操作はどちらかのスティック1本で行い、特殊な動作を行う時に2本目を補助的に使う特徴的な形式。~ 公式紹介によれば「右利き・左利き問わず違和感なくプレイしてもらうため」というのが理由である模様。 --左右どちらかのスティックを前後に倒すと移動。前進にくらべ後退動作はかなり遅い。~ 横に倒すと横移動ではなく旋回を行う。斜め前に入力すれば前進+旋回することができる。 --2本を同じ方向に倒すとステップを行う。ステップは4方向((慣性を引き継ぐため斜め方向への移動も可能))((左右ステップ・前後ジャンプが公式での呼称))であり、横ステップは本作でも可能な横移動。 ---先述のバーチャロンシリーズとの基本操作に於ける大きな違いであり、双方のプレイヤーが触れた際に最も戸惑う要素。 --ブーストボタンを押すことでENゲージを消費してブーストによる加速ができる。加速方向は前方のみ。 ---通常移動では攻撃の回避は難しいため、基本的にブーストとステップを駆使して移動・回避を行う。 ---ENは時間により回復していくが使い切るとシステムダウンとなり全回復するまでENを使った行動が一切不能になる。 --ダッシュ中に左右のレバーを内側に倒すと急ブレーキと同時に相手の方向に向くハイパーブレーキと呼ばれる動作を行う。~ 視角外の敵を捕捉し直すのに役立つが機体が停止するため、攻撃の回避が難しい最も判り易い隙でもある。((ステップにより中断できるが慣性の乗っていないステップでは回避は難しい)) -ステップがあるとはいえ前進移動を基本とし、人型をしていないといった点からゾイドの操作感覚はむしろ自動車に近い。 -カメラは自機後方から見下ろす三人称視点で固定されており、敵機の捕捉は自身で行わねばならない。~ 画面構成なども含めるとTPS的な色合いもやや強め。[[アーマード・コアシリーズ]]を思い浮かべるプレイヤーもいた。 -ゾイドの耐久力は他の同タイプのゲームと比較して高めに設定されており、初心者でもワンプレイをそれなりに長い時間楽しみやすい ''攻撃・防御'' -武器は右武器2種類、左武器2種類、中央(同時押し)武器1種類の計5種類まで搭載できる。ゲージは全て独立している。 --2種類ある右左武器の武器の切り替えは左右のブーストボタン同時押しで行う。片方だけ切り替えると言うのは不可能。 --射撃系武装は大きく実弾系とEN系に分かれている。 ---実弾系は武装自体に弾数が設定されており、撃ち切ってしまうと使用できなくなるというデメリットがある。 ---EN系には弾数の制約は無いが、ENを消費して射撃を行うためEN管理が難しくなるデメリットがある。 -バーチャロンと同じく、一定以内の距離だと自動的に格闘攻撃に切り替わる。 --格闘距離に入るとロックカーソルが赤色に変化する。格闘距離は機体によって異なる。~ また、この状態では横ステップが敵機体を中心とした円弧の軌道になる。((敵の正面で横ステップすると的側面へ回り込む軌道になる)) --ブーストボタンを同時押しすることで格闘間合い内でも射撃武装は使用できる。 --左右のトリガーがそれぞれ左右の格闘に対応しているのに加え、ステップ中に入力することでステップ格闘に変化する。~ 中央武装に相当するものも2種類存在し、通常時は後述の投げ技となり、ジャンプ中に入力することでジャンプ格闘に変化する。~ 合計6種と種類が多くそれぞれに性能も異なる。((左右の格闘に性能差が無い機体や、一部格闘が存在しない機体も存在する。)) --移動中の敵機に振って当たる格闘は殆ど無く攻撃前後に隙を晒すこともあり非常にリスクが高い。格闘を主軸に戦える機体は極少数。 -やはりバーチャロンと同じくレバーを内側に倒す事で格闘のみをガード出来る。 --各武装には内部硬直が設定されており、この硬直中にはガードが出来ない。 --ガード成立時に完全に停止することと、入力自体がハイパーブレーキと同じであることからその後の回避行動が難しくなる。 --バーチャロンとの違いとして防御不能の投げ技に相当する技が全ゾイドに存在する。~ 独特のエフェクトで判別でき、誘導は強いものの間合いは短いため離脱は容易だったりする。~ 通常格闘では転倒させられないデススティンガーをも転倒させる事もできる。 ---アニメ版シールドライガーの必殺技であるシールドアタックはこの分類。ブレードライガーもシールドアタックを使う。 -主軸とはし難いとはいえ、格闘が基本だけで6種もあるため仕掛けるにも対応するにも判断が難しい。 --人型ロボットにおける『剣で斬りつける』様な共通化されたモーションが少なく機体ごとの差異が非常に大きい。 --格闘をガードさせて射撃を当てる、射撃を回避してガード不能中に格闘を当てる、格闘を回避して硬直中に攻撃を仕掛ける、とにかく離脱する等、近距離距離での駆け引きはこのゲームの醍醐味とも言える。 -一部機体はレバーを外側に倒して武装ボタン同時押しをすることで独自の特殊武装が発動する。 --コマンド以外にも条件付きであることが多く、デメリットも付加されている場合が多い。 --代表的なものでは、ブレードライガー等のブレード持ち機体はこれによってブレードを展開し格闘判定を出したまま移動が可能になる。~ ブースト中にしか使用できず、展開中はブースト以上にEN消費を消費し続け、ブーストよりも速度が上昇するという具合。 --ブレードの様な加速突進系の他には全ENを消費する全弾発射系や極めて威力の高い近接距離限定の投げ系などがある。 --なお、アニメ版で猛威を振るった荷電粒子砲だが本作では通常の射撃武装であり特殊武装ではない。 ---それどころか、キャパシティが重く、実戦での命中が期待できないこともあって(本来固定武装のはずだが)装備されないことも多々ある。 ---とはいえ、その威力は全武装中最高クラスで、シールドでの防御は出来ないし稀に壁を貫通することもあるあたりは流石と言ったところか。 ''所属国家という概念'' -へリック共和国・ガイロス帝国・ネオゼネバス帝国のうちから所属国家を一つ選択してゲームを開始する。 --ストーリーモードでの敵機体の傾向が若干異なる程度で大きく差の出る要素ではない。 --明確に難易度に差があるわけではないが、初心者の内は単純に火力のある機体が脅威となるため影響を大きく感じ易い。 --ライバル兼相棒の『チャクト』は主人公と同国家所属、ヒロインの『カノン』やラスボスの『ザルカ』は無所属と、ゲームオリジナル人物の動向には国家要素が影響しないストーリーである。 --所属国家によって使用機体が制限されたりアイテムのドロップ率が変わるといった要素はない。 --ゲームや後述のベンダーのデモ画面などでは国家別の勝敗やBPランキングなどが表示される。 ''キャラクターゲームとしての側面'' -AC版の稼働がアニメシリーズ3~4作目の放映時期にあたることもあって、アニメシリーズの登場人物が多数登場する。 -「ゾイドサーガ」等の他ゲームシリーズの登場人物まで選択できる。一部はプレイヤーの行動に合いの手を入れることも。 --単に敵キャラクターとして登場するだけで無く、ゾイドの能力を変化させる相棒キャラクターとしても設定できる。 -オリジナルの登場人物(と言っても3人しかいないが)にも人気声優や実力派声優が担当するなど、かなり力が入っている。 --アーケード版のオリジナルキャラクター担当声優は、田村ゆかり、檜山修之、郷里大輔と錚々たる顔ぶれである。 -流石に声やグラフィックは存在しないが、バトルストーリーの登場人物も名前のみだが登場する。 ''ICカードを用いたプレイデータの記録'' -筐体とセットで配置されている専用端末「カスタマイズベンダー」でICカードを購入し使用ゾイドを登録できる。 --このカードにはプレイヤーの戦績・BP(バトルポイント。主にゾイドカスタマイズに使用する)・所有ゾイド・その他ゲームの進行情報が記録される。 ---カードの使用可能回数は100回で、使い切った場合も引継ぎは可能。また、最終プレイ日時から60日が経過するとカード情報自体が無効になり、更新も不可能となる。 --カードなしでのプレイも可能だが、当然戦績は記録されないので、初期ゾイドしか選べないうえ、カスタマイズも不可能。ストーリーモードも進行できない((本作は1コインでストーリーが完結しないため))。 ''ゾイドカスタマイズ'' -100を越える多くの武装が存在し、自分だけのオリジナルゾイドを製作できる。 -武装を変更すれば外見にもしっかりと反映され、機体カラーリングの変更なども可能。 --アニメやバトストと同一の装備をするも良し、勝ちに拘ったカスタマイズにするも良し。 --高圧濃硫酸噴射砲、三連電磁砲、マクサービームキャノンなどバトルストーリー設定そのままの武器が殆ど。~ 初期装備で揃うものもあるが強化改修機などまで含めれば原作再現が捗るだろう。 -機体数と武器数から武器の組み合わせは非常に幅があり、プレイヤー毎にオンリーワンなゾイドを使うことになる。 --所謂ガチ装備となればある程度は固定されてしまうが、武装ごとにかなりの差異が存在しそれが勝敗を分けることもある。 ---単純な『ダメージ値』の他に、高い程ダウンを奪い易くなる『衝撃値』、防御力の影響を受けにくくする『貫通力』等々、武器ごとにかなり細かく設定されている。厄介なことに多くがマスクデータであるため、実際に使用感を確認することが重要となる。 ---同じ『8連装ミサイルポッド』でも装備した機体によって同時発射型と連続発射型で分かれていたり、装備場所によって射角に差が出たりといった影響が発生する。 ---武装の追加アップデートもされており、総弾数を犠牲に1発あたりの威力を向上させた強化型や、実弾⇔ENの属性が変更されたバージョン等が追加されたりしている。 --ただし、ゾイド毎に搭載可能キャパシティという物もあり、際限なく好きな武装が可能なわけでは無い。 ---キャパシティを超えての搭載も可能だが超過量が増えるほどゾイドの運動性能が悪化する。~ 特にブーストに武装にと攻守両面で用いられるEN回復速度が落ちるのは致命的。1on1という対戦形式であれば猶更。 ---元々のEN効率が良好な機体で実弾主体にカスタマイズするなど、それこそプレイヤー次第ではある程度は許容範囲というスタイルもあった。 ---残念ながら武装のパージというシステムが無いため、それを前提に過積載で出撃という戦法は存在しなかった。 -武器の他、ゾイドの機能を様々に強化させるオプションも設定できる。 --わかりやすいもので言えば装甲やレーダーの強化。ただしオプションは外見には反映されない。 --デメリット付のものも存在する他、全体的に使用キャパシティが高めに設定されている。 --一部の登場人物などもこの枠に存在し各種能力を向上させてくれる。((ゾイドの潜在能力を引き出す設定を持つ古代ゾイド人やオーガノイド、戦闘補助AIなど)) ''巨大ゾイド'' -ゾイドのアニメでは原作設定((ゾイドはプラモキット付属の「バトルストーリー」が原作(故に原作:タカラトミー)であり、アニメの方が派生作品である。))よりも遙かに巨大な姿のゾイドが多数登場したが、本作でも巨大ゾイドがストーリーモードのボスキャラとして登場する。 --ただしアニメ版程の理不尽なサイズには巨大化しておらず演出の範囲と言えなくもない。 --最初のボスであるデススティンガーは、広大なはずの戦闘フィールドが狭く感じるほど軽快に走り回り、様々なアクションを見せてくれる。 ---近寄ればハサミによる近接攻撃やジャンプしてからの全周囲攻撃を行い、離れれば高誘導ショックカノンや極太の荷電粒子砲を使ってくる強敵。 &bold(){収集ゲーム要素} -相棒や武器は、戦いの中でランダムに入手したり、実績を稼ぐことで手に入れることができる。 --強力な武器、原作再現するための特殊な武器など望み通りのゾイドをカスタマイズするのは大変だが、集める楽しみもある。 --たとえ所有する武器が少なくても、ジェノザウラーの荷電粒子砲やブレードライガーのブレードなど、デフォルトで装備された武器もあるため、最低限の戦闘力は十分に確保できる。 **評価点 ''システム'' -実際にゾイドのコクピットに座って戦っているような臨場感が素晴らしい。 --筐体デザインはゾイドの頭部を模しており、家庭用限定版に付属したゾイド「インフィニティレオ」は筐体のミニチュアに組み替える事も出来る。 -アーケードのサービスは終了したが、多くのゾイドを題材にしたゲームが誕生した現在(2017年)になっても、ゾイドゲームの最高傑作と評価するファンも多い。 -照準システムが独特、かつサイドステップや急ブレーキなど攻撃前後の挙動もあり、対戦相手との駆け引きが非常に重要。鍔迫り合いをしているような緊張感が楽しめるだろう。 ''豊富な登場ゾイド'' -アニメにも登場して人気のコマンドウルフ、セイバータイガーやジェノブレイカーだけでなく、ゴジュラス、アイアンコングなど最終的に30以上のゾイドがプレイヤー機として使用可能になった。 --AC版は『EX』でアニメ『フューザーズ』のゾイド((バスターフューラーや(敵専用だが)セイスモサウルス等。ただしフューザーズゾイドは(色違いとバスターフューラーを除き)全てバトルストーリーに登場しているゾイドである。))、『EX PLUS』で『ジェネシス』のゾイド((ムラサメライガーとハヤテライガー(生憎、ムゲンライガーは追加されなかった)。))が追加された。 ---移植版の『フューザーズ』や『EX NEO』では、更に多数のゾイドが追加されている。 -装備に関しても、原作の時点でプラモデルとして立体化されている上にであらゆる武装に名称や用途が設定されているため、その殆どが再現武装となっている。 ''アニメからの登場人物'' -新録されたボイスも多く、アニメ本編ではあり得ない作品をまたいだクロスオーバー的な会話などもある。 -主人公≒プレイヤーが喋らないタイプだが、ライバル兼同僚のチャクト(CV:檜山修之)はよく喋り、場を盛り上げる。 ''ハイクオリティなBGM'' -タイトー開発ということもあり、BGMの制作はZUNTATAが担当。 --「OGR」こと小倉久佳氏がサウンドディレクターを努めた。氏がZUNTATA在籍時代に務めた最終期の作品でもある。 **賛否両論点 ''戦闘が平面に終始している'' -ゲームシステム上、機体及び武装の挙動に立体的な要素が殆ど無い --前ステップ入力によりジャンプが可能だが、一部の段差や障害物を跳び越えられる程度の高度しかない --各ステージの地形もあまり高度差の無いものになっており、登れる障害物といったものも殆ど存在しない --武装に関しても基本的にロック対象に直進するものばかりで放物線軌道で飛んでいくものは極僅か -僅かにある要素もシステムやゲーム性と相性が悪く利用されづらい --ジャンプ(前ステップ)には他のステップよりも高度がある代わりに慣性が失われやすいというデメリットがある ---殆どの機体の主力火器が肩や背中等に装備される都合、多少高度が上がった程度では躱せない位置にある ---足元に飛んでくるような弾なら飛び越えられるが、上記デメリットから敢えて上に避ける意味は薄い --上空から飛来する攻撃も存在するが実質専用武装1系統のみしかない。 ---障害物越しに攻撃できるメリットはあるが、ステージがランダムなのでそもそも利用できない可能性がある ---なお、他武装に比べ誘導性が優秀だったため『水平撃ち』するための研究が行われた -尤も原作が陸戦重視だったので仕方のないことではある -初期の最上位機体の1機であるライガーゼロ・フェニックスは固有能力として『滑空』((前ステップ入力+ブーストボタンで、ジャンプの頂点から文字通り滑空する))が可能~ EXへのバージョンアップ時に一部の原作で飛行可能だった他の機体も可能になった。 --『滑空』可能な機体はジャンプ高度が高く、これらの機体でようやく回避の択として機能する水準である ''攻め側不利によるタイムアップ'' -プレイヤーの研究により作品特有の基本テクニックが生まれるのはアクションゲームの常である。~ 本作においても''ステップ旋回''と呼ばれる必須テクニックが生まれ、戦闘の高速化が進行していった。 -本作では敵機から発射された射撃はプレイヤーが機体を操作して回避しなければならない。 --当然、射撃の誘導性能や弾速は(一部例外を除き)ある程度回避可能なレベルに調整されており、直進して突っ込んでくる相手でもない限りブースト移動している相手に射撃は基本的に当たらない。 --ブーストはENゲージを消費するためブースト移動を続けていればENが枯渇し隙を晒してしまう。そのため、延々と回避行動を続けることはできない。~ 一方で、攻撃側もリロード状態、弾数やENの残量、捕捉の為の移動など攻撃を延々と続けることはできない。~ このジレンマによって攻守の入れ替わりや互いの隙を伺い行動を読む必要が生まれる・・・はずだった。((実際、NPCはプレイヤー機体のブレーキ等の硬直に反応して攻撃を仕掛けてくる傾向にある。)) -しかしENの消費を大幅に軽減する''ステップ旋回''というテクニックの誕生により実質的にブーストの切れ間が存在しなくなり、移動しながらの敵の捕捉も可能となるため常にブーストで移動し続ける機動戦の趣が強くなった。 --ステップ及びステップ中はENゲージを消費しない((ENは常時回復なので結果的に回復する))うえ、ステップ中は慣性を引き継ぐためブースト時と同程度の速度で直進する。また、ステップによって進行方向は横へ逸れてしまうが、ステップ中に旋回入力することで軌道を調整する。これらを断続的に行うのがステップ旋回と呼ばれる技術。 --ある程度の機動性(移動速度、慣性の乗り、旋回性能、ステップ性能)を持つ機体であれば、回避に徹すれば延々と逃げ続けれてしまう。機体によっては地上にいる時間の方が少ないレベルで常に跳ね続けている。 --もっとも、あくまで明確な隙を晒さない安定行動でしかなく、システム的に相手方向へ向かなければ(≒被弾のリスクを被らなければ)攻撃が出来ないこともあって、コレだけでは問題にはならず、むしろ基本的な操作テクニックと呼べるものではある。 --ロック外しによる偏差射撃やばら撒き武装で削る方法も存在するが、回避側も使える手段でしかなくその上で自動回復効果のオプションを積むなど徹底されると機動力で劣る機体では延々と勝ち目のない追いかけっこを続けることになる。 -ステージやカスタマイズによっては、高防御と瞬間火力に優れる籠城側に対して、高機動側が攻めを強要されるという展開もあり一概に高機動側が有利というわけではない。 -結果的にリスクを嫌った立ち回りをしていると戦闘時間が間延びし易く、さりとてリスク承知で攻めに行ってもリターンが取れなければその後は無理にでも攻めるしかなくジリ貧に陥ってしまうため、対戦カードによってはタイムアップ付近まで戦況が硬直することも少なくなかった。 -全機体に備わっているハイリスクハイリターン攻撃である格闘攻撃がシステム的に実用性が低かったことも影響している。~ 端的に言えばリスクリターンが釣り合っておらず、あえて格闘を振りに行く旨味に乏しい。 --格闘間合いまで接近する際の被弾のリスクが無視できないレベルで高い。 ---システム的に横移動や咄嗟の方向転換が難しく、接近するだけ回避が困難になる。 ---仮に接近して格闘を当てたとしても格闘のダメージは2000前後。主兵装となるような射撃武器ならば同等の威力があり火力の優位性は無い。 ---極端な例を挙げれば正面火力に特化した機体が後述の接射を用いた場合、4000を超えることもある。 ---ポピュラーな汎用武装である8連装ミサイルポッドでばら撒かれたミサイルを1発貰っても400ダメージである。 --ブースト移動してる敵機に振って当たる格闘は全機体通してみても極少数であり格闘を主軸に戦える機体自体が稀である。 ---実用的なのはブレードの様な移動しながら使用可能な特殊武装の類。 ---純粋な格闘では、敢えて断定的な書き方をするならば、ジェノザウラー系のステップ格闘以外では格闘を主軸とした戦いは不可能と言っても過言ではない。 --発動前後の隙などカバーの難しい要素もあるため、近距離で戦う機体であっても格闘ではなく接射((一瞬だけ射角を逸らしたり、ブーストやステップにより格闘を発生させないことで格闘間合いでも射撃が可能))が主流。 ---格闘の出番は近距離でダウンを奪った場合の追撃用途というのが実情。火器と違い弾数やENの制約もなく接射テクにより併用も可能。 ---ブレードですらも「ブレードを一瞬展開して格闘を振るとブレードのダメージを上乗せできる」というテクにより追撃に用いられる。 --どうしても格闘に頼らざるを得ないほど射撃武装が少ない機体も殆どおらず、格闘機が総じて高機動機体であるため何だかんだ射撃戦が可能であった。 ''機体使用条件の緩和'' -無印からEXへの大型アップデートによって乗り換え・使用条件が変更された機体が多数存在する。 --大きなところでは『ライガーゼロ・フェニックス』『バーサークフューラー』が初期機体に変更された。~ これは『フューザーズ』機体の追加に伴って同作の主要機体を使用し易くする狙いがあったと思われる。 --しかし『ライガーゼロ・フェニックス』は『エナジーライガー』と並んで最終機体とされていた機体である。~ それがまさかの初期機体への変更(悪く言えば降格)であり、苦労して手に入れたり目標としていたプレイヤーは思うところもあったであろう。 -乗り換え条件が緩和されたことで多様な機体に手を出しやすくなった面は確かに存在する。 **問題点 ''がっかりなボス戦'' -デススティンガーを除いたボスキャラ(ウルトラザウルス、デスザウラー、セイスモサウルス)との戦闘が酷い。 --これらの敵とは専用の円形MAPでの戦闘となっており、ボスキャラはその中央にある昇降する足場から攻撃を行う。~ 早い話が身動きしない固定砲台であり、中央の足場は侵入不可のため対岸から射撃を撃ち込むことで撃破する。 ---なお、このMAPはすり鉢状の構造になっているためボスの方向を向くと機体が斜め下を向く形になる。~ システム上、機体方向にカメラが連動するため、戦闘中になるとボスの姿は殆ど見えないという状態になる。 --この戦闘に限って言えば上級者であっても攻略法は殆ど変わらず搭載火器の火力のみがモノを言う。~ ボス側の攻撃の切れ間に射撃を撃ち込み、攻撃再開前に回避へ移行の繰り返しで『作業』と言っても過言ではない。 --ボス側の攻撃は相応に激しく格闘判定の衝撃派も織り交ぜてきたりと緊迫感が無い訳では無いものの、強大な敵との激しいぶつかり合いを期待したユーザーは肩透かしを食らう事請け合い。 ---ボスに接近できないためブレードアタックやファイブレード・ストームといった近接攻撃最大の見せ場はない。 ---近接特化等の射撃武装の少ない機体では非常に時間が掛かるか、時間いっぱい逃げ切らなければならない。~ 家庭版での実績等で要求される高ランククリアも非常に困難。後付け要素であるクリアランクシステムの調整不足が伺える。 --デススティンガーとの戦闘で存在した、位置取りや、接近戦をするタイミングを含めた駆け引き要素などは皆無。 ---もっとも、デススティンガー自体も初心者~中級者、機動力の低い機体の場合ではかなりの難敵である。~ ブーストとハイパーブレーキだけを用いた『普通』のプレイではかなり理不尽な性能をしていることがわかる。 --アニメ同様100メートル越えの巨大ゾイドに接近戦を挑んでも、立体的な機動の困難な本作では足首を切りつけるくらいしかできなかった可能性はあり、それはそれで画的に退屈な戦闘になっていたかもしれない。 &bold(){機体の乗り換え} -初期から選択できる機体以外へは機体の乗り換えという形式で移行するのだが、これにはかなりの制約が存在する。 --まず、ゲームシステム的な制限として乗り換え元の機体から乗り換え可能な機体は分岐することはあれど固定されている。~ また、機体の乗り換えには専用のアイテムが必要となり、乗り換え条件となる階級を満たしている必要がある。((階級は戦績やポイントによる)) ---乗り換えアイテムのドロップには所属国家や使用機体による偏りは無く、自分の機体から乗り換えすることが不可能なアイテムもドロップする。 ---乗り換える前の機体に戻す場合にもその機体に対応したアイテムが必要となる。そもそも初期機体7機の内、戻すための乗り換えアイテムが存在するのは2機しかいない。 --そして乗り換えを行う際には''機体の登録されているICカードを更新する必要がある''。つまり有料である。~ 上記、そして下記の様な難点があるにも拘らず、気軽に行うことも戻すこともできないシステムとなっている。 -システム上は上位機体への乗り換えとなっているものの、完全上位互換となりうるパターンは少ない。 --参戦機体の都合から、順当に後継機へと乗り換えが可能な組み合わせは殆ど存在していないという事情もあるにはある。~ このあたりが明確に判別できる様な機体に関してはしっかりと乗り換えが可能になっている。((ゴジュラス⇒ジ・オーガ、ライガーゼロ⇒各換装機など)) --逆にそれ以外の機体の場合、乗り換え前後の機体に関連性があまりなく、所属国家の枠さえ超えて乗り換える場合もある。 ---例えば、帝国ゾイド「レッドホーン」の乗り換え先の機体は「ダークホーン」では無く、共和国ゾイド「ディバイソン」となっている。 ---二脚、四脚といった縛りも無く、全く成り立ちの異なるブロックスゾイドへの乗り換えなどもある。 ---このため著しく操作性が異なる機体に乗り換える場合もあり習熟に苦労することもある。~ また、装備可能な武装がガラリと変わってしまい、乗り換え後に装備できる武装基本装備しかないといった事も有り得る。 --たとえステータスの総合値が高くなっていても実際の戦闘で強いかどうかは別の話なのがアクションゲームである。~ まして、愛着のある機体・武装からは易々と乗り換え難いという感情もある。 ---「設定上では強機体だが、ゲーム内では弱機体」というのは本作に限らずままあることだが……。 -最終的にEXPlusでのアップデートで機体の種類による制約は無くなり、階級を満たしていれば乗り換え可能となった。 ''初心者狩り'' -対戦ゲームで初心者狩りが存在するのはある程度仕方のない事ではある -しかし本作では最終機体であるエナジーライガーの解放条件の一つに『階級が准将以上であること』が存在する --この准将という階級には『対人戦500戦以上で勝率5割以上』という戦績が必要であったため、手っ取り早く対戦数を稼ぎつつ勝率をキープ、あるいは引き上げる為の初心者狩りを助長してしまった。 ''高性能な追加機体'' -ゲームという商品の性質上仕方のないことであり多くのゲームに共通することだが・・・ -やはり本作においても一部機体、一部武装が突出して高いという事態が発生した。ここでは2つの例を紹介。 --''凱龍輝'' ---専用武装の弾速と衝撃値が異常に高く、回避が非常に困難な上に当たれば確定でダウンを取られてしまう ---一度ダウンを取られると機動力で劣る機体は起き攻めで延々とダウンを奪われ続けるハメが成立してしまう ---凱龍輝自身の機動力も十分にあるため高機動機と言えど完全に逃げ切ることは困難 ---ビーム兵器(基本的に高弾速であり高機動へのアンチ武装)を軽減する機体特性で不利が付きにくい --''ブラストルタイガー'' ---ミサイル系武装最上位の誘導性を持つAZ6連装ミサイルが障害物がない限り回避不能の凶悪な性能 ---それ以外の武装も軒並み性能が高い上に『専用武装』なので他機体は装備できない ---そして特殊技『サーミックバースト』はその全武装を''リロード状況に関わらず''フルバーストする~ 特殊な発動条件も無く、個々の武装の弾数を消費せず、前後の硬直も少ない ---高性能な索敵能力で殆どのステージで開幕位置から既に射程距離に収めている ---CPU戦なら『サーミックバースト』を連射するだけで10秒程度で終わるレベルである~ 大型ボス相手であっても真正面から撃ち合って10秒程度で終わる~ 対人戦でも対策が出来ていなければ10秒程度で終わりかねない~ 対策が出来ていても無被害とはいかない ---速度では最速機体2機には及ばないものの挙動もトップクラスに軽快、それに加え装甲まで硬い。~ 普通に戦っても純粋に強く、事実『サーミックバースト』に下方修正が入っても評価は揺るがなかった ''アップデート、バランス調整への不満'' -既存機体へのアップデートの方向性が優劣問わず尖っていた性能をマイルド化する方向性であることが多かった。 --乗り慣れた機体が下方修正され、そこに前項の強力な追加機体が投入される形になったため余計に不満を煽ってしまった面もある。 --無印からEXへのアップデートでステップ後の硬直等に調整が入り全体的なゲームスピードが低下した。~ 前項の強機体の武装以外にも衝撃値が高い武装が追加されダウンしている時間が増えたこともあって、~ アップデートと言いながらも『ゾイドを思い通りに動かす』という最大の魅力は発揮できなくなっていった。 ''トレード機能の仕様とトレード詐欺'' -ゲーム全体を通して装備&使用制限が非常に仕様でありながら、トレード機能が非常に不親切な設計となっている。 -筐体やカスタマイズベンダーにはトレード機能が存在せず、公式サイト「ゾイドベース」でしか行えない。 --「ゾイドベース」は月額制の会員有料サイトである。~ ICカードのシリアルNoを登録することでベース(基地)にゾイドを登録することができる。~ 登録ゾイドのカスタマイズの他、所持アイテムをベース側の保管庫とやり取りが可能。 --ベース未登録であれば相手にシリアルNoを教えて同ベースに登録してもらえばアイテムのやり取りは可能である。~ 自分のデータを相手に渡すようなものなので余程仲の良い知人同士でもない限り成立しない。 -機能として存在するのは他ゾイドベースへのアイテム送信のみであり厳密には「トレード機能」は存在しない。~ 「送信」しかできないため信用取引とならざるを得ず、アイテムの持ち逃げ等の詐欺行為が当時掲示板で頻発してしまった。 -なお、当時はスマホなど影も形もないので、ゲームセンターでトレード交渉が成立しても帰宅しないとトレードできなかった。 **総評  3D対戦アクションゲームとしての完成度は高い。ゾイドという原作の存在を別にしても、広く勧められる良作と言える。 対人戦や各ゾイドの能力のバランスに若干の問題はあるが、ある意味原作再現なので仕方が無い一面と言える。&br()  一方で、各ゾイドや武装を細かく見ていくと、その性能も原作に忠実とは言い難いところもある(でないとコマンドウルフでデスザウラーの撃破は不可能である((バトルストーリーで勝ったこともあるが、あくまでも作戦勝ちであって、正面切って戦ったわけではない。)))。その点は原作設定を重視する人には不満なところだろうが、1on1かつコストの概念の無い対戦ゲームという特性上、やたらと原作にこだわってバランスを崩壊させるわけにもいかなかったのだろう。&br()  そういった細かい問題はあるものの、ゲームとしての出来が今一つだった[[ZOIDS VS.]]と比較して非常に優れた「ゾイドのアクションゲーム」である点は高く評価できる。一体感の高い筐体、息詰まる駆け引きのあるバトルなど、多くのゾイドファン待望の作品だったといっても過言ではない。 選出ゾイドのミーハーさや、挙動・性能の細部はコアなゾイドファンにはやや不満ではあったかもしれないが、そこを踏まえてもゾイド史に残る良作と断言して間違いないだろう。 ---- **移植 -2005年にPS2版『ゾイドインフィニティ フューザーズ』が、2006年にXbox360版の『ゾイドインフィニティEX NEO』が発売された。 --アーケード版では移植版発売後も更新が入っており『ジェネシス』のゾイドも登場するようになったが、家庭用ゲーム機にオンラインアップデートが存在しなかった時代なので、『EX』時点の移植であるPS2版には『ジェネシス』の機体が登場しない。 -『ゾイドインフィニティ フューザーズ』には従来のアーケードモードに加え、当時放映されたアニメのストーリーに沿ったオリジナルのストーリーモードが追加されている。 --端的に言えばこの部分の造りは悪く、AC版の良さを潰している部分が多い。 ---元々の1on1対戦アクションのシステムをそのまま使って、護衛ミッションなどを行うのだから当然と言えば当然である。 ---実績や機体入手の条件などには開発時に想定されていなかったであろう『クリアランク』等の要素が絡んでおりあまりバランスが良いとは言えない。 -移植版には2P対戦可能なVSモードも存在する。 --画面が上下二段に分かれ、当時の家庭用テレビのサイズを考慮した地面とほぼ並行のカメラアングルになっている。そのため、ゾイド自身が正面の視界を遮る形となり、お世辞にも見えやすいとは言いがたかった。 --このカメラアングルは、なぜかストーリーモードの方でも採用されており、ストーリーモードの大きな不満点の一つである。

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