世界ふしぎ発見!DS 伝説のヒトシ君人形を探せ!
【せかいふしぎはっけんでぃーえす でんせつのひとしくんにんぎょうをさがせ】
ジャンル
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ふしぎ発見!アドベンチャー
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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DSカード
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発売元
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フリュー
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開発元
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デジタルウェア
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発売日
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2009年8月6日
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定価
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5,040円(税込)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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2009年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点
番組要素皆無 あまりに低質なイラスト 知育としてもかなり微妙
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TBSテレビ関連作品リンク
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クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
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概要
海外の歴史や文化を題材にした、長寿クイズ番組のひとつとして有名な『世界 ふしぎ発見!』のゲーム化作品。
通称「ふしぎ」。『ラストバレット』『さらば愛しき女よ』と立て続けにクソゲーを輩出したフリューがプレイヤーの金と時間をボッシュートすべく繰り出してきた第3の刺客。
ゲーム内容
世界を冒険し、「ふしぎ」を探し求める人物に与えられる称号「ミステリーハンター」。
プレイヤーは見習いミステリーハンターとなり、先輩の見習いミステリーハンター、サヤとともに、
世界に散らばる謎のどこかに隠されているという「伝説のヒトシ君人形」を見つけて正式なミステリーハンターとなるために旅立つ。
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カンボジア・アンコールワットを起点に世界の国々を回り、地元の民間人や歴史・伝説上の人物から話を聞いてストーリーを進める。
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場所移動、選択肢やミニゲームがしばしば挿入されるが、基本的にはAボタンやタッチで話を読み進める単純なノベル形式。
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世界の「ふしぎ」を7つ攻略すると、「伝説のヒトシ君人形」を見つけてエンディング。ミニゲームの成績によって金・銀・銅の3段階になり、エンディングもわずかに変わる。
問題点
原作から逸脱したゲーム内容
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上記から分かる通り、内容は元の番組からはかけ離れている。
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世界の歴史を教える子供向け教育ゲームに、無理矢理『ふしぎ発見』を当て込んだような内容。
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VTR中心の番組である『ふしぎ発見』をそのままゲーム化しても面白くなるかは微妙だろうとは思われるが、それにしても子供騙し感がひどい。
余りにも低品質なキャラクターグラフィック
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細かい濃淡(グラデーション)による立体表現を一切やっておらず、彩色が「ペイント」の塗りつぶし機能で塗ったようなベタ塗り。影がちょっと付いている程度。
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デッサンや老若男女の描き分けなど基礎部分はきちんとできており極端に画力が低いわけではないが、「作画工程の途中の段階で完成としてしまった」といった出来栄え。納期が足りなかったのだろうか?
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挙句指の位置がおかしかったり、塗り忘れがあったりと、致命的な作画ミスもある始末。
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背景は実写なので、質の低いイラストが余計に浮いてしまっている。
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タイトル画面の「おまけ」からイベントイラストを見返すことができるが、このような質のイラストを見返したいと思う人間がどれだけいることやら。
ストーリーや演出も基本的に稚拙
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主人公達の探検を邪魔する「ブラックミステリーハンター」という悪役組織が出てくるのだが、展開は「ブラックミステリーハンターの妨害に遭って撃退→遺跡の謎を解いてお宝ゲット」という陳腐な流ればかりで、意外性はおろか起伏にすら乏しい。
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唐突にクレオパトラやソクラテス、アヌビスといった歴史・神話上の人物が現れてガイドブックレベルの知識をのたまうのがお約束。
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会ったばかりの主人公たちに、自らの最期について世間話のように語るクレオパトラを見ているとなんとも言えない気持ちになる。
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既に色々と察せることではあるが、現地に行くどころかまともな取材をやって書かれた様子自体全くない。
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フルボイスではなくボイスは一部のパートボイスのみなのだが、ボイスの種類がとても少ないので、それを補うためにやたら同じセリフが出てくる。
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ある敵を追いかけるシーンでは、サヤが4~5回近く「待ちなさい!」を連呼することに…
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ギリシャ神話の王女「アリアドネ」を、「アドリアネ」と誤記する痛恨のミスも。しかも4回登場の内全てである。
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「伝説のヒトシ君人形」も、ストーリーを終えたら勝手に見つかりましたという様相で達成感は感じられない。
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上記の記述から分かるように
はっきり言って、このゲーム自体、そもそも『ふしぎ発見』でやる必要のあるゲームでは無い。
UIの質も低い
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文字早送りは可能だが、クイズの質問文までスキップされる。
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もちろんバックログ機能は無いので、下手にスキップ機能を使うと質問文を見損なう可能性が高い。
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また、ボイスや演出はスキップできない。
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文字早送り自体も、Rボタンを押しっぱなしにしていないと機能してくれないので使い辛い。
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クイズや選択肢は間違った選択をするとその項目が減ってもう一度選ばされるか、少し会話が変化するだけ。展開は一切変化しないし、ゲームオーバーもない。
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これはどうやらミニゲームの難度が変わる模様。全く意味がない訳ではないが、間違った選択を続けても、ゲームによって簡単になったり難しくなったりと一貫性がない。
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今までに見たストーリーを見返すことができないので、今までに得た世界遺産などの知識を再確認することができない。
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プレイヤーが持っている「ふしぎ辞典」に情報が掲載されてはいくが、簡潔にまとめられているだけなので使い勝手はよくない。
その他
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ミニゲームは単純なものが多く、関連性が感じられない(神経衰弱、パズル、間違い探しなど)。
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ミニゲームのクオリティも低く、3段階の難易度で問題は完全に固定されているためバリエーションは皆無。
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特にひどいのがラストの間違い探し。「正解の画面」を2秒ほど見た後「間違いの画面」から間違いを見つけ出すのだが、一切「正解の画面」に戻ることができないため、ファーストインプレッションで分からなければカンでしか答えられないという謎の仕様。
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主人公=プレイヤーの存在が薄すぎる。
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DS登録ネームで呼ばれるのだが、することは無意味な選択肢とミニゲームだけでグラフィックも独白も無くひたすら空気。
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クリアまでにかかる時間はたった3時間程度で、ボリュームも大変薄っぺらい。
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クリアすると、ギャラリーからパスワードが入力できるようになるのだが、入力してみても「ミニゲームの結果でエンディングが変わるよ!」だとか「キャラクターの○○の名前の由来は○○だよ!」等、どうでもいいヒントや小話が一言見られるだけ。隠し要素にする程大層なものではなく、ボリュームの水増しにしてもひどい。
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なお、パスワードは、ネット上やゲーム内のエンディングで公開されている(全4種)。
評価点
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『ふしぎ発見』のテーマ作曲をしている越部信義氏が関わっており、オープニング音楽や効果音(有名なボッシュート時の「チャラッチャラッチャーン♪ミヨヨヨーン」など)がちゃんと使われている。
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番組司会の草野仁氏やレギュラー解答者の黒柳徹子氏も、タイトルコールなどのナレーションとして参加している。
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黒柳氏は主人公たちをサポートする黒猫の声も担当しているが、出番が少なすぎてはっきり言って印象には残らない。
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書籍やネット等で調べれば良いレベルであるが、世界の史跡や神話に関する知識は若干ながらつく。
総評
元の番組の雰囲気はほとんど無くなり、ベタなキャラがありがちなドタバタ劇をやりながら世界遺産の紹介を繰り返すだけのヌルい教育ソフトになってしまっている。
恐らく、『ふしぎ発見』のメイン視聴者層であろう中年~高齢者も遊べ、子供用の知育ゲーとしても使えるようにと狙った結果なのであろう。
しかしそれにしてもあまりに内容が値段に見合っておらず、廉価ゲームどころか博物館の無料ビデオにも劣りかねない出来ではどうしようもない。
ストーリー、システム、グラフィック、ボリューム、どれを取っても「ライトユーザー(子供・中年~高齢者向け)」という免罪符に甘えたとしか思えず、評価できる要素は皆無に近いと言わざるを得ない。
余談
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公式サイトにある『スペシャル』の項目が未だに『COMING SOON』である。
このような状態からしてもメーカーにやる気が無いのも明白なのであった。
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ターゲット層にも売れなかったようで、売上は初週860本、総計2,000本ほどだったとされる。
最終更新:2024年06月10日 06:35