スーパービックリマン
【すーぱーびっくりまん】
| ジャンル | 格闘アクションゲーム |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 8MbitROMカートリッジ | 
| 開発元 | ベック | 
| 発売日 | 1993年1月29日 | 
| 定価 | 7,800円(税抜) | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | クロスレビュー16点 ファミコンレベルの各種演出
 最低のゲームバランス
 キャラゲーとしても失格
 
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| ビックリマンシリーズ | 
 
概要
テレビアニメ『スーパービックリマン』を題材とした格闘ゲーム。いわゆるキャラゲーである。
かつてバンダイ(現バンダイナムコゲームス)の子会社としてキャラゲーを制作していたベック(現B.Bスタジオ)が販売元となっている。
視聴者層を考慮したためか、操作性は一般的な格ゲーに比べて簡略化されている。
問題点
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キャラクターの人選が部分的に不自然。参戦キャラクターは大聖フェニックス、海天聖ビシュヌ・ティキ、魔スターP、ダークヘラ、魔皇サラジン、リトルミノス、デビルゼウス、鬼僧ダビデスの8人。当時SFC格闘ゲーとしては少ないわけではないのだが。
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発売当時、既にアニメではメインキャラである倭天聖イザナ・アスカも月光聖アマゾ・アムルもサイバーアップした姿を披露しているが未参戦。開発時期のズレを考慮すると仕方ないとはいえ、ガッカリ感をより強めてしまっている。
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鬼僧ダビデスはアニメにも漫画にも未登場のシールのみ存在するキャラで、「誰?」というプレイヤーが続出した。こんなマイナーキャラを出されても誰得としか言えない。
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一応シールの解説では悪魔ヘッドである魔胎伝ノアと魔肖ネロの流れを汲み、リトルミノスを凌ぐほどの力を持ち、帝都の王を自称するほどの実力派悪魔ではある。「今後アニメに登場するのか?」と期待したプレイヤーもいたが、そんなことはなかった。
 
 
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モードは1Pモード、VSモードの2種類のみ。ストーリーモードはない。
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1Pモードはフェニックスかティキを使用してCPU操作の他の7人と戦うモード。VSモードは全キャラを使用できるが2Pとの対戦専用。つまりフェニックスとティキ以外のキャラクターを使ってCPUと戦う手段はない。
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2P対戦の相手がいなければ2キャラしか使えないゲームということになる。しかもフェニックスとティキはストリートファイターのリュウとケンのように性能はほとんど同じコンパチキャラクター。
 
 
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テレビアニメを題材としたキャラゲーなのにボイスがほぼない。ショボいSEと共に無言で技を繰り出すだけ。ファミコンじゃないんだから。
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正確には1Pモードのスタート時のみ、「サイバーアップ!」というボイスが挿入されるが、使用キャラがフェニックスでもティキでもボイスは同じ。
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それも原作の草尾毅さんや柏倉つとむさんの熱演とは似ても似つかない棒読み。スタッフが声を当てたのだろうか?
 
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更にその台詞自体も、まだこれから変身に入る時に叫ぶものでありゲーム中のアニメーションで飛んでくるポーズは「大聖ー フェニックス!」「海天聖 ビシュヌ ティキ!」と名乗った後なので、飛びながら「サイバーアップ!」にはならないはず。変身の細かい描写を描くのが面倒臭いから端折ったのだろう。
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また、どういうわけか主人公達を差し置いて魔スターPが勝った時だけ「Pー!」というボイスが当てられているという謎のこだわりがある。
 
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ボイスがないため勝利演出時の台詞は吹き出しに文字で表示される。
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「フッ」「ハーッハッハッハッ」など。もう一度言うが、これはファミコンではない。しかも1キャラにつきパターンは一種類。
 
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アニメーションの枚数があまりにも少ない。そのため動きは常にカクカク。
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攻撃モーションの枚数は多くて2枚、少ないと1枚。ニュートラルポーズから中割りなしで攻撃を出し切った状態に移行する。
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当然ニュートラルポーズで体を揺らしたりすることはなく、直立不動のまま微動だにしない。
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ダメージを受けた際は上半身だけがのけぞり、歩行は摺り足のように下半身だけをわずかに動かして歩くなど、部分的にしか動かさないことで徹底して枚数を削減している。非常にカッコ悪い。
 
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技の種類が少なすぎる。通常技、必殺技含め、空中やしゃがみ中などの派生形も含めて、全キャラ7~8種類しかない。
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全キャラ共通してジャンプ中の攻撃はジャンプキック一種類のみ。しゃがみ中の攻撃もフェニックスやティキでパンチとキックの二種類、他キャラは一種類のみと極端に少ない。
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例えばフェニックスなら立ちパンチ、立ちキック、しゃがみパンチ、しゃがみキック、ジャンプキック、ローリングソバット、消魔鳳凰斬、爆砕鳳穴の8つ。これで全てである。
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真っ当な格ゲーであればパンチやキックの強弱を打ち分けることができ、当然ジャンプ中やしゃがみ中にも別モーションが複数用意されていることを考えると、本作の技のバリエーションはその半分にも満たない。
 
 
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リトルミノスの大魔炎波やデビルゼウスの聖黒魔光など、飛び道具を発射する技は「キャラクターとは別の判定を持つオブジェクトを生成する」のではなく、パンチやキックと同じく「キャラクター自身の攻撃モーションの一部」として処理されている。
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このため、飛び道具が画面に残留している間は放ったキャラクターは発射ポーズのまま動くことができないので非常に使い勝手が悪くなっている。また攻撃を受けてのけぞると飛び道具も途中で消えてしまう。
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フェニックスの爆砕鳳穴だけは処理が異なるらしく、飛び道具とフェニックス自身が別々に動くことが可能。
 
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技の硬直や無敵時間の調整が滅茶苦茶で、ゲームバランスが崩壊している。
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フェニックスやティキ、リトルミノスなど技の出が速いキャラの攻撃は連打しているだけでコンボが繋がってしまう。
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ノックバックにより間合いが開くためそれだけで永久コンボとまではいかないが、1発のヒットで2~3発の追撃が確定する。
 
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ダークヘラの阿修羅アタックやサラジンのキングタット、リトルミノスのスライドキックは相手が画面端にいてガードしていないとき、ノックバックが何故か起こらないため、追い詰めれば完全なハメが成立する。
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デビルゼウスの連射キックは阿修羅アタックやキングタットに似た性能だが、こちらでは常にノックバックが発生する。
 
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フェニックスの消魔鳳凰斬やティキの水龍斬撃は発生が極端に速く、広い攻撃判定を持つ突進技で、硬直もまったくないためやたらと強い。
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相手を強制ダウンさせる効果があるので、倒れた相手の起き上がりにタイミング良く重ねると永久に倒し続けることが可能。すなわち消魔鳳凰斬を一度食らった時点で体勢にかかわりなく詰みである。
 
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魔スターPの膝蹴りも反則的な性能で、膝蹴りと言いながら魔スターPの全身に攻撃判定が発生するうえ、発生・硬直ともにまったく隙がない。当然この技もハメが可能。
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ボタンを連打すると前方に小さくジャンプする飛び膝蹴りに変化する。これにより距離を詰めることができるため、ノックバックにより間合いが開いてしまう心配がない。つまり一撃食らった時点で死ぬまで膝蹴りが繋がってしまう。
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魔スターPは体格の大きいキャラなので、飛び越すのも難しく回避は困難。一発で10割が確定する極端に大きな攻撃判定の塊が小刻みにジャンプしながら迫ってくるといえばその脅威が伝わるだろうか。
 
 
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上記のように、このゲームにおける対戦はいかにハメるかという勝負なので、ハメを持たないデビルゼウス、ダビデスは圧倒的に弱いキャラになってしまっている。
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ジャンプ中の攻撃は前方ジャンプ中にしかできない。
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相手の攻撃を垂直ジャンプで回避して、空中からのキックで反撃……なんて駆け引きは当然できない。間合いをとろうとバックジャンプをしても、相手もジャンプして追いすがってきたら一方的に打ち落とされる。
 
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「飛び道具はぶつかっても相殺せずに互いにすり抜けて飛んでいく」「ガード中のキャラは投げることもできない」など、格ゲーの常識に一石を投じる斬新なシステム。
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このため打撃技・投げ技・ガードの三すくみは成立しない。威力も蹴り一発と変わらないため、投げ技はリーチが短いだけのまったく利用価値のない技になってしまっている。
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ガード不能技などの概念もなく、自動で相手の方向を振り向くため背後からの攻撃もできないので、ガード中のキャラを崩すことは不可能。削りダメージがあるので詰むことはないが。
 
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ストーリー性はないも同然で漠然と戦うだけ。
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特に鬼僧ダビデス戦の前、準最終戦でティキ(プレイヤーがティキならフェニックス)と戦う意味がわからない。とりあえず「そこにキャラがあるから」というだけの理由だろうが。
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これならプレイヤーキャラをフェニックスとティキだけに縛る意味がない。
 
 
評価点
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無理矢理にでも捻り出すとしたら、パッケージに登場するキャラは、きちんと原作を再現していることくらいか。
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また、概要にもある通り、鬼僧ダビデスを登場させている事も彼がアニメ・原作未登場になってしまった時代背景を考慮すると評価点に転じていると言えよう。
 
総評
BGMだけは良いといったような部分的な評価点すらなく、ただ単に雑に作った感が否めない。原作愛すら感じられない典型的なクソキャラゲーである。
プレイした後にアニメを視聴すれば、「道に迷って闇に光うばわれそうになっても負けちゃいけない」というオープニングの2番の歌詞が心に染み入ることだろう。
余談
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ファミ通のクロスレビューでは5/3/5/3の合計16点という低評価を叩き出している。
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本作より少し早くゲームボーイで発売された『スーパービックリマン 伝説の石板』(1992年12月11日発売)なるゲームも、ファミ通クロスレビューで17点という本作に匹敵する低評価を残している。ゲーム版のスーパービックリマンは何かに呪われているのだろうか。
 
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雑誌「小学三年生」にて、当時スーパービックリマンの漫画版を手がけていた樫本学ヴが、このゲームを題材とした漫画を掲載していた。本作に参加しているキャラで鬼僧ダビデスだけは漫画版にも登場してないため、シルエットで「ダ○○ス」と呼ばれていた。
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このテの漫画やアニメタイアップクソゲー(ゲームだけで見れば大した問題がなくても原作再現不足でクソゲーと見れらたものも含む)で、そのような残念なデキになった原因が「原作のリアルタイム展開の終了が迫っている」ことから「それに間に合わそうとしてギリギリの体裁だけ整えて間に合わせた疑い」というのもあるあるだった。
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実際連載やアニメ放送終了後に作られたものを見てみると、そういったものは比較的少ない傾向にある。
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ただ本作の場合、アニメ終了まで2ヶ月半とそこまでキワキワに迫られていたわけでもなく、中身を見てもアスカやアムルがサイバーアップしていない頃がベースなので言い訳のしようがない手抜きに近い。
 
最終更新:2025年07月05日 12:38