「Mortal Kombat」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

Mortal Kombat - (2023/11/22 (水) 23:00:10) のソース

*Mortal Kombat
【も-たるこんばっと】
|ジャンル|対戦格闘アクション|~|
|対応機種|アーケード&br;スーパーファミコン&br;ゲームボーイ&br;メガドライブ&br;メガCD&br;ゲームギア|~|
|発売・開発元|ミッドウェイゲームス|~|
|発売日|1992年10月8日|~|
|判定|なし|~|
|>|>|CENTER:''[[Mortal Kombatシリーズリンク>Mortal Kombatシリーズ]]''|

----
#contents()
----

**概要
過激なゴア・バイオレンス表現が特徴的な「残虐格闘ゲーム」では最も知名度が高いモータルコンバットシリーズの記念すべき第一作。~
一世を風靡した『[[ストリートファイターII]]』のブームに乗って作られた本作だが、実写取り込みのキャラクターモデル、敗北させた相手を残虐な必殺技で殺害する「''FATALITY''」といった独特なシステムがヒットし、米国では大人気シリーズの一つとなった。日本国内でも販売され、米国ほどの人気は出なかったがカルト的な人気を誇り、幾つかの続編も国内販売された。

**ストーリー(要約)
>古代から続く少林武道会は栄光と名誉のある戦いとして語り継がれてきた。しかし邪悪な破戒僧のシャン・ツンはこの大会に家来である王子ゴローを引き連れ、翌年トーナメントの伝説の闘士であったクン・ラオ(("Kung Lao" クンはカンフー(Kung Fu)から採られている。続編からプレイヤーキャラクターとして子孫が大会に参加する。 ))を殺してしまう。その後シャン・ツンは武道会と島を乗っ取り、神聖なる武道会は堕落していった。~
2000歳生き続けてきたゴローは、500年後経った現在も未だこのトーナメントに健在である。新たな戦士達は世界の運命を守るために立ち向かわなければならない。

**登場キャラクター
#region(登場キャラクター一覧)

:ジョニー・ケージ((開発初期段階では”Michael Grimm”と言う名前で、彼が主人公と言う設定だった。この設定は2015年の『X』で生かされることになる。))(Jonny Cage)|
本名はジョン・カールトン。ハリウッドの映画俳優ながら、他キャラに引けを取らない格闘センスの持ち主。自分の映画に特殊効果を使用していないということを証明するためだけにトーナメントに参加したという無謀さで、シリーズ通してジョークを備えたいわゆる三枚目キャラクターである。&br()金的も使えるが、ソニアには効かない。放物線を描く飛び道具が使いにくいが、突進&対空技を持つ。&br()FATALITYは、アッパーカットで首を飛ばす((何故か2連続で出せ、この場合は生首が増量する。このバグとも言える珍現象は『2』で公式技にされ、そちらでは3回まで飛ばせるようになった。))。SFC版ではキックで相手の肉体を貫く。MD版では画面外にまで蹴り飛ばす。

:カノウ(Kano)|
「黒龍会(Black Dragon)」((製作側が知ってか知らずか、実際に黒龍会と言う右翼団体は存在する。今でも本当に存続しているかは不明。wikiでは08年に再興したと言うが…))という犯罪組織の最高幹部で、顔の右目側がサイボーグになっている。&br()ソニアや(次作に登場する)ジャックスにとっての最大の敵とも言えるキャラクター。もともと"加納"((講道館柔道の創始者、嘉納治五郎より))という名の日本人の設定だったはずが、後シリーズで東洋人という設定が取り消されオーストラリア人という事になった。今作のみナイフ投げの飛び道具が"ブロックから後ろ前を入力"と変なコマンド。&br()FATALITYは、相手の心臓をもぎ取る。SFC版・MD版では技自体は変わらないが、心臓はもぎ取らない。

:ライデン(Raiden((一部の移植作では"Rayden"。)))|
雷を操る神。後発タイトルで語られる旧神(Elder Gods)((読みは"エルダーゴッド"。エルダーとは古代や長老などの意味を持つ。))とのポジションも近いことなどから、シリーズ全体の主人公ともいえる。&br()飛び道具は隙があるものの、((波動拳コマンド。初期のモータルコンバットシリーズでは波動拳コマンドの飛び道具はまだ少なかった。))ワープと突進攻撃が使いやすい。&br()FATALITYは、電撃を与えて相手の首を潰す。SFC版では技自体は変わらないが、相手を砂にする。MD版では電撃を与えて倒すのみ。

:リュウ・カン((モバイル版『X』の日本語版では”リゥ カン”名義。))(Liu Kang)|
シリーズ初期作品の主人公で、中国拳法の秘密結社「白蓮(White Lotus Society)」のメンバー。溜めからの飛び道具と飛び蹴りを武器とする。&br()見た目も掛け声もブルース・リーを意識して作られているが、2以降は顔グラがよく変わる。近年はもっぱらジャッキー・チェンの顔に近くなるような。&br()FATALITYは、側転からのアッパーカットで敵を頭上に舞い上げる。''それだけ。''

:スコーピオン(Scorpion)|
サブ・ゼロ(兄)に彼を含め一族や家族を皆殺しにされたことの復讐を誓った((もっとも、4以降のシリーズでは死霊使いの"クァン・チー"が黒幕と言う後付設定になっている。スコーピオンとサブ・ゼロを嵌めたため、以降はクァン・チーが復讐の標的となる。))亡霊。(まだ92年のこの頃はスコーピオンの所属組織である"白井流(shirai-ryu clan)"の設定は無かった。)&br()サブ・ゼロと同じ姿をした黄色((これは自身を殺害したサブ・ゼロ及び燐塊に対する憎しみの証である。恐らく青と黄色がネガポジの関係になっていることからとられていると思われる。))((元は一人のキャラの色違い。海外ではカラースワップ(Color Swap)と呼ばれるゲーム製作での容量節約技法。これにより忍者キャラは忍者大好き外人ファンと、容量を圧迫しにくく流用が容易で製作がやり易い製作者サイドの双方から愛用されることになる。))の忍者。溜めコマンドからの相手を引き寄せるハープーン(スピア)(("クナイ"とも呼ばれる。おそらく鎖鎌とごっちゃになってる?))とその掛け声「''Get Over Here!''」「''Come here!''」((声はEd Boon氏によるもの。本業の声優が起用された『VS.DCユニバース』以降でもハープーン(スピア)のボイスは彼による物である。))」は彼を象徴する技である。サブ・ゼロと同等の理由で人気キャラクターとなった。&br()FATALITYは、仮面を剥いで素顔の骸骨を曝し、炎を吐いて相手を焼死させる。

:サブ・ゼロ((サブゼロとは、英語で「絶対零度」を意味する。))(Sub-Zero)|
中国の忍者組織((外国では日本、中国、韓国などは”アジア”とひとくくりにされてしまい、本場外人達には区別が付きにくい。))「リンクェイ(燐塊)」のメンバーで、冷気を操る青色の忍者。シャン・ツン暗殺の命令で魔界のトーナメントに参加した。&br()本作では後期作のサブ・ゼロと違い、兄(後の"Noob Saibot"(ヌーブ・サイボット))が参戦している。本作から既にスコーピオンとの明確なストーリーが出来ており、リュウ・カンを差し置いてほぼ全てのシリーズに出演している人気キャラクターである。&br()波動拳コマンドによる飛び道具は相手を凍らせ、一時的に動きを封じる。もう一つはスコーピオンはワープからの奇襲パンチだが、こちらはスライディング。&br()FATALITYは、''脊髄ごと首を引き抜く''((余談だが、これを見た人権保護団体に激しく表現を批判されたため、以降サブゼロは同種のフェイタリティを使えなくなった。フェイタリティの表現が他移植版では露骨に替えられているのはそのせいである。))。SFC版では相手を凍らせ、パンチで砕く。MD版ではアッパーカットで敵を頭上に舞い上げるだけ。

:ソニア・ブレイド((モバイル版『X』の日本語版では”ソーニャ ブレイド”名義。))(Sonya Blade)|
特殊部隊(Special Forces)の中尉で、魔界に身を寄せたカノウを追ってトーナメントに参戦した。&br()本作の紅一点であり、シリーズの女性キャラを代表する存在でもある。美人薄命と言うべきか、シリーズ全般でエンディングがどうも幸薄い。技が若干トリッキー。代表的な技が”Leg grab”(足で挟んで投げる技)。&br()FATALITYは、口から火の玉を吹いて(投げキッス?)相手を骨だけにする。C級テイストあふれる彼女の勝利ポーズはある意味必見?

:ゴロー(Goro)|
四本の腕を持ったショカン族((ショカン族キャラには、他にも2のキンタローや3のシバが存在するが、どうも扱いが良いのは出始めのインパクトと言うこともあってゴローだけである。))という大型の半龍人で、本作の中ボス。&br()他のキャラクターと違い彼だけはクレイモーションで取り込まれている。2000歳。見た目や豪快な動き、怪物の叫びからは想像できないがこれでもショカン族の王子。"飛び上がってからの踏みつけ"に代表されるパワフルな技とタフな体から、ある意味シャン・ツンより手強い。GB版では条件でプレイヤーとして使用可能だが、それ以外は使用不可。

:シャン・ツン(Shang Tsung)|
妖術師として(2から登場する)黒幕のシャオ・カーンに仕え、各キャラクターをトーナメントに誘った本作のラスボス。本作のみ老人の姿をしている。&br()ゴローを含めて他キャラクターに一時的に変化する特殊能力を備えており、彼自身も最大3発の火の玉を連続で放つなど、かなりの強敵。『2』以降では力を戻したシャオ・カーン((どうでもいい話ではあるが、海外掲示板でのファン達による名前の考察によると、実はシャオ、と言う中国語は「少ない」と言う意味らしく、「シャオ・カーンは小心者」と言う皮肉になっている。))に実権を握られたように見えるが、彼自身も後発シリーズで悪役として君臨し続けている。本作では使用不可。

:リープテイル(Reptile)|
ショウ・カン側に仕えている、進化した爬虫類の最後の生き残り。絶滅を防ぐために、同じ種族の仲間を捜し求めて続けている。&br()外見はサブ・ゼロとスコーピオンの緑の色違い((色の三原色から分かるように、黄色を青を合わせると緑になる))で、今作のみ必殺技とFATALITYもサブ・ゼロとスコーピオンと同じものを使う。本作では乱入キャラとして登場するだけで、使用不可。格闘ゲーム初の隠しキャラクターと言われている。&br()続編からは爬虫類にちなんだ技に変更されるが、エンディングでは毎回毎回部下として頑張ってきたのに報われないという敵ながら悲しい奴((近作のエンディングでは少しづつだが彼の望みも適いつつある。))。
#endregion

**システム
基本的にはストIIと同じく1対1で行われる格闘システムだが、独特なシステムが存在する。
-操作は5ボタンを採用している。4つのボタンはそれぞれローパンチ(LP)orキック(LK)、ハイパンチ(HP)orキック(HK)として機能する。方向キーとの組み合わせで足払いやアッパーなど技も変化する。
-5つ目のボタンはブロックボタンという名称で、ガード操作が独立化したもの。ブロックボタン操作中は移動キーを受け付けず攻撃もできない。AC版ではブロックボタンが4つのボタンの中心に配置されていた。
-必殺技コマンドの方向キーは斜めに入力する必要がなく、4方向のみで成立する。また強弱の概念がない。
--この方式はシリーズ代々受け継がれている。その影響か、海外におけるコマンド表での方向キーの扱いは斜め入力が必要な国内ゲームのように「右向き(1P)」に限定した矢印表記・テンキー表記ではなく、「F(Forward、前進)・B(Back、後退)・U(Up、上)・D(Down、下)」というシンプルな表記で記される事が多い。
-最終ラウンドで片方の体力ゲージがゼロになると、勝敗に入る前に「Finish Him!(相手がソニアだった場合はFinish Her!)」と表示され、最後の一撃を加えることが出来るようになる。詳しくは後述する。
-次キャラクターの対戦前に「Test Your Might」というボーナスゲームが出現することがある。連打してメーターを指定されたバーよりも上昇させてブロックボタンを押すという内容。

**FATALITY
-最終ラウンドで相手の体力ゲージをゼロにすると通常の格闘ゲームではそのまま勝敗が確定するが、本作では画面に「Finish Him!(相手がソニアだった場合はFinish Her!)」と表示され、体力がゼロの相手に再び一撃を加えることができる。この間に特定の間合いをとり、特定のコマンドを成立させることで画面が暗転し、「FATALITY(日本では究極神拳)」が発動する。
--FATALITYを決めてもボーナススコアとして加算される程度で、そのまま勝利した場合と大きな違いは起こらない。しかしFATALITY((死亡者や事故での犠牲者と言う意味。”fatal”で致命的、重大な、破滅的なと言う意味))は文字通り、相手の首をアッパーでふっ飛ばしたり臓器をもいだり炎で相手を骨にしたりと残虐な方法で相手を殺戮する技であり、最後のパフォーマンス技として非常にインパクトが高い。
--魅せ技として使う以外に発動する必要性は無いが、隠しの乱入キャラと闘う場合には条件の一つとして使用する必要がある。
--細い足場の上で闘うThe Pitステージでは、トドメをさすときにアッパーを食らわせることで相手を画面下の棘に突き落とす事ができる(STAGE FATALITY)。
-本要素のモチーフになったのは、格闘中に断首する要素がある『Barbarian : The Ultimate Warrior』((1987年にイギリスのPalace SoftwareがCommodore 64やAmiga、AtariST、IBM-PC、AppleIIなど多数のプラットフォームで発売した、1対1の武器格闘ゲーム。))というゲームであると、シリーズを代表するゲームデザイナー兼プログラマーのEd Boon氏が1995年の秋頃に受けたインタビューで述べている。それによると「元々はボスであるシャン・ツンが剣を使用して戦い、勝利したプレイヤーが彼の剣で断首するというコンセプトだったが、このトドメをさす方法を他のキャラクターにも使えないだろうか」という考えから生まれたのがFATALITYであるとのこと。
--その代わり完成版ではシャン・ツンにFATALITYを使えなくなっている。
-国内では、移植を手掛けたアクレイムジャパンがローカライズの際にFATALITYを「''究極神拳''」と訳しており、こちらのほうが定着している。

**評価点
-兎にも角にもFATALITYの存在。
--発動が必須ではなく完全にパフォーマンス技ながらその見た目のインパクトが絶大であり、本シリーズを象徴する要素と言っても過言ではない。
--『Barbarian : The Ultimate Warrior』でも敵を断首する要素は存在したが、格闘中に殺戮するのではなく相手の体力を完全にゼロにしてからトドメをさすという方式を取ったことで、最後の一撃の猶予をプレイヤー側に与えることが可能となった。

-斬新なシステム。
--目玉と言えるFATALITYだけでなく、実写取り込みグラフィック、個別化されたガード操作、隠し乱入キャラの存在、見た目のインパクトだけではなく尋常ではない強さを誇る中ボス、他のキャラクターに一定時間変化するボスなど、本作の時点で斬新な要素を取り入れている。
---特に「特定の条件で現れる隠しキャラクター」は本作が格闘ゲーム史において初といわれている。
--まだ『ストII』や『[[餓狼>餓狼伝説 宿命の闘い]]』が出たばかりの時期ながら、既に異彩を放っていた。

-複雑なコマンドを必要としない簡単な操作。
--B+LKで足払い、D+HP(LP)でアッパーなど、固有技が全キャラクター統一なのでわかりやすい。
--必殺技も多くのものは方向キー二回+ボタンという単純なコマンドが多く、タメ操作やレバー一回転といった複雑なコマンドも必要としない。
--前述したように、コマンド表記がF・B・U・Dで表記されるのでキャラの向きが逆でもコマンドを成立させやすい。
---国内では複雑な入力や斜め入力があるためあまり見ないが、国外の格闘ゲームでは(特に本作のクローンなど)こちらのコマンド表記が使われている。

-Dan Forden氏((続編の『II』で「相手にアッパーカットを喰らわすと、「TOASTY!」の叫び声と共に画面右下からアップで出現する謎の男性」が彼である))を始めとする音楽
--実験作でまだ予算が不十分の事もあり音質は良くないが、音楽自体は良い。第二回戦の会場のテーマである"Palace Gates"((GENESIS版は別の曲に差し替えられている。))や、シャン・ツンの間"Throne Room"など、インチキアジア的ではあるが十分に味はある。『2』以降は予算が十分に降りたためか、新しい音楽機材を使って作曲されている。
--"The Pit"という楽曲は"Pit3"まで作られた。最新作のMKXL(MKXの大型アップデート版)でも久しぶりに新しい"The Pit"が公開された。
--楽曲"Courtyard"が、3では"The Street"としてリメイクされている。

**問題点
-お粗末なゲーム性。
--当時の格闘ゲームになかった斬新な要素をフィーチャーしているが、根本的な格闘ゲームとしては面白みに欠ける。
--キャンセルやコンボといった上級テクニックがなく単発技の出し合いになりがちで、対人格闘ツールとしては続編の『2』『UMK3』の方がマシ。

-CPU戦の難易度は高い。
--『2』ほどではないが、結構な超反応である。
--後半のエンデュランスマッチは連続で2人を相手にしなければならず、それが通常通り2ラウンド存在する。しかも、これが3回もあるのが非常に厄介。
---3回戦目が終わると同時に画面上からゴローが出現するが、立ち位置によってはゴローとの至近距離になり、不意打ちを食らうこともしばしば。
--隠し乱入キャラクターであるレプタイルの出現条件もかなり鬼畜((六番目のThe Pitステージで、ダブルで"Flawless" フローレス(傷無し、つまりパーフェクト勝ちと言う意味)、ガードボタンも押さずにフェイタリティコマンドもちゃんと決めて、さらに月にサンタや飛行船等、何者かの影が通り過ぎていた時でないと成功しない。つまり、運と実力が求められる訳である。))で条件すら分かりにくい。((ただしゲーム中に「TIP EHT FO MOTTOB(逆から読むと...)」、「"Look to La Luna "月を見ろ」、等とヒント文が出る事がある。))

-主人公であるはずのリュウ・カンがやたら不遇の扱いを受けている。
--技の性能から扱いやすいキャラクターではあるが、本作の時点ではバックグラウンドも地味で他キャラとの繋がりも薄く、主人公なのに影が薄い。
---キャラ間の繋がりの薄さで言えばジョニー・ケージも同様だが、ナイスガイかつ間抜けた三枚目ポジションもあってか、主人公を差し置いて当時のキャラ使用率はトップであった。
--FATALITYについても、他のキャラクターが骨髄をぶっこ抜いたり首を飛ばしたりと過激な技ながら、よりにもよって主人公である彼だけ''「一回転後にアッパー」''という地味な技になってしまっている。画面の暗転すら無い。
---The Pitで発動すると相手を高速落下させることが出来る、という特殊効果はある。
--次回作以降は彼と関わるキタナやクン・ラオといったキャラクターが登場し、後付け設定も加わったことからようやく主人公として見栄えるようになる。


----
**総評
ゲーム部分こそ『ストII』に劣るものの本シリーズの醍醐味であるFATALITYというシステムを構築し、特に北米で大ヒットを促した一方、暴力表現が過激で社会問題の引き金になったこともあり、色々な意味で歴史的な一作。シリーズとしてはまだまだ甘い部分があり、本作は良くも悪くも「シリーズの元祖」という位置付けである。

----
**余談
-「Kombat」は誤字では無く、言葉遊びでわざと"C"が"K"に替えられている。ピンボール台のデザイナーでシャオ・カーン役の声も勤める"Steve Ritchie"氏によるこのアイデアは、現在でもシリーズの中に受け継がれている。[[このあたりは英語版wikiに詳しく載っている。>https://en.wikipedia.org/wiki/Mortal_Kombat#Development_history]]

-当時の時点では明確なストーリーが綴られていなかった。魔界・地獄といった多数の世界や旧神、ショウ・カンの存在といったシリーズお馴染みの要素は後発タイトルで後付されていったものである。
--キャラ設定もブレている。例えばライデンは神という立場から「悪の支配を止めるために力を使い闘士たちを誘う」ことが多いが、本作に限っては「シャン・ツンに個人的に招待された」というストーリーになっている。
---しかもエンディングでは&bold(){神同士でトーナメントを始めてしまっている}。
-国内の家庭用移植版では説明書にストーリーが記されているが、かなり意訳が入っている。

-Ermacと言うキャラクター
--実はスコーピオンのコスチュームが黄色から赤に変わるバグがあり、これがError Macro、つまりはErmacだという隠しキャラだ、という噂が広がった。これが次回作で"Ermac who?"とネタにされ、最終的にはUMK3で使用可能キャラになった。
---必殺技は"Hado-Energy"と呼ばれる波動拳型飛び道具、念力による投げ技、そしてスコーピオンからのワープパンチの流用である。&br();外見も初期はただの忍者の色違いから、(シャオ・カーンに倒された戦士達の魂の集合体という設定から、)"フードを被った黒いミイラ"というコスチュームに大きく変貌した。

-2010年にはタイム・ワーナー(現:ワーナーメディア)グループのゲーム部門である、ワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンタテイメント社が、倒産したミッドウェイからMKシリーズの製作スタッフを引き継ぐ形で傘下会社のNetherRealm Studiosを設立。翌年にナンバリング無しの”[[Mortal Kombat>Mortal Kombat (2011)]]”(別名MK9)が発売された。((同時にMIDWAY GAMESが保有する全作品の版権もワーナーが引き継ぐ形で移管された))
--1,2,3の実写時代を元にキャラクター設定を作り直しており、「モーコンは初めてでストーリーが分からない!」という初心者にも安心。
---なおストーリーは、"Armageddon"でシャオ・カーンに敗れたライデンが、殺される直前に過去の自分にイメージの念を送ったのが始まりである。&br()それを予知夢として受け取ったMK1時代のライデンが、なんとか惨劇を回避しようとして逆に泥沼化していくという、"バタフライ・エフェクト"(日本アニメでいえば"ひぐらし"みたいな)的なノリとなっている。&br()"MKX"の話はこの9の続きという設定である。
---公式では初代から"Armageddon"までの時代を「第一時間軸(1st Timeline)」、9以後の時代を「第二時間軸(2nd Timeline)」と呼んでいる。
---ちなみに、同系列のBallyとwilliamsは、ゲーム開発からデジタル・アナログ(ピンボール)共に撤退しており、現在ではゲーミングマシン(賭博機)専業となっている。

-移植作の多さ
--金儲けにうるさいアメリカだからか超人気作とはいえ、移植されたプラットフォームの数もCS機は言うに及ばず、当時のPCも含めて非常に多い。
--仕方のない事ではあるが、音楽や読み込みで一番優れているのがアーケード版なので、比べれば当然見劣りする。ちなみにそこの所を意識してか、『3』以降の家庭用作品からは追加キャラが大幅に増えている。

**国外での影響
-あからさまにスプラッターな表現やゴア表現をブラックなユーモアや笑いとして捉える文化もあり、バイオレンスかつインパクト大のFATALITYを備えた本作は瞬く間に大ヒットし、欧米圏では『ストII』に肩を並べるほどの人気を誇るようになる。その後は本作のグラフィックノベル、小説、ドラマ、アニメなどメディアミックス展開も広がり、ハリウッド映画化や演劇講演も行われた。
--ビデオゲームのキャラクターが登場する映画『シュガー・ラッシュ』では本作からカノウがカメオ出演している。
-本作の発売後、『キラーインスティンクト』、『エターナル・チャンピオンズ』、『タイムキラーズ』、『ウェポンロード』など本作を模倣したクローン作品が多く登場し、過剰なまでの鮮血表現にトドメの残虐必殺技を備えた「残虐格闘ゲーム」が大量生産されることとなる。
-一方で、実写で取り込まれたリアルなキャラクターをプレイヤーの手で殺傷するという残虐表現は悪影響を及ぼしかねないとして社会的な大問題となり、『[[DOOM]]』と並びしばしば問題作として取り上げられるようになった。
--とくに問題となったサブ・ゼロのFATALITYである「背骨抜き(Head Rip)」は相手の頭を脊髄ごと抜くという技で、キャラクターがポリゴン化する『4』まで技自体が自粛されるようになった((『UMK3』でHead Ripが復活しているが、こちらは頭を引っこ抜く前に画面が暗転してしまう。))。
---その過激さはSEGA-CD用のソフト『[[ナイト トラップ]]』とともにアメリカの議会で取り沙汰され、本作販売の数年後にESRBレーティングが発足する一因になった。
-ストロング国立演劇博物館((米国ニューヨーク州にある、おもちゃやビデオゲームなどのコレクションを展示する国立博物館))が毎年選定する「ビデオゲームの殿堂(World Video Game Hall of Fame)」にて2019年の殿堂入り4作品の1つに選ばれた。((本作の他に殿堂入りした3本は『Colossal Cave Adventure』、『Microsoft Solitaire』、『スーパーマリオカート』。))
--選定の理由には「最先端のグラフィックスと独自のファイティングスタイルをアーケードにもたらした」、「ESRBの発足の一因となった、1994年の米国議会聴聞会を始め、ゲームにおける過剰な暴力描写に関する国際的な議論を巻き起こし、『ゲームは子供だけのものではない』ことを位置づけた」、「プレイヤーがゲーム内のキャラクターで出来ることの境界を押し広げ、ゲームはもとより、ミュージックアルバム、アクションフィギュア、演劇ショー、ハリウッド映画など多くのフランチャイズを生み出した」とある。

**国内での影響
-国内でも北米販売の翌年に登場したが、全くといっていいほど知名度がなかった。むしろ本作の悪い部分(ブロックボタンなど操作が独特、粗悪なレスポンス、アジア圏を勘違いしたようなバタ臭い世界観とデザイン、過激なバイオレンス表現など)が目立ち、そもそもの輸入タイミングの遅さもあって、プレイヤーの人気は出なかった。
--結局『Trilogy』を最後に、本シリーズの国内移植は途絶えることとなってしまう。一部のタイトルはiPhone/iPad向けにリメイク販売されたこともあるが、既にストアから販売停止になったものもある。
-しかし一部にカルト的人気があったのは間違いなく、国内でも『サバイバルアーツ』(サミー/スカラベ)や『[[大江戸ファイト]]』(カネコ)といった本作に影響されたと思われる格闘ゲームが世に出ている。本作と同じく胴体切断などの描写があった『[[サムライスピリッツ]]』も一部シリーズに「断末奥義」「絶命奥義」((ただし絶命奥義に関しては演出的にはともかくシステム的には別物である(勝敗に一切影響のない「魅せ技」に過ぎない究極神拳とは違い、絶命奥義は勝敗にも関わる技)。))といったFATALITYのようなフィニッシュ技が存在する。特に[[サムライスピリッツ零SPECIAL]]ではデザイナーが発行した年齢制限つき薄い本やメイキング同人誌で、デザイナーやディレクター等がモータルコンバットの熱烈なファンであると自ら述べている。
-近年のシリーズである『9(2011)』、『X』は格闘システムがブラッシュアップされており、対戦ツールとしても水準が高いことから日本国内において本シリーズが再び注目されるようになった。
--しかしバイオレンス表現もグラフィックの向上に合わせて過激になっている故か、未だに国内版としての販売はされないままである。

----
**家庭用移植
国内ではSFC、MD(メガCD含む)、携帯機向けとしてGBとGGが販売されている。また海外ではこれらSNES、GENESIS、GB、GGの他にもAmigaやPC-DOS、SMSにも移植された。また、PS2、PS3、GC、PSP、Xbox、360、Windowsにて発売されたMidway作品のオムニバス集やコレクション作品の一つとして本作が収録されている。またコントローラーと映像音声出力が一体化した「プラグアンドプレイ」シリーズにも登場した。

特に本作のSNES版とGENESIS版は北米で同時発売され、当時の任天堂vsセガを象徴する作品となった。
-SNES版では鮮血表現が無くなったほか、FATALITYがFinishing Bonusになり、ジョニー・ケージ、カノウ、ライデン、サブ・ゼロは内容も変化している。
--FATALITYはあまりに残虐な表現であったため、直接的な暴力はカットされ間接的な表現にとどまった。
-一方でGENESIS版はSNES版よりもグラフィックやサウンドで劣るものの、隠しコマンドを入力することで「ブラッドモード」になり、出血が表現される他に上記4名のFATALITYがAC版と同等の内容になる。
-表現力ではSNES版が優勢だったが、完全規制されたSNES版と比べてGENESISは裏技でACのバイオレンス表現を解禁できたことから、一長一短なものとなっている。
-ESRBが無かった当時は北米の方が様々な表現規制が強かったため、後発のSFC(国内)版では規制がかかっていないだろうと期待した国外ユーザーも少なからず存在したという逸話がある。
--本作登場後にESRBが発足し住み分けされたことで、北米ではとくに厳しかったゴア・バイオレンス表現がレーティング分類で寛容になり、『2』以降のSNES・GENESIS版は通常状態で出血表現とFATALITYがAC同様の移植になっている。