SIMPLE2000シリーズ Vol.102 THE歩兵~戦場の犬たち~
【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむひゃくに ざ ほへい せんじょうのいぬたち】
ジャンル
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ミリタリー・アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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タムソフト
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発売日
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2006年8月3日
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定価
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2,000円(税抜)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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なし
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SIMPLE2000シリーズ
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THE 歩兵シリーズ 1/ DS / 2 / @SIMPLE
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概要だ!頭に叩き込めウジ虫ども!
『フルメタルジャケット』などに代表されるミリタリー映画を絶妙にパロったD3渾身の一作。
プレイヤーはとある小隊の兵卒となり、様々な装備やアイテムを駆使して戦う歩兵アクションゲーム。
全体的なシステムは一般的なTPSに乗っ取ったものになっている。
ストーリーを説明してやる!感謝しろ、このコンニャク野郎ども!
1939年、ヨーロッパで勃発した第二次世界大戦は、1941年の太平洋戦争の開戦をきっかけに世界中を巻き込む戦乱へと拡大する。
世界各地で行われた戦闘により多数の市民が犠牲となり、またそれが新たな戦いへの火種になっていった。
各国は軍備を増強、多量の兵器・弾薬が連日戦場へと送り込まれる事になる。そしてそれは、多くの兵士が必要になることも意味していた。
兵士不足に悩む軍は、新米兵士を僅かな訓練で前線へ送り込むことになるのだった。
これが戦場での戦い方だ!教えてもらえてうれしいか、このクソの山ども!
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出撃前に持っていく武装を選択する。武装は攻撃用の武器だけでなく、それぞれの弾薬や、回復用のメディカルキットやスタミナ回復用のレーションも含まれる。
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持って行ける重量には限界がある。限界内でいかに装備を吟味するかが鍵。
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武装や弾薬はミッション完了時に支給されるものや戦場で拾った物を使う。そのため無駄遣いすると後々困ることになる。
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戦場では最初にミッションが示され、このミッションを達成するのが目標になる。
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「敵の殲滅」という目標は意外に少ない。「目標物の破壊」や「目標地点への到達」といったミッションが中心になる。
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ミッションによってはちょっとしたイベントが用意されていることもある。
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戦場では体力とスタミナに注意して行動する必要がある。
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スタミナは移動したり緊急回避をすることで減少し、無くなると走ったり緊急回避ができなくなる。時間経過かレーションで回復できる。
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ミッションクリア後はプレイに応じた評価が与えられる。
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高評価を得るためには、「すばやく任務を遂行し、無駄弾を少なく、可能な限り傷つかずにクリアする」ことが重要である。
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評価に応じて昇進でき、昇進する度に能力を強化できる。この際、好きなようにパラメーターを振り分けられる。
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全てのステージで高評価を得ると特典武器が手に入るため、やり込み要素にもなっている。
評価点を報告いたします、サー!
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一つ一つのミッションが短く、テンポ良く進められる。
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ミッションにもよるが、5分以上かかるミッションはほぼない。
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どのミッションもやることは単純明快。マップもあるので迷うことはないはず。
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また、GAMEOVER後のリトライが非常に早い。ローディングが皆無で、あっという間に戦場に復帰できるのも評価点。
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一部ミッションではボス格の敵も登場し、倒した際には会話イベントが入る。
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難易度はそれなりに高めで操作性はあまりよくないが、それが逆に独特の緊張感を生み出している。
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元々の移動速度が遅く、少し走ればすぐ疲れる。銃器のリロードも長く、手榴弾を投げる速度も遅い。そして敵の攻撃を一発でも食らえば一気に3分の1~半分は当たり前で、戦車の砲撃だと即死するほど脆い。
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照準操作すら遅く、悠長に武器を構えている間に撃たれたり、リアルに戦場にいるかのような感覚がある。
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3段階の難易度調整が可能で、幅広い層に対応している。
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そしてなんと言っても、本作を『THE 歩兵』たらしめる最大の存在、「上官」。
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低予算作品の例に漏れず、本作のグラフィックレベルは低いのだが、明らかに上官だけポリゴン数が多い。他のキャラクターは口が動かないのに、上官だけしっかり表情が変わる。
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ゲーム開始直後のムービーで早速現れ、新兵たちに活を入れる。内容は『フルメタルジャケット』におけるハートマン軍曹が宿舎で新兵に罵詈雑言を吐く有名なシーンを露骨にパロったものであり、
「ゴミ溜めに顔を突っ込んだ気分だ」「ウジ虫以下のクズ」
と暴言をぶつけてくる。
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その後、上官が
「キサマ、そのロクデナシで下劣なゴキブリ野郎に付けられた、卑猥極まりない名前を言ってみろ!」
とプレイヤーに向かって言うのを機に、そのままプレイヤーの名前入力に移行する。
しかし、名前を付けると「腐った下劣な名前だ」とここでも暴言を浴びせた後に、「よし、俺がもっと素敵な名前を付けてやる!」と言われ、上官に見るからに適当なあだ名を付けられてしまう。
以降、この際に付けられた適当なあだ名がゲーム全編を通してのプレイヤーネームになる。
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「これがお前の名前だ!」
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入力した名前
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あだ名
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ケビン
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メロメロポルノスター
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マーク
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皆殺しジェントルマン
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デビット
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恩知らずオルカ
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ジム
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山賊モンキー
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ジョージ
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落第フランケン
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ジョニー
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絶倫ケンタッキー
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レイモンド
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ぶよぶよセニョリータ
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エリック
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つむじ曲がりザウルス
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このあだ名のパターンは非常に豊富で、このためだけに何度も名前を入れ直した人もいるとか。
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ちなみに「ふたばりほ」「ふたばまこと」などのD3キャラの名前を入れると特殊なあだ名になる。
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元々入力していた名前がゲーム内で使われることはない。セーブデータにも上官に付けられたあだ名の方が表示されるため、実質無意味である。
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各ステージ開始前にも、上官がかなり大ざっぱな指示を与えてくれるのだが、この文章もハイセンス。以下に例を挙げる。
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「郵便屋さんごっこは好きか? よし、好きなだけ楽しんで来い。向こうに届けるまで帰ってくるなよ!(伝令任務)」
「そこいらに巣食う虫どもを片付けろ! 赤ん坊が歩いても大丈夫な位きれいにして来い!(待ち伏せする敵の殲滅)」
「目の前にそそり立った、奴らの黒くて硬いのをヘシ折って来い! 二度とデキない様に徹底的にな!(迫撃砲の破壊)」
「どうやら飛行機もジャングルでは迷子になるらしいな? 迷子の間抜けからお土産を受け取って来い!(墜落した飛行機から機密文書の回収)」
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詳しいクリア条件はミッション開始前の選択画面とポーズメニューから確認できるので、大ざっぱだからクリアが困難になるようなことはない。
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戦死する(GAMEOVERになる)と「最低のウジ虫野郎! 許可なく死ぬなど許されると思うか! その撒き散らした汚物をかき集めてさっさと作戦を再開しろ!」とフルボイスで怒られる。
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システム上プレイヤーの階級は元帥(!)にまで上がるのだが、どこまで行っても上官には逆らえない。
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ちなみにエンディングは
『ファミコンウォーズ』が出ーるぞーあのマラソン曲のパロディである。興味のある方はこちら。
問題点を発見しました、サー!
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意図的にやっている部分を含めても操作性が悪い。
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特に移動速度の遅さは結構致命的である。
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カメラワークの動きも悪い。一応右スティックでカメラを動かせるのだが、その後勝手に動いたりする。
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死んでいる武器がある。
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特に近接武器はほぼ役立たずである。また、マシンガンとロケットランチャーも若干難がある。
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近接武器は「音が出ないため、気づかれないのが長所」らしいが、敵に近づけばどのみち気づかれるため、よほど敵のど真ん中に飛び込みでもしない限り使い道はない。しかも、わざわざこれを使わなくても銃で直接殴打する近接攻撃は可能。
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マシンガンはハンドガンより長い射程と多い弾数を活かせば役に立たない事もないが、ハンドガンに比べ重量があるため、厳しい重量制限の中では余裕があまりない。フルオート射撃を使えば敵を楽に倒せるが、無駄弾はクリア後の評価を大きく下げるので、高評価を狙う場合は基本封印推奨。どこぞのメイドといい、D3は機関銃が嫌いなのだろうか?
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死に武器というわけではないが、ロケットランチャーは弾薬を含め重い・装填数少ない・弾薬補充しづらいの三重苦で使いづらい。戦車に有効だが、手榴弾でも戦車の撃破は可能なので、結局軽くて補充もしやすい手榴弾の方がよく使われる。
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逆に最強武器候補はスナイパーライフル。
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「敵に気づかれないうちに殺れ」が基本となる本作では射程が長く、一発が強いスナイパーライフルが非常に有利。その様は『THE 狙撃兵』と呼ぶにふさわしい。…本作のタイトルってなんだっけ?
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一応弾の入手機会が少なく、無駄撃ちしにくいという欠点はある。
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上げても意味のないパラメーターが多い。
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パラメーターは4種類あるのだが、LIFE(体力)以外の要素は上げても今ひとつ効果を実感しにくい。初心者はLIFEを重点的に上げること推奨。
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リアルな描写はそんなに多くない。
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史実では76.2mm砲弾を11発、対戦車砲を14発、対戦車銃を227発、地雷を3個食らっても帰還したと言われるティガー戦車が歩兵の手榴弾一発で粉砕される。どこぞの戦車といい、D3は戦車が嫌い(ry
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なお手榴弾を使わずとも、戦車にマシンガンをたった50発ほどぶち込むだけで鉄クズにできる。こんな脆い戦車って一体…
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ヘッドショットなどの概念はない。敵兵の体のどの部分を撃ってもダメージは同じ。
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友軍が登場するミッションもあるが、基本的に開始数秒で全滅する。戦場には敵しかいないと思っておいた方が良い。どこぞの防衛軍といいD3は友軍(ry
この総評を読むころには貴様らはウジ虫から一人前の兵士になっているだろう!
概ねTPSとして必要な要素は揃っており、SIMPLEシリーズの中でも比較的丁寧に作られた一作である。
ゲーム自体は良くも悪くも普通の戦場TPSで派手さには欠けるが、その辺りを「上官」の全編通して響き渡る暴言が補っており、このシリーズ独特の特色を持つことに成功している。
フルプライスのTPSや、SIMPLEシリーズの傑作『地球防衛軍』には流石に見劣りするが、決して駄作ではない。十分に遊べる1本である。
余談であります、サー!
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後にいくつかの続編および関連作品がリリースされている。
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2007年8月30日にDSで『SIMPLE DSシリーズ Vol.21 THE 歩兵 ~部隊で出撃!戦場の犬たち~』が発売された。基本的には本作の移植版だが、専用のミッションと共にマルチプレイ要素が追加されている。上官の追加ボイスあり。
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同じく2007年8月30日にPS2で『THE 最後の日本兵~美しき国土奪還作戦~』が発売された。舞台は第二次世界大戦から現代の日本へ。基本的には本作のシステムおよび大量のリソースを引き継いでいるものの、上官のようなバカゲー要素はほぼ無し。
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2008年10月2日にDSで『UNKNOWN SOLDIER ~木馬の咆哮~』が発売された。本作のリソースを一部引き継ぎつつも、カバーシステムや車両の運転、その他諸々と新機能を多数追加してまるで別物になったフルプライスのTPS。ただし、評判は芳しくないようで……
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2009年9月3日にPSPで『SIMPLE2500シリーズ Portable!! Vol.12 THE 歩兵2 ~戦友よ、先に逝け~』が発売された。舞台は西暦20XX年と設定されているものの、実際には本作から時代がやや進んだベトナム戦争頃をモチーフとしている。
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2013年11月6日に3DSで『@SIMPLE DLシリーズ Vol.22 THE 歩兵 ~戦場の犬たち~』の配信が始まった。本作の移植版。 アイコンは上官の顔。
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『ファミ通WaveDVD』2006年12月号「アメリカザリガニのキカイノカラダ SIMPLE2000シリーズをアピール!」にて『THE ゾンビV.S.救急車』『THE メイド服と機関銃』とともに(「タイトルが面白かった」という理由で)本作が紹介された。
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だが、他の2作はそれぞれアメリカザリガニの柳原哲也氏、平井善之氏がプレイしたのだが、本作だけは最初の上官にあだ名をつけられる所で紹介が終わるという不遇な扱いを受けている。
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ちなみに、上官に付けられたあだ名は平井氏が「泣きまねダイハード」で、柳原氏が「特大キャット」で、進行役のADキムが「敏感サム」である。
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『THE 地球防衛軍タクティクス』の説明書における広告では、ゲーム画面のスクリーンショットに本物の『フルメタルジャケット』のハートマン軍曹の映像が混じってしまっている。
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恐らくイメージ写真として作ったものが間違って紛れ込んだのだろう。大事にならなくてよかったというか…。
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ヨーロッパでは英語版が「Covert Command」としてリリースされた。基本的な内容は変わらず、あだ名システムも健在だが、上官のボイスはカットされているようだ。
最終更新:2024年05月27日 16:16