BLUE DRAGON
【ぶるーどらごん】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | Xbox 360 | 
| メディア | DVD-ROM 3枚組 | 
| 発売元 | マイクロソフト | 
| 開発元 | ミストウォーカー アートゥーン
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| 発売日 | 2006年12月7日 | 
| 定価 | 7,140円 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
坂口博信氏、植松伸夫氏、鳥山明氏の3人が『クロノ・トリガー』以来のスタッフが結集し、360発売前から話題になっていたRPG。
かつての『FF』を彷彿とさせるシステムやオーソドックスながら丁寧な造りが光る良作である。
ストーリー
10万年以上の昔、魔法と機械を意のままに操り
隆盛を誇った古代の超文明
その文明が滅んだ理由などとうに忘れ去られてしまった時代
世界の片隅にあるタタと呼ばれる小さな村には
年に一度、不吉な紫の雲とともにやってくる
10年間ずっと続いている災いがあった
村に住む少年シュウとジーロは災いに対抗する策を考え、実行に移すのだが……
特徴的なゲームシステム
エンカウントシステム
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本作はシンボルエンカウントを採用している。
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モンスターシンボルには「DETECTED」と「LOST」の状態があり、発見されたかどうかを簡単に見分けられる。
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Xボタンを押すと前方に向かってアタックを行い、ヒットすれば先制攻撃が可能。
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逆にモンスターがアタックしてくる場合もあり、これに当たると敵に先制されてしまう。前後どちらから当たったかで戦闘開始の状態も変化する。
 
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特徴的なシステムとして「エンカウントサークル」が存在する。
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右トリガーを引くと、プレイヤーを中心にサークルが表示されて全てが停止する。この時、サークル内に入っているシンボルと戦闘するかどうか自由に選択できる。
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複数のシンボルを選択することも可能。この場合は連続バトルとなり、次の敵編成が出る際にボーナスが入る。
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また、特定の組み合わせでエンカウントするとモンスター同士が戦う「モンスターファイト」が発生する。
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この場合はエンカウントした敵編成が同時に出現するが、モンスターが他のモンスターを一撃で倒したりとプレイヤーに有利な状況を作ることが出来る。
 
影
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主人公たちが手に入れる力で、シナリオでもシステムでも重要な位置を占める要素。
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影には9種類のカテゴリーと呼ばれる能力のタイプがあり、カテゴリーごとに能力補正や特殊スキルを取得することが出来る。カテゴリーの種類は以下の通り。
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ソード:物理攻撃の他に魔法剣を使えるようになる攻撃万能タイプ。
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ブラック:攻撃魔法を主体としたブラックマジックを習得できるカテゴリー。MPの成長率が高いが、防御力は低い後衛タイプ。
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ホワイト:回復魔法を主体としたホワイトマジックを習得できるカテゴリー。ブラックでは使用できない聖属性の攻撃魔法も使えるため、ゴーストなどに有効。
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パワー:補助魔法を主体としたパワーマジックを習得できるカテゴリー。物理防御、魔法防御も高くなる。
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バリア:防御系魔法バリアマジックを習得できるカテゴリー。だが、最大の価値はフィールドスキル「バリバリア」を習得できる事にある。
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アサシン:素早さが高くなる盗賊系カテゴリー。「ぬすむ」や「ぶんどる」の他、アイテム売買を有利にする「交渉術」などのフィールドスキルも習得できる。
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モンク:物理攻撃に特化したカテゴリー。「カウンター」や広範囲に攻撃できる「チャージバースト」が魅力。
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アーマー:HPの成長率が高いカテゴリー。味方の盾になる「かばう」や「ふいうち無効」などのスキルを習得できる。
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コンビネーション:アクセサリの装備数とスキルスロットを増やせるカテゴリー。強力なキャラを作るためにはかかせない。
 
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カテゴリーは戦闘でSPを獲得することでランクアップすることが出来、新しいスキルを習得できる。一度習得したスキルはカテゴリーを変えても忘れないが、スキルスロットにセットしないと効果を発揮できない。
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ようするに『FFV』のジョブチェンジシステムである。スキルをカスタマイズすることで様々な戦い方が可能になる。
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なお、最初は変更できるカテゴリーがキャラによって限られているが、一定のレベルに到達すれば未解放のカテゴリーを1つずつ解放できる。最終的に全てのカテゴリーが解放される。
 
戦闘
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戦闘は『FFX』のカウントタイムバトルに近いシステムで、画面上部に行動順アイコンが表示される。行動に応じて次の行動までの待機時間が変化する戦略性のあるバトルが楽しめる。
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戦略性の一環として「ためゲージ」システムを採用している。魔法や特定の行動を行う際に「ためゲージ」が表示され、このゲージを止めた位置に応じて行動順が変化するようになっている。ゲージ上には敵や味方のアイコンが表示されるので、これを目安に行動順を決められる。
 
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魔法は店で購入したり、宝箱から呪文書を入手して覚えることが可能。
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初期の『FF』のように魔法ごとにレベルが設定されており、例えばホワイトマジックLv2の「ゼヒール」を使用するには影を「ホワイト」カテゴリーにするか、「ホワイト」カテゴリーで習得できる「ホワイトマジックLv2」を装備する必要がある。
 
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他にも特徴的なシステムとして「バリバリア」がある。
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一度戦闘した敵をMPの消費と引き換えに戦闘を行わずに倒せるフィールドスキルで、経験値とゴールドが入らずSPだけ入るようになる。
 
その他の特徴
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イベントやボス戦の直前にはチェックポイントが用意されている。この後の戦闘で全滅しても、その場からやり直しが可能となっている。
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特定のシーンで発生する固定シューティング「メカットシューティング」がある。
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自動的に飛行する戦闘機「メカット」の機銃とミサイルを使って敵を撃退する。メカットパーツを集めて強化する要素も。
 
評価点
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鳥山氏の世界観を見事に再現したグラフィック。キャラからモンスター、フィールドに至るまで鳥山ワールド全開である。
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「ウンチスネーク」系のモンスターは『Drスランプ』でたびたび登場したウンチくんそのものである。メカのディテールも鳥山メカそのまま。
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しかも、鳥山先生本人の自画像が「トリッポー」というキャラとして登場するお笑い要素などもある。
 
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音楽もこれまでの植松サウンドに比べると異色な面もあるが、基本的に名曲ぞろい。
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王道なストーリー。
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ひょんなことから冒険に出ることになった主人公たちが世界に災いを振りまく元凶の存在を知り、偶然手に入れた力で敵の野望を阻止するため奔走する。
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そして数々の冒険と挫折を経験しながら成長し、世界の真実に触れる。少年漫画的な王道で熱いストーリー展開で万人にオススメできる。
 
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戦闘も坂口『FF』の集大成といった感じで、奥深いゲーム性を持っている。敵キャラも一筋縄ではいかず、うまく弱点を突いたり行動パターンを見極めることが重要になっている。
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例としては、とある硬い雑魚は水属性の魔法で攻撃すると軟らかくなって大ダメージを与えられるようになる…など。古代図鑑というアイテムを使うことでヒントも提示される。
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モンスターファイトの組み合わせを探すのも楽しい。上手く発生すれば有利に戦えるため積極的に狙いたくなる。
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もちろん、これらを考えず力押しでも何とかなる良バランス。
 
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前述のバリバリアのお陰で、集中してレベル上げをしたい時だけ戦闘すればよく、ストーリーを進めたい時や探索したい時に面倒がない。
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おまけにバリバリアで倒してもSPは取得できるため、カテゴリーの育成は可能。低レベルクリアにも応用できる。ただし、やりすぎると面白みがなくなるという意見もあるが。
 
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メニュー画面に「かいふく」というコマンドが用意されており、回復用アイテムや魔法をすぐ使用できる。いちいちアイテム画面や魔法画面を行き来する必要がなく快適。
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終盤になるまで乗り物が登場しないが、各地にあるモニュメントと呼ばれる機械を起動することで移動中ならいつでも、どこでもワープすることが出来るので探索もしやすい。
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大量のサブイベント、隠しダンジョン、隠しボス、隠し装備、強くてニューゲームでレベル50以上推奨のスーパーモードなどやりこみ要素も多数。
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海外に合わせて決定ボタンがA、キャンセルがBになっているが、オプションで逆にすることが可能。地味だが他にはない機能である。
問題点
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戦闘で処理落ちしやすい。
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魔法使用時などにアップになると明らかに処理落ちしているのがわかる。常時処理落ちでないのが救いだが。
 
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イベント中にフリーズする。アップデートも行われたが、それでも発生する場合がある。
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イベントスキップ機能があるが、複数のムービーを連続で流しているため何度もボタンを押さねばならず、やや面倒。
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あらゆるオブジェクトを調べることが出来るようになっており、そこかしこにアイテムやゴールドが落ちているため、あちこち調べるとかなり面倒。
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どこを調べても短いアクションの後、ワンテンポ遅れて結果が出るのでテンポが悪い。
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何もない場所を調べると「NOTHING」と表示されるだけで、他と同じ時間がかかるのでさらにテンポが悪く感じる。一応、「NOTHING」を出した数に応じてアイテムをくれる「ナッシングおじさん」というキャラがいるのが救いだが、登場は中盤になってからのためそれまでに探索を止めてしまうケースも。
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要するにNOTHINGとは言いつつも、『ドラクエ』の「ちいさなメダル」および「メダル王」に相当するものである。
 
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無料DLCで手に入る「ナッシングメガネ」を装備すれば見分けられるようになるので、面倒な人は導入しておこう。
 
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メンバーの出入りが激しく、なかなか全員が揃わない。
    
    
        | + | ネタバレ注意 | 
DISC2中盤でクルックが長期離脱。
戻ってきたと思ったら今度はゾラが離脱。こちらはラストダンジョンに突入する直前まで戻ってこない。
全員が揃うのはDISC1終盤~DISC2前半と最終盤のみ。
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一部のイベントでミニゲームがあるが、多くの場合が連打ゲーム。一部は連打数のボーダーがかなり高く、指とコントローラに負担をかける。
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メインのシステムに目新しい部分が少ないため、古臭い、面倒くさいという意見も。
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主人公シュウの声が合っているとはいい難い。担当声優の声質が実際のキャラの年齢と合っておらず、年上っぽく聞こえ、人によっては違和感を感じる。
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作風は王道的な熱い展開ではあるものの終始シリアスであり、雰囲気も『DQ』よりは『FF』寄りに近いものとなっている。
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キャラクターデザインだけ見れば確かに鳥山ワールドなのだが、従来の鳥山氏の漫画作品や『クロノ・トリガー』等のような雰囲気を期待してしまうと、本作の作風はやや暗い印象に感じられてしまう。
 
総評
次世代機のグラフィック、数々の名曲、そして万人向けのオーソドックスながら奥深いゲーム性は良作と呼ぶに相応しい。
かつての『FF』や『ドラクエ』を次世代機で作ったらどうなるのか? その回答がこの作品とも言える。
余談
本作は多方面へのメディアミックス展開が行われており、派生作品がいくつか存在している。ただし、基本設定以外のストーリーなどは変更されている。
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アニメ
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2007年から2009年にかけて、テレビ東京系列にてテレビアニメ化された。
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基本設定やメインキャラクターだけは共通しているものの、キャラの声優や年齢、ストーリーや世界観が大きく異なる他、アニメオリジナルキャラクターも登場するなど、ゲーム版とは似て非なるパラレルワールドとなっている。
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2007年~2008年に1期『BLUE DRAGON』が、2008年~2009年に2期『BLUE DRAGON 天界の七竜』を放映していた。いずれも後にDVD化されている。
 
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このため、テレビアニメ版で興味を持ってゲーム版に入ったユーザーが、声や設定の違いに大きく戸惑うという事にもなってしまった。
 
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漫画
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週刊・月刊少年ジャンプにてそれぞれ異なる漫画が連載されていた。いずれも単行本が発売されている。
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2006年12月には週刊少年ジャンプにて『BLUE DRAGON ラルΩグラド』(原作:鷹野常雄、漫画:小畑健)が連載された。
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世界観や登場人物すら全く異なり、「ブルードラゴンの名前が付いているだけの全くの別物」と言えるほどあまりにもゲームやアニメとかけ離れた出来となっていた。作品自体の人気も振るわず、2007年7月に打ち切りとなった。
 
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上記と同時期に月刊少年ジャンプにて別の漫画作品『BLUE DRAGON ST (シークレットトリック)』(漫画:柴田亜美)も連載されていた。
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ゲーム版の4年後を描いた後日談。同誌の休刊によりこちらも2007年6月に打ち切りとなった。
 
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2008年にはVジャンプでも漫画『BLUE DRAGON 天界の七竜~空中都市の闘い~空中都市の伝説』(原作:大和屋暁、漫画:大竹紀子)が連載。
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アニメ版のスタッフが監修しており、設定もアニメ版に準拠したサイドストーリーに当たる。元々短期連載を予定しており、翌年の2009年6月に終了。
 
 
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トレーディングカードゲーム
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2007年にはKONAMIより『ブルードラゴン ロールプレイングカードゲーム』としてTCG化もされた。
 
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『ドラゴンクエストX』にて
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この作品から、アニメ第二期で登場したブルードラゴン最強形態を意識したデザインの敵「キングリザード」系が新たに登場した。
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また、大型アップデートで追加された職業「魔物使い」のクエストの中に、アニメ第一期でシュウとブルードラゴンが初めて協力関係になるシーンのオマージュが存在する。
 
続編
発売されたハード関係か、いずれの作品も発売元やゲームジャンルがそれぞれ違っている。当然マイクロソフトではない。
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『BLUE DRAGON PLUS』(DS 2008年9月4日発売)
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本作から1年後の設定で、直接の続編。発売元はAQインタラクティブ。ジャンルは「リアルタイムシミュレーションRPG」となり、システムは大きく異なる。
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当時放映されていた後述のテレビアニメ版設定ではなくゲーム版設定準拠であることや、前作とは別ハードなのにストーリー上続いている続編であること、ゲームジャンルの変更およびシステムの中途半端さから、評価はあまり高くない。
 
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『BLUE DRAGON 異界の巨獣』(DS 2009年10月8日発売)
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本作から2年後の設定(プラスから1年後)だが、主人公は自分でキャラメイクするオリジナルキャラクター(男女選択可能)となっており、ストーリーの繋がりはあまり無い。発売元はバンダイナムコゲームス。
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ジャンルは「アクションバトルRPG」となり、戦闘方式がアクションRPG形式になっている。アクションRPGとしては練りこまれた作品ではあるのだが、前作『プラス』が振るわなかったこともありほとんどヒットはしなかった。
 
最終更新:2024年05月20日 15:00