ハイパーデュエル
【はいぱーでゅえる】
| ジャンル | シューティング |  | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 販売・開発元 | テクノソフト | 
| 稼働開始日 | 1993年 | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
戦闘機形態とロボット形態が存在する自機を操作し、変形を駆使するシステムが特徴の横スクロールシューティング。
『サンダーフォース』等家庭用ハードをメインに活動していたテクノソフトがアーケード向けに開発した数少ないオリジナルタイトルの1つである。
ストーリー
月基地最下層より、統合宇宙軍の手で発見された“機械群” 
異文明より創造されたそれらは、人類の手により新型戦闘体として改良された。 
これらの兵器は、その高い殲滅能力から「バスターギア」という総称で呼ばれた。
それから1年間、この試作機「バスターギア」のテストは幾度となく繰り返された。 
そして、最終実験を目前に、試作機の開発に参加していた科学者の一人と、 数人のテロリストの手により0号機は強奪。
その姿を消してしまう…
莫大な力を秘めた新型戦闘体を奪還すべく、3機の「バスターギア」が飛び立った。
(サターン版マニュアルより)
システム
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即死制横STG。自機をノーマルタイプ・スピードタイプ・パワータイプの三機から選択できる。
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1レバー2ボタン。ファイター(戦闘機)形態でのショットとアーマー(ロボット)形態に変形してのショット2種類がある。
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ファイター形態は当り判定が小さく移動速度も速いが火力が低い欠点を持つ。
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アーマー形態は火力が高く、地形に接触してもミスにならないが当り判定が巨大化、ショットの制御も難しいと言う制限がある。
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二つのボタンを同時に押す事で強力なボマーショットを撃つ事ができる。
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ボマーショットは画面左下(2Pは右下)のゲージがある限り撃てる。時間経過、もしくはチャージアイテムで回復。
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アイテムはパワーアップ・ボマーショットのチャージ・オプションの三種類が登場。
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オプションはトレーサー(戦闘機型)とガンナー(ロボット型)の二種類。トレーサーは自動でショットを撃ちながら動き回り、ガンナーは敵を捕捉してショットを撃つ。
 
 
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エクステンドは50万と150万、そして5面でチャンスがある。
自機詳細
    
    
        | + | パイロットと各機体の詳細 | 
シュツルム・フォーゲル
パイロット:キース・スペイダー年齢:24歳
 生年月日:ED15年2月14日
 血液型:A型
 
 実戦経験は少ないものの、その奇抜な戦闘スタイルと冷静な判断力を見込まれ、今回の任務に抜擢された。
 秘められた潜在能力は未知数である。
 
 
青い機体。平均的な性能でボマーショットが両形態ともワイドショットで使いやすい。扱いやすいタイプなので初心者はまずこれを使うべきか。
 
ハイ・ムスタング
パイロット:リサ・ローランド年齢:21歳
 生年月日:ED18年8月17日
 血液型:B型
 
 その物静かな性格から、同兵士達との付き合いに戸惑いを感じている。
 故にバスターギアのコクピットで自らの存在価値を見出そうと、今回の任務に志願した。
 
 
赤い機体。スピードタイプでボマーショットは敵を貫通するレーザーが特徴。ファイター形態の物は全方位に照射するため、後ろからの敵にも対応出来るのが強み。ただし火力が低いため後半で押されやすく、ミスから復帰直後のリカバリーが厳しい。
 
ファランクス・スマッシャー
パイロット:Dr.ブローディン・ロイド年齢:45歳
 生年月日:AD2071年4月26日
 血液型:AB型
 
 高齢とはいえ、幾多の戦闘を生き延びてきた実力は本物である。
 その荒々しい戦いぶりは同兵士達の憧れとなっている。彼は死に場所を求めているのか…
 
 
白い機体。パワータイプで扱いには熟練を要する上級者向け機体。アーマー形態のショットの射程が短すぎると言う特徴がある。ボマーショットの威力は高いが発生が遅く、使う時には前もって決め撃ちをしておく必要も出てくる。
 しかし「一瞬だけボマーショットを放つ」テクニックを使いこなせれば、クリアがある程度は容易になる。
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評価点
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綿密に書き込まれた90年代初頭のロボデザイン。背景も標準以上であらゆる部分が美しい。
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この時代のSFデザインは『マッドストーカー』に通じる物がある。
 
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ゲームバランスが優秀。簡単・難しい局面が要所要所にあり、メリハリが取れている。ショットの使い分けを必要とされるステージ構成は基本ではあるが大事な要素。
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基本はファイター形態で進み、硬い敵やボス戦で打ち込む時などはアーマー形態を主体に戦うのが基礎的な立ち回りとなる。
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同社の『サンダーフォース』で見られた露骨な初見殺しは抑えられており、後述の例外はあるが理不尽度は比較的少な目。
 後ろから敵が出現する場面では事前に警告が表示される配慮がなされている。
 
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レバーをニュートラル(操作しない状態)にする事でモリモリスコアが貯まっていく熱い仕様も搭載。
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ロード場面が無く、スコア集計中にシームレスにマップが切り替わるためテンポが良い。
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道中で戦ったボスが最終面で味方として登場。その終盤で捕獲・改造されラスボスになる演出は色々と想像をめぐらせる事ができる良演出。
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また、4面のコロニー突入から内部での戦闘→ボス前にコロニーが攻撃を受けた直後にボス戦→5面で落下するコロニーを背景に大気圏突入→6面背景で落ちたコロニーが地表に突き刺さっていると言った一連の演出は見事。
 
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ミュージックコンポーサー九十九百太郎氏のBGM。本作が氏のデビュー作となった。
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特に人気が高いのは4面の曲「COSMO BABYLON」で、コロニーへ突入、内部での戦闘を熱く盛り上げる良曲。ステージ演出もあってか、印象に残りやすい。
 また、ボス毎にBGMが用意されているのも評価点。
 ラスボス戦の曲「HYPER DUEL」は前述の演出を経て地球をバックに戦うシーンが敵の激しい攻撃も相まってか、非常に熱い。
 無論、それ以外の曲もステージに合った良曲揃いである。
 
問題点
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熱い展開が多い一方でストーリー描写が全く存在しない為、何故そのような展開になったのか分かりづらい所も。
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サターン版では後付(?)でストーリーが付いたため、そこからある程度の推測は出来なくもないが、ステージの流れを見ても「何故その展開になったのか」はやはり分かりづらい。
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後述のサターンモードではラスボス撃破後のデモが何故かカットされている。どうせなのだから、ストーリーの真相や敵とは結局なんだったのかと言う説明が簡単に欲しかったところ。
 
 
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プレイヤーセレクト画面のグラフィックが古臭く、アメコミ調のキャラデザインも賛否両論。
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オプションのトレーサーの存在意義が薄い。3発喰らうと撃破され、ショットを垂れ流しつつフラフラ動くため、ガンナーと比べると見劣りする。
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ある程度はパターン化すれば抜けられる所は多いものの、6面とラスボス最終形態はアドリブ力が求められる。
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ゲームに慣れた中級者が壁となるのはおそらく6面全体。道中、しっかりした位置取りと厄介な弾を撃つザコの対応が出来なければ抜ける事は困難。
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そしてラスボス戦は更に熾烈を極める。
 吸い込みから曲がる小型レーザーや、炸裂弾を広範囲に放つビットを切り抜けた後の最終形態は極太レーザー+曲がる小型レーザーの嵐(そしてたまに飛んでくるミサイル)。
 特に小型レーザーはどこに曲がるか分からないランダム性もあるため、非常に厄介。
 レーザーの嵐を回避しようとしたら狙っていたかのように極太レーザーに焼き払われた、なんてケースも…。
 
 
総評
荒削りな部分はあるが、ある程度まとまったゲームバランスに演出と良曲も合わさった良作。
システムに慣れるまでが少々手間取るかもしれないが、難易度は決して高くない。
もしプレイする機会があれば、是非ともやってみてほしい。
移植
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セガサターン版(1996年11月22日発売、テクノソフト)
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アーケード版を忠実に移植したアーケードモードのほか、アレンジされたサターンモードが追加。
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グラフィックが一新、特にキャラはアーケード版とはほぼ別人にしか見えなくなっているほど変わった。BGMもすべてアレンジされている。
 
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これが唯一の移植であったが、格闘ゲームブームの影響で隠れてしまったため、プレミア価格がつけられている。
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サターンモードではファイター形態、アーマー形態のショットボタンの他にアーマー形態時の主砲の角度を固定してくれるボタンが実装。
 
余談
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アーケード版とサターン版とで曲名が一部異なっている(曲自体は同じ)。
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例えば4面ボス曲がアーケード版では「PHALANX SMASHER」だがサターン版では「BLACK ANGEL」になっているなど。
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サントラではサターン版の曲名で統一されている。
 
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5面の大気圏突入ステージで一切敵を破壊しないと、6面の曲が『サンダーフォースIII』の曲に変わる。
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もっとも、この行為をするとエクステンドも出来ないため、縛りプレイに近い物がある。そもそも自動で攻撃をするオプションが4ボス戦から残っていると、この条件を満たす事が根本的に不可能となるが…。
 
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STEAMで販売されているインディーズゲームの『デビルエンジン』のサントラに本作の「COSMO BABYLON」がオマケのアレンジ曲として収録されている。これはおそらく『デビルエンジン』の作曲に九十九百太郎氏が参加している繋がりと思われる。
最終更新:2024年08月24日 17:50