パワーゲイト
【ぱわーげいと】
| ジャンル | シューティング |  
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| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | 2Mbit Huカード | 
| 発売元 | パック・イン・ビデオ | 
| 開発元 | メイクソフトウェア | 
| 発売日 | 1991年8月30日 | 
| 定価 | 6200円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | グラフィックがPCエンジンとは思えないショボさ テンポもっさり
 しかし、ゲームの出来は意外と悪くない
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概要
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パック・イン・ビデオ(現:マーベラス)から発売されたオリジナル横スクロールシューティング。
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一人プレイ専用、全6ステージ構成。
主なルール
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主な操作方法は、十字キーにて自機移動、2つあるボタンは各自、ショットボタンと特殊ウェポンボタンに使用する他、SELECTボタンも使用操作に入っている。PCEシューには珍しくIボタンがメインショット。
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ショットは前方一直線に飛ぶメインショットと、斜めに落下しながら攻撃する対地ボムの二種類があり、両者を同時に撃つ。但し、対地ボムは初期状態だと撃てない(使うにはパワーアップアイテムを取るか、称号システム(下記)でランクアップする必要がある)。
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特殊アイテムを取得している状態で特殊ウェポンボタンを押すとそれを撃つ。特殊ウェポンは回数制限があるが、強力な性能を持つ。
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SELECTボタンを押すと複数持っている特殊ウェポンの切り替えと、自機後方の敵にダメージを与えるバックファイヤーの噴射を同時に行う。両者共に個別のシステムだが、各操作を別々に行う事はできない為、必然的にバックファイヤーを放つと選択中の特殊ウェポンが切り替わる。またバックファイヤーは1度使うと一定時間出せなくなるため連射出来ない。この操作でスピード調節は出来ない。
 
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赤い敵(ヘリと固定砲台を除く)を倒すとアイテムを落とす。以下その詳細。
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基本アイテム…主に自機の強化を行うアイテム。
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「スピードアップ(S)/ダウン(D)」…前者は自機スピードを1段階上げ、後者は下げる。最大スピードは4段階となっている。
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「パワーアップ ノーマル(+)/対地ボム(-)」…前者は自機のメインショットを強化する(一個取ればフルパワー)、後者は対地ボムを強化する(最大3段階までパワーアップ)。
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「エネルギータンク(E)」…ライフが1回復。ライフ上限は3で、それ以上は取っても増えない。
 
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特殊アイテム…取得した特殊ウェポンの残数を1増やす。持っているのと同じアイテムを取ればウエポン残数がさらに1追加され、それぞれのアイテムを複数ストックする事も可能(SELECTボタンにてアイテムを切り替える)。溜められるウエポン残数はどれも無制限。また、アイテムを取った時は選択がそのアイテムに自動で切り替わる。
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「フィールド」…一定時間、自機が無敵化(点滅)する。効果時間の終了前には警告音が鳴る。
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「ロックオン」…一定回数、敵を見つけ次第、体当たりを仕掛ける小さいオプションが付く。1個が順繰りに倒しに行くので敵が多いと倒すのにもそれなりに時間が掛かる。前方の敵への優先度が高く、後方の敵へ向かっている途中に前方から敵が現れると後方の敵へのロックは解除される。
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「機雷弾」…自機周囲を高速で回る機雷を多数発生させる。機雷は敵に当てると倒せるが敵の弾は防がない。敵に当たった機雷は順に減っていく。
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「ハードミサイル」…自機前方にミサイルが発射されすぐに大爆発、そこから攻撃判定の強い爆風が起きる。爆風範囲は狭い。
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「拡散ミサイル」…自機前方にミサイルが発射されて、そこから周囲八方向へ破裂し爆風が放たれる。
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「スペシャル」…一定時間、自機移動スピードが最大(スピードアップ最高状態)となり、自機の下後方に垂れ下がる感じで動く残像分身が2個現れ一緒に攻撃する。但し効果時間中は対地ボムが撃てない。また、自機と同じ形の上に色合いも変わらず、自機との間もほぼ空かないので自機の位置が判り辛くなる事がある。
 
 
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各ステージクリア後にはリザルト画面が表示され、それまでに稼いだスコアによって階級が昇進する。また階級ごとに特定のアイテムや特典を得る事ができる。以下その詳細(上から順にクリア時のスコア条件が高くなる)。
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少佐…「スピードアップ」「パワーアップ 対地ボム」のボーナス。
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大佐…「スピードアップ」「パワーアップ 対地ボム×2」のボーナス。
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少将…「スピードアップ×2」「パワーアップ 対地ボム×2」「ロックオン×3」「機雷弾×3」のボーナス。
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中将…「スピードアップ×2」「パワーアップ ノーマル」「パワーアップ 対地ボム×3」のボーナス。
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大将(最高称号)…「スピードアップ×2」「パワーアップ ノーマル」「パワーアップ 対地ボム×3」「フィールド」「ロックオン×2」「機雷弾×2」「ハードミサイル×2」「拡散ミサイル×2」のボーナス。
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この称号で得たスピードアップ、及びパワーアップ系のアイテムはミスしても所持した状態で復活できる。例えば、少将の称号を得ると、ミスしてもスピードアップを2つ、対地ボムのパワーアップを2つ取得した状態で復活でき、ゲームオーバーにならない限りはそのアイテム分のパワーランクが下がる事は一切なくなる。ボーナスが多い中将や大将に至っては、ほぼフルパワーで復活できる。
 
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残機+ライフ制(初期及び最大ライフ数は3)で、両者共になくなるとゲームオーバー。ダメージで減るライフ数は常に1だが、壁や障害物に触れると即ミスとなってしまう。
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ミスするとすべてのパワーランクがリセットされ、その場復活。但し、上記の称号で得たアイテムによるパワーランクは絶対にリセットされなくなる。なお、特殊アイテムに関してはいくらミスしようが増減する事はない。
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ゲームオーバーになるとそのステージから、制限回数のあるコンティニューが可能だが、取得していた特殊アイテム、階級はすべてリセットされてしまう大きなペナルティがある。
 
評価点
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ゲームバランスが絶妙に良い。
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PCエンジンシューティングの中でも上位に位置する。
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敵弾が遅い、いわゆる弾幕系の撃ち方で、バランスの良い適度な弾避けを楽しめる。
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また、敵配置も練られており攻防のバランスが意外な位に優秀である。
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特殊アイテムも垂れ流せるほどではないが貴重過ぎない程度には手に入るため、配分や状況に応じて使っていける戦略性がある。
 
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道中戦のバランスは上質なだけに、これでボスもやる気のある難関だったら、文句なきゲームバランスだったのだが…。
 
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グラフィックに問題はあるが、多重スクロールや斜めスクロール、ステージ中の起承転結など演出面は力が入っている。
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また、ゲーム的には敵や敵弾などがわかりやすい色使いで、安心してゲームに集中できる。
 
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オープニングの自機パイロットの顔絵のグラフィックは繊細。
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ライフと残機を併用したシステムのおかげで、いきなり即死終了するような理不尽さも少ないのは親切である。
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しかし、ライフ制な上に他シューティングに比べてスコアエクステンドする機会が多く、称号によりミス後のパワーランクが段々と下がらなくなる事も相まって、結構緊張感が薄いという問題もない訳ではない。
 
問題点
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1991年のPCエンジンソフトとしては、ファミコンと見紛う程グラフィックがショボい。
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グラフィックのドット使いや色塗りが異様なまでに甘く、やや誇張気味ではあるが同時期のファミコンソフトにすら劣るとまで言われる。
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一応それなりに色は使われているしグラデーションも施されてはいるのだが、キャラも背景も大部分が黒枠の輪郭で囲われており、ゲームのテーマに比してアニメチックやコミカルさから噛み合っているとは言い難い。
 
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PCエンジン最初期のタイトルがR-TYPEの名移植であることや、限界を引き出したビジュアルで絶賛された『マジカルチェイス』がリリースされ、その後のリリースでこのショボさはあんまりすぎる、と当時から批判される点である。
 
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ボス戦はともかく、6ステージの道中BGMにすら使い回しがある(ステージ1と3、ステージ2/4/5が同じ楽曲、ステージ6は専用曲)。それ故にBGMの曲数が残念な事に。
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アーケードタイトルでも全面専用曲ではないタイトルが出ていた時期なので問題点としてそこまで大きいものとは言えないが。
 
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全体的にスローテンポでスピード感に欠ける。
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その結果ステージ数の割にプレイ時間がやや長めとなっている(約30分位)。
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特に自機ショットの弾速が遅い。撃ち損じると弾切れを起こして肝心な時に撃てなくなる。そしてボタンに連射機能が付いているので、押しっ放しにしていると弾切れは頻繁に起こる。パワーアップしても多少速度が上がる程度で大きく改善はしない。
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メインの対空ショットのパワーアップは1段階のみで対地ボムが3段階。
 
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大量に弾を撃ち大量に敵を撃墜しアドリブで避けまくるという爽快感重視のゲーム性ではなく、全体のテンポが抑えられた中で与えられた状況に対してじっくり対応していくゲーム性となっている。
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ハイテンポな破壊や弾避け、派手なボスといったキャラバン系シューティングのプラットフォームであったPCエンジンのシューティングとしては珍しく、ビジュアル面の問題もあって広く支持される作品にはならなかった。
 
 
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特殊ウェポンのアイテムを取ると勝手に選択が切り替わる。
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種類も多いのでストックが1個ずつ溜まって来るといちいち戻すのが面倒。
 
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道中突破だけのステージ4と5の存在。
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ボスが配置されておらず、障害物を避け突破するステージになっている。こういったコンセプトのステージはシューティングゲームに皆無ではないが、支持されにくい面は否めない。
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それ以外のステージのボスも弱く、特にラスボスには肩透かし感がある。ちなみに、ステージ4と5の障害物避けの方が圧倒的に高難易度。
 
 
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オプション項目やこれといった裏技は一切存在せず、難易度は一種類ぽっきりとややボリューム不足。
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敵弾が多めにばら撒かれる状況が多い影響なのか、頻繁に微小な処理落ちが発生する。
総評
ドット絵やテンポの遅さといったビジュアル面に大きな問題を抱えており、撃つ・避けるといったプリミティブな楽しさがコアにあるシューティングゲームとしては広く支持されなかったのも止むを得ない面がある
しかしゲームそのものは丁寧に作られており大きな破綻も無く、実際にプレイしてみると楽しめる。「ゲームは見た目だけじゃない、中身が一番大切なんだ」という言葉がしっくり来るゲーム。
その後の展開
余談
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称号システムによるボーナス特典入手は後のアーケード作『19XX』のそれを先取りしていた存在といえる。
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称号システム自体は19XXの前作にあたる『1941』(AC、90年稼動)から導入されているが、こちらはスコアが増幅するだけに留まる。
 
最終更新:2021年01月28日 22:09