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Tomak ~save the earth~ Love Story
【とまっく せいぶ じ あーす らぶすとーりー】
| ジャンル | 育成アドベンチャー |  
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| 対応機種 | Windows プレイステーション2
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| 発売元 | サンソフト(サン電子) | 
| 開発元 | Seed9 【PS2】アトリエドゥーブル
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| 発売日 | 2002年12月19日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | 素薔薇しい姿のヒロイン 内輪ネタ続々
 移植すんなや
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概要
韓国で発売されたPC用アドベンチャーゲームのローカライズ移植版。PS2版のみに登場する追加キャラもいる。
おおよそ地上の人間の現状の堕落っぷりに失望し、彼らを滅ぼそうとする他の神々に反対し、地上に降りてきたヒロインの愛の女神と交流する事で、人間に愛の心が残っている事を証明するという物語のアドベンチャーゲーム。
日本語版はアイテムのジャージャー麺がただのカップ麺に差し替えられているなど翻案されている為、ハングル字幕以外は韓国の雰囲気を感じない作りになっている。
バカゲー要素
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設定としてはわりとよくあるストーリーなのだが、問題はその女神の姿が
植木鉢から生えた生首
だという事である。
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「愛の女神は美しい容姿を持っているのだから、それを使えば人間1人誘惑するのはワケないだろう。体抜きで人間の愛を勝ち得たのなら、人類粛清は考え直す」という提案を受け入れたためである。ごもっともな意見ではあるが、だからといって生首というのは……。気持ち悪いとしかいいようがない。
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そもそもタイトルからしてどうしようもない。「Tomak(토막)」とは韓国語でぶつ切りという意味だそうである。
 
 
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プレイヤーは「女の生首」に食料を与え、会話し、撫でたりキスしたりしてご機嫌を取らなくてはならない。機嫌を損ない続けると人類は見捨てられ、神々によって滅ぼされ、バッドエンドを迎える。
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ゲーム途中だろうと、話の流れをぶった切って容赦なく滅ぼしにかかるので初見で置いてけぼりを食らうプレイヤーが多数に上った。後述の通り数値が見にくかったり、ゲーム中「~の数値に気をつけて」等と言うアドバイスもないので何がなにやら。
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しかもこの生首が妙に生々しい絵柄で描かれており、目をキョロキョロさせたり頬を赤らめたりする。
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機嫌が悪くなるといかにもマンガチックなデフォルメイラスト顔に変化するのだが、こちらの方が明らかに可愛らしい。なぜ逆なのか理解に苦しむところ。
 
 
問題点
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翻訳がまずいのか元々の脚本のせいなのか、キャラの会話が噛み合っていない事が多々ある。
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同じメーカーのソフトに纏わる内輪ネタや、「これはきっとバグだ」などという台詞も頻繁に登場する。明らかに確信的に作られたバカゲーである。
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神々は、全員実在する飲料製品の名前が付いているが、当然無許可。……日本も似たようなものだが。
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エビアンだけ、結果的に日本人に馴染みのあるネーミングになっている(ミネラルウォーター的な意味で)。ちなみにデザワの名前の元ネタは、大塚ベバレジ(現:大塚食品)が販売していた紅茶飲料『テジャワ』の韓国名である。
 
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更に、原語版では神々は人類をエイズで滅ぼそうとしている。よく訴えられなかったものである。
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自分に気がある男を利用して、主人公に送るバレンタインチョコを調達させる生首。お前は本当に愛の神か!?
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その男自体、自分の邪魔をする破壊の神なのがまた……。
 
 
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町の移動マップはだだっ広いが、行ける場所は6箇所だけ。だったらマップではなく一覧表にした方が良かったのでは……。
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パラメーターの変化は、上がっても下がっても同じ色の数字で表示される。数字自体も小さく4桁ほどで表示されるため、パッと見増減が確認しにくい。
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メーカーロゴ・文章は、一切スキップできない。デモも基本的にはスキップ不可。
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突然選択肢が出てきたりするため、ボタンを連打するわけにもいかない。
 
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作画が不安定で、主人公の顔はイベントCGごとに微妙に違う。
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OP・EDでは主人公のモノローグが流れるが、エフェクトがかかっていて聞き取り辛く、しかも字幕がハングルなもんだから非常に理解しにくい。
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というか、そもそもOPがまずおかしい……色々とおかしい。
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OPは、こちらを参照。正直「何だこれ?」って感じである。うすたタッチ(と言うかマサルさん)のキャラグラもあるし……
 
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エンディングでは、なぜかメッセージ表示が完全に自動になり、ページ送りすら任意ではできなくなる。
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「俺は多分、君を愛してる」「俺が本当に君を愛していたとして……」エンディングだというのになんなんだこの弱気発言……。
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エンディングは「愛情度」というパラメーターによって分岐する。どの行動を何回取ったかは関係ない。故に1度振ってそれっきりになっていた女とくっついたり、1度も酒を飲ませていないのに酒乱になったりといった珍現象も起こりうる。
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エンディングを迎えるとタイトル画面に戻される。エンディングはマルチだが、周回プレイはできない。
 
 
評価点
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鉢植えの生首愛の女神エビアン役は「榎本温子」、嫉妬の神デザワ役は「金月真美」と言う力の入れ所を間違っているキャスティング。
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榎本氏に関しては韓国の制作会社社長が氏の代表作『彼氏彼女の事情』を視ており、指名してきたのだという。
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因みに原語でのCVは公募で選ばれた一般人。日本以外の国では声優がほとんど職業として確立していないため仕方ないのだが。
 
 
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PS2版のパッケージで描かれているエビアンはなかなかに可愛い。中身が生首じゃなければ……。
総評
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「生首を育てる」という想像を絶する設定のインパクトばかりが話題になりがちだが、いざ「育てゲー」として見てみれば、資金を稼いだりアイテムを活用したりイベントで選択肢を選んだりと、システム的には案外普通な作品である。
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インターフェイスが当時としても不十分など、良作とは呼べない。かと言って何か特別酷い点があるわけでもなく……という、良くも悪くもよくわからないゲームとなっている。
 
生首再び
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後にストーリー上の続編『Tomak save the earth,Again』が世に出たが、こちらは日本のコンシューマー機には移植されていない。
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こちらはアドベンチャーではなく、生首を自機として操作するシューティングゲームである。
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横スクロール式で、自機はマンガチックだが背景や敵キャラはやけにリアル。
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自機はエビアン(何故か金髪になっている)と、前述のエビアンに気がある破壊の神、そして謎の男ナイトムーンシャイン。エビアンは相変わらず生首だけだが、絵柄のせいで本作よりは可愛く見える。
 
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紹介ページはこちら。
 
余談
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元々、ある個人サイトで韓国版が紹介され、韓国語はよくわからないがそのインパクトある「生首」の絵だけで話題を呼び、ニュースサイト等を通じて日本でのネット知名度が上がった末に、ハングルを読めないにもかかわらず入手して強行プレイする勇者たちが後を絶たなかったと言う経緯がある。
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日本語版が出たのもその話題性ゆえだろうが、移植された頃には既にブームは過ぎていたのだから何とも皮肉な話である。
 
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どうも韓国では日本以上にゲームへの倫理規定が厳しいために、こんなゲームデザインになったらしい。
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例えば、ビキニ姿の女性キャラの一枚絵が表示されるシーンで「このゲームは18禁か?」というセリフが出る。
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日本ならわざわざ18禁にするレベルでもない露出度だったため、とあるレビューサイトでは韓国ではこの程度で18禁になるのかと管理人がツッコミを入れたところ、後にコメントを寄せた韓国のプレイヤーから「はい」との返答が。
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尤も良い悪いは別として、世界的に見ると日本の方が特異なのだが。人気アニメ『ONE PIECE』の海外版(北米版)で女性キャラの服が尽く改変されたのは有名な話である。
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つまり、このゲームのデザインコンセプトは単純にインパクト重視の奇ゲー・バカゲーというだけではなく、このような理不尽かつ厳しすぎる規制に対する皮肉、揶揄という側面もあったりする。
 
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因みに「叱る」「くすぐる」というコマンドがあるが、原語では「殴る」「つねる」だった。
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なお、殴った場合は生首が鼻血を出す。韓国の文化的問題点を感じられるエピソードである。まあこれも上記と同じく「性的描写はちょっとしたものでも規制するのに暴力描写は野放し」という韓国国内の規制方針に対する皮肉なのだろう。それにしてもエッジの効きすぎた皮肉ではあるが。
 
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また、韓国版ではデカいウ○コが置かれている背景画が存在したが、これも日本語版では削られている。上記の暴力描写と同様、韓国ではこのテの下品なネタが日本では考えられないほど普通に使われているので、それに対する皮肉……なのかもしれない。
 
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韓国で放送された本作のTVCMは、巨大な生首の着ぐるみが町を逃げ惑うというわけのわからないものだった。
最終更新:2024年07月30日 16:20