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*THE KING OF FIGHTERS XIV 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ふぉーてぃーん】 |ジャンル|対戦格闘アクション|&amazon(B01ESIWBX8)| |対応機種|プレイステーション4&br()PC(Steam)&br()アーケード(NESICAxLive2)|~| |発売元|SNK|~| |開発元|SNK&br()Abstraction Games(PC版)|~| |発売日|【PS4】2016年8月25日&br()【PC】2017年6月16日&br()【AC】2017年6月29日|~| |レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| //|ポイント|新生SNKの始まりの象徴|~| |>|>|CENTER:''[[THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]''| **概要 -前作(『KOF XIII』)から実に6年ぶりのKOFシリーズ14作目。前作までとは違い、ACではなくCS機が初出ということや、キャラクターモデルが『KOF MAXIMUM IMPACT』以来の「フル3D化された、且つ奥行移動などがない2.5D格闘」となった点が大きく異なっている。 --前作でアッシュ編が完結したため、本作より新シリーズとなっている。中国チームの新キャラクターである「シュンエイ」を中心とした物語となってはいるものの、これまでのような「〇〇編」という名称は(現時点では)決まっていない。 **ゲームシステム -基本システムは従来と同様。『[[XIII>THE KING OF FIGHTERS XIII]]』までに培ってきた「弱強のパンチ・キック攻撃」「三種類の特殊ジャンプ」「走るタイプのダッシュ・緊急回避により接近がしやすくスピーディーな攻防」が核となる面白さは本作にも引き継がれている。 -ゲージシステムも過去作品のものに近いが、以下のような変更点がある。 --『98』『2002』と同様にパワーゲージ1本を消費して一定時間パワーアップする「パワーMAX」が発動可能。 --ただし名称が「&bold(){ニューマックスモード}」に変更され、効果内容も攻撃力アップではなく、「EX必殺技」が残り時間を消費して使用可能になるというものになっている。 ---『XIII』から登場した、必殺技の強化版である「EX必殺技」だが、本作では通常状態からEX必殺技を出すことはできず、このモードの専用ゲージの約25%を消費することで初めて発動できるようになる。 ---EX必殺技は今作からはスーパーキャンセルは不可になったが(ただし一部は除く)全体的に当てた後に追撃可能なものが多く、本作における連続技の主なコンボパーツとなる。 ---通常技・特殊技をキャンセルしてパワーMAXを発動する「''クイッククイックニューマックスモード''」も存在。クイック発動した場合は効果時間が短くなる。 --「超必殺技」はゲージ1本を消費する通常のものに加え、2本を消費((ノーマル時に発動すると2本消費、パワーMAX時に超必殺技を発動すると1本消費してMAX超必殺技になる))することで超必殺技が強化される「MAX超必殺技」と、ゲージ3本を消費してより高威力かつ派手な演出となる「CLIMAX超必殺技」が存在する。 ---必殺技から超必殺技に繋げる&bold(){スーパーキャンセル}に加え、超必殺技からMAX超必殺技に繋げる&bold(){アドバンスキャンセル}、さらに超必殺技からCLIMAX超必殺技に繋げる&bold(){クライマックスキャンセル}が存在。同じ超必殺技でキャンセルすることはできない。 -2010年代の格闘ゲームの風潮に沿って、近距離で立ち状態からの弱パンチボタン連打で自動的に必殺技・超必殺技まで繋げる&bold(){ラッシュ}というシステムも用意されている。 -地上ふっとばし攻撃を当てた時の吹き飛びが変化しており、地上の相手に当てると相手を相手側の画面端まで吹き飛ばし、端に到達すると膝から崩れ落ちるようにダウンさせるようになった。 --膝崩れダウン時には追撃可能になっており、画面端近くで当てた時のリターンが上がっている。 **登場キャラクター #region() ○はシリーズ初登場キャラ(うち''太字''は完全新キャラ)、●はXI以前からの復活キャラ |中国チーム|○''シュンエイ''、●タン・フー・ルー((既にPS2版XIの追加キャラとして出場していたが、AC版では初))、○''明天君''| |日本チーム|草薙京、二階堂紅丸、大門五郎| |八神チーム|八神庵、マチュア、バイス| |K'チーム|K'、クーラ・ダイアモンド、マキシマ| |餓狼伝説チーム|テリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシ| |龍虎の拳チーム|リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、ユリ・サカザキ| |怒チーム|ラルフ、クラーク、レオナ| |サイコソルジャーチーム|麻宮アテナ、椎拳崇、鎮元斎| |女性格闘家チーム|不知火舞、キング、○アリス| |異世界チーム|○ナコルル((既にGB版熱闘KOF'95に出場していたが、KOF本編では初))、○ムイムイ、○ラブハート| |キムチーム|キム、○''ガンイル''、○''ルオン''| |悪人チーム|○''ザナドゥ''、●チャン・コーハン、●チョイ・ボンゲ| |オフィシャル招待チーム|○''シルヴィ・ポーラ・ポーラ''、○''ククリ''、○''ミアン''| |南米チーム|○''ネルソン''、○''サリナ''、○''バンデラス・ハットリ''| |メキシコチーム|●ラモン、●アンヘル、●''キング・オブ・ダイナソー''((恐竜のマスクを被った謎のプロレスラーの新キャラ…なのだが、過去KOFにも登場したあるプロレスラーがヒール転向したという設定。))| |サウスタウンチーム|●ギース・ハワード、ビリー・カーン、○''ハイン''| |ボスキャラ|○''アントノフ''、○''バース''| |Ver2.00追加キャラ|●ウィップ、●山崎竜二、●ヴァネッサ、○ロック・ハワード((既にKOFMIシリーズに出場していたが、KOF本編では初))| |Ver3.00追加キャラ|●ハイデルン、●オズワルド、○''ナジュド''、●ブルー・マリー| #endregion ---- **長所 -操作性などは旧来KOFほぼそのまま --2.5Dグラフィックの格闘ゲームがスタンダードになってきた中、本作も3Dグラフィックでありながら2D時代の操作感や駆け引きを損なうような出来にはなってはおらず、ラッシュなど初心者向けのシステムが備わってはいるものの、従来通りのKOFを楽しむことができる。 --パワーMAXとEX必殺技によるコンボは旧作の「どこでもキャンセル」「ドライブキャンセル」に相当する連続技システムだが、必殺技コマンド入力を連続でしなければならなかった従来のものに比べると操作にゆとりがあり、負担がかかりにくくなっている。 -3Dグラフィックによる演出強化 --一部の必殺技ヒット時、またはMAX超必殺技やCLIMAX超必殺のカットインやヒット時の演出などでアングルが変わったりと、ドット時代では不可能だった演出が3Dの利点により施されるようになった。 --ver2.0からKO 時のスロー演出を廃止し、ストップ演出に変更されるようになり、メリハリが強化。 -KOFの売りである多くの登場キャラクター --発売時点での登場キャラは16チーム×3人とボスキャラ2人で50人。これに加えて発売後に4人のキャラの追加が2回行われ、合計58人。 ---KOFの特徴である「使用可能キャラの多さ」を新生一作目にしてここまで持ってきた事は驚異である。 --新キャラも、KOFシリーズ当初にあった「各国代表戦」や「SNKキャラのオールスター」というコンセプトに沿っており、南米チームのような従来作になかった国際色豊かな新キャラや、KOF派生作である『[[デイズ オブ メモリーズ]]』初登場のキャラ、2000年代から参入していたパチスロ機からの登場キャラ(アリス、ムイムイ、ラブハート)も見られる。 --既存キャラにおいても、まさかのチョイスや大胆なチーム再編成を施して参戦させているものもおり、新チーム内でこれまでとは違う新たな一面を見せてくれるキャラもいる。 --特に今まで派生作品では参戦していたものの、ナンバリング作品には登場していなかった『[[サムライスピリッツ>サムライスピリッツシリーズ]]』シリーズから「ナコルル」が参戦したことは大きな話題にもなった。 --DLCによる追加キャラも人気どころを抑えており、シリーズファンからすれば「分かっている」選出である。 特に『[[XI>THE KING OF FIGHTERS XI]]』のみの登場ながら根強い人気のあったオズワルドの参戦は賞賛を得ている。 -継続的なアップデート --2016年夏の発売以降、2年以上にわたってキャラの追加やバランス調整、各種不具合の改善が継続的に行われている。 ---発売当初はオンライン対戦の快適性にやや難があったが、これもアップデートで若干は改善している。 --後発であるPC版やAC版も、PS4版に合わせる形でほぼ並行してアップデートが行われている。 -BGM --OP曲の「Follow Me」とスタッフロール曲の「Burning On」がスティーブン・マクネア氏((KANDO BANDOという和製ロックバンドのメンバー。両曲の作曲も彼が担当。))によるヴォーカル入りという、KOFシリーズとしては新たな試みを行っており、新シリーズを飾るにふさわしいという評価を得ている。 --本作では対戦カードが特定キャラの組合わせの場合、「専用の因縁対決BGMが流れる」という仕様があり、曲もそのキャラにちなんだ過去作品の曲のアレンジという「(原曲を)知っている人にはピンとくる」ものになっている((但し、例外として「アテナ対ケンスウ」、「シュンエイ対ククリ」、「クラシック京対クラシック庵」は新規曲。))。 ---一例を挙げると、京対庵戦は「New Order」、テリー対ギース戦は「ギースにしょうゆ」、リョウ対ギース戦は「ギースにキッス -Cyber Edit-」、リョウ対キング戦なら「みちゃいやっ」のアレンジ…といった内容。 ---他にもラルフ対クラーク戦の場合は『怒』のメインBGMのアレンジ、変わったところではアンディ対タン・フー・ルー戦が『餓狼伝説2』及び『餓狼伝説スペシャル』のイタリアステージの曲「パスタ」のアレンジだったりする。((ちなみにこれらを含めた因縁対決BGMの数はVer.3.00の時点で全14曲)) **賛否両論点 -声優の変更 --紅丸/チョイやアテナ、ギースなど旧作から変更のないキャラもいる一方で、京・庵・テリーなどをはじめとした多くのキャラは声優が変更されている。 --イメージを損なうような演技はないが、やはり今までの声優で確立されたキャラクターのイメージとの違いが生じるのは避けられない。 --サウンドディレクターの麻中秀樹氏によれば「今作での大幅なキャスト変更については様々な事情もあるが、キャラの人数が多いことに加え、各キャラ1人あたりの台詞の量も大幅に増えているため、1人で複数のキャラを演じることは(演者の負担も大きいので)原則避ける方針でのキャスティングになった」とのこと。 ---また、プロデューサーの小田泰之氏は「変更のあったキャラについてもゲームありきでそのイメージに近く、(基本的に)旧作のキャラのボイスに似ている人を選んだ」と述べている。 ---本作では対戦前の掛け合いや勝利メッセージ等がフルボイス化されているが、同様の仕様であった[[KOF MAXIMUM IMPACT 2]]では、舞台俳優やナレーターなど声優としての活動がメインではない人物が多かった従来のキャストについて「フルボイス化によって棒読み気味に聞こえたりと演技に違和感を覚える」という声もあったため、その点でも本作で専業声優メインのキャストに変更されたことには賛否の声がある。 -少ないゲームモード --アーケードゲーム同様、勝ち抜きで進む中間デモ付きのストーリーモード、オンライン対戦モード、トレーニングモードなど、遊べるのは格闘ゲームとしてはほぼ最低限のゲームモードのみとなっている。 --前作にもあった、全キャラのコンボが学べるミッションモードの「トライアル」は全体的に難易度が低くなり、トライアル数も少なくなっている。 ---ただ、前作のトライアルの場合実用的なコンボが少なく、システムも相まって難易度が高すぎた面もあったので、最低限の基礎コンボを学ぶだけの初心者には大して問題ではなく、そもそもやりこみ勢であれば複雑なコンボはどうせトレーニングモードで研究する事が多いため、丁度いい配慮とも言える。 --これをシングルプレイのボリューム不足と捉えるか、「そもそも使用キャラがここまで多いのだから全てのキャラを使おうとするだけで相当なボリュームである」と捉えるかは人それぞれと思われる。 ''変更された各種システム仕様'' -ジャンプの仕様 --今作では初心者配慮またはオンラインのラグ対策のためか従来よりジャンプがふんわりしており、全体的にジャンプ攻撃が確認しやすくなった。 ---反面ジャンプの全体時間が間延びし、旧作と比べやや操作感に変化がある。(とは言えあくまで過去シリーズと比較してのことで、ジャンプを使ったスピーディーな攻防自体はそこまで変わりない。) ---ステージの広さが『XIII』同様16:9であり、それに加えバックステップや緊急回避による逃げが行いやすくなっている。 ---ジャンプ攻撃自体もめくり性能が低下していたり、そもそもめくり性能の削除が多かったり、低い姿勢の攻撃で回避されやすくなっている。 --アップデートでのキャラバランス調整によりある程度変化があるものの、(キャラクターにもよるが)根本的にジャンプ性能が抑えられ、攻めの基点である飛び込みの脅威が減っていると言える。 ---そのため今作では(下記のキャンセル発動も付け加えると)良くも悪くもジリジリとした間合い調整が重要になり、従来に比べ地味な試合展開が発生する場合がある。 -パワーゲージ関連の仕様 --前作ではゲージ1本消費で発動する仕様だった「EX必殺技」だが、今作では「ニューマックスモードの専用ゲージを約25%消費」という仕様に変更。つまりゲージ1本で何度も発動できるようになったため、コストが軽くなり、手軽に連発がしやすくなった。 ---特にクイックでない直接発動を行った場合、すぐEX必殺技を行えば1回の発動で最大で&bold(){約6連続}も行えてしまう。発動に消費するパワーゲージ量は1本のため、最大の5本ストック状態であれば約30連続行えなくもない。 ---1番手であればゲージの最大数が減少するが、その場合でも直接発動から即使用した場合約4連続行うことが可能。 ---こうした連発は実戦でも籠城や押し付けなどの戦術として組み込めないこともなく、言ってしまえば見映えの悪い戦い方が行えてしまう。初期バージョンのマチュアはまさにこの戦法が非常に強力なキャラクターだった。 ---ただし現在は下方修正済みで、そもそも「一度発動を介さないとEX必殺技が使用できない」という点や、また今回のEX必殺技は前作ほど強力なものが少ない事もあり、現在は「パワーゲージの多くを直接発動~EX必殺技に回す」という戦い方はほぼ無くなっている。 --EX必殺技がニューマックスモード時限定となったため、単に前作と比べ窮屈だという指摘もある。 ---とは言えそういった仕様込みでバランス調整が行われている面もあり、実際にこの使用が有利に働いているキャラもおり、一概に良し悪しを決められないところでもある。 --今作のクイック発動にあたる「クイックニューマックスモード」は、通常攻撃や特殊技をキャンセルし、隙消しや更にコンボを伸ばす…という使い道こそ以前と同じだが、今作ではキャンセル発動時は自動でダッシュを行ってくれるため、キャンセル時の複雑な操作が必要なく、コマンドの暴発も起こりにくくなり、初心者でも簡単に発動コンボを行いやすくなった。 ---コマンドミスやゲージ管理などのテクニック面での心配が減った上、今作は比較的ヒットストップが長くなっているため弱攻撃からも繋げ易くなり、単純にパワーゲージさえあれば非常に戦況を覆しやすくなっている。 ---シリーズの熟練者にとっても悩みの種であったキャンセル時のコマンドミス((『2002』では発動してからダッシュを素早く入力するのはほぼ不可能なため、発動ボタンを押す前にあらかじめ前方向にコマンドを入力し、発動した再度前方向を入力する事で発動後すぐにダッシュを行っていた))((『XIII』ではキャンセルタイミングがわずかでも遅いと強パンチ攻撃が漏れてしまうが(逆にこの漏れを利用した繋げなども可能ではある)、ヒットエフェクトなどを目安にするとクイック発動が行いやすくなる等))が改善された事による喜びの声もある。 ---一方で、簡単になりすぎてテクニックを磨く楽しみが減っているといった指摘や、少々便利すぎるため「スーパーキャンセルのみ可能な通常攻撃」や「特殊技のスーパーキャンセル」といったゲージ行動が形骸化してしまったという意見も見られる。このあたりはシステムの簡略化により生じる表裏一体の面と言える。 --攻守どちらにも逆転性があるものの、前作同様ガードなどで溜まるパワーゲージ増加量が多めなため、攻撃よりもガードでゲージを溜めたり、「ゲージに余裕があれば攻めずに安全圏で待って相手の隙を伺い、牽制だけ振って引っかかったらクイック発動狙い」と消極的な戦い方に発展もしやすい。 --旧作ではスーパーキャンセルで超必殺技を発動する場合はゲージを余分に消費させられていたが、今作ではそれが無くなっているため、ゲージを消費する行動が行いやすい。パワーゲージさえあれば逆転のチャンスが増えているが、事故率も高まっているとも言える。 -変わり映えがしないシステム郡 --新章になるとシステム自体も様変わりしてたKOFシリーズだったが、前作『XIII』のシステムを再構成し調整されたものがほとんどで、目新しいシステムはほぼないに等しい。 --遊びやすく考慮されているものの、グラフィックが3Dになった以外は良くも悪くもいつも通りで、新鮮味が薄い。 //良くも悪くもなら賛否では? **問題点 -質に難のあるグラフィック --リアル調のキャラクターグラフィックだが、全体的にモデリングがやや簡素であり、一世代前のグラフィックと酷評されていた。キャラの多さと表裏一体の問題とも言える。 //SNK隆盛期の森気楼氏のイラストにならってか --後にアップデートでライティングなどが改善され、全体的に当初より良くなっている。 --ゲームエンジンは開発当初の段階でUnreal Engineを使うことも検討していたが、開発力とコストの兼ね合い、そして3Dグラフィックのノウハウを蓄積する必要があるという理由により見送りとなり、自社製のエンジンを使うことになった。 ---ライティングやシェーダーが弱いことは開発側も認めているため、発売後のアップデートで改善はしているものの、まだ発展途上にあると言えよう。 --グラフィック自体はやや簡素なものの、モーション自体はどのキャラもかなり滑らかではある。 ---が、レギュラーキャラの攻撃モーションに関してはやや不自然に感じやすい部分も。 -オンラインモードの仕様 --ランクマッチの仕様 ---「検索」と「待ち受け」の2種類が存在するが、前者が1P・後者が2Pと固定されている仕様のためか、「検索」では「待ち受け」の相手しかヒットしない。逆のパターンも同様で、純粋に不便。 ---「待ち受け」もトレーニングモードで待ち受けが可能なものの、オンラインモード時でのトレーニングモードでのみでしか待ち受けが行えず、通常メニューのトレーニングモードからはオンライン待ち受けは行えない。 --フリーマッチの再戦の仕様 ---フリーマッチはいわゆるプレイヤーマッチ。多人数対戦部屋に当たるもので、対戦方式に「勝ち抜き」「勝ち抜け」「再戦」の3つの方式が存在する。 ---「再戦」方式の場合、その名のとおり同じ対戦相手と間を置かず即座に再戦可能だが、部屋を建てたホストが部屋を解散しない限り''両者が合意すれば無限に再戦可能''となっているため、下手をすれば2人だけで永遠に部屋を占有する事態が発生してしまう。観戦機能も無いため、こうなってしまうと部屋で待機しているメンバーはどうしようもない。 ---本当に即座に再戦が始まるため部屋の状況も見られず、試合中のプレイヤーに周りの様子を伝えるチャット機能なども無いため、連戦中のプレイヤーにとっても不便なところである。 ---この辺りの問題も含め、「10戦で終了」や「10本先取で終了」など細かく対戦数が設定できる機能が欲しかったと言う意見もある。 --パーティーマッチの仕様 ---KOFは通常一人のプレイヤーが3キャラをまとめて操作するが、このモードに限り1プレイヤーが1キャラずつ担当する。今作独自のオンライン対戦方式である。 ---KOFは3キャラ1チーム同士での対戦なので計6キャラ登場し、パーティーモードの対戦を行うには計6人が集まる必要がある。そのため始めるまでのハードルが高い。 ---それだけならまだしも、パーティーモードでのトロフィー(or実績)が存在し、1回だけならともかく''最大100回対戦''を行わないと取得できないものまで。 ---フレンドで確保できるプレイヤーであれば比較的容易だが、そうでないプレイヤーが解除するにはハードルが高すぎるため、部屋名に「トロフィー(実績)取得部屋」と表記するなどの工夫が強いられる。それにしても多すぎると言える。 ---- **総評 中国資本による新生SNKの始まりを象徴する新生KOF。~ キャラとシステム両面におけるKOFの特徴を活かしつつ、シリーズ初期に立ち返ったような要素も多く見られる。~ 現代ではそれらの特徴との表裏一体の問題点も多いが、対戦格闘ゲームとしての出来は及第点以上。~ 発売後のサポートの手厚さも含め、SNKブランドを現在に売り出していく気合は確実に感じられる一本である。 ---- **余談 -声優話いろいろ --本作以前よりKOF好きを公言して憚らなかった声優界屈指のガチ格闘ゲーマーにしてKOFのガチ勢である市来光弘氏は、アーケード版のシステムボイス担当として本作に参加している。 --明天君の声優である劉セイラ女史は、中国人ながら日本で声優として活動している変わり種。本作のイベントへも積極的に参加している。 -今作から3Dグラフィックになった理由は「『KOF XIII』での2Dグラフィックに高い評価をいただく機会は多いが、今後5年10年先を考えると今のままでは先はないだろうということと、現在の事情から見ても3Dグラフィックの表現方法や技術・ライブラリといったノウハウを蓄積していく方が未来はあるのではないかと開発スタッフが総意として決めたもの」とのこと。 --SNK自体が3Dに不慣れであった事が伺えるソフトを多く輩出しているため、非常に重みがある。 -本作のキャラクターデザインはSNKプレイモア時代から同シリーズのパッケージや広報イラストなどを何度か手がけてきた、おぐらえいすけ氏が初のメインデザイナーを務めている。 -DLCキャラのナジュドと彼女の専用ステージは、2017年9月よりSNKとサウジアラビアの「マンガ・プロダクションズ」が共同で中東地域の若者向けにSNSを通じて行った『KOF XIV』のデザインコンペで受賞し採用されたものとなっている。 -本作の発売から約1年後、バンダイナムコの[[鉄拳シリーズ]]家庭用最新作『鉄拳7』へギース・ハワードがゲスト参戦している。 --出身元である『[[餓狼伝説>餓狼伝説シリーズ]]』シリーズからの参戦扱いだが、パワーゲージの概念やパワーMAX周りのシステムなど、本作の要素が盛り込まれたキャラクター性能となっている。 --AC版では2019年2月13日稼働の『鉄拳7 FATED RETRIBUTION ROUND 2』で追加された。 -後に本作に出演したキャラクターの後日談を描いた派生作品『SNKヒロインズ -TagTeamFrenzy-』が発売されている。 -シリーズ久々のコミカライズが月刊少年シリウスとマガジンポケットにて連載されている((ナンバリング作品を除けば『ザ・キング・オブ・ファイターズ 京』以来のコミカライズである))。タイトルは「THE KING OF FIGHTERS -A New Beginning-」(あずま京太郎:著)。 --また、上記とは別にコミッククリアにて「THE KING OF FIGHTERS XIV ORIGINAL COMIC」(華小二:著)がWeb連載されていたが3ヶ月ほどで連載終了。尚、単行本化はされていない。こちらは本作の中国チームとサイコソルジャーチームの対戦が主軸の話となっている。 -PC版とAC版リリース後の2017年8月3日~2018年1月8日にかけて、中国のiDragons StudioとマレーシアのAnimonsta Studios製作によるCGアニメ「The King Of Fighters :Destiny」が主要動画サイトにて配信された((ワールドワイドでの公式配信はYoutubeとSteam。中国国内ではYouku、Bilibili、Tencent Video、iQiyi、Mango TVでの配信。))。 --全24話構成。ストーリーはKOF94~96を元に構築されており、特定キャラのサイドストーリーを挟むなどオリジナル要素もある。 --英語字幕だが音声は日本語で、各キャラの声優は一部を除き本作のキャストが中心となっている。((中国国内配信版は中国人声優による吹き替えもある)) -DLCにて復活したキャラは、かつてのテーマソングのアレンジ版が使われているが、&bold(){ロックのみ完全新曲が投入された}。 --というのもかつてのテーマソングには盗作の疑惑が指摘されている為致し方なしか((『MOW』のテーマソングであった「Spread the wings/永遠の翼」は、曲の後半部分がロバート・マイルスの楽曲「Children」に酷似している。))。
*THE KING OF FIGHTERS XIV 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ふぉーてぃーん】 |ジャンル|対戦格闘アクション|&amazon(B01ESIWBX8)| |対応機種|プレイステーション4&br()PC(Steam)&br()アーケード(NESICAxLive2)|~| |発売元|SNK|~| |開発元|SNK&br()Abstraction Games(PC版)|~| |発売日|【PS4】2016年8月25日&br()【PC】2017年6月16日&br()【AC】2017年6月29日|~| |レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| //|ポイント|新生SNKの始まりの象徴|~| |>|>|CENTER:''[[THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]''| **概要 -前作(『KOF XIII』)から実に6年ぶりのKOFシリーズ14作目。前作までとは違い、ACではなくCS機が初出ということや、キャラクターモデルが『KOF MAXIMUM IMPACT』以来の「フル3D化された、且つ奥行移動などがない2.5D格闘」となった点が大きく異なっている。 --前作でアッシュ編が完結したため、本作より新シリーズとなっている。中国チームの新キャラクターである「シュンエイ」を中心とした物語となってはいるものの、これまでのような「〇〇編」という名称は(現時点では)決まっていない。 **ゲームシステム -基本システムは従来と同様。『[[XIII>THE KING OF FIGHTERS XIII]]』までに培ってきた「弱強のパンチ・キック攻撃」「三種類の特殊ジャンプ」「走るタイプのダッシュ・緊急回避により接近がしやすくスピーディーな攻防」が核となる面白さは本作にも引き継がれている。 -ゲージシステムも過去作品のものに近いが、以下のような変更点がある。 --『98』『2002』と同様にパワーゲージ1本を消費して一定時間パワーアップする「パワーMAX」が発動可能。 --ただし名称が「&bold(){ニューマックスモード}」に変更され、効果内容も攻撃力アップではなく、「EX必殺技」が残り時間を消費して使用可能になるというものになっている。 ---『XIII』から登場した、必殺技の強化版である「EX必殺技」だが、本作では通常状態からEX必殺技を出すことはできず、このモードの専用ゲージの約25%を消費することで初めて発動できるようになる。 ---EX必殺技は今作からはスーパーキャンセルは不可になったが(ただし一部は除く)全体的に当てた後に追撃可能なものが多く、本作における連続技の主なコンボパーツとなる。 ---通常技・特殊技をキャンセルしてパワーMAXを発動する「''クイッククイックニューマックスモード''」も存在。クイック発動した場合は効果時間が短くなる。 --「超必殺技」はゲージ1本を消費する通常のものに加え、2本を消費((ノーマル時に発動すると2本消費、パワーMAX時に超必殺技を発動すると1本消費してMAX超必殺技になる))することで超必殺技が強化される「MAX超必殺技」と、ゲージ3本を消費してより高威力かつ派手な演出となる「CLIMAX超必殺技」が存在する。 ---必殺技から超必殺技に繋げる&bold(){スーパーキャンセル}に加え、超必殺技からMAX超必殺技に繋げる&bold(){アドバンスキャンセル}、さらに超必殺技からCLIMAX超必殺技に繋げる&bold(){クライマックスキャンセル}が存在。同じ超必殺技でキャンセルすることはできない。 -2010年代の格闘ゲームの風潮に沿って、近距離で立ち状態からの弱パンチボタン連打で自動的に必殺技・超必殺技まで繋げる&bold(){ラッシュ}というシステムも用意されている。 -地上ふっとばし攻撃を当てた時の吹き飛びが変化しており、地上の相手に当てると相手を相手側の画面端まで吹き飛ばし、端に到達すると膝から崩れ落ちるようにダウンさせるようになった。 --膝崩れダウン時には追撃可能になっており、画面端近くで当てた時のリターンが上がっている。 **登場キャラクター #region() ○は本編シリーズ初登場キャラ(うち''太字''は完全新キャラ)、●はXI以前からの復活キャラ(外伝作品は除外) |中国チーム|○''シュンエイ''、●タン・フー・ルー((既にPS2版XIの追加キャラとして出場していたが、AC版では初))、○''明天君''| |日本チーム|草薙京、二階堂紅丸、大門五郎| |八神チーム|八神庵、マチュア、バイス| |K'チーム|K'、クーラ・ダイアモンド、マキシマ| |餓狼伝説チーム|テリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシ| |龍虎の拳チーム|リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、ユリ・サカザキ| |怒チーム|ラルフ、クラーク、レオナ| |サイコソルジャーチーム|麻宮アテナ、椎拳崇、鎮元斎| |女性格闘家チーム|不知火舞、キング、○アリス| |異世界チーム|○ナコルル((既にGB版熱闘KOF'95に出場していたが、KOF本編では初))、○ムイムイ、○ラブハート| |キムチーム|キム、○''ガンイル''、○''ルオン''| |悪人チーム|○''ザナドゥ''、●チャン・コーハン、●チョイ・ボンゲ| |オフィシャル招待チーム|○''シルヴィ・ポーラ・ポーラ''、○''ククリ''、○''ミアン''| |南米チーム|○''ネルソン''、○''サリナ''、○''バンデラス・ハットリ''| |メキシコチーム|●ラモン、●アンヘル、●''キング・オブ・ダイナソー''((恐竜のマスクを被った謎のプロレスラーの新キャラ…なのだが、過去KOFにも登場したあるプロレスラーがヒール転向したという設定。))| |サウスタウンチーム|●ギース・ハワード、ビリー・カーン、○''ハイン''| |ボスキャラ|○''アントノフ''、○''バース''| |Ver2.00追加キャラ|●ウィップ、●山崎竜二、●ヴァネッサ、○ロック・ハワード((既にKOFMIシリーズに出場していたが、KOF本編では初))| |Ver3.00追加キャラ|●ハイデルン、●オズワルド、○''ナジュド''、●ブルー・マリー| #endregion ---- **長所 -操作性などは旧来KOFほぼそのまま --2.5Dグラフィックの格闘ゲームがスタンダードになってきた中、本作も3Dグラフィックでありながら2D時代の操作感や駆け引きを損なうような出来にはなってはおらず、ラッシュなど初心者向けのシステムが備わってはいるものの、従来通りのKOFを楽しむことができる。 --パワーMAXとEX必殺技によるコンボは旧作の「どこでもキャンセル」「ドライブキャンセル」に相当する連続技システムだが、必殺技コマンド入力を連続でしなければならなかった従来のものに比べると操作にゆとりがあり、負担がかかりにくくなっている。 -3Dグラフィックによる演出強化 --一部の必殺技ヒット時、またはMAX超必殺技やCLIMAX超必殺のカットインやヒット時の演出などでアングルが変わったりと、ドット時代では不可能だった演出が3Dの利点により施されるようになった。 --ver2.0からKO 時のスロー演出を廃止し、ストップ演出に変更されるようになり、メリハリが強化。 -KOFの売りである多くの登場キャラクター --発売時点での登場キャラは16チーム×3人とボスキャラ2人で50人。これに加えて発売後に4人のキャラの追加が2回行われ、合計58人。 ---KOFの特徴である「使用可能キャラの多さ」を新生一作目にしてここまで持ってきた事は驚異である。 --新キャラも、KOFシリーズ当初にあった「各国代表戦」や「SNKキャラのオールスター」というコンセプトに沿っており、南米チームのような従来作になかった国際色豊かな新キャラや、KOF派生作である『[[デイズ オブ メモリーズ]]』初登場のキャラ、2000年代から参入していたパチスロ機からの登場キャラ(アリス、ムイムイ、ラブハート)も見られる。 --既存キャラにおいても、まさかのチョイスや大胆なチーム再編成を施して参戦させているものもおり、新チーム内でこれまでとは違う新たな一面を見せてくれるキャラもいる。 --特に今まで派生作品では参戦していたものの、ナンバリング作品には登場していなかった『[[サムライスピリッツ>サムライスピリッツシリーズ]]』シリーズから「ナコルル」が参戦したことは大きな話題にもなった。 --DLCによる追加キャラも人気どころを抑えており、シリーズファンからすれば「分かっている」選出である。 特に『[[XI>THE KING OF FIGHTERS XI]]』のみの登場ながら根強い人気のあったオズワルドの参戦は賞賛を得ている。 -継続的なアップデート --2016年夏の発売以降、2年以上にわたってキャラの追加やバランス調整、各種不具合の改善が継続的に行われている。 ---発売当初はオンライン対戦の快適性にやや難があったが、これもアップデートで若干は改善している。 --後発であるPC版やAC版も、PS4版に合わせる形でほぼ並行してアップデートが行われている。 -BGM --OP曲の「Follow Me」とスタッフロール曲の「Burning On」がスティーブン・マクネア氏((KANDO BANDOという和製ロックバンドのメンバー。両曲の作曲も彼が担当。))によるヴォーカル入りという、KOFシリーズとしては新たな試みを行っており、新シリーズを飾るにふさわしいという評価を得ている。 --本作では対戦カードが特定キャラの組合わせの場合、「専用の因縁対決BGMが流れる」という仕様があり、曲もそのキャラにちなんだ過去作品の曲のアレンジという「(原曲を)知っている人にはピンとくる」ものになっている((但し、例外として「アテナ対ケンスウ」、「シュンエイ対ククリ」、「クラシック京対クラシック庵」は新規曲。))。 ---一例を挙げると、京対庵戦は「New Order」、テリー対ギース戦は「ギースにしょうゆ」、リョウ対ギース戦は「ギースにキッス -Cyber Edit-」、リョウ対キング戦なら「みちゃいやっ」のアレンジ…といった内容。 ---他にもラルフ対クラーク戦の場合は『怒』のメインBGMのアレンジ、変わったところではアンディ対タン・フー・ルー戦が『餓狼伝説2』及び『餓狼伝説スペシャル』のイタリアステージの曲「パスタ」のアレンジだったりする。((ちなみにこれらを含めた因縁対決BGMの数はVer.3.00の時点で全14曲)) **賛否両論点 -声優の変更 --紅丸/チョイやアテナ、ギースなど旧作から変更のないキャラもいる一方で、京・庵・テリーなどをはじめとした多くのキャラは声優が変更されている。 --イメージを損なうような演技はないが、やはり今までの声優で確立されたキャラクターのイメージとの違いが生じるのは避けられない。 --サウンドディレクターの麻中秀樹氏によれば「今作での大幅なキャスト変更については様々な事情もあるが、キャラの人数が多いことに加え、各キャラ1人あたりの台詞の量も大幅に増えているため、1人で複数のキャラを演じることは(演者の負担も大きいので)原則避ける方針でのキャスティングになった」とのこと。 ---また、プロデューサーの小田泰之氏は「変更のあったキャラについてもゲームありきでそのイメージに近く、(基本的に)旧作のキャラのボイスに似ている人を選んだ」と述べている。 ---本作では対戦前の掛け合いや勝利メッセージ等がフルボイス化されているが、同様の仕様であった[[KOF MAXIMUM IMPACT 2]]では、舞台俳優やナレーターなど声優としての活動がメインではない人物が多かった従来のキャストについて「フルボイス化によって棒読み気味に聞こえたりと演技に違和感を覚える」という声もあったため、その点でも本作で専業声優メインのキャストに変更されたことには賛否の声がある。 -少ないゲームモード --アーケードゲーム同様、勝ち抜きで進む中間デモ付きのストーリーモード、オンライン対戦モード、トレーニングモードなど、遊べるのは格闘ゲームとしてはほぼ最低限のゲームモードのみとなっている。 --前作にもあった、全キャラのコンボが学べるミッションモードの「トライアル」は全体的に難易度が低くなり、トライアル数も少なくなっている。 ---ただ、前作のトライアルの場合実用的なコンボが少なく、システムも相まって難易度が高すぎた面もあったので、最低限の基礎コンボを学ぶだけの初心者には大して問題ではなく、そもそもやりこみ勢であれば複雑なコンボはどうせトレーニングモードで研究する事が多いため、丁度いい配慮とも言える。 --これをシングルプレイのボリューム不足と捉えるか、「そもそも使用キャラがここまで多いのだから全てのキャラを使おうとするだけで相当なボリュームである」と捉えるかは人それぞれと思われる。 ''変更された各種システム仕様'' -ジャンプの仕様 --今作では初心者配慮またはオンラインのラグ対策のためか従来よりジャンプがふんわりしており、全体的にジャンプ攻撃が確認しやすくなった。 ---反面ジャンプの全体時間が間延びし、旧作と比べやや操作感に変化がある。(とは言えあくまで過去シリーズと比較してのことで、ジャンプを使ったスピーディーな攻防自体はそこまで変わりない。) ---ステージの広さが『XIII』同様16:9であり、それに加えバックステップや緊急回避による逃げが行いやすくなっている。 ---ジャンプ攻撃自体もめくり性能が低下していたり、そもそもめくり性能の削除が多かったり、低い姿勢の攻撃で回避されやすくなっている。 --アップデートでのキャラバランス調整によりある程度変化があるものの、(キャラクターにもよるが)根本的にジャンプ性能が抑えられ、攻めの基点である飛び込みの脅威が減っていると言える。 ---そのため今作では(下記のキャンセル発動も付け加えると)良くも悪くもジリジリとした間合い調整が重要になり、従来に比べ地味な試合展開が発生する場合がある。 -パワーゲージ関連の仕様 --前作ではゲージ1本消費で発動する仕様だった「EX必殺技」だが、今作では「ニューマックスモードの専用ゲージを約25%消費」という仕様に変更。つまりゲージ1本で何度も発動できるようになったため、コストが軽くなり、手軽に連発がしやすくなった。 ---特にクイックでない直接発動を行った場合、すぐEX必殺技を行えば1回の発動で最大で&bold(){約6連続}も行えてしまう。発動に消費するパワーゲージ量は1本のため、最大の5本ストック状態であれば約30連続行えなくもない。 ---1番手であればゲージの最大数が減少するが、その場合でも直接発動から即使用した場合約4連続行うことが可能。 ---こうした連発は実戦でも籠城や押し付けなどの戦術として組み込めないこともなく、言ってしまえば見映えの悪い戦い方が行えてしまう。初期バージョンのマチュアはまさにこの戦法が非常に強力なキャラクターだった。 ---ただし現在は下方修正済みで、そもそも「一度発動を介さないとEX必殺技が使用できない」という点や、また今回のEX必殺技は前作ほど強力なものが少ない事もあり、現在は「パワーゲージの多くを直接発動~EX必殺技に回す」という戦い方はほぼ無くなっている。 --EX必殺技がニューマックスモード時限定となったため、単に前作と比べ窮屈だという指摘もある。 ---とは言えそういった仕様込みでバランス調整が行われている面もあり、実際にこの使用が有利に働いているキャラもおり、一概に良し悪しを決められないところでもある。 --今作のクイック発動にあたる「クイックニューマックスモード」は、通常攻撃や特殊技をキャンセルし、隙消しや更にコンボを伸ばす…という使い道こそ以前と同じだが、今作ではキャンセル発動時は自動でダッシュを行ってくれるため、キャンセル時の複雑な操作が必要なく、コマンドの暴発も起こりにくくなり、初心者でも簡単に発動コンボを行いやすくなった。 ---コマンドミスやゲージ管理などのテクニック面での心配が減った上、今作は比較的ヒットストップが長くなっているため弱攻撃からも繋げ易くなり、単純にパワーゲージさえあれば非常に戦況を覆しやすくなっている。 ---シリーズの熟練者にとっても悩みの種であったキャンセル時のコマンドミス((『2002』では発動してからダッシュを素早く入力するのはほぼ不可能なため、発動ボタンを押す前にあらかじめ前方向にコマンドを入力し、発動した再度前方向を入力する事で発動後すぐにダッシュを行っていた))((『XIII』ではキャンセルタイミングがわずかでも遅いと強パンチ攻撃が漏れてしまうが(逆にこの漏れを利用した繋げなども可能ではある)、ヒットエフェクトなどを目安にするとクイック発動が行いやすくなる等))が改善された事による喜びの声もある。 ---一方で、簡単になりすぎてテクニックを磨く楽しみが減っているといった指摘や、少々便利すぎるため「スーパーキャンセルのみ可能な通常攻撃」や「特殊技のスーパーキャンセル」といったゲージ行動が形骸化してしまったという意見も見られる。このあたりはシステムの簡略化により生じる表裏一体の面と言える。 --攻守どちらにも逆転性があるものの、前作同様ガードなどで溜まるパワーゲージ増加量が多めなため、攻撃よりもガードでゲージを溜めたり、「ゲージに余裕があれば攻めずに安全圏で待って相手の隙を伺い、牽制だけ振って引っかかったらクイック発動狙い」と消極的な戦い方に発展もしやすい。 --旧作ではスーパーキャンセルで超必殺技を発動する場合はゲージを余分に消費させられていたが、今作ではそれが無くなっているため、ゲージを消費する行動が行いやすい。パワーゲージさえあれば逆転のチャンスが増えているが、事故率も高まっているとも言える。 -変わり映えがしないシステム郡 --新章になるとシステム自体も様変わりしてたKOFシリーズだったが、前作『XIII』のシステムを再構成し調整されたものがほとんどで、目新しいシステムはほぼないに等しい。 --遊びやすく考慮されているものの、グラフィックが3Dになった以外は良くも悪くもいつも通りで、新鮮味が薄い。 //良くも悪くもなら賛否では? **問題点 -質に難のあるグラフィック --リアル調のキャラクターグラフィックだが、全体的にモデリングがやや簡素であり、一世代前のグラフィックと酷評されていた。キャラの多さと表裏一体の問題とも言える。 //SNK隆盛期の森気楼氏のイラストにならってか --後にアップデートでライティングなどが改善され、全体的に当初より良くなっている。 --ゲームエンジンは開発当初の段階でUnreal Engineを使うことも検討していたが、開発力とコストの兼ね合い、そして3Dグラフィックのノウハウを蓄積する必要があるという理由により見送りとなり、自社製のエンジンを使うことになった。 ---ライティングやシェーダーが弱いことは開発側も認めているため、発売後のアップデートで改善はしているものの、まだ発展途上にあると言えよう。 --グラフィック自体はやや簡素なものの、モーション自体はどのキャラもかなり滑らかではある。 ---が、レギュラーキャラの攻撃モーションに関してはやや不自然に感じやすい部分も。 -オンラインモードの仕様 --ランクマッチの仕様 ---「検索」と「待ち受け」の2種類が存在するが、前者が1P・後者が2Pと固定されている仕様のためか、「検索」では「待ち受け」の相手しかヒットしない。逆のパターンも同様で、純粋に不便。 ---「待ち受け」もトレーニングモードで待ち受けが可能なものの、オンラインモード時でのトレーニングモードでのみでしか待ち受けが行えず、通常メニューのトレーニングモードからはオンライン待ち受けは行えない。 --フリーマッチの再戦の仕様 ---フリーマッチはいわゆるプレイヤーマッチ。多人数対戦部屋に当たるもので、対戦方式に「勝ち抜き」「勝ち抜け」「再戦」の3つの方式が存在する。 ---「再戦」方式の場合、その名のとおり同じ対戦相手と間を置かず即座に再戦可能だが、部屋を建てたホストが部屋を解散しない限り''両者が合意すれば無限に再戦可能''となっているため、下手をすれば2人だけで永遠に部屋を占有する事態が発生してしまう。観戦機能も無いため、こうなってしまうと部屋で待機しているメンバーはどうしようもない。 ---本当に即座に再戦が始まるため部屋の状況も見られず、試合中のプレイヤーに周りの様子を伝えるチャット機能なども無いため、連戦中のプレイヤーにとっても不便なところである。 ---この辺りの問題も含め、「10戦で終了」や「10本先取で終了」など細かく対戦数が設定できる機能が欲しかったと言う意見もある。 --パーティーマッチの仕様 ---KOFは通常一人のプレイヤーが3キャラをまとめて操作するが、このモードに限り1プレイヤーが1キャラずつ担当する。今作独自のオンライン対戦方式である。 ---KOFは3キャラ1チーム同士での対戦なので計6キャラ登場し、パーティーモードの対戦を行うには計6人が集まる必要がある。そのため始めるまでのハードルが高い。 ---それだけならまだしも、パーティーモードでのトロフィー(or実績)が存在し、1回だけならともかく''最大100回対戦''を行わないと取得できないものまで。 ---フレンドで確保できるプレイヤーであれば比較的容易だが、そうでないプレイヤーが解除するにはハードルが高すぎるため、部屋名に「トロフィー(実績)取得部屋」と表記するなどの工夫が強いられる。それにしても多すぎると言える。 ---- **総評 中国資本による新生SNKの始まりを象徴する新生KOF。~ キャラとシステム両面におけるKOFの特徴を活かしつつ、シリーズ初期に立ち返ったような要素も多く見られる。~ 現代ではそれらの特徴との表裏一体の問題点も多いが、対戦格闘ゲームとしての出来は及第点以上。~ 発売後のサポートの手厚さも含め、SNKブランドを現在に売り出していく気合は確実に感じられる一本である。 ---- **余談 -声優話いろいろ --本作以前よりKOF好きを公言して憚らなかった声優界屈指のガチ格闘ゲーマーにしてKOFのガチ勢である市来光弘氏は、アーケード版のシステムボイス担当として本作に参加している。 --明天君の声優である劉セイラ女史は、中国人ながら日本で声優として活動している変わり種。本作のイベントへも積極的に参加している。 -今作から3Dグラフィックになった理由は「『KOF XIII』での2Dグラフィックに高い評価をいただく機会は多いが、今後5年10年先を考えると今のままでは先はないだろうということと、現在の事情から見ても3Dグラフィックの表現方法や技術・ライブラリといったノウハウを蓄積していく方が未来はあるのではないかと開発スタッフが総意として決めたもの」とのこと。 --SNK自体が3Dに不慣れであった事が伺えるソフトを多く輩出しているため、非常に重みがある。 -本作のキャラクターデザインはSNKプレイモア時代から同シリーズのパッケージや広報イラストなどを何度か手がけてきた、おぐらえいすけ氏が初のメインデザイナーを務めている。 -DLCキャラのナジュドと彼女の専用ステージは、2017年9月よりSNKとサウジアラビアの「マンガ・プロダクションズ」が共同で中東地域の若者向けにSNSを通じて行った『KOF XIV』のデザインコンペで受賞し採用されたものとなっている。 -本作の発売から約1年後、バンダイナムコの[[鉄拳シリーズ]]家庭用最新作『鉄拳7』へギース・ハワードがゲスト参戦している。 --出身元である『[[餓狼伝説>餓狼伝説シリーズ]]』シリーズからの参戦扱いだが、パワーゲージの概念やパワーMAX周りのシステムなど、本作の要素が盛り込まれたキャラクター性能となっている。 --AC版では2019年2月13日稼働の『鉄拳7 FATED RETRIBUTION ROUND 2』で追加された。 -後に本作に出演したキャラクターの後日談を描いた派生作品『SNKヒロインズ -TagTeamFrenzy-』が発売されている。 -シリーズ久々のコミカライズが月刊少年シリウスとマガジンポケットにて連載されている((ナンバリング作品を除けば『ザ・キング・オブ・ファイターズ 京』以来のコミカライズである))。タイトルは「THE KING OF FIGHTERS -A New Beginning-」(あずま京太郎:著)。 --また、上記とは別にコミッククリアにて「THE KING OF FIGHTERS XIV ORIGINAL COMIC」(華小二:著)がWeb連載されていたが3ヶ月ほどで連載終了。尚、単行本化はされていない。こちらは本作の中国チームとサイコソルジャーチームの対戦が主軸の話となっている。 -PC版とAC版リリース後の2017年8月3日~2018年1月8日にかけて、中国のiDragons StudioとマレーシアのAnimonsta Studios製作によるCGアニメ「The King Of Fighters :Destiny」が主要動画サイトにて配信された((ワールドワイドでの公式配信はYoutubeとSteam。中国国内ではYouku、Bilibili、Tencent Video、iQiyi、Mango TVでの配信。))。 --全24話構成。ストーリーはKOF94~96を元に構築されており、特定キャラのサイドストーリーを挟むなどオリジナル要素もある。 --英語字幕だが音声は日本語で、各キャラの声優は一部を除き本作のキャストが中心となっている。((中国国内配信版は中国人声優による吹き替えもある)) -DLCにて復活したキャラは、かつてのテーマソングのアレンジ版が使われているが、&bold(){ロックのみ完全新曲が投入された}。 --というのもかつてのテーマソングには盗作の疑惑が指摘されている為致し方なしか((『MOW』のテーマソングであった「Spread the wings/永遠の翼」は、曲の後半部分がロバート・マイルスの楽曲「Children」に酷似している。))。

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