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DEAD RISING - (2019/01/18 (金) 23:41:07) の編集履歴(バックアップ)


DEAD RISING

【でっどらいじんぐ】

ジャンル ゾンビパラダイスアクション

対応機種 Xbox360
発売・開発元 カプコン
発売日 2006年9月28日
定価 8,379円(税5%込)
レーティング CERO:Z(18才以上対象)
廉価版 プラチナコレクション:2007年6月14日/3999円(5%税込)
再廉価版:2010年3月11日/3075円(8%税込)
配信 ゲームオンデマンド:2010年11月16日/2,675円(税5%込)
判定 良作
バカゲー
特徴 国内初のCERO-Z
ゾンビゲーム史上最強の主人公
ゾンビより人間の敵の方がだいぶオカシい
DEAD RISINGシリーズ 
 DEAD RISING / ゾンビのいけにえ / DEAD RISING 2OFF THE RECORDDEAD RISING 3DEAD RISING 4


概要

国内初のCERO-Zの作品。18歳未満の者が購入する事は禁止されている。
ジャーナリストのフランク・ウェストを操り、巨大なショッピングモール内にひしめく大量のゾンビを倒しつつ、スクープを得るのが目的。モールには多数の生存者もおり、彼らを救出して共に脱出する事もできる。
能力上昇は経験値制で、一定以上の経験値(PP)を取得するとレベルアップする。レベルに応じて技を習得したり、体力やアイテムストックの最大値が上昇したりする。
PPはゾンビを倒したり、生存者を助けたりするほか、スクープ写真を撮ったりすることなどで貯まっていく。
ちなみに、本作のパッケージにはジョージ・A・ロメロのライセンスされた物ではないと書かれている。*1


ストーリー

アメリカ・コロラド州の平凡な田舎町ウィラメッテ。人口53594人、特産物一切なし。その町が突如軍によって完全に封鎖され、徹底した情報統制が敷かれあらゆる無線まで制限された。
フリージャーナリストのフランク・ウェストは、独自のツテからそこで何かが起こっていると知り、ヘリをチャーターして潜入取材を試みる。
案の定、ウィラメッテはゾンビ達が徘徊する陸の孤島になっていた。街の様子を撮影中、大型ショッピングモールの屋上ヘリポートに目をつけたフランクは、3日後に迎えに来るようヘリのパイロットと約束をした後、ショッピングモールに単身潜入する事にした。
ヘリポートにいた男はフランクにこう言う。「その目で確かめるがいい。ここは、まさに地獄だ」


評価点

自由度の高さ

  • 「ゲーム内時間で3日間生き延びる(ゲーム内の1時間がリアル5分で、3日間はリアル6時間に相当)」ことが一応のクリア条件。ゲームオーバーになる条件は「フランクの死亡」のみ。誰が死のうと何をしようと関係ナシ、フランクさえ生きていればそれでいいのだ。
    • 「町にゾンビが溢れかえった謎を解明する」というメインストーリー「CASE FILE」と、サイドストーリーとして生存者の救出を行う「スクープキュー」があり、主にそれを進めて行くことになるのだが、メインストーリーを完全無視してひたすらモール内の生存者を救助し続けるのもよし、ありとあらゆる武器を使ってひたすらゾンビを倒して回るのもよし、ゆっくりゾンビだらけのモール内を取材して回るもよし、3日間ヘリポートにぼーっと突っ立っててもよし。とにかく何をしようと自由。
    • やろうと思えば生存者を探してひたすら殺しまわる、といった残虐プレイも可能。デメリットもあまり無い。一部エンディングを見る事ができなくなる場合もあるが。
  • エンディングはプレイヤーの行動で分岐し、72時間経過した時点でそれまでの行動に応じたエンディングを迎える。
    • メインストーリーを最後まで進めて最上位のエンディングを迎えた場合、トゥルーエンドルートと言える「OVERTIME」モードへと進むことができる。モールの滞在期間が12時間延長され、真のエンディングに向けて行動する事になる。ただしこちらのモードでは設定上、制限時間内に目的を達成できなければ最後まで生存していてもゲームオーバーとなる。

ホラーの定石を抑えつつも、ゲーム全体に漂うおバカなノリ

  • 本作に登場する様々な技や小ネタが「ライセンスされたものではない」と書かれてはいるものの、明らかに古今東西のゾンビ映画を意識した作り。
  • 主人公フランク・ウェストの異常とも思える強さ
    • もちろん始めたての低レベル状態ではかなり貧弱ですぐ死んでしまうが、レベルが上がれば本領発揮。高い所から落ちても、チェーンソーで斬られても、銃で撃たれても死なない。その辺にある物でゾンビを殴り倒したり、プロレス技をかけて倒したりと、まさに「フランク無双」状態。ゲームではよくあるとか言ってはいけない。
    • モールという場所柄、飲食店やフードコートの存在、そしてダンボールやゴミ箱からのランダムドロップなどがあり食料(回復アイテム)が割と手に入りやすい上、持ち物に複数ストックできるため回復にはほとんど困らず完全に無双状態と化す。ゾンビ1000人切りとか余裕。
    • そして、ゾンビが異様に弱い。数は多いがそれだけ。バットで殴る・植木鉢を投げつける・ナイフを投げて刺す・プロレス技をかけるなど普通の倒し方の他、スケートボードで轢く・宝石を数回投げつける・ハンドバッグで数回殴ると言った行為で簡単に死んでしまう。レベルが上がれば、フリスビーを頭に当てたり、水鉄砲でヘッドショットを繰り返すことですら死ぬ
      • 一応、ゾンビは夜になると攻撃頻度や移動スピードが強化される。さらに後半は狂信者や特殊部隊なども現れるのだが、強力な武器があればそんな事は関係ない。
      • 但し、ゾンビらしく掴みかかりからの噛み付きは繰り出してくるので、(特にレベルが低いうちは)侮り過ぎは禁物。食料でいくらでも回復できるフランクさんには一発一発は大したダメージにならないが、何度も噛まれていると押し倒されてしまう。
  • 衣装チェンジで女性用ブラを着けたり、どうみてもロックマンな恰好をするおちゃめなフランクさん。
  • フランクさんはジャーナリストのため写真を撮るのがお仕事なだけあり、撮影に関するギミックが豊富。
    • 真面目な写真撮影もあれば、美女のえっちい部分を撮るアレな写真まで、色々な撮影方法がある。
    • また、写真を撮ると経験値が溜まる。内容が衝撃的なスクープ写真ならかなりのポイントが入り、ゾンビを狩るよりも効率がいい事もある。
    • NPCもカメラを向けられると意識してポーズを取ったり、撮られるのを嫌がって顔をそむけたりする。
  • 以上の事からわかるように、「ゾンビゲーム=ホラーゲーム」という、自社が作り上げた常識を完全に破壊した。ゾンビが溢れかえる街という絶望的世界観にも関わらず付けられた「ゾンビパラダイスアクション」のジャンル名に偽りは無い。

豊富なアイテムを用いて様々な戦い方が可能

  • ショットガンやチェーンソー、鉄パイプ、鉈と言ったホラー映画の定番武器は勿論、拳銃やナイフもゾンビから無尽蔵に入手できる。銃器も銃砲店に行けば拾える。
  • 角材や刀、バット、電ノコの刃、ハンマー、フライパン、ギターと言った武器になりそうな物は一通り使える。ショッピングモールと言う場所柄、そう言った類の道具は様々な場所に落ちている。
    • 普通ならば武器として使わないであろうパラソルやベンチ、レジスターやおもちゃの剣まで武器として振り回せるし、そこら辺の植木や看板も投げつければ十分使える。ガスボンベやプロパンタンクも銃で撃てば立派な武器になり、芝刈り機ならゾンビを派手に刈り取ることができる。バケツや動物のマスクは被せてゾンビを無力化でき、皿や宝石も投げつけてゾンビを転ばせるなど、とにかく何でも武器として使える。中にはマネキンの胴体やおもちゃの剣、缶ジュースのような実用的なものも多い。
    • モールに置いてあるものはほぼすべて武器になる」と言ってもいい。
  • 武器以外には「強化本」も存在。所持することでHP回復量の上昇やPP獲得量増加、耐久性強化などの恩恵が得られる。

衣装チェンジ

  • モール内の服屋で、帽子・眼鏡・服・靴の4種類をカスタム可能。自分だけのフランクでサバイバルを楽しめる。
  • 帽子には一般的な帽子からスキンヘッドや動物の被り物にコブンの頭。眼鏡にはホッケーマスク。服も一般的なスーツから子供服や女性服。靴はハイヒールや裸足と種類も様々。着替えても体形は変わらないので、体毛の多い筋肉男がピチピチの子供服や女性服を着て喜ぶ姿は笑いを誘う。
    • ムービー中はそれらの衣装がそのまま反映されるので、ネタに突っ走った格好でシリアスなシーンをぶち壊す事もできる。
    • 生みの親である稲船氏の内輪ネタなのか、衣装の中には『ロックマンX』の主人公・エックスのコスプレセットが「メガマン」名義で登場しており、条件を満たすと射撃武器としてXバスター(名義は『リアルメガバスター』)も使用可能となる*2。Xバスターは非常に強力で、攻撃力は射撃武器中最強である。これでゼロのコスプレセット&Zセイバーが用意されていればもっと良かったのだが……、そうならなかったのが惜しまれる。
      • ちなみに、『2』では『魔界村』のアーサーの鎧、『OFF THE RECORD』ではロックマンのブルースの衣装が用意されている。

圧倒的存在感を放つサイコパス達

  • 本作にもボスは登場するが、その全てがクリーチャーではなく、極限状況に置かれた影響で発狂したり、事態に便乗して悪事を行う人間(サイコパス)である。これは本作に「もっとも恐ろしいのはモンスターではなく、他でもない人間自身」というテーマが込められている、という事を示しており、従来のゾンビゲームと一線を画する点のひとつと言える。
    • 本作のサイコパスの例として、ピザなサディスト婦警にベトナム帰り、カルト宗教の教祖、新鮮な肉をお客様に提供するため人間をミンチにしようとする肉屋、自己防衛と称して人間狩りを行うスナイパー一家、自身の店を守るスーパーや銃砲店の店主、チェーンソーを振り回すピエロ、理性のタガが外れた引きこもり等々……。
      • 正気な人もいるが、大抵はその名称通りマジで精神異常を起こしている。中には子供が食われるのを目の当たりにして発狂した人や、略奪を行う人々から商品を守るため武装した店主など、責めることが出来ない理由で発狂してしまった気の毒な人も…。
    • ストーリーに必須のサイコパスは少数で、ほとんどのサイコパス戦はスクープキュー扱いとなっている。そのため、一部を除いて無理に倒す必要はない。
      • なお、メインキャラを除くサイコパスは倒すとすぐに死亡するが、そのうちの一人であるポールのみ死亡せず、生存者として救出可能となる。

内容とは裏腹のシリアスなストーリー

  • ゲーム内容はバカゲーと言って差し支えないが、ストーリー自体はいたって大真面目。人が大勢死んでいるだけあり、本編そのものにふざけたムードは無い。
    • 最序盤こそ比較的軽いノリで進むが大筋は実際のアメリカの食料事情や環境破壊に切り込んだ暗い内容であり、終盤は主要人物が次々と死ぬ鬱展開が待ち受ける。しかし最後はお約束とも言える「政府による情報統制及び証拠隠滅への抵抗」と熱い展開も。
    • 上述したサイコパスのエピソードの他、生存者の中にも「赤ん坊がゾンビに食われて絶望する母親」と言った悲痛な境遇の人もいたりと、この状況が未曾有の大惨事である事を再認識させられる。
      • その一方でバカゲームードに引き戻してくれる、逞しいというかマイペースな生存者も多数。
    • ストーリーがほぼシリアス一辺倒という点は以降のシリーズでも引き継がれることになる。
    • ちなみに本作のストーリーはブレスオブファイアシリーズ?のシナリオライターが担当している。あちらもシリアスなストーリーにコメディ要素が散りばめられていた。
  • 実績項目が50と多め。

不評点

ロードが多め

  • ショッピングモールはいくつかの区画に分かれているが、区画を移動する時とイベント開始時にロードが挟まる。始終走り回るゲームなので頻繁に目にする事になる。
    • ロード中は予めモール内で撮影した写真が表示されるなど、退屈しないような配慮は為されている。また、360内にフルインストールする事で、ロード時間を短縮する事ができる。
  • 現行機種の移植版ではだいぶ改善されている。

メインストーリーを追跡しようとするとやや難易度が高い

  • 時間指定・場所指定のイベントが多い上、一度でも条件を満たせないと「真相は闇の中」となってしまい、そのプレイ中はメインストーリーを進めることが不可能になってしまう。やりごたえはあるが、初見で最後まで追うのはかなり厳しく周回プレイが前提である。
    • 本作ではクリア後やゲームオーバー時にレベルを引き継いで再び初めから遊ぶことが可能なので、レベルを上げてから挑戦すればストーリーを進めるのは容易になる。

死亡時の仕様がやや不親切

  • 死亡すると表示される選択肢は「最初から始める」「セーブしたポイントまで戻る」「セーブして最初から始める」の3種類。
    • セーブして最初からだと、服装とレベルのみが蓄積された状態で始まる。
  • 要するに「その場復活」「コンティニュー」が無く、こまめなセーブが必要となる。セーブポイント(守衛室と公衆トイレ)自体は多い方なのでセーブの手間はかからないのが救いだが。

一部の強力武器の存在

  • 特定のサイコを撃破すると強力な武器を入手できる。いずれも高性能だが少々強力すぎな感じがあり、これらの武器を運用できるようになればモール内にある通常武器のほとんどは不要となってしまう。
    • 特にアダム撃破後に入手できる「小型チェーンソー」は出が早く高威力で広範囲攻撃可能という欠点のない万能武器であり、加えて3冊の強化本に対応しているため耐久面の問題もないというすぐれ物*3。小型チェンソーの陰に隠れているが、クリフ撃破で入手できる「マチェット」、ラリー撃破で入手できる「肉切り包丁」も通常武器が霞む高性能武器。
    • なお、実績解除と同時に解放される「リアルメガバスター」「レーザーソード」の二つもバランスブレイカーな超強力武器だが、これらはやり込みに対するオマケ要素なので問題ではない。

夜間の視界不良

  • 舞台が大型ショッピングモールのため夜間になると営業時間外となり、建物内の照明が全て落ちて暗闇の中での探索を強いられる。月明かりもあまり刺さないので屋外も割と暗い。
    • ゾンビが強化されることもあり、夜間の移動は少々不便。
    • アイテム欄が一つ埋まるが、玩具店に置いてある「おもちゃの剣」を所持していれば、フランクの周囲が赤く光るようになるので見通しはよくなる(装備していない状態でも可)。

サイコパスの強さ

  • もちろんボスキャラなので強くて当たり前だが、序盤のサイコパスから容赦がない。
    • ストーリー上最初に出現するカリート(1回目)ですら遠距離攻撃持ちで接近戦にも強い強敵。初回プレイでステータスが低く、操作にも慣れていないプレイヤーを大いに苦しめる。
    • その後も遮蔽物がほとんどなく狭い店内で高威力・広範囲攻撃のショットガンを乱射してくるクレタス(ガンショップの店長)、高威力の車載機銃を鬼エイムで当てつつ高速で走り回る囚人三人組、多彩な攻撃手段を持ち武器の耐久力を大きく削る防御も使いこなすアダム(ピエロ)と厄介なサイコパスが立て続けに出現する。
    • 上述したように多くのサイコパスはスクープキューでの登場なので、相手にしないことも可能だが、ストーリーを追うとなるとやはり相応に戦わなければならない。

迷惑な無線連絡

  • 無線によってフランクをサポートしてくれるオティスからの連絡が割と鬱陶しい。
    • こちらの場所や状況を問わず連絡してくる上、話が微妙に長い。が、受けないといつまで経ってもピピピピと鳴り続ける。ゾンビに囲まれている時、サイコパスとの交戦中等は特に困る。会話テキストが早送りできないのも拍車を掛ける。
    • しかも手持ち式のトランシーバーなのでダメージや落下、フランクが何か行動を起こす等、ちょっとした事ですぐに交信が切れてしまうのだが、そういった場合でも「途中で切るなよ もう一度言うぞ」ともう一度最初から喋り始める。好きで切ってるわけじゃねーよ!
    • そんな彼につけられたあだ名は「KY」。まさに空気読め!とリアルで叫びたくなってくる。
      • そのオティスは後述の「∞モード」で敵として登場する。そのため本編の憂さ晴らしにボコボコにすることが可能。
  • なお、無線の難点は続編である程度解消された。

一部隠し要素の実績解放条件が厳しい

  • やりこみ派向けの要素なので、こだわらない人には大した問題ではいのだが、それにしてもやりこみ派泣かせの意地悪なもの、作業じみたものが目立つ。
  • ゾンビを大量に撃破する実績「ゾンビジェノサイダー」は、ワンプレイで53594体*4のゾンビを倒さなければならない。
    • まともにゾンビを倒し続けた場合、ピエロソー*5だろうがリアルレーザーブレードだろうがまず時間が足りない。
    • 達成のためには車に乗ってひたすらゾンビを轢き続ける作業に徹することになる。それでもリアルで5時間(ゲーム内時間で60時間)はかかるため、単調な作業を続けることになり、退屈。もちろん「∞モード」でなければストーリーを完全無視することになる。
    • だが、達成すると上述した「リアルメガバスター」という超強力武器が使えるようになるため、達成する価値は十分にある。
  • クリア後の特典で出現する「∞モード」という長時間生き残る事を目的としたいわゆるサバイバルモードがあり、実績「7デイ・サバイバー」解除のためにはプレイが必須となる。
    • このモードは一定時間(ゲーム内時間で20分、リアルタイムで1分40秒)が経過するごとに体力が減っていく。そのため食料は落ちているものを拾ったり、モール内に出現する他の生存者・サイコパスを殺して奪うことでどうにかしなければならない。
    • だが、食料の数は限られている*6上、無闇に歩き回るのは自殺行為に等しいので、長く生き残るためには「生存者を倒して食料を集める→ある程度集まったら安全なところに立てこもる→死にそうになったら食料使用→食料が不足してきたら再び調達する→集まったら安全なところに立てこもって…」という立て篭もりプレイをしなければならない。立て篭っている間は特にすることもなく、ひたすら食料を使いつつ時間が過ぎるのを待つしかない。
    • さらにこのモードはセーブができない。ゲーム内の24時間がリアルタイム2時間。実績解放条件が7日間生き残る事。すなわち、14時間+ロード時間動かし続けなければならない。
    • それだけ苦労して手に入れるアイテムが『魔界村』の主人公アーサーのパンツ、というのはあんまりである。
  • 本編のみの実績「通信中毒」は、一回のプレイでオティスからの全ての無線を一言たりとも逃さず聞くことで達成される。
    • これだけ聞くと簡単そうだが、前述の通り無線は些細なことで切れて「途中で切るなよ」、こちらの状況はお構いなし、そして無駄に長い。
    • ストーリーも進める必要があるため、他の実績と並行して進めるのも難しい。
    • 特定の場所に居たり、特定のキャラを救助していないと受けられない無線も存在し、条件の把握も手間がかかる。
  • 生存者救出の実績「セイント」は「フランクなどのメインキャラクターを含め50人以上がモールを脱出する」という条件だが、生存者救出の難易度が高いので苦労する。無線連絡がない生存者も多い上、生存者の人数がカツカツなため効率よく進めてもほとんどミスや見逃しが許されない。
    • しかも、すべての救助可能な生存者を助けてもメインストーリーを最後まで進めると実績を達成できないという嫌らしい罠も仕掛けられている*7

プレイヤーを選ぶ見た目とゲーム内容

  • 全体的に洋ゲー臭が漂うが、開発は国内メーカーのカプコンである。しかしプレイヤーにはそんな事は関係ない。
  • 本作もまた例に漏れず日本版は表現の規制が掛かっている。北米版では人体切断描写や内臓描写があるため、ゾンビを刃物で斬ると見事なほど真っ二つに切れ、生存者が死んだりフランクの一部の技(ゾンビのみで人間にその技を使っても日本版と同じ描写)で内臓が出るが、日本版ではそう言った演出はなされない。
    • 一部の武器、例を挙げるとドリルでゾンビを刺して回転させる攻撃方法があるのだが、北米版では遠心力で手足がもぎ取れ、時間がたつと攻撃範囲が狭くなる。しかし日本版は手足が取れないので攻撃範囲が広いままである。
      • 尤も、ドリルは意識しなければゲーム中一度も使わないので、ゲームバランスに差があるとは言い難いが。
    • この辺りはプレイヤーがどこまで表現を求めるか否かだろう。ゴア表現も完全に収録されたバージョンをやりたい人は北米版が推奨される。

生存者のAIが若干アホ

  • モール内で見つけられる生存者は、同行させて安全な拠点である守衛室まで送り届ける必要があるのだが、たまに変な場所でつっかえたり、妙なルートを通ろうとしたり、立ちすくんでゾンビに捕まったりと世話が焼ける。特に弱気なタイプの救出者で顕著。全体的にライフも低めなので油断するとあっという間にゾンビの餌になってしまう*8
    • アホなAIにHPの低さも相まって、生存者のエスコートはおそらくシリーズ中でも最も難しいと言える。
    • 生存者の救出が必要なのは実績解除のためと一部EDを見る時だけなので、それ以外では別に助けなくても構わないが、救出時に得られるPPはとても多いためPP稼ぎのためにはやはり救出が必要となる。
    • また、怪我で動けない生存者をおんぶしたり肩を貸したりしている時はゾンビの攻撃が目に見えて緩くなるなど、ユーザーに優しい工夫もある。この仕様は、某動画サイトではゾンデレと呼ばれ親しまれた。
    • その他、ゾンビが優先的に自分を狙うようになるミックスジュースや、生存者のAIが強化される本もあるのでそれを利用すれば大分楽になる。
  • これらの生存者の難点は続編の「2」や「OTR」でだいぶ解消されている(ただし「2」ではむしろ強化しすぎた感はある)。

総評

生存者の救出に尽力したり、ひたすら立て篭もったり、気ままにゾンビを駆逐したりと、幅広いプレイスタイルで楽しめる作品。
高い自由度と納得できるレベルの行動制限が両立されており、ロード回数以外の重大な短所もないため、完成度は非常に高いと言えるだろう。
ゾンビ映画などを元にした様々な小ネタも取り入れられており、絶望的な状況ながらどこかコミカルな世界観なので、残虐表現への耐性さえあれば気楽にプレイすることができる。


移殖

  • 本作はWiiで『デッドライジング ゾンビのいけにえ』としても販売されている。しかしゲーム内容は大きく異なり、世界観とストーリーを同じにした別作品と言っても差し支えない代物である。
    • 高い評価を得たbiohazard 4 Wii edition?』のシステムを丸々流用した作品なのだが、Wiiの性能でゾンビの「ワラワラ感」を表現するのはあまりにも難しく、WiiはスペックではHD機にどうしても劣ってしまう為、一部のグラフィックが初代PSと見紛うばかりに劣化してしまいゲームの内容以前の問題として酷評されてしまった不幸な作品ではある。
    • 本家とは違うアクションシューティングとして割り切れば十分遊べるが、生存者やサイコパスが何人か削除されていたり*9、生存者の救出を強制的にやらされたり(しかも救出に失敗するとゲームオーバー)、写真撮影やジャンプと言ったアクションも無くなっている。ゾンビ犬や新コスチュームなどの新要素はあるものの、自由度もボリュームもかなり低下しているので、本家とは比べない方がいい。
      • 攻略Wikiでは「360版のフランクさんが己の肉体を使って大暴れする遊撃歩兵なら、Wiiのフランクさんは銃火器を使って着実に前に進んでいく戦車」と表現されている。こう考えるとプレイ感覚の違いが分かり易いだろう。
    • 時間経過やマルチエンディングも無く、一本道のストーリーとなっている*10
    • なお、残虐表現が減ったためかWii版は対象年齢が「D」になっている。
    • この作品に合わせて、テーマソング(その名もズバリ『デッドライジング』。制作と歌唱はガガガSP)が新規作成されている。こちらはゲームの内容を端的に表現した、バカ全開の笑いを誘う歌詞(勿論日本語)が印象的な良曲である。
      • ゾンビ化したガガガSPのメンバーと本作のキャラが共演したPVも製作されているが、フランクさん達メインキャラはおろか、ゾンビやサイコパスまで一緒になって踊り狂うというもので完全にネタに走っており、本作プレイ済みの人には抱腹絶倒ものの内容になっている。Wii版本編にもそのまま収録されている。
  • iTunesのAPPSTOREに「デッドライジング・モバイル」として移植されている。サイコパスが登場しない。

その他

  • 洋ゲーライクな作りが災いして、国内での販売数は芳しくはなかった。しかし、海外での販売数も含めるとミリオンセラーを達成しているため、商業的には成功と言えるだろう。
  • 映画『ゾンビ』(ジョージ・A・ロメロの作品)の権利元から訴えられたらしいが、連邦地裁に却下されている。
  • 後に『屍病汚染 DEAD RISING』という名で実写映画化された。ストーリーは『2』を下敷きにし、稲船氏が脚本の一部と監督を担当している。
    • だが内容はゲームとはまるで別物であるため、ゲームのような展開を期待してはいけない。また、純粋な映画としての評価も低い。
  • 本作の主人公フランクは、あまりの破天荒な行動とテンションの高さ、尋常外の強さから一躍人気キャラになり、『タツノコVS.カプコン ULTIMATE ALL-STARS』に参戦するまでに。ゴールドライタンとかと互角に渡り合えるフランクさんマジパネェ。
    • しかし、それでもフランクさんにしては大人し過ぎるとの声が強く、『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』に出演した際には性能が一新され、より原作に近くなっている。
  • 2016年9月にはWindows、XboxOne、PS4への移植版が発売された。OneとPS4のパッケージ版はDL版から遅れて29日に発売。
    • PC版を除き日本版はXbox360と同様の表現規制がされているが海外版に日本語字幕が収録されているのでそちらを購入すれば規制なしでプレイ可能。内容に追加要素はないが、フルHD画質に対応したほか、360版の難点だったロード時間はかなり改善されている。