ドラゴンシャドウスペル
【どらごんしゃどうすぺる】
ジャンル
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世界の真実を知るシミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売・開発元
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フライト・プラン
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発売日
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2007年1月18日
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定価
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7,140円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ストーリー
新たな、終わりと始まり-
古代の叡智“マトリクス”をめぐり現代の魔法使い“ヴァリアント”たちが世界を駆け巡る時代
A.D.2007
東京の地下深くに眠っていた大いなる扉の遺跡“デモンズイコン”を巡り凄惨な事件がおきようとしていた。
遺跡に居合わせた少年カイト
彼を呼ぶ謎の少女の声に導かれるまま少年は巨大な船を目撃する。
7つの暗号によって隠されたどんな願いも叶えるという至高の叡智“アニマムンディ”を巡るヴァリアントたちの戦いの中
やがて隠されていた“すべての真実”が明らかになる。
(取り扱い説明書より抜粋)
概要
『BLACK/MATRIXシリーズ』や『サモンナイトシリーズ』などで有名になった「フライト・プラン」の自社ブランド1作目となるシミュレーションRPG。
ファンタジー作品が多いフライト・プランとしては珍しい2007年の現代を舞台としたシミュレーションRPGであり、
主人公の「天音カイト」が崩壊の危機に瀕した日本を救うためにヴァリアント組織「ルシフェル」の一員となり、7つの「デモンズイコン」を巡る旅に出るというストーリー。
キャラクターデザインは同社の『BLACK/MATRIX OO』の高野裕紀と『サモンナイト クラフトソード物語』の大塚真一郎が、シナリオは『BLACK/MATRIX OO』の鈴木明日香が担当している。
『BLACK/MATRIX OO』との関連を匂わせるキーワードが登場するが、明確な繋がりが示されている訳ではない。
特徴・評価点
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戦闘システム
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基本的には『サモンナイトシリーズ』のシステムを踏襲しているがターン性ではなく『タクティクスオウガ』のようなWT制である。
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また、ゲームバランスも難しすぎず簡単すぎない良好なバランスである。
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本作独自の要素として「パーティリンクシステム」というものがあり、自軍のユニットを任意の数だけ指定してパーティを組み、その全員が一度ずつ行動できるというものである。
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敵のターンを無視して自軍のメンバー全員で総攻撃できるので非常に強力であり、また劣勢時の立て直しにも役に立つが、パーティリンクに参加したメンバーの行動ターンは消費されてしまうので
自軍メンバー全員でパーティを組めばパーティリンク終了後は、当然敵から連続攻撃を受けてしまうので使い所が重要である。
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本作では『サモンナイトシリーズ』と違いレベルアップ時のパラメーターの振り分けが無いためキャラクターの素の能力値を変える事は出来ないが、代わりにスキルを装備させる事によって、その組み合わせでキャラクターをカスタマイズさせる事が出来る。
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キャラクターも魅力的であり、過保護な主人公の姉「タツキ」や銀の子匙と呼ばれる凄腕魔女「プリンヴェール」を始めとして人気の高いキャラクターが多い。
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ドット絵のレベルが高く、特にボスキャラの巨大グラフィックは定評がある。
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「ユーフォーテーブル」が担当しているオープニングアニメはクオリティが高く、プレイヤーをゲームに引き込むのに十分である。
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また、「DayLightFever」が歌うオープニング曲「Rainbow」も評価が高い。
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余談だが、オープニングアニメの途中に、作中のキャラクターが「我が体は竜、我が言葉は力、我が存在は神の煌き。我が身、我が言の葉を通じ、神威の力をここに紡がん。ドラゴンヴォイス」と喋るシーンが挿入されており
その厨二ぶりから人気が高く、ネット上では本作自体も「ドラゴンヴォイス」と呼ばれる事が多い。
問題点
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ストーリーの粗が多い。
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記事冒頭のストーリーを見ても分かる通り専門用語があまりにも多く、しかもこれでもまだ専門用語のほんの一部でありストーリーがやや難解である。
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新しい専門用語が出るたびにキャラクターが専門用語に関する詳しい説明をしてくれるので意味が分からない事はないのだが、その数が多すぎるためストーリー序盤は専門用語の解説がシナリオ部分の大半となってしまっている。
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また、逆に終盤はそれまでと比べて急展開でストーリーが進み、回収されない伏線が多いため打ち切り漫画のような終わり方と言われる事もある。
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出来は決して低すぎはしないものの、総じて「厨二病っぽい」「ライトノベル的な」ストーリーである。受け入れられるかは人によって左右されがち。
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現代を舞台にしているものの、キャラクターのほとんどはファンタジーらしい服装をしている、主人公達も飛空艇に乗って旅をする、姫や騎士といったキャラクターがパーティにいるといった理由でファンタジー作品にしか見えないと言われる事も多い。
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現代らしいものと言えば携帯電話ぐらいしかないのだが、ファンタジーらしい展開の中、着メロが鳴るのは逆に違和感が大きい。
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他にも上記の姫に仕えている騎士が「お転婆姫がよく馬に乗って脱走していた」という話を語っている場面で「あの辺りは携帯電話も通じないのに」と言い出してしまうなど、ファンタジーなのか現代ものなのかどっちつかずな場面も散見される。敢えてギャップによる違和感を狙ったものなのかもしれないが……。
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「タツキ」や「プリンヴェール」といった人気キャラクターに限って、1周目ではパーティ入りせず、2周目用の引継ぎアイテムを使わなければ仲間に出来ない。
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しかも彼女たちを仲間にしても単に戦闘で使えるだけでストーリーには影響せず、キャラ別エンドにも参加できない。あくまでゲスト扱いである。
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特に「タツキ」はパッケージの一番前に描かれており発売前に重要キャラクターであるかのように宣伝されていたため、この扱いに対する不満の声も多い。
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キャラクター個別ENDが淡白で、クリア後のごほうびとしてはやや物足りなさがある。
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本編中での特定キャラとのプライベートトーク(1対1での会話シーン)ではそのキャラの一枚絵のイベントCGが用意されているが、個別ENDにはそういったCGは無い。また内容もプライベートトークより短くあっさりしたものが多い。
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上記のように女の子の出番がやや控えめな割に、一部にBLを意識したような描写が含まれるため、苦手な人には辛い。
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ただしBLを全面に押し出しているわけではない(あくまで全年齢対象レベル)ため、人によっては気にならないレベル。
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パーティメンバーではない特定のキャラクターを2周目以降自軍として参戦させる事ができる引継ぎ用アイテムがあるのだが、それを1周目の序盤から買えてしまうためストーリーのネタバレとなってしまう。
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「心獣解放技」が使いづらい。
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キャラごとに攻撃や補助など固有の性能を持ち、使用時カットインも用意されている、いわゆる「超必殺技」にあたるシロモノなのだが、使用条件に制約が多い
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使用には「BP」と呼ばれるポイントを消費するのだが、これは戦闘で各種の行動をとるうちに溜まっていく。範囲攻撃系の解放技は消費BPも多く、使えるまで戦った頃には敵の数も減ってしまっており撃ち時を逃す……ということが多い。
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また、BPは上述の「パーティリンク」システムでも消費するポイントであり、無理に解放技を撃たせるよりはパーティリンクで畳み掛けるように行動したほうが色々な面で融通が利いてしまうという場面が大半なため、半分死に技のようになってしまっている。
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心獣解放技はAP(行動力)の消費も多いため、デフォルトでは「移動後に撃てない」という制約もあり、移動後に使える通常攻撃やスキルに比べて小回りが利かないことも使いづらさに拍車をかけてしまっている。
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このAPはスキルで増やすこともできるのだが、通常プレイで1周目をクリアするまでに習得することはまずないと思われる。
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上記のように生かしづらい要素ではあるが、広範囲の味方にバフスキル複数回分の効果を一度で付与できるサラやビスタなど、解放技を生かせるキャラもちゃんと存在はしている。
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アドベンチャーパートの不便さ。
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視点変更やメニューの呼び出しなどができず、特にジャンプの操作性は劣悪。浮遊ブロックの下に影なども無いので、慣れるまで何度も足場を踏み外すことになる。プレイヤーが試行錯誤を重ねるよう設定されているとのことだが……
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資金がたまりにくい。
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ゲーム内通貨である「賢者の石」は戦闘では微々たる数しか集まらず、実質ミニゲームをやりこむことを前提としたバランス。
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「賢者の石」を入手できるミニゲームは2つだが、GArdenROckは覚えゲー、ZEROは音ゲーなので、苦手な人には辛い内容。しかも前者は浮遊ブロックを買う毎に配達範囲が広がり、難易度が上がるので、安定して稼ぎたかったら買わないほうが無難だったりする。
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BGMのクオリティは決して低くは無いのだが、曲数が少なく、同じ曲ばかり聞いている様な印象を受けてしまう。
総評
『サモンナイト』や『BLACK/MATRIX』を手掛けたフライト・プランの自社ブランド1作目として前評判は高かった本作だが、主にストーリーの粗の多さと上記に挙げたような残念な点に批判が集中し、発売当時の評価は芳しくなかった。
しかし、上記のシリーズで培われたノウハウを基に作られたシミュレーションパートは佳作レベルの完成度はあり、ストーリーも粗は多いものの大きな破綻は少ないため糞という程酷いわけではないため、作品としては決して悪くは無い出来である。
余談
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本作にはその強烈な個性からプレイヤーに強いインパクトを残す「ラー」というキャラクターが登場する。
その彼が率いるチームの名前は「桃毒組(ポイズンピンク)」というのだが、2008年にこのチーム名と全く同じ名前のゲームが、同じくフライト・プラン社から発売されている。
なお、名前が一致しているだけであり本作とは内容的な関わりは無い模様。
最終更新:2025年01月31日 16:08