実況パワフルメジャーリーグ
【じっきょうぱわふるめじゃーりーぐ】
| ジャンル | スポーツ(野球) |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 ニンテンドーゲームキューブ
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| 発売・開発元 | コナミデジタルエンタテインメント | 
| 発売日 | 2006年5月11日 | 
| 定価 | 7,329円(税込) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ロード地獄 使えない強振
 サクセスモードのハイパーインフレ
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| 実況パワフルプロ野球シリーズリンク | 
 
概要
『実況パワフルプロ野球』シリーズ派生作品の一つ。名前どおりメジャーリーグを題材にしたパワプロである。
もっとも本当にMLBと下部リーグを再現するととんでもないことになるため、MLB=本家での一軍、AAA=本家での二軍という扱いで、AA以下については取り上げられていない。
なお、サクセスの登場人物は一部を除き大多数が外国人の設定だが、全員日本語で喋る。
ゲームキューブでの商品展開においてナンバリングタイトルでは『12』が最後となったが、パワプロ全体で見れば本作が最後の作品ということになる。
特徴
試合操作、ゲームバランスの特徴
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投球部分
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投球カーソルは12のような円形カーソルではなく11以前のミット型。
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ボール、特に速球の体感速度が近年の作品と比べると速い。
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そのため、緩急を使うピッチングがこれまで以上に対人戦では強力。ただし変化球のキレはさほど良くないので、判別自体は一応可能。
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以前のパワプロでは特殊能力の一種だったムービングファストボール(ストレートと同じように投げるが、打者の手元で微妙に動く球)がストレート系の変化球「ツーシーム」として独立した。
 従来ではムービングファスト持ちの投手はストレートが全て動いてしまうのだが、今回から普通の速球と動く球との投げ分けが可能になったことになる。
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しかしこのシステムの本家パワプロへの逆輸入はパワプロ15までお預けであった。
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「スローボール」が廃止され、ウエストのために固有の操作が必要になる。
 ウエスト操作をせずただ外角高めにはずしても失投した時のようにキャッチャーがビックリするだけでウエストにならない(稀にウエスト操作してもキャッチャーがビックリして立ち上がらないが)。
 
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打撃部分
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投球部分が上の通りなのでただでさえ打ちづらいが、さらにアナログスティックでの操作が過敏なため微調整が難しい。
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加えて強振カーソルの芯がかなり小さいため、非常に強振がやりづらい。タイミングや芯がズレるとキャッチャーファールフライが多発する。
 またカーソルの外側にも見えない当たり判定があるため、横変化球やツーシームで芯をズレさせられると空振りではなく凡打、凡飛になりやすい。
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一応ミート打ちはまだやりやすい。
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ついでに言うとCOM打撃も弱体化。ツーストライクに追い込んでからの落ちる変化球や高めに外れる速球にいとも簡単に空振りし、カットボールやツーシームに詰まってあっさり凡退する。
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サクセスのライバルキャラも、このCOM弱体化のあおりでトラウマとはなりがたい。
 
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現実のメジャーリーグの「外には甘いが、中には厳しい」ストライクゾーンを再現しており、本家と比べるとボール1列分外側にストライクゾーンが敷かれている。
 
プレイモード
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本家パワプロと同じくホームラン競争、サクセス、リーグモードなどが存在する。しかしマイライフやシナリオはない。
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ペナントモードが球団経営の要素を持った「シーズンモード」に差し替えられている。
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新たにショップモードが存在する。ゲームをプレイすることで得られるパワメジャポイントを使い、球場や新フォーム、選手カードなどを解禁していく。
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購入できるフォームには日本プロ野球OBや現役選手のフォームも含まれている。ただしパワメジャ用に選手モデルを作り直したためか、特定のフォーム特有のフォロースルーは再現されない。
 
サクセスモードの特徴
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舞台は独立リーグであり、メジャーを目指すプレイヤーは野球人生最後の望みをかけて入団してくる。
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育成システムは当時発売されていた本家パワプロと同じく、トレーニングによって得られる経験点を使いパラメータを伸ばす方式。
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センス〇が「消費する経験点×0.9(端数切捨て)」という本家パワプロより有用なものになっている。
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練習で入る経験点の基本値が当時の作品である『パワプロ12』や『パワプロ13』と違い低めだが、代わりに能力アップに消費する経験点もやや少なめであり、バランスは『パワプロ10』に近い。
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固有システムである「ガッツ」を溜めることで一度だけ練習の効率が飛躍的に伸びる。ガッツは専用の練習メニューをこなす他にイベントやシーズン中の勝敗によって上下する。
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ガッツ溜めまくる→試合に勝ってガッツさらに増やす→トレーニングでガッツ消費→給料が入ってガッツ回復、という本作特有のサイクルが出来上がる。
 
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所属可能チームが5つと比較的多いほかゲームモードにアメリカン編とサムライ編の二種類が存在する。
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アメリカン編は特徴がないのが特徴だがサムライ編では食事という特有のシステムが存在し、食事メニューの組み合わせによって3種類の恩恵が得られる。
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ただしその恩恵が巨大でゲームバランスを大荒れさせている。こと一時的にだがセンス○より能力が上げやすくなる効果は反則級。
 上記のガッツ溜めサイクルに、良い感じに経験点が溜まったところで食事によるセンス○発動、という操作を加えることで能力インフレがさらに進行する。
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また月々の給料に食費が含まれるので地味にアメリカ編より給料が多くなる。良いこと尽くめのようだが食事のメニューが貧弱なうちはメリットを活かせないし、効果の高いメニューは当然金がかかる。
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なお「特徴がない」というのは野手育成の場合で、投手育成の場合はアメリカン編とサムライ編で習得できる変化球に違いがある。
 
 
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操作がらみの問題からか、ルーキーのお守りのペナルティが軽減されている。
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本家ではだいたい「試合での経験点が1/7」という強烈なペナルティが課せられるが、本作では「お守りありが基本、なしなら上乗せ」という考え方であり、これはシリーズ通して同様である。
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ただし野球道具に特殊能力の付く確率が1/2になってしまう。
 
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継承プレイの内容が12と比べてシンプルであり、かつ影響が露骨に大きい。
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例えばあるチームで育てた選手はそのまま次回以降のプレイでも同じチームに登場する。本家の継承選手のようにランダムではなくデータが上書きされない限り必ず登場する(ただしプレイヤーとポジション被っていると移籍)。
 凄い選手作りまくっておけば極めて頼もしい味方となりうるが、プレイ終了ごとに一定の確率で別のチームに移籍するので敵に回ることも。
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また街でアルバイトをした場合はサムライ編でも触れた食事のメニューが強化されたり、ショップに新しいアイテムが入荷したりするがこれらも次回以降のプレイに反映される。
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店売りの野球道具を持った状態で活躍すると道具の能力が伸びるが、稀に特殊能力も宿る(逆に言うとデフォルト道具のままでは試合で特殊能力が得られない)ことがあり、こうして成長した道具が「オリジナルモデル」として店で売りに出されることになる。
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このオリジナルモデルを入手することで、前回プレイで得た特殊能力を一部引き継げると言うことになる。ただしオリジナルモデルがさらに成長するということはない。
 どちらにしろ、本家パワプロでは敢えて買うほどの効果が期待し難かった野球道具に大きくスポットを当てたといって良いだろう。
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余談だが野球道具の成長イベントは試合後のランダムイベントであるが、彼女候補に話しかけられるイベントと発生条件がかぶっており、競合を避けるためにわざと彼女に嫌われるプレイスタイルが存在する。
 
 
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MLBスカウトの目に留まることが目標だが、順当に活躍していればいつの間にかクリア条件を満たしていることが多く単純なクリア難易度はかなり低い。
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プレジデントカップ
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もしリーグ優勝をしていた場合はプレジデントカップという全2試合の特別試合に進むことになる。
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このリーグには世界中の様々なチーム参加して日本からは「10」で登場した猪狩カイザース、頑張パワフルズが渡米してくる。猪狩守と矢部明雄以外はビジュアルでの登場はないが嬉しいファンサービスである。
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しかしここで初戦敗退を喫すると必ずゲームオーバーになってしまう。ここだけ局地的にクリア難易度が厳しくなる。
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ただし、事前に相手が高難易度の猪狩カイザースか、低難易度の頑張パワフルズかが分かるようになっているので、カイザースが相手の場合は参加を回避するといった安全策を取ることが可能。
 
 
評価点
サクセス
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強烈な継承要素
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継承選手をチームに仕込んで試合で勝ちやすくする、特殊能力を仕込んだオリジナルモデルの道具でレア特能を労せず獲得、という具合。
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継承要素を強くするのは「仕込みありきのプレイ」として賛否の分かれる部分でもあるものの、遊び込みがゲームの結果に直に繋がるという点では快感になる。
 
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投手の育てやすさ
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数値バランスが『パワプロ10』に近いうえ、必要な変化球ポイントの上がり幅がプロ10よりも緩やか。
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CPU打者が比較的弱い傾向も手伝い、ピッチャーに関して言えばPS2時代のパワプロではトップクラスに作りやすい。
 
その他
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質の高い試合BGM。
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パワメジャの舞台であるアメリカらしさを前面に出したとも言える力強くも疾走感のある通常試合BGM、ラスボス戦に相応しい威圧感があり壮大なプレジデントカップのBGM、いずれもたいへん好評。
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いずれも十数年の時を経て実況パワフルプロ野球 サクセススペシャルに使用されており、特にとあるイベント限定でプレジデントカップのBGMが使用された時は、パワメジャの知名度が比較的低いため元ネタは知る人ぞ知るという感じであったにもかかわらず、高い評価を得ていた。
 
 
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球場ギミックの再現。
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芝目、風の吹く方向や打球の飛びやすさ、飛びにくさといった細かいデータも再現されており、実際に高度1600mのクアーズフィールドではほかの球場と比べて10m以上打球が伸びる。
 
問題点
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ロード時間が長い。例えばサクセスでの試合進行ではプレイヤーの出番になるたびに10秒弱の読み込みが発生する。
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GC版でも2~3秒縮まるくらいであまり変化がない。また発言しているキャラが表示されないなどの描画遅れも。
 
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アナログスティックを用いたバッティング操作に違和感がある。
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慣れれば問題ないのだが、パワプロシリーズとは明らかに操作性が違う。
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サクセスがらみで悪質なバグがある。体力回復アイテムのパワリンを買い過ぎると売り切れになってしまうのだが、買い物画面で売り切れになるまでパワリンを選び、
 かつ清算していない状態で×ボタン(Bボタン)連打で買い物画面を抜けると、買っていないにも拘らずパワリンが売り切れになってしまい、しかも同一プレイ中に再入荷しなくなってしまう。
 
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シーズンモードにおいてアレンジチームを登録できないという初歩的なヤラカシがあり。思い通りに選手が作れても、活かせる場が思いのほか少ない。
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プレジデントカップで出てくる友沢などの「10」と打撃フォームが違う。細かい矛盾だが気になる人は気になる。
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シーズンモードでは大抵のチームが赤字必至の経営状況であり、高給取りを整理するなどしないとすぐ経営が立ち行かなくなる。
賛否両論点
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サクセスモードで強力選手がいい加減な理論でも出来てしまう快感はあるが、強力選手を作るのが目標だったりすると簡単に飽きてしまう。
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ただし精神経験点の伸びだけは歴代サクセスでもかなり悪い部類に入るため思いのほか成長に制約がかかっており、己の限界に挑戦する楽しさが完全に失われたわけではない。
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また、本作はデフォルト登録メンバーが全員メジャーリーガーということもあり、同時期のパワプロシリーズに登録されている日本球界の選手と比べ、能力のアベレージが遥かに高い。
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結果、相対的に見ればデフォルト登録メンバーとオリジナル選手との力量差はパワプロシリーズとそこまで変わらないため、ゲームバランスが崩壊するレベルではない。
 
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サクセス中に発生するランダムイベントもそれまでと比べて数が少ない。
総評
サクセスモードの極めてワイルドな調整とハードルの高くなった試合操作が特徴と言える。
メジャーリーグでパワプロ、という要素が話題となり第一作はそこそこの売り上げを記録したが、これ以降は今一つになってしまった。
サクセスが『パワメジャ2』以降デフレ傾向でプレイヤーに不利なシステムを入れるようになったことも、人気低下に影響したと思われる。
余談
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作中に登場する「G(グレート)」と名前がつく選手は選手会に肖像権が選手会の管理下に無い選手であり本名で登録できない選手である。
例えば1994年にメジャーリーグでのストライキが起きた時に代替選手として出場した選手
(ケビン・ミラー氏、ブレンダン・ドネリー氏、ジェイミー・ウォーカー氏等)は選手会に拒絶されている為ゲーム上では肌の色が異なり名前も無関係のものにされるという能力値以外はほぼ架空の選手として扱われている。
日本でも有名なホームランバッター、バリー・ボンズ氏は自身で肖像権を管理している為実名が使用できず、ホームラン競争などで使用しようとしたプレイヤーを大いに落胆させた。
最終更新:2023年04月29日 13:41