*超兄貴 【ちょうあにき】 |ジャンル|横シューティング|CENTER:&image(http://www.suruga-ya.jp/database/pics/game/162000173.jpg,height=160)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2|~| |発売元|メサイヤ(日本コンピュータシステム)|~| |開発元|メサイヤ(日本コンピュータシステム)&br;WINDS|~| |発売日|1992年12月25日|~| |定価|7,200円|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年10月23日/800Wiiポイント(税5%込)&br;【WiiU】2016年3月23日/823円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |~|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |>|>|CENTER:&color(black){超兄貴シリーズ}&br''&color(black){超兄貴}''/[[愛・超兄貴]]/超兄貴 爆烈乱闘篇/超兄貴~究極無敵銀河最強男~/超兄貴~究極…男の逆襲~/超兄貴 男の魂札/超兄貴~聖なるプロテイン伝説~/零・超兄貴| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー >''大銀河ボディービルコンテスト''10連覇を果たした、''ビルダー星''の帝王にも不安があった。~ 母星の''残有プロテイン''が、底をつきはじめたのだ。~ ''筋肉こそ最高の美徳''とする文化がため近隣の惑星は、無差別侵攻を受けていた。~ この様子を天界で見ていたイダテンとベンテンは、これをよしとせず、侵攻を受けた星を巡りビルダー軍を駆逐し、~ 軍の築いた''プロテイン採掘プラント''を破壊しつつ帝星を目指した!!~ (''以上OP原文ママ'') **概要 -1992年の末に突如登場し、様々な意味で話題となったゲーム。 -マッチョな筋肉で塗り固められた世界観、あまりにも異質すぎるデザインにより、PCエンジン屈指のバカゲーとして名を轟かせる事になった。 -一人プレイ専用、全5ステージ(各ステージはいくつかのエリアにて構成されている)。 **ゲームとして -ゲームを始める前に、三段階の難易度選択と、自機をイダテン(男)かベンテン(女)から選択し、ゲームスタート。 --十字キーで自機を8方向に操作、Iボタンを押すとショット、IIボタンを押すとボムを撃つ。 -Iボタンを押しっぱなしにし、頃合がきた時にボタンを離すと、ドピュっと一撃必殺技の「メンズビーム(イダテン)、スプラッシュビーム(ベンテン)」を放つ事が出来る。''深い意味は無いよ''((ちなみにこの言い回し、本当に説明書にそう書いてあるのだ…。))。 --いわゆる溜め撃ち扱いの攻撃で使用制限は無いが、ビームを発射する間に隙が生じ、危険を伴う事になる。またメンズビームは発射の反動で若干後方に下がるのでかわしたはずの弾に当たる場合もあるので注意が必要。 --メンズビームは一方型、スプラッシュビームは拡散型の攻撃を放つ。すべての敵を貫通して広範囲に攻撃を当てやすいメンズビームを持つイダテンの方が扱いやすいキャラだが、攻撃力はベンテンのスプラッシュビームの方が高く、密着して全弾当てた時のダメージはメンズビームの比ではない。 -IIボタンを押すと弾数制限がある広範囲に攻撃できるボムを発動できる。 --爆風に弾消し能力はあるが自機が無敵になるわけではないので敵の体当たりなどはしっかりかわす必要がある。 --またレーザー、ウェーブなど一部消えない敵の攻撃も存在する。 -時折敵が落とすアイテム「プロテイン」を取る事により、威勢の良いボイスと共にパワーアップ(本作ではビルドアップ((ボディビル業界では「筋肉を作り(鍛え)上げる」と言う意味。))という名称)する。 -ステージを進めていくと、お供キャラ(オプション)である、アドン、サムソンが現れ、自機の上下にくっつく。 --アドン、サムソンには自機同様に当たり判定が存在し、数発の被弾には耐えられるが一定以上のダメージを受けると「兄貴ィ~!!」の断末魔の叫びとともに撃沈してしまう。 --また、アドサムは個別でパワーアップするので、自機だけではなく、彼らにもプロテインを与えなければ強くならない。 --IIボタンを押しながらIボタンを押すとホーミングアタックを発動、オプションがオーラを放ち体当たり攻撃をする。 --稀にアドサムの変わりに、メサイヤの看板(?)キャラである「うみにん」がオプションに付く事がある(隠しキャラ扱い)。 --これとは別にレアオプションとして「天使」が存在するが上記3人のインパクトに負け存在感が無い。しかも弾が放物線状に落下していくので使いにくい。 -イダテン、ベンテンは敵および敵弾に当たると一発でミスになり、エリアの最初に戻り復活する。ボス戦の場合はボスからやり直しとなる。オプションが無くなり、ショットが一段階パワーダウンするので、ミスする場所によっては復活が困難な場合もある。 -自機の移動速度はセレクトボタンによっていつでも自由に変更可能。ボス戦など、勝てないと思った場合は移動速度をこまめに調整するだけで大分楽になる。 -残機が0になると5カウントとともにアドン&サムソンがポージングをとりながら登場、カウント0になると「もう駄目だぁ~!」という声とともにゲームオーバーとなる。 **評価点 -筋肉とよく分からん世界観。 --何よりも筋肉押し。イタデン、アドン&サムソンはもちろん、敵キャラだって筋肉。ビーナス誕生もとい筋肉親父誕生のシェル・ジ・アニキ、逆立ちマッチョのメンズビキニなエル&トポ。こんな感じのザコやボスも筋肉まみれ。 --筋肉だけで終わらないのが超兄貴。筋肉以外にもシュールなキャラも山盛り。ちょんまげの天狗、手足の生えたサンマ、機関車トーマスもといやえもん、革ジャンリーゼントのプレスリーな潜水艦。ザコやボスがこんな調子。どこかイッてる空気に溢れてる。 --ちなみに女主人公のベンテンは''ややセクシーな程度でまともなデザイン''だったり。ただ、やっぱり超兄貴のキャラクターというべきか、プロフィールの数値は''メチャクチャ''。 -最強のBGM。 --「ドイツ人ジャーマン」、「ラブミープレスリー」、「あこがれのマッチョダンディー」、「仁義なき兄貴」これらはBGMの一部のタイトル。タイトルもアレだが、中身も当然何かアレな曲。葉山宏治氏の作曲したBGMが、本作のなんとも言えない世界観の味をさらに強化しているのだ。 ---勘違いの無いように書いておくと、曲の評価は高い。一回聞いたら二度と忘れられないインパクトと中毒性を持つ。世界観に負けないほどぶっ飛んだ曲揃いということでもあるが。 -ほどよい難易度と特色あるステージと、中身は意外に真っ当なSTG。 --難易度は三段階。何度か練習すればクリアできるレベル。 --各ステージもそれぞれテーマがあり、キャラや障害物の配置などが一工夫されてる。単調感のない作り。 **問題点 -全5面とややボリューム不足。慣れてくると、あっさり終わってしまう感じが否めない。 -初心者はやや戸惑う面も。 --オプションであるアドン&サムソン他にも耐久力やパワーアップの概念があるため、オプションへの被弾を避けたりパワーアップさせようとして自機に当たってしまうというのは初心者にありがち。 -初見殺しの多さや当たり判定の分かりづらさ --ボスの攻撃にとにかく初見殺しが多い。また見た目や大きさのインパクトがあるのは良いのだが、どこが弱点でどこまでは当たってもいいのかという情報が非常に分かりづらい。 ---そのくせ撃破するときは一瞬にして落ちる事もザラで、余計に攻略の不透明さが目立ってしまっている。 **総評 見た目のイっちゃってる具合とは裏腹に、ゲームとしては多少クセはあるもののかなりまともなシューティングであり、一度遊んでみればすんなり入り込める内容と言える。~ 外見が毒電波満載のゲームなので「どうせ見た目通りのクソゲーだろう」と思われがちだが、シューティングとしての出来は良作ぞろいのPCエンジン作品の中でも決して見劣りしないレベル。~ 現在はバーチャルコンソールとゲームアーカイブスの両方で配信されており、千円足らずで購入できる。~ また、PCエンジンミニに収録される事も発表されている。~ 色物と敬遠せずにプレイしてみれば、その独創的すぎる領域へと貴方を誘ってくれるであろう。 **余談 -実はメガドライブにてリリースされた薄幸の良作シューティング『ジノーグ』をベースにした作品である。ステージクリアBGMもジノーグのそれをアレンジしたものである。 --人が自機であったり顔の付いた敵デザインなど関わりは強いが、ジノーグが不気味さや気持ち悪さを強調したものであるのに対し、超兄貴はカラッと明るくユーモアのあふれるもので方向性は正反対である。 --またジノーグはグラディウスとスクランブルを足したような地形があったが、超兄貴は最終面を除きほぼ地形を気にしないで進めることができる。 --プレイ感覚自体はメサイヤが以前出した[[エルディス]]に似ている。 -オリジナル版の発売日はなんと''クリスマス''である。 -ゲームよりも本作のサントラCDの方が高売上だったという逸話がある((他に同じような話が残っているゲームは、有名どころだと「レッツゴー陰陽師」を産み出した、「新豪血寺一族 闘婚 -Matrimelee-」がある。))。葉山宏治氏は引き続き、後の超兄貴シリーズも手がける事になる。((ただし続編の「愛・超兄貴」は岩崎琢氏)) --本作のサントラ『超兄貴~兄貴のすべて~』はNECアベニューより1993年に発売、98年に日本コロムビアより再販された。再販版は''2020年現在もなお廃盤になっておらず新品で購入可能''。 -登場キャラの「アドン」「サムソン」などの元ネタは、本サイトではあまり大っぴらに表現するのはアレなので割愛するが、今風でいえば「アッー!」な雑誌である。 -当時のPCエンジン雑誌によれば、最初期の仮タイトルは「超兄貴」と書いて「スーパーアニキ」と読ませる予定だった。~ また、開発途中、タイトルが『超兄貴』から『超裸漢マッスルシューター』に一時変更されたことがある。スタッフ曰く「上層部の意向でタイトルが変更されそうになったが、開発部のクーデターにより超兄貴に戻った」とのこと。~ タイトルを変更しようとした上層部の意向もわからなくはないが、代替タイトルが''超裸漢マッスルシューター''であるあたり、上層部も大分アレだったと思われる。ゲームの本質を上層部がきちんと理解していた、と解釈もできるが…。 -続編に『[[愛・超兄貴]]』があるが、こっちは自機がアドンになっていて、''『ポージングを決めると敵を倒せる』''((実際はコマンド入力するとポージングをしながら対応した弾を発射する))という、ゲームとしてもかなりクセのあるシューティングでアクが強くなっている。 --この『愛~』をもって、メサイヤはPCEソフトのリリースを終える事になる。((その理由が、葉山氏とプロデューサーが、超兄貴のコンセプトを「汗臭さ」か「ホモっぽさ」かでもめたかららしい…)) -本作のシステムを引き継いだ続編としてはPSでリリースされた『超兄貴 ~究極無敵銀河最強男~』とそれのSS版である『超兄貴 ~究極・・・男の逆襲~』があるが、登場キャラが全編実写取り込みという代物。((しかも、アドンとサムソンのモデルを演じているのは日本では著名なボディビルダーである小沼敏雄氏というだけあって、当時一部のボディビルダーファンの間でも話題になった。)) -以前はこういった「奇抜な設定の良作」もひっくるめて「クソゲー」と呼ぶ傾向があった。 -近年では海外のゲーム投稿者に受けており((代表的なプレイヤーとしてはYouTube投稿者の中で最も収入を得ているPewdeepie氏等が挙げられる。))、実況動画では様々なプレイヤーが驚愕したり目を丸くしたりしている様が確認できる。 -知る人ぞ知る名作だからか、CSで放送されているゲーム番組『ゲームセンターCX』や『東京エンカウント』でも取り上げられた。 -PCエンジンではスーパーシステムカード専用のゲームを起動する際、旧システムカードを挿しているとカードのバージョンが違うという警告画面が表示される。~ 本作でのこの画面は覆面頭巾をかぶったマッチョが両腕を上方に掲げるイラストの横に''『カードが違いマッスル』''と書かれている。~ この突拍子もない一発ネタのインパクトにより、以降バージョン違いの警告画面の代名詞としてPCエンジンユーザーの間で語り継がれていた。 -1993年には「月刊少年キャプテン」(徳間書店)にて漫画版が連載された。作者は田丸浩史氏。~ 大まかなストーリーは一応ゲームに沿っているが、主人公はイダテンに(顔だけ)そっくりの木こりで、敵から逃げていたイダテンは深手を負っていてその木こりの目の前で死亡。それを知らないアドンとサムソンに「兄貴」と慕われて巻き込まれていくという、第一話からなんともハチャメチャな内容になっている。 -ちなみに開発元のWINDSは後に[[美食戦隊 薔薇野郎]]の製作にも携わっている。 #region(今作のプレイ動画。上記のカードが違いマッスルやゲームオーバーシーンもあり) #video(https://www.youtube.com/watch?v=WpkDnjbi_1s) #endregion