本稿ではオリジナルである表題作(PS4版・3DS版)を紹介している(判定はいずれも良作)。
S』は別記事で紹介しています。



ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて

【どらごんくえすといれぶん すぎさりしときをもとめて】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション4
ニンテンドー3DS
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
【PS4】オルカ
【3DS】トイロジック
発売日 2017年7月29日
定価 【PS4】8,980円
【3DS】5,980円(税抜)
セーブデータ 【PS4】9個+オートセーブ+パスワード
【3DS】3個+中断データ1個+パスワード
判定 良作
ポイント シリーズ30周年の集大成
性能に大きく差があるハードでマルチタイトル
歴代作のオマージュが非常に豊富
ストーリーの一部展開などは賛否分かれる
初回特典などを除き、DLCなし*1
『11S』登場によるほぼ*2完全下位互換化
ドラゴンクエストシリーズ

概要

『ドラゴンクエスト』シリーズのナンバリング第11作。
MORPGだった『IX』や、MMORPGとなった『X』を経て原点回帰がコンセプトのシングルプレイ用オフラインRPGとなった。

また、初のマルチプラットフォーム対応作品で、PS4と3DSの同時発売となった。
PS4版は『X』をベースに「Unreal Engine 4」を使った美しいグラフィック表現が特徴で、DS版は『IX』や3DS版『VII』をグレードアップしたグラフィック表現となっている。また、基本的な内容に違いはないが、機種別限定の要素も用意された。


ストーリー

そして勇者は「悪魔の子」と呼ばれた──

世界の中心に浮かぶ「命の大樹」の恵みにより繁栄する世界ロトゼタシア。
その片隅にあるイシの村で育った主人公は、村に伝わる成人の儀式の最中、伝説の勇者の力に目覚める。
祖父の遺言により勇者の生まれ変わりとして旅に出ることになった主人公はデルカダール城へ赴き王と謁見する。
しかし、デルカダール王は勇者を「悪魔の子」と呼び、地下牢へ投獄してしまう。
牢で出会った盗賊の青年カミュと共にデルカダールを脱出した主人公は、勇者の真実を知るため広い世界へ旅立つのだった。


キャラクター

今作は主人公を含めて8人のキャラクターがパーティメンバーに加わる。 戦闘に出られるのは4人までだが入れ替えはいつでも可能で、前に出ていた4人が全滅すると残り4人が戦う、4~6に近いシステム。 ちなみに、すべてのキャラクターが正式加入前にNPCとして共闘する機会が用意されている*3

+ パーティメンバー。CVはS版のみ

主人公(CV:斎賀みつき)

  • イシの村に住む16歳の少年。サラサラヘアーが特徴でよく指摘される。
  • 16歳になった時行われる成人の儀にて突如手にあるアザが光り出したことから、勇者の生まれ変わりとしてデルカダール城へ向かうが、「悪魔の子」呼ばわりされ投獄されてしまう。そして牢で出会った盗賊の青年カミュとともに追い掛け回されつつも勇者と世界の真実を知るべく旅に出ることになる。
    • 重装備が可能な他、能力値がバランス良く高く、攻撃呪文と回復呪文を中心に呪文も覚えていく。
    • スキルは「片手剣」と「両手剣」、ギガスラッシュなどの上位の剣技を覚える「剣神」、デイン系などの呪文や能力を上昇させる「ゆうしゃ」。
    • ストーリー進行で自動習得する特技も多いほか、すべてのキャラクターと連携技が可能な唯一のキャラ。

カミュ(CV;内山昂輝)

  • 逆立った青髪が特徴の盗賊の青年。イケメン*4。シリーズでも珍しい左利きで、左手がメイン装備になる。
    • 地下牢に捕らえられた主人公と行動をともにする最初の仲間になるキャラクターであり、主人公の「相棒」。各地を巡って盗賊として生きてきたため世情に詳しいが、中盤まではとある事情からあまり自分のことを語りたがらない。
    • 素早さが仲間内で最も高いが他は平均的。敵の行動時にダメージを与える「ジバリア系」など呪文も少し習得。
    • スキルは「片手剣」と「短剣」、「ブーメラン」の他、敵からアイテムを盗む特技などを覚える「かみわざ」。
    • 片手持ちの武器しか持てない割に盾を装備できないが、両手の攻撃力が同じになる「二刀の極意」を唯一習得可能。

ベロニカ(CV:内田真礼)

  • 勝ち気な性格の聖地ラムダ出身の魔法使いで、セーニャの双子の姉。
    • 聖地ラムダでは妹のセーニャと併せて「双賢の姉妹」と呼ばれている。かつて勇者と共に世界を救ったという賢者の女性セニカの生まれ変わりとされる。
      本来の年齢は10代後半であるが、諸事情により年齢を吸い取られて5歳程度の少女の姿*5となった(本人は若返ったとして気にしていないが)。
      勇者である主人公をベロニカとセーニャが命の大樹へと導く夢を見たラムダの長老の命を受け、妹と共に主人公を命の大樹へと導くべく遣わされてきた。
    • MPと攻撃魔力が高く、攻撃呪文を得意とする典型的な魔法使いタイプ。素早さも高めだが力や身の守り、HPは低く耐久面は不安が多い。
    • スキルは「両手杖」と「ムチ」の他、攻撃呪文の威力上げる特技などを覚える「まどうしょ」。

セーニャ(CV:雨宮天)

  • ベロニカの双子の妹。緑色の衣装と金髪が特徴。姉と同じく賢者の女性セニカの生まれ変わりとされる。
    • 姉とは反対におっとりした性格で、周囲をやきもきさせることもある。姉とともに主人公を命の大樹へと導く。
    • 回復や補助系の呪文を得意とする僧侶タイプ。「バギ系」の呪文も覚えるが攻撃魔力が成長しないため装備で上げないと威力は上がらない。
    • スキルは「スティック」と「ヤリ」の他、竪琴による属性ダメージ軽減などの特技を覚える「たてごと」。
    • ちなみに、彼女はストーリーの展開上、性能が他のキャラクターと比べて大きく変化する。

シルビア(CV:小野坂昌也)

  • 世界を旅する旅芸人のオネエ系男性(女性用の装備ができるわけではない)。世界中の人々を自分の芸で笑顔にするのが夢。
    主人公一行にも「世界を脅かす存在がいたら、人々を笑顔にできなくなる」という理由で協力するため仲間になる。
    芸人としては意外にも「騎士道」に深い理解を持ち、旅芸人として身に着けた多彩な技芸を活かした攻撃手段と優れた剣技を併せ持つ。
    • 能力は全体的に平均的で、武器による攻撃のほか、「バイキルト」などの補助呪文も習得する。
    • 所持スキルは「片手剣」「短剣」「ムチ」の他、芸を生かして攻撃や補助、回復など様々な特技を覚える「きょくげい」と敵を状態異常にする特技が多い「おとめ」。
    • その他にイベントをこなさないと開放されない隠しスキルがある。

ロウ(CV:麦人)

  • 常に荷物を背負った商人風のいで立ちをした老人。
  • 歴史や古代文字に精通し、年齢に見合わず高度な呪文と武術を駆使する一方、「ムフフ本」を収集するなどのスケベな一面もある。
    • 攻撃と回復呪文の両方を使える他、爪による物理攻撃も可能。仲間中、MPは最大だがHPは低め。
    • 所持スキルは「両手杖」「ツメ」の他、味方の強化や敵を弱体化する特技を覚える「さとり」。
    • 冒険を再開した際のあらすじ担当でもある。

マルティナ(CV:小清水亜美)

  • ロウと行動を共にする女武闘家。長いポニーテールとグラマラスな容姿が特徴の、本作のお色気担当キャラ。
    • 主人公一行とは、とある街で開催されている武闘大会で出会うことになる。
    • HPや攻撃力、素早さが高い武闘家タイプで、魅力もメンバー最高値。唯一、呪文をまったく使えない。
    • 所持スキルは「ヤリ」「ツメ」の他、脚技を駆使した特技を覚える「かくとう」、容姿を生かして魔物を魅了する「おいろけ」。
    • お色気担当という事もあり、バニー系の装備や「ぱふぱふ」など、その手の装備や特技を使う事が出来る。

この他、発売前には公開されなかった仲間キャラクターがもう一人存在する。

+ 発売前未公開だったパーティーメンバーの詳細、ネタバレ注意

グレイグ(CV:小山力也)

  • デルカダール王国の将軍。魔物との戦いでは無敗を誇り、その名はロトゼタシア全土に知れ渡る程。
    • 当初は敵として登場し、主人公を「悪魔の子」として執拗に追いかけまわしてくるが、ある出来事を境に主人公を勇者と認めて盾となることを誓う。
      仲間になってからは生真面目ではあるものの、「ムフフ本」に反応したり、とある事実の発覚時にオーバーなリアクションで大袈裟に驚くなどコミカルな一面も見せるようになる。
    • HPや力、身の守りに優れるが素早さが低い典型的な戦士タイプだが、過去作の「バトルマスター」と「パラディン」を併せたような性能をしており、防御や回復呪文もある程度使用可能。
    • 所持スキルは「片手剣」「両手剣」「斧」の他、攻撃技を多く覚える「えいゆう」と防御技を多く覚える隠しスキル「はくあい」。
    • 盾を持てるキャラクターの中で唯一、盾装備時に使える特技を覚えられる「盾スキル」も持つ。

特徴

共通の特徴

新要素「ゾーン」と「れんけい」

  • ゾーンは『VIII』のテンションや『IX』のひっさつに代わる要素で、戦闘中ランダムに味方の集中力が向上し、ゾーン状態になって能力が強化される。
    • 強化されるステータスはキャラごとに異なる。ゾーン状態は一定ターン経過するか、後述のれんけい技を使用すると解除される。
  • ゾーン状態になった味方が2~4人で協力して放つ「れんけい技」が登場した。
    • 条件を満たすとコマンドに「れんけい」が追加され、コマンドを使用すると味方同士が協力してれんけい技を発動する。れんけいに参加したメンバーのゾーン状態は解除されるが、行動終了になるのは技の起点となったキャラだけで、他のメンバーは普通に行動出来る。
    • PS4版は一括ターン制から個別ターン制に変更されたため、コマンド選択後すぐに発動する。
    • 3DS版では、れんけい技を使用すると行動順を無視して必ずターンの最初に発動する。
  • 敵側にも同じくゾーン状態があり、2体以上がゾーン状態になればれんけい技を使ってくる。ただし、3DS版では敵側のれんけいは味方のれんけいより後に発動する。
  • 厳密には、れんけい技の発動条件と発動後のゾーン解除には2つパターンがある。
    • 一方はれんけい技の発動条件に関わるメンバー全員がゾーン状態で戦闘に参加し、かつ一部の状態異常になっていないことが条件で発動出来るもので、こちらは発動条件に関わっているメンバーの誰が起点になっても発動出来る代わりに、メンバー全員のゾーン状態が解除される。3人以上のれんけい技は全てこのタイプであり、2人れんけいでもこのタイプの技が存在している。
      • 戦闘中のれんけい技選択の説明文に「○○人(人数)がゾーンで使える!」と表記され、画面右下にあるステータス一覧の対象メンバーがピックアップ表示される(PS4版の場合)。
    • もう一方は特定のメンバーがゾーン状態で、発動条件に関わっているメンバーが戦闘に参加かつ一部の状態異常になっていなければ発動出来るもの。こちらは技の起点となるゾーン状態のメンバーしか発動出来ないが、ゾーン状態が解除されるのは技の起点となったメンバーのみであり、発動条件に関わる他のメンバーはゾーン状態である必要も無ければ、ゾーン状態であっても解除されることは無い。こちらは2人でのれんけい技にのみ存在している。
      • 戦闘中のれんけい技選択の説明文に「○○(メンバー名)がゾーンで使える!」と表記され、画面右下にあるステータス一覧の対象メンバーがピックアップ表示される(PS4版の場合)。

スキルパネル

  • 今作の成長システム。『VIII』から続いてきたスキルシステムの自由度を強化したもの。
    • ヘクス型のパネルが繋がった盤の形をしており、各部が特定のカテゴリー群を構成している。レベルアップ時に入手したスキルポイントを消費することで開いているパネルに隣接するパネルを開いてスキルを習得出来る。
    • 習得できるスキルは呪文や特技を覚える他、ステータスの強化、ゾーン状態に入る確率アップなど様々な効果がある。なお、呪文と特技を習得するとれんけい技が使用可能になる場合があり、そういったスキルにはあらかじめ「れんけいアリ」の表示がある。
    • 中には「?」が書かれたひみつパネルもあり、このパネルは周囲にあるパネルを4つ開くとオープン出来る。基本的により強力なスキルが隠されている。また、一人につき一つずつ「あたりパネル」があり、当てると10スキルポイントを入手出来る。
    • パネルの形状はキャラクターごとに異なり、習得できるスキルのカテゴリーは装備できる武器種と各個人専用カテゴリーで構成されている。同じ武器種のカテゴリーなら同じスキルを習得できる。
  • 中盤以降になるとスキルパネルの隠されていた部分がオープンされ、より多くのスキルを習得できるようになるが、同時に教会でスキルリセットが可能になり、スキルポイントを振り直すことが可能になる。
    • リセットする際はカテゴリーごとにリセット出来るが、リセットするパネルのスキルポイント合計×20ゴールドが要求される。

ふしぎな鍛冶
錬金釜に代わる新要素。『X』の鍛冶職人のアレンジ。素材を集めて武器や防具、アクセサリーを作成する点は同じだが、以下のような違いがある。

  • 錬金釜と異なる点として、作成するためにはまず、そのアイテムのレシピを入手する必要があり、レシピを持っているアイテムしか作ることは出来ない。作成できるのは装備品に限られ、消費アイテムの強化版などは作成できなくなった。
  • 『X』の鍛冶から簡易化されている点としては、鍛冶道具を無限に使えるので「鍛冶ハンマー」を自前で用意する必要が無い、職人レベルが存在せずに主人公のレベルに依存(後述)と言った点が挙げられており、オフライン向けに遊びやすく調整されている。
    • バージョン3の時点の鍛冶を元にしているため、便利機能や職人必殺も導入済み。
  • 作成するためにはミニゲームをクリアする必要があり、2×1~2×4のマスを叩いてアイテムを鍛える事になる。
    • 鍛えるためには集中力が必要で、一度叩くごとに一定量ずつ減っていく。叩くと各部のゲージが伸び、途中にある緑色の成功ゾーンに入った状態で完成させるとアイテムの質が向上する。成功ゾーン中央の赤い線に近ければ近いほど、より質が高くなっていく。
    • 叩くたびに温度が下がっていき、温度が下がるほどゲージの伸びが悪くなる。
    • 叩いたとき、一定の確率で「かいしんのてごたえ」が発生する。「かいしんのてごたえ」が発生すると、伸びるゲージの量が2倍になる上、成功ゾーン中央の赤い線を超えそうになってもその線でぴったり止めることができる。
    • 一部のアイテムには何らかの「特性」が与えられており、一定の温度になると最も伸びているゲージが減少する、消費する集中力が変化する、叩いたときのゲージの伸び方が変化するなど、様々なイベントが発生する。どのイベントが起きるかは「特性」によって異なる。
    • 主人公のレベルが上がると鍛冶のスキルが向上し、集中力が増える他、鍛冶で使用可能な「とくぎ」を習得していく。とくぎには一度に複数のマスを叩けるものや、温度を上昇/下降させるといったものがあり、強力なとくぎほど集中力を多く消費する。
    • 集中力がなくなるか、各部のゲージがいい位置で止まったら「しあげる」を選ぶことで終了出来る。質が高くなるとアイテム名の後ろに「+1~3」の表示が付き、ステータス補正が強化される。
    • なお、ミニゲームに失敗してもアイテム自体は入手可能で、性能も店売り品などと同等になる。後述する「うちなおしの宝珠」が手に入らない以外のデメリットはない。
    • ミニゲーム終了後にセーブせずゲームを終了すると、次回ゲーム開始時に一定時間鍛冶ができなくなるペナルティがある。
  • 一度作成したアイテムや購入したアイテムを打ち直すことも可能。打ち直しに成功すれば通常の作成時と同様に強化出来る。
    • 打ち直しの際は「うちなおしの宝珠」をアイテムのグレードに合わせて消費する必要がある。宝珠はミニゲームを成功すると入手できる他、特定の場所で販売されている。
    • また、打ち直しの際は元の武器に付いていた+と鍛冶の結果による+が加算されるようになっており、例えば+2の武器を打ち直して鍛冶の結果が+1だった場合合計して+3ができる、といった具合。つまり鍛冶が得意でなくても2,3回打ち直せば最高品質である+3を確実に作れるという事である。

モンスター乗り物

  • 今作では、ダンジョン内で特定のモンスターを倒すと乗れるモンスター乗り物が登場した。
  • モンスター乗り物に乗り込むと、特定の仕掛けを利用して階層間を楽に移動できたり、高い崖の上にジャンプしたりすることが可能になる。
  • また、フィールド上でも新たな乗り物として「ウマ」が登場した。

フィールド攻撃

  • エンカウント時にフィールド上の敵シンボルに先制攻撃が出来るようになった。ランダムエンカウントの3DS版2Dモードでは不可能。
    • どれだけ強くなろうが与えられるダメージは一定で一撃で倒せる訳ではない。ただしPS4版のみ一部の乗り物で体当たりすると一撃で倒せる。(経験値等は獲得できない。)

キャンプ

  • フィールド各地や特定のダンジョン内にあるキャンプ跡を調べることでキャンプする事が出来るようになった。
  • キャンプ中は仲間との会話はもちろん、セーブやふしぎな鍛冶、フィールド上なら旅の商人から買い物が出来る。休息するかキャンプ外に出ようとすると終えられる。
  • ふしぎな鍛冶は基本的にキャンプか、ふしぎな鍛冶台がある場所でしか行えない。鍛冶台がある場所は少ないので、基本はキャンプで行うことになる。

しばりプレイ

  • 歴代シリーズでも、やりこみプレイヤーによって行われてきた縛りプレイ(制限プレイ)が公式に実装。冒険の書を作る際に設定出来るようになった。
  • 縛り条件は店で「買い物が出来なくなる」「戦闘から逃走不可」「防具装備不可」「はずかしい呪い」の4種類。
    • 「はずかしい呪い」は簡単に言えば主人公が常時状態異常になっているようなもので、戦闘時及びフィールド上で発生し行動が制限されてしまう。
      ……のだが、その理由が「パンツのゴムが切れてしまった」だの、「恥ずかしい日記を見られたことを思い出した」だのと、なんとも恥ずかしく情けないものばかりという、公認しばりプレイ随一のネタ要素である。
  • ゲーム開始後も教会で「まいった」を選べば解除可能で、手軽に挑戦できる。ただし、解除した場合は再設定は不可能。

復活の呪文

  • 『II』以来久々に復活の呪文が採用されており、PS4版と機種間・ハードメーカー間を超えた連動が可能になっている。
  • ただし、セーブデータの容量の関係や後述する特殊なストーリー構成の関係で、引き継がれるのはプレイヤーネームとストーリー進行度のみで、レベルやアイテムはストーリー進行度に比例して所定の物になるといった制限がある。
    • FC版『I』『II』の復活の呪文を入力することで、通常より高レベルであったり、レアアイテムを所持した状態でゲームを開始できる。復活の呪文限定アイテムも存在する(ゲーム上での効果はない)。「勇者もょもと」に代表される特殊な復活の呪文も使用可能。

クエスト
町中などにいる人から「クエスト」を請け負って条件をクリアすると報酬が貰えるという『IX』と同様のシステム。

  • 「○○を手に入れて持ってくる」などのおつかい系クエストや、「××を倒して△△を手に入れる」などの討伐系クエストが主。討伐系クエストの場合は『IX』と異なり対象のモンスターを倒せば必ず目的の物を入手できるようになるなど、『IX』よりも手軽にクリアできるようになっている。
  • 報酬となるのは装備品やレシピが多いが、中にはキャラのステータスを上昇させたりするものもある。
  • 3DS版における「冒険の書の世界」では、それぞれの世界に起きている異変の解決をクエストとして請け負う事になる。

PS4版の特徴

リアルなグラフィックとアクション要素

  • フィールドは『X』同様にリアルな尺度で描かれ、非常に広大になっている。エンカウント方式はシンボルエンカウントのみ。
  • 『X』に続いてジャンプアクションが追加されており、段差のどこからでも自由に飛び降りることができるなど街中などを立体的に移動可能になった。
    • 3DS版でもジャンプは可能だが特別な移動ができる訳ではなく、ほぼお飾りと言っていい状態である。
    • また、フィールドで乗れる馬は町やキャンプにある「馬呼びの鐘」を鳴らすことで呼び出す事が可能で、さらに加速して走ると弱いモンスターなら弾き飛ばすことが出来る。

戦闘システム

  • これまでのシリーズではターンの最初に全員のコマンドを入力し、順次結果が表示されていく形式をとっていたが、PS4版では順番が回ってきたキャラクターのコマンドを逐次入力していく個別ターン制が採用されている*6。これによって、従来のRPGでは比較的蔑ろにされがちな「素早さ」の重要性が飛躍的に増した。
    • 一応、全員の行動が終われば1ターン経過したと見なされる。行動順によっては2連続行動しているように見える事も。
    • 控えメンバーとの入れ替えのタイミングも重要となった*7
  • 戦闘フィールドを自由に移動させて戦えるフリー移動バトルを採用しているが、『X』にあった移動干渉などの要素はない。
    • モードを切り替えれば『VIII』同様のフリーカメラバトルでプレイする事も可能。
  • また、PS4版のみAIにまかせている場合にれんけい技を使うか否かを選択出来るようになっている(3DS版では勝手に使わないに固定)。
  • 今作では主人公までもAI戦闘にすることが可能になっている。

オートセーブ

  • エリア切り替え時などにオートセーブされるので、万一の停電や機器の故障、 猫や母親の掃除機 (ボスの奇襲攻撃)などにも強い。もちろんうっかり連打してセリフを見逃した場合など、特定のイベントを繰り返すのも容易。装備を整えた直後のうっかり全滅時などにもすぐにリトライできるので時短にも◎。

専用ミニゲーム

  • ボウガンアドベンチャー
    • 広大なフィールドに配置されたマトを探してボウガンで撃っていくミニゲーム。地方ごとに5つのマトが用意されており、5つ全部撃つとコンプリート特典としてアイテムが貰える。
    • このボウガンは敵シンボルをおびき寄せる効果がある、強くなって逃げるモンスターも近づいてくる。
  • マジックスロット
    • カジノで遊べるスロットの上位版。現実のパチスロ同様、様々な演出を通じてボーナスゲームが発生するようになっている。また、目押しも可能。

3DS版の特徴

3Dモードと2Dモード

  • 3DS版最大の特徴として、『VIII』以降と同じく全てが3Dで表現される3Dモード(キャラの頭身は『IX』に近い)、『VI』に近いグラフィックとなる2Dモードが用意されている。
    • 3Dモードではシンボルエンカウントになり、戦闘は『VIII』と同じ方式。戦闘、イベント共に派手な演出を楽しめる。
      • PS4版とはストーリーは同じだが、同じイベントでも演出が細かく違う事が多い、両方のハードを持っている場合は細かく見比べてみよう。
    • 2Dモードではランダムエンカウントになり、戦闘も2D時代と同様のものになる。モンスターのアニメーションはないが、テンポの良い戦闘が楽しめる。また、3Dモードではフィールドに宝箱や後述のヨッチ族が配置されているが、2Dモードではその代わりに「隠れスポット」が存在し、フィールドの収集アイテムや宝箱、ヨッチ族はそこに配置される形になっている。
  • ゲーム序盤は上画面が3D、下画面が2Dで進行するが、ある時期を過ぎると、どちらをメインにしてプレイするかを選ぶことになる。
    • モード選択後も教会で切り替えることが可能。

時渡りの迷宮

  • 3DS版独自の要素。物語上にも登場する時の化身ヨッチ族を進入させ、攻略していくダンジョンで、進入させるヨッチ族はフィールドやすれちがい通信で集めることになる。
  • 内容は『すれちがいMii広場』のミニゲーム「すれちがい伝説」とほぼ同じで、下の階層を目指して進んでいく。
    • 「すれちがい伝説」との違いとして、ヨッチ族を自分で操作して迷宮を探索出来るようになっており、自動的に扉までの最短距離を走ってくれるオートラン機能も用意されている。
  • 迷宮内で「冒険の書の合言葉」を入手するとヨッチ族の村にある祭壇から冒険の書の世界へ行けるようになる。
    • 冒険の書の世界は歴代シリーズの世界を再現しており、専用のクエストが用意されている。全てのクエストをクリアすると専用の隠しボスと戦える。
  • 戦闘時のウィンドウのレイアウトや先述のターン制の仕様などが従来のドラクエに近い。
  • AI戦闘時のルーチンにPS4版と若干異なる点がある。(詳細
  • 立体視及びタッチペンは未対応
    • これは事前にアナウンスはされており、本体同梱版も3DSではなく、New3DSから立体視機能のみを省いた廉価版であるNew2DSLLとなっている。

評価点

共通の評価点

ストーリー

  • シリーズの中でもかなり特殊なストーリー構成になっており、大きく分けて全3部構成になっている。
    • 極力ネタバレを抑えて解説すると、主人公が仲間たちと出会い、命の大樹を目指す第1部、世界に異変が起き、魔族との本格的な戦いに発展する第2部、世界の真実が明らかになり物語の黒幕との最終決戦が描かれる第3部といったところ。全体のボリュームもかなりある。
    • 序盤から張られた伏線をしっかり回収し、「勇者」を主軸として描かれたストーリーは秀逸。
      • 魔王も強大な悪としてしっかり描かれており、討伐を巡る展開に対するカタルシスは大きい。
  • 堀井節も健在で、シリアスなストーリーの中にもクスリとさせられる場面が用意されており、一服の清涼剤となっている。
    • シリアスな場面にそれを捻じ込んで台無しにするようなことはなく、シリアスとギャグのバランスが心地よく調和し全体的な雰囲気は明るめ。

魅力的なキャラクター

  • パーティメンバーを始めとしてキャラクター造形には嫌味がなく、魅力的な人物が揃っている。
  • 中でも発売後に放送された「ネタバレイトショー」のクリア後人気ランキングで1位になったベロニカは今作を代表する人気キャラと言える。とりわけゲーム後半での彼女のイベントはプレイヤー人気も高く*8、彼女の人気を押し上げる大きな要因となった。
    • 他のメンバーも主人公の頼れる相棒となっていくカミュ、勝気な性格のベロニカと対照的におっとりした性格のセーニャ、オネエキャラの旅芸人という独特なキャラながら騎士道精神あふれるシルビア、主人公と関わりを持つ女武道家でありお色気担当のマルティナ、主人公と深い関わりを持ち老賢人の異名を持つが好色家な面を持つロウなど、仲間たちは頼りになりつつもそれぞれどこか愛嬌があり、愛着が湧きやすい。
    • ちなみに、マルティナ以外の全キャラに「パーティメンバーが4人以下なので使わざるを得ない時期」が存在する。オネエや老人という理由だけでシルビアやロウを敬遠してたプレイヤーも、彼らの戦闘上の強さとシナリオ上の魅力を確認できるシナリオ構成になっている。
  • 近年のナンバリングでありがちだったドロドロした人間関係は少なく、全体的に王道的な設定を与えられたキャラクターが大半を占めている。
    • ベロニカ・セーニャ姉妹を筆頭に過去作の登場人物をオマージュしたキャラクターも多い。
      • 一方で、過去作と似ていてもまるきり異なった展開となるキャラもおり、良い意味で予想を裏切ってくれる。
  • また、モンスターに関しても、一部新規モンスターはネットでもイラストを多数見かけるなど、良デザインといえる。
    • 実際、後発のモンスターズなどに登場しているものもある。このようなモンスターは『VIII』にもいたので次回作以降が気になるところである*9

歴代シリーズネタ
今作はシリーズ30周年記念作の面もあるため、歴代シリーズに関連するネタ要素も豊富に用意されている。例えば…

  • メインストーリー
    • ゲーム序盤で敵の襲撃を受ける主人公の故郷、武闘大会に出場して優勝を目指すなど、過去作をほうふつとさせるイベントや要素が多い。
      • その他にも過去作品をプレイした人なら誰でも見覚えのある演出から、かなりマニアックな小ネタまで仕込まれておりシリーズファンをニヤリとさせる。
  • サブイベント
    • 世界中の町や村には過去シリーズで登場した「ぱふぱふ」を再現したイベントが用意されている。歴代ほぼすべてのぱふぱふイベント(『VIII』~『X』を除く)が再現されており、今作オリジナルも含め全て見ると称号まで貰える。
    • ダーハルーネの町にいる商人兄弟。高額でアイテムを売りつけてくるが、もう一方のところに行くと値下げされ、繰り返すと大幅に安くなる(『VI』が元ネタ)。
  • その他ゲームシリーズだけではなく、派生作品からのネタも拾われており、主人公の一部特技に『ダイの大冒険』のアバン流刀殺法やれんけい技に極大消滅呪文メドローアが採用されている点はファンを喜ばせた。
  • そして裏エンディングには多くのシリーズファンが感動するサプライズが用意されている。

れんけい技による演出・戦術の強化

  • 技自体の数も多く、これまでのシリーズにはなかったド派手を演出を楽しめるようになった。
    • 演出の内容も連携して強力な技を放ったり、仲間に力を与えてパワーアップするかっこいいものもあれば、魔法少女の変身シーンぽいもの、アストロンをかけた仲間を武器にしてぶん投げるぱふぱふされた仲間が興奮してパワーアップするといったギャグ要素を含むものなど非常に多彩で楽しませてくれる。
      ---2Dモードではさすがにこのような派手な演出はないが、代わりに技を出す際に仲間たちの台詞が挿入されたり、技を出す様子と「メ ド ロ ー ア !」のような表記が使われることで特別感を演出している。もちろん専用のエフェクトもある。
    • 効果ももちろん強力なものが多く、MP回復効果や耐性無視のデバフ効果、経験値・ゴールド・アイテムのドロップ率に大幅な補正がかかるものなど便利な効果が多数揃っている。
    • 一部のれんけい技は専用のムービーがついているが1度発動すればあとは任意でスキップできるようになる。 一度見た演出は技発動時にスキップ可能になる
  • PS4版では個別コマンド制のお陰で条件さえ満たせば1ターンに複数回れんけい技を使用可能。同一ターンに味方の大幅な強化と敵の大幅な弱体化を両立出来る。
  • 3DS版ではターンの最初に必ず発動する関係で、敵のれんけい技を遮ったり、ボスを眠らせて安全に回復したりと、戦術面においても重要な要素となっている。
    • ゾーン状態は控えに回している間は解除されなくなるので、いざという時にメンバーを入れ替えて、れんけい技を使うといったことも可能。

戦闘システム

  • 基本は『VIII』を踏襲したオーソドックスな戦闘に戻ったが、上記のようにれんけい技の追加により演出・戦術が強化され、ボスキャラの多くが搦め手を使ってくることもあり、補助魔法を使った戦術の組み立てなどターン制コマンドバトルの面白さを再認識させてくれる内容になっている。
    • 登場呪文や特技にも『X』から採用された自動回復呪文「リホイミ」、状態異常の完全耐性を付加する「キラキラポーン」などが引き続き採用された他、本作初出の中にも女性メンバーを実質2回行動させる「レディファースト」のような面白い特技が追加され、戦術の向上に寄与している。
  • 敵を含む一人一人のバフ・デバフ状態を確認できるようになり、便利さが大きく向上した。

PS4版の評価点

  • ルーラの移動先にキャンプ跡も登録されるようになっているため、後述の移動の不便さを補う要素となっている。
  • キャラクターの3Dデザインと演出
    • 以前のシリーズ作品にも見られた特徴ではあるが、人物やモンスター問わずキャラは、細かい機微動向によって感情を絶妙に描きだしている。
      • 写実的な3DCGと鳥山明氏のデフォルメのきいたキャラクターデザインの違和感ない融合と表情や感情の表現は、外伝作のヒーローズシリーズで初めて実現したが、本作では写実的な雰囲気がより一層強化されており、CGムービーの質の点で問題視された『VII』のころと比較して段違いのクオリティの高さを実現している。
    • モンスターにもきちんと動きが与えられており、実際に彼らがとりそうな行動からコミカルなものまで幅広い。エンカウント時に雄大に降臨してくるブラックドラゴンなど、純粋にかっこいいものもいる。
    • さそうおどりにキャラごとのモーションが用意されているなど、ビジュアル面での作り込みは多岐にわたり非常に丁寧。 伝統的にドラクエはグラフィックに重きを置かないシリーズであるが、今作PS4版は同世代のAAAタイトルと比較しても遜色ない水準に達している。
    • イベントシーンにおける演出面においても、固くぎこちなさが否めなかった『VIII』の頃よりも自然で臨場感ある演出となっている。
  • マジックスロットはかなり作り込まれており好評。
    • 現実のパチスロにもあるフリーズ演出まで入っており、目押しが可能な事もあって稼ぎやすい。

3DS版の評価点

  • 「冒険の書の世界」がファンサービスだらけ。
    • なんとFC版、SFC版など各タイトルが発売されたハードのグラフィックを再現しており、歴代キャラクターも初期シリーズのキャラはそのままの姿で登場する。『I』の正面しか向けない人々なども完全再現されている。
    • 『I』と『IV』はFC版だが、『II』と『III』はSFC版などリメイク版が元になった世界もある。なお、リメイク版『V』で登場したデボラはわざわざSFC風の新規グラフィックが書き下ろされている他、『IX』のキャラクターたちも3DSの解像度に合わせて新規モデルが使われている。
    • ここで受けられるクエストの内容も歴代シリーズのストーリーなどに関連するものばかり。時系列は物語開始前、物語中など一定していないが、『V』の結婚イベントのような印象深いイベントから、本編とは関係のないネタ的なイベントまでバリエーション豊富。
    • 中には「まさゆきの地図」などプレイヤー間で話題になったものを再現したフィールドやイベントもあり、当時のプレイヤーなら懐かしさがこみ上げてくるだろう。
    • このような内容のため、PS4版にも採用してほしかったという声が多く聞かれた。
  • 条件を満たすと、5人目の戦闘メンバーとしてNPCを自由に連れ歩けるようになる。
    • 自由に連れ歩けるNPCは2人おり、うち一方は序盤で登場したキャラのため性能も低いが、代わりに各地での仲間会話も用意されている*10。もう一方は戦闘中に味方をゾーン状態にする「きせきのきのみ」などの強力アイテムを惜し気もなく使ってくれる超有能キャラ。
    • これらNPCはやりこみ要素攻略後のおまけ要素なので、本編のバランスを崩すものではない。
  • イベントシーンの回想機能があるが、3DS版では3Dモードと2Dモードを選択して見ることが出来る。
    • ただし、おしゃれ装備には反映されない。

賛否両論点

ストーリーへの批判

  • 特に第3部の展開について批判に上がりやすい。過去作で言えばリメイク版『IV』の第6章への批判に近い。
+ ネタバレ

簡単に言えば第3部の展開は過去へ戻り、第1部終了間際に起きた悲劇を回避して歴史を変えるタイムトラベル展開。サブタイトルもようやくここで回収される。
過去に戻り事前に対策を打つことで、第2部で引き起こされる多くの悲劇から人々を救えるのだが……。

  • そもそも第2部で悲劇に携わった人々のほとんどは絶望に打ちのめされたりはしていない。むしろ悲劇を乗り越え、折り合いをつけ、成長する過程がきちんと描かれている。第2部の時点で個々のイベントはきちんと完結しているのである。
    • 第3部ではその悲劇が回避されるため、そういったイベントのほとんどがカットされる。もしくは事前に対策を打つことで手短に終わってしまう。
      「人々の成長がなかったことになる」「再び見ることになるイベントもあるが、過去を変えた影響で印象的だったイベントの流れが変わってしまう」などの点から賛否の声が大きい。
      2章の展開に感動したプレイヤーの中にも、この章における展開について「興醒めした」「感情移入できなかった」などの否定的意見も少なくない。
      • 特に仲間キャラクターに関するシナリオにおいてはこの傾向が顕著。「問題解決→その縁で旅の仲間に」が基本のドラクエでは珍しく、己の弱さや過去の過ちに向き合い、一皮むけて成長する仲間たちの様が丁寧に掘り下げられる。
        しかし第3部に移行するとそれらの描写がバッサリカット。簡単なイベントを挟んであっさり解決してしまう。一部の仲間に至っては冒険を共にするきっかけですらあっさり流されてしまう。
      • 過去で再会した仲間たちや道中であった人々がかすかに時間改変前の出来事を覚えているような様子を見せるなどのフォローはきちんとあり、
        「魔王の侵攻を許し多くの人々の命を守り切れなかった今をやり直し、すべての人々を救いたい」という主人公目線での動機付けもきちんとなされてはいるのだが、主人公の心情が明確に掲示されない分「感情移入が難しく乖離感が生じてしまう」との意見もみられる。
    • 第3部は一部の旧作同様にクリア後のやり込み扱いであり、2部終了時に多くの伏線を放置したまま一旦エンディングになるため、隠しエンディングの存在に気づけないと微妙な評価のまま終えてしまうことになる。
      • このため「時間改変をするか否かはプレイヤー自身の選択次第とはいえ、時間改変して世界を救うことがストーリー上の前提も同然となっており、『魔王を倒した時点で明確に後腐れない形で終わる結末』が存在しない」
        「真のボスを倒すことで真のエンディングにいけるというわりに、ボスの存在自体が隠し要素扱いなので、ストーリーの終わらせ方としては曖昧」などの批判が少なからずある。
    • 以上の点から賛否は大きいものの、とってつけた感が否めなかったリメイク版『IV』の第6章とは異なり、こちらは第2部まででも過去作品に劣らぬボリュームである上に第3部だけでも相当のシナリオ量である。これまではやり込み要素まで手を伸ばさなかったプレイヤーでも楽しみながらより強い敵に挑戦できるようになっている。
  • 人間と恋に落ちた人魚・ロミアに、第1部で『真実を告げる』選択肢を選び彼女が消滅する展開になっても、第3部に入るとなぜか生存している。
    • 公式ガイドブックでは「どちらの選択肢を選んだかに関係なく、片方の選択肢を選んだ後のルートとなる」旨の記載があるものの、その理由については説明が無い。スタッフ曰く「時を巻き戻した影響で生存した」とおいうことだがこれだけでは説明不足。
    • その後ネタバレイトショーにて、「本来は最序盤の『初めてデルカダール城へ行く前』まで時間が巻き戻るはずだったが、ゲームのテンポを重視して、第3部のストーリーはラムダで始祖の森への道が開かれた時から始めることになった」と明かされた。
      • 一応、ストーリー中の演出でも、時間が巻き戻る際にイシの村を旅立つところまで戻ってから再び時間が進んでいるような描写もある。
    • 以上の点を総括すると「時間逆行によって遡った先が大樹の崩壊直前だったのはあくまでゲームテンポの都合で省略しただけで、物語上はイシの村を旅立つ頃まで時を遡っており、その過程で(今度は)ロミアを救うため嘘をついた」というのが解釈的には妥当といえるが、この解釈でも粗が無くなるわけではない(旅立ちの時まで戻ったのに主人公の故郷の村を襲撃から救わないのか?等)。とにかく多くのプレイヤーがこの点で混乱させられてしまった。

ストーリー中盤におけるあるキャラの扱い

+ ネタバレ
  • ストーリー第1部終了時点でベロニカが離脱し、更に第2部中盤で既に死亡していることが判明する
    ドラクエシリーズでは初の正式なパーティメンバーの死亡離脱であり、キャラ人気も高かっただけに大きな反響を呼んだ。
    • 死亡抜きにすればパーティメンバーの永久離脱自体は『VII』のキーファで前例が存在しており、そちら同様、今まで彼女の育成にかけてきた手間やリソースが失われてしまうことになる。
      • 一方、『VII』と異なり、一連のイベントの中でセーニャのステータスに大きな変化が発生してベロニカのスキルも使えるようになるという形でフォローされているほか、離脱に至った経緯もきちんと劇中で説明されている。
        離脱理由自体も「仲間を救うための自己犠牲」なので普通に納得のいくものであり、展開をそれとなく予感させるシーンもきちんと存在している。離脱展開自体がプレイヤーの胸を強く打つものだったこともあり、離脱に対する批判の声はそこまで多くはない。
    • 第3部になってからのことであるが、第1部ラストの展開がなかったことになるため最終的には死ぬこと自体がなくなる
      • このイベント自体は第3部のシナリオのうちまだ一本道である部分の範疇である。そのため、第2部終了時点では「犠牲はあったが使命は達成した」という状態、当イベント後は「時をさかのぼってすべてをやり直すことで彼女を救った先に待ち受ける新たな結末」という形になる。
        彼女の運命としてこの2つのどちらを選ぶかについてもプレイヤー自身に委ねられているものの、シナリオ上は上述のように後者が前提とされている点は第3部自体に対する賛否両論点の1つとなっている。
    • スタッフが語ることによると「『過去に遡り旅をやり直す』という展開の動機付けとしてパーティメンバーの死亡離脱という展開が考えられ、その対象としてベロニカが選ばれた」とのことである。

ストーリー途中でのステータスの巻き戻り

  • 第3部途中のイベントの影響で仲間のステータスが巻き戻るため、一時的に仲間が弱体化する。
    + ネタバレ 第3部での時間逆行の際「実際に時を遡る勇者はステータスをそのまま持ち越せるが、仲間たちのステータスは持ち越せない」と告げられる。
    実際、仲間たちはラムダで始祖の森への道が開かれた時点のステータスに戻っている。
    なおこの失われた分の経験値はその後のイベントで復元される(上述したようにほどなくして離脱するベロニカはセーニャの復元された分が適用される。第2部になってから加入するグレイグもイベントまでに得た経験値が復元される)。
    • この影響で、その後フィールド上に出現する敵の構成が変化した直後は仲間が敵の攻撃に耐えられないという事態も起きる。3Dモードの場合はその大きさから目立ち、2Dモードではその時点での目的地への最短ルートを取ろうとすると出現する可能性が出てくる「ブラックドラゴン・邪」を相手にすると顕著。
    • 一方、所持品も当時の状況が復元される*11ため、これを利用したアイテム増殖技も確認されている。

グラフィック

  • PS4版と3DS版が同時発売だった事もあり、3DS版はPS4版に比べると低い解像度や粗さの残る3Dキャラなどがよく批判に上がる。
    • もっとも、リアル志向のPS4版に比べてデフォルメされたキャラがアニメ風の演出に合っており、鳥山明の世界の再現度という点では負けていない。
      カメラワークやキャラのモーションも練られているため見栄えは良い。
      • 実際、3DS版も悪くないという声も見られ、また同じ四頭身だった3DS版『VII』よりも質が上がっておりどちらが好みかは人によるだろう。
    • もちろんPS4版もナンバリング初のHDで制作された美麗なグラフィックが好評。中盤で発生する大立ち回りシーン等はPS4のグラフィックならではの迫力であるし、主人公の「サラサラヘアー」も有無を言わせぬサラサラっぷりである。
    • 両ハードでシナリオや台詞などの大筋は変わらないものの、同じイベントでもカメラワークやモーション、音楽や効果音の演出など、細部に多数の差異が存在する。基本的にはPS4版のほうが高画質に加えモーションも細かく設定されており見栄えが良いが、3DS版(3Dモード)も演出面でより凝っているものがあり、一概にPS4版の劣化と言えなくなっている。
      • 特にシルビアが初めて登場するイベント「サーカステントの中で」は、3DS版ではより派手なパフォーマンスが披露され、シルビアの超人ぶりの描写に拍車をかけている。
      • また、PS4版は主人公の表情の変化にやや乏しく無表情で、リアクションもほとんどなく棒立ち状態のシーンが多いが、3DSでは驚いたり笑ったり怒ったりと、表情もリアクションもデフォルメデザインにふさわしく豊かに描写されており、同じシーンでも相互で印象がかなり異なる。
      • 両ハードの演出に関して、PS4版は「実写」、3DS版(3Dモード)は「アニメ」と例えられる事がある。これらの印象は実際に目にしたプレイヤーの趣味嗜好によって変わる部分もあるだろう。

戦闘

  • PS4版ではターンは敵味方のグループごとではなく個人個人に回ってくるため従来に比べてテンポが悪いとの声も。
    • ターンが回ってきた状況に応じて攻撃か補助かを選択できるため、より戦略的になったとも言える。
  • 無意味なフリーラン
    • PS4版では戦闘中にターンが回ってきたキャラが自由に立ち位置を変えられるが、戦略要素に絡むこともなく、単にアングルを自由に変えられるだけのお遊び要素に留まっている。モード切り替えをした方がカメラワークの演出が良くなるので尚更である。
      • 一応、戦闘中に好きなキャラ/モンスターをある程度好きな角度で見ることができるというメリットはあるが、国内版では主観視点変更ができないため魅力が半減している。
  • 本作では遭遇したモンスターを多くの経験値を持つメタル系モンスターに変えるれんけい技があり、さらに経験値を数倍にするれんけい技やメタル系を一撃で倒す「会心の一撃」を出す(必中ではないが)特技も複数人が習得できるため、レベル上げが容易になった。
    • 一度始めればカンストまで数時間だった、という者もいるほどLV上げの効率がいい。
      • LVを上げる面倒がなくていい、という者もいれば、やりこみでカンストまでのLV上げの苦労しがいがない、という者もいる。
  • PS4版ではフィールド攻撃の効果は敵にダメージを与えた状態で戦闘が始まるというもので、先制攻撃判定には影響しないため、場合によってはこちらからフィールド攻撃を仕掛けたにもかかわらず敵から不意打ちを受けるという状況が発生してしまう。
    • 作中での説明でも、フィールド攻撃を仕掛けると先制攻撃ができるとは一言も言われていないため偽りは無いのだが、挙動としては明らかに不自然である。
    • 3DS版ではフィールド攻撃により戦闘に突入した場合は先制も不意打ちも発生しない。

難易度のバランスと戦闘力のインフレ

  • 本作の難易度は全体として、過去類を見ないほど育成に手間取ることのない作品であり、難易度が低いと評されることが多い。
    また、所々に見える親切設計によってその難易度を大きく下げている。
    • 「初心者には手厚い配慮を」というのがシリーズの持つ方針なのでこの点が悪いとは言い切れない。本作がシリーズ初プレイ、もしくはRPGに触れること自体が初めてという層にとってはとっつきやすさにもつながっている。
  • 全体的に獲得経験値が上方修正されている点が難易度の低さの要因と言える。
    • いわゆる「メタル狩り」を一切行わず、単に地域ごとのモンスター討伐リスト埋めをしているだけでも躓くことなく進行できるくらいにレベルが上がってしまう。
    • メタル系モンスターもその例に漏れず、最初に出会うメタルスライムですら経験値が2010と歴代作品の二倍近く。最上位のメタルキング・強に至っては161610と、過去作品のプラチナキングの2倍以上というとてつもないレベルになる。
      • その代り「シンボルでは出ず、他のモンスターのお供として出るだけ」「そもそもの出現率が低い」という2点でバランスをとっており、普通にエンカウントする敵を倒そうとするだけではまともなメタル狩りそのものが難しい。
      • ただし敵を全てメタル系に変えてしまうれんけい技『スペクタクルショー』を使えばその問題も解決する。さらに前述のように獲得経験値のアップやレアドロップを誘発できるれんけい技『スーパールーレット』と、狙って会心の一撃が出せる『会心必中』や『雷光一閃突き』等の特技を組み合わせると前述のバランスはあっさり崩壊する。後半に入るとこれらの要素をあっさり揃えられるため、ナンバリング作品でおそらくもっともレベル99にするのが楽。
    • 逆に言えば今までと違って意図的な稼ぎをしなくてもスムーズに冒険を進められる。戦闘部分以外でも、次に向かう場所をマップで教えてくれたり、仲間メンバーの誰かが教えてくれたりなど非常に親切な仕様となっている。
  • 戦術性を損ねかねないゾーンとれんけい技の仕様
    • ゾーン状態は次回の戦闘まで持ち越せる仕様となっており、仲間が揃えばゾーン状態に入った仲間は入れ替えておくことでゾーン状態を維持できる。
    • これにより初手でれんけい技を発動することでいきなり大ダメージを与えることが出来てしまう。
    • 特に後半にストーリー進行の過程で必ず覚えるベロニカとセーニャのれんけい技「クロスマダンテ」は名前の通り二人のMPを全て消費するが4桁のダメージを容易に叩き出せる技の一つで、HPが高いボスでもおよそ半分程を削る威力を誇る。
    • ボスなどを強力に牽制できる要素の一つとではあるが、「事前に雑魚戦でゾーン状態になってれんけい技を発動できるよう調節しておくだけ」というのはさすがに手軽すぎであり、純粋な戦略性とは言い難い。
  • その他、大きな要因として消耗戦が楽になったことが挙げられる。
    • 完全なシンボルエンカウント(PS4版・3DS版3Dモード)であり、敵シンボルの追撃も緩いため、自身の裁量でMPを温存することができる。
    • レベルアップ時にHP・MPが全快する。
    • セーブ出来る上にHP・MPも全快するキャンプの設置位置が親切であり、その数もフィールド·ダンジョンを問わず多い。他のRPGのようにセーブポイントでのみ使えるコスパのいい回復アイテムを消費するでもなく一切の対価なしで全快できてしまうため、言わば世界中がドラクエ3のアリアハン状態となっており緊張感に欠ける。ちなみにセーブ機能は、一般的なRPGでは強敵へのトライ&エラーが容易になるようボス直前にのみ設置されることが多い。
    • 長丁場、かつキャンプのないダンジョンのボス部屋の前には、使えと言わんばかりに「まほうのせいすい」や「けんじゃのせいすい」といったMP回復アイテムが4個入手できる宝箱が置かれていたりする。
    • 結果、従来のドラクエでよくあったMP切れでどうしようもなくなるといった事はほぼ起こらなくなってしまった。
      • せっかく「縛りプレイ」があるのだからレベルアップ時のHP・MP回復を縛れるようにすれば、この手の批判にも対応出来たと思われる。
  • 他に難易度低めといわれる理由はNPC戦闘員の使い勝手の良さも理由として挙げられる。
    • 今作は仲間になるメンバーは一度はNPCとして一緒に行動し、何が出来るかを前もって教えてくれるのだが、HPやMPが無限という仕様で、更に回復優先で戦うため結果的に難易度を下げている。
      • ただし中にはNPC時代に使っていた特技を正式加入後に忘れてしまっているキャラクターがいる(再び使用可能になるのは第3部以降)。
  • ただし、常に難易度が低いというわけでもなく、過去作に比べて相応に敵は強化されている。
    • 今作の敵は状態異常を絡める攻撃を多用し、過去作のように「補助呪文を使った後は回復呪文で戦線を維持させる」という戦術だけで攻略するのが難しくなった。
    • 初めてボス戦闘曲が流れるボス戦からその傾向があり、混乱や幻惑効果付き全体攻撃を使用してくる。
    • 比較的序盤に戦うアラクラトロはスクルトもベホマラーも未習得の時期にルカナン付きの全体攻撃を連発し、更に全体混乱、全体1回休み技などを使用する強敵。ただこの戦闘ではNPCとしてロウが加入し、的確に回復したり状態異常を治してくれるのが救い。
    • 第2部ラスボスですら行わない完全3回行動をやってのけるボスも存在し、そのボスは痛恨の一撃や全体ダメージ+休み状態にする攻撃を行ってくるため、事故率が高い。
    • この他のボスも無対策で挑めば苦戦することも多い敵ばかりとなっている。……対策さえ出来れば勝利は容易い、とも言える。まぁその段階で対策できるとも限らないのだが。
  • 雑魚モンスターであっても強敵は存在する。
    • 時折混じって出てくる転生モンスターは、初遭遇の時点では苦戦する可能性も高く全滅の危険性も十分に孕んでいる。
    • 雑魚モンスターであっても強い敵は十分に強く、特に見た目からして強そうなドラゴン系の敵はその風格に相応しい強さを持つ。場合によっては複数同時に出現し、下手に手を出してボスモンスター以上の苦戦を強いられた挙句に全滅に追い込まれるケースも。
    • 中には転生モンスターですらないのに、完全3回行動でラスボスの攻撃力すら凌駕するアメジストワームという恐ろしい雑魚モンスターも存在する。
  • とまぁ、単純に敵の強さで言えば弱いわけではなくむしろかなり強化されている方である。難易度が低いと言われる理由はそれ以外の部分でだろう。
  • 本作は第2部の終盤の時点でかなりのレベルに達している可能性が高いが、第3部では敵・味方とも戦闘力が更にインフレしていく。
  • 味方側は強力な全体攻撃を持つキャラクターが多く、また過去作に比べてその威力の上昇幅も非常に大きい。
    • その筆頭であるベロニカはこうげき魔力がパーティトップでMPもロウに次いで多く、全体攻撃呪文であるイオグランデが非常に強力。
      最終的に一発700超えというダメージに達するため、クリア後に登場するほとんどのモンスターは一発で全滅し、二発耐えるモンスターですらごく一部の大型モンスターに限られる。
      さらに「やまびこの心得」というスキルを習得していると低確率で呪文が連続発動する。その上に適正レベル前後ならばイオナズンを覚えるレベルに到達する前にイベントによりスキルパネルでイオグランデを習得出来るようになる。
      以上の理由から、第三章の大半の雑魚戦がベロニカ任せで済んでしまう。彼女に素早さが大きく上昇する「ほしふるうでわ」を装備させれば……語るまでもないだろう。
      • 代わりにHPや身の守りはパーティで最弱であり、最終的なパラメータはインフレした『VI』~『IX』の魔法使いと比較しても相当脆いというピーキーな性能。このため、前述のようにボス戦や大型の雑魚モンスターの難易度まで下げる結果には至っていない。賢者タイプのロウもほぼ同性能の呪文を使えるものの「やまびこの心得」が無く回復や補助の性能も注目されやすいためか、こちらはさほど目立たない。
    • これまでのドラクエ本編は、『V』以降「攻撃呪文が弱すぎ(特技が強すぎ)」と言われ続け、作品によっては「魔法使い系キャラも特技で大活躍」などと揶揄されてきたため、攻撃呪文を大幅に強化することで復権を図ったのだろう。
      攻撃呪文の復権に喜ぶ人も居る一方で、些かやり過ぎではという声もあるにはある。また、攻撃呪文の地位が復権した一方、『VI』以降攻撃呪文と共に地位の低下を続けていた通常攻撃は、今まで以上に地位が低下してしまった。
      • 「特技をデフレ」させるのではなく、「一部の呪文を過剰にインフレ」させたことによって起きた弊害であろう。強すぎると言われる一部の呪文のインフレ具合をもっと抑え、特技をデフレさせておけば、攻撃呪文の地位向上をさせつつもここまで味方の戦力がインフレを起こすことは無かったと思われる。
  • 攻撃呪文が強化された今作においても、「特技で大活躍」というのは可能。実は魔法使い系キャラの最強の特技は、前衛タイプの特技より高性能となっている。
    • とはいえ、時期にもよるが『VIII』の時のように「魔法使いであっても戦士の攻撃よりも余裕でダメージを叩き出せる」なんてことはそうそう無く、前衛キャラが繰り出す特技の方がダメージが大きくなるよう(倍率が高すぎないよう)になってはいる。そのため普通にプレイしている限りは素直に攻撃呪文を駆使した方が強い。
    • カミュの使用する「ぶんしん」や「二刀の極意」など、これらは非常に強力な自己強化技とパッシブスキルであり、前者は使用した次のターンで効果が切れるものの、次のターンの攻撃回数が3回分となり、後者は二刀流のデメリットが消え、等倍のダメージが与えられるようになる。これらとバイキルトや強力な特技と組み合わせることで、カミュは一人だけ作品が違うんじゃないかと思う程の攻撃回数と総ダメージを叩き出せるようになる。ただし、これらが両立して可能なのは終盤も良いところであり、通常攻略時ではそこまで突出した強さでは無い。むしろ序盤は完全に他のキャラクターに押されており、ドラクエ屈指の大器晩成型と言われる。
  • また、今作は回復呪文の使い手が多いのも特徴であり、主人公とセーニャはベホマズンとザオリクを同時に習得出来る。その二人を含め完全蘇生手段を持つキャラクターは最大5人まで増え、それ以外のキャラクターに持たせる「せかいじゅのは」を所持数制限無しで何度も拾える場所すら存在するため、常時スタンバイで入れ替えを駆使すれば全滅まで追い込まれることは少ない。
  • 第3部のラスボス直前になると「裏ダンジョンで鍛えよう(要約)」という旨の話になり、裏ダンジョンの場所も教えて貰えるため、先に裏ダンジョンを攻略してしまいラスボスが弱すぎると不満を漏らすプレイヤーも見られた。
    • これには今作の第3部がやや特殊な構成という事情もある。第2部までは途中ある程度攻略の順番が自由であっても、最終的に全てを攻略する必要があるのに対し、第3部は最初のイベントをある程度進めると一気に自由度が増し、裏ダンジョンどころか必要最低限のイベントをこなすだけでいきなりラスボスに挑むことも可能となっている。
    • あくまで可能というだけでいきなりラスボスに挑んでも勝ち目は薄い。適正レベルは凡そ60~65と言われるが裏ダンジョンや新たにレシピブックなどで製作した装備をしているという前提である。装備の質によっては当然これよりも高レベルであっても苦戦は免れない。
    • その為、プレイヤーの挑む時期によって攻略難易度に大きな差が出てしまう。全てのボスを倒してからラスボスに挑んだ場合は攻略は容易だが、せっかちなプレイヤーがいきなり挑んだ場合ボコボコにされ完敗することも珍しくない。
    • この辺りの自由度の高さはドラクエシリーズでは非常に珍しいため、これらの理由によって第3部の難易度は過去作との単純な比較は難しい。他シリーズでの類似例としては『FF10』のラスボスのケースに近い。
  • ちなみに、第3部のラスボスはドラクエシリーズではお馴染みの「闇の衣」を纏っており、これの剥がし方を聞き逃していたプレイヤーは例え準備万端な状態であっても苦戦を強いられることとなる。
    • 闇の衣状態は通常時よりもボスの火力上昇+ダメージを割合軽減と、『III』のゾーマとはまた違った強化状態なのだが、その性能は機種によってやや異なっており、PS4版は通常の1/2ダメージを軽減するが、3DS版は通常時の1/5にまでダメージを軽減する。そのため難易度は3DSの方が圧倒的に高い。
    • ダメージを大きく軽減する上に、ある程度ダメージを蓄積させるとこちらのメンバーの行動を大きく制限させる技を使い「じこさいせい」や「めいそう」など自己修復技を使用するようになる。この技は通常時にも使用するのだが、鉄壁の防御力を付加させる闇の衣状態で使わせると脅威となる。また、ドラクエには珍しい2ターンほど溜めて放つ大技を使用するのだが、闇の衣状態ではこの攻撃のダメージも跳ね上がるため、属性耐性を強化していないと前線に出ているメンバーがまとめて一撃死することも珍しくない。

ふしぎな鍛冶

  • ストーリー上でも重要な位置を占めている要素であるが、ミニゲーム形式になったため錬金釜に比べて面倒くさいという声もある。
    • 一部鍛冶でしか作成できないアイテムもあるため、収集アイテムリストをコンプリートするためには必須となる。
  • もっとも、恩恵は耐性の面などで有利になる程度なので、ゲームをクリアするだけなら一切無視しても問題ない。

しばりプレイ

  • 過去作において数々のプレイヤーが様々な「縛りプレイ」を行ってきたが公式がそれを取り入れてきたことへは賛否ある。
    • 買い物禁止状態で店員に話しかけると「しばりプレイ中でしたね」等のメタ的な発言がある。クスっとさせてくれるという好意的な意見もあれば、興が削がれるという否定的な意見もある。
    • 条件の1つである「はずかしい呪い」は戦闘中で発生した場合は仲間がフォローしてやれるものの、シナリオ上、主人公が単独で戦闘に挑まなければならない局面では非常に厄介なハンデとなる。
      ---フィールド上で発生した場合はNPCとの会話ができなくなる上に発生時の硬直も長いのでゲームテンポを削いでしまいがちで、しばりを個別に解除することができないことも相まってストレス要因になりやすいという欠点もある(特に戦闘時よりも会話が必須な場面)。
    • 賛否はあるが、上述のように通常プレイでは若干ぬるい本作も、この「しばりプレイ」を設定すると程よい緊張感が得られる。一周目は普通にプレイして戦闘や鍛冶などのシステムに慣れ、二周目で導入するとよいだろう。
  • なお、本作ではパーティメンバーの編成は可能なものの、「縛り」として最もポピュラーであろう「一人旅」は(自分で戦闘中に仲間を意図的に死なせないと)できない(入れ替えで空きを作ることができないため)。
    • もっとも、ストーリーの進行で強制的に仲間になるキャラ(戦闘に強制参加)もいるため、パーティを1人にしても完全な「一人旅」にはならないが。

過去作のBGMの流用

  • 『IX』や『X』同様、過去作のBGMの流用が多すぎる点が指摘されている。
    • とはいえ新曲の数も出来も過去作と比較して劣っている訳ではなく、手抜きと言う訳ではない。また、意味もなく流用しているわけではなく、過去作のオマージュを連想させるシーンや話を盛り上げる感動的なシーンなどで効果的に使われている。
      • そもそも本作はこれまでにも記述されているように、過去作のオマージュが多い作品である。BGMに関しても同様に「過去の有名楽曲が勢揃い」と言う演出意図によるものだろう。
    • ただ、特定イベント時などのBGMが強く印象に残りやすいシーンにおいては過去作のBGMが流れる箇所が非常に多いため、新規BGMが印象に残りにくいという声もある。
      • また、すぎやま氏が2015年の7月の新作発表会などで「全て新曲」という趣旨の発言をしていたことも批判の一因として挙げられる。

フィールド

  • 本作のフィールドは岩山がかなり多いため全体的に道が細めであり、フィールドというより『ファイナルファンタジーX』や『テイルズ オブ グレイセス』の様な街道ダンジョンに近い造りになっており、歴代でも窮屈さを感じやすいフィールドになってしまっている。

クエスト

  • 一部のクエストはストーリーが進行すると受注もクリアもできなくなってしまうものがある。
    • 完全に期間限定となっているものはなく全てのクエストはさらにストーリーを進める事で再受注できるが、そこまで進めた後でクリアしても報酬が無用の長物になってしまう。特にクエストNo.1は序盤に逃した場合、再受注が可能になるのは第3部のイベントをかなり進めた後になる。時期を問わず受注できるようにするためか依頼者のセリフはクエスト関連のものに固定されており、中にはストーリー展開によって明らかに場違いな発言をしているように見えてしまう人物もいるほか、第3部では時系列に明らかな矛盾が発生してしまっている場合もある。
    • 「クエスト」扱いはされていないものの、期間限定となっているサブイベントもごく一部存在する。
  • カジノのルーレットでジャックポットを出す」という完全に運任せになるクエストが存在する。
    • 一応、ジャックポットが出やすい状態かどうかを教えてくれるNPCがおり、ルーレット自体も賭け方を工夫をすることでコインをほぼ消費することなく賭け続けられるため、出やすい状態で行えば比較的容易にジャックポットを出すことはできるようにはなっている。

CGムービーがあるのにキャラクターボイスがない

  • ナンバリングタイトルでは3DS版『VIII』を除いてキャラクターボイスがなく、今回も例外ではないのだが、CGムービーでも喋らない。(一応、台詞の字幕は用意されている)
    • もっとも、ドラクエにボイスを入れるのは好ましくないという声もそれなりに存在する。特に古参のユーザーほどボイスが付くのに違和感を感じるとする意見が多い。
      逆に新規のユーザーは最近のゲームのほとんどにボイスが付いていることも相まって、特にPS4版のような美麗なグラフィックに対して声だけ無いのに違和感を感じるという声が多い。
      • この辺りはユーザーの好みや感性にも寄るところが大きい。
  • なお、本作のキャラクターが『ドラゴンクエストライバルズ』、および『いただきストリート DQ&FF 30th ANNIVERSARY』に出演した際にはボイスがついている。
    • また、カミュ・シルビア・マルティナの三人は公式の動画配信で、実際に声優がPS4版のイベントシーンにアテレコをしたという企画が上がっている。
  • 後に11Sが発売され、主要キャラクターには音声がつけられた(オフにもできる)。

ルーラの仕様変更

  • 今作のルーラは屋内でも使用可能になったことに賛否あり。
    • 単純に使い勝手が良くなった一方、ダンジョンから脱出する呪文「リレミト」の使用機会が乏しくなった。

問題点

共通の問題点

使いづらい復活の呪文

  • 前述のように引継ぎ内容が中途半端な点は批判が多い。
    • FC版『III』で復活の呪文が廃止されたのはシステムが複雑化したことで、必要な文字数が800字超という膨大な数になってしまうためであるが、仮に『Ⅺ』でセーブデータを完全再現させようと思うなら、それこそ数億という文字数になりかねない。
      • そのことを踏まえれば仕方ないことではあるのだが、それだけに、懐かしさだけに拘らず普通にデータ連動で引き継がせる仕様にして欲しかったという意見も多い。
  • また、ストーリーの進行度が第1部クリアまでしか対応しておらず、第2部以降で聞いた復活の呪文はすべて第2部開始時まで巻き戻ってしまうことも、不満点として挙げられる。
  • 前述した「もょもと」の復活の呪文を入力する際、大量の「ぺ」を続けて入力する必要があるが、入力画面に『II』では存在した1文字の「ぺ」がなく「へ」と「゜」に分かれているため入力に時間がかかる。
  • ゲーム中でステータスを確認できるのはオープニングムービーの後となるが、『I』『II』の復活の呪文を入力した場合でもムービーのスキップは基本的に不可能である。このため過去の呪文の吟味を行うにはやや労力を伴う。

モンスターのバリエーション

  • 第2部になると「〇〇・強」、第3部になると「〇〇・邪」といった、既存モンスターのパワーアップ版が大量に出現するようになる。物語の黒幕により強化されたという設定であり、ストーリーに密接に関わってくる要素ではあるのだが、単なる水増しという批判もある。
    • また、これらのモンスターは討伐モンスターリストのコメントもほとんど使いまわしで味気ない。
  • 素のモンスターも種類自体はかなり多いが、生息範囲の狭い者が非常に多く、これはこれでもったいない。戦闘をあまり避けずに普通に進んだつもりでもモンスター討伐リストがスカスカだったという事もままある。
  • 半分近くが前作『X』が初出or出演経験ありなので、前作や『DQモンスターズJ3』、『バトルスキャナー』等を経験済みだと既視感が強い。
    • ただし、グラフィックが明らかに新規と比べて差があって違和感があるというわけではない。
    • 反面、新規に作られている者は『II』のアンデッドマンや『V』のマムー等、今まで一度か二度しか出ていないマイナーな者が多く好評。プロデューサー曰く、意図して珍しいモンスターを選んだとの事。
    • 3DS版限定のモンスターもいるものの、かくとうパンサー系以外は『X』に登場したものである。ドット絵は新規に作り直している者もいるが。

一部ストーリーのつなぎ方

  • 序~中盤、あるアイテムを集めるために世界各地を自由に旅することになるのだが…
    • 自由に旅ができるといっても順番に制限があり…
      + ネタバレ 中ボス「メルトア」が(偶然*12)落とす鍵を拾うことで「クレイモラン城下町」に入ることができるようになるのだが、この2つのイベントに直接の因果関係がないので分かりにくい(ストーリー上でも、鍵を目当てにこのボスを討伐するわけではない)。
      • 例えば、メルトアの犠牲者*13の中に鍵を持っていた人物がいるとか、そういう話(かつ事前にそういった人がそこへ向かった話が聞けるなど)があれば分かりやすかっただろう(せめて鍵自体に全く触れなくても、「そこへ向かった人が心配だ」などとそれとなく誘導するなど)。
        • もしくは、自由に移動ができるものの、地形等の関係で鍵を手に入れる場所がルート上にある(例えば山の頂上にある街の鍵が、登山道途中の町(のイベントや通行を意図的に阻害しているボスのドロップ)で手に入るなどであれば話の流れとしてとても自然であろう。
      • この時に手に入る鍵も「まほうのかぎ」という、あちこちで扉を開けられるもの(で、大抵はレアなアイテムが手に入る程度*14)であるので、先にクレイモランを訪れた上で、ピンポイントでここのドアのものだと理解するのは容易ではないだろう(先に訪れてもアイテムが隠されていると思ってしまう可能性がある)。
      • もう1つ、廃墟となった遺跡の宝物庫に置いてあるだけ、というものもある(こちらも魔法の鍵で開く扉がある)。事前に通過した場合は忘れてしまうことも多いだろう。
        • 一応、「近くに行けば虹色の枝が光る」というヒント以外にも、メルトア撃破後の状態で仲間コマンドを使えば、ロウやカミュが「こういった場所にも開いてない鍵があったはずじゃ」といった感じに、ヒントをくれる要素はある。

裏ダンジョンの報酬

  • 本作でも規定行動数以内にクリアすると報酬がもらえる裏ボスが存在するのだが、その一つに批判がある。
    + ネタバレ
  • それが「エマと結婚したい」というものであり、これを選ぶと故郷のイシの村の幼馴染であるエマと結婚するのだが…。
    • エマは『VIII』のミーティア姫の様に仲間にならない女性キャラであり、先述の通り、イシの村が滅ぼされる関係で序盤以降は第2部まで登場しなくなる。最初のダンジョンこそ共に行動するものの、出番の少なさの都合上、物語上のヒロインであり冒険中にもある程度会話ができるミーティアよりも影が薄い。
      • 『VIII』では、PS2版の時点でヒロイン格とプレイヤーから目されキャラ人気も高かったゼシカが、3DS版で公式に設定が掘り下げられた上で主人公と結婚する分岐が出来たという経緯もあり、本作でも仲間キャラクターと結婚したかったという意見が多くみられた。*15
    • また出番の少なさからお世辞にも掘り下げられたキャラとは言い難いエマだが、言動の端々から主人公に対する独占欲が垣間見え、あまり良い印象を受けなかったという感想も多い。
      • 更にイベントの内容が「村人の記憶を操作し、結婚式を済ませた後(結婚式の様子は自宅にある一枚絵で見れるもののみ)」とイベントそのものがお粗末すぎて、エマとの結婚に特に反対していなかったプレイヤーからも「プロポーズか結婚式のイベントを見せてほしかった」と言われるなど、不満の声が多い。
        もちろんこれはストーリー上必須のイベントでないため無視すれば良い話なのだが、裏ボスの報酬をすべて貰わないと最強装備の鍛冶レシピが入手できないため、やり込む上では必須のイベントと化しているのが痛いところ。中には「エマと結婚したくないからレシピも諦めた」というプレイヤーまでいる。

ラスボスのデザイン

  • 第三部のラスボスのデザインが別作品のある物に酷似している。
+ ネタバレ
  • 鳥山明氏やDQシリーズとまるで関係のない「機動戦士ガンダム」のMSにそっくり。
    • 具体的には右腕がズゴック、左腕がアッガイを丸ごと持ってきたようなデザイン。
      • 右腕にはメガ粒子砲の砲口、左腕は六本の魚雷のような物までちゃんとあり、さらには後ろに下がってバルカン砲を乱射するような攻撃や、魚雷のように支援モンスターを打ち出すという行動までする。
    • さらに細かいことを言うなら上半身は「聖戦士ダンバイン」のドラムロに似ている。
      • 鳥山明繋がりでか、「ドラゴンボール」のセルに似ているという意見も多い。
      • ただし、緑色の甲殻類のような外見という共通点のみであり、デザインは特に似てはいない。

本作オリジナルの楽曲の扱い

  • 第3部に入るとフィールド・空の音楽が、本作オリジナルのものから『III』のものに変更になるのだが、これについては残念がる声が多い。
    • フィールド曲は第1部~第2部にかけて長々と聴いてきたのでそれなりの存在感はあるのだが、一方で本作の空のBGMは第2部の最終盤でようやく聴けるのに、順当に進めるとその後あっという間に第3部に移行してしまい、第3部の序盤で楽曲が変更されるため聴けなくなってしまう。
      • 本作の空の曲も評価は高いだけに扱いの悪さに苦言を呈す声も多い。
      • 本作も含めDQ8以降は曲の使い回しが増えたこと自体にも批判はあったが、本作は単なる使い回しではなく「せっかく新曲が素晴らしい出来栄えなのに、使い回しの旧曲が新曲を食ってしまう」という事態になってしまっているので余計に批判の声が大きくなっている。

BGMの演奏に使われている打ち込み音源の音質

  • 本作の使用楽曲に関しては上記の通りなのだが、『モンスターバトルロード』やスマホ移植版のナンバリングタイトル、『ヒーローズ』等2010年以降の多くのドラクエと同様の音源を使用している。今作でも使用されているが、打ち込み(シンセサイザー)音源の音質がやけに前時代的でチープさが際立ってしまっている。
    • PS~PS2初期を彷彿させるような品質であり、「流用曲・新曲含めて楽曲の質自体はこれまで通り良質なのに音源の古臭さのせいで台無しになっている」という意見が根強い。
      意図的にレトロなグラフィックで作られた3DS版ならまだしも、非常に美麗なグラフィックで作られたPS4版になると一層古臭さが気になる。
      • 東京都交響楽団によるフルオーケストラ音源のゲーム内使用も『X』で大々的に実装されていることから、今作でも出来る限り生のオーケストラ音源を採用すべきだったという声は多い。
    • もちろん、音楽のジャンルによっては、オーケストラよりもシンセサイザーを活用した方が評価が高まりそうな曲もあるし、生演奏音源だとテンポやループの調整の如何次第で問題が生じる場合がある。
      また、『VI』のようにサウンドに力を入れて最高品質のシンセ音を実現し、オーケストラとは違った方向で高評価を得た例もあるため、十把一からげにオーケストラの生演奏が良いとは言い切れないところもある。
      • 現在では音楽のジャンルを問わず、生音に迫るほどのリアルな打ち込み音源で曲を演奏しているゲーム音楽は珍しくない。
        最新の打ち込み技術に精通したマニピュレーターを雇うなり、シンセサイザー音源の音質にもっと拘っていれば評価はまた違っていたと思われる。

その他

  • セーブ可能な数が少な目
    • 容量の都合等で概してセーブ数の少ない携帯機版はともかく、今作は家庭用でも1桁となっている。
      • 参考までに両方出ている『VIII』は、携帯機2+1個、家庭用30個(本作はそれぞれ3個と9個(+1、オートセーブ)。一応パスワード対応はあるが)。
      • 本作は過去作へのオマージュや、ストーリーの進行での既存のエリアの変化もあるので、途中のセーブを残したい人は多いと思われる。ボスラッシュもないし…。
  • ウマレースがレースとしての形をなしていない
    • ゲーム序盤から出来るミニゲームの位置づけだが、レースと銘打ってはいるものの、その実態はレースとはかけ離れたタイムアタック。
    • 主人公の他にも3人の競争相手が登場するが、彼らはある程度の決まったタイムに沿って決まったコースを決まった走りで進むだけなので勝負要素が全く無く、競争相手というより単に動く障害物としての役割しか無い。
    • シルバー以降はダッシュ速度も露骨に調整されており、こちらがスタートダッシュ+常にダッシュを維持でも平然と追い抜かしていく上、そうやって理不尽に追い抜かしてから道を塞ぎ当たりに来る始末。
    • 同時に走る人数が4人になる割にコースの幅が狭く、前述の通り相手は決まったコースを走ろうと1箇所に固まってくるので、スタートダッシュが成功させると有利になるというより、成功させないと相手がぶつかってくる上にコースまで塞いでくるので、まともなスタートが切れないという状態に陥ってしまっているにもかかわらず、初めてプレイする時も、旅の心得にもスタートダッシュの説明は存在しないので、人によっては気付く事すら出来ない。
    • また、このレースを乗り切らねば手に入らないアイテムやレシピも存在するので、そういった無理やりやらせようとする部分に嫌気が差すプレイヤーもいる。

PS4版固有の問題点

快適性の低さ

  • 長めのロード、フィールドや町の広さにより移動が冗長になりやすいといった点で快適性が低くなってしまっている。
    • カメラワークの悪さや、オートラン機能よりダッシュを付けて欲しかったという声も多い。
      • 『X』とは違い、オートラン中にコマンドを開くとオートランが止まるのも機能として微妙。
    • せっかく追加されたジャンプも明らかに飛び越えられそうな段差を飛び越えられないなどチグハグ感が目立つ。
    • 『VIII』などと違ってフィールド上に表示されるキャラは主人公で固定になってしまった。3DS版も先頭は主人公で固定だが、後ろに戦闘メンバーが隊列を組んで付いてくるので批判は少ない。
    • 『VIII』にあった主観視点がなくなっている。
      • 戦闘中に好きな場所に移動できる機能との組み合わせや、ものすごく大きなボスキャラ等この機能が生きそうな場面が今作には多々あるのだが……。
        海外版では普通に搭載されているだけに非常に惜しまれている。

AI戦闘の使い勝手の悪化

  • 使い勝手がようやく優秀になったと評された『VIII』『IX』から一転、再び使い勝手が悪化してしまった。「めいれいさせろ」にしておいた方が良いといわれているほど。
    • 特に、特定の特技や魔法を状況の如何に関わらずひたすら連発してしまう傾向が目立ち、最大MPが元から少なめなキャラ(シルビア・マルティナ・グレイグあたり)はスキル構成次第ではガス欠に悩まされやすい。
    • 状態異常「魅了」にかかっているキャラがいる場合にAI設定すると、全体攻撃が魅了されたキャラに及んでしまうことを考慮せずに全体攻撃を連発してしまう(特にベロニカ)ため、気づいたら魅了されていたキャラが死んでいたという事態も起きがち。

ボウガンアドベンチャー

  • フィールドがあまりに広いためにマトを探すのに時間がかかる割に報酬は種系アイテムで、3DS版のような専用アイテムはないという微妙さで評判は悪い。
    • 本作ではドロップアイテムを狙いやすく、種系アイテムの入手が容易であることも報酬の微妙さに拍車をかけている。
    • ボタン割当もフィールド攻撃と同じ配置で、距離が空いているとモンスターに暴発してしまうことも。しかも当たったモンスターは通常よりも速いスピードでこちらを追尾してしまう。
      そして寄ってきたモンスターにフィールド攻撃を仕掛けようとしてまた別の離れたモンスターに暴発させてしまうということもよくある話である。
    • 3DS版ではボウガンの代わりに過去作の口笛に相当する「まもの呼びのベル」というアイテムになっており、PS4版もこれにしてほしかったという意見が多い。

ヨッチ族についての言及がない

  • 3DS版と同様にフィールドなどにヨッチ族が出現するのだが、こちらには「時渡りの迷宮」の要素そのものが無い為に近づいたら消えるだけとなっている。
    • おまけにヨッチ族そのものについての言及が一切ない(名前すら出てこない)。真のラスボスや真EDにもかかわる存在なのだが、3DS版をプレイしていないと意味不明の存在に映ってしまう。

2つの盾の売値について

  • 第3部が本番に入った段階で特定モンスターからのドロップで入手できるようになる「えいえんの盾」「メビウスの盾」の売値が、入手難度を考えると高め(前者が25,000G、後者は30,000G)。
    • レアドロップである前者のほうが安いのが気にかかるかもしれないが、防御力は後者のほうが多少高い。
    • 後者は通常ドロップなのでカミュに盗ませれば大量に集めることもたやすい
      金策が楽といえば聞こえはいいが、バランスが崩壊しかねないとも言える。とは言っても3DS版『VIII』ほど極端ではない。
  • 一部モンスターがゲーム内のどこにも登場しない
    • 3DS版には存在するのにこちらにはいない、というモンスターが色違いが中心とは言えそこそこいる。

3DS版固有の問題点

2Dモード

  • 2Dモードでの戦闘では敵がラスボス・裏ボスを除いてアニメーションしない。
    • 3Dモードもある事を考えると作業量が膨大となってしまうため仕方ないのだが、動いて欲しかったという声は多い。
  • マップの狭さを補うためかエンカウント率が高い。
    • その為、2Dをメインにプレイしていると余計に前述のレベルの上がりやすさに直結しやすくなる。

時渡りの迷宮の冗長さ

  • 階層が進むごとに広くなるのは当然だが、わざと回り道をさせる構成やボス攻略のためにヨッチ族を集めておく必要があるため、攻略に非常に時間がかかる。
    • 各階層の宝箱を全て集めていくとさらに時間がかかる上、多くが普通に手に入る素材アイテムのため徒労感も強い。
      • 冒険の書の世界という報酬は魅力的であるが、冗長さのせいでダレてしまいやすく、この点は批判されている。
    • オートラン機能は楽ではあるがほぼ一直線にボスに向かってしまうため、別ルートにある冒険の書の世界を開く合言葉をも無視してしまう。その階層にある合言葉を全て集めないと次の階層には行けないため、オートラン任せだとやり直しが必要になる事も。
      • 戦闘を繰り返すとゲージが溜まり、ボスなど一部の敵が張っているバリアを剥がせるスキルを使用できるようになるのだが、オートラン状態だとゲージが溜まっているとバリアの有無に関係なくスキルを使用してしまう。そのためいざボス戦となった時にゲージが無く勝てないといった事が起こる。バリアと同色のヨッチ族であればバリアを貫通して攻撃できるが、バリアの色は6色もある上に連続で異なる色のバリア持ちと戦う必要があるなど一筋縄ではいかない。全バリアを貫通出来るメタルヨッチも存在するが出現率は極稀。
      • 迷宮をうろついているモンスターの中には移動するタイミング次第で戦闘を回避出来るものもいるが、当然オートランでは避けずにヨッチ族を消耗させてしまう。
      • 以上の理由から、オートランなのに迂闊に目を離せないという本末転倒な事になっている。せめてスキルの使用可否だけでも設定出来ていれば、少なからず手間を省く手段になり得たのだが……。
    • また、ヨッチ族に装備させられる帽子(ただのおしゃれアイテムで、特別な効果はない)も、宝箱からの入手以外では、すれ違いで入手出来るチケットを相当な枚数集める必要があり、コンプリートには非常に時間がかかる。
    • 最下層に行くにつれて難易度が跳ね上がっていき、最高ランクのヨッチ族が山ほど必要になる。長丁場な上に構造も複雑で、やたらと多い敵の先制攻撃で理不尽に倒される事が多く、非常にストレスが溜まる内容となっている。
    • VIP指定をしていないヨッチ族は倒されるとそのまま消滅するほか、VIP指定をしたヨッチ族を生き返らせるにも多額のゴールドが必要になってくるため、うかつに倒されないようにするのも一苦労。
      • そのため、偵察とゲージ貯めを兼ねてランクの低いヨッチ族を鉄砲玉として使用してわざと全滅させてから高ランクの主力を出すといった戦法になりがち。
    • 2Dモードではヨッチ族は隠れスポットに集められているため、こちらを利用すれば比較的楽に集められる。
    • すれちがい通信では改造されたヨッチ族が出回っている。「やる気」が上限値を大きく上回っていたり、通常ではありえない武器を装備をしているため判別は容易。

冒険の書の世界

  • 同じマップの昼夜違いといった使いまわしが目立つ。
  • 一部の作品の世界では歴代バトルBGMを聴く機会がイベント戦しかない。
  • 『I』~『IX』の世界はそれぞれ3つのマップ(使いまわし含む)に行けるのに対し、『X』の世界は2つしかない。どちらも原作の旧オフラインモード(序盤中の序盤)の非戦闘マップで、原作バトルBGMもない。
  • 最終盤の展開について。
    + ネタバレ
  • 全ての世界を攻略すると『XI』の世界が出現し、過去作品のラスボスの力を得たボスモンスター達と戦う事が出来る。
    • 同系統のモンスターが使う固有技とラスボスの印象的な技を併せ持つ上、2~3体で同時に襲い掛かってくるため手応え十分。戦闘前後の台詞回しもニヤリとする。
    • しかしボスラッシュを越えて最後に待ち構える裏ボスはラスボスの強化版にして色違いであり、使用する技もほとんど同じ……どころか減っている始末。レベルさえ足りていれば同じ戦法が通じる。
      • 裏ボスは3つの部位が各一回行動で部位破壊も可能だがボスラッシュの方は1回行動×3体あるいは2回行動×2体と行動回数の時点で劣っており、さらに前述のボス達を撃破すると歴代作品に登場した最強格の道具や装備品を入手出来るため、一切レベル上げを挟まずに挑んでもボスラッシュの方が手強く感じられてしまう。
    • 裏ボス撃破後に判明する真実も、冒険の書を修復する長い旅の結末としては拍子抜け、あるいは肩透かしな展開である。
      • そして再戦出来るのは裏ボスの方。難易度・ファンサービス・作り込み等を考えると、むしろボスラッシュの方が需要は見込まれただろう。
      • おまけに裏ボスを倒すと、時渡りの迷宮に行くために入口のヨッチ族に話しかける度に裏ボスの撃破を賞賛する台詞を毎回喋るというフラグミスがあり、帽子集めの周回プレイの手間が増えてしまう。帽子集めは初回以上に作業プレイな事を考えると、以前よりも余計な徒労感が増える点は無視し辛い。
    • 総じて最後の最後で拘り切れなかったという印象が残り、勿体ない所。それだけ「冒険の書の世界」が魅力的だったとも言える。

フリーズが多い

  • 特に戦闘中に特定の手順を踏むと発動するものが多く確認されており、明確な発生条件が不明なものも多い。(詳細はこちらを参照

2つの盾の売値について

  • PS4版で売値の高さが目立つ上述の2つの盾だが、3DS版では若干の防御力差を無視して15,000Gに統一されており、PS4版とは違う意味での違和感がある。

総評

勇者を中心とした勧善懲悪に立ち返った王道的なストーリーラインや魅力的なキャラクター達、良好なコマンド戦闘など、おなじみの「ドラクエらしさ」が詰まった良作。
『IX』『X』では従来のスタイルに大きな変革が行われた結果、保守的なファン層からの評価が芳しくはなかったが、好評だった意欲的な要素を残しつつ王道へ立ち返った本作は全ての層に大いに歓迎された。
ライトユーザーもヘヴィユーザーも、伝統的なスタイルを好むシリーズファンにも安心して遊べる作品となっている。
歴代シリーズへの様々なオマージュも盛り込まれており、シリーズ30周年記念に相応しい、あらゆる世代のDQファンの期待に応えるまさに集大成と言える一作である。


余談

  • PS4/3DS版共に、第3部クリア後のエンディング中のとある場面で流れる復活の呪文を入力すると、PS4/3DS移植版の『I』を無料ダウンロード出来る期間限定キャンペーンが行われた(2018年1月28日まで)。
    • 後に有料版の『I』と『II』『III』の販売も開始された。内容はスマホ版の移植で、既存の移植版とは相違点がある。そのスマホ版はガラケー版のベタ移植であるため、事実上はガラケー版の移植である。そのため特にPS4版では画面に表示されるドット絵の違和感が大きい。
    • PS4版はその後発売されたPS4版『X』の体験版をダウンロード出来る復活の呪文も用意されている。
  • おバカなCM
    • 当時公開されたCMだが、全2種類の内のひとつが非常におバカな内容になっている。
    • いい年した父親がゲーム屋の床でのたうち回りながら「(DQ11を)やりたい、やりたい!」と駄々をこねて息子に冷ややかな目で見下され、ようやく買ってもらえた末に大喜びで駆け出していく……というしょーもない展開である。参考動画(TVCM)
  • 海外では2018年9月にPC版が発売されており、こちらはイベントシーンフルボイス、ハードモード追加などの要素*16が存在しており、Switch版『S』(当該記事を参照)にも同様の要素が存在する。
  • 機種によって細かな点が異なるために発売当時は幾多の攻略サイトやSNSで情報が混合しており、情報錯綜が相次いだ。
    • 特にモンスターを呼ぶ「まもの呼びのベル」が3DS版限定(PS4版ではボウガンが手に入る)であった事では未だに検索サイトの履歴にも刻まれている。
  • 2018年に配信されたドラゴンクエストモンスターズ20周年記念番組にて、「カミュとマヤを主役としたモンスターズ最新作が開発中」と語られた。
    • その後2021年5月のドラゴンクエスト35周年記念特番で、完全新作の『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』に企画変更された事が発表され*17、2022年12月9日にSwitchにて発売された。
  • 2021年9月30日にすぎやまこういち氏が、2024年3月1日に鳥山明氏が逝去。これにともない、本作は初代作からの御三家が開発に携わる最後のメイン作品となった。
+ タグ編集
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  • ドラゴンクエストシリーズ
  • スクウェア・エニックス
  • 2017年
  • RPG

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最終更新:2024年03月16日 22:07

*1 初回購入特典や公式攻略本などの購入特典として、特定のアイテムをセットにしたコンテンツは存在しているが、あくまで作中で入手手段が別に用意されているアイテムの詰め合わせ。DLC限定のアイテムや追加ストーリーやイベントなどはない。

*2 PS4版とPC版は解像度等はこちらの方が良いが

*3 3DS版のマルティナのみ、序盤にNPCとして同行するタイミングでエンカウントが一切発生しない。

*4 ゲーム中でも度々指摘される他、人気投票でも8割以上が女性票だった

*5 キャラクタープロフィールによると、身長110cm。これは5才児と同じくらいの体格である。

*6 丁度FFXをイメージしてもらえばわかりやすい。なお、FFXの場合は画面右に行動順を表す表が表示されていたが本作にはその機能はない。

*7 行動可能なキャラクターが選ばれている状態で入れ替えると、そのキャラクターはそのターン行動できない。

*8 こちらも好きなイベントランキングで1位を獲得している

*9 実質的な(オフラインかつ家庭用ハードで出ている)前作である『VIII』で登場した新規モンスターの中には、その人気にかかわらず本シリーズでは続投していないものも多い(不思議のダンジョンやモンスターズなどでは活躍しているようだ)。

*10 PS4版でも村の中限定で連れ歩ける

*11 時間逆行イベント時点で仲間が持っていたアイテムはふくろに送られている

*12 ドロップは100%だが、別にこの鍵を守っているボスではない

*13 壁画に人を呼び寄せて吸収していた

*14 かつ、ストーリー順で直接メルトアに向かってもそれまでの通過地点でそういった宝箱だけがある檻のような場所を多数見ているので

*15 PS2版の時点では主人公に対する恋愛感情については明確でなかったゼシカに対し、セーニャとマルティナは主人公に恋愛感情を抱いていると取れる描写ある。

*16 他に、主観視点追加といった操作関連の改良も

*17 堀井雄二氏から「モンスターズの方も別途開発中」と語られ、2年後のモンスターズ25周年サイト内でSwitch向けに開発中と発表された後、2023年6月21日のNintendoDirectで『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』として正式発表された。