三國志戦記2
【さんごくしせんきつー】
| ジャンル | タクティカルシミュレーション |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売・開発元 | コーエー | 
| 発売日 | 2003年6月26日 | 
| 定価 | 7,140円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 前作の欠点を大幅に改善 しかしパンチに欠ける
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| 三國志シリーズ | 
 
概要
前作『三國志戦記』から1年と半年余り空けてリリースされた続編。
目玉は第4の勢力、呂布軍でプレイできること。呂布の娘として登場し、『三國志11』『真・三國無双7 猛将伝』にも出演した呂玲綺のデビュー作品でもある。
なお基本的なゲームシステムは前作とほぼ変わっていないので、前作の記事を参照して欲しい。
主な新要素
第4の勢力、呂布軍の登場
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本作では曹操軍、孫策軍、劉備軍に加え呂布軍でプレイすることができる。
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武力一辺倒の武将が多い上に当初の頭数が少ないため難易度は決して低くないが、呂玲綺・張遼・高順・陳宮らの掛け合いを楽しめる。
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ちなみに呂布軍がプレイアブル勢力に昇格したためか、メイン軍師である陳宮の顔グラフィックは前作に比べ豪華なものに差し替えられている。
 
各勢力に存在する「外伝」
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外伝は各勢力で特定のエンディング(多くは最も簡単な史実エンディング)を見た後でないと挑戦できない特別シナリオ。
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本編と比べると開始時期が異なったり、意外な展開になったりすることが多い。
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特に呂布軍の外伝シナリオは他3君主の外伝シナリオをクリアしないとプレイできないため、周回プレイの楽しみが増加している。
 
「連撃」システムの搭載
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連撃は1人の武将で連鎖ができるシステム。その武将が敵部隊に行える戦法を次々と当てることができる。
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連撃をするには軍師が部隊戦意を消費して知力に応じただけの広さの周囲味方部隊に連撃指令を出す必要がある。
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連撃を行った後はそのまま他の味方部隊による連鎖に移行できる。そのため、前作で最大10連鎖だった戦法連鎖が、本作では最大16連鎖になっている。
 
隠し戦法や特典アイテム
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各章で特定の都市を訪問すると仙人庵が存在することがある。
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ここでは強力な特技を教えてもらったり、アイテムをもらうことができる。
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張飛の専用戦法「大酒宴」のように、仙人庵でないと修得できない隠し戦法も存在する。
 
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エンディング後はそのプレイにおける最大連鎖数や仲間にした武将数などに応じて評価がなされる。
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評価はその成績によって様々な武将に例えられる。例えば戦闘面では成績が良くても仲間の数が少なかったりすると「呂布」と評される。
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評された人物によってアイテムをもらうことができ、周回プレイでそれらを受け継いで使うことができる。
 
前作からの改善点・評価点
戦法連鎖のしやすさ
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前作に比べて非常に戦法連鎖がしやすい。その理由は以下の通り。
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武将に修得させる戦法をプレイヤー自身で選べるようになったため、連鎖のしやすい戦法を付けて戦争に臨める。
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戦法自体も連鎖のしやすいように効果が改変されていたり、新たな戦法が追加されたりしている。
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戦争開始時の部隊の初期位置が比較的連鎖がしやすい形になっていることが多い。
 
戦法バランスの改善
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戦法に「成功」と「失敗」の概念が加わったことで、のっけから強力な戦法でカタを付ける・付けられることがなくなった。
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戦法にはその武将の能力に応じて成功確率が規定されており、強力な戦法はそれが低い。
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連鎖を重ねるごとに戦法成功率は上がってゆくため、強力な戦法は連鎖の後半にもっていくることが求められる。
 
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前作で強すぎた戦法が弱体化した。
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例えば「挑発」「陥穽」などの前作で無限遠から敵を引き寄せることのできた戦法はその効果範囲が規定され、遠すぎると引き寄せることができなくなった。
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一応前作と同じように無限遠から敵を引き寄せることのできる戦法も存在するが、多くは前述の仙人庵で教えてもらう隠し戦法である。
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諸葛亮や司馬懿など最初から持っている優秀な武将もいるが、彼らですら序盤は戦法成功率が低いため戦法失敗が多いように調整されている。
 
 
武将バランスの改善
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前述のように武将に修得させる戦法をプレイヤー自身で選べるようになったため、自分のお気に入りの武将で戦争ができる。
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武将が捕虜になった場合、必ずしも1回では登用できないようになったため、各勢力間の武将バランスが偏ることが無くなった。
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武将によって捕虜にした際の登用のしやすさは異なり、特に義理堅い武将は同章中で5回捕縛しないと仲間にできない。
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ただし密偵によって離間工作をかければ、必要捕縛回数を減らすこともできる。
 
武将個々の個性やストーリーへの関わりの増加
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武将の個性が前作よりも表現されている。
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仲の良い、もしくは史実で関係性の深い武将同士が特定の配置になると専用の「友義武将戦法」が発動し、様々な効果をもたらしてくれる。
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前作では君主とその取り巻き数人しかストーリーに関わって来なかったが、本作ではその取り巻き枠が多少増えている。
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在野武将を登用した時のセリフもその武将にちなんだ専用セリフが見られる。呂布で法正を登用した時などは必見。
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武将で都市訪問をすることができ、「呉下の阿蒙に非ず」のイベントなど武将が成長するちょっとしたイベントを見ることができる。
 
問題点
スケールダウンしたifストーリー
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本作でもプレイヤーの選択によるifストーリーは健在なのだが、全体的に大味で魅力に欠ける。
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大抵は史実エンド(バッドエンド)、統一エンド(ハッピーエンド)、孫尚香絡みエンド(外伝エンド)の3パターン。
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中には孫策編の対曹操エンドや周瑜vs諸葛亮など目を引くストーリーもあるのだが、前作に比べると意外性に乏しくパンチに欠ける。
 
未だに冗長な戦争パート
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改善点も多い戦争パートだが、それでもまだ冗長さは否めない。
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戦争パートは相変わらず長い上に多い。戦法エフェクトを簡易表示できるようになったのは嬉しいが、それでもダレる。
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川・山・森で機動力が異常に落ちることが改善されておらず、一部の兵科を除いて役に立たない。
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特に本作では主要都市での戦争は全て城内専用マップで行われるのだが、通路が狭い、戦法がしにくい、敵がなかなか攻めてこないなどストレスばかり溜まる作りになっている。
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しかも大抵の最終決戦はこの城内専用マップで行われるので、せっかくの最終決戦が台無しになっている。使用可能兵科が騎兵の武将ばかりの呂布軍だとなおさら。
 
 
未だに良いとは言えない戦法バランス
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結局「挑発」「陥穽」系の敵をある程度の距離から引き寄せる戦法が主な連鎖手段となる。
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自分で好きな戦法を付けることができるようになったことで、逆にほとんどの武将が有用な同じ戦法を持つことになり、個性が薄れた。
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修得できるのは比較的後半だが、未だに「火矢速射」「火矢乱射」などの火矢系戦法が強すぎる。
その他
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前作に存在した戦争開始時の陣形選択と軍師の秘策がオミットされてしまった。
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政治面で活躍した武将が相変わらず弱い。有用な戦法を付けても結局攻撃力や成功率は基本能力値に比例するため、使えない。
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戦争開始時の初期位置がやっぱり選べない。図らずも弱い武将が最前線に位置してしまうことがある。
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難易度を初級・中級・上級の3段階で選べるのだが、敵の兵数や戦法数が多くなるだけでクリア時の特典等が何もない。
総評
決して悪くは無い作品なのだが、前作で見出した伸び代を昇華しきれなかった感じが見受けられる。
結果的には悪い意味で角の取れた、ごくごく平凡な内容に落ち着いてしまった。特にifストーリーの質低下が痛い。
ただ、繰り返し言うが決して悪い作品では無い。言うなれば余力がありながら名作の一歩手前で立ち止まってしまった、惜しい作品である。
最終更新:2021年01月11日 21:14