ヴィジランテ8
【う"ぃじらんて えいと】
ジャンル
|
カーコンバットアクション
|

|
対応機種
|
プレイステーション
|
発売元
|
シスコンエンタテイメント
|
開発元
|
Luxoflux
|
発売日
|
1998年11月12日
|
定価
|
6,090円
|
周辺機器
|
アナログコントローラー対応
|
廉価版
|
PlayStation the Best 1999年12月2日/2,800円
|
配信
|
ゲームアーカイブス 2012年4月11日/600円
|
判定
|
良作
|
ストーリー
世界規模の燃料不足が叫ばれている時代。
燃料資源に頼り切ってきた合衆国の経済は、破綻の危機に立たされていた。
原油貿易独占企業連合(OMAR)
は、原油産業独占最後の邪魔者である
合衆国にとどめを刺すべく、100万ドルの報酬と引き換えに、最凶最悪のテロリスト、
シド・バーン
と手を結んだ。
シドは私設軍隊
"コヨーテ(COYOTES)"
を始動、合衆国経済の生命線とも言える南西部地方の原油精製プラントを荒らしまわった。
治安維持の届かない地方に置いて、彼らの暴挙を食い止める手段はなかった。
しかし、住民たちはただ絶望しているばかりではなかった。
老練なトラッカー、
コンボイ
が自警団
"ヴィジランテス(VIGILANTES:用心棒)"
を組織、
自分たちの手で秩序と平穏を取り戻そうと立ち上がったのである。
同じ頃、弱体化が否めない合衆国政府は、新兵器開発に全力を注いでいた。
その中でも最たるもの、UFO開発のテクノロジーを応用しているという兵器が、
軍の秘密基地に隠されていた。コヨーテとヴィジランテスは、この情報をキャッチ、
互いに軍の秘密兵器を奪い合い、双方の手に秘密兵器が渡った。
両者の決戦の日は、もうそこまで来ていた…。
~取扱説明書より
概要
オイルショック真っ只中のアメリカを舞台に繰り広げられるカーコンバットアクションゲーム。
このジャンルが再び流行るようになったのは1995年にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売された『ツイステッド・メタル』からである。
ところが、『ツイステッド・メタル』はダークな雰囲気が漂っており、かつ素人には取っ付きにくい代物となってしまった。
しかし、本作品はそれらの要素を一切なくし、かつキャラクターも濃いながらもコミカルに描いたのである。
結果的に本作は大成功となり、開発元であるLuxofluxの名が知られるようになった。
尚、日本ではPS版のみがローカライズされたが、北米・欧州ではN64とGBCでも発売されている。
評価点
-
全体的にコメディタッチな作風
-
前述したとおり、90年代のカーコンバットアクションを象徴する『twisted metal』はダークな作風であった。
-
しかし、こちらの場合はストーリーとは裏腹にコメディタッチな作風である。
-
ちなみに続編の「~セカンドバトル」ではその要素がいささか薄れてしまっている。
-
個性的な登場人物・車種
-
FBIのエージェントである「チャシー・ブルー」、UFOオタクの「デイブ」など、それぞれ個性的なキャラが多い。ちなみに、隠しキャラとして宇宙人(というかグレイ)もいる。
-
加えて、その特徴や設定を踏まえたうえでの車種選定がなされている人物もいる。
-
また、キャラはグレイを除いて全員戦闘中や勝利時などで喋る。そのキャラの心情などが垣間見れる要素である。
-
エンディングの中には、登場人物の意外な一面も明かされたりする。
-
各キャラのエンディングには、それぞれ戦いを終えた直後の話がムービーで見ることができる。
-
(コヨーテメンバーを含めて)それなりに幸せに終わるかと思いきや、続編を匂わせたりむしろバッドエンドのようだったりと、種類は様々。また、複数のエンディングが実は繋がっている場合もある。
-
自由度の高いステージ
-
何より、建物を破壊できるという点は素晴らしい。
-
基本的にステージに何らかのギミックが仕組まれている。大型ミサイルを打ち出して攻撃するという凶悪なものや、風車のように一見攻撃に使えなさそうなものを使って攻撃できたりする。
-
海外で発売された64版では、ファンタジー風のステージが追加されていたりする。
-
武器の争奪戦
-
本作では、道に落ちている武器を拾うことでその武器を使用できる。種類は、戦車砲、ロケットランチャー、追尾ミサイル、地雷、追尾型曲射砲(技術提供:宇宙人)の5つ。続編では火炎放射器が追加された。普通の車両に火器を詰め込んで、武器管制システムがどうなっているのかは永遠の謎。
-
ちなみに初期装備はマシンガンのみ。威力は絶望的に低いが弾数制限がないので、ギミックを壊したりするのに使える。
-
ただ、必ず手に入るわけではなく、先にその武器を取った者だけが使えるのである。一度に装備できるのは3つまでで、既に入手している武器なら弾数回復、違う場合は現在装備している武器と入れ替わる。
-
後述する専用武器以外は、入れ替えで置いていった武器はフィールド上に残留し、それを拾えば残弾数すべて引き継げる。
-
各武器にはシークレットムーブというものが2つ(続編では3つ)存在しており、簡単なコマンド操作をすることで弾を複数消費して特殊な攻撃が行える。
-
ミサイルをマウントしたまま点火することで高速前進する「アフターバーナー」、連射できないランチャーを最大5連射する「スタンピード」、曲射砲の着弾点の地面をへこませる「クレーターメーカー」など、結構多彩。
-
シークレットムーブのおかげで、普通に使用するメリットが薄くなってしまっているのが難点と言えば難点。ロケットランチャーなどは特に。
-
各車両には専用武器が設定されており、緑の木箱を拾うことで入手できる。基本的に通常武器より強力であり、見つけたらまずとることをお勧めする。
-
蜂をけしかけて相手の耐久力を少しずつ削る「ガンマスウォーム」、相手の頭上に雷を落としてエンストさせる「ライトニングボルト」、ミラーボールから閃光を放って空中に浮かせてほぼ不可避の連続攻撃を見舞う「ディスコ・インフェルノ」など、これまた多彩。UFOを呼び出すなど珍妙なものもある。続編ではさらに特徴ある武器が用意されている。
-
武器以外にも、耐久力を回復したりするサポートアイテムもある。特にリペアアイテムは必需品であるため、出来る限り取った方がいい。
-
これらの特長によって、対戦がより熱くなったりもする。
問題点
-
バグ
-
特にフリーズはまれに発生する程度であるが、ストーリーモード中で、かつセーブをしていなければ尚更ショックが大きい。
-
PS2で動かすと、地面のテクスチャにノイズが発生するバグもあるが、こちらはゲームの進行に支障はない。
-
難しいストーリーモード
-
特にヴィジランテスは建物の護衛も兼ねている為、なおさら難しい。
-
描写が甘い。
-
見栄え云々ではなく、タイヤが車両の動きについていけず不自然な位置にあったり水面があるステージだと前述のクレーターメーカーを連続で当てると地面にも水面が発生したりなど、いくつか不自然な所がある。
-
車の重量感があまり感じられない。
-
いくつかのシークレットムーブを喰らった時やギミックで派手にすっ飛んだときなど、バスやトラックとは思えないほど軽い動作をする場合がある。また、車が縦にスピンしながら空の彼方に飛んだりキリモミスピンしたりするような珍妙な事態もある。
-
車両同士がぶつかった場合は、ちゃんと軽い方が押し負けるようになってはいる。
総評
色々粗があったりするが、用途の幅を広げるシークレットームーブにより死に武器というものがほぼなく、多彩なギミックやユニークな専用武器など戦闘システムに関しては良好な出来と言える。
他にも、ステージのギミックをいかに有効活用するか考えるのもなかなか楽しい。シークレットムーブと合わせて使えば、一瞬で大破に追い込むことも可能。
上記の描写の甘さもある意味バカゲー要素としてみれば、意図的にどんなことが引き起こせるか試して回るのも一興だろう。
要するに、「敵を倒す」以外はひたすら自由なカーバトルアクションである(下車はできないが)。
余談
-
本作はPC用ソフトである『interstate'76』と世界観を共有しており、本作はそのスピンオフ作品という位置づけである。
-
車種を見ればこのことがわかるであろう。
-
開発版ではその主人公が乗る「ピランハ」も登場する予定であった。
-
2008年11月に Xbox Live Arcadeにて配信された、『Vigilante 8 Arcade』ではチャシー・ブルーがその車種に乗っているおかげで晴れて使用可能になった。
-
開発中と製品版では違うところがいくつもある。
-
前述した「ピランハ」が使用可能、武器の最大ストック数が5つ(製品版では3つ)、そして何より
流血表現
もあったりする。
-
もしも流血表現があったら、CERO:Z判定は免れない。
-
本作の好評を受けて、続編である『ヴィジランテ8・セカンドバトル (原題:Vigilante 8:2nd Offense)』が、日本ではPS版が2000年2月24日に、DC版が2000年3月23日に発売されている
-
ちなみにゲームアーカイブス版での区分はCである。「~セカンドバトル」は現在も未だ配信されていない。
-
とはいっても、残虐な部分は一切無いため、実際にはレーティングなど関係ない。
-
続編の「~セカンドバトル」では、スタントバイク、月面探査車、ゴミ収集車など、さらに車両は多彩化。さらに、車両スペックを永久的に上げるアイテムが登場した。また、半ば水没したステージなども登場。
-
1つの車両の全スペックを最大まで上げると何と外見が変化する。もちろん、カラーチェンジとかチャチなものではない。
-
本作のゲームエンジンを流用したSWゲーである『STAR WARS:Demolition』(PS/DC)が北米地域にて2000年11月に発売されている。デベロッパーも本作と同じLuxoflux。日本では未発売。
-
後にPS4版が発売され、こちらは日本でも配信されている。
-
デベロッパーであるLuxofluxはその後2002年にActivisionの傘下会社となり、『True Crime:Streets of LA』、『True Crime:New York City』、『Kung Fu Panda』、『Transformers:Revenge of the Fallen』等を手掛けたものの、Activisionの広範囲にわたる人員削減策の一環として2010年2月11日にスタジオが閉鎖された。
最終更新:2021年03月03日 22:42