ぼくのなつやすみ3 -北国篇- 小さなボクの大草原
【ぼくのなつやすみすりー きたぐにへん ちいさなぼくのだいそうげん】
ジャンル
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なつやすみアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション3
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発売元
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Sony Computer Entertainment
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開発元
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ミレニアムキッチン アクリア デイジー
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発売日
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2007年7月5日
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定価
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5,980円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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廉価版
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PLAYSTATION3 the Best 2008年7月3日/3,800円
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判定
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なし
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ポイント
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サブイベントで進化が見られる 物語のボリューム少なめ
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ぼくのなつやすみシリーズ 初代 (ポータブル) / 2 (ポータブル2) / 3 / 4
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PlayStation Studios作品
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概要
『ぼくのなつやすみ』シリーズの第3作。
1975年の北海道、架空の町「花詩」を舞台に、おじの家に預けられた「ボクくん」を操作して、広大な北国の自然の中で夏休みを楽しむ。
評価点
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操作方法が非常に簡単。
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以前から批判された、移動時に×ボタン長押しを要求するというラジコン操作が無くなった。
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細かい点だが、前作とは異なり「8時までに絵日記を書かないとラジオ体操に寝坊する」というペナルティがなくなった。夕食後の日没時間を存分に堪能できるようになった。
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グラフィックがPS2時代から格段に向上して、よりリアリティのある情景が広がった。
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ボクくんが走りながらカーブを曲がるときは体が若干傾く、髪の毛が風になびくなど、走り回るモーションがさらに自然になっている。
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自由度が高く、やりこみ要素が豊富。
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俳句や牧場の手伝い、ツバメの巣を守るなど一定の条件をクリアするとEDや近くのガラス工場のお姉さんから賞品が受け取れる。
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虫捕り・草すべり・素潜り・釣り・ザリガニ・虫相撲など、懐かしい遊びが多い。
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特に虫捕りは虫の種類もマニアックなくらい豊富である。
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虫相撲に出せる虫のレパートリーが大幅に増加。オサムシ、カミキリムシ、カナブンが従来作にはなかった新しい戦い方を繰り広げる。また、夏休みを終えると新規ゲームに育てた虫を3匹まで持ち込めるように。
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草すべりは3Dマップと物理エンジンを大々的に導入しており、急斜面を駆け下りる際のスリルや絶妙な制御しにくさにより本物に引けを取らない世界観を味わえる。
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素潜りで行動できるマップの広さも前作より格段に増している。集められるジェットサイダーの王冠の数も上昇している。
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夏休み中盤から潜れるウッタラ湖は前作とは比べ物にならない程の深度を誇り、訪れた直後は精々中層が限度であるが、王冠を集めることで最深部へと到達することが可能になる。ちょっとした演出や回復スポットもあり、探索のしがいも豊富。
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ストーリーは、北海道の大自然と牧場を舞台にそこにいる人の触れ合いやイベントなどが溢れている。
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北海道の方言が持ち出す、独特な雰囲気も過去作には無い今回の魅力である。
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加えて今回の主人公は年齢が10歳であり、以前の主人公より少し落ち着いていたり、淡い初恋のような描写があり子供の世界を上手く表現できている。
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ネタバレ注意!
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恋の結末はEDの1つで大人になった「ボク」が、今回お世話になるおじさんのことを「おとうさん」と呼ぶEDがある。
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ちなみに、この台詞実はゲームプレイ中にボクくんのおじいちゃんがおじさんに対して言う台詞をそのまま使用していて、伏線になっている。
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EDの種類が豊富で5パターンある。内容は夏休みのイベントの伏線や後日談となっている。
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例えば主人公が山に登りたいと言うが、大きくなれば登ってみたら?と言われる。EDでは大人になった主人公が山の頂上に立つという。単なる会話がEDの伏線になっているので気が抜けない。
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今回もナレーションの声優はダンカン氏。3作続けて同じ設定同じ声優なのは彼のみである。
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OP・音楽
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主題歌はmarhy氏の『ひまわり娘』の優しい歌声で雰囲気に合っている。作中の合唱コンクールの練習で夕方庭で歌う緑の「冬景色」は徐々に上手くなっている演出である。また、エンディングで合唱コンクールの歌を実際に披露してくれる。
問題点
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ややストーリーのボリュームが少ない
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前作まではストーリーのボリュームがかなり多く、フラグ管理しようとするとかなり計画的に行動しなくてはならなかったが、今作では逆に削減しすぎた感がある。
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序盤こそ半ば強制的に起こるイベントが多いのだが中盤ぐらいになるとそれも減り、ただ単に一日を過ごしていくだけになる。
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日数に対してやりこみ要素のボリュームも少ない。ゲームのノウハウが分かってしまえば9割近くの達成度をおよそ20日目の段階で達成することも可能。
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特にツバメEDへの分岐は簡単なのだが最高難度扱いなのか優先されているようで、他のEDへの分岐のフラグが分かりにくくなっており何度やってもツバメEDを見る人が続出。せっかくのマルチエンドなのに全部見られないユーザーが多かった。
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過去作よりもボリュームが少ない事もあり、夏休み後半にはやる事が本当になくなってしまい、「適当に昆虫採集 → 虫相撲」の繰り返しになりやすい。過去作も終盤はそうなりがちであったが、本当に終盤だけだったのでまだマシだった。
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キャラクターのサイドストーリーが少なく、物語性が希薄になってしまった。台詞の種類も少なく、内容が被りがち。そのため以前より掘り下げが少なくなってしまい、感情移入しにくくなってしまった。
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また以前はキャラクターが様々な場所に移動するため、キャラクターとの触れ合いに基づいた計画を立てるのも本作の醍醐味なのだが、今回のキャラはほとんど動かないため、単調になりやすく顔すらよく分からないキャラすら出てくることもある。
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メインシナリオに絡まない大神のおばあちゃんあたりのキャラで顕著だが、日を改めて話しかけても全く同じ会話をされることもままある。
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序盤に生まれる仔牛の世話は、してもこれといった特典がある訳でもなく逆にしなくてもペナルティがない。
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リアリティに乏しいマップ設定
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今回入れる家は「おじさんの家」と「花咲めぐみ」の家だけ。学校や寺や他の家は出て来ても中に入れない家もある。前者2か所は当然といえば当然ではあるがマップは広いだけにやや残念。
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また、キャラの家族や家の描写がなく、子供達の「勇人」や「未知」はどこに住んでいるのかと疑問も出てくる。
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夜の寺付近を探索しているとランダムでお化けに出会い畜舎に戻されてしまう。近所のとあるキャラが変装しているものなのだがシナリオでもその存在に少し触れられるだけにとどまっており、このエピソードに関して掘り下げがない。戻されたところでゲーム上にこれといった有利不利が生まれるわけでもないので必要性が疑問。
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テレビニュースの時代考証に誤りがある。
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正しいのは沖縄返還は昭和47年、青函トンネル本坑貫通は昭和60年。
総評
『ぼくなつ』シリーズらしさは相変わらずでシステム面で改善された面はあれど、過去作と比べてキャラクターやシナリオが描写不足が目立つ。
特にやることがなくなってきてしまうのも過去作に比べて早くなりやすく、やや中だるみを感じやすいのは残念な所ではある。
しかし、フラグ管理をあまり気にせずに行動してもイベントを逃しにくくなっており、また北海道の酪農家という今までと少し趣の違う舞台は魅力的。
前二作の影響でややシビアな評価をされがちだが、もし機会があるなら手に取って欲しい佳作である。
余談
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本作は元々PS2用ソフトの予定だった。
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PS3のソフト不足のためのタイトル補填として当初PS2で出す予定のものがPS3へ繰上げられた。
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なお、次作である『4』はPSPでのリリースとなった。
最終更新:2024年11月18日 06:02