ウィッチズガーデン
【うぃっちずがーでん】
ジャンル
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AVG
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対応機種
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Windows XP/Vista/7
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売・開発元
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ういんどみるOasis
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発売日
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2012年11月30日
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定価
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9,500円(税別)
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セーブデータ
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120個 ※プレイヤーの任意で最大1,188個まで12個単位でセーブスロットの追加可能
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ディスクレス起動
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可能 ※初回および修正パッチ適用後の初起動時のみディスクチェックあり
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レーティング
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アダルトゲーム
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配信
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DMM専売:2014年12月5日/6,477円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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画期的なE-mote(エモート) ご都合主義やツッコミ所が目に付くシナリオ・ストーリー くどく冗長で起伏に乏しいテキスト
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ういんどみる作品リンク
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概要
有限会社アレスのゲームブランド「ういんどみるOasis」より発売されたアドベンチャーゲーム。
ういんどみるOasisブランドとしては『祝福のカンパネラ』以来、実に4年半以上ぶりの完全新作となる。
ういんどみるのブランド10周年記念作品の第2弾作品。
原画・キャラクターデザインはこ~ちゃ氏が担当し、SDイラストは声優の成瀬未亜氏が担当、シナリオは保住圭・高嶋栄二の2氏が担当している。
本作は『はぴねす!』や『祝福のカンパネラ』同様に発売前からヒロインのキャラクターソングの発売やネットラジオ番組の配信など、精力的な広告展開を行っていた。
本作では有限会社M2が開発した立ち絵がまるでアニメのように動く技術である「Emotional Motion Technology (エモーショナル・モーション・テクノロジー)」、通称「E-mote(エモート)」と呼ばれる技術を採用し、シナリオパートの立ち絵が今までの作品以上にリアルに動くようになった。
また、細かい設定で動き方をカスタマイズしたりすることも出来るほか、プレイヤーの任意でE-moteを無効にすることも可能になっている。
E-moteを採用した代償か、過去作と比べて要求スペックが上がっているため、本作ではE-moteに特化したものを含めて体験版が幾度か出されている。
ストーリー
――“城壁”の向こうは、別世界。
本当に、そのとおりだ。
西洋建築で統一された街並み。
異国情緒あふれる、住民たちの服装。
「うん。わたしね、“魔女”なんだよ」
そして下宿先の同居人が“魔女”だったくらいなんだから。
パレードのように、新しい毎日がはじまる。
この春、風城学園に入学した主人公・「有馬 洋輔」。
彼を迎えたのは、日々観光客でにぎわうテーマパーク都市。
彼が出会うのは、三人の“魔女”と一人の“騎士”。
イベント盛りだくさんの胸踊る毎日は、やがて少年少女たちを、また別世界へと連れて行く。
そう。
この気持ちの向こうは、きっと恋という名の別世界――
※公式HPより一部編集して引用
用語紹介(一部)
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風城市(かざしろし)
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本作の舞台となるテーマパーク都市。
周囲は城壁で取り囲まれており、その中の街並みは西洋建築で統一され、住民達の衣装も異国情緒溢れるものとなっている。 街の雰囲気が雰囲気なので、住人の多くがお祭り(騒ぎ)好きだったりする。
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城壁
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風城市を取り囲む巨大な壁で、西欧の城塞風の作りをしている。
内部の世界観を守るため、城門では車両の通行規制などが行われている。 また、城壁の上部へは登れるようになっており、街を展望出来る人気スポットである。
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風城学園(かざしろがくえん)
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風城市内にある唯一の学園で、私立校。
生徒のほとんどが地元・風城の出身者である。 置かれているのは普通科だけだが、風城市という街の性格上、アバターを勤めている、もしくは目指している生徒へのサポート態勢が手厚い。
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アバター
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公民問わず、観光客向けの仕事に従事している風城住民の総称。
世界観に合わせたファンタジー風の衣装を纏い、その職種に相応しい振る舞いで風城市の世界観を演出する役目を受け持っている。 作中では「騎士」・「バトントワラー」・「ストライダー(野伏)」・「魔女」・「クラウン」のアバターが出て来るが、勿論それ以外のアバターも存在する。 中でも、魔女と騎士は花形アバターとして高い人気を誇る。 公式に任じられたアバターの他、非公式のアバターも存在しているが、風城の世界観を壊してしまうようなことをしない限り、基本的に非公認のアバターも黙認されている。 ただし、非公認アバターは公認アバターであれば受けられる備品や設備、情報の提供や各種助成金などの補助を受けることが出来ず、公式イベントには参加出来ない。 周辺の安全性などの問題で非公認アバターのイベントは盛り上がりすぎると、騎士団から解散命令を出されることがあるが、非公認のアバターにとってそれは一種の勲章らしい。
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ナイトパレード
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風城市のイベントのひとつで、事前に告知される定期開催のものと告知無しで突発的に開催される不定期開催のものと2種類がある。
街全体が幻想的な雰囲気に包まれ、その街の中に現れる魔物達を騎士や魔女が倒すというもの。 街全体が舞台になるため、観光客は目当ての魔女や騎士の活躍を見るべく、街中を駆け回ることになる。
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魔女
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街の象徴でもある花形アバター。
特殊効果を秘めた「マジックワンド」と呼ばれる道具を用いて魔法を再現する。 ナイトパレードではその魔法を用いて街に現れる魔物を退治したりして観光客の目を楽しませる。 見た目の華やかさは勿論、ワンドを使いこなすにも相応の修練が必要なため、数としては多くはない。
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騎士
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魔女に次ぐ花形アバター。
武装して街の治安や安全を守る他、ナイトパレードでは魔女同様に魔物を退治したりして観光客の目を楽しませる役割も担っている。 風城市のアバターの中では唯一「風城騎士団」として明確に組織化されているアバター。 魔女のマジックワンドのように特殊効果を秘めた「マジックソード」とも言うべき剣を携帯している騎士もいるらしい。
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雑貨屋「Oasis(オアシス)」
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洋輔の叔母が経営をしているお店で、奥は自宅も兼ねている。
街の中央広場すぐ近くという立地に、街並みにぴったりのオシャレな店構え、センスの良い品揃えから人気を博している。 また、お土産品や骨董品はもちろんのこと、武器なども取り扱っている。 昼はカフェとして、夜はバーとして開かれる飲食スペースもある。 洋輔は風城学園に入学するためにここに下宿することになる。
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ビジターパス
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観光客が風城市に入る際に貰える、「入国許可証」のようなもの。
アバターはパスを所持している人にはそのアバターに対応した対応を見せることが必要となる。
ゲームの設定とは別に本作ではストーリーの攻略進捗状況をこのビジターパスという形で確認することが出来るようになっており、攻略したヒロインのスタンプがパスに押される。
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キャラクター紹介
主人公・ヒロイン
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有馬 洋輔 (ありま ようすけ)
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本作の主人公。
風城学園に入学するため、風城市に住む母方の叔母の家に下宿することになる、数少ない風城市外からの越境入学者。 故に風城の独特の雰囲気や住民のノリに馴染み切れていない部分もある。 不誠実なことを何よりも嫌い、常に誠実であろうとしている。 これは曲がったことが嫌いな幼馴染みで姉のような存在の影響が大きい。 人と話をすることが好きだが、どちらかと言えば聞き上手の側で、相手の話をちゃんと聞き、しっかりと返すタイプ。 幼い頃に前述の幼馴染みから西洋剣術の手ほどきを受けており、風城では騎士のアバターを志望している。
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緋宮 あやり (ひのみや -)
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洋輔が風城に着いてから初めて出会った魔女。
洋輔よりも先に洋輔の叔母の家で下宿していたため、そのまま一緒に暮らすことになり、学園でもクラスメイトになる。 朗らかで呑気でほにゃっとした仔猫のような性格。 感受性と好奇心ともに強く、表情豊かでいつも楽しげにしている。 同じ家で下宿することになる洋輔にもすぐに懐き、どこに行くにもついてくる。 また、些細なことでもビックリしたり喜んだりするリアクション大王でもある。 魔女としては炎系の魔法を得意としている。 キャラクターソングは「二人のあしあと」。
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雪村 涼乃 (ゆきむら すずの)
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洋輔が出会った2人目の魔女で、洋輔達のクラスメイト。
雪村家は風城でも有数の名家であり、これまでも優れた魔女を輩出してきた。 彼女もまた優れた実力を持っており、自身も魔女であることに誇りを持っているため、常に魔女としての特殊メイクは欠かさない。 また、成績も優秀で新入生総代やクラスの委員長にも選出されるほど。 しかし、あまりに優秀すぎる上、美人ではあるがその纏う雰囲気のせいで近寄りがたい部分もあって、クラスではやや孤立気味。 魔女としては氷系の魔法を得意としている。 キャラクターソングは「Milky Ice」。
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羽多野 莉々子 (はたの りりこ)
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風城学園3年生にして風城騎士団に所属する騎士。
洋輔にとっては年上の幼馴染みで、様々な面で影響を大きく受けた姉のような存在。 ぱっと見はむしろ後輩と見間違えられそうな身なりをしているが、世話好きでしっかり者の言わば「みんなのお母さん」になっている。 度量が大きく、誠実な人柄で誰からも一目置かれ、皆から頼りにされている。 英国生まれの帰国子女であり、日本語を時代劇で覚えたため、古風な言葉遣いをする。 剣の腕前はまさに達人級で、騎士団では一部隊を預かる隊長を任じられている。 キャラクターソングは「舞い風乙女」。
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柴門 水澄 (さいもん みすみ)
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洋輔が出会った3人目の魔女で、風城学園2年生。
天使のように優しく清らかな先輩。 おっとりとしたお姉さんで、いつも笑顔を絶やさない。 おっとりとは言っても、よくあるスローモーなタイプではなく、思慮深く親切でかつ律儀。 頼まれると断れない部分もあり、学園の教師陣から何かと頼まれごとをされることが多い。 キャラクターソングは下記のえくれあとのデュエットソングとして「カラフルキャンディー」。
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柴門 えくれあ (さいもん -)
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いつも水澄と行動を共にしている謎の女の子。
2年生待遇だが、学園生というわけではないようで、本人曰く「自分は水澄のマジックワンドである」とのこと。 何を考えているのかが掴めない、ボソボソと毒を吐く毒舌ツッコミ。 誰に対してもタメ口で、何でも一言で切って捨てる。 水澄が物事の中心で他の人間には露骨に敵意を示すが、そのせいで水澄からよく叱られている。 水澄とのコンビはどう見ても天使と小悪魔のそれ。 キャラクターソングは水澄と同じく「カラフルキャンディー」。
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サブキャラクター(一部)
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今野 こはる (こんの -)
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洋輔達のクラスメイトで、明るく賑やかな元気はつらつ娘。
とにかく楽しいことが大好きで、自然と会話の中心になっていることも。 姿を見ないと思いきや、盛り上がっている場所には必ずと言って良いほど姿を現す。 バトントワラーのアバターを目指している、ボクっ娘である。
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荒木 宗右衛門 悟朗 (あらき そうえもん ごろう)
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洋輔達のクラスメイトで、ストライダーのアバター。
同級生なのだが、髭面で言動もやたら渋いため、実際より年上に見られがち。 物静かで頼りがいのある、男気溢れる性格。 冗談を嫌い、義に厚く、何だかんだで付き合いも良い。 なお、名の「宗右衛門」は荒木の一族で受け継がれている名であり、本名としては「荒木 悟朗」となる。
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鑑 悠子 (かがみ ゆうこ)
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洋輔の母方の叔母で、雑貨屋「Oasis」の店主。
飄々としているが、話のわかるお姉さん。 その人脈や技能には謎が多く、色々な意味でミステリアス。 ほとんどの事をそつなくこなし、自分でもあるひとつのものを除いて弱点は無いと言い切っている。 その唯一の弱点が朝で、寝起きが悪く、起きた直後は目が数字の3になっているようなレベル。
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タマ先生 (-せんせい)
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洋輔達のクラスの担任…の緑色の球体。
怪しい関西弁で喋り、宙に浮いたり光ったり爆発したりと謎だらけ。 球体なので板書は苦手だが、どういう訳か学園長からは厚い信頼を得ている模様。 「中の人なんかおらんで~」…らしい。 一言で言ってしまえばういんどみる作品ではおなじみの「タマちゃん」が教師になってしまったもので、別名義を用いてはいるが『はぴねす!』等と同様に成瀬氏が演じている。
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マーシャ・マクレラン (Marcia McClellan)
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風城に長期滞在中の観光客。
偶然にあやりが魔法を使う場面に出くわし、それがきっかけであやり(と洋輔)に懐き、しばしばOasisへ遊びに来るようになる。 無邪気で利発で純真な可愛らしい少女。 日本語を日常のコミュニケーションが問題なく取れる位には話せるが、やはり外国人であるためか、魔女のことを「ウィッチ」と呼んでしまうことも。
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鞍内 譲治 (くらうち じょうじ)
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風城騎士団団長。
街で一番の剣の達人であり、若者達の憧れの的。 気さくで細かいことや面倒なことを嫌う豪放磊落な性格。 普段はぐうたらにしているが、やる時はきっちり決める格好いいおっさん。 騎士団の若手の成長を時に弄ったりしながら見守っている。 ほとんど無敵のチートキャラクターだが、どういう訳か悠子にだけは頭が上がらない。 ちなみに、装備している剣は「グレートダンチョーソード」なる名を持つ魔剣で、制作者は悠子だが、頭が上がらないのはこの件は関係が無いようだ。
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ボレロ (Bolero)
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悠子が飼っている仔猫。
愛想ゼロの落ち着いた性格をしている。 いつもつまらなそうに周囲の人間を眺めている。 あやりを子分と思っているようで、よく彼女の頭や肩に乗っかってくる。
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評価点
E-mote
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ういんどみる作品はこれまでも立ち絵を頻繁に動かしてキャラクターの動きや感情を表現する一助とするほか、ゲームとしての雰囲気作りに活かしていたが、このシステムはそれまでの比では無いほどにキャラクターの立ち絵が自然に動くので、よりキャラクターの印象を強く植え付けることに成功している。
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胸揺れのレベルや口パクや瞬きの有無なども設定できるほか、不自然な感はどうしても出てしまうがE-moteそのものを切ったり、あるいは描写頻度を下げたり髪などの慣性の動きを切るなどしてシステムへの負荷を幾分か下げることも出来る。
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とはいえ、やはりせっかくのシステムなので、ある程度のマシンパワーのあるPCで最大限にこのアニメーションするキャラクター達を楽しみたいものである。
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逆に言えば、それまでの作品がギリギリ動くレベルのPCではまずまともにプレイ出来ないので、そういう意味ではやや敷居が上がってしまったところは否定出来ないだろう。
グラフィック
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作中の世界観がこ~ちゃ氏の絵のタッチにマッチしていることもあり、おおむね高評価を得ている。
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成瀬氏担当のSDイラストも好評を博している。
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複数の場面で度々使用されるあるSDの一枚絵はお気に入りの1枚に挙げる人もちょくちょく見受けられ、実際によくここまで描ききったなと思える程のものである。
BGM
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本作のBGMは「Ecnemuse」が、キャラクターソングやオープニングなどのヴォーカル曲の作曲は「Elements Garden」が担当している。
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作中BGMはゲームの雰囲気を盛り上げるという、BGMの役割を丁寧に果たしている楽曲が揃っている。
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ヴォーカル曲、特にキャラクターソングは『祝福のカンパネラ』の時同様、歌詞はそれぞれのヒロインのルートを元に作られている。
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メロディも歌うことになる各ヒロイン役の声優陣の声域などを踏まえて徹底的に拘っていると公式ページで謳われていた通り、聞いていて歌い手が無理して声を出しているという印象を与えることもなく、自然にヒロインがその歌を歌っているように聞こえる作りとなっており、聞いていて耳障りということはまず無いだろう。
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余談になるが、本作のキャラクターソングおよび主題歌CDはそれまでの作品のPCゲーム取扱店でのみ購入出来るという形ではなく、ランティスが販売を行っているため、一般CD同様にCD取扱店で購入が出来るようになっている。
キャラクター
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些か好みが分かれそうであったり、良くも悪くもやや尖っている感もあるキャラクターもいるが、おおむね登場キャラクターは好意的に迎え入れられている模様。
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好み如何では拒否反応が出ることはあるだろうが、少なくとも『神がかりクロスハート!』のオカ研のようにプレイした大多数から存在意義に疑問符を付けられ、不愉快だとされるようなレベルのキャラクターはいないので、そこは一安心であろうか。
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また、キャラクターに命を吹き込む声優陣も質の高い演技を見せてくれる。
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キャラクターとのミスマッチや、棒読みといったものは見受けられない。
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どのヒロインも恋仲になってからはイチャラブっぷりを見せつけてくれるので、そういったものが好きな人には楽しめるのではないだろうか。
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ただし、ストーリーの展開でしばしば水を差されたりするのも少なくない。
世界観
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風城という街の持つ雰囲気を気に入っている者も少なくない。
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ファンタジーRPGのようで、そこに現代の技術も雰囲気を壊さない程度に織り交ぜたことで、テーマパーク都市である風城の独特の雰囲気が出来上がっている。
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しかし、ストーリーを読み進めてしまうとこの設定そのものに引っかかりを覚えやすい。そこを許容してもストーリーの流れのせいでやはり引っかかる羽目になるのだが。
18禁シーン
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『神がかりクロスハート!』同様に回数も多く、なかなかにエロいと評判。
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その一方で、あるヒロインの18禁シーンはそのヒロインの背負っているものも相まって、そのシーンで洋輔を求める様がどこか哀しさや切なさを覚えるという意見もあったりする。
問題点
ストーリー・シナリオ・テキスト
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ストーリーに関して。ネタバレ注意。
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全編通じてご都合主義がかなり酷いことになっている。
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別にリアルにすれば良いということでもないが、本作の場合はご都合主義がいたるところで目に付くレベルになっており、その上で変にシリアス部分を織り交ぜてくるので興醒めする者も少なくない。
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個々では熱い展開もあるのだが、そこに至るまでの積み重ねがあまりにもおざなりであったり、都合よく事が進みすぎていて全然盛り上がれないことも。
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何も知らない時は住んでみたいとすら思えるような魅力ある街に感じさせる風城だが、これもかなり危ない橋を渡るような状況・運用法をしていることがストーリーを読み進めると分かる。
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特にナイトパレード絡みはストーリー中で明かされる背景のせいでツッコミ所のオンパレードになってしまっており、せっかく魅力ある風城の世界観を構築したにもかかわらず、ストーリーを一通り読み終えた者からは「行きたいとすら思えない」「だって世界有数の危険地帯じゃないか」「風城にいく奴は哀れな被害者」というのが自然な意見になる。
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何が問題かを大雑把に説明すると、この風城の内部は危険な異世界であり出現する魔物達に本物の魔物が混ざっている。つまり魔物に襲われると命にかかわる。そして常にお祭り騒ぎしているように見えるのは観光客をだますためで、これらの危険な事情が観光客に説明されることはない。一応知らない人の防護を最優先・魔物は積極的に排除という方針ではあるが…。
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ナイトパレードは大量の魔物湧きに全力で対処することをパレードとして装ったもので、定期的な方はガス抜きも兼ねたもので事前に厳重な警備体制も敷いていることから割と安全なのだが、不定期の方はほぼ全てが本物の魔物な上に不意に来るだけに警備体制も甘いので観光客は知らないうちに薄氷を履んでいるとしか言えない代物。当然アバター達もてんやわんやしているので、説明された通り仮想現実だと油断して悠長にしていたりDQNな行動をとると死に至る。
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また、程度の差はあるもののかなり深くまで知っている・多少の知識はある・実は事情をあまり知らない表向きでしかないアバターなどアバターにも色々居る。そのため最悪の場合はアバターの手によって危険な目に陥る可能性すらある(非公認アバターの取り締まりは一般的な理由も大きいが、こちらの理由が最大の原因)。
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このような危険なことをしている経緯は納得のいく説明がなされるのだが、その一方でわざわざこんなリスキーな対応を延々と続ける必要性もまた感じられない。国に働きかけてもらうなどのもっとマシなアプローチがあると思うのだが…。
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秘密主義が激しすぎる
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物語的な都合と知られると不都合な真実などが多いので仕方ないが、そういった負の秘密があまりにも多すぎるのと長い時間をかけて徐々に明らかになっていくのでユーザーから風城関連の印象はどんどん悪くなってしまう。観光客どころか大勢の風城市民ですら知らないことは非常に多い。
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補足するとこれらの点は基本的に登場人物達が悪いわけでも問題を引き起こしているわけでもないので、簡単に解決したり悪を裁くというのは難しく、実際安易過ぎる勧善懲悪はあまりない。
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トゥルーストーリーについて。ネタバレ注意。
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ヒロイン5人を攻略後に開放されるトゥルーストーリーは最序盤だけは良いものの、中盤からはライターが力尽きて強引にハッピーエンドに持っていったとしか思えない程悪い意味でやりたい放題になっており、ただでさえ微妙なストーリーの評価を更に下げてしまっている。
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トゥルーはあるヒロインルートの別の可能性を描いたものだが、トゥルーでない方のルートの終わり方が決してハッピーとは言いきれないものの、綺麗な終わり方と言えるものであったため、トゥルーが一層蛇足感の強いものになっている。
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しかも主人公やヒロイン、そしてその周り「だけ」はある程度問題が解決しているのだが、元々が非常に危険な風城のリスクがむしろ増大したままハッピーエンド(!?)としていることも個別以下…というよりも論外な印象が強い。
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このストーリーの顛末もポッと出のキャラクターやとあるキャラを悪役にして強引に解決に持っていったと言わざるを得ない部分が強く、微妙である。
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ポッと出の方はあまりにもポッと出すぎてロクな解説ができない。人間をバリバリ食べちゃうぞみたいなことを言いつつも、風城市がこうなった昔の話を都合よく親切に解説してくれるだけの役回りである。倒して元凶を滅ぼしたっぽい雰囲気になっているが、その場をしのげただけでしかない。
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ポッと出ではない方はキャラクター的には十分にあり得るものではあるのだが、それまでの個別ルートにおいてそれを匂わせるような描写・伏線がほぼ皆無なため、余計にバトルをとってつけてみた感が強い。しかも元々むしろ良い人(仕方なしに何とも言えないことをやっているが、それはメインヒロインを生かすためである)なので倒したからと言って特に何かが解決するわけでもない。
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せめて上手く伏線を張っていればまだ違ったのだろうが、「(
とってつけたように悪役に仕立て上げた
)敵を倒して、新しい風城の日々が始まりました!」…これで納得しろというのはいくら何でもあんまりだろう。問題が解決していない悪い意味でリアリティのある顛末もまたミスマッチ。
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他にも風城の状況悪化を防ぐためにメインヒロイン抹殺指令まで出ていたのだが、これもまた曖昧な感じで解決(?)する。まあ誰もやりたくないことなので冷静に考えるとおかしくはないのだが。
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各ヒロインが抱えることになる、もしくは既に抱えている問題については個別ルートでは主人公の洋輔と力を合わせてようやく解決したり、活路を見出したりしていたのだが…このトゥルーにおいてそれらのほぼ全てが数行で済まされたり、妙にあっさり解消する。「個別ルートは何だったんだ…?」と言いたくなるような展開ばかりなことも違和感が凄まじい。
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そのヒロインのルートではないから流す程度で済ませたと思われるが、そのせいで「その程度で済む」問題を個別では延々と引っ張っていたのか…という印象が強くなってしまい、トゥルーが蛇足を超えて他のルートのストーリーまでぶち壊したと感じやすい。そのため、各ヒロインの問題にはあまり触れずにいた方が良かっただろうという意見が多い。
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極めつけに、トゥルーのヒロインとは別のあるヒロインのルートの終わり方がトゥルーのヒロインを含めて救いがあり、それでいてトゥルーのようにリスク要素をぶん投げておらず、更に比較的筋が通った展開であることもあって、「トゥルールートを作りたいのならむしろこっちのルートにするべきだったのでは」といった意見が多い。
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このルートでは周りや風城のあり方こそ今までと変わらないのだが、トゥルーのヒロインの抱える問題も含めて次善策を講じたことで、設定を疎かにせずに問題点を限りなく小規模なものにしている。そんなわけでこちらのルートはちゃんと大団円と言える代物である。
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繰り返しになるが、これに対するトゥルーでの街の状態はリスク要素が増えるだけで終わっている。個々の意識は高くなっているだけで、街の運用も特に変化が無いのでより一層観光客が危険である。それでいて大団円の様な雰囲気を出して物語が終わっているが、その様な雰囲気にも説得力がない(街の状況だけ見ると全ルートで最も酷い状況に陥っていて今にも崩壊しそうである。絶望ではないだけで希望もまるで見いだせていない。)。
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トゥルーのヒロインが抱える問題についてもこちらのルートでは次善策と言えどもトゥルーと同じ程度に改善(トゥルーでも解決しているわけではない)されている上に経緯もしっかり描かれている。それに対してトゥルーでは「元の問題ある状態から更に悪化したので、開き直って別のアプローチをやけくそで試したら(街のことはさておいて、自分達の周りだけは)状況が改善された。めでたし。」と言えるもので非常に釈然としない。
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テキストが全体的にかなりくどく冗長、かつ起伏も少ないので、結構な割合を占める日常パートなどは誇張抜きに読んでいる内に眠ってしまいやすい。
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そのくせ、盛り上がるであろう場面は綺麗にすっ飛ばしたり、逆に軽く流して良いような場面はやたら細かく描写されたりしているため、テキストにもかなり問題があると言わざるを得ない。
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一応補足するとご都合主義が酷すぎたりなぜそうなる?というつっこみどころのある展開もあるものの、ストーリーが破綻しきっていたり電波なテキストで理解不能みたいな論外なテキストではない。
主人公・洋輔
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基本的には好青年且つ主人公もしているのだが…。
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その一方で「自分の価値観の押しつけが酷い」「(設定に反して)人の話をまともに聞かずに自分の意見をごり押ししようとすることが多い」という困った特徴もある。
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一部の登場人物とは「○○(と主人公が呼ぶ)」→「○○って呼ぶな!」というようなやりとりを度々繰り返すのでくどい。
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二名ほどそのやりとりをする人物がいるのだが、そのうちのひとりは年上の人物に対してなので非常識さが目立つ。
しかもそう呼ぶなと言われているのに、あえて無視してそう呼んでいるようにしか見えないので相手を馬鹿にしているようにしか見えない。
賛否両論点
プレイヤーの介入の余地が少ない
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ルートによっては2~3回の選択でルートが確定、後は終わりまで延々とテキストを読み続けるだけというものもある。
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本来選択肢が少ないことは別に問題ないのだが、本作においては「テキストが冗長で起伏も乏しい所に来て、選択肢も少ないせいで余計に単調になって眠気を誘う要因になってしまっている」という意見がある。もちろん「(内容の是非はおいて)最低限の選択肢で読み進められるので面倒がなくて良い」という肯定的な意見もある。
総評
E-moteという画期的な新技術なども取り入れているものの、シナリオを中心とした粗や批判点が従来策と同等、もしくはそれ以上に目立ち気味なために「10周年記念作としての完成度」がいまいちであるという認識を持たれてしまっている。
元々、ういんどみる作品は「ストーリーはそこそこのキャラ萌えゲー」といった評価が基本であり、プレイヤー側もそれを承知している部分もあるのだが、本作の場合は特に最終シナリオであるトゥルールート内で特に強いご都合主義的な面が目立っていたこともあり、その点を批判されることも多い。
だが、過程や物語の背景といったものが破綻しきっているわけではなく、ういんどみるらしい純愛と甘々な空気も十分に満たされているので、全体通しての流れをそれほど重視せず、個々での盛り上がりや純愛描写を楽しみたいというプレイスタイルの人には十分にお勧め出来るだろう。
余談
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ウェブラジオ『ウィッチズガーデンのラジオです。』について
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本作の発売前の2012年7月10日から2013年3月19日まで、全18回がニコニコ動画とYouTubeそれぞれで隔週火曜日に配信されていた。パーソナリティはアニメ『祝福のカンパネラ』でリトス・トルティア役を演じた後藤麻衣氏とサルサ・トルティア役を演じた柚原有里氏。
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2012年12月29~31日に開かれた「コミックマーケット83」でラジオCDのVol.1が、2013年5月5日に開かれた「DreamParty 東京 2013 春」でVol.2が、2013年8月9日に開かれた「秋葉原電気外祭り 2013 SUMMER in 新宿」でVol.3がそれぞれういんどみるの企業ブースで発売され、あわせて公式通販もされている。
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本作の背景イラストについて
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本作はういんどみるのブランド10周年記念作品であることと、組み込みやすい舞台背景からか、過去作品のキャラクターが様々な場面の背景に紛れて登場していたりする。
過去作のキャラクターはぱっと見で気付けるものから、よく見ないと気付けないものまである。
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コミカライズについて
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アダルトゲーム誌「電撃HIME」にて、2012年11月号よりこもだ氏によりコミカライズされていた。
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プロローグ→あやり編→莉々子編と連載されていたが、その次の水澄&えくれあ編の途中で突然の休載となり、電撃HIMEが休刊になるまで再開される事は無かった。
このため単行本は、莉々子編までを収録した第1巻のみが発売されている。
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2022年12月22日にNintendo Switch版が販売予定。
最終更新:2022年09月29日 00:23