ロマンシア
【ろまんしあ】
ジャンル
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アクションADV
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対応機種
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PC-8801mkIISR以降 PC-9800F以降 X1 MSX/MSX2
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発売・開発元
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日本ファルコム
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発売日
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1986年10月6日
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定価
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6,800円
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判定
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ゲームバランスが不安定
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クソゲー
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ポイント
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意図的に構築された極悪難易度 もちろんセーブ機能は一切なし 満遍なく張り巡らされたトラップの数々 システム自体は秀逸
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ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ
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概要
木屋善夫氏プロデュースのドラゴンスレイヤーシリーズの三作目。
発売当初は『ドラゴンスレイヤーJr.』という肩書きだったが、後に『ドラゴンスレイヤー3』と改められた。
詳細は後述するが、本作はとにかく難易度が高いことで有名。
当時のPCゲーム、特にADVやRPGには「難しいほど良作、誰でも簡単にクリア出来るのはクソゲー」とされる風潮があり、難易度インフレが酷かった。その果てに出来上がったのが、この本作である。
本作のキャッチフレーズは『こんなのアリか!?』『かわいさ余って、難しさ100%』。
ストーリー
昔々、北の森に二つの小さな国がありました。その国々は兄弟で治められており、
兄が治めた国はロマンシア、弟が治めた国はアゾルバといいました。そして、二つの国は何事もない平和な日々を送っていたのです。
そんなある日、ロマンシアのセリナ王女が何者かによってアゾルバにさらわれてしまいました。
ロマンシアの兵たちが王女を救出に向かいましたが、戻ってくるものは一人もいません。
さらに王国内に病気が流行りだし、様々な異変まで起こり始めたのです。
そんな暗い空気が覆うロマンシアに、一人の若者が訪れました。名をファン=フレディ。
彼はある国の王子で、各地を旅して回っていました。そしてアゾルバ王国でモンスターに襲われ、なんとか戦いながらロマンシアにたどり着きます。
ですが訪れたそのロマンシアで見たものは、数々の異変に苦しむ人々でした。
それを見かねたファンは王宮へ向かいます。そして王からセリナ姫探索の要請を受けたのでした。
システムと特徴
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サイドビューのアクションADV。一見するとRPGのようだが、RPGのような成長要素はない。会話したりアイテムを使ったりして謎を解きながらストーリーを進めていく。
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移動は上下左右とジャンプ。ジャンプは二段ジャンプが可能。攻撃は剣による打撃。また剣のストックがある場合は、飛び道具として投げたりもできる。
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アイテムはさまざまなものがあり、謎解き用と移動の補助となるものが多い。一度に持てる数はそう多くはない。
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魔法はあるが、アイテムの効果で、MPはそれに消費される。
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カルマ
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本作にはカルマというシステムがある。良い行為をすると増え、悪い行為をすると減る。要は徳のようなもの。これを増やすことが謎解きに大きく影響する。
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制限時間制。
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本作はクリアまでの制限時間がある。その時間にそれほど余裕はない。
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もっとも、王に会うことで一定の時間(1500)に戻すことができる。ただし、1500より多い場合でも、一律で1500にされてしまうので注意。
問題点
ゲームバランス
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とにかくすぐクリア不能になってしまううえ、その原因がわかりにくい。さらに、クリア不能な事態に陥っていること自体もわかりにくい。
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以下のような謎解きが、ほぼすべてノーヒント。手探りでの試行錯誤を繰り返し、ゲームオーバーになりながら攻略手順を覚えていくしかない。ただし、このゲームは「ゲームオーバーにもならずストーリーが進まなくなるだけの詰み」も多い。
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毒の温泉。トラブルが解決する前は、入ってもなにも起こらない。そこで安心して奥まで行って帰ると、一瞬で毒に変わっており、HPが1にされてしまう。
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殺してはならないモンスター…なら前作にもいたが、本作ではほぼすべてのモンスターを殺してはならない。モンスターはアゾルバ国民が変身させられたものなので、殺してしまうとカルマがガンガン減っていく。
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触ってはならない木。序盤は触れてもなんともなかったのに、あるタイミングで触れると詰んでしまう。しかもそれが他の背景の木と区別がつかない。
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教会でもらえる薬は自身の回復をはじめとして様々な用途に使え、話を進めるうえでの重要なアイテムである。何度ももらえるので多用したくなるが、じつは有限。切れれば詰んでしまううえ、有限であることも教えてくれない。
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希少アイテムをなくしてしまうトラップが各所に用意された迷宮もある。
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発想の転換を迫られる展開がある。気づかないとかなり難易度が上がり、その苦労した先で待っているものは、詰んでしまったことに気づくだけ。
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上記のような、なぜダメだったかの理由がわかりやすいものはまだマシで、以下のようななぜ失敗したのか気づけない・気づきにくい謎解きは多くの詰みプレイヤーを生んだ。
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呪いがかかっていたり、聖なる力が抜けていたりで使えないキーアイテムが多く、中にはそうであることを教えてくれないものもある。使ってみて初めて気づくが、どこでなにをすれば使えるようになるかはノーヒント。
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ダミーアイテムがいくつか存在し、それを取ってしまうと正しいものが入手できなくなるのだが、ダミーアイテムだったと気づけるのがずっと後のことであり、原因も明示されない。「なにか失敗したようで話が進まなくなった」としか思えない。
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わからない出入り口。一部の場所の出入り口が完全に伏せられている場合がある。バタバタともがいてるうちにたまたま入れた、という偶然が起こらないと気づかないだろう。
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制限時間が表示され、下二桁が特定の数字の時だけ通れる場所がある。それ以外の時間で通ると、ほぼ脱出不可能な地獄というダンジョンへ直行。さらにキッチリ秒単位の正確さを要求してくる場所もある(しかも例のごとくノーヒント)。どうやって気づけというのだろうか。製作者に言わせると、ランダムではないのだから考えればわかるはずということだが…
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あちこちで会う人々は、攻略のためのヒントをまずくれない。自分たちの要求や、「○○をあげましょう」というたぐいの会話ばかり。謎は手探りで解かざるを得ない。
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そしてこれだけのトラップがありながら、本作にはなんとセーブ機能がない。
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そのため直前でセーブして試行錯誤といったことができず、ひとつ試してそれが失敗だった時は、いちいちゲームを最初からやり直さなければならない。
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一応、裏技としてコンティニュー機能はあるが、本作の詰まりの原因は大抵が「フラグ立ての失敗」なのであまり意味がない。結局、詰まったら最初からやり直すしかない。
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当時は既に、ACTやSTGなどの一部のゲームを除けば、セーブは当たり前にできていた。よってこの仕様も、難易度を上昇させるための意図的なものだと思われる。
その他
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二段ジャンプのタイミングが難しく、ジャンプや落下に妙な慣性が効き、慣れるまでは少し操作しづらい。
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カルマの関係で適当にモンスターを倒す訳にはいかないので、アクションゲームとしての爽快感がない。
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仮に倒そうにも剣の振りはリーチが短く、これまた当てづらい。さらに剣を飛ばしても、タイミングによって敵がすり抜けてくる場合がある。また、攻撃を受けた際のノックバックが大きく、思わぬ被害を受けることも。
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ラスボスがかなり凶悪で、長期戦を強いられる。
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その時々でダメージを与えられる箇所が限られているのに、最終的に全部位を破壊するまで倒せない。もちろん負ければ最初からやり直し。
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なお、ラスボスを倒してもゲームクリアの直前に「生き物を殺したのには違いない」としてカルマがきっちり1ポイント下がる。
評価点
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ファルコムだけにアクションゲームとしての基礎は良い出来。
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上記のとおり、難易度はおかしいものになっているが、美しいグラフィックや高速スクロールなど、アクションゲームの基礎部分については、いままで築き上げてきた経験が活かされており、評価が高い。
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バグも少なく、全体的に作りは丁寧。言い方を変えれば、上記の極悪難易度は仕様通りの意図的なものという事でもあるが…
総評
とにもかくにも極悪な難易度設定が本作のすべてである。
当時の高難易度に傾倒したPCゲーム界隈の風潮からすれば、いずれこうなるのは目に見えていた。そしていざ完成した本作が、あまりの理不尽さで苦痛を感じる出来となってしまったのは、当然の帰結といえるだろう。
アクション部分のクオリティはファルコムだけに安定しているものの、それによりかえって「難易度だけでこんな惨事になるのか」というのが目に見える結果となってしまった。
ザナドゥという大ヒット作品のあと、しかも同じドラゴンスレイヤーシリーズを冠したものだけに、本作を手にして呆然としたプレイヤーは数知れず。
そうした意味でもWindows以前のPCゲームの代表的ソフトとして、外せない一本である。
移植
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ファミリーコンピュータ(東京書籍/コンパイル 1987年10月30日)
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一部の謎解きが変更・削除され、若干のアクションゲーム要素が追加されたアレンジ移植。
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制限時間の削除と、それに伴う下二桁依存の謎解きの削除、5回まで死ねる木の実の追加など、原作にくらべればプレイしやすくする工夫はされている。ヒント不足による手探り死に(詰み)覚えゲーなのはあいかわらずだが。
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FCに移植するにあたって、グラフィックは若干簡素化されており、原作に比べるといささか寂しい。
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エンディングにスタッフロールらしき演出が追加されたが、じつはキャストロールだった。
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Windows(アンバランス/日本ファルコム 1999年12月10日)
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PC-8801版ベースのオリジナル版と、アレンジ版の2本を収録。
余談
その後
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本作の翌年発売されたのが、あの不朽の名作イースである。そのキャッチコピーは「今、RPGは優しさの時代へ。」
「優しさ」の意味は様々だが、本作を含めた「ゲームの難易度は高ければ高いほどよい」という風潮を覆したことは間違いないだろう。
純粋な高難易度ゲーとしてもそうだが、業界の意識を変えるきっかけになったという意味でも、本作は記念碑的存在であるといえるかもしれない。
制作にまつわる逸話
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本作の製作期間はなんとわずか1ヶ月。それだけでなくプログラムサイズも非常にコンパクト。当然手抜きという意味ではなく、たったこれだけのデータ量でここまでのものを作ってしまったのは文字通り偉業ということであり、その技術力はさすが日本ファルコム(と言うより、木屋善夫氏と言うべきか)。
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FD版は、起動後にディスケットを抜いてもプレイできる。つまりソフト本体の容量が64KBを下回るということである。「ロードやディスク入れ替えがないファミコンの快適さをパソコンでも実現させたい」という思いで制作したものらしく、それを実際にやってのけたと言うことである。
書籍
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当時の広告イラストや4コマ漫画『みんな集まれ!ファルコム学園』にはファン=フレディ王子が人間不信になってしまうというネタが掲載されていた。こんな極悪難易度ではこうなるのもしかたないといえるが。
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JICC出版局から本作のゲームブック版が発売されている。挿絵を担当したのは星里もちる氏。
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『ソーサリアン』にて本作を非常に簡単にした同名のシナリオが収録されている。「ソーサリアンのロマンシアで初めてクリアした」という人も多数。
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パソコン雑誌『コンプティーク』で漫画が連載された。ストーリーは初期FFのシナリオ担当である寺田憲司氏、作画担当は円英智氏。
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ストーリーは「セリナ王女が、ファン=フレディ王子を助けに行く」というゲームとはまったく逆のものになっている。
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その他オリジナルキャラクターが多く登場するなど、ゲームとはほとんど関係ない『ロマンシア』の名前だけ借りたオリジナルといってもいい内容になっているが、ファンタジー冒険ものとしては名作である。
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ちなみにMSX版には、本当にセリナ王女を操作する隠しモードがあったりする。
最終更新:2024年08月01日 13:12