エルナークの財宝
【えるなーくのざいほう】
| ジャンル | アクション |  高解像度で見る 裏を見る
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | 1MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | トーワチキ | 
| 発売日 | 1987年8月10日 | 
| 定価 | 5,300円 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 弱い自機と多量の敵 理不尽な謎解き
 新機軸の持て余し
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概要
謎解き要素がある見下ろし型のアクションゲーム。プレイヤーはナイフ等の武器で敵を倒しながら、消息を絶った友人と財宝を追う。
ストーリー
ある日君は、トレジャーハンター(宝探しのプロ)として世界的に有名な友人ジョー・クロサワから奇妙な手紙をもらった。
なつかしい友よ
私は今、南米の小国ラデアに来ている。謎に満ちた”エルナークの財宝”を探すためだ。
しかし、この国に着いてから私は非常に不安な気持ちに襲われている。夜も眠れない。眠ったとしても、何か恐ろしいものに取りつかれる夢を見てしまうのだ。その名は”闇の紋章”。正体は分からない。とにかくこんな気持ちは初めてだ。
明日は川を上って財宝があると言われているネクロミアの神殿を目指すつもりだが、こんな状態では自信がない。できれば君に来てもらいたい。ラデア川の上流にあるモレイの遺跡で待つ。お願いだ。早く来てくれ!
19××年7月25日 ジョー・クロサワ
友人をほうっておくわけにはいかない。君は、急いで謎の小国ラデアへと旅立った。
ラデアに着くと、見知らぬ少女が現れ君に1つの美しい石と謎の言葉を残して立ち去る。その言葉とは、「聖なる光により善なる言葉は復活せん」。早くも謎が立ちはだかる。
この言葉の意味は何なのか? 君の冒険はすでに始まっているのだ!
システム
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Aボタンで攻撃し、Bボタンでステージ中のオブジェに「聖なる石」をかざし、オブジェに封じられたヒントを探し当てるという変わったシステムを持つ。
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もう一つの変わったシステムとして、「性格ゲージ」というものが存在する。
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アイテムによって可変し、ゲージの割合によってプレイヤーは「ライト」か「ダーク」どちらかの性格を帯びる。
 
問題点
アクションゲームとしての問題
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グラフィックが安っぽい
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いくらFCゲームとはいえ、1987年にこのレベルは酷い。
 
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プレイヤーの動きが遅い
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ただ遅いだけならマシだが、敵の速度や動き方に対して機敏に反応出来ず被弾する率が高まるのは、見下ろし型スクロールアクションでは致命的。
 
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敵の攻撃が苛烈でパターン性が薄い。
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画面端のどこから出現するかぐらいしかはっきりとしておらず、こちらより速い速度で、躱しにくい、あるいは躱せない速度の高速の弾が流れてくる。
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主人公が90度角でしか攻撃出来ないのに対し、敵はどの方位にでも直線状に弾を撃てる。
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主人公の動く方向のやや先に向かって弾を発射する、疑似的な偏差射撃行為を行ってくる。
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これらの行為を、狭く横を通り過ぎるのもやっとという狭い通路でやらされる。
 
 
謎解き難易度の問題
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1面からして無限ループ構成
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初プレーではただ延々と川沿いを歩きながら激しい敵の攻撃をかわすゲームかと思ってしまう。
 
    
    
        | + | 1面の解法 | 
解法は行き止まりになっている絶壁の、ある部分で十字ボタンの上をしばらく押し続けるというもの。
一応ヒントメッセージを見る機能がついているが、この面は石ころと木ばかりのため「このゲームはヒントを探して突破するゲームである、ということ自体」も「そのうえでどこにヒントがあるか」も気づきづらい。
そしてそのヒントも「ミセカケニ ダマサレテハイケマセン ミチハ カナラズ ツヅイテイマス」とやや抽象的な表現。
「壁に見えて道はあります」という事だが、「ループしているように見えて実は進んでいる」と誤解し、いつまでもループし続けたプレイヤーも多かった。
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そしてさらに鬼畜なのが最終面である。
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ラスボス一つ手前のボスはライト属性が100%でないと倒せないのだが、その前にダーク属性100%でないと進めない所がある。しかも、その後に出てくるアイテムをどう集めてもライト100%には到達しないため、設定ミスかバグでクリア不可能と言われていた。
 
    
    
        | + | 最終面の解法 | 
解法は性格ゲージがちょうど真ん中ならダーク、ライト双方の扉を通過できるというもの。
もちろん説明書にもヒントにもそんな記述はない。せいぜい「ダークサイドの心でゲームを終わらせることはできるのでしょうか?それはここでは明かせません」とほのめかされている程度である。
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ストーリー・演出の問題
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アクション謎解き双方の苛烈な難易度を突破しても、呆気ない演出と展開が頑張ったプレイヤーを脱力させる。
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最終ステージ奥に到達すると何の説明もなく救出対象だったジョー・クロサワが襲ってくる。そして普通に倒す。
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恐らく敵に操られたのだろうが、撃破後のテキストではただ淡々と「君はジョーを倒す事で彼を救い、ついにエルナークの財宝を手に入れた」と語られるのみ。救うはずだった友人を倒さなければならないというショッキングな展開で、演出次第では魅力的なドラマにもなり得そうなのだが唐突すぎて盛り上がりようがない。ついでに表題の財宝も実にあっさり手に入ってしまうのも脱力もの。
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また、ここで対峙するジョーのカラーリングが主人公と同じで微妙に体格とポーズを変えただけなので、初見では主人公と同じ姿の敵が出てきたように見えても不思議はない。
 
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ラスボスを倒しても、エピローグは短く淡々としたテキストが表示されるのみ。
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それは良いとしても、その後は全然綺麗に見えない金銀財宝と「THE END」の文字が表示されるだけで終了。スタッフロールはおろかBGMすら無い。
 
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時代やジャンルを加味しても貧相な部類の演出と言わざるを得ず、上述したような苦労の数々にも全く見合わない。
 
評価点
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「性格ゲージ」によって「ライト」か「ダーク」どちらかの性格を帯びるという、一風変わったシステムを搭載したアイデア自体は面白いものといえる。
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前述の致命的な問題があるとはいえ、ダークなら体力が高くて戦闘に強く、ライトなら謎解きで有利な場面が割と多い、という分け方も一応なされており、システムとして最低限活きてはいる。
 
総評
ろくなヒントなしで理不尽な謎解きをさせるアクションゲームで、笑いどころが殆どないという点では、トーワチキの処女作『伯爵令嬢誘拐事件』よりもさらに悪化していると言えるかもしれない。
アクションゲーム単体として見た場合も、システムは単純で特筆すべき点がなく、避けにくい弾が乱発されて一方的に殴られやすい仕様で1面ですら序盤で何度もやられる高難度……と純粋に出来が良くない。
やっとの思いで進んでも全体的に単調で、説明書にも乗ってない仕様でクリアするゲームとあっては、楽しめる者はほとんどいないだろう。
余談
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説明書の誤記という誤解
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『天使の描かれたレリーフみたいなアイテムを取ると属性が8目盛りライトに近づく』という誤った情報(正しくは12目盛り)が説明書に記載されており、説明書すらプレイヤーを騙す酷いゲームだと言われていたが、実は説明書では無くタイトルデモでのアイテム説明で「セイカクガ 8ツ ライトヘ チカヅキマス」と表示されている。つまり説明書では無く「ゲーム中の解説でプレイヤーを騙す酷いゲーム」である。
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同社の『伯爵令嬢』で説明書には「使用しない」と記述した2コンをゲームクリアの鍵にした、という前科があるため、その情報と混同されたものと見られる。
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単なる数値の大小のミスで、ゲーム中情報だけでも気付けなくはない要素なので、『伯爵令嬢』の例に比べれば遥かにマシだろう。まあ、別の部分で致命的なノーヒントをやらかしているのだが……
 
 
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詳細なクリア手順が公開されたのは発売13年後の2000年
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本作は攻略本が発売されておらず、マイナー企業のネタにもならないクソゲーという事で、ゲーム自体知名度が低かったのもあり、どこかに攻略情報が載る機会がずっとなかった。それもあり、「13年間クリア方法が不明だった世界で一番難しいクソゲー」として話題にされる事になった。
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クリア手順の詳細説明を初めて公表したとされるのはエルナークの財宝攻略の開設者、のぶすまゆーいち氏である。きっかけは同氏が同人サークルのリーフレットにこのゲームについて書かれているのを見つけたことだとか。
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その後、録画された初クリア映像はテレビ東京系の番組「GameWave」で放映された。放送では目盛りの件はバグのように扱われた。
 
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ちなみにそれ以前にもクリア手順が添えられていないだけで、エンディング画像を載せたサイトは既に存在していた。
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『ロマンシア』等が有名だが、発売当時は主にPCゲームに理不尽とも言える難度の謎解きACTがいくつか存在しており、そういったゲームでも自力クリア者は普通に存在したので、本作をクリアした人も当時から居たと思われる。
 
 
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『未来神話ジャーヴァス』と同じスタッフが作っていたのでは、という説が一時2chのエルナークスレ及びジャーヴァススレを騒がせていた。
最終更新:2025年03月20日 10:41