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新桃太郎伝説 - (2018/10/03 (水) 06:57:41) の編集履歴(バックアップ)


新桃太郎伝説

【しんももたろうでんせつ】

ジャンル ロールプレイング
高解像度で見る
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対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 ハドソン
発売日 1993年12月24日
定価 9,800円
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
判定 良作
桃太郎シリーズリンク


概要

ハドソンの看板シリーズである桃太郎伝説シリーズの一つ。
本作はFC版『桃太郎伝説』のリメイク作としてPCエンジンで発売された『桃太郎伝説ターボ』の続編である『桃太郎伝説II』のシナリオやゲーム性を練り直したリメイク作品だが、内容は大幅に変更され、ストーリーの大筋は踏襲しつつ、大きく趣の異なる作風に変化している。

ストーリーこそFC版初代のストーリーの続き*1となっているが、先に述べた通り、「第1作目のリメイク版の続編のリメイク作」という位置づけなので、厳密にはFC版の直接の続編ではない。
そのため、FC版の続編としてみると、『ターボ』で追加・変更された一部の描写がFC版と噛み合わなくなる*2


評価点

シナリオ

  • それまでの桃太郎伝説シリーズの持ち味だった牧歌的な雰囲気やギャグ要素が尽く廃された、これまでからは考えられないほど重くシリアスな展開が持ち味。昔話をモチーフにしているのは変わらないが、根底にあるのは「上座部仏教と大乗仏教の対立」である。これまでになかった登場人物の命が奪われる描写も存在する。
    • 話の展開上、「鬼の支配(上座部仏教)」を「桃太郎たちが解放する(大乗仏教)」ことになっているが、もちろん現実の世界で上座部仏教が悪で、大乗仏教が正義であることを表しているわけではないことを言及しておく。
  • 特にその物語に華を添えるのが、リメイク元の『II』には居なかった悪役『カルラ』の存在。鬼族の王である伐折羅王 (『II』での地獄王に相当)の腰巾着であり、行く先々で桃太郎たちの前に現れて様々な嫌がらせを仕掛けたり、何かあるたびに伐折羅王に虚偽の報告をしていたりする、裏の主役とも言える存在である。
    • その所業はネタバレとなるため詳しい記述は避けるが、作中で今までのシリーズからは想像もできないような暴悪で残忍な悪行を幾度となく行い、桃太郎シリーズはおろかRPG史上でも屈指の外道悪役として今でも名を馳せている。
    • 作中のある場所で語られる鬼族の世界観やカルラの生い立ちの中にはそうならざるを得なかった事情もある*3にはあることが読み取れ、プレイヤーに複雑な感情を抱かせた。開発日記いわく「悪いけど哀れな奴」とのこと。
    • ファイナルファンタジーVI』のキャラクターであるケフカとは劇中での立ち位置など共通点が多い。なお、偶然とはいえゲームの発売時期もかなり近い。

システムなど
RPGとして、以下のような意欲的なシステムが盛り込まれている。

『絶好調』

  • フィールドを歩いていると一定確率でキャラクターが絶好調になり、戦闘中のステータスが大幅に上がるというシステム。
    • 一定時間で元に戻ってしまうが、上手くボス戦に持ち込むことができれば大幅に有利となる。ただしボス戦では恩恵が通常戦闘より小さくなるように設定されている。
      • これは、後の桃太郎電鉄シリーズや、PS版『桃太郎伝説』にて復活することとなった。

『タクティカル・ウェザー・バトル』

  • フィールドでの敵キャラとの戦闘には「天気」という概念がある。各キャラや一部の術に得意な天気&苦手な天気が割り振られており、天気によって戦況が変化するというもの。味方だけでなく敵にも得意な天気が設定されていて、その天気に変更する能力を持っていたりする。
    • どの天気になるかは毎回ランダムだが、南国は日照りになりやすい、海では時化が発生するなどの特徴分けがなされている。
  • 現在の天気が得意である場合、毎ターン体力が回復する、ステータスが増加する、術の消費技量が半分になるといった効果が発生。逆に苦手な天気の場合体力が自然減少したり、術の消費量が増加する。中には全く動けなくなったり、戦闘から逃げ出してしまうという極端な仲間も。術の威力も天気によって増加したり減少したりする。
    • 回復役として重要な浦島は苦手な天気が4つと多い。元々の体力が低いところに体力減少が加わってしまうので、戦闘の際には注意が必要となる。
    • なお、天気は一部のアイテムや術などで意図的に変化させることも可能。

『人気度』

  • 桃太郎が人々からどれくらい支持されているかを示す「人気度」というステータスがある。
    • このステータスが高いと、店で割引をしてもらえる、利用できる施設が増えるなどの利点が生じる。逆に低いと店に高い値段を吹っ掛けられたり、お供が命令を聞かなくなってしまう。
    • この人気度がある程度以上高くないと入れない場所や、一定以上無いと仲間になってくれないキャラも存在する。但し普通にクリアするだけなら無視しても問題はない。
    • 人気度は困っている人の手助けをする、ボスキャラをこらしめるなどで上昇し、敵の甘言に乗せられる、嘘をつく、仲間を戦闘不能にするなどで減少する。
    • IIでも”桃太郎らしくない行動”に対するペナルティはあったが、本作は悪行に対するペナルティと善行に対するご褒美をより明確にしたものと言える。

個性的なキャラ

  • 仲間キャラの総数は当時のRPGとしては破格の多さ。またキャラごとに癖や使い勝手も大きく異なるので、個性が大きく出ている。
    • 重要イベントの際に特定のキャラをつれていると、仲間や敵のセリフが変化するようになっており、パターンも豊富。
    • また、フィールドを歩くときに仲間が好き勝手に歩く『アクティブ・ウォーキング』など、細かいところにも独自性が見られる。
  • 敵キャラもそれぞれ独自のトリッキーな技を使うものが多く、敵との戦闘では毎回細心の注意を払う必要がある。
    • 様々な伝承・民話や仏教用語に由来する敵が多数登場しており、雪女や海坊主のような著名どころから、「うわん」や「いつまで」のようなマイナーな妖怪まで敵の種類は実に幅広い。不喜、悪杖、はちずまびんなど変わった名前の敵は十六小地獄の名称に由来していたりする。
    • 「一体の敵に必ず一つ以上の特殊能力を」という意気込みで作られたため、ザコからボスに至るまで皆非常に個性的。そのぶん、ややゲームバランスが犠牲になっている側面もあるが……。

その他

  • 格調高い純和風のBGM群
    • 作曲は旧作でおなじみのサザンオールスターズの関口和之が担当し、いずれも名曲揃いである。
      • 中でもボス戦、ダイダ王子戦、風神&雷神戦、そしてラスボス戦のBGMは特に評価が高い。
  • 妙なところへのこだわりよう、力の入れようも凄い。
    • 本作の題字『新桃太郎伝説』は今井凌雪氏(黒澤明監督の映画の題字を手がけたことでも有名な、本職の書家)にわざわざ依頼して書いてもらっている。
    • 桃太郎シリーズのお約束である女湯イベントなど、細々としたイベントやミニゲームにも力が入っている。

賛否両論点

旧作と比較して顕著なシリアス要素と死亡描写

  • 『敵を殺すのではなく懲らしめる』という根底こそ貫いている*4が、ストーリー展開上、登場人物の殺害シーンなどのショッキングな展開が多く、殺伐とした雰囲気が顕著。
    • ギャグ基調から重厚かつシリアスなストーリーへの転換を好意的に受け止めて評価しているファンは多いが、これまでほのぼの感あふれる作風を特徴として他作品と差別化していたシリーズだけに、好意的に見ない層も存在している。

問題点

  • レスポンスが遅い。
    • 特にフィールド画面が顕著である。メニュー画面を開く、仲間同士でアイテムを交換するなどの動作でイライラするプレイヤーも多い。
  • 操作性が悪い。
    • 町中では歩行速度の調整ができるが、フィールドやダンジョンでは遅い速度でしか歩けないなど、微妙に不親切。町での移動速度を速くしていると、ダンジョンでのノロノロした歩みに苛立つことだろう。
    • かと思えば、船に乗ったときの速度は勢い余って陸地に上陸してしまうほどの異常な速さ。狭い川に入った時などはとても操作しづらい。
  • エンカウント率が非常に高い*5。特に橋の上を通ると高確率で敵と遭遇する*6
    • その上雑魚敵も全体的に強く、ダンジョンでは常にギリギリの戦いを強いられる。
    • ただし、こちらにも敵全体に会心の一撃を繰り出し敵をほぼ一掃出来るようになった鹿角の術など、対抗手段は決して少なくはない。また一度倒した敵と遭遇しなくなる「オニよけの術」「かくれみの」といったものもあり、こちらは逆に強力すぎるため一応のバランスはとれており、救済措置が全くないわけではない。
    • 「しょうけら」という敵は此方の呪いを解いてくれる他、倒すと改心の証として味方1人のHPを回復してくれる。
    • 「黄粉坊」という敵は逃げ出しやすいが、なんと 倒したキャラの体力と技を全回復 させてくれる。
      • wikiや攻略本によると、本作の実質の制作期間はわずか 4ヶ月 しかなかったとの事。バランスが厳しいのもこの為であり、どうあがいても難易度調整が間に合わなかった為、これらの敵を配置してしのいだらしい。
  • 物価が非常に高い。
    • 特に装備品の値段が際立っており、先の村へ到達するほど価格が容赦なく上がる。
    • また物語後半で建造した自分の城を飛行させたり、海に潜らせる(どちらもクリアには必須)ために莫大な資金が必要になる。
      • さらに城に大砲をつけようとするとそれらを上回る金額を請求される。大砲はクリアに必須ではないが…。
  • お供の活躍頻度の減少。
    • キジ、イヌ、サルのお供たちはそれぞれ固有の特技を持っており、前作『II』では無制限に使用できたのだが、今回は特技一回につき、きび団子一つを消費するようになった。
    • 特に、その場で即エンカウントを引き起こす効果のあるイヌの「敵を呼ぶ」は『II』において経験値・資金稼ぎをする上で非常に重宝したのだが、今作では気軽には使えない。お金が増える後半でも、やはりアイテム欄を圧迫する&買い込む作業が面倒という点で変わりはない。
      • 代わりに同じく敵を呼ぶ効果を持ち、何回使ってもなくならない「鬼の笛」というアイテムがあり、比較的簡単に入手できるのでそちらが使われる。
    • 特技を覚えさせるにはエサを買って食べさせないといけないのだが、これが人間様の回復アイテムの何倍も高い。しかも3種類の数値がランダムで上がり*7、その数値が15とか30まで上がらないと使えない特技もある。早い段階で覚える特技はほんの大道芸程度だが、後々の特技は使い勝手も上がり、またそれぞれ上限の40まで上げると貴重なアイテムが最大3x3の9個まで手に入るので、一応救いはある。もっともそこまで育てるには、かなりの根気と金が要求される。
    • 戦闘中に食べさせると毎ターン援護してくれると言う非常に助かるシステムが存在してはいるが、桃太郎の道具袋から使わないと食べさせられない。イヌサルキジを全員参加させようと思ったらそれだけで主人公の道具袋の3/8を圧迫するのである。
    • またイヌやサルの特殊攻撃はボスにほとんど通用せず、かといってザコ戦へ呼び出すには前述の通りコストが高い。そのためキジだけを参戦させることになりがち。
      • キジは味方の支援や回復術を使うので、ことボス戦だと治療の手間を減らしてくれて都合がいい。イヌやサルは弱点を突いたり怯ませたりが得意なのだが、バランス取りのためかボスに効きにくいので呼び出す意味がほとんどない。
  • 役に立つ仲間と役に立たない仲間の落差が激しく、結果的にメンバーが固定されやすい。
    • 桃太郎、金太郎、浦島、夜叉姫*8の4人で組むのがストーリー的に妥当であるが、高能力+2回行動のえんま様、癖はあるがオリジナルの強力な術を使えるあしゅら、攻撃術のエキスパートである雷神、その雷神を強化できる風神などは、これらのメンバーを凌ぐほどの性能を持っている。
    • サブキャラは癖の強いピーキー性能のキャラが多く、特にデメリットがきついキャラは縛りプレイでもない限り、試しに使ってみたらお払い箱になってしまいがち。
      • 天の邪鬼や雪だるま(どちらもランダム要素が多すぎて安定しない)、貧乏神*9や福の神(どちらもステータスが極めて低い)、寝太郎(ステータスは最強で攻撃時は必ずクリティカルが出るが1/16の確率でしか行動しない)、といちや(メンバーの術をほぼ全部使える等万能だが事あるごとに大金をせしめる)などデメリットのせいで使えない奴は本当に使えない。
      • 一方、敵からの通常攻撃をほとんど受け付けないはらだし*10、鍵盤のパターンさえ覚えてしまえば他のキャラでは使えない強力な効果を生み出すことができるましら*11の二人は、プレイ方法を練ると明らかなバランスブレイカーになってしまうほど強力。
  • 大江山の暗号やあしゅらの謎かけなど、ストーリー上避けて通れない謎解きの中に異常に難しいものがある。
    • どちらも多少のヒントはもらえるが、はっきり言って(本作が最もターゲット層として想定している)小学生高学年あたりまでの子どもには難しすぎる。親や友達まで巻き込んで頭をひねった人も多いことだろう。
  • 終盤になるとフィールドマップの行き先が制限されてしまう
    + ネタバレ注意
    • 終盤になると世界が崩壊し、一部の大陸を残して海に没してしまう。これまで訪れた場所にはもう戻れず、他には地獄と月しか行くことができなくなる。特に様々なミニゲームが集う希望の都まで行けなくなるのはなんともさびしい。
      • 多くの人々が巻き込まれて死亡する光景を否応なしに思い知らされるイベントである上、フィールド曲も陰鬱としたものに変わるので気が滅入る。
  • 一部レアアイテムの入手場所のヒントがゲーム中に存在しない。
    • 「四神の刀」という、ゲーム中のある場所に持っていくことで特典が得られる四振りの刀があるのだが、そのうち「朱雀の刀」以外の三本は地面に埋まっている上、その場所についてはゲーム中一切のヒントがない。攻略本などの情報なしでは、イヌの特技「ここほれ」を使って全てのマップをしらみつぶしに探索していくしかないのである。
    • もちろんなくてもゲーム進行には全く影響がない。また4本のうち最強の「青龍の刀」があるダンジョンはクリア後に再訪する方法が少々わかり難く、「取り逃すと取り返しがつかない装備」と勘違いするプレイヤーも多かった(補足すると、なんとなく怪しい置き方をされたつづらの近くにある)。
    • これらの刀は戦闘中にアイテムとして使う事で様々な術が発動するのだが、これに関しても説明が無い。これの他に使って効果が発動する武器は他に朝凪のモリと夕凪のモリと言う一対の銛が存在しているのだが、やっぱり何の説明も無い。
      • 四神の刀は汎用の店売り刀と同じく多くの仲間が装備出来る為、専用の最強武器を持たない仲間は青龍の刀が最強武器になる。このゲームには「ものふやしの玉」と言うどんなレアアイテムだろうが複製出来る便利な道具があり、人数分用意する事もちゃんと可能なのだが、そもそもオリジナルを手に入れられなければそれも適わない。
      • 『桃太郎伝説ターボ』にも「うごのけん」「ふしまちのけん」といった入手場所ノーヒントのレアアイテムはあったが、こちらは決して高性能とはいい難くギャンブル性の高い武器であるため、見つけなくても何の問題もなかった。
  • 仲間ごとに設定されている「体重」の平均が48キロでないと通れないポイントがある。だが、ここがとんだ初見殺しになっている。
    + どう初見殺しかというと……
  • 上記の定番メンバーで挑むとすんなり通れるのだが、そこを通る際にイベントで風神によって仲間(その場のメンバーのみ)がバラバラな方向に飛ばされてしまう。
    • 特に回復担当として重要な浦島の再加入が非常に遅く、回復を浦島に任せっきりだった場合、辛くなる。
      • 実は、この期間中にすでに仲間に入っているあしゅらが有能*12で、回復系のまほろばの術は回復量が不安定だが期待値的にはこの時点で浦島が使える回復系の術の回復量を上回るうえに、攻撃役としても優秀。なので浦島はいなくてもそこまで問題が無いのだが、あしゅらは癖の強い術が多く、防御力が低い欠点がある*13ため初見では強さに気づきにくい。
      • たくさん居る仲間キャラを色々使ってもらうための措置だと思われるが、上記の通り使えるキャラと使えないキャラの差が激しく、加入時は全員一律で一段(レベル1)のため、特定メンバーを集中的に育てていると文字通り1から育て直すことになってしまう。
      • また、この場合後述のじゃこつばばあ戦の難易度が高くなる可能性が出てくる。直前に夜叉姫が人質に取られるため必然的に控えメンバーをパーティに加えて戦力を補強しなければならなくなるのだが、夜叉姫以外にも城に残った控えメンバーが2名ランダムに人質に取られてしまう。
      • この時点で戦力になるメンバーは余程偏った使い方をしていない限り金太郎、あしゅら、ましらしかおらず、この3人のうちの誰かが人質に取られてしまったら弱いメンバーを1名パーティに入れて挑まざるを得えなくなる。
  • 戦闘に敗北した時の仕様が従来シリーズから変更された。
    • 旧作では「ドラゴンクエスト」シリーズ同様、「全滅時はイベント進行状況、アイテム、経験値はそのまま据え置きで続行」であったが、本作では敗北すると最後にセーブした地点からやり直しとなり、それまで進めたゲーム内容や育てたステータスがリセットされてしまう。要は「敗北」=「ゲームオーバー」である。
    • 当時のRPGとしては決して珍しくない仕様ではあるが、本作は主人公が倒された時点で仲間が残っていても敗北になってしまう*14
      • 桃太郎は仲間の中でも高ステータスであり、その上いい装備品を付けられるのだが、敵の攻撃も熾烈なため敗北の機会は比較的多い。長時間セーブをしないまま進めて桃太郎をうっかり死なせてしまい取り返しがつかなくなるという事態も起き得るため、こまめなセーブが推奨される。
  • この点は『ファイナルファンタジー』シリーズのように、イベント途中で仲間が増減する機会が多かった(特に本作ではボス戦の最中に加わる仲間もいる)ことやストーリー性重視の内容に変化したことも関係あるのかもしれない。
  • 「人気度」システムのバランスがやや不安定。
    • 人気度が減少する条件に、仲間の死亡や戦闘からの逃走といったものが含まれている。逆に上昇する条件は少ない上に、厳しかったり面倒なものが多い。
    • そのため、基本戦闘では仲間を殺さず、逃げずに戦うことが求められる。しかし初見でそれを成し遂げるのは少々難しいので、どうしても人気度は下がりがちになる。
    • 一方で、面倒ささえ乗り切ればごくごく序盤で最高値の100にすることもできる。施設の利用料が安くなることもさることながら、ご褒美に貰えるアイテムが高額で売れたりするので、逆にバランスブレイカーになってしまう。
  • 目玉システムのタクティカル・ウェザー・バトルが空気。
    • 戦闘機会が増えるであろうダンジョンの大半は天候の影響を受けない洞窟や塔などの屋内であり、更にストーリーが進むに連れて月面や海底など天候のないフィールドが増えていくため、折角の斬新なシステムも終盤に差し掛かる頃にはプレイヤーから忘れられがち。
  • 一部の敵の能力がかなり厄介で、苦戦する場合も多い。
    • 雑魚敵では、序盤で味方が育ち切っていない時期に徒党を組み、痛恨の一撃を頻発してくる『馬鬼』、一番弱っているキャラに痛恨の一撃を放ってくるという『じゅむへんく』、きゅうりを持っていないとアイテムや所持金を全て盗んで逃げる『黒河童』*15、攻撃力、防御力がかなり高い上に後述の夜叉姫戦前にはイベントで4体で現れる『黒鬼』*16、その他にも通常攻撃がほとんど効かない雑魚敵など。
    • ボスでは、竜巻を放つことにより毎ターン固定ダメージを与えてくる+強力な術を連発し、メンバーを半壊させるボス『風神&雷神』、イベントで雑魚連続戦闘からの連戦な上に戦闘中にHPが減ると自身のパラメータを強化し全体攻撃の「流れ星の術」を放ってくる『夜叉姫』、味方が一人になるまで問答無用で動きを封じてくるボス『じゃこつばばあ』、ラスボス級の体力に加え、強力な全体攻撃を容赦なく撃ってくる『三千世界』など。
    • 特に『風神&雷神』は3回戦うのだが、最後の3回戦目はゲーム中でも最大の山場と言われるほど難易度が高い。また、2回目も3回目と比べれば幾分か楽だが、村の中で戦うため再挑戦が容易な3回目と比べて「オニよけの術」を使わなければ1時間近くもかかるダンジョンを抜けた先で戦うため負けた場合のプレイヤーのダメージは大きい。
    • その一方で弱いボスもいることはいるが、シナリオで一番盛り上がる部分のボスに限って弱いので、かえって萎えることも。
      + 弱いボスの例
    • まず、『酒呑童子』。序盤の山場である大江山のボスとして登場。有能な四天王を配下に持ち、戦闘前に桃太郎たちを全回復してくれたりと、大物として描かれているのだが……正直、酒を呷って連続攻撃してくる以外に特殊な攻撃や能力はなく、その連続攻撃も1ターン目に金太郎の「はり手」や浦島の「まもりの術」を使えばダメージを最小限に抑えられるため別段恐れる必要もない。更にHPも低いため、塵角を3連発すれば余程低レベルでもない限り3~4ターンで決着がつく。ちなみに酒呑童子以降のボスはHPが大幅に跳ね上がり塵角の3連発で瞬殺する戦法は通用しなくなる。
      • むしろ、彼が桃太郎らの力量を測るために放った四天王達とは一対一で戦う上それぞれが厄介な能力を持っており、そっちの方が苦戦する始末。特に『とらくま童子』『ほしくま童子』は桃太郎以外で勝つのは非常に難しい。ほしくま童子に至っては桃太郎でさえ勝率は5分といった所である。また、金太郎は物理攻撃を2倍にして返してくる『かね童子』にも勝つ事が出来ず、『くま童子』以外には勝つ事が出来ない。
    • もっと酷いのが、『ダイダ王子』。彼はオープニングのイベント戦闘で、桃太郎の術を吸い取り、装備品を弾き飛ばし、完膚なきまでに叩きのめす。その後も、桃太郎の前に現れては幾度も刃を交えてこちらの実力を測ってくるうえ、鬼達との会話の中でもダイダ王子の強さを物語るセリフが多く、その強大さをプレイヤーに印象付ける。
      • しかし、満を持しての最終決戦において彼は一切特殊行動を行わず、完全に単体物理攻撃一辺倒(しかも、その攻撃力も直前のダンジョンに出てくる雑魚敵以下)。こっちは4人パーティであるため、まず負けることはない。ここまで散々引っ張っておきながらこの弱さは一体何だ?と呆れるプレイヤーもいたはず。
        • 但し、オープニングと最終決戦以外にも様子見で3回戦うのだが、その時も特殊行動は一切使わず、1戦目はどうしようもない超強敵であるが2戦目は強敵ではあるが戦い方次第では何とかなりそうなぐらいになり3戦目では特に苦戦する要素もなくなる、というか直前に戦う風神雷神の方が遥かに強いぐらいである。勘のいい人ならばこの時点でダイダ王子が弱い事に気付いたかも知れない。
      • ストーリーの途中で少しだけ戦う彼の弟・アジャセ王子には桃太郎の最強の術である「鹿角の術」が効かないという特性があったのだが、彼にはこれも普通に通用してしまう。ある意味、本来武闘派ではない弟よりも弱いということになる。
      • 最後の戦闘では迷いのセリフを吐きながら戦うため、全力を出していないという説もあるが、なまじ戦闘前の前口上で「今こそ本気で戦おうぞ!」などと言ってしまっているため擁護し難い。

総評

エンカウント率を筆頭にゲームバランスには多少の難があるものの、おとぎ話を題材にした和風RPGとしての完成度は高い。
特にシナリオ面は評価が高く、ボリュームもたっぷり。特にカルラは忘れられない存在だろう。
長く愛されている作品で、今でも移植やリメイクを望む声は多い。


余談

  • 作者のさくまあきら氏が発売前の雑誌インタビューで述べたところによれば、「作品に文学性を持ち込みたい」という意図があったといい、本作のシナリオには現実の人間社会が投影されているという。
    • 王位継承問題における親子の確執や、のし上がるために外道な道に落ちざるを得なかった悪役など、そうした思惑がシリアスなシナリオに反映されているのだろう。
  • さくま氏よると、上述の通り開発期間に追われていたらしく、いずれ完全版を作りたいとの言ではあるが、今日では桃太郎シリーズはほぼ完全に電鉄シリーズにシフトしており、伝説シリーズは長らく途絶えたままである。
    • 2012年3月1日付でハドソンがコナミデジタルエンタテインメントに吸収合併され法人格を失ったため、本作はおろか桃鉄シリーズを含めた桃太郎シリーズ自体が存亡の危機に立たされている。
      • そして2012年9月1日、本人のツイッターにて「これが最後の桃鉄」「もう桃太郎シリーズは作らない」という宣言をされてしまった。背景にはどうやらコナミスタッフとの軋轢があるようだ。
    • その後、電鉄シリーズは紆余曲折を経て存続し、最新作の『2017 立ち上がれ日本!』が任天堂より発売されたが、「ハドソン側が伝説シリーズのプログラムを紛失し、電鉄シリーズも11以前のプログラムを廃棄してしまったため、旧作のリメイクや移植は不可能だ」と作者自身がホームページで言及している。
  • 偶然の一致であるが、本作の前後にハドソンが出した『天外魔境II』、『大貝獣物語』もまた、トラウマ級の虐殺展開があることで知られている。
    • なお『天外魔境II』において監督・脚本をした桝田省治は、桃太郎伝説シリーズの開発にも大きく関わっているため、一方はあながち無関係でもないとも考えられる。
  • 回復系の術を使用すると使用者の素早さに補正が入り、ターンの最初に回復できる可能性が高くなる仕様がある。
    • これは後のハドソンの作品である「天外魔境ZERO」や「大貝獣物語」に受け継がれた。
  • 貧乏神のモデルが当時『ジャンプ放送局』のレイアウトを務めていたデザイナーの榎本一夫氏であることは当時から知られていたが、貧乏神の名前を氏にちなんだ「えのっぴ」「えのもと」「えのん」のいずれかにすると移動時にお金を落とす、という裏技が仕込まれていた。
    • しかし『ジャンプ放送局』の読者を中心に前述の3つの名前を付けるプレイヤーが多かったために結局裏技として機能しなかったという。
    • そんな榎本一夫氏だが、現在では有限会社バナナグローブスタジオの代表取締役となっている。HPに載っている自画像も当時のタッチのまま。
  • 当時のファンの語り草になっているダンジョンとして『怨みの洞窟』が挙げられる。
    • これは攻略する前に自分が1番~3番目に嫌っている人の名前を入力すると2・3番目に嫌っている人の名前の敵が雑魚として、1番嫌っている人の名前の敵がボスとして、それぞれ出現するという身も蓋もない趣向のもので*17、当時の『ジャンプ放送局』にも「恨みの洞窟を愛用している」旨の内容のお便りが多数寄せられたという。
  • 微笑みの村で開催されている『天下一ダジャレ大会』の出場者の名前には当時の『ジャンプ放送局』の常連投稿者の名前が採用されている。