「ロマンシア」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
ロマンシア - (2016/07/22 (金) 10:41:59) の編集履歴(バックアップ)
ロマンシア
【ろまんしあ】
ジャンル
|
アクションADV
|
|
対応機種
|
PC-8801mkIISR以降、PC-9800F以降、X1、MSX/MSX2
|
発売・開発元
|
日本ファルコム
|
発売日
|
1986年10月6日
|
定価
|
6,800円
|
判定
|
ゲームバランスが不安定
|
クソゲー
|
ポイント
|
「高難易度」「ゲームバランスが不安定」では済まない 全てが壊れてしまっている超絶難易度(しかも意図的) もちろんセーブデータ類なし プレイヤーをハメる事に執念すら感じるトラップの数々 『こんなのアリか!?』
|
ドラゴンスレイヤーシリーズリンク
|
概要
木屋善夫氏プロデュースのドラゴンスレイヤーシリーズの三作目。
発売当初は『ドラゴンスレイヤーJr.』という肩書きだったが、後に『ドラゴンスレイヤー3』と改められた。
当時のPCゲーム、特にADVやRPGは「難しいほど良作、誰でも簡単にクリア出来るのはクソゲー」とされる風潮のせいで難易度インフレが酷く、その結果出来上がったのは本作である。
本作のキャッチフレーズは『こんなのアリか!?』、『かわいさ余って、難しさ100%』。
ストーリー
昔々、北の森に二つの小さな国がありました。その国々は兄弟で治められており、兄が治めた国はロマンシア、弟が治めた国はアゾルバといいました。そして、二つの国は何事もない平和な日々を送っていたのです。
そんなある日、ロマンシアのセリナ王女が何者かによってアゾルバにさらわれてしまいました。ロマンシアの兵たちが王女を救出に向かいましたが、戻ってくるものは一人もいません。さらに王国内に病気が流行りだし、様々な異変まで起こり始めたのです。
そんな暗い空気が覆うロマンシアに、一人の若者が訪れました。名をファン=フレディ。ある国の王子で、各地を旅して回っていました。彼はアゾルバ王国でモンスターに襲われ、なんとか戦いながらロマンシアにたどり着いたのです。
ですが訪れたそのロマンシアにあったのは、苦しむ人々でした。それを見かねたファンは王宮へ向かいます。そして王からセリナ姫探索の要請を受けたのでした。
システムと特徴
-
サイドビューのアクションADV。一見するとRPGのようだが、RPGのような成長要素はない。会話したりアイテムを使ったりして謎を解きながらストーリーを進めていく。
-
移動は上下左右とジャンプ。ジャンプは二段ジャンプが可能。攻撃は剣による打撃。また剣のストックがある場合は、飛び道具として投げる事もできる。
-
アイテムは様々なものがあり、謎解き用と移動の補助となるものが多い。一度に持てる数はそう多くはない。
-
魔法はあるが、アイテムの効果で、MPはそれに消費される。
-
カルマ
-
本作にはカルマというシステムがある。良い事をすると増え、悪い事をすると減る。要は徳のようなもの。これを増やす事が謎解きに大きく影響する。
-
制限時間制。
-
本作はクリアまでの制限時間がある。その時間はそれほど余裕はない。
-
もっとも、王に会うことで一定の時間1500に戻す事ができる。たとえそれより多くても1500にされるので、それには注意。
問題点
ゲームバランスに関する問題点
-
とにかくすぐクリア不能になり、その原因が分かりにくい。さらにクリア不能な事態になっていることもわかりにくい。
-
以下のような謎解きがほぼ全てノーヒントであり、手探りで色々と試してみて、ゲームオーバーになって覚えていくしかない。
-
毒の温泉。トラブルが解決する前に入っても何も起こらない。そこで安心して奥まで行って帰ると一瞬で毒に変わっており、HPが1にされてしまう。
-
殺してはいけないモンスター…なら前作にもあったが、本作ではほぼ全てのモンスターを殺してはいけない。実はモンスターはアゾルバ国民が変身させられたものなので、殺してしまうとカルマがガンガン減っていく。
-
触ってはいけない木。それまで触れても何ともなかったのに、あるタイミングで触れると詰んでしまう。しかもそれが他の背景の木と区別がつかない。
-
教会からもらえる様々な用途で使える薬は、話を進める上での重要なアイテムで、何回行ってももらえるので多用したくなるが、実は有限。切れれば詰む上、有限である事は教えてくれない。
-
希少アイテムをなくしてしまうトラップが各所に用意された迷宮もある。
-
発想の転換を迫られる展開がある。気づかないとかなり難易度が上がり、その苦労した先で待っているものは、詰んでしまった事に気づくだけ。
-
上記のような何でダメだったか分かりやすいものはまだマシで、以下のような何で失敗したのか気づけない・気づきにくい謎解きは多くの詰みプレイヤーを生んだ。
-
呪いがかかっていたり、聖なる力が抜けていたりで使えないキーアイテムが多く、中にはそうである事を教えてくれないものもある。使ってみて初めて気づくが、どこで何をすれば使えるようになるかはノーヒント。
-
ダミーアイテムがいくつか存在し、それを取ってしまうと正しいものが入手できなくなるのだが、ダミーアイテムだったと気づけるのがずっと後のことであり、原因も明示されない。「何か失敗したようで話が進まなくなった」としか思えない。
-
分からない出入り口。一部の場所の出入り口が完全に伏せられてる場合がある。バタバタともがいてる内にたまたま入れた、という偶然が起こらないと気づかないだろう。
-
制限時間が表示され、下二桁がある数字の時だけ通れる場所がある。それ以外の時間で通ると、ほぼ脱出不可能な地獄というダンジョンへ直行。さらキッチリ秒単位の正確さを要求してくる場所もある(しかも例の如くノーヒント)。どうやって気づけというのだろうか。
-
あちこちで会う人々は、攻略のためのヒントをまずくれない。自分たちの要求や、「○○をあげましょう」というたぐいの会話ばかり。謎は手探りで解かざるを得ない。
-
そしてこれだけのトラップがありながら、本作はセーブ不能。
-
どれだけ進めていても詰まったら最初からやり直すしかない。
-
その為、一部の謎解きの為に、直前でセーブして思考錯誤といった事が出来ず、試行錯誤の為には一々最初からやり直さなければならない。
-
当時、ACTやSTGなどの一部のゲームを除けば、セーブは当たり前にできていたので、この仕様も難易度向上の一貫と思われる。
その他の問題点
-
二段ジャンプのタイミングが難しく、ジャンプや落下に妙な慣性が効き、操作しづらい。
-
モンスターを倒す訳にはいかないので、アクションゲームとしての爽快感がない。
-
仮に倒そうにもリーチが短く、これまた当てづらい。さらに剣を飛ばしてもタイミングによって相手がすり抜けて来る事がある。また攻撃を受けたときもヒットバックが大きく、思わぬ被害を受ける事も。
-
ラスボスがかなり凶悪で、長期戦を強いられる。
-
もちろん負ければ最初からやり直し。
-
なおラスボスを倒しゲームクリアの直前に「生き物を殺したのには違いない」としてカルマがきっちり1ポイント下がる。
評価点
-
ファルコムらしい美しいグラフィックや高速スクロール等は評価が高い。
総評
クソゲーと評されてしまうものの多くは、様々な理由から開発者の最初の意図から外れてしまったもの。
だがその中でもわずかだが、別にクソゲーを狙ったわけではなくとも、そう評されても仕方がない要素をあえて意図的に仕込んだものがある。本作もそんな稀有な存在の一つである。
そのいかにも親しみやすいファンタジーな見た目、Jr.とついたシリーズ名からは、想像も付かない極悪難易度。
ザナドゥという大ヒット作品の後、しかも同じドラゴンスレイヤーシリーズを冠したものだけに、本作の前で呆然としたプレイヤーは数知れず。
Windows以前のPCゲームの代表的クソゲーとして、外す事のできない一本である。
移植
-
ファミリーコンピュータ(東京書籍/コンパイル 1987年10月30日)
-
アレンジ移植。難易度の軟化なども施されているが、グラフィック面では厳しい。また、エンディングにスタッフロールらしき演出が追加されたが、実はキャストロールだった。
-
Windows(アンバランス/日本ファルコム 1999年12月10日)
-
PC-8801版ベースのオリジナル版と、アレンジ版の2本を収録。
余談
-
本作はわずか一ヶ月で作られただけではなく、プログラムサイズも非常にコンパクトにできている。その技術力はさすが日本ファルコム。
-
FD版は起動後にディスケットを抜いても遊び続けることが出来た。つまりソフト本体の容量が64KBを下回るということである。手抜きという意味ではなく、たったこれだけのデータ量でここまでのものを作ったしまったのが凄い。
-
当時の広告イラストや4コマ漫画『みんな集まれ!ファルコム学園』にはファン=フレディ王子が人間不信になってしまうというネタが掲載されていた。こんな極悪難易度ではこうなるのも仕方ないともいえるが。
-
JICC出版局から本作のゲームブック版が発売されている。挿絵を担当したのは星里もちる氏。
-
『ソーサリアン』にて本作を非常に簡単にした同名のシナリオが収録されている。「ソーサリアンのロマンシアで初めてクリアした」という人も多数。
-
パソコン雑誌『コンプティーク』で漫画が連載された。ストーリーは初期FFのシナリオ担当である寺田憲司氏、作画担当は円英智氏。
-
ストーリーは「セリナ王女が、ファン=フレディ王子を助けに行く」というゲームとはまったく逆のものになっている。
-
その他オリジナルキャラクターが多く登場するなど、ゲームとはほとんど関係ない『ロマンシア』の名前だけ借りたオリジナルといってもいい内容になっているが、ファンタジー冒険ものとしては名作といってもいい作品である。
-
ちなみにMSX版では本当にセリナ王女を操作する隠しモードがあったりする。