みんなのリズム天国
【みんなのりずむてんごく】
ジャンル
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ノリ感ゲーム♪
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対応機種
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Wii
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発売元
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任天堂
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発売日
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2011年7月21日
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定価
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5,524円(税別)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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配信
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【WiiU】2016年7月27日/2,700円(税8%込)
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判定
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良作
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ポイント
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据置機で強化された音質とアニメーション シンプルでメリハリのあるボタン操作
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リズム天国シリーズ リズム天国 (アーケード) - ゴールド - みんなの - ザ・ベスト+
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概要
リズム天国シリーズ第三弾。過去作は2作品とも携帯機でリリースされてきたが、本作は据置機であるWiiで発売された。
基本的なゲームシステム・構成は、初代『リズム天国』のものとほぼ同様となっている。「楽曲提供:つんく♂」も同じ。
特徴
※シリーズ作と共通する部分は一部省略。
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Wiiと言えばWiiリモコンによる特殊な操作形態を特徴の一つとしているが、本作の入力操作は「Aボタン」「A+Bボタン同時押し」の2種類のみ。
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GBAで発売された初代では一部ゲームにて十字ボタンも使用したため、操作形態に関しては初代よりも単純になったと言える。
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1ステージには4つのリズムゲームと、最後に一つの「リミックス」が登場。これらを順次クリアし、「リミックス」をクリアすると次のステージに進む。
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ステージ1~7ではオリジナルのリズムゲーム、8~10ではそれまでの上位版が登場。そしてステージ1~7の「リミックス」は同ステージの4ゲームが自動で切り替わりながら1曲のリズムをこなす。
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通常リズムゲームが7×4の28種、上位リズムゲームが3×4の12種、リミックスが10種、計50ゲームで構成される。
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おまけ要素として、本作でもステージ評価が「ハイレベル」(4段階評価の最上位)になるとメダルを獲得し、それを溜める事でミニゲームを開放できる。
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恒例の「リズムおもちゃ」「エンドレスゲームズ」の他、過去作収録のリズムゲームの一部を遊べる「エクストラゲームズ」がある。
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そして、本作は2人同時プレイモードがある。初代の移植であるアーケード版リズム天国にも同様のモードが搭載されていたが、家庭用シリーズとしては初。
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1人用リズムゲームを2人プレイ対応にしたものが8種類、2人プレイ専用の「ふたりでエンドレスゲームズ」が5種類(内1つは1人用リズムゲームのエンドレス版)をプレイ出来る。
評価点
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強化された映像演出。
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シンプルな線のかわいらしいキャラクターデザインに、目視入力なんてさせないキレのあるアニメーション…という方向性はシリーズの流れを引き継ぎつつ、動きのなめらかさやスピード感は大いに増した。画面エフェクトも派手になっている。
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本作だけの演出の特徴としては、「過剰なまでに表現された遠近感」が挙げられる。遠く離れた小島にあるカップに次々とボールを打ち入れる「ホールインワン」や、遠くから弾かれる豆のようなものをフォークで刺す「くしざし」の他にも、よく見ると蹴飛ばしたボールが遠くで落ちていく様子が見える「Wデート」など様々。過去作にもズームイン、ズームアウトを使った演出等は存在したが、テレビによる大画面を使ったなめらかな遠近感の表現の数々は据え置きならではと言える。
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また、今作はWiiというハードウェアでありながら、グラフィックには2Dのイラストを採用している。
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「社長が訊く」でのインタビューによれば、画面の反応速度を上げることや、キレのある動きを作ることが目的だという。3Dにしなかったのは英断であると言えるだろう。
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ボイスも鮮明になった。入力の合図に長セリフを用いる「レスラー会見」や、チアガール隊によるマスゲームといった趣で掛け声の飛び交う「図書ガールズ」、女性ボイスのラップに声を合わせる「だいスキRAP」など、多めのボイスをBGMに調和させ効果的に使ったステージもある。
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良質でノリやすく、入力の合図も曲の一部に組み込まれていて、気持ちよくボタンを押せるBGMとSE。シチュエーションからしてユニークで、見ているだけでも面白いステージ映像。こうした、シリーズ全体で愛されている要素は本作でも遜色なし。
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最初は取っ付きにくくとも、リズムにノる事を重視して練習をすればちゃんとクリアできる。そんな程良い難易度も健在。
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シンプルでメリハリのあるボタン操作。
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わずか2種類とシリーズ中もっともシンプルな操作形式であるが、それが『リズム天国』のシンプルでシビアなゲーム性とよく噛み合っている。
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基本はAボタンで操作し、要所要所でABボタン同時押しが要求されるため、プレイや音楽にメリハリがある。曲の盛り上がるところで同時押しを決められた時は爽快。
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前作『リズム天国ゴールド』では、「はじく」タッチ操作の判定がアバウトだという問題点があったが、本作でももしWiiリモコンを振るような操作が必要とされていれば、ゲーム性を損なっていた可能性がある。Wiiでは「無理やりリモコンを使わせる」操作性が不評であったソフトが少なくないが、本作ではWiiリモコン特有の操作はほぼ必要なく、作り手が『リズム天国』というゲームの本質をよく理解した上で判断を下したということが良くわかる。
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みんなで楽しめる2人プレイ。
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純粋にリズム感を競い合っても良し、敢えてミスして相手を邪魔するのも良し。従来作や1人用モードとはまた違ったパーティゲームとして楽しめる。
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「ペアメダル」によって開放される「ふたりでエンドレスゲームズ」も好評。1人用エンドレスゲームとは違ったゲームがラインナップされており、特に「カンフーボール」はこれをプレイするためだけに両手でWiiリモコン2本を使って1人プレイする人までいる程好評だとか。
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ペアメダルは両方のプレイ成績に「2人の相性」というボーナス評価を加えた得点が規定値を越えると手に入る。
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様々なリズムを学べるステージ構成
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ステージが先に行くにつれて様々なリズムパターンを取り入れたゲームが増えていく。似た系統のゲームでも先に進むとより複雑化していく。
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例えばリズムキープ系のゲームとしては2分打ちのリズムがメインの「さる時計」から4分打ち+αの「コロコロ探検隊」「鳥の大群」、さらに付点8分のリズムまで取り入れた「タップスター」といったようにどんどんレベルが上がっていく。
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また、後半になると3連符、ボサノヴァ、ポリリズムといったような高度なリズムも取り入れられていて、遊びながら自然と色々なリズムの種類を学べる。
賛否両論点
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操作は単純で入力タイミングが難しい事からくる、体感難度のバラつき。
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合図→入力の間隔が短く入力頻度も多いゲームや、映像演出にリズムを惑わされやすいゲームが、序盤から普通に登場し始める。
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そしてかなり早い段階から複数のゲームで、裏打ち(曲の拍子の合間を打つ、8分音符のタイミング)のリズム取りを要求される。「曲を聞きながら、特定の合図に合わせて表と裏を切り替える」入力にはある程度の慣れが必要であり、この得手・不得手で難易度の感じ方に大きく差が出るだろう。
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それ故に本作に対しては「序盤からけっこう難しい」「全体的に簡単」としばしば意見が割れる。
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そしてリミックスステージはゲームが切り替わる瞬間への反応が難しく、全体的に覚えゲー寄り。
その中でも最後のリズムゲーム「10thリミックス」は、パーフェクト達成については歴代最難関ゲーム候補とされている。
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『二人専用ゲームやエクストラゲームズ以外全てのリズムゲーム要素をメドレーにした』ため、かなりの長丁場である上、テンポが非常に速いため上記切り替わりの反応が非常に難しい。
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前述の通り、本作はWiiリモコンのAボタン/A+Bボタン同時押しのみで全ての入力をまかなう。一見すると歴代で最もシンプルな操作系となっているが、普通は親指と人差指を動かし分けねばならぬため、入力難度はむしろ少し上昇している。
問題点
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一部に、単独ステージとしてのマンネリ感を覚えやすいリズムゲームがある。
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例1. 地味……ロケットゼロ
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カウントがゼロになったらAボタンを押してロケットを発射させるゲーム。カウントの種類は「1」「3」「5」「7」と四種類あり、一見複雑に見える。しかし実は、「1」,「5」,「7」のリズムは全く一緒の二拍テンポであり、実質「3」と「3以外」の2パターンのみ。同時押し操作の出番もなく、押した結果はどれもロケットが飛ぶだけと絵的にも地味。ロケットのカウントダウン音が曲のメインメロディになっている等の光る部分もあるものの、後半の面にしては難易度が簡単な事もあり印象に残りにくい。
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例2. 繰り返しが多い……バッティングショー、組み立て
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「バッティングショー」は「ピッチャーがボールを投げる→そこから5をカウントする→プレイヤーが来たボールを打つ」ゲーム。ピッチャーの振りかぶりモーションに緩急はあるが、全て同一タイミングでの入力となる。BGMも、調を変えつつ一定のメロディを繰り返すだけと単調。
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「組み立て」は、「4つの箱の上を跳ねるモノがプレイヤー担当の箱の上に来たらボタンを押す」ゲーム。組み立てタイミング以外ではAボタンを押し、組み立てる際はAB同時押しで引き絞り→離して発射、を行う。短めのBGMをテンポ違いで繰り返すタイプのステージであり、曲に対するモノの跳ね方が残念ながら全パターン共通となっている。
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過去作と比べて新しい入力形態が増えた訳ではなく、純粋なゲーム部分だけを見ると既存のステージとよく似たものも含まれている(例としては、『ゴールド』の「しゅぎょう」とリズムパターンが全く同じの「小さな生き物」が挙げられる)。
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ボリューム増にはあまり期待できない。
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本作の総ゲーム数は『ゴールド』と同じ50。2人プレイ用を含めておまけは充実したものの、本編のボリュームは大きく変わらない。
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一応『ゴールド』ではステージ1~6の24ゲームが通常ゲームだったのに対し、本作はステージ1~7の28ゲームが通常ゲームなので若干増えてはいるが、その分上位ステージが減ってしまっている。
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初代の移植となるエクストラゲームズも4種類のみ。これらはおまけ扱いのためハイレベ及びパーフェクト達成時のメダルが存在せず、パーフェクト達成の報酬も無い。
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また、「みんなで」と言うタイトルに反して2人プレイ可能なゲームは8種類+エンドレスゲームが5種類と少なめ。演出の都合上どうしても2人プレイ出来ないようなゲームが多いとは言え、物足りなさを感じる。
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「社長が訊く」のインタビューによれば、「同時に遊ぶのではなく、誰かがプレイしているところを横で見てほしい」ということらしい。確かにそれも楽しいのだが、マルチプレイを期待していた人はがっかりするかもしれない。
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一部のゲームで不親切に感じられる点がある。
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ゲームによっては本番の内容でチュートリアルでは触れられていなかったり、わかりにくい部分がある。
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例えば「しわけ」では「基本的に飴と虫が交互に飛んで来る」というパターンに関して一切触れられないまま本番を迎えることになり、初見プレイでは戸惑うことになる。
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特に後半のゲームに関して言えばリズムの切り替え等の予告がギリギリなことが増え、画面と音を頼りにプレイしているとまともに追い切れず、結果的に覚えゲーに近いものになってしまっている(例:「ボッサレシーブ」の足場切り替え、「エビ音頭」の待った等)。また上述の通りリミックスに関しては特に暗記要素が強い。
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中でも「タップスター」では、リズムを変更するタイミングが4パターンあるのに、全てのパターンで掛け声が全く同じで判別できないというかなり理不尽な仕様になっており、譜面の暗記が必須になる。
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掛け声でリズム切り替え⇔元に戻るという本作内の説明だけでは不足しており、リアルタイムで切り替えるのは困難。
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難易度を上げるためという理由もあるのかもしれないが、リズムゲームという枠組みから見ると乱暴に見える。
総評
簡単な操作、質の良い音楽、愉快なアニメーション、可愛らしいキャラクター。こうした『リズム天国』シリーズの特徴を引き継ぎつつ、手軽な携帯機対応だったところを据置機にてリリースされたものが本作である。
映像・音楽面の質は大幅にパワーアップ。反面ゲーム面に目立った進化はなく、『ゴールド』で投入されたタッチ操作よりも初代に近いシンプルな操作系に回帰した。
これらに対し「据置機フルプライス」という点をどう見るかは個人差の出るところだろう。
総じて、シリーズものの新作として混じり気の無い出来と言える。
余談
最終更新:2024年10月16日 09:14