サンダーフォースIII
【さんだーふぉーすすりー】
ストーリー
銀河暦890年。100年にわたるオーン帝国との戦いで衰退した銀河連邦は、状況を打破するためにオーン帝星の攻略を図り、機動艦隊を派遣する。
しかし、オーン帝星は5つの惑星に点在する亜空間転移システムと無人防衛システム「ケルベロス」に守られており、ケルベロスの迎撃によって連邦艦隊は壊滅させられてしまった。
連邦は対抗策として、総力をあげケルベロスが反応しないほど小型でありながら大型艦に匹敵する攻撃力を備えた高機動戦闘機「FIRE LEO-03 "STYX"」を開発。
STYXがオーン帝国に立ち向かう。
概要
『サンダーフォース』シリーズ第3作目。シリーズとしては初めて家庭用ゲーム機向けに一から開発された作品である。
前作『II』ではトップビュー面とサイドビュー面を交互にプレイする内容だったが、本作からサイドビュー固定の完全な横スクロールSTGとなった。
システムもより洗練され、新要素も多数追加。後のシリーズの基盤を作った。
システム
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全8ステージ。そのうち、前半のステージ1~5に関しては、開始ステージを任意で選択可能。例えばステージ4から始めた場合、「4→5→1→2→3」とプレイしていくことになる。
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難易度はNORMAL、HARD、MANIAの3段階。
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NORMALに限り、ミスした際のペナルティが「その時点で装備していた武器とクローを没収」に軽減される。HARD以上だと、前作同様に標準装備以外のすべての装備を失う。
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自機のスピードを任意で4段階に変更可能となった。ゲーム開始時の初速はオプションで変更可能。
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一定時間自機が無敵になる「ブレイカー」にかわり、一定回数攻撃を防ぐ「シールド」が登場した。
装備
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武器は全5(+2)種類。武器アイテムを取得するごとに装備が増え、武器切り替えボタンで変更可能。前作の6(+2)種類から数が減少しているが、そのぶんバランスは洗練されている。
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TWIN SHOT(ツインショット): 攻撃力4(弾1発につき)。標準装備。前方へ並列同時発射する。
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SEVER(セーバー): 攻撃力16。アイテムを取るとこちらにパワーアップ。前方へ2段交互に強力なレーザーを放つ。
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BACK FIRE(バックファイヤー): 攻撃力4。標準装備。前方と後方へショットを撃つ。
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LANCER(ランサー): 攻撃力6。アイテムを取るとこちらにパワーアップ。強化高速弾を前方へ1発・後方へ2発放つ。
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WAVE(ウェーブ): 攻撃力4。判定の広い三日月状の超音波を前方へ放つ。ショットは地形を透過するが敵は貫通しない。メインショットは何かにヒットすると小型の超音波になり逸れる様に飛ぶ。
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FIRE(ファイヤー): 攻撃力ミサイル12、前方ショット4、クロー装着時の短射程ショット4。前方へ単発ショット、上下へ地形を這うミサイル、クローから短射程ショットを前後に展開。
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HUNTER(ハンター): 攻撃力2。高速追尾弾を発射。地形も貫通するが、威力は全武器の中で最も低い。
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その他の装備
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CLAW(クロー): 前作から登場の補助装備。自機の周囲を回転しながら補助攻撃を行い、敵弾も防ぐ。本作からアイテムを1回取れば自動で2つ装備されるようになったほか、クローから放たれる補助攻撃が装備している武器に応じて変化するようになった。なお、前作で存在したクローを一定時間高速回転させる「ROLL(ロール)」は廃止された。
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SHIELD(シールド): 敵の攻撃や地形との接触を三回まで防いでくれる。通常は青いが、耐久力が残り1になると赤くなる。
評価点
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優れたゲームバランス。シリーズ内で最良だとするファンも多い。
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高難易度ながらパターン性が強く、繰り返しプレイで難所への対処法を覚えていけば確実に突破できる作り。初見殺しが多く、一見すると理不尽にも思えるが、攻略法さえつかめば初期装備状態であっても、ギリギリで切り抜けられる絶妙な調整となっている。
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開始ステージの選択が可能になったことで、自分なりの進め方を決められるようになり、攻略の幅が広がった。
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各武器の使いどころがハッキリしており、それぞれに活躍できる場面がしっかり用意されている。地形を貫通し前方への攻撃範囲と攻撃力を両立したWAVE、同様に地形を貫通する高性能誘導弾のHUNTERがやや他より優れる感はあるが、それぞれ後方に攻撃できない事や低威力といった欠点もあるため、他の武器を食ってしまうほどの強さにはなっていない。
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多彩なステージ構成。浮力で自機が押し上げられたり、地形が突然せり上がってくる等、各ステージに特徴的なギミックが用意されている。
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前作から向上したグラフィック。多関節によりグリグリ動く巨大なボスキャラ、ラスタースクロールや多重スクロールを用いた美しい背景は当時高く評価された。
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各ステージ開始時にレーダー画面が挿入され、ボスのシルエットや弱点が表示されるという、本作ならではの演出もある。
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メロディアスでノリの良い名曲揃いのBGM。一部のステージではBGMと展開のシンクロも図られており、ゲームを盛り上げてくれる。
問題点
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前述のとおり初見殺し満載で、知らないうちはなすすべもなくやられてしまうことが少なくない。突然火柱が吹き上がるステージ2や、前述した地形のせり上がりが存在するステージ4はとくに凶悪。
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シールドアイテムの出現数が、ゲームを通してわずか3個と少なめ。おまけに出現箇所がステージ2・3・4と前半に固まっており、後半のステージ6以降はいっさい出現しないというシビアさで、被弾への保険としてはあまりにも心もとない。
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その一方で1UPアイテムが大量に出てくる他、スコアエクステンドの頻度も高いので、残機がかなりの勢いで増えていく。たとえシールドがなくなってもゴリ押しが通用するのは救い。
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後述するアーケード移植版ではこのあたりのバランスが改善され、シールドの出現数が増えている。
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アイテム初取得時にMDおなじみ、ノイズ混じりのボイスでアイテム名が発声されるのだが、そのたびにBGMが一時中断されてしまい、名曲をだいなしにしている。
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後述のアーケードやセガサターン等の移植版では解消されるのだが、こちら側ではBGMの中断と引き替えに2面中盤の演出が消滅してしまっているのが悔やまれる。
総評
シリーズの特色であった全方位スクロール型トップビューSTGとしての要素を完全に排除する、という大胆な決断の下に生まれた本作。まさにシリーズの根幹を揺るがす事態であり、実際トップビューを廃したことについて不満を述べるファンもいたものの、ゲーム内容的には横スクロールSTGとしてしっかりと作りこまれており、結果的には大多数のプレイヤーから好評をもって迎えられた。
覚えゲーゆえに好みがわかれる面もあるだろうが、パターン学習型のSTGとしては、間違いなく上質な一本である。
余談
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2P側にコントローラーを接続すると、二人で操作を分担できる裏技が存在する(1P側が移動と攻撃を、2P側がスピードチェンジと武器切り替えを担当)。変則的な仕様とはいえ、二人同時プレイに対応しているのはシリーズ中、本作だけである。
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前作『II』と本作を手がけたスタッフの一部は、このあとハドソンへ移籍。PCエンジン版サンダーフォースとでもいうべき内容の『ゲート・オブ・サンダー』や、ファンタジーな世界観が魅力の『ウィンズ・オブ・サンダー』といった横STGを手がけている。
移植
本作はアレンジ移植も含め、様々な機種へ移植されている…のだが、そのほとんどが微妙な出来で、移植に恵まれているとはいいがたい。
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本作発売から数か月後、アーケードへの逆移植として『サンダーフォースAC』が発売された。当時、家庭用作品がアーケードへ移植されるというのはかなり珍しい事例であった。
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ゲーム内容はメガドライブ版をベースにステージセレクトを排除し、ステージ4と5をオリジナルのものに差し替えたアレンジ移植版である。画面レイアウトもスコア表示が画面下部になっていたり、グラフィック面で一部改良箇所があったりと細かな差違がある。
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基本的には家庭用とあまり変わらない内容であり、メガドライブ版を攻略していればクリアは容易なバランス調整であり、新規・ファン双方からあまりかわりばえしないと受けが悪かった。また、評価の高かったBGMも、メガドライブも業務用基板もほぼ同一音源でありながら、なぜか演奏にアレンジがおこなわれていた。
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1991年には前述の『AC』をSFCへ移植した『サンダースピリッツ』も発売された。しかしハードの性能差から、一部で激しく処理落ちする箇所があったり、BGMのクオリティが劣化しているなど、全体的に評価は悪かった。
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1996年発売のセガサターン用ソフト『サンダーフォース ゴールドパック1』では、『サンダーフォースII MD』とのカップリング移植となっている。
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難易度を緩和するキッズモードの追加で遊びやすくはなっているが、肝心の再現度はいまひとつといったところ。
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2016年発売のニンテンドー3DS用ソフト『セガ3D 復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』に本作が収録されている。
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レトロゲーム移植に定評のあるM2が手がけたこともあり、再現度は良好。
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また、『GP1』同様のキッズモードが搭載されているほか、立体視対応や海外版への切替など、追加要素も豊富。
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ちなみに海外版はボスの耐久力が低くなっており、若干難易度が下がっている。
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2019年発売のメガドライブミニにも収録されている。
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3DS版と同じくM2が移植を担当。本体の言語設定によって海外版への切り替えも可能。
最終更新:2021年02月28日 18:16