【くろすそーど】
ジャンル | アクション |
対応機種 | アーケード(MVS) |
販売・開発元 | アルファ電子 |
稼働開始日 | 1991年 |
分類 | ゲームバランスが不安定 |
判定 | 良作 |
配信 | バーチャルコンソール:2011年9月20日/900Wiiポイント |
ポイント |
3章が鬼門 防御が自殺行為化するバクスレイ戦等 敵騎士からモンスターから昆虫まで頑なに一対一を通すカッコ良さ |
ベルカナ地方に突如現れ、魔族の軍団を率いてベルカナ地方を支配しようとする魔人ナウシズに対し、旅の騎士、エドモンドとリチャードが立ち向かうという設定の後方視点アクションゲーム。全7面。また、ジャンルは違うがストーリー的には同社過去作品「マジシャンロード」の続編に位置する。 8方向レバー+2ボタン(通常攻撃、魔法攻撃)で操作。
『パンチアウト!』(任天堂)あるいはネオジオ『ザ・スーパースパイ』(SNK)などに似た基本システムを持つ剣劇アクションである。プレイヤーは画面上にワイヤーフレームで表示される騎士をレバーで左右に操作し、1度に1体ずつやってくる敵を倒す。レバーを上方向に入れると上段ガード、下方向に入れると下段ガードとなる。Bボタンで回数制限はあるが持っている武器に応じた魔法が発動する。A+Bボタン同時押しで、体力を消耗するが気導連斬(連続斬り)、気導障壁(緊急回避)、気導弾(飛び道具)といった特殊攻撃が出る。各シーンの敵を全滅させると経験値が加算され、一定の値まで溜めるとレベルアップして最大体力・攻撃力が上昇していく。また、GOLDを溜めて回復アイテムや新しい武器を買ったり、イベントで装備品を貰ったりと、RPG的な要素も兼ね備えている。
上述の通りレバー上下で上段と下段に防御できるのだが、敵の攻撃は上下どちらかにランダムで攻撃してくるため、運任せ(ただし、どちらの段を攻撃してくるかにより攻撃前のモーションが違う。それでも慣れないと見極めは難しい。また、完全に順番が決まっている攻撃も一部で存在する)。プレイヤーから下手に攻撃を仕掛けても超反応で防がれて反撃に遭うことが多い。従って、ゲーム操作説明にある「剣術の基本は避けてから斬る」という説明の通り、敵の攻撃をかわし、その隙を突いて攻撃するプレイを要求される。
ゲームの難易度は高い。2章までの敵はさほど強くなく、避けてから斬る、強い敵にはボタン同時押しの気導連斬を使う、といった事を守ればクリア出来る。しかし、3章以降から敵が強くなっていく。特に、3章からちょくちょく登場する「レッドウィング」という漆黒の鎧に赤いマントを羽織った敵の凶悪さは失禁モノである。攻撃の出がやたら早く、攻撃力も高いため、1度に2、3回あっという間に斬りつけ、こちらの体力ゲージの半分以上を奪っていく。また敵を足止めする「ミスト」の魔法を使ってもすぐに後方に逃げられ、気導連斬を使ってもタイミングが良く無い限りこれも途中で後方に逃げられる(ただし、いずれも連続攻撃を止めさせる手段としては非常に有効である)。
3章からこんな敵が出てくるのに、一撃で体力の8割を持って行く4章のパタフロッグ(上段ガードしていれば問題ないのだが)、ガード動作が異常に速いサタンゴートや(6章のボス戦のみ登場)、斜め斬り等こちらがガード不可能な攻撃を仕掛けてくる敵まで出現する。ボスの中でも特に5章の「バクスレイ」は非常に強敵であり、ここで挫折してしまったプレイヤーも多いだろう。
それでも頑張ればプレイを重ねていくことで確実に上達できる度量を兼ね備えているだけ、難易度極悪なゲームがひしめき合う初期のネオジオの作品の中ではまだまともな難易度ともいえるのだが。
最終的には上下段(どころかガード不能も)関係なく、「剣術の基本は避けてから斬る」を忠実に守ったタイミング良く横に避ける攻略法が確立されて、難易度が大幅に下がることとなった。
グラフィック、BGMは中世ファンタジーの世界観をかなりうまく表現できている。
敵も敵騎士・各種モンスター・悪魔・巨大生物・昆虫といったものまで一対一を頑なに守り通す騎士道精神に溢れる者ばかりで、本作最大の雰囲気作りを担っている。
中盤以降の各ステージで立ちはだかる敵幹部「デスマスカレイド(道化師)」「クディソホウ(骸骨戦士)」「バクスレイ(騎士)」「ガルドウイング(悪魔)」「サタンゴート(ヤギ騎士)」も基本的に各ザコキャラの色違いでありながら全く格が違う様が非常にカッコ良い。ラスボス戦直前で全員と再戦する際の演出の盛り上がりもあり、プレイ中彼らにカリスマ的な魅力を感じずにはいられないだろう。
しかもラスボスの魔人ナウシズは「ここまで来た君達の勇気に敬意を表し、姫君はお返ししよう。安心して死ぬがよい」と戦う前に言うのである。こんな潔いラスボスはなかなかいないであろう。
いかにパターン化して攻略するかのやり込み度も非常に高く、特にゲームセンター全盛期においては、腕を競い合うプレイヤーとギャラリー達で連日賑わいを見せており、今でも根強いファンは多い。
初期のネオジオ作品にはとにかく作品のラインナップを増やそうとした余り、調整不足でゲームバランスが不安定な作品も多かった。ゲームシステムや世界観には見るべきものがあり、売れ筋ソフトになる可能性も十分あった惜しい作品も多い。