冒険時代活劇ゴエモン
【ぼうけんじだいかつげきごえもん】
ジャンル
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3DアクションRPG
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 裏を見る
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメント神戸
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発売日
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2000年12月21日
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定価
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7,140円
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廉価版
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コナミ ザ・ベスト:2001年11月22日/2,800円 コナミ殿堂セレクション:2004年7月1日/1,890円
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判定
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なし
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ポイント
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メンバーそのままに設定を一新 シリアスなストーリー OP自体は良い出来、だがOP詐欺
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がんばれゴエモンシリーズ・関連作品リンク
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概要
がんばれゴエモンシリーズのレギュラーキャラクター陣はそのままに、ストーリー・設定を一新した派生作品。
本作はアクションアドベンチャー系列のゴエモン作品と同じく、3Dの空間内で謎解きを行いながら進むタイプであるが、タイトルに『がんばれゴエモン』の名を冠していないことからも分かるように、これまでの作品とは設定・世界観の面で大きく異なるパラレル作品となっている。
また従来作の特徴であったギャグ要素は控えめで、総じてシリアスな世界観となっている。
なお開発スタッフはプロデューサーの蛭子氏、キャラデザインの大谷氏など、従来作と同じスタッフも関わっている。
特徴
キャラクターの大幅な設定変更
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ゴエモン
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本作では義賊ではなく、孤児で大工の親方に拾われた大工見習いの10歳の少年。
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また多種多様な武器を装備できるようになり、トレードマークのキセルの扱いは「シナリオ的にはある程度重要だが、武器としては選択肢の一つ」という按配に。
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従来のゴエモンの服装や髪型をそのままに年齢を下げたようなデザイン。それに伴い、声優は他作品の太田真一郎氏や松本保典氏ではなく山下亜矢香氏に変更された。
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エビス丸
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「関西忍者団(の自称エース)」の忍者。敵本拠で「(本当は逃げたい…)」と思ったり、食い逃げの常習犯であるなど臆病、卑怯な面が現れることも珍しくないが、根幹は「正義の忍者」のままで決めるときは決める。
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唯一がんばれシリーズから外見、声優が変更されてない。総じていつも通りのエビス丸と言える。
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サスケは身体(衣服?)がよりロボットっぽくなった以外は特に変更点なし。声優もアニメ版などでサスケ役を務めた坂本千夏氏が続投。
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ヤエちゃん
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ゴエモン同様、若くなり(ゴエモンよりはおそらく年上)、衣装が変更された。「大江戸秘密特捜忍者団」リーダー格だが青さを残す少女となっている。本作のヒロイン。
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声優はネオ桃山幕府以降のゲーム作品でヤエ役を務めている笠原留美氏が続投している。
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それ以外のレギュラーは物知り爺さんとおみっちゃんが登場。
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物知り爺さんはギャグ要素が無くなり一転してシリアスなキャラになり、おみっちゃんはシナリオにも絡まず音声も無しと半ばゲスト扱い的な出演。
あとプラズマも登場するが、シリアス志向ゆえか、今までと比べると演出がおとなしい。
システム
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サポートキャラ「コトラ」
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ゴエモンと一緒に旅をする精霊・白虎の子ども
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対象をロックオンして指示をする事で攻撃したり、仕掛けを解くのを協力してくれたりと、サポートしてくれる。
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力を借りた精霊の力を宿した紋章。
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アイテムなどと同様に装備でき、効果は様々。攻撃や回復、装備してるだけで効果があるものなど、使えるものから使えないものまでピンキリ。どちらかと言うと「人間と精霊が協力している」というシナリオ的な側面が強い。
問題点
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ゴエモン以外操作できない
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せっかくの新しいゴエモンなのにエビス丸、サスケ、ヤエちゃんはシナリオに絡んでくるだけ。4人組を切り替えつつ進むのがこれまでの特色だっただけに、大きなマイナス点である。
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三人ともそれぞれに見せ場はあるのが救い。
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イベントや謎解き、仕掛けを突破していく場面がよくあるが、ヒントが少ない場合があり、少し行き詰まりやすい。壁を連続キックジャンプで上に登って行く必要がある場所も比較的多いが、それに気づかないことも。
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カメラワークはあまり快適ではない。自動的にキャラ後方視点にはならないので、ゴエモン後方からの視点にしたいときはRボタンを押す。水中を泳ぐ場所では、深く暗い所などでは方向がわからなくなってしまう事も。
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バグかどうかは不明だが、主観視点で上を向くと人や敵が消えてノーダメージで歩くことが可能。
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コトラのシステムが生かしきれてない。
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ゴエモン追従マスコットキャラとして見た目的には華を添えているのだが、コトラを使っての謎解き要素もほとんどない。さらに経験値アイテムをとらないと成長しないという仕様や、コトラに攻撃させるより自分で攻撃してしまった方が手っ取り早いという事もあり、戦力としても使いにくい。最終決戦でもコトラがほぼ初期レベルと言うことも珍しくない。
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エビス丸のイベントが唐突。
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遭遇イベントでは食い逃げの費用を代わりに払うことになる。が、その費用は所持金+1000両(最大の9999両持っている場合は9999両)であり、要するに貯めていた金を全て取られてしまう。会うまでエビス丸絡みの話は一切聞けない(=食い逃げの常習犯であるということが分からない)のに、この仕打ちである。
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幸い1000両集めるのはそこまで苦労しない。しかし今まで持っていた金は返ってこないため、事前に知っておかないと金を貯めていれば貯めているほど損することになる。
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終盤のボス「火炎将軍クジャクラ」の酷い仕様。
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クジャクラ戦は円形のフィールドの中央に大きな穴があり、中央の足場にクジャクラが浮いている。自分で飛び移って攻撃する必要があるが、穴に落ちると落下ダメージをくらった上で、ボス戦の最初からやり直し。相手の攻撃を跳ね返せば怯ませる事ができるが、欲張ると反撃されてそのまま穴にまっさかさまということも珍しくない。
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時間はかかるが足場に行かず、クジャクラの攻撃を跳ね返してダメージを与える方法のみ行えば、安全に戦える。多数の回復アイテムを消費するが、強力な紋章を連発するという方法もある。
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こちらが敗北時、クジャクラは「弱い、弱すぎる、トラノオウはこの小僧に一体何を感じたと言うのだ!?」と激昂する。が、強いのはお前じゃなくて落とし穴だ!
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OP詐欺
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OP自体は主題歌が非常に熱く動きもよく絵の質も悪くないため好評・・・なのだが、
肝心のOP内容の描写にゲーム本編に登場しない要素が大量に含まれている。
以下、例を挙げると・・・
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ゴエモンがコトラの力を借りてパワーアップする紋章が登場。
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エビス丸、サスケ、ヤエちゃんが戦うシーンがある。
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巨大ロボットのような敵にゴエモンが立ち向かうシーンがある。ほら貝が無いのでゴエモンインパクトが呼べない。
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これらはいずれも旧作のオマージュなどを出しているだけで、いずれも本作内では存在しない。
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あまりにOPとゲーム本編の内容に乖離があったため、発売当時のネット上では「OPが完成した後にゲーム内容が変更されたためゲームに合わなくなった」という噂話が持ち上がっていたほどであった。
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またOPで登場するトラノオウ(後述)がやたらメタボ。ついでにOPではヤエちゃんが優勢だが本編中のヤエちゃんはトラノオウに手も足もでない。
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余談だが、このOPでは前述のクジャクラが地平で襲ってくるのをコトラの紋章で一撃で粉砕している。「そんな事できるか」「この場所なら苦労しなかった」など等、これまたいろいろ突っ込まれている。
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武器・紋章装備システムのバランスの甘さ
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武器や紋章を装備するためには、レベルアップで得られるステータスアップポイントを武器ごとに決められたステータスの数値分振り分ける必要がある。
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が、重要な武器に限ってやたら必要ポイントが高く、バランスが悪い。普通に進めていると、ゴエモンの代名詞キセルを入手した時点で装備できないなんてことにもなりがち。そしてその直後、キセルよりも強く必要ポイントも少ない十手が手に入る。
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トラノオウ戦でトラノオウが「草薙の剣を使え、でなければ我には勝てん」というが、バランスよくポイントを振り分ける、いわゆる普通のレベルアップをしているとまず装備できない。
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トラノオウに対しては最強武器である「風林火山」より、草薙の剣のほうが与えるダメージは多いため、言っていることが間違いというわけではない。しかし草薙の剣自体はトラノオウ以外には弱い武器であり、入手直後にさらに強く必要ポイントが少ない武器が入手できてしまう。このため草薙の剣を装備できるようにポイントを振ろうと考える人はあまりいないと思われる。
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ポリゴンテクスチャがあまり良いとは言えない。レビューなどでは64レベルと比喩される事もある。
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だがPS2初期のゲームと考えるとがんばっているほうと考えることもできる。
評価点
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3Dマップ
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ダンジョン内などが3Dゲームであることを生かした立体的な地形・構造が多く、よく作り込まれている。
フィールドは雪国など幅広く、登場するダンジョン等も古代遺跡や城内などすべて独自の個性があり、飽きさせない。
忍者砦ではメタルギアのようなステルス移動をする場面があったり、赤目の谷ではダンジョン内の温泉に猿が浸かっていたり、イベント・仕掛けや演出等も多くなかなか凝っている。
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ボス戦なども単一ではなくそれぞれ特徴的で、全体的に3Dを生かした作りになっている。
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シリアスで熱いストーリー
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霞乃帝国との戦い、と単純明快な勧善懲悪に見えるが「人間に恐れられ封印された精霊」「肉体を持たないため「器」に憧れる」など霞乃帝国含めて「人間と精霊の繋がり」と言う面が非常に大きなウェイトを占めている。
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ゴエモンが少年になったため感情的に腑抜けた精霊を叱咤する場面など主人公が先入観を持たない純粋な少年、と言う点を生かしている。
終盤のヤエちゃんとトラノオウの会話や物知り爺さんとサスケの会話は必見である。
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魅力的なキャラクターが多い。
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今作には町などもあり登場人物も多いが、ダンジョン途中などでもちょくちょくさまざまなキャラ会話シーンがあったりする。
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人間に恐れられ自ら封印され腑抜けてしまった「イノブノタケル」、そのイノブノタケルの様子に怒り精霊としての尊厳を取り戻させ、江戸で舞を舞う事に憧れる出雲の姫「オクニ」、ゴエモンを見捨てておきながらその後なんだかんだで助けてくれる事もある憎めない「盗賊親分」など
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特に霞乃帝国の将軍「トラノオウ」は白虎とイノブノタケルとの再戦のために復活したがまともに戦える状態でない二匹に失望、その後イノブの魂と草薙の剣を受け継いだゴエモン、白虎の血を引くコトラと戦うことを望む。
ヤエちゃんとも何度か戦い精神的に成長させる役割も持つ(が残念なことにヤエちゃんは操作できない、一応シナリオ的には戦いを拒否されたみたいだが)。その正体やシナリオにおける重要度、言動からもっとも魅力があるキャラと言える。
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BGMや、主題歌は好評。
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ただ、今作はサントラなどが出ていない。主題歌『旅立ち -大空の向こうへ-』 は良い曲なのだが、おかげで二番の歌詞があるかすらわからない曲となってしまっている。人気はあるのに…。なお歌っているのはゴエモン 新世代襲名!でも主題歌を担当したSTEPHAN.D氏。
総評
今作はゴエモンシリーズのキャラクターと世界観を活かしつつ、ギャグ成分控えめの純粋な冒険活劇路線に舵を取り、全く新しいオリジナル作品として作られたゲームとなった。
ゲーム性の面でシステム面での若干の不備や、ゴエモン以外のレギュラーキャラクターを操作できない点などの少々残念な点はあれど、難易度的にはそこまで難しいものではなく、シナリオ自体の出来も非常に良い。3Dアクションアドベンチャーの肝である箱庭的3D世界もよく作られている。
ギャグ要素の多い従来シリーズとは毛色が全く違うため人によってはあまり受け付けられないかもしれないが、そうした変化に抵抗がなければプレイして損は無い。
余談
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今作は普通にプレイすればレベル50前後でクリア可能だがなんとレベルは9999まで上がる。『ディスガイア』以前にもこのような作品が存在したのだ。
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2種類あるうちのこちらの攻略本に掲載されている設定資料とスタッフコメントによると、最初は2DのRPGとして計画がスタートし、OP中とゲーム中でゴエモンのデザインが異なるのは、OPには決定稿以前のデザインを使用したため。OPに登場するボスの一人、ドグジンはOPでは口から火を噴くが、ゲーム中では光弾を噴いて攻撃するという違いについては、設定資料に攻撃方法が変更された形跡があり、これらが前述の噂話の元になったと思われる。
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「沙羅曼蛇」という名前のトカゲのような敵が登場する。
最終更新:2021年12月30日 16:33