こみっくパーティー
【こみっくぱーてぃー】
ジャンル
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恋愛アドベンチャー+育成シミュレーション
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対応機種
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Windows 98~XP
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発売・開発元
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Leaf
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発売日
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1999年5月28日
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定価
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初回パッケージ版:6,090円
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レーティング
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アダルトゲーム
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廉価版
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リニューアルパッケージ版 2003年6月19日/5,800円
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判定
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なし
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ポイント
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システムに粗が多い だが発売当時の影響力は非常に大きかった キャラクター・シナリオの出来は過去作に続き良好
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Leaf/AQUAPLUS作品リンク
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ストーリー
美術大学の入学に失敗した千堂和樹は、滑り止めに入った大学でのキャンパスライフを満喫できずにいた。そんな彼を心配する高瀬瑞希は、和樹に色々な事をやらせて普通の大学生としての生活を勧めるが、和樹の幼馴染である九品仏大志が「これは運命、必然だ!」と豪語。和樹は半ば強引に同人誌即売会「こみっくパーティー」に連れて行かれる。その異様な熱気、未知の異常世界に戸惑いはしたものの、そこでは自分が見失っていた創作に対する熱い情熱が渦巻いている事に気づき、自分も同人誌製作に乗り出す事を決意。しかし、ヲタク系カルチャーに否定的な瑞希は、和樹の決断に不快感を顕わにするのだった。
概要
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Leaf東京開発室の処女作。同社の作品としては久しぶりにビジュアルノベルではなく、通常のアドベンチャー方式になっている。
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「漫画製作」をモチーフとしたゲームとしては、おそらくPC-FXの『こみっくろーど』(1997年)に次いで二作目になる。
システム
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本作は「主人公育成型アドベンチャー」を起用しており、主人公のステータスをある程度管理してスケジュールを組んでいく。
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プレイヤーはその日の予定を組み立てていく事ができる。出かけるのも原稿を書くのも、即売会で入手した同人誌を元に他サークルに原稿を依頼しても良い。
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同人誌製作を進めることで経験値が蓄積され、同人誌製作効率が上昇していく。
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同人誌即売会で入手した同人誌を元に原稿を依頼する事ができるが、その際実在の(する、またはした)同人サークルが出現する。
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アルバイトを選択する事で資金を稼ぐ事ができる。稼いだ資金は次回イベントの同人誌内容に変化をもたらす他、画材を購入するのに使う。
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こみっくパーティーは毎月一回行われる。月頭に次の同人誌のジャンル、ページ数、カラー等を選択する。
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月末の締め切りまでに製作が間に合わなければゲームオーバーになる。
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締め切りが近づくと通常よりも効率が良くなる「修羅場モード」に突入し、体力の減りが激しくなるが製作進行率が上昇する。
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修羅場モードではマップ移動型アドベンチャーパートで入手した画材を使う事ができる。
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修羅場モードに突入した月は、こみっくパーティー前日の日曜日に行動が出来なくなる。この日に特定の行動を行わないと発生しないイベントが多くあるため、安易に頼るとヒロインを攻略出来なくなってしまうリスクがある。
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「出かける」を選択する事で街に出かける。マップ移動型アドベンチャーパートに突入し、画材の購入のほか、街中で小イベントが発生する事もある。
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同人誌即売会では即売会開場を自由に移動するマップ移動型アドベンチャーになる。
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攻略対象の女の子のサークルスペースに行ったり、コスプレスペースを覗いたりして交友を重ねていく。イベント展開によっては、女の子のサークルと合体サークルとして出展する事も。
評価点
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みつみ美里と甘露樹の手がけたキャラクターグラフィックは現代もなおファンが多い。
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とくにみつみ美里の評価は高く、この頃の同人誌界隈には当作の絵柄を模倣した「みつみクローン」と呼ばれるサークルが現れた。
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現在もなおこの頃の影響を引きずっている同人サークルは多い。
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256色で表現されており、多少低スペックでも楽しむ事ができる。
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言われなければ256色とは気づかないほどグラフィッククオリティは高い。むしろ、言われても俄には信じがたい。
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この頃はまだWin95のPCユーザーも少なくなかった。
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ベースとなる世界観は同人誌製作という極めてヲタク的なものだが、ストーリー展開は「自分の知らない世界に足を踏み入れて、変わってしまう主人公に抱く孤独感」や「創作における迷いや葛藤」といった普遍的なテーマを基調としており、その手の世界に詳しくなくても楽しむ事ができる。
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個性的で魅力的なキャラクター。
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ヒロイン達の殆どが同人誌製作に関っているが、現代に良く見かけるテンプレート的なヲタクをしておらず、どちらかといえば「物作りを楽しむ」と言う、古典的なヲタク気質を持っているのが特徴。
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サブキャラクターの九品仏大志の強烈な個性はインパクトが非常に強く、言動はかなり異常で痛々しい狂人なのだが、決して悪人ではなく、ファンから嫌われるような事は無い。
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Leaf名義では初の声優起用も後押ししている。
難点
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ポップでライトな見た目とは裏腹に、一部キャラクターのルート攻略にはランダムイベントや、膨大な同人誌の売り上げが必要だったりと難易度が高い。
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他にも、攻略とは関係ないサブイベントもランダム発生要素が強い。
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そもそも、同人誌製作はある程度ステータスによって左右されるとはいえランダム進行。運が悪いと引きこもらないと間に合わない。
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もっとも、それほど確率が低いわけではないため、よほど運が悪くなければ気にならないが。
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即売会での行動時間が少なく、他サークルの同人誌を購入したり、同人誌即売会イベントを見ている余裕が無い。
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そもそも同人誌を購入し、原稿依頼をすると一日の行動数が減るため、効率が良いとは言えない。ちなみに原稿依頼しても自分の描くページが減るわけではない。
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この辺りは時間が余ったときのオマケ要素と割り切ろう。
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セーブロードを自由にできない、セーブロードが可能なのは週の初め、休日のみ。
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序盤はあまり気にならないが、ゲーム後半のADVパートでこの仕様が足を引っ張ってしまう。ゲーム後半のイベントはかなり長いため途中で中断できないのが不便に感じる。ゲームの仕様上仕方ないことかもしれないが、せめて中断機能くらいは付けて欲しかったものである。
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設定の変更もゲーム中は一切不可能、こちらも不便である。
総評
アドベンチャーゲームとしては重大な欠陥であるランダム要素が足を引っ張っているが、その点を除けばただの異色世界観のアドベンチャーになりかねなかったところを、同人誌製作パートが程よいアクセントになっており、ゲームとして完成度の高いものに仕上がっている。
その魅力的なキャラクターや世界観にひかれ、本作をきっかけに同人界隈に落ちた人と言うのは決して少なくない。と同時に、本作からギャルゲー業界で「主人公がヲタクでヒロインもヲタク。エンディングを迎えても脱ヲタせずにディープな世界にどっぷりはまったままだがそれでも良し」と言う展開が散見されるようになる。ヲタクにとって、決して脱ヲタする事が幸せな結末ではないと言う事が語られるようになったのは、本作によるところが大きいといえるだろう。
余談
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ある意味大変マイノリティな世界を舞台にしたため、同人界隈に弊害が発生した。
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同人誌業界は作り手も買い手も「参加者」と言う関係である事が望まれ、独特のルールを持って秩序が保たれていたが、本作をきっかけに同人誌の存在を知りルールを把握しないまま即売会に参加する人が増えたため、同人誌即売会が混沌とし始めた。
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元々同人誌即売会ではそういった人々が少なからずいたため、必ずしも本作が全ての原因とは言えないが。
その後の展開
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格闘ゲーム『AQUAPAZZA』のパートナーキャラとして高瀬瑞希、猪名川由宇が出演している。
移植
全てアクアプラスブランドでの発売(カッコ内はレーティング)。
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DC版(セガ審査:全年齢推奨)
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アダルト要素が無くなった代わりに、新キャラクターが登場。他にもフルボイス化され(PC版はパートボイス)、サブイベントやエンディングも多く追加された。更に、同人誌製作進行がコマンド入力式になり、ランダム要素が薄れた。
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しかし、デバッグ不足なのかバグが残っている、フリーズが頻発する、システム周りが重いなど欠陥が多い。
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音声の音質が悪く、ノイズが乗っているというギャルゲーとしては重大な欠陥もある。折角フルボイス化されたのに。
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DCE版(ソフ倫:全年齢対象)
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DC版をWinに移植したもの。同人誌制作進行がタイピング方式に変更され、腕さえあればゲーム序盤から大手サークル同様の売り上げを稼げるが、その分執筆が早く終わってしまい、サブイベント発生条件を満たさない事が多くなり、一部キャラはクリア必須イベントを発生できなくなってしまうことがある。そのためゲームとしては欠陥が大きい。
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わざと執筆を遅らせればいいのだが、事前情報がないとどのタイミングで執筆をすればいいのか分かりにくい。
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PSP版(CERO:15歳以上対象)
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PSP初のエロゲー移植ソフト。
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DC版を元祖Win版同様ランダム進行に変更したもの、他にもOP/EDが新調されている。
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しかし、全体的に処理落ち気味かつ、キャラがしゃべる度にUMDを読み込むという糞仕様。
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その為、冒頭のプロローグを早送りでスキップしても本編開始まで1時間以上掛かる。
最終更新:2025年03月26日 11:36