*ドンキーコング3 【どんきーこんぐすりー】 |ジャンル|シューティング|~| |対応機種|アーケード|~| |発売・開発元|任天堂|~| |稼動開始日|1984年|~| |プレイ人数|1~2人(交互プレイ)|~| |判定|なし|~| |ポイント|任天堂異色のシューティング&br;マリオ不在|~| |>|>|CENTER:''[[ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク>ドンキーコングシリーズ]]''| ---- #contents() ---- **概要 『[[ドンキーコング]]』『[[ドンキーコングJR.]]』に次ぐ、ドンキーコングシリーズ三作目。~ 過去ニ作とは打って変わり、ゲーム&ウオッチの『グリーンハウス』をベースとした固定画面型シューティングゲームとなっている。 『1』ではプレイヤーキャラ、『JR.』では敵役だった''マリオは一切登場せず''、プレイヤーは「''スタンリー''」という本作オリジナル主人公を操る。~ 前作では囚われ役だったドンキーはお供(?)の虫軍団を引き連れてボスに返り咲いている。~ フラワーパークを襲ってきたドンキーコングや昆虫たちを撃退するため、スタンリーがスプレー片手に立ち向かう、というバックストーリー。~ ちなみに、スタンリーの姿は赤いツナギと青いシャツはマリオそっくりだが、帽子と髭がない。マリオが登場しないのは、「第一作で悪戯をしたドンキーが前作で売却された」という設定のため((元々はマリオのペットである))。 1人~2人交互プレイが可能。主に3つの舞台で構造されたステージをループし、エンドレスでプレイすることになる(もちろん先に進むにつれ難易度は上がる)。 ---- **特徴・システム ***主なルール -スタンリーをレバーで操作し、ショットボタンで殺虫剤にて上方向に攻撃。下に段差がある場合はレバー下で降りる。レバー上でジャンプする。ジャンプは、上に床があれば上の段に昇り、ない場合は元の場所に着地する。 --4方向レバーなので、斜交いにジャンプすることはできない。 -画面上中央にいるロープにぶら下がったドンキーをショットで画面上まで追い込むか、ドンキー以外の一定の虫をショットで全滅させるかのどちらかでクリア。 --スプレーの射程は短く、また失速するため遠くの敵には当たらない。そのため、ドンキーを最上段まで追い込むためにはジャンプ撃ちが必須だが、ジャンプ中は操作が効かないため状況をよく見ないと危険。 --ロープが短く、天井にキャップがあるステージでは虫が無限湧きする。この場合、ドンキーを上に追い込まない限りクリアできない。 --1周目に限り、通常よりも低い位置に蜂の巣があり、クリアしやすくなっている。 -画面下部に5つの植木鉢があり、放置していると虫がそれを持っていってしまう。 --画面外に敵が消える前に倒すと植木鉢は元の場所に戻るが、消えてしまうとステージ内では二度とその植木鉢は戻ってこない。ステージをクリアすると残された植木鉢の数により、特定のボーナススコアを得られるが、全部の植木鉢を奪われてもミスにはならない(クリア時に苗の植えられた新品の植木鉢が補充される)。なお、植木鉢を奪った敵は花を食べてパワーアップしてしまう(移植版ではカットされている)。 -本作に唯一存在するアイテムが「パワースプレー」である。 --ステージ開始時に画面上部に設置されていて、ドンキーを撃って上の方に押し上げると、ドンキーの手に当たって落ちてくる。それを取ると、一定時間の間、ショットの攻撃性能が上がる(この状態でないと倒せない敵もいる)。 --残機1に付き1回しか使用できないが、効果が切れる前にクリアできればステージをまたいで有効。開幕で取得して脇目もふらずにドンキーを撃ち、速攻クリアすることでタイムボーナスとパーフェクトボーナスで残機を得るのがセオリー((度々蜂に花を奪われていると、残機潰しにエクステンドが追いつかなくなって詰む))。 ---2周目から((1周目は中段中央が吹き抜けになっているステージ2が省略されている))は、ステージ1を普通にプレイして残り蜂1匹にして残機を潰し、パワースプレーを落下させてからクリア。一番難しいステージ2の開幕でパワースプレーを取得して一気にドンキーを最上段まで押し上げて速攻クリアし、あわよくばステージ3も速攻クリアかクリア直前まで進める、この間にエクステンドするのでまたステージ1で残機を潰す、の繰り返しである。 --残機潰しとエクステンドを繰り返して回していくタイプのゲームの常ではあるのだが、エブリエクステンド設定は店舗により変更可能なので、10万エブリとかノーエブリなんかの設定・FC版での1回限りだとかなり厳しくなる((標準設定は初回2万、以後3万エブリ))。 -ミス条件 --ドンキーを画面下まで落下させてしまう ---ドンキーは常に徐々に下降しており、危険域まで降りるとBGMが変化する。さらに放置していると片手ぶら下がりになり、それも放置すると次の下降でミス。 ---タイムボーナスのカウントが0になるとドンキーのぶら下がるロープに虫が現れ、それを食べ続けてしまう(ドンキーが落ちるともちろんミス)というペナルティがある。 --虫に触れる ---AC版で虫に殺られると、倒れた主人公に羽虫が群がり、主人公の肉体が武器のスプレーだけを遺して跡形もなく消滅してしまうという、微妙にグロいもの(移植版ではカットされている)。 --ドンキーや虫が放つ弾を食らう ---高次周になると、ドンキーが弾(ヤシの実)を投げる頻度が上がる。また、直接スタンリーを狙う場合と蜂の巣を狙う場合があり、蜂の巣に投げつけられたヤシの実は真下に落ち、更に新たに虫が湧いてくる(残数があるときのみ)。 ***敵の種類 -ドンキー --画面上部の2本のロープにつかまりながら徐々に下がってくる。ロープの端に達すると地面に飛び降りてきて1ミスになる。位置が下側によって来ると、時折ヤシの実を投げて妨害してくる。スプレーで画面上部まで押しやれればステージクリア。 -蜂 --画面奥から編隊を組んで飛来し、植木鉢を持ち去ろうとする。触れると1ミス。通常の蜂の他に、サイズの大きい蜂が混じって飛んでくるが、これをスプレーで倒すと分裂して飛散する。飛散した破片に接触しても1ミス。 -芋虫 --ステージに応じて、左右から張られた一定のコースの上をゆっくりと這っていく。スプレーを当てても倒せないが、一定時間、動きを止めて怯ませられる。 --動きが全体的に緩慢。中途半端なところで動きを止めてしまうとドンキーにスプレーが届かなくなってしまうため、地味に厄介な敵。 --スーパースプレーを当てて倒したり、出現途中に撃って追い返したりしても無限湧きする。 ---- **評価点 -STG単体として評価した場合、重力や失速の概念があるなど、当時の主流だった安易な宇宙戦争モチーフのものに比べて個性と説得力を持っている。 --また必要な要素を1画面内に過不足なく詰め込んでいる。この点は末期のスクロールシューティングに比べ優れている。 **賛否両論点 -前2作からのジャンル変更。 --前2作は障害物をジャンプでかわしながらステージ上部のゴールを目指すアクションゲームだったのだが、今作はスプレーで敵を攻撃する事をメインとした固定画面型のシューティングゲームに変更されている。 **問題点 -前2作と比べてステージの代わり映えに乏しい。 --前2作までは、全4ステージとはいえ各ステージ毎に個性的なものが用意されていたが、今作のステージは多少画面の構成が変わる程度の違いしかないあまり代わり映えのないものになってしまっている。 ---その代わりか、周回毎に敵の蜂が成長して姿を変えていく。ステージは代わり映えしないが、こちらの方は視覚的にわかりやすい。 -残機一つにつき1回限りのパワースプレーが強すぎて、これに全面的に依存した残機潰し系の攻略法が大味過ぎる。 --爽快感はあるが、まともにシューティングしていない場面のほうが多いのは問題。 //元々の難易度が高いので、初心者用の救済処置としては妥当じゃ? ---- **総評 過去ニ作に比べるとジャンルが異色で、設定上も繋がりが薄く、シリーズとして見ると知名度が低い一作。~ だからといって出来が悪いということはなく、さくっと遊びやすいゲーム性を持った作品である。~ ---- **移植情報 -ファミリーコンピュータ版(1984年7月4日発売、4,500円、任天堂) --エクステンドが1回限りとなっているためAC版のセオリーが使えず、難易度は上がっている。 --ミス時の怖い演出はカットされ、主人公が倒れるのみで終わっている。 --Wii、3DS、WiiUのバーチャルコンソールにて配信されている他、ゲームキューブ用ソフト『[[どうぶつの森+]]』にも収録されている。 -PC-8801版(1984年10月発売、5,800円、ハドソン) --ステージの構成が原作よりかなり豹変しているらしい。副題として『大逆襲』と銘打たれている。 -ゲーム&ウオッチ版(1984年8月20日) --横長画面での発売。 --発売機種の関係でゲーム自体のルールも「スタンリーとコングとスプレーで相手側に蜂を追いやる」という物に変更されている。 --G&W版は後に海外GBA『ゲームボーイギャラリー4』(日本ではWiiUでVC配信)にもアレンジ版と共に移植されているが、アレンジ版ではプレイヤーキャラがスタンリーから宿敵マリオに変更されたり、蜂も炎とテレサに差し替えられている。%%スタンリーは犠牲になったのだ%% ---- **余談 -本作発売後、11月にゲーム&ウオッチで『ドンキーコングホッケー』がリリースされたのを最後に、ドンキーコングシリーズは10年もの沈黙期に入ることになる。 -1のリメイクであるゲームボーイ版『[[ドンキーコング>ドンキーコング (GB)]]』を除けば、無印ドンキーとしてのシリーズはリリースされていない。 --そちらではドンキーを追いかけたマリオがそのままドンキーの故郷付近でキノコ王国に辿り着いて『[[スーパーマリオブラザーズ]]』に続くという展開となっているため、原作における『Jr.』→『3』の流れとも異なっている。 --その後も本作における「ドンキーが売却された」という設定は他作品では反映されてない模様。 //-『ドンキーコング2』が存在しないのは、NOAに持ち込まれた非公認タイトル『ドンキーコング2 ジャンプマンリターンズ』を黙殺した関係で欠番となっているからである。 //--ただし、ゲーム&ウオッチにはJR.のバリエーションとして『ドンキーコング2』が存在する。 //真偽不明なので非表示。 ***任天堂2DSTGの系譜と本作 -実は非常に珍しい存在である任天堂の2DSTGである本作だが、実は外見こそ大きく違うものの、アーケードに存在した『スペースファイアバード』『レーダースコープ』の流れを汲んでいる。 --倒すと撃ち返し弾として散弾をばら撒く敵は『スペースファイアバード』から、プレイヤーではなく花を狙う敵は『レーダースコープ』からの継承である(基地の耐久が0になるとミスになる『レーダースコープ』と違い、花を守りきれなくてもミスにはならないが)。 --それ以外にも、骨組みのみで表現された背景のビニールハウスは、『レーダースコープ』のワイヤーフレーム背景に雰囲気が近く、蜂の編隊の動きは『スペースファイアバード』に近い。1回限りのパワーアップというのも『スペースファイアバード』からの継承である。 --なお、当たり判定が大きいこともあって、弾数自体は『スペースファイアバード』よりもかなり少なくなっている。その代わり、サイズが大きく弾速の速い「椰子の実」が追加されている。 --慣性の影響を受ける『スペースファイアバード』、重力の影響を受ける本作という違いはあるが、自機の操作に癖があるという共通点もある。 --大爆死した『レーダースコープ』の任天堂によるリベンジが本作なら、池上通信機によるリベンジが『ザクソン』ということになるか。 -とはいえ残念ながら、このジャンルの系譜自体が本作をもって途切れているようだ。 --任天堂が長らくアーケードから撤退していたこともあり、2DSTGの系譜が引き継がれることはおそらく無いであろう。もちろん、池上通信機も現在はゲーム事業を行っていないので、こちらによる継承もありえない。