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10101 “WILL”THE STARSHIP - (2017/11/19 (日) 23:25:17) の編集履歴(バックアップ)


10101 ”WILL” THE STAR SHIP

【10101 うぃる ざ すたーしっぷ】

ジャンル おすすめSFアドベンチャーRPG
(RPG+アドベンチャー+シューティング)
対応機種 プレイステーション
発売元 サンテックジャパン
発売日 1997年11月6日
定価 5,800円
判定 クソゲー
ポイント 操作性悪すぎ
エネルギー切れ早すぎ
グラフィックヘボい
飯島愛2度目の声優出演


概要

  • プレイステーション界を代表するクソゲー『里見の謎』(以下「前作」)に続く、サンテックジャパンのゲームソフト第2弾。「WILL」という宇宙船を操り、宇宙を舞台に敵との攻防を繰り広げながら人類の新天地を探す。
    • 前作同様、パッケージに「おすすめシール」が貼られている。ただし今回はメーカーの名前も書かれている。
    • しかし前作同様ゲーム性もグラフィックも壊滅的であり、正直褒められた出来ではない。2作目にして、サンテックジャパンの一般向けゲーム*1としては最後の発売ソフトとなってしまった。
  • 本作のゲーム中のBGMは、クラシックの組曲「惑星」をそのまま使用している。

ゲームシステム

戦闘

  • スターラスター方式の3Dシューティング。
  • 武器は、遠距離でも使え火力的にも主力となる主砲、近距離でしか使えないが連射が効き特殊効果のある副砲を使い分けて行う。
  • 距離はこちら側の都合というよりも敵の種類によって遠距離攻撃か近距離攻撃のどちらかが明らかに強いので、敵弾幕が薄い距離を維持するのが基本となる。
    • 敵弾を回避したり迎撃する手段はないため、どちらかが撃破されるまでノーガードで撃ち合う消耗戦である。
  • 自機側は消耗したシールド*2を後述のエネルギーを消費することで回復することができるため、エネルギーの在庫が事実上のライフ、と思いきや一部に超強力な攻撃を行ってくる敵がいるため、シールドの回復速度を上回るダメージで瞬殺される場合も。

移動

  • 本作の最も問題となる要素。
  • 里見の謎では、少なくともシステム上は快適なインターフェイスで、移動も上に向かっていけば良く雑魚戦闘も(勝つも負けるも)一瞬で終了するストレスフリーなシステムであった。
  • しかし、本作は初めてマップ操作に放り出された時に大抵のプレイヤーがこうなる。
    • 「真横にある宇宙ステーションに入れねぇ!」
  • マップ上では自機が等速で直進しており、プレイヤーができる操作は旋回だけである。旋回速度は「ラダー」というパーツをアップグレードすることで上げることができるが、いかんせん初期装備のラダー性能が悪く最小旋回半径が自機の3倍ほど必要である(半径で)。
    • ちなみに、ラダーをアップグレードしていくと最終的には信地旋回が可能になる。
    • パーツを揃えると自機の高速移動も可能になる。
    • ただし、どれだけパーツを集めても「その場に静止する」ことだけは徹頭徹尾不可能である。
  • 本作では、移動・アイテム探索・攻撃・被ダメージの回復すべてに同じリソース*3を消費し、これが0になるとその場でゲームオーバーである。エネルギーはステーションで回復することができるが(当然有料である)、次のステーションがどこにあるかのヒントがまったく無いため、意を決して進んだ方向にステーションがなく、袋小路に入り込むと旋回の不自由さもあってあっという間にエネルギーの底が見えてしまう。

ステーション

  • いわゆる街。エネルギーの回復(単価設定)、装備品の鑑定、セーブが可能。一つのマップに3~5箇所ほど配置されている。
  • ワールドマップもなく、予備エネルギーのたぐいは一切持ち歩けないため、新しいマップに進んだ時はまずこの場所を把握することが最優先事項となる。
  • 階層の浅いマップではエネルギー単価も安いが、マップを進む度に単価が猛烈に値上がりする。先のマップに進む前に最寄りのスタンド、もといステーションで満タンにしておかないと、次のマップで満タンにしようとしたらお金(VP)が足りなくなる場合も。
    • 消費エネルギーを軽減するパーツ、旋回速度を上げるパーツをエネルギー単価の安い浅い階層で入手するまで粘るのが基本で、むやみに先のマップに進むとじり貧に追い込まれる。

鑑定

  • 本作では新しいパーツを拾った場合未鑑定状態で入手する。未鑑定状態では自機に装備できず、鑑定成功して初めて装備できる様になるのだが‥‥
  • クルーによる鑑定は無料だが、確率で失敗し、一度鑑定に失敗するとクルーによる再鑑定は不可能になる。
    • ちなみに、鑑定メニューでの表記が「鑑定確立」。ものすごい気になる。
    • 鑑定ができるクルーは複数名いるのだが、クルーによって得意なパーツがある。不得手なパーツを鑑定させると大半は失敗するが、低確率で突然変異的にとがった性能のパーツが出ることも。
    • 特に主砲は序盤から最終装備を引くことも可能である。ただし、後述のセーブ仕様のせいで試行錯誤は苦行だが。
  • ステーションでの鑑定は、鑑定失敗パーツを含め100%成功するが有料である。しかもかなり高い。基本的にはステーションに入る度にエネルギーを満タンにする必要がある本作では、鑑定しても不要になる可能性が高いパーツの鑑定料を払う余裕は少ない。

問題点

  • 前作と同じメーカーロゴが出る(やはりスキップ不可)。さらに妙に長いデモが流れるが、これもスキップできない。
    • オプションメニューは、音量調整が妙に細かく設定できたり、カーソルの形を変更できたりと、変な方向に凝っている。
  • 説明書は6ページしかない。しかも1ページはどのソフトにもある「使用上のご注意」なので、実質5ページ。どのページも画面写真と簡素な説明文が載っているだけで、余白が妙に大きい。
  • グラフィックは前作同様SFC並み。登場キャラの顔グラは皆へしゃげており、更にウィンドウと立ち絵で顔が明らかに違うキャラクターまでいる。
    前作はデフォルメ調の絵だからまだ言い訳も立つものの、今回は6頭身の絵であり純粋にヘタな絵と言うしかない。
    • キャラクター名も世界観に合わない奇面組テイスト。Wikipediaをして「珍妙なキャラクター名」と書かれている。
  • 主人公の「艦長」の位置付けが曖昧。ゲーム的には艦長=プレイヤーのように思えるが、実際はイベントで普通に姿を見せ、台詞もある。
    • しかしクルー達だけで話を進める所為で蚊帳の外に置かれる事も多い。かと思いきや、会話に参加して積極的にストーリーに絡む事もあったりと、立ち位置がいまいちはっきりしない。
    • 声優は記載されていないが、恐らくクルーの一人であるマルチニと同じ石田彰氏。同キャラと見た目も結構被っている。
  • 本編中はフルボイスで、声優もやたら豪華。飯島愛氏や氷上恭子氏、大川透氏など。そしてかの島紘子氏の名前も。しかし…
    • ゲームディスクをCDモードで再生すると、ボイスドラマが流れる。なぜか各キャラクターの留守番電話風メッセージも収録されている(しかも録音が変なところで途切れている)。
    • 冒頭、「提督」というキャラが、エネルギーを明らかに「エルギー」と発音している。
      • Energyは「énɚdʒi(エナジー)」と発音するので、恐らくそれと「エネルギー」が混同しているだけだと思われる。
    • ザコキャラと戦闘になる度に、いちいち「レーダーに捕捉!」「艦長、いかがいたしますか?」「了解!」といった乗組員達のセリフがいちいち流れる。
    • 島紘子氏は宇宙ステーションのスタッフの声を当てているのだが、「ステーション・ミスリル」と発音する時に明らかに噛んでいる。「ステーション・ミスィル」。
      • 異空間では何故か土偶埴輪がスタッフを担当しており、この声も島紘子氏。シュールなどというレベルではない。
      • エンディングテーマも歌っているのだが、声が何度も裏返っている(歌自体は上手)。
    • 飯島愛氏は他に副船長の声も担当しているのだが、完全に棒読み。特にボボロワというキャラが死亡するイベントの声は一聴の価値あり。
      「あーボボロワボボロワーあーボボロワー」(←テキストでも本当にこう書かれている)。
    • パッケージには飯島愛声優初挑戦などと書かれているが、実際には1995年にSFCソフトの『マジカルポップン』というアクションゲームで主人公の声を充てているので、声優初挑戦ですらない。こちらもやはり棒読みだが、ゲーム自体はわりと遊べる隠れた名作である。
  • セーブする際、メモカチェックにやけに時間がかかる。しかも「セーブが終わるまでそのままの姿勢で、お待ちください」と、なぜか姿勢の固定を強要される。セーブが終了すると、「おめでとうございます」と言われるが、なにがおめでたいのかさっぱりわからない。
  • フィールド(宇宙空間)は、ただ移動しているだけでエネルギーが減っていく。それだけなら『銀河の三人』でもあった話だが、こちらはエネルギーの減りが尋常ではない。そもそも『銀河の三人』は一度の飛行距離次第での減少だが、こちらはそんなものは関係ない。
    • しかも障害物の当たり判定が厳しい為引っかかりやすく、引っかかっていてもエネルギーが削られていく。このため、絶対に治せない毒に侵された勇者と表現されることがある。
    • 移動中にアイテムを発見できることがあるが、回収するためには飛来するアイテムに照準を合わせて撃つ必要があり、しかも失敗すると船員から「だめでございましたのねぇ、おほほほ」「艦長失敗したんだぁ」「タイムオーバーになってら」などとバカにされる。
  • フィールドは全部で7つのマップからなっており、各マップに用意されたイベントをクリアすれば次のマップに進める…と説明書にはあるが、第5・6のマップはただの迷路で、イベントなど無い。
  • 戦闘はリアルタイムで行われるのだが、ポーズ機能は無い。
    • ネズミの顔の様な姿をしたザコ敵が登場するが、名前はチューカッピという。逆読みすると…。
  • 本作には「ケアス」と呼ばれるいわゆる敵が存在するが、緑色の肌に黄色のショートボブでプライバシー保護に使われる黒線のようなものを目に着用しているなどかなり奇抜な外見をしており今作の奇怪さをより引き立たせている。
  • 副艦長との会話では、なぜか「自爆」というコマンドが存在する。選択すると、「さようなら」という声と共にタイトル画面に戻る(爆発の効果音などは無い)。
  • ラスボスを倒すと、いきなりスタッフロールが始まる。

評価点

  • ストーリーはツッコミ所だらけではあるものの、稚拙な文章と電波だらけだった『里見の謎』よりはよっぽど形になっている。設定もそれなりに作り込んであるので、土台は悪くなかったと言える。
  • 音楽に使われているホルストの「惑星」などのクラシックは、一応壮大な雰囲気を作り出すことには成功している。
    • 元々の話をすれば原曲が良いからであって決して本作の力ではない所が悲しいが。
  • ゲームシステム自体は特徴的である。
  • 先述したとおり本作も島紘子氏が脇役で声優出演し、エンディングテーマを歌っている。前作同様なかなかの歌唱力。
    • ただし、相変わらずゲーム中の世界観にはあっていない曲調である。強いて言えば『マクロスシリーズ』の劇中歌っぽい感じ。
      どちらにしろサンテックジャパンはこれ以降一般向けゲーム業界から手を引いてしまったので、彼女の売り込みも失敗に終わってしまった。悲しいことである。

総評

『里見の謎』に続き散々な出来栄えとなりサンテックがクソゲーメーカーとしての貫禄を見せた本作ではあったが、独特かつ個性的なシステムを評価する声も僅かながら有るため
もっと作りこんでいれば良作だったかもしれない。

実際、良く言われる旋回の遅さとエネルギーマネージメントについては、「先が見えない中で生存のためのリソースが減り続ける恐怖」との戦いではあるが、次のマップへの通路が開いたからと言って急いで進まず、現在のマップをしっかり探索してじっくり自機を強化してから進めば、ガス欠でのゲームオーバーは殆ど発生しないと言って良い。
中盤くらいからマップにデブリが増えて引っかかりやすくなるが、じっくり進めばその頃にはほぼ信地旋回に近い旋回力まで強化できるはずである。
本作のゲームオーバーの大半は、敵の飽和攻撃によって「シールドを回復しているのに、回復速度を上回る火力で押し切られる」ことである。これも、「敵の得意な距離に入らない」という基本戦略で対応できる場合が大半である。

ステーションでのアイテム鑑定は不要*4、既存パーツのチューンナップは罠*5など、基本的な生存戦略を確立すれば、常に減り続けるエネルギーも緊張感の一つとして楽しめるバランスである。
いや本当に。


ところが…

前作と合わせてそのクソぶりばかりが話題になる本作だが、ラスボスを倒した後の隠し要素はあまり知られていない。

  • エンディング後のセーブデータを再開すると、もうラスボスとは戦えなくなるのだが、あるマップに隠しキャラが登場し、1周目には無かったイベントが発生する。
    • それをクリアすると、真のエンディングを見る事ができる。これは登場人物2人のフルボイスによる会話で、本ソフトには実は奥深い世界観があった事が明かされるのである。題名「10101」の意味もここで語られる。
      このイベントだけは一見の価値があると言える。
      • 問題は、その設定がゲーム本編の内容にまったく活かされていないという事である。
  • 上述の真エンディング。実は1周目でも見られる。1周目で見るのに必要なフラグがあるだけで、単純にクリアデータならいつでも見られる模様。
    • 隠しキャラはレアアイテムもらえるだけのおまけ要素らしい。