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THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD
【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず いーえっくす ねおぶらっど】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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64MbitROMカートリッジ
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発売元
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マーベラスエンターテイメント
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開発元
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アートゥーン
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発売日
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2002年1月1日
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定価
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5,800円(GBA本体セット:15,600円)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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格ゲーとして破綻 メーカー対応が香ばしすぎる マーベラスな正月の悪夢(ナイトメア) タカラ餓狼の再来
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KOFシリーズ関連作品リンク
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概要
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紹介されていた静止画状態の良さで、GBAでもネオジオ等身と同じようにKOFが出来るとファンは期待を寄せていたが…見事に裏切られた。
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アドバンスセットでは限定GBAと同時発売された。
特徴
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主なシステムは『KOF2000』とほぼ同じなので割愛するが、キャラや背景の素材に『'99』の物を使用している関係上、そちらがベースと誤解されやすい。
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本作オリジナルの新キャラクターとして、桜の花弁をベースとした技を使う「葉花萌」が追加。
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CPU戦は「チーム戦」と「シングル戦」の2つの他、チーム及びシングル戦の2つが選択可能な「通信対戦モード」、プレイヤー1人でどこまで戦えるか競う「サバイバルモード」、最終戦クリア時のタイムを競う「タイムアタックモード」、対戦の練習が可能な「スパーリングモード」、と基本的に選択可能なモードは家庭用KOFを踏襲している。
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操作モードはA,B,L,Rの4つのボタンを使用する「4ボタンモード」とA,B,Rの3ボタンを使用する「3ボタンモード」の2種類。それぞれオプションで変更出来る。
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キャラクターとチーム編成は基本的に『'99』を踏襲しているが、色々と差異がある。
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デフォルトチームのメンバーの1人はストライカー専用キャラクターとしての参戦になる。
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具体的に言うと、真吾、ジョー、ユリ、鎮元斎、ウィップ、ジョン。この6名が選ばれた基準はどうにも不明。
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が、何故かそのキャラクターは試合中のストーリーに全然関わらない。
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しかもチームごとのストーリー設定では、ジョーはムエタイ大会に出場中で、ユリは病欠してタクマに看病されている。ただし、ユリとタクマは本作の続編『EX2』に登場している。
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主人公チームは京、紅丸、前述の萌、真吾の構成。
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龍虎チームには前述のタクマの代わりにキングがいる。そのため、何気に本作オリジナルの構成となっている。
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割を食ってか女性格闘家チーム消滅。
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エディット専用、かつボスキャラクターに庵とギース。
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隠しストライカーにはK'、マキシマ、ヴァネッサ、山崎が登場。『2000』の主人公チームかと思いきや、最後の1人はラモンでなく何故か山崎である。
問題点(というかこのゲームにはほぼ問題点しかない)
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「タカラが移植を担当したSFC版のSNK作品と並ぶ、もしくはそれ未満」と言われている程の出来。
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格闘ゲームとして、調整がまったく成り立っていない。不具合・バグだらけ。
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CPU戦ではしゃがみキックのみで勝ててしまう。
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リョウのしゃがみ強パンチが1ドットしか減らない。
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チョイの鳳凰脚やリョウの覇王翔吼拳のMAX版は通常版よりダメージが低い。
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が、ロバートのMAX版龍虎乱舞は体力ゲージの8割分のダメージ。通常版の3倍近く。
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萌の星読のダメージが異常に高い。
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キムは紅丸に対して鳳凰脚→鳳凰脚が繋がる。
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また、萌はのけぞりがやけに大きい為、キングはミラージュキック→通常技→×nや、萌は歩き小Pでの永久コンボが決められる。
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ラルフのスーパーアルゼンチンバックブリーカーで相手を投げ飛ばしている最中にストライカーが当てられる。場合によってはラルフが固まる。
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ストライカー紅丸を当てた際に超必殺技を使うと相手の動きが妙な事になる。
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テリーのライジングタックルは降下中にも攻撃判定があるため隙が皆無。
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ライジング(昇る)のに降下のせいで強いとは中々面白いネタではあるが。
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ヒットストップが画面全体方式になっている。
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全ての飛び道具に発生保証がついている。
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足払いがカウンターヒットすると追撃が可能。スパーリングモードでは設定を弄れば永久コンボも可能。
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コマンドをまったく認識してくれない。
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ダッシュ、萌の外袖、MAX版超必殺技が出しにくいと言った辺り。
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リョウの暫烈拳に至ってはコマンド通りでは出せず、虎咆の暴発でなければ出せない。
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初心者向けという触れ書きで追加された「3ボタンモード」では強キックのコマンドが→+強パンチなのだが、密着して出す場合にコマンド的に通常投げがやたらと暴発しやすく、強キックを密着して確実に出すにはダッシュから出さなければならないため、結局通常の4ボタンが実践的というオチがついている。
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通信対戦をするとボタン設定が強制的に先に通信を始めた方のものになってしまう。
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鳴り物入りで主人公チームに追加されたオリジナルキャラクター「葉花萌」もいろいろアレな性能。
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技はボイスが「つくよみ!」な星読や、発生が遅すぎて全然対空になっていない対空技の「燕飛」、庵の葵花の様な連続入力技だが、1段目と2段目が全然繋がらない「外袖」などことごとく変。
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ボイスは『真サムライスピリッツ』のチャムチャムでお馴染みの元女優・千葉麗子なのだが、例によって演技が棒読み気味。「えい↓」「やー↓」
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チャムチャムのボイスも相当アレだったのだがクセになる点では評価されていた。しかし本作ではボイスの仕様のために更に悪化している。
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ちなみに続編『EX2』では必殺技は大幅に修正・仕様変更され、ボイスはともかく殆ど別キャラクターとも言うべき変貌を遂げている。
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劣悪なストーリーモード。
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ストーリーは「優勝セレモニーの際に庵が襲い掛かる。撃退するとギースが現れ、庵の中に眠るオロチの力を狙っていたと語ってから戦い、ギースは逃亡」程度で説明が済む。
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なぜ優勝セレモニーが行われずに庵がいたのか?ギースは庵のオロチの力を狙ってどうしようとしていたのか?などの点は不明である。
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ギースが自爆して逃げるのは恒例の事なので、ここは評価できるかもしれない。
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デモも見ていて面白みがない。
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それ用のBGMやイラストも用意されていない。特にイラストがないのは致命的。
その結果、立ちグラフィックと台詞のみで進行する事になる。歩行グラフィックも使われずに地面を滑るように移動。内容も状況説明ばかりでまったく面白くない。
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中ボスの庵戦とラストボスのギース戦は3対1なのだが、ボス側に補正もかかってなければ体力ゲージが実質3本分ということもなく、同じキャラクターを3回ダウンさせるという納得のいかない設定。しかも1回倒すごとに何事も無かったかのように登場デモが挟まれる。
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本編での3対1戦は相手に能力強化補正が掛かったりなどがされており、非常に強力になっているかわりに1回倒せば勝利となっていたが、本作のやり方は強引どころか馬鹿げているレベル。
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その本編ではクローンが登場していたり、ボンボン版餓狼伝説ではギースのこそ出ないがクローンが出るのもあって、相手が3体いるのはクローンだからと言うネタもあったりする。
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一応、シングル戦のボス戦では通常通りの3ラウンド2本先取の普通の格ゲーと同じ仕様になっているのだが、何故KOFの醍醐味であるチーム戦でこうなってしまったのかは理解に苦しむ。
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チーム毎にEDも用意されているが、デモと同じ仕様なのでまったく盛り上がらない。
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2チーム程は専用のED曲が用意されているのが救いか。
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『'96』から久しぶりにKOFに登場したギースの仕様。
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餓狼チームでのクリアで使用可能になるが、性能は飛ばない疾風拳・発生の遅い当て身投げを持つ『'96』仕様。隠し技にデッドリーレイブは追加されているが相当弱い。ラストボスとして出て来ても弱い。
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しかも任天堂携帯機における『'96』仕様のギースは一世代前の機種のゲームボーイで発売された『熱闘ザ・キングオブ・ファイターズ'96』で既に登場していた訳で・・・・
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主人公チームのクリアでは庵が使用可能になるが、そちらは普通の性能のため中ボスとしても強い。
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キャラクター選択画面や対戦画面の顔グラフィックは通常キャラクターは『'99』の流用だが、ギースは『'96』のものなので明らかに浮いている。
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森気楼氏による公式イラストも他のキャラクターは『'99』の写実的なイラストを使用しているのにも関わらず、彼だけ『'96』当時のアニメ調のイラストを流用。やはり浮いている。
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ハードを考えても酷い演出やグラフィック
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画面写真だけ見ると本家KOF並のクオリティだが、いざプレイしてみると動きが悪く、カクカクしている。
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OPはボスキャラクターを除く全キャラクター(ストライカー専用の真吾と鎮元斎を含む)のバストアップ絵が表示され、最後に萌のバストアップ絵が表示されるだけの手抜き仕事。
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従来のSNK作品でも『リアルバウト餓狼伝説』などは本作同様にバストアップ絵が表示されるOPだったが、それらはちゃんと専用のイラストが表示されるなど手抜きではない。
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対戦チーム毎にステージが固定されている上に、ラウンド開始時の演出もカット。
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下水道ステージは『'99』だとエレベーターの演出がストーリー等と相まって盛り上がるのだが、その演出もカット。
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掛け合いも存在しない。
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音源やボイスなどの点。
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BGMの多くは『2000』のものがアレンジされているのだが、音源がファミコン並にしょぼい。
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しかもOPなどは音量が非常に小さい。
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『2000』からの曲はまだチップチューンアレンジと捉えれば聞けないこともないのだが、よりによってストーリーモードのギース戦のBGMが「ギースにしょうゆ」などではなくオリジナル曲のため、どうにも盛り上がらない。
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ボイスもこもっている上に数が少なく、やけにケチっている。
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テリーのパワーゲイザーなんかは原作だと「パワー…ゲイザー!」と言った具合だが、本作だと「パワー…ほわぁ!」と他のボイスの使い回しになっており、まさかのタカラ餓狼の再来である。
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しかもベースとなった『2000』の物を使用しておらず、何故かそれ以前の作品の物ばかりを使用している。
例えば京は荒噛みの「ボディが甘いぜ!」等のボイスが、『'96』の頃の「燃えろ~!」や「喰らえ!」になっている。
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その他細かなミス・不具合・クソ要素。
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説明書には「ジョーあづま(正:ひがし)」「カラクター(正:キャラクター)」などの誤表記。
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勝利ボイスがチャン・コーハンにしかない。
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更に巨漢であるはずなのに身長は他のキャラクターと同じくらい。
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キャラクターセレクト画面でカーソルを動かすと処理落ちする。
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フリーズも存在。
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プレイヤー一人でどこまで戦えるか競うサバイバルモードと最終戦クリア時のタイムを競うタイムアタックモードも追加されているが、それぞれクリアしても何も特典無し。
評価点
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携帯機にしてはネオジオ版と遜色ないグラフィック、ACと同じ等身のキャラクター……の静止画を再現している点。
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システムの元となった『2000』でゲームバランスを崩した元凶のストライカージョーを含む、ダウン追い打ち効果のあるストライカーの削減。
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ただし、ストライカーリョウには残ったままである。
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関係はないが、チャンのストライカー動作が鉄球大圧殺から画面端から端までをローリングアタックで進むものに変更されている。
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ギースと萌の書き下ろしのバストアップ絵。
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前述した通り、本作の素材は基本的に『'99』の流用であるのか、新たに追加された2名は'99風のバストアップ絵が新たに書き下ろされている。
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本作で主人公チームの曲として使用されているが、続編では聞けない紅丸チームのBGMが聞ける。
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『EX2』では紅丸が参戦していないのか、主人公チームのBGMは原作では対戦時にしか聞く事ができなかった京のテーマに変更。
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続編では見れないレバー入れ特殊技と各種通常投げの名前がコマンド表で見れる点。特に萌の通常投げとレバー入れ特殊技は本作でしか見られない。
総評
格闘ゲームとしての出来はボロボロ、シナリオ面もボロボロと、全体的に出来が悪い。
余談
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メーカーの行動が非常に香ばしい。
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バグ情報を非難する書き込みの山。
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更に社員が一般人を装ってKOFのファンサイトで宣伝を行っていたのではないかという情報も。
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そして、証拠隠滅のためか掲示板を閉鎖&リニューアル。
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ただ、SNKが倒産直後で混乱状態だったことと、ハードの都合ででソースを泣く泣く削ってバグだらけになったとフォローできる点もあるが……
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ちなみに本作の開発下請けを担当したアートゥーンは主に3D系アクションゲームを手がけていた開発メーカーであり、それまで2D格闘ゲームを手がけた経験は全く無かった。
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一応誤解を招かないように言うが、アートゥーン開発の他のアクションゲーム等はそこそこな出来である(『ブリンクス・ザ・タイムスイーパー』、『ヨッシーの万有引力』、『ブルードラゴン』等)。要は「全く格ゲー開発のノウハウのない会社に何故KOFを任せてしまったのか」という、メーカー選択を誤った形。
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ただ、こちらはこちらで同じハードのロンチタイトルにてやらかしているため、全く負がないとは言えないかもしれない。
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同社にとっても黒歴史なのか、当時のアートゥーン公式サイトの開発作品紹介の欄には本作だけが存在しなかった。
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ちなみに同社は後に吸収合併されAQインタラクティブ・マーベラスAQLを経て現在はマーベラスへと統合されているが、主なスタッフは合併前後に独立しアーゼストというメーカーを設立している。
続編
続編の『THE KING OF FIGHTERS EX 2 〜HOWLING BLOOD〜?』は、発売元は同じだが製作元がサン・テックに交代し、旧SNK社員もスタッフに加わった。
詳細は当該記事を参照。