*南国少年パプワくん(SFC) 【なんごくしょうねんぱぷわくん】 |ジャンル|アクション| |対応機種|スーパーファミコン| |発売元|エニックス| |開発元|ダフト| |発売日|1994年03月25日| |定価|9,240円(税込)| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『月刊少年ガンガン』で連載され1992年に放送された同名作品のアニメをゲーム化したもの。原作と違い主人公のパプワはほとんど登場せず((各ステージのクリア後とEDに姿を見せる程度。))、キャラクターの一人・シンタローを操作して戦う。 --これはパプワをプレイヤーキャラにしてしまうとチートすぎる((原作では小石一つで山を破壊している。))ためだと思われる。同時期に発売されたGB版ではパプワが使用できるため、パプワ好きはこちらをプレイするべし。 -ライフ+残機制。経験値・レベルの概念があり、敵を倒して経験値を一定量貯めるとレベルが上がる。シンタローはレベルによってライフ数((ハートアイテムを4つ取ることでも増加する。))やガンマ砲((シンタローが使用できる特殊技。原作では手の先から光を出し、周囲を大爆発させる…のだが、このゲームでは画面全体の敵に有効なものの、一発分のダメージしか与えられない。))の弾数が増える。但し原作準拠のため、5発以上は増えない。 --ライフ残量・ガンマ砲残数・残機数は、ステージ中に用意されている特定のアイテムを得ることで回復または増加する。 -ストーリーは舞台であるパプワ島の隣に何倍もある大きな島が出現し、シンタローが単身調査に乗り出すという完全オリジナルのもの。 --各ステージにはかつてパプワたちに倒された筈のガンマ団員達が立ちはだかり、それぞれの出身地をモチーフにした雑魚敵を送り込んでくる。ステージとそれぞれのボスキャラは以下の通り。 |ステージ名|ボス| |ステージ1|忍者トットリ| |ステージ2|グンマ博士| |ステージ3|祇園仮面アラシヤマ| |ステージ4|東北ミヤギ| |ステージ5|博多どんた君| |ステージ6|名古屋ウイロー| |ステージ7|津軽ジョッカー| |最終ステージ|オリジナル| -それぞれのステージはシンタロー一人では決してクリアできないギミックが仕掛けられている。ではどうやって突破するのかというと、パプワ島の住民=ナマモノ達の力を借りるのである。 --面子もイトウくんやタンノくんといった御馴染みのキャラクターは勿論、ミミズのシミズくんや電気大ウナギのナカイくん、カエルのホサカくんと息子のタマちゃん、フクロウのカムイじいちゃなど数多い。また、原作ではタンノくんを巡って恋のライバル(?)だったイカ男のウミギシくんは中ボスとして登場する。 **評価点 -各キャラクターの動きは概ね原作漫画・アニメに忠実。一例を挙げると、ライフがゼロになって倒れた後のシンタローや敵のダメージを受けて水面に浮かび上がるタンノくんなど。 --また、グンマはアニメ版と同じようにメカヨッパライダーに乗って襲い掛かってくるのだが、倒された後はコクピットで&bold(){人力によって操縦している}ことが確認できるほか、ミヤギ・アラシヤマの二人は初登場時の衣装で出現する。芸が細かい。 --ステージ7前半のウミギシ君登場シーンは、原作を知っていれば爆笑必至。 -雑魚敵のデザインは原作者・柴田亜美がデザインしており当時のガンガン本誌でもカラーで特集が組まれた。当然世界観に&bold(){馴染みすぎるほどマッチしている}。 -雰囲気にマッチした多彩な曲がステージの各エリア、ボス、イベントごとに用意されており、その数は50曲以上。当時のアクションゲームにしてはかなりの曲数である。 --普段は南国を思わせる明るい曲調で、アラシヤマや津軽ジョッカーのステージでは和風のBGM((アラシヤマでは京都を意識したように鐘・笛がふんだんに使用され、津軽ジョッカーでは津軽三味線をメインにしたロック調))が流れるなど此方もこだわりが強い。 --サウンドドライバーも出来が良く、SFCにありがちなこもり気味の音もほとんど感じられない。 **賛否両論点 -容量の都合もあるのだろうが、残念ながら原作に登場した全てのキャラクターが出演するわけではない。 --ガンマ団を例に挙げると、アニメオリジナルキャラである別府丸やトーキョーは仕方ないといえ、武者のコージはゲーム発売時に登場したメンバーで唯一影も形も登場しない。 ---とはいえ、原作でも錦鯉のキヌガサ君ありきのキャラな上、アニメで披露したオリジナル技は見掛け倒しもいいところだったのだが…。 --シンタローの実父でガンマ団総帥であるマジックも未登場。立ち位置的に「彼がラスボスなのでは?」と予想したファンもいたため、やや肩透かしと捕らえる人もいる。 --パプワ島の住民でも一度きりの登場であったワキ蛾や鼻血ブー太郎はともかく、原作でそこそこ出番があった薫ちゃんは出てこない。 ---例えば、彼女の持ち味であるハサミを生かして柱を切り倒すという見せ場を作る事もできたのではないだろうか? -アクションゲームとしての難易度はやや低め。攻撃パターンさえ覚えてしまえば&bold(){ラスボスすらノーダメージで撃破}できる。 --ただし、前述のラスボス戦を含め攻略法が分かるまでが難しい。特にミヤギステージは攻撃が出来るタイミングが分かるまでは強敵だし、津軽ジョッカー戦では熟練したプレイヤーでも無傷での撃破は困難。 --ちなみに、ラスボスのノーダメージでの撃破方法は当時のガンガンで巻頭特集が組まれていた。 //-シンタローは声がついているのだが、ダメージを受けた時の「痛っ!」という音声のみ。まあこれは当時の容量を考えると仕方ないのだが。 //↑これは音声ではなく、声っぽく似せた効果音ではないかと・・クレジットにも声の出演らしきものはないので。 **問題点 -ラスボスは本作オリジナルのキャラクターだが、出番が唐突過ぎる。一応舞台となる島が登場した理由となるアイテムを持っているのだが、真相は撃破後にパプワが一方的に説明して終わってしまうため何の感情もわかない。 --ただし、柴田亜美の漫画によく登場しているキャラクターではある。ネタバレを防ぐため、本人も一時期自画像に使用していた「ある生き物」とだけ書いておこう。 -せっかくの目玉であるナマモノ達の出番も公平とは言えず、&bold(){出てきて二、三言しゃべって終わるだけの住民もいる}((その代わり、エグチ君&ナカムラ君やヨッパライダー等原作を語る上で欠かせないキャラばかりだが。))。一部キャラクターも自虐的に「自分の出番は何だったのか」といった内容の台詞を呟く。 --ゲームの進行上仕方ないとはいえ、「上に乗ってバネのように高く飛ぶ」という効果があるシミズ君が一番出番が多い。余談だが、原作での彼はどちらかと言えば「巻きつく」キャラのためこの役割にいるのは違和感を感じる。 -原作では改心したはずの博多どん太や津軽ジョッカーが何故か敵として登場する。戦闘後に「気がついたらここにいた」という言葉を残してシンタローに謝罪し、無事に帰っていくのだが「そもそも何故パプワ島に戻って来たのか」という説明は全くされない。 --似たような立ち位置であるキャラに「魔法の薬でコウモリになったが本作では人間に戻った」という名古屋ウイローがいるが彼については他の登場人物の台詞などから理由をある程度推察する事が出来る。 -残機0でライフも無くなるとゲームオーバーだが、コンティニューするとレベル・経験値がリセットされてしまう。パスワードコンティニュー時もリセットされるため、後半のステージでゲームオーバーになったり中断したりすると再開時の展開が厳しくなる((ただし、最終ステージは道中がないラスボス戦のみであり、攻略法がわかれば初期状態でも十分クリア可能。))。 **総評 細かいところに粗はあるものの、アニメ版の雰囲気を再現するというスタッフの意気込みは十分に伝わってくる。『パプワくん』という作品の世界観に触れたい、という人にプレイをお勧めする。 ------