鉄拳6
【てっけん しっくす】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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アーケード(SYSTEM357) Xbox360 プレイステーション3 プレイステーション・ポータブル
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開発・販売元
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バンダイナムコゲームス
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稼働開始日
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2007年11月26日
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発売日
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【360/PS3】2009年10月29日 【PSP】2010年1月14日
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定価
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【360/PS3】8,379円 【PSP】UMD版:6,279円/DL版:5,700円
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判定
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良作
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鉄拳シリーズリンク
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概要
シリーズ最大の登場キャラ数。お祭り作品という観点では『鉄拳タッグトーナメント』以来の規模を持つ。アーケード版は、ネットワーク対戦未対応では最後のシリーズ。
ストーリー
第5回大会で優勝し、三島財閥を手中に収めた風間仁。
彼はその力を駆使して世界中に内政干渉等の工作を行い、さらに資源の掌握やコロニーのジャック、情報通信統制などを行って
世界各地で紛争を引き起こす。
その上、三島財閥として独立宣言を行い、全世界に宣戦布告。
平和だった世界は、わずか数か月のうちに戦火に包まれることとなった。
前大会中、自分を裏切ったG社幹部を抹殺することで実質的にG社を支配下に置いた仁の父、三島一八。
自分以外の者が支配する世界など彼が認めるはずもなく、一八はG社の戦力を率いて三島財閥に抗戦する。
彼の思惑など知る由もないまま、世論はG社と一八を救世主として崇め、熱狂的に支持するようになった。
一八は世論を利用し、G社支持の声が一定以上に高まったところで、風間仁の首に膨大な懸賞金を設定。
しかし、仁はこれを待っていたかのように、自分の首を餌として第6回大会の開催を発表した。
大会の最中、三島財閥の私設部隊「鉄拳衆」の将校で、平八の隠し子(一八の異母兄弟)ラース・アレクサンダーソンは、
鉄拳衆の兵士を引き抜いて反乱軍を結成、仁を倒すべく動き出す…。
バージョン
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鉄拳6(無印)
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新キャラが4人登場し、そのうちの一人「ボブ」の性能が大分壊れていたためバランスが崩れていた。キャラランクとしてはボブの上に「三島一八」と「デビル仁」が居たが、ボブは気軽に振っていける技が多いのでお手軽強キャラとして猛威を振るった。
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鉄拳6 BLOODLINE REBELLION
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上記の調整版。新キャラを2人追加。全体的なコンボダメージが抑えられたためマイルドなバランスに落ち着いた。家庭用は『鉄拳6』とサブタイトルが付いていないが、ゲームの内容としてはこちらを移植している。
キャラクター
無印は合計39名+CPU専用2名で合計41名(プレイヤーキャラ総数実質38名)。
『BR』は2名が追加され合計43名(プレイヤーキャラ総数実質40名)。
『2』以来の伝統であったタイムリリース解放は廃止されている。
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ボスキャラクター(CPU専用)
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NANCY-MI847J
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三島重工製の巨大兵器。CPUの仁との戦闘前に戦う中ボスキャラクター(というよりボーナスステージ)。
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巨大すぎるためダウンを奪ったり浮かせることができず(いわゆるハイパーアーマー)、投げも無効。鈍重な動作だが、体力は高く、ガード不能の飛び道具やビームで落とし穴を作るなどの厄介な武器を持つ。
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格闘ゲームの範疇からあまりにもかけ離れているため対戦では使えず、家庭用のシナリオキャンペーンでのみ操作可能。
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アザゼル
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封印されていた太古の邪神。デビルや闘神(オーガ)などの邪悪な意志を生み出した全ての元凶。一八と仁の衝突により復活の兆しを見せた。
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人類を抹殺し混沌とした世界を作り上げようとしており、人類の憎しみや怒りなどの負の感情をエネルギー源とする。世界各地で発生した戦争の混乱によって溢れた負の感情を糧に実体化を遂げるが、このときが物理的な攻撃の通用する(完全に滅ぼし得る)唯一のチャンスである。
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クマをも上回る超巨体で、それゆえに専用のコンボも存在するが、高い体力や投げ無効、設定を反映した歴代ラスボスの技の使用などのCPU専用調整が施されたキャラクター。
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『BR』の追加キャラクター
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ラース・アレクサンダーソン
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本作より新登場。若くして鉄拳衆の将校となり、部下からの信頼も厚い青年。平八がスウェーデン人女性との間に儲けた隠し子で、一八の腹違いの弟、仁の叔父となる。仁の引き起こした戦争に疑問を抱き、部下を引き抜いてクーデターを引き起こす。
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公式プロフィールに格闘スタイルが掲載されておらず、後の『タッグトーナメント2』では「空手」、『7』では「鉄拳衆特殊部隊格闘術」とされている。三島の血を引くが三島流喧嘩空手は使えず、素直な挙動を持つ初心者向けキャラクターとされる。
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アリサ・ボスコノビッチ
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三島財閥の兵器開発の重要施設であるボスコノビッチ研究所の最深部で眠っていた謎の少女。名前からしてDr.ボスコノビッチの血縁者だと思われていたが、その正体は様々な戦闘用アンドロイド。
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本作のシナリオキャンペーンや後のCG映画などにも主役キャラとして登場、シャオユウと並ぶシリーズを代表するヒロインとして扱われている。
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ラースと同様、本作の公式プロフィールには格闘スタイルが表記されていない(『7』では「スラスターを利用した高機動戦闘」と表記)。各部から展開される推進装置により、重力に逆らったトリッキーかつ素早い攻撃を行える、独特の動きを見せるキャラクター。
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追加システム
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レイジシステム
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一定体力値を切ると特殊な効果音とともにそのキャラクターが手足にオーラをまとい、そのラウンドが終了するまで全ての攻撃ダメージの威力が割合で上昇するシステム。これにより、窮地からでも一気に試合の状況をひっくり返せる可能性が高くなった。
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ホーミングアタック
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一部の回転系の打撃技に適用されたシステムで、相手が時計回り・反時計回りのどちらに避けようとしてもヒットする属性。今までも相手の横移動に対して当たりやすい技は存在していたが、システムとして明確化をした。
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バウンドコンボ
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空中にいる相手に特定の叩きつけ系の打撃技を当てると、「バウンド」状態となりさらなる追撃が可能になるシステム。通常は宙の相手に攻撃を当て続けると距離が離れていってしまうが、バウンド中に距離を詰めてさらに攻撃を続けることができる。ただし、バウンドを誘発できるのはコンボ中1回のみで、2回も3回もバウンドが続けて誘発されることはない。下段裁きからの崩れコンボや壁コンボにも組み込むことができる。このシステムによりコンボが長くなり、ダメージ、運び距離が長大になった。
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アイテム技
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前作ではキャラクターカスタマイズをしても変更されるのはグラフィックのみで、キャラクター性能面までの変化は無かったが、本作では一部のアイテムを装着させることによって特殊な技が使用できるようになる。基本的には隙が大きいのでネタの範疇は出ず、実戦で使えそうなものもダメージ自体は少ない。
(wikiより抜粋、追記)
以下バージョンアップ版の『鉄拳6BR』として記述する。
評価点
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華麗なグラフィック
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本作の3Dグラフィックはリアルかつ非常に美しい。
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もちろんキャラクター達の動きもなめらかで豪快。爽快感を演出するのにも一役かっている。
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キャラクター数
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40名というキャラクターが参戦。
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一人一人個性豊かな動きをする。立ち回りやコンボもキャラクターによってさまざま。
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対戦バランス
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40名と大所帯でさらに全員個性的。にもかかわらずバランスはかなりの水準を保っている。
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『闘劇'10』に最弱ランクの吉光や熊(パンダ)が出場しているあたり、それを物語っている。
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一部のバランスブレイカー
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例として、強キャラ筆頭スティーブは「クイック」のおかげで圧倒的な防御を持ち、火力も高いために稼働当初から最強キャラと言われている。性能の良い技がワンコマンドで出ることが問題だった。
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キャラクター間の相性もあがる。ドラグノフというキャラを例にあげると、このキャラクターは打点の高い中段が多く、そのため姿勢の低くなる構えを多用するシャオユウには不利と言われている。逆に性能の良い小技を多く持つボブはかなりの数のキャラクターに有利である。
賛否両論点
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コンボに偏重したゲーム性
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本作で追加されたバウンドシステムにより、如何にしてコンボを繋げることが重要となった。
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前述の通り大ダメージを叩き出すチャンスのため「それを如何に決めるか・避けるか」という駆け引きのアクセントにもなっているのだが、ある程度のコンボを知っていないと厳しいバランスとなり、上級者と初心者の差がかえって大きくなった。
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また、単純にコンボが長くなった為に、一度喰らうと起き上がる事すらできなくなるといったケースも散見される。
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キャラクターの多様性
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今作以降から格闘技からかけ離れた動きを取るキャラクターが目立ってきている。
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格闘ゲームなのに武器持ちのキャラがいたり、熊が格闘技大会に出場したり、人間が悪魔に変身してビームを放ったり、ロボットが空飛んだり、果ては完全に人間離れした異形の怪物が出てくるなど、初期の頃から現実離れしたキャラやイロモノ系統の濃いキャラクターを前面に出していたシリーズではあるが、まだ格闘技らしいアクション性の範疇に収まっておりそれなりにバランスはとられていた。
問題点
一部の性能がうっとうしいキャラクター
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よく名があがるのはエディ、クリスティのカポエラ使い2人。
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ただでさえシリーズのハードルとなっている「技中での中段と下段の入れ替わり」が激しく、把握していないとガードが困難。このためによく「分からん殺し」と呼ばれる。
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更にリーチが長いため迂闊に攻める事ができず、中段や下段を主体とする技が多いために攻撃の選択肢も狭められる。
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なお、2人は所謂コンパチキャラだが、若干エディの方がリーチが長い。
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鬱陶しいと言われるのはあくまでキャラ性能であり、キャラクター自体にはファンも少なくないため、当然これらのキャラクターをキャラ愛で使っている者も多い。
しかしながら、前作のリリかそれ以上に、シリーズとしてはあまりにもヒロイック・ファンタジー過ぎる見た目や技故に、やや風当たりが強いのが現状である。
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もちろん好みで使っているユーザーもおり、好きなキャラクターを使っただけなのに対戦相手からうっとうしがられるのはあまりにも気の毒である。プレイヤー同士の対戦である以上、どんなにキャラクターがうっとうしく感じたとしても、どんなキャラでも愛好する人は多かれ少なかれいることを理解し、露骨な態度に出さないようにすることも相手への配慮として必要であることは弁えるべきだろう。
TEKKEN-NETに対する批判
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カスタマイズ用のアイテムが高額(ゲーム内通貨)。
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ファイトマネーでの獲得金に対して、キャラクターカスタマイズ用のアイテムの値段が50万Gと高額。しかも色の変更ができないため、色違いアイテムそれぞれ別途購入する必要がある。デフォルトコスチュームのカラーチェンジは80000Gと比較的安い。
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稼動からしばらくの間はアイテムが小出しにされるため、満足にカスタマイズできない。しかも出る間隔が隔週。
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TEKKENNETの機能が不便
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「キャラクター別勝敗データ」がCPU戦と対人戦のデータを合わせたものしか表示されないため、対戦における苦手キャラの傾向を知るのにあまり役に立たない。
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問題なのは、これらのコンテンツが全て有料であること。月額315円とはいえ、同程度の『バーチャファイター5』などと比べ、内容があまりにお粗末(ネットワークを通じてカスタマイズアイテムなどを追加する技術の特許権をセガが持っている、という事情もあるのだが)。また、最近は更新されたと思ったらなにかと「新規入会キャンペーン」を行うなど、バンダイナムコゲームス特有の商法の影が見え隠れする。
『鉄拳』史上最低と呼ばれる家庭用
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家庭用の目玉である「シナリオキャンペーンモード」だが、はっきり言って駄作であり多くのユーザーから不評を買った。
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一般的な3Dアクションを2D格闘ゲームのシステムでプレイさせられるため操作性が悪い。過去の『TEKKEN FORCE』などと違って落ちている武器を拾って攻撃できるなど、完全に格闘ゲームである事を見失っている。
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ストーリーに関しても、主人公となるラースとアリサ、その関係者となるキャラばかりが目立つなど不満点が多い。
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本作では対戦で獲得できるファイトマネーが少なく、その補填と言わんばかりにこのモードのファイトマネー獲得量が多くなっている。この為ファイトマネーに困った挙句出来の悪い本モードをプレイせざるを得ず、結果として無理矢理やらされるという感までもを助長させている。
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キャラクターのエンディングムービーに使い回しが多い。
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また、内容そのものも短かったり、前作と比べると展開に捻りがない、またアーケード版などの公式サイトで公開されていたキャラクター別ストーリーをまったく補完していない、まったく違うデザインの制服を着た風間 飛鳥とリン・シャオユウが同じ学校に通っていることになっているなど設定に矛盾があったりと、全体的に劣化している。
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オフラインで対戦する際、なぜか2P側にカスタマイズが反映されない。
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プラクティス関連の不備
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コマンドキャプチャーがないほか、サンプルコンボのコマンドが表示記載されない、コマンド表を画面に表示したまま練習する際、表示するコマンドを変更するにはいちいちポーズメニューを開きなおさなければならないなど、全体的に前作よりも劣化。
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PSP版のプラクティスでは壁あり、壁なし3D空間の2つのステージしか選べず床破壊、壁破壊コンボができない。
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発売がアーケード版稼働から約1年半後。
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そもそも『鉄拳6』自体はPS3発売前から発表されていた上、アーケード版の無印稼動当初は「前作(『鉄拳5DR』)のようなバージョンアップ版は出さない(出す予定はない)」「家庭用はアーケード版稼動から1年後を目安としている」といった発言があったにもかかわらず、その後の情報は一切無し。そのまま『鉄拳6BR』が発表され、さらに家庭用の発売時期がそれからほぼ1年後と発表され、また広報担当の「びっくりしたでしょ(笑)」という発言(実際には、その時に同時に発表されたXbox360とマルチプラットフォームに対する発言ではあるが)がユーザーの感情を逆撫でし、多くのユーザーからは怒りの声が上がるなど、家庭用発売までも波乱に満ちた展開だった。
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そしてAC版の稼働から1年半も経っていたにもかかわらず、上記のように不備が多い。
総評
コンボを重視し過ぎた新システムは賛否あるものの、シリーズ本来の魅力である爽快感を活かす要素としては良い。
問題点にいくつかのキャラクター事情をあげたが、それでもこのゲームのバランスは格闘ゲーム屈指のものである。厳しいもののほぼ詰みといった相性もなく、強キャラにはきちんと弱点が、弱キャラにも光る個性や長所がある。
ゲームそのものはきちんと正統進化していると言えるだろう。