マグマックス
【まぐまっくす】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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日本物産
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稼動開始日
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1985年
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配信
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アーケードアーカイブス/838円(税込) 【PS4】2015年4月2日 【Switch】2020年5月7日
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判定
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なし
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ポイント
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2つの視線のステージ構造 自機とパーツを合体させてロボット化
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概要
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1985年にて日本物産からアーケードにリリースした横シューティング。しかし、厳密には完全なる横シューティングではない(詳細は下記にて)。
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1~2人交互プレイ可能、主なステージ数は4つとの事だが、ステージクリア表示もないままシームレスにゲームが進行するので実質1ステージ構成といえる。エンドレスゲームだが、周回の継ぎ目もシームレスな為、ゲームオーバーになるまで、常にノンストップでゲームが進行する事となる。
主なルール
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レバー+1ボタンでの操作。レバーにて自機の八方向移動、ボタンにてショットが撃てる。
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非公認だが、コントローラーにもう一つのボタンを配線し、そのボタンを押しっぱなしにするとスクロールの倍速化ができる模様。
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本作はステージ内にて、地上と地下の2つの視線でゲームが進行する形となっている。ゲーム中にてときおり配置されている「穴(ワープ空間)」に自機が触れると、視線の違ったステージを交互に行き来できる。
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視線の内容に関して以下詳細。
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「奥行き視線」…ステージ地上部であり、サイドビューとクォータービューを混ぜたような視線のステージ。ゲーム開始時は必ずこの視線からのスタートとなる。他のゲームではあまり見られない視線なので説明は難しいが、同社の『セクターゾーン(セクロス)』と同じタイプの視線に該当する。この視線では自機が飛行せず、ホバーのような動きで八方向移動を行う形となる。
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「横視線」…ステージ地下部であり、通常の横シューティングと同様の視線のステージ。この視線では通常の横シューティング同様に自機が飛行する形で八方向移動を行える。
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両視線共に、同じ視線にて留まり続ける事は可能で、無理に視線変更をする必要はない。また、いくら視線を変えてもステージそのものが分岐するような変化がある訳ではなく、ゲーム自体は完全に一本道である。
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奥行き視線では自機の攻撃範囲が狭い代わりにやられ判定も小さく、横視線はその逆という特性がある。どちらかといえば奥行き視線の方が敵を避けやすくなる故に楽な道順といえる。また、後者より前者の方がスクロールの進行速度が早い。
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所々に落ちている「パーツ」を自機に触れさせる事により、それと合体して自機を強化できる。すべてのパーツを合体させると、自機がキャノン砲を持ったロボットのような形態となる。
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パーツと合体すれば、ショットが強化され広範囲の攻撃が可能になる反面、やられ判定も増すというデメリットもある。
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パーツ部分がダメージをもらってもそのパーツが破壊されるだけで、自機そのものには被害は及ぼさない(ミスにはならない)。但し、パーツ合体時でも自機そのもののやられ判定にダメージが及ぶと、合体に関係なくミスとなってしまうので注意。
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すでに合体しているパーツが複数出現する場合があるが、それとの合体は一切できない(触れても素通りしてしまう)。手がないと波動ガンが持てないという設定上、あらかじめ上半身と合体していない状態だと、波動ガンとの合体はできない(これも素通りしてしまう)。
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パーツに関する以下詳細。なお、戦闘機は自機であってパーツではないが、便宜上表記する。
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「戦闘機(自機)」…プレイヤーが終始操作する機体で、合体における中心部となる。下半身と合体すればロボットの腰部分となる。この機体単体は攻撃範囲の狭い前方ショットでの攻撃となる。
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「上半身」…ロボットの顔、胸、手に該当するパーツ。これと合体すれば、奥行き視線では射程制限ありの斜め下ショット、横視線では前方ショットが追加される。
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「下半身」…ロボットの足に該当するパーツ。これと合体すれば前方ショットが追加される。
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「波動ガン」…ロボットの武器に該当するパーツ。これと合体すれば、奥行き視線では射程制限ありのレーザー、横視線では前方レーザーが追加され、ショットでは破壊できない障害物も破壊可能になる。上記の通り、上半身と合体していない状態ではこのパーツとは合体できない。また、装備中は自機の移動速度が遅くなるというデメリットがある。
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一周ステージ内において、「怪奇ロボ バビロン」というボスが2回出現し、2回目のバビロンを倒せば最初のステージからの周回プレイとなる。
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残機制戻り復活で、すべてミスすればゲームオーバー。ミス後は戦闘機単体の状態で、ミス前の視線からの復活となる。
評価点
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グラフィックの質は当時としては結構高いと言える。
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メタリックなカラーリングのキャラクターが多く、自機のメタル感が半端なく、ロボット化するとそれに拍車がかかる。
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難易度を自由に選べる。
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3Dか2Dかで難易度を選べるのはマニアには嬉しい限りだろう。その点では自由度が高いと言える。
賛否両論点
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奥行き視線はラスタースクロールによる滑らかな遠近法が表現できており、リリース時期的に考えると地味に凄い演出であった。
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しかし、あくまでも奥行き視線は滑らかな動きをするだけに過ぎず、自機や敵の大きさはどの奥行きにいようが一切変わらない。よって、自機などが視線奥にいる場合はキャラの形が大きく移動速度が速いという不自然な状況になってしまい、遠近法の表現と矛盾が生じてしまうという微小な突っ込みどころはある。
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硬派な世界観に反して、BGMは妙に陽気で独自性の強い曲調であり、何ともいえぬ独特の雰囲気を醸し出している。
問題点
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ゲームとしての完成度は正直なところ大味気味で、敵種類やステージのバリエーションもあまり多いとはいえず、一周あたりのプレイ時間もあっさりと短い。ぶっちゃけいえば、割と平凡な出来というべき存在であり、可も不可もないゲームという印象。
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ニチブツシューティングの例に漏れず、敵の動きが妙にいやらしく、思わぬダメージを食らいやすい傾向にある。敵そのものはそこまで強烈な攻撃はしてこないのが救いではあるが…。
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やはりニチブツシューティングの例に漏れず、自機の移動スピードがとろく、思い通りに敵を回避し辛いあたりも厳しいところ。スピードアップのようなアイテムはこのゲームは存在しないので、そのとろいスピードで終始挑まなければならない(そもそも本作はアイテム関係が一切ない)。
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しかし、放置されているパーツが結構な割合で出現してくれる故に、同期のシューティングと比べると自機の許容ダメージ量が多く、防御面における自機の性能はやけに高い。そういう意味ではゲームバランスがとれているともいえなくもない?
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ちなみに、ボスであるバビロンは道中戦と比べると大分弱い(初見でも普通に倒せる程)。見た目がかなりかっこよくて強そうなだけに拍子抜けなのが残念である。
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地上と地下での難易度の差が大きい。
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前述の通り、自機の当たり判定が地上では足だけなのに対して、地下では全身に当たり判定がある(特にロボット形態)。そのため、地下でのプレイを避けるプレイヤーも少なくないが、地上の難易度の低さに物足りなさを感じるプレイヤーはわざと地下でプレイする事も。
総評
ゲーム自体はあまり良作といえるような完成度ではないが、無難に遊べるゲームではある。当時としては斬新な奥行き視線や、パーツを合体させて自機をロボットにしていく過程などは、他にはない試みとして評価されている模様。
本作のパーツ合体システムは同社の『テラクレスタ』、奥行き視線は『セクターゾーン』、視線が交互に変わるシステムは『テラフォース』と共通しており、ある意味ニチブツシューティングにおけるターニングポイントと呼べる存在かもしれない。
余談
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地下に点在する人工の建造物は開発当初の予定では『セクターゾーン』のように要救助者が配置される予定だったが没になり、建造物のみがその名残として残る形となった。
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ニチブツ作品の特徴とも言える「最後の1機になると再スタート時のBGMが変わる」という要素は本作のゲームデザインを担当した藤原茂樹氏のアイデアから採用され、以後の作品にも引き継がれた。
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当時のAC基板はCPUにザイログのZ80が使われるのがポピュラーだったのに対し、本作の基板は(当時は)高価なCPUであったモトローラの68000を採用しているのだが、「予算オーバーで社長からひどく怒られた」と前述の藤原氏は述べている。
家庭用移植
単体家庭用移植は以下の2機種で発売された
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ファミリーコンピュータ版(1986年3月19日発売、日本物産)
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ニチブツのFC初参入ソフト。移植度の面では、敵種類が減っていたり、奥行き視線のラスタースクロールが省かれている、バビロンが地上でも地下と同じデザインになっているなどの劣化はあるものの、原作のゲーム性は損なわれておらず当時の基準では頑張っている部類の移植である。
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アーケードアーカイブス版(PS4/2015年4月2日配信開始・Nintendo Switch/2020年5月7日配信開始 ハムスター 838円(税込))
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PS4版は同社の「アーケードアーカイブスシリーズ」の第24弾としてDL配信された。移植に関しては特に問題なくAC版そのままである。尚、公式サイトのマニュアルで当時のインストラクションカードも閲覧できる。
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Switch版はPS4版配信当時のアーケードアーカイブスシリーズには無かったハイスコアモードとキャラバンモードが追加されている。
最終更新:2025年01月02日 09:22