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スラップファイト
【すらっぷふぁいと】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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アーケード
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発売元
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タイトー
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開発元
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東亜プラン
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稼動開始日
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1986年
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判定
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なし
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ポイント
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『グラディウス』のパワーアップ方式を採用した縦シューティング 東亜プラン製にしては比較的大人しい難易度
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東亜プランSTGシリーズ
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概要
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1986年にタイトー発売・東亜プラン開発でアーケードリリースされた縦スクロールシューティング。同社の縦シューティングとしては『タイガーヘリ』に次ぐ作品でもある。
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一人~二人交互プレイ可能。ボス戦はあるもののステージクリアの概念はなく、シームレスでステージが続けられる。周回プレイあり。
ストーリー
はるか数千年前、科学の限界に挑戦すべく産声を上げた人工頭脳「ガウディー」。そして、その巨大な魔手は
30万光年の空間を越えて地球まで伸びてきた。
宇宙の平和を守るため超光速戦闘機「レオパルド」に1人の戦士が乗り込みへルスト星へと向かった。
想像を絶するガウディーとの壮絶な戦いが、今まさに展開されようとしている。
(出典:AC版『スラップファイト』フライヤー記載のストーリーより)
主なルール
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操作系統。
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本作はレバーと2ボタン(ショット・パワーアップ)を使用する。
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レバーにて自機の八方向移動。
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ショットボタンでメインショット・及びサイドショットを同時に放つ。
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パワーアップボタンでパワーアップ効果(下記)。
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パワーアップゲージについて。
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本作は『グラディウス』(コナミ)などで知られる、いわゆる「ゲージストック制によるマニュアル型のパワーアップ方式」を採用している。
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敵を破壊すると定期的に出現する「☆アイテム」を入手すると、画面下に表示されたゲージの一番左状態(SPEED)にランプが付く。
☆アイテムを連続入手すれば、その度にランプの位置が一段階右へと移動する。ランプが一番右状態(SHIELD)で☆アイテムを取ると、ゲージの一番左状態(SPEED)に戻ってしまう。
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パワーアップボタンを押せば、付いているランプに応じたパワーアップ効果を得る事ができる。但し、既にパワーアップ効果を得ているゲージは空欄となり、ボタンを押しても何の効果もない。
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パワーアップゲージの内容は以下の通り。
⇒ この順番にランプが付く
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SPEED
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SHOT
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SIDE
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WING
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BOMB
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LASER
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H.MIS
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SHIELD
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各パワーアップの説明。
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メインショット関係(これらのパワーアップは併用不可)。
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「SHOT(ショット)」…自機前方に直進ショットを放つ。射程制限があるものの連射可能。ゲーム開始時(ミス後の復活時)の初期ショットでもある。
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「BOMB(ボムショット)」…自機正面に爆風ショットを放つ。攻撃判定は大きいが、射程制限がある上に連射もできない。
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「LASER(レーザー)」…自機前方にレーザーを放つ。ほぼすべての敵に対して貫通性能を持ち、ショットボタン押しっぱなしで画面上までレーザーが届く。
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「H.MIS(ホーミングミサイル)」…自機周囲16方向にホーミングミサイルを放つ。連射が非常に効きにくいが、利便性という意味では一番の性能。
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「SPEED(スピードアップ)」
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最大で5段階までのスピードアップ効果。ミスしない限りはスピードダウンをする手段はない。
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「SIDE(サイドショット)」
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ゲーム開始時(ミス後の復活時)では装備されておらず、パワーアップする事で装備できる補助的ショット。
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自機の左右側に射程制限のあるショットを放つ。サブショット扱いなので、上記のメインショット4種との併用が可能。
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「WING(ウイング)」
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自機にパーツを装着させ、装備中のメインショットを強化させる事ができる。3段階まで装着可能。但し、装着をさせればさせる程に当たり判定が大きくなってしまうデメリットを伴う。
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パーツ1段階時にて被弾すると即ミス。2・3段階にて装着したパーツは、ミスこそはしないものの被弾する事で該当パーツが消滅する。
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「SHIELD(シールド)」
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自機が一定時間点滅し、その間は被弾ダメージを3回まで防いでくれる。制限時間制も兼ねている為、被弾しなくても効果が自然消滅してしまう。
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ミス条件について。
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自機が敵弾に触れる事による一撃ミス(ウイングの2・3段階装着の被弾・シールド効果中は例外)の残機制。ミス後は戻り復活となる。
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『タイガーヘリ』同様、本作は登場する敵すべてが地上系である関係上、敵接触によるミスの心配はない(敵に触れても素通りできる)。
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ミス後の復活はすべてのパワーアップがリセットされてしまうペナルティ。パワーアップゲージのいずれかにランプが付いたままでミスすると、復活時はSPEEDランプが付いた状態での再開となる。
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敵について
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敵キャラはすべて地上敵であり、空中を飛ぶ敵は一切出てこない。
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ゲームの本質にはさほど影響ない事だが、これにより独特の雰囲気が出ている。
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隠し要素について。
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本作は非常に隠し要素が多い作品として知られる。
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「特定の背景にメインショットを撃ち込むと隠しキャラ登場」「特定条件を満たすとお助けキャラ登場」といった要素がある。
評価点
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東亜プラン製としては比較的難易度が大人しい部類。
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前作『タイガーヘリ』(以下:『TH』)の自機性能の低さを改善し、『TH』よりは総合的な難易度が下がっている。
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何といっても、『TH』の自機最大の弱点であった「自機移動の鈍さ」が、スピードアップを行う事で克服できる点が大きい。これにより、自機の鈍さによる苦戦の心配は薄まった。
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とはいえ、ゲーム開始時(ミス後の復活時)の自機は『TH』並みに鈍く、スピードアップに到達するまでに☆アイテムが入手しないと地獄を見るハメとなるが…。
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東亜シューティングとしては初めて「自機を敵に近づけると敵弾を出さなくなる」仕様を採用している。
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これにより、「あえて敵に近づく事により、敵の死角を確保できる」という攻略法が成り立つ。これは後の東亜製を含むシューティング全般に影響をあたえる程の仕様となる。
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純粋にプレイヤーの腕前が試されるゲームバランス。
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原則として「見てから避けるのは絶対不可能」という敵の猛攻は少なく、パワーアップさえしっかりしていればアドリブ攻略が可能な難易度である。
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しかし、ミス後は戻り復活な上にパワーアップのない状態での再開を余儀なくされるので、ミスした場所によっては復活が困難な事も多々ある。この辺は『グラディウス』と同じ血筋といえる。
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スタッフの遊び心が垣間見れる隠し要素。
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何故か本作は隠し要素が満載なのはルールの項で述べた通りだが、当時としてはここまで隠し要素を入れる作品は珍しかった。
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普通にプレイしている最中でも「うわ、なんか出た!」とびっくりする場面に遭遇しやすい。こういう意外性に富んだ隠し要素は、東亜シューティング全般からみても珍しい。
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しかし、とある隠し要素はゲームバランスを崩壊させかねない程にチートな攻略ができてしまうものもあり、この辺はやりすぎ感を覚えてしまうところだろうか。
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地味ではあるが上質なグラフィック・BGM周り。
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東亜製の例に漏れずグラフィックの書き込みは丁寧そのもの。あまり派手さはないものの、どことなくアナログチックでメカメカしい外観がなかなか魅力的である。
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曲数はあまり多くないものの、BGMに関してもグラフィックの雰囲気に合った良曲揃い。レトロフューチャーな音源が耳に残る。
賛否両論点
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当時としては複雑なパワーアップ方式。
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マニュアル型のパワーアップ方式である本作は、当時のシューティング作品の中でもシステムが少々複雑な部類に入る。
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「アイテムを取れば即効力発揮」というシューティング作品が大半だった時代、こういう「プレイヤー操作でパワーアップを調整する」タイプのシューティングは異色であった。
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パワーアップゲージが8ゲージある上に各ゲージが少し小さく表示されている為、慣れない内は「どこにゲージがあるのかが把握し辛い」という仕様上の問題を抱えていた。
これにより「ろくにパワーアップできないままにゲームオーバーとなってしまう」という環境に陥るプレイヤーもおり、このパワーアップ方式には賛否が分かれる傾向にある。
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しかし、パワーアップ方式そのものはさほど難解なものではなく、あらかじめゲージ位置を記憶しておけば、自然と容易なパワーアップが可能である。
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東亜側も本作のパワーアップ方式の受けがあまり良くなかったと察したのか、本作以降の東亜シューティングにて同じ方式を採用したのは7年後にリリースされた『ヴイ・ファイヴ』のみに留まる。
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『グラディウスシリーズ』を除く非コナミ製のパワーアップ方式の作品は、本作と『ヴイ・ファイヴ』、及び『サイコニクスオスカー』(データイースト)とごく少数しかない。
問題点
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微妙なわかりにくさと不親切さ
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パワーアップのわかりにくさは上の通りだが、他も微妙。
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シールドは「自機・WINGが長めの周期で緑色に光る」であり、更に自機の色が緑っぽい白なので、あるのかどうか非常に分かりづらい。消えても気づかず食らうことも多々。
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更にシールドに食らった際の無敵時間がなく、連続で喰らい得る上にWINGで食らってもダメージなので、2発弾が来て自機には1発しかあたらないのに、WING食らう→シールド破損→自機食らう→ミス、が一瞬で起こり得る。
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WINGに食らい判定あるせいか、その分画面外周に寄れない。デカさもあって更に避けにくくなる。WINGが増えても攻撃力の増加は微量。使い捨てと考えればよいのかもとも思えるが、先の通りWINGもシールドを消費してしまうので、どうにも微妙。
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武器バランスの悪さ。
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やたらと前側の側面から敵が出てくるので、ホーミングミサイル以外は非常に辛い。逆にホーミングミサイルを持っているとボス戦以外まずピンチすらならない単調さ。
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ショットはそもそも射程が足りない。レーザーは射程はあるが前だけで、両方とも遅すぎるデフォルト自機速度から雑魚戦では使いにくい。斜めにも飛ぶか自機速度が高速なら使えるのだが。
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サイドも、連射は効くが横にしか出なくて射程も短いため、使える場面が少ない。一応、近づけば弾を撃たない仕様から、接近し更に側面で撃ちたい場合は使える(ただ使えるレベルにするには連射装置必須)。サブウェポンだったら使えるが、到底メインは張れない性能。
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MD版では、SHOTの射程が向上可能になるなど、この点への改善が加えられたモードが加えられた。
総評
パワーアップ方式がやや複雑であるものの、東亜プランのシューティングとしては割と遊びやすく、当時の評価としてはそれなりに良かった模様。
とはいえそれもシューティング黎明期から拡大期の間という当時においての話であり、現在となってはこれといって欠陥はないが良点もない「平凡」と評するしかない作品。だが比較的低難易度なのもあって遊びやすくはある。
家庭用移植
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CS機での移植はメガドライブにしかされず、後のヒット作である『究極タイガー』や『TATSUJIN』に比べるとマイナー寄りな作品として見られがち。
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メガドライブ版(1993年6月11日発売、テンゲン / 開発:MNMソフトウェア)
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『スラップファイトMD』のタイトルで発売された。開発は『スター・ウォーズ アタック・オン・ザ・デス・スター』や『ベアナックル2』の開発にも参加している、MNMソフトウェア(現:マインドウェア)が担当。サウンドを古代祐三が手がけている。尚、東亜プランからも上村達也氏が監修として参加している。
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原作を隠しフィーチャーまで忠実に再現した「オリジナル」の他に、ゲーム内容を一新したアレンジモード『スラップファイトMD』も収録している。
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なお、シールドの仕様は両モードとも時間制限が撤廃され、「被弾回数のみ」となった。
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アレンジモードは「最初からWINGが1つ装備」、「装着中のWINGを1つ消費して放つ「タイフーンボンバー」が追加」、「WINGを追加装着する度にショットの射程が伸びる」点が特徴となっている。また、閉じている間はホーミングミサイルの誘導が無効になる砲台が追加された事でホーミング一辺倒のバランスが改善されている。
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BGMは原作準拠のPSG版とFM音源仕様のアレンジ版が収録されている。
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ハイテンションな説明書に定評のあるテンゲンからの発売だけあって、本作の取り扱い説明書の内容も例によってカオス。
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まず、表紙のキャッチコピーが「終わりなき戦闘へのお誘い」とおかしい。
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ストーリー説明は何故か空白が目立っていて、さながら穴埋めテストの問題である。
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装備紹介も変。「ショット!(声を出して武器名を言うと楽しさ倍増)」「パワーウイング!(セクシーに)」「レーザー(ドイツ人のように巻き舌で)」等。
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Windows(Steam/GOG.com)版(2023年8月24日、開発/販売:Bitwave Games)
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東亜プランのSTG移植シリーズ「Toaplan Arcade Shoot'em Up」の第2弾の1本としてリリースされた。海外版の「A.L.C.O.N.」も収録されている。また、第1弾でも搭載されていた各種プレイアシスト機能や多くのオプション設定も健在。こちらも、一部隠しキャラがMD版同様ピピル人に差し替えられている。
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同時発売された『飛翔鮫』、『鮫!鮫!鮫!』、『ヘルファイアー』とのバンドルセットも配信されている。
余談
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本作と同じ選択式パワーアップ方式を採用した作品として『V・V(ヴイ・ファイヴ)』を1993年にリリースしている。
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MD版は元々は東亜プラン自身で出す予定だったが、92年頃にコンシューマーから撤退してACのみの体制に戻る関係で一旦発売が凍結され、変わりの発売元がなかなか見つからない状態が長く続いていたとのこと。また、「実は『究極タイガー』のMDへの移植を懇願したものの、既に先客がいたため、代わりに東亜プラン側から本作の移植を提案された」と現・マインドウェア代表の市川幹人氏は述べている。
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ソフトの出荷が少なかった事情もあり、MDソフトの中でも入手は困難な部類だが、2019年9月19日発売のメガドライブミニに収録された事である程度プレイする機会が増えた。残念ながら(?)メガドライブミニ公式サイト内にあるマニュアルの内容は普通になってしまったが…
それでも「射程が伸びてグッドです」「雑魚相手にはこれが最適です」と、カオスな取説の一部記述は残っている。
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AC版の業者向けチラシの裏面ではタイトルが
『スラップファイター』となぜか誤植されている。
最終更新:2024年08月17日 09:52