ドンキーコング3
【どんきーこんぐすりー】
| ジャンル | シューティング | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売・開発元 | 任天堂 | 
| 稼動開始日 | 1983年10月 | 
| プレイ人数 | 1~2人(交互プレイ) | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 配信 | アーケードアーカイブス 【Switch】2019年4月5日/823円
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 任天堂異色のシューティング マリオ不在
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| ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク | 
 
概要
『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』に次ぐ、ドンキーコングシリーズ三作目。
過去ニ作とは打って変わり、ゲーム&ウオッチの『グリーンハウス』をベースとした固定画面型シューティングゲームとなっている。
『1』ではプレイヤーキャラ、『JR.』では敵役だったマリオは一切登場せず、プレイヤーは「スタンリー」という本作オリジナル主人公を操る。
前作では囚われ役だったドンキーはお供(?)の虫軍団を引き連れてボスに返り咲いている。
フラワーパークを襲ってきたドンキーコングや昆虫たちを撃退するため、スタンリーがスプレー片手に立ち向かう、というバックストーリー。
1人~2人交互プレイが可能。全3ステージ構成のエンドレス制。
特徴・システム
主なルール
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スタンリーをレバーで操作し、ショットボタンで殺虫剤にて上方向に攻撃。下に段差がある場合はレバー下で降りる。レバー上でジャンプする。ジャンプは、上に床があれば上の段に昇り、ない場合は元の場所に着地する。
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4方向レバーなので、斜め方向にジャンプすることはできない。
 
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画面上中央にいるロープにぶら下がったドンキーをショットで画面上まで追い込むか、ドンキー以外の一定の虫をショットで全滅させるかのどちらかでクリア。
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スプレーの射程は短く、また失速するため遠くの敵には当たらない。そのため、ドンキーを最上段まで追い込むためにはジャンプ撃ちが必須だが、ジャンプ中は操作が効かないため状況をよく見ないと非常に危険。
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3ステージ目のロープが短く、天井にキャップがあるステージでは虫が無限湧きするため、クリアするにはドンキーを上にある蜂の巣へ追い込む必要がある。
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1周目に限り、通常よりも低い位置に蜂の巣があり、ドンキーを押し出してのクリアがしやすくなっている。
 
 
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画面下部に5つの植木鉢があり、放置していると虫がそれを持っていってしまう。
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画面外に敵が消える前に倒すと植木鉢は元の場所に戻るが、消えてしまうとステージ内では二度とその植木鉢は戻ってこない。ステージをクリアすると残された植木鉢の数により、特定のボーナススコアを得られるが、全部の植木鉢を奪われてもミスにはならない(クリア時に苗の植えられた新品の植木鉢が補充される)。なお、植木鉢を奪った敵は花を食べてパワーアップしてしまう(アーケードアーカイブス以外の移植版ではカットされている)。
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アーケード版では苗の状態から始まり、ステージをクリアする毎につぼみ→花と成長していく。
 5つの植木鉢を全て守りきってステージをクリアするとパーフェクトボーナスとして2000点のスコアが得られるが、5つ全てで花が咲いている状態で達成すると5000点に上昇する。
 
 
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本作に唯一存在するアイテムが「パワースプレー」である。
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ステージ開始時に画面上部に設置されていて、ドンキーを撃って上の方に押し上げると、ドンキーの手に当たって落ちてくる。それを取ると、一定時間の間、ショットの攻撃性能が上がる(この状態でないと倒せない敵もいる)。
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残機1に付き1回しか使用できないが、効果が切れる前にクリアできればステージをまたいで有効。開幕で取得して脇目もふらずにドンキーを撃ち、速攻クリアすることでタイムボーナスとパーフェクトボーナスで残機エクステンドまで速攻で稼ぐのがセオリー。
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2周目からは、ステージ1を普通にプレイして残り蜂1匹にして残機を潰し、パワースプレーを落下させてからクリア。一番難しいステージ2の開幕でパワースプレーを取得して一気にドンキーを最上段まで押し上げて速攻クリアし、あわよくばステージ3も速攻クリアかクリア直前まで進める、この間にエクステンドするのでまたステージ1で残機を潰す、の繰り返しである。
 
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残機潰しとエクステンドを繰り返して回していくタイプのゲームの常ではあるのだが、エブリエクステンド設定は店舗により変更可能なので、10万エブリとかノーエブリ設定・FC版での1回限りだとかなり厳しくなる。
 
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ミス条件
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ドンキーを画面下まで落下させてしまう
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ドンキーは常に徐々に下降しており、危険域まで降りるとBGMが変化する。さらに放置していると片手ぶら下がりになり、それも放置すると次の下降でミスとなってしまう。
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『初代』や『Jr.』とは異なり、タイムボーナスのカウントが0になっても即ミスにならないが、代わりにドンキーのぶら下がるロープに虫が現れ、それを食べ続けてしまう(ドンキーが落ちるまでの猶予がなくなっていく)というペナルティがある。
 
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虫に触れる
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アーケード版は虫に殺られると、倒れた主人公に羽虫が群がり、主人公の肉体が武器のスプレーだけを遺して跡形もなく消滅してしまうという、微妙にグロいもの(アーケードアーカイブス以外の移植版ではカットされている)。
 
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ドンキーや虫が放つ弾を食らう
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高次周になると、ドンキーが弾(ヤシの実)を投げる頻度が上がる。また、直接スタンリーを狙う場合と蜂の巣を狙う場合があり、蜂の巣に投げつけられたヤシの実は真下に落ち、更に新たに虫が湧いてくる(残数があるときのみ)。
 
 
敵の種類
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ドンキー
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画面上部の2本のロープにつかまりながら徐々に下がってくる。ロープの端に達すると地面に飛び降りてきて1ミスになる。位置が下側によって来ると、時折ヤシの実を投げて妨害してくる。スプレーで画面上部まで押しやればステージクリア。
 
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子蜂バズビー
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画面奥から編隊を組んで飛来し、植木鉢を持ち去ろうとする。触れると1ミス。8面以降は見た目が変化する。
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植木鉢の持ち去りに成功してパワーアップしてしまった場合、ドンキーの周辺をぐるぐる回った後、こちらへ高速で体当たりをしてくるようになる。
 
 
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親蜂ベスピー
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サイズの大きい蜂。スプレーを2発当てる必要があり、倒すと4方向へ残骸を飛散する。飛散した残骸に接触しても1ミス。植木鉢は持ち去らない。
 
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アタッカー
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蚊の姿をした敵。小さく円を描くように飛来し、スタンリーと縦軸が合うと横から高速で体当たりを仕掛けてくる。植木鉢は持ち去らない。
 体当たりは見てから避けるのが難しいので仕掛けてくる前に何かしらの対策が必要。12面以降は色が青から茶色に変化する。
 
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蛾
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15面以降で登場。性質は子蜂バズビーと同じで植木鉢を持ち去る。
 
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おじゃま虫クリーピー
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芋虫の姿をした敵。ステージに応じて、左右から張られた一定のコースの上をゆっくりと這っていく。
 スプレーでは当てても倒せないが、一定時間、気絶状態になり動きを止めさせられる。気絶中は触れてもミスにならない。「パワースプレー」でのみ倒す事ができる。
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動きが全体的に緩慢。中途半端なところで動きを止めてしまうとドンキーにスプレーが届かなくなってしまうため、地味に厄介な敵。
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「パワースプレー」を当てて倒したり、出現途中に撃って追い返したりしても無限湧きする。
 
 
評価点
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STG単体として評価した場合、重力や失速の概念があるなど、当時の主流だった安易な宇宙戦争モチーフのものに比べて個性と説得力を持っている。
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また必要な要素を1画面内に過不足なく詰め込んでおり、それでいてごちゃごちゃしていない。
 
問題点
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前2作と比べてステージの代わり映えに乏しい。
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前2作までは、全4ステージとはいえ各ステージ毎に個性的なものが用意されていたが、今作のステージは多少画面の構成が変わる程度の違いしかないあまり代わり映えのないものになってしまっている。
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その代わりか、周回毎に敵の蜂が成長して姿を変えていく。ステージは代わり映えしないが、こちらの方は視覚的にわかりやすい。
 
 
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残機一つにつき1回限りのパワースプレーが強すぎて、これに全面的に依存した残機潰し系の攻略法が大味過ぎる。
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ただ、元々の難易度は高いので、初心者用の救済処置としては妥当ともいえる。
 
総評
過去ニ作に比べるとジャンルが異色で、設定上も繋がりが薄く、シリーズとして見ると知名度が低い一作。
だからといって出来が悪いということはなく、さくっと遊びやすいゲーム性を持った作品である。
移植版
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ファミリーコンピュータ版(1984年7月4日発売、4,500円、任天堂)
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エクステンドが1回限りとなっているためAC版のセオリーが使えず、難易度は上がっている。
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ミス時の怖い演出はカットされ、主人公が倒れるのみで終わっている。
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Wii、3DS、WiiUのバーチャルコンソールにて配信されている他、ゲームキューブ用ソフト『どうぶつの森+』にも収録されている。
 
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PC-8801 / PC-6601 / X1版(1984年10月発売、5,800円、ハドソン)
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タイトルは『ドンキーコング3 大逆襲』とサブタイトルが銘打たれている。
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基本アクションこそ共通だが、下記のようにゲームシステム自体は原作と大きく異なっており、全くの別物と化している。
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上下移動はなく左右移動のみ、虫が編隊を組んで飛んでくる、植木鉢関連の要素が一切存在しないなど、一般的な固定画面シューティングに変更。
 
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ゲームの舞台も植物園ではなくなり、宇宙や洞窟、火山など様々な場所を巡るようになっているため、ステージの構成が原作よりかなり豹変している。
 
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ゲーム&ウオッチ(マイクロVSシステム)版(1984年8月20日)
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ゲーブルで横長の本体に繋がった2つのコントローラーを用いた2人プレイ専用機種「マイクロVSシステム」向けの移植。
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発売機種の関係でゲーム自体のルールも「スタンリーとコングとスプレーで相手側に蜂を追いやる」という物に変更されている。
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G&W版は後に海外GBA『ゲームボーイギャラリー4』(日本では未発売だったが、後にWiiUでVC配信)にも移植されている。
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現代風アレンジ版「いまモード」も同時収録されており、そちらのプレイヤーキャラはスタンリーからマリオに変更され、蜂も炎とテレサに差し替えられている。スタンリーは犠牲になったのだ
 
 
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Nintendo Switch版(2019年4月5日)
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ハムスター社が展開する「アーケードアーカイブス」シリーズの1作品として配信。アーケード版の忠実移植は今回が初。
 
余談
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本作の主人公であるスタンリーの初出作品は、前年にゲーム&ウオッチで発売された『グリーンハウス』となっている。
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日本国内でのゲーム発売当初は名無しの「花屋」であったが、アメリカ向けの同作の宣伝媒体にて「Stanley the Bugman」と名付けられていた。
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冒頭で記した通り、『グリーンハウス』のゲーム内容も「植物園で虫たちを殺虫剤を使って撃退する」といった設定が本作と共通しており、本作の前身とも言える作品になっている。
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こちらは後にゲームボーイ版『ゲームボーイギャラリー3』の収録ゲームの1つとして移植されている。
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こちらも現代アレンジ版「いまモード」ではキャラクターが変更されており、スタンリーがスイカの種を吐くヨッシーに、敵の虫がプロペラヘイホーに置き換えられている。
 
 
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本作発売後、1984年11月にゲーム&ウオッチで『ドンキーコングホッケー』がリリースされたのを最後に、ドンキーコングシリーズは10年もの沈黙期に入ることになる。
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1のリメイクであるゲームボーイ版『ドンキーコング』を除けば、初代ドンキーとしてのシリーズはリリースされていない。
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そちらではドンキーを追いかけたマリオがそのままドンキーの故郷付近でキノコ王国に辿り着いて『スーパーマリオブラザーズ』に続くという展開となっているため、原作における『Jr.』→『3』の流れとも異なっている。
 
任天堂2DSTGの系譜と本作
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実は非常に珍しい存在である任天堂の2DSTGである本作だが、外見こそ大きく違うものの、アーケードに存在した『スペースファイアバード』『レーダースコープ』の流れを汲んでいる。
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倒すと撃ち返し弾として散弾をばら撒く敵は『スペースファイアバード』から、プレイヤーではなく花を狙う敵は『レーダースコープ』からの継承である(基地の耐久が0になるとミスになる『レーダースコープ』と違い、花を守りきれなくてもミスにはならないが)。
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それ以外にも、骨組みのみで表現された背景のビニールハウスは、『レーダースコープ』のワイヤーフレーム背景に雰囲気が近く、蜂の編隊の動きは『スペースファイアバード』に近い。1回限りのパワーアップというのも『スペースファイアバード』からの継承である。
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なお、当たり判定が大きいこともあって、弾数自体は『スペースファイアバード』よりもかなり少なくなっている。その代わり、サイズが大きく弾速の速い「椰子の実」が追加されている。
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慣性の影響を受ける『スペースファイアバード』、重力の影響を受ける本作という違いはあるが、自機の操作に癖があるという共通点もある。
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大爆死した『レーダースコープ』の任天堂によるリベンジが本作なら、池上通信機によるリベンジが『ザクソン』ということになるか。
 
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とはいえ残念ながら、このジャンルの系譜自体が本作をもって途切れているようだ。
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任天堂が長らくアーケードから撤退していたこともあり、2DSTGの系譜が引き継がれることはおそらく無いであろう。もちろん、池上通信機も現在はゲーム事業から撤退しているので、こちらによる継承もありえない。
 
最終更新:2024年04月07日 21:07