「ドラゴンボールZ 悟空激闘伝」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ドラゴンボールZ 悟空激闘伝 - (2016/11/04 (金) 19:33:50) のソース

*ドラゴンボールZ 悟空激闘伝
【どらごんぼーるぜっと ごくうげきとうでん】
|ジャンル|アクティブビジュアルRPG|~|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|発売元|バンダイ|~|
|開発元|ベック|~|
|発売日|1995年8月25日|~|
|定価|5,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|戦闘システムを前作から一新&br()アクションゲーム的要素の増加&br()戦闘中のキャラの立ち絵が豊富&br()真エンドがまるでバッドエンド|~|
|>|>|CENTER:''[[ドラゴンボールゲームリンク>ドラゴンボールシリーズ]]''|
----
//#contents(fromhere)
----
**概要
人気TVアニメ『ドラゴンボールZ』のゲーム化作品。『ドラゴンボールZ 悟空飛翔伝』の続編にあたり、クリリンと悟飯とブルマがナメック星に到着してからフリーザ打倒までをRPG化している。
戦闘は前作と同様一対一で行われるが、戦闘システムは大幅に変更されている。
また、前作では操作できるのは悟空だけだったが、今作ではクリリン、悟飯、ベジータ、ピッコロも操作可能。
----

**特徴
***フィールド
-アクションゲームのように横スクロールのフィールドを移動する。Aボタンでジャンプ、Bボタンを押しながら移動でダッシュできる。空中でAボタンを押すか水の上に落ちると飛行状態になる。
-飛行中は地形を無視してスムーズに移動できる反面、敵がこちらの戦闘力反応を感知して飛んで来てしまう。
-敵の飛行速度はこちらよりも若干速く、飛んで逃げようとしてもやがて追いつかれてしまうが、なぜか途中で追跡を止めてくれる事もある。
-一度戦闘に入ると逃走コマンドが存在せず敵を倒すしかない。戦闘を避けたければジャンプで木の上に乗りつつ地上を移動すると安全性が増す。逆に経験値を稼ぎたければ、飛行しているだけで次々と敵が湧いてくる。
-ある程度進むと行き先の選択肢が表示され、選んだ行き先に応じたフィールドに切り替わる(この際自動的に飛行状態になるので注意)。
***戦闘
-戦闘を行うキャラクターは、雑魚戦ではフィールドに表示されるキャラ(単独行動時でなければメニュー画面で変更可能)で固定だが、ボス戦ではターン毎に変更可能。ただし一人でも戦闘不能になると他に仲間がいてもゲームオーバーになってしまう。
-ターンの始めにキャラクターの「コマンド力」という能力値の数値分そのターンに使用する各種攻撃・ダッシュ・チャージといったコマンドを一覧から選択して入力する。入力には制限時間があり、0になるとコマンド入力が完了していなくても戦闘画面に切り替わる。
-戦闘画面は上部にキャラクターのグラフィック、下部の四角形のバトルフィールド上にキャラクターの顔とエネルギー弾のアイコンが表示され、十字キーでキャラクターの移動&方向転換、Aボタンでコマンド実行、Bボタンで防御、移動しながらBボタンで回避を行う。
-攻撃コマンドを実行する際にはAボタンを押している間パワーゲージが溜まり続け(溜まりきると0に戻る)、離した時のパワーゲージの値が大きいほど威力が上がるがその分気力を大量に消費する。その後にも攻撃コマンドが控えていれば、攻撃中にAボタンを再度押す事で連続攻撃が可能。
-防御を行う際にはBボタンを押している間パワーゲージが減り続け(0になるとMAXに戻る)、敵のパワーゲージを下回っているとガードに失敗してダメージを受けてしまう。とはいっても、弾速の遅い誘導弾以外は敵が攻撃を繰り出した瞬間に防御を実行しても早すぎるということはない。
--防御時のパワーゲージは攻撃を受けることでも減り、連続攻撃を受けるとどんどん減っていく。この間通常の時間経過による減少は止まるものの0になってもMAXに戻らなくなる。
-気力はコマンド実行も防御もしないでいると徐々に回復していく他、チャージコマンドを実行中は通常より早く回復できる。
--気力が少ない時に大量の気力を消費したり、気力が尽きても連続攻撃を続けたりすると、気力がマイナスになってしまい(表示上は0と見分けがつかない)、0に回復するまであらゆる行動が取れず無防備になってしまい危険である。
-経験値は全員で共有だが、悟空と悟飯以外はレベルアップに必要な経験値量が異なるためレベルがバラつく。また、戦闘中の行動に応じて格闘・エネルギー技・防御の経験も入り、その分攻撃力や防御力にボーナスがつく。
***修業
-悟空が地球を出発してからナメック星に到着するまでの間、鍛える箇所、1カリキュラムあたりの修業時間、激しさ、休憩の間隔、休憩時間、重力増加の度合を設定することができる。これらはメニューを開ける時ならいつでも変更可能。
-修業結果は日数が経過するごとに能力値と疲労度に反映され、疲労度が100%に達するごとに仙豆を消費する。毎日修業内容を変えられるので、原作通り到着前日のみ休憩時間を大幅に増やすことも可能。
-修業が厳しいほど悟空を強くできるが、あまり厳しすぎると仙豆が足りなくなり、悟飯たちがグルド・リクーム戦で消耗したままの状態でジースや悟空ギニューと戦う破目になってしまう。

**評価点
-原作再現度が高め。容量の都合でカットされているセリフや描写は多いものの、要点を押さえて原作のストーリーをなぞっており、ドドリアから逃げる時にミニゲームに失敗して追いつかれてしまい戦闘に突入しても、原作通りクリリンに太陽拳を使わせることでイベントが発生して逃れることができるなど、ほぼ原作に忠実な流れになっている。
--その一方で、ベジータに襲われる前のツーノ村を訪れてドラゴンボールを譲ってもらう、ドドリアにダメージを与えて追い払う、最長老の家に向かう途中でムーリ村に寄り道してミニゲームで遊ぶなど、ifイベントも備わっている。

-難易度も適切と言ってよい。戦闘システムに慣れないうちは最弱の雑魚であるスーイにさえ負けてしまうが、慣れてくれば簡単に倒せるようになる。
--ボスに勝てなくても雑魚戦でレベルを上げることでプレイヤーの技量不足を補える。経験値を稼ぎすぎると真のエンディングが見られないという弊害はあるものの、ある程度の技量があれば真のエンディングを見られるギリギリのレベルでもクリアは可能。
//失礼ながらネタ部分が滑っている感が強いのでその部分は削除しました。

-飛行中は次々と敵が湧いて来るが、戦闘が終了すると敵は全て消えるし、出現してすぐには追って来ず、簡単に振り切れる敵も多いので、あるステージを除きそれほど鬱陶しくはない。

-戦闘時の立ち絵が豊富。キャラクターが行動すると画面上部のグラフィックもそれに応じて変化する。例えばパンチ攻撃を行うとそのキャラがパンチを繰り出す画、防御を行うとガードの体勢をとる画、ベジータが必殺技攻撃を行うと「ギャリック砲」の文字とともにギャリック砲を放つベジータの画、といった感じである。雑魚も含めた全てのキャラクターにグラフィックが用意されており、アニメーションはほとんど無いものの原作のワンシーンを忠実に再現したカットも多く、ニヤリとさせられる。惜しむらくは真のエンディング条件を満たした時のみ戦える真のラスボスのモーションに使いまわしがある事ぐらいか。

-リクーム・バータ・ジースの戦闘力が原作の描写と合致する数値になっている。
--そんな事は当たり前と思うかもしれないが、同じくフリーザ編を題材にした激神フリーザ!!や超サイヤ伝説での彼らの戦闘力は原作の描写と食い違っているのである。((ギニューは悟空の戦闘力を60000と見立てており、その悟空に手も足も出なかった3人の戦闘力は60000に満たないはずだが、激神や超サイヤ伝説では3人とも60000を超えている。))

-BGMも良曲が多い。戦闘曲は雑魚戦2曲とボス戦専用3曲があるが、いずれも良曲揃いである。また、終盤のある場面でオープニング曲がかかる演出も感動的である。

**賛否両論点
***戦闘力の数値が飾り
-このゲームでは戦闘力の数値に意味は無いと思われる。最強の雑魚敵・ナップルの戦闘力は最初のボス・キュイの約10分の1だが、天下一モードで両者が対戦すると間違いなくきたねえ花火が打ち上げられる。ゲームバランスを考えると、終盤の雑魚が弱すぎても面白くないし、戦闘力通りの強さだとフリーザ様第1形態に歯が立たなくなってしまうのでこれでいいかもしれないが、終盤で悟飯がベジータを超えるダメージを叩き出すのは見ていて違和感がある。

***連続エネルギー波が強く、戦闘がワンパターン気味
-戦闘ではゲージを溜めて必殺技を使うよりも、通常弾をゲージの少ない状態で連射してガードを崩した方がダメージを与えやすい。コマンド力や気力が増えてくる後半では特に顕著になる。こちらのコマンドが残っている状態で敵がコマンドを使い果して一定時間経つと、敵のコマンドが補充される(逆は無い)ため、早くこちらのコマンドを使い果して敵の手数を増やさないためにもこの戦法が有効である。パンチでも同様の戦法ができるが、そちらは敵に接近する必要があり威力も低く、打撃経験値は上がりにくいため、やはり通常弾が安定する。
--通常弾を連射するとキャラクターの一枚絵が一発ごとに切り替わり、左右の腕を交互に突き出す。グラフィック面でもこの戦法は優遇されている。
--負けフラグと言われている連続エネルギー波を存分に活躍させてファンの溜飲を下げられる一方、戦闘がワンパターン化気味になり戦略性が損なわれるという難点もある。嫌ならあえてこの戦法を使わなくてもクリアは可能ではある。

**問題点
-悟空の修業の鍛える箇所と上がる能力値の説明が出鱈目である。
--アシ→スピード、オナカ→生命力は説明通りだが、他4つは全て間違っている(上昇度合いを示す棒グラフは説明通りに増えるが、実際の数値の上昇は食い違っている)。アタマに至っては鍛えても何も上がらない。

//-悟空のローマ字表記が「GOKOU」と誤記されている。確かに悟空がかけつけた時には後光の差した観音様のように有難く思えたものだが…
//孫悟空の英語表記は「SON GOKOU」であり、これ以外のゲーム作品(ファイナルバウトなど)やフィギィアでもこのように表記されていて別に間違いではないのでCO。

-前述のifストーリーでツーノ村のドラゴンボールをすでに入手済みでも、ブルマのドラゴンボールに関するセリフに変化が無い((原作で悟飯が回収しに行く直前のタイミングで「ドラゴンレーダーを見てよ」と発言、しかし直後に悟飯がツーノ村に気の乱れを感じて後述のイベントに繋がり、レーダーの話はなかったことに。クリリンが最長老から譲り受けたドラゴンボールを見た時も、すでに見ているはずなのに原作通り「本場のドラゴンボールってでっかいのねー」と発言))、ベジータが水中に隠したボールを悟飯が回収しに行くイベントが、フリーザ軍兵士に襲われている老人を助けに行くイベントに置き換わるのだが、ベジータのツーノ村襲撃は原作通り行われているため、なぜこの老人が生存していたか不明など、ストーリーに矛盾が生じてしまっている。

-最長老に潜在能力を引き出してもらうイベントの後も能力値に変化が無い。ザーボンさんに敗れたベジータが復活した際も同様。そのくせifストーリーのツーノ村のイベントでは、しっかり悟飯の生命力が上がっている。

-フリーザ戦でデンデが回復してくれない。当然悟飯やベジータのパワーアップイベントも無く、途中で経験値すら貰えないため、悟空復活までの間、戦闘開始時と同じ強さ&傷ついたままの4人でフリーザ様最終形態と戦わなくてはいけない。

-リクーム戦での最初のイベントバトルで、リクームがバトルフィールドの端にいる時にベジータが後ろに回り込もうとして、延々と回避行動を続けてゲームが進まなくなってしまうことがあるバグが存在している。

-戦闘システムにも問題点がいくつか見られる。
--ニューゲームスタート時にはアクティブモードに設定されており、そのままだとガードのタイミングがシビアになり難易度が上がる。本編開始前に設定画面が出てウェイトに変更可能であり、一度変更すれば勝手にアクティブに戻ったりはしない(データロード時に設定画面が出るのでプレイヤーの意思で戻すことは可能)のでさほど問題ではないが、周回プレイ時には少しだけ面倒ではある。
--敵のエネルギー技の効果音がこちらの操作キャラクターに連動して変化する。ベジータだと通常弾と弾速の遅い誘導弾の効果音が同じになるため、ガードのタイミングを間違えやすい。
--使用可能キャラが複数いる時の選択肢出現時を除き途中で一時停止できない。HPの高いボス戦は長引くため、一息置けないのは辛い。
--ストーリーが進むと戦闘スピードが上がる。前述のベジータの誘導弾ガード問題が解決するという利点はあるものの、慣れてきたところを再び調子が狂わされる。
--このゲームでは、戦闘力をコントロールできるキャラクター(操作可能キャラ全員とギニューとフリーザ)は攻撃時にパワーゲージに応じて戦闘力が上昇するのだが、多ければ基本値の倍以上になる。初期レベルのベジータでも下手すると40000を超える数値を叩き出すことがあり、ドドリアさんが原作通り24000と計測して驚いているのが滑稽に見えてしまう。
---そもそも、原作において攻撃時のみ戦闘力が上がっていたのはラディッツ戦までであり、それ以降は特戦隊戦の悟空のような例外を除いて、基本的に戦闘中は常に気を高めた状態である((戦闘力が上がればスピードも上がるため、悟空のように一瞬で戦闘力を高められない限りは常に気を高めていないとスピードで不利になってしまう。))。上昇量以前に上昇そのものが原作と食い違っている。

-戦闘力が公式設定と食い違っているキャラクターが多い。
--原作中で明言されていないドドリアさんやザーボンさんは言うに及ばず、原作で120000が限度と明言されているギニューが基本値120000に設定され、攻撃時にはそこから更に上昇する。
--フリーザ様第2形態の基本値が原作における第1形態の最大値530000に設定されており、変身直後にすでに第1形態を大きく上回っていた原作の描写と食い違う。
--そしてフリーザ編を題材としたゲームのお約束として、フリーザ様最終形態とフリーザ戦時の悟空の戦闘力が公式設定を大きく下回っている。
---どうせこのゲームでは戦闘力なんて飾りなんだから、表示だけでも原作に忠実にして欲しかった。

-真のエンディングはナメック星が爆発したところで終わり、BGMも悲壮な曲になるため、原作を知らないと悟空死亡のバッドエンドにしか見えない。

**総評
ストーリーはほぼ原作通りに進めることができ、戦闘面でも多少の難はあるもののバランスは良い。戦闘中の立ち絵もゲームボーイの低解像度の中でよく原作絵を再現している。&br()一方でパワーアップイベントで実際にはパワーアップしていない、一部の回復イベントがカットされているなど、シナリオ面に反してシステム面での原作再現度が低い事、悟空の修業での能力値上昇やリクーム戦での進行不能といった目立つバグがある事が残念である。