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バイオレントストーム - (2016/12/11 (日) 14:46:05) の編集履歴(バックアップ)


バイオレントストーム

【ばいおれんとすとーむ】

ジャンル ベルトスクロールアクション
対応機種 アーケード
発売・開発元 コナミ
稼働開始日 1993年
分類 良作

概要

  • 荒廃した世界を舞台に、ストレイカーという街を支配する「ゲルド」に率いられた暴力集団「グロス」は近隣を荒らし回っていた。ゲルドは側近の「レッドフレディ」に命じて、美女の「シーナ」を誘拐させた。そのシーナを救出すべく、仲間のウェイド、ボリス、カイルが戦いを挑むという設定のベルトスクロールアクションゲーム。
    • インストカードに「俺たちのマドンナがさらわれた!今、助けにいくぜ!」と書かれているが、要するにそういう事である。
    • 世界観やキャラクターは某世紀末救世主伝説を連想させる物になっているが、当時のコナミ作品同様、海外のユーザにターゲットを絞っているのか、グラフィックがアメコミ調でSEや演出が全体的にポップになっている。
    • 本作は明記されていないが同社『クライムファイターズ』シリーズの第3作目に位置しており、コナミ製最後のベルトアクションでもある。
  • 所々がFFそっくり。

操作方法及び本作のウリ

  • 8方向レバー+2ボタン(攻撃、ジャンプ)で操作。筐体の設定により、最大3Pまで協力プレイ可能。
    • 基本的な操作体系はファイナルファイト系列のベルトアクションに準ずるが、ダブルドラゴンを踏襲したクライムファイターズから派生した作品らしく、アッパー、百列キック、ローリングタックル、振り向き攻撃とFFと比べて出せる技が非常に多い。
  • ちなみに本作では当時のベルトアクションに習ってダッシュ攻撃が導入されているが、一般的な前方×2+攻撃とは違ってレバー斜め下+ジャンプのコマンドで出せる。さらに本作は前述の技で同社の他のベルトアクション同様ダウンした敵にも攻撃を加えることが可能。

FFと似ている所

  • 本作はベルトアクションの金字塔『ファイナルファイト』に酷似した作品という事で一部のプレイヤーから有名である。
  • プレイヤーはウェイド(バランス型)、ボリス(パワー型)、カイル(スピード型)から一人選択してプレイする。
  • 操作方法は前述の通りレバー+2ボタンとFFと同様。1面は駅、2面は貨物列車、3面は下町→酒場→地下プロレスリング、4面は工場(製鉄所)、5面は公園、6面は港、最終面は博物館となっている。全7面。
    • 『ファイナルファイト』のパクリと言われれば確かにそうである。ストーリーからしてさらわれたヒロインを助け出す点が同じだし、プレイヤーのタイプやザコのバリエーション、武器の種類及び使い方、デカキャラが動き回るゲーム画面といったあらゆる部分がFFと酷似している。
    • 更にステージ構成もソックリ。『ファイナルファイト』のステージには電車、地下プロレスリング、酒場、工場、海沿いの歩道、像が建ち並ぶ通路が登場するが、本作のステージもこれと似た場所が多々ある。
      • 前作の『クライムファイターズ2』からストーリーやアイテムに『ファイナルファイト』との類似が指摘されているが、本作は操作性からキャラのタイプ、ステージ構成やステージの順番…と前作に輪を掛けて『ファイナルファイト』そっくりどころか、それを通り越して『ファイナルファイト』そのものになってしまったという事である。

評価等

  • しかしながらゲームとしての完成度は決して本家と引けを取らない。
    • 操作性は非常にスムーズ。キャラが大きく、キャラパターンも多い。特に「スピード感」に関しては『ファイナルファイト』を超えていると言ってよい。慣れればテンポよく雑魚を処理していけ、その快感はなかなかのもの。
    • コナミ製のベルトアクションにありがちな操作のクセも無く、コマンド技を覚える必要があるが、初心者にも安心してプレイできる取っつきやすさも持っている。
    • ザコ敵の耐久力もそれほど高く無く、理不尽な攻撃を仕掛けてくる敵も少なく、難易度も手頃である。体力回復アイテムやボーナス得点アイテムの種類も非常に多く、見た目も楽しい。
      • 但しボス戦に関しては序盤はともかく、中盤以降はまともに殴りに行こうとすると無敵つきの反撃技でほぼ返されてしまう為、一工夫必要になる。またその仕様上、投げの掴み間合い・威力が大きいボリスが優遇されており、打撃中心で戦うことの多いカイルは冷遇されがち。もっとも、誰を選んでもやりこみ次第でクリアできる。
    • 他のコナミ作品同様、高性能な基板の性能を生かしているのかBGMも気合いが入っている。
      • 繁華街のステージではラップが流れて危険な町に来た気分を味わえたり、港のステージではロック風の曲調と挿入されるコーラスにより港町なのに50年代のアメリカを思わせるような雰囲気があったり、ボス戦では『タートルズ・イン・タイム』同様ギター全開のメタルで戦いを盛り上げる。
    • 基板の設定が工場出荷状態でエブリエクステンドなため、点数を稼げば稼ぐほど1UPが近くなり、有利になる。
      • クリアしようとするとどうしても意識しなければならない点であり、そのためにプレイの幅を狭めてしまっている面もある…が、「上手くなればなるほど長持ちできる」という実感もあり、やりこみに対する確かな手ごたえを感じさせてくれる。
      • ちなみに、3人の中で最も点数が稼ぎ易いのは意外にもボリス(掴み特殊投げの点数が非常に高い)。上記の通りボス戦時も優遇されているため、キャラの格差が開いている難点はある。

地獄の2周目

  • 本作は基板設定で周回数(1~エンドレス)を選べるが、1周目をノーコンティニューでクリアすると1周エンドにも関わらず2周目がスタートする仕様になっている。
    • こちらの2周目は『バイオレントラウンド』と呼ばれており、1面冒頭から中ボスクラスの非常に強い敵が複数配置されたり、新たな攻撃パターンが追加されたりと1周目と比べて難易度が上昇している。またとあるエリアでは、なんと制限時間がたったの40秒しかなく、ひたすらダッシュしなければ間に合わないエリアも登場している。
    • ちなみに本作は設定で残虐描写をOFFにすること出来るのだが、バイオレントラウンドに突入すると強制的に残虐描写がONになる仕様も存在。
  • 一方、通常の2周以降はスタート地点の敵配置が異なる以外は全て1周目とほぼ同じパターンになっている為上級者には手応えが無く、エブリエクステンドと相まって場合にも寄るが簡単にカンストが達成される事も。
    • その為、周回数をエンドレスに設定している台では上達したプレイヤーに居座られてインカムが稼げずオペレーターが非常に困るという難点がある。

本作の立ち位置

  • とは言え本作は人気が長続きしたわけではなく、同期の他の海外向けのコナミのアーケード作品同様に絶望的な出回りであり*1、ゲーメスト等の雑誌で取り上げられている所を見た記憶はあるが、実際に稼働している所は見たことが無いという証言が多い。また、日本では馴染みの薄いアメコミ調の絵柄と相まって、格ゲーブームや同期のベルトアクション群に埋もれてしまったのも、本作を「知る人ぞ知る隠れた名作」と評価する要因の一つとされている。

その他難点

  • 世界観が意味不明
    • 4面まではパッと見タイトル通りバイオレンスで硬派な世界観を連想させる物になっているが、5面のボス辺りからオカルト要素が登場し、プレイヤーは置いてけぼりになりやすい。
    • 加えて、ゲーム本編では全編英語で進行し、かつ他の海外向けコナミアーケード作品とは異なり日本語の字幕スーパーすら存在していないという、まさに「本当に国内で売る気があるのか?」と思わせる仕様になっている為、全体的に説明不足気味。

総評

  • ゲーム自体は完成度が高いが、見た目や出回り、FFそっくりな所が批判されて格ゲー真っ盛りの時代に埋もれてしまった不遇の良作。