ラブルートゼロ Kisskiss☆ラビリンス
【らぶるーとぜろ きすきすらびりんす】
| ジャンル | 乙女向け恋愛アドベンチャー |  
 
  
 | 
| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売元 | アスガルド | 
| 開発元 | ディンプル | 
| 発売日 | 2010年4月28日 | 
| 定価 | 通常版:6,800円 限定版:7,980円
 ※共に税別
 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 2010年クソゲーオブザイヤー据え置き機及び乙女ゲー部門次点 見えている地雷
 キャラクターに魅力なし
 あまりに薄いボリューム
 数世代以上に拙い戦闘シーン&システム
 この出来のために約一年の発売延期連発
 原作者がゲーム購入者に陳謝
 | 
| クソゲーオブザイヤー関連作品一覧 | 
 
概要
原作は無料の携帯コミック(書籍版もある)。5度も延期を繰り返し、当初の発売予定から1年以上経過しての発売となった。
いわゆる「乙女ゲー」であるが、発売前からクオリティの低さが話題に上り、見えている地雷とされていた。
乙女ゲーとは恋愛系ギャルゲーの逆の女の主人公による男キャラクターの攻略恋愛物であり、普通のギャルゲーと同様にクソゲー判定の基準は比較的緩い。
にもかかわらず、全てにおいて低レベルな出来で話題となった。
通称「ラブ√」「√」。
シナリオ
「校庭にあるモミノキの影がちょうど十字架にかかるとき告白すると、必ず上手くいくんだって…」
恋が叶うはずのその時、クラスメイトの和哉をふった八重子。
その瞬間、二人は異世界(ラビリンス)へ飛ばされた。
ふったばかりの和哉といきなりラビリンスで二人きり。
恋人・光一がいるのに、和哉を意識してしまう八重子…。
ラビリンスに飛ばされた主人公・八重子は、クラスメイトの和哉、恋人の光一と共にラビリンスを救う為、元の世界へ帰る為にゼロと呼ばれる謎の生物と戦うことに!
ラビリンスには不思議なアイテムがいっぱい。不思議な魔法で、時にはアブナイ恋愛イベントだって発生しちゃうことも…!
問題点
基本的に1日を3つに分け、朝と昼のパートで探索、夜のパートで相手となる男キャラとの会話するシステムだが…
- 
探索は完全に運任せ。ヒントなどもない。
- 
何が起こるか完全にランダムで、次の周への引継ぎ要素などもない。
- 
また、探索できる場所が少ない。
- 
アイテム探索については、実はゲームの進行に影響がない。
 
- 
まるで一夜漬けの突貫工事で作ったような、崩壊しきった戦闘システム。
- 
探索で闘うことになることがある「ゼロ」(敵モンスター)は1種類しか存在しない。
- 
グラフィックは黒蛇。一応パラメーターの違いはあるようだが、それが実感できないレベルで差が無い。
- 
描写そのものも一枚絵がひとつあるだけで変化なしという驚きの手抜き仕様。そのためすぐに飽きてしまう。
 
- 
ゲームバランス面も、本作は戦闘をメインにしたRPGではないという点を考慮してもひどい。
- 
序盤でもフル装備にすることが難しくなく、その状態になればダメージをカンスト状態で与えられる。
- 
装備がなくても終盤の敵ですら2ターンで倒せる有様。まともなバランス調整やデバッグすら行われていないのは明白。
- 
麻痺の状態異常があるはずなのだが、その存在が全く確認されていない。
 よって、「まもる」や「ひっさつわざ」のコマンドを使う必要がない。
- 
「ひっさつわざ」はダメージを受けてゲージを溜めないと使用できないが、故意に戦闘を長引かせでもしない限り使う機会はない。しかも、そこまでしても専用グラフィック1枚のみ。
 
- 
こんな有様にしてまで実装するくらいなら、いっそ完全に排除しアドベンチャー一筋で制作した方が遥かにマシなレベル。
 
- 
アドベンチャー部分のインターフェースも最悪の一言。
- 
遅いスキップ機能や選択飛ばし&クイックセーブ&タイトル戻り機能無し。とどめにメッセージ速度変更不可。…アドベンチャーゲームとしての基礎すら崩壊している。
- 
余計なタイミングでボイスが入るため、いちいち面倒。
- 
情報画面がほとんどのタイミングで見られない。
 
- 
グラフィックやシナリオのレベルも高いとは言えない。
- 
絵のレベルは、アマチュアの同人ゲームの類でなら悪くはないが、プロが手がける企業の商品としては厳しい水準。
- 
原作の作画担当者も、自身のサイトで「塗り忘れがある」「立ち絵の画面比率が狂っており、縦長になってしまっている」と指摘している。
 ゲーム版の作画は半分しかチェックできなかったらしい。とはいえ全ての責任は自分にあると謝罪しているが。
 
- 
キャラクターもシナリオもぶっちゃけありきたりで、これといった斬新さや作品特有の面白みに欠ける。台詞周りも陳腐なため、魅力や本作ならではの個性がほとんど感じられない。
- 
それだけならまだしも、整合性のおかしい部分が多すぎるためなおさら白ける。
- 
そもそも原作では複数のキャラクターの物語が同時進行するのである程度臨場感がある中読めるのだが、このゲームではルート攻略を狙ったキャラクターの物語しか確認出来ないので、ゲームが省かれたキャラクター分濃度の薄まった歯抜けになる、という点も問題。
 
- 
異世界に飛ばされた上に犠牲者なしでは怪物を根絶できないという絶望的な状況は、攻略対象キャラの1人である物理教師の「西岡輝政」が強引に解決させてしまう。
- 
異世界からの脱出方法は謎の数式で、怪物「ゼロ」を根絶する方法は謎の薬品であっさり解決。
- 
原作でも西岡が薬品で事態を解決するという展開だが、それだけであっさり解決した訳ではなく、他のキャラクター達の活躍あってこそ…という濃厚な展開になっている。このゲームのように彼一人の独壇場となり、「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」という有様になったりはしていない。
 
 
- 
好感度は攻略したい人物と一緒に行動するだけであっさりMAXになる。
- 
夜の会話パターンが乏しいため、あっさりと話題がなくなる。
 
評価点
- 
声優が豪華で女性人気の高い(当時の)若手声優が揃っており、演技面も相応にしっかりしている。
- 
ゲーム自体が悲惨なだけに、これぐらいしか評価しようがないという事実があるわけだが。
 
総評
ゲームとしてのほぼ全ての面で致命的な問題や悪質な手抜きが散見される、典型的なクソキャラゲーの1つ。
その中でも発売より遥か以前からクソさ加減を露にしまくっているという、悪い意味で新鮮な要素をも兼ね揃えている。
ゲームとしてのシステムが酷くても原作らしささえあれば…と逃げ込んでみても、人物的に薄っぺらい割にやたら超人的な活躍ばかり押し出すばかりなキャラクター、捻りの無い陳腐なシナリオ展開など、無惨に改悪されたストーリーやキャラクターへの肩透かしが待ち受けるという二重苦である。
筋金入りの原作ファンだったとしても、数少ない評価点である声優達の熱演や最低限のシナリオ大筋の為なら多くの問題点を受け流せる…という豪胆さがない限りオススメ出来ない。
余談
- 
やたらと延期を繰り返した。
- 
当初は2009年3月26日に発売日が決まったものの、その後5度も延期し、結局発売されたのは1年以上も後であった。
 
- 
前記のようにこのゲームは同名の携帯コミックが元となっているのだが、このゲーム発売後に原作者がゲーム購入者に陳謝するという珍事が発生している。
 謝罪文は以下の通り。
いろいろ、どうしてこうなった/(^o^)\
 という感じではありますがとにかく
 プレイをした方には申し訳ないです、本当に申し訳ありません…!
 
 
- 
原作者は家庭用ゲーム自体は色々遊んでおり後にモンハンシリーズなどの公式漫画の仕事を請け負うほどだが、本作についてはゲーム内容には関わることはなかったとのこと。
 
- 
クソゲーオブザイヤー(KOTY)において、据置と乙女ゲーの二部門で最終候補入りを果たした。
- 
ちなみに据置版KOTYでは乙女ゲーが最終候補になったのはおろか、話題となったこと自体が初めてである。
 
- 
初週売り上げは1,000本程度。その後も然程上乗せはないはずで、総計でも2,000本以下の売り上げと思われる。
- 
被害者が少ないという意味では、評価すべきポイントかもしれない。
- 
今となっては入手が困難であるが、それでプレミアがつくはずもなくただのクソゲーとして安価で売り出されるだけの存在である。
 
- 
なお、開発元のディンプルはこのゲームが発売された直後の2010年7月30日に突如廃業(その後破産)している。
- 
度重なる延期、ゲームの出来から「ゲーム開発している状況ではなかったのでは」との憶測もある。
- 
このゲームの売れ行きのせいで廃業したのかどうかは不明。
- 
2019年には発売元のアスガルドも解散した。(参考リンク)
 
最終更新:2024年04月08日 19:40