メモリーズオフセカンド
【めもりーずおふせかんど】
ジャンル
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恋愛アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション ドリームキャスト プレイステーション2 Windows プレイステーション・ポータブル
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発売・開発元
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KID
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発売日
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【PS/DC】2001年9月27日 【PSP】2008年5月29日
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メディア
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【PS】CD-ROM2枚組 【DC】GD-ROM1枚 【PS2】DVD-ROM1枚
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定価
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【PS/DC】6,800円 【PSP】4,800円(各税抜)
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レーティング
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【PS2】CERO:C(15才以上対象) 【PSP】CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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【PS2】Super Lite 2000シリーズ 2004年8月5日/2,100円 【PS2】恋愛ゲームセレクション 2008年10月9日/2,079円(各5%税込)
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備考
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PS2版は『1st』『Pure』のカップリング 加えて本作のプレストーリーも収録
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判定
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良作
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ポイント
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別れを描いた素晴らしい出来のシナリオ 快適なシステム
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メモリーズオフシリーズリンク
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概要
切ないシナリオが評価された『メモリーズオフ』の続編。
前作の小ネタが多数あるが、本作からプレイしても楽しめる。
キャラクターデザインには前作同様にささきむつみ氏を起用。
ストーリー
主人公「伊波健」は、私立の高校に通う高校3年生。
半年前から同級生の「白河ほたる」と交際している。
ずっと変わらないと、信じていた。
2人の関係も、今の幸せな状況も。
しかし、夏休みのある出来事を境に、健の日常に変化が訪れる。
些細な誤解。すれ違う心……。
小さな変化は、やがて取り返しのつかないところまで膨らんで……。
2人の間にある、数え切れぬほどの想い出。
けれど、その想い出を振り切ってでも、
一緒にいたいと思える女性が現れたとしたら……。
健は選ぶことができるのだろうか?
これから共に、かけがえのない想い出を築いていく、その人を────。
(PSP版公式サイトより抜粋)
登場人物
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白河 ほたる
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甘えん坊なところと、ときどき天然ボケを披露することを除けば、ごくごく普通の女の子。
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飛世 巴
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バイト先で知り合う少女。将来は女優を目指している。
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特徴
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夏休みが舞台ではあるが、どちらかというと抑え目の色調の雰囲気。
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主人公にはゲーム開始時から彼女がいる。
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本作最大の特徴であり、賛否を分けることになった。
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シナリオはほたるとゲーム開始時から付き合っているがほたる以外のシナリオでは、彼女がいながら他の女性に惹かれるというものである。
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2択などの選択肢により展開が変わるアドベンチャーゲーム
機種ごとの違い
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PS版はCD-ROM2枚組のため、ルートによってはディスクの入れ替えが発生する。
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DC版およびPS版(どちらも限定盤特典のメイキングディスク含む)はトラック2に音楽CDとして再生しないよう注意喚起するボイスドラマが収録されている。
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3枚の本編ディスクでそれぞれ異なるため、PS限定版は3編すべてを網羅している。
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DC版およびPS2版ではアペンドストーリーとしてこの3編をビジュアル付きで閲覧可能。
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PS2版『メモリーズオフ デュエット』は『1st』『Pure』とのカップリングの上、本作のプレストーリーである『雪蛍』も収録。
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PSP版では「雪蛍」が収録されているほか、追加要素としてほたるエンド後の物語である「AfterStory」が収録。
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AfterStoryはボイスや立ち絵や選択肢はなく、ほぼゲーム画面で読む小説。
評価点
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物語に引き込む力がある。
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舞台やキャラクターの設定は癖がない。
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こういった面々を上手くシナリオに組みこみ、愛憎渦巻くその様は、実に恋愛アドベンチャーらしいものである。
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これだけなら他の恋愛ゲームにも言えることだが、本作は最初から彼女がいる都合上、ほたる以外のヒロインを付き合うなら最終的にほたると別れなければならない「恋愛の別れと苦しさ」を大きくクローズアップしているのが本作の最大のポイントである。
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主人公やヒロイン達の多感な時期の揺れや不安、誤解、すれ違い等を描くことで恋愛の負の側面が強く描写されており、本作のシナリオは全体的に重く、明るめなシーンも「束の間の幸せ」といったものが多い。
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上記の重い雰囲気の漂うシナリオに加えて、プレイヤーを引き込むかのような先が読めない展開が多く、本作は切ない青春恋愛物語と呼べるものになっている。
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話に大きな矛盾や破綻はなく、主人公の苦悩や葛藤、各ヒロインの思いが丁寧に描かれているので、行動の理由などに納得がいく。
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前作に引き続きささき氏のCGは高評価
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ヒロインは全員黒髪の落ち着いたデザインで、雰囲気に合っている。
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音声は主人公を除き、完全なフルボイス。
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その声もキャラに合っていると好評。2001年に『シスター・プリンセス』の亞里亞役で実質のブレイクを果たした水樹奈々氏などが出演している。
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システム面は非常に出来がよい。
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選択肢が出た時点で行われるクイックセーブやスキップは既読スキップと強制スキップを実装、かなり速い。
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バックログは音声再生機能つきの物を用意、1回クリアしたキャラのシナリオ分岐から始められるショートカット機能もある。
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再プレイやシーンの回想にも配慮されたシステムデザインであり、好印象である。
問題点
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主人公の性格
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前作のような電波発言はなくなった。反面、二股をかける優柔不断な性格は不快と感じる人も。
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巴ルートは特に優柔不断で二股を続けるため、非難が多い。ただし、きちんと人間関係を整理するルートもある。
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特に気にならなかったという人もいる。
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その筋書き
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最初からいる恋人のほたるのスペックが高いことに比べて凡人な自分に劣等感を持ち、序盤から悩む。
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結果浮気をして(本人に落ち度はなく、また主人公を一途に想っている)ほたると(ほたるルート以外)別れる、という展開が基本。
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ルートによっては浮気相手がほたるの姉にもなる。
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希ルートネタバレ
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急に性格が変わることのあった希。
実は双子の妹(以下『望』と表記)と入れ替わっていたことが判明。
判明後、バイト中に希が嫌な予感を感じ、店を飛び出す。後を追う主人公。
そこには今にも電車に轢かれそうになる望がいた。ここで名前を呼ぶ選択肢で分岐。
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希エンド
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望が死ぬ。罪の意識を背負いながら、希と生きていく。
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望エンド
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希が死ぬ。罪の意識を背負いながら、望と生きていく。
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ほぼ希エンドと変わらないため、命を軽々しく扱いすぎだと非難される。
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そもそも何故自殺に踏み切ったのかが不明。
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希望ルート
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どちらの名前も呼ばなかった場合のルート。
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両方が主人公に反応したところで、主人公は意識を失う。
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エピローグで主人公は記憶を失い、病院で『相摩 希望』という名前を見る。
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悪友によると主人公と希望は、バイト中に倒れたとのこと。
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何故、希と望が『相摩 希望』という1人の少女になったのかは謎。伏線も何もないので多くのプレイヤーを混乱させた。
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ほたるの行方が毎回同じ。
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どのルートでも振られたほたるの行先が同じなため、2周目以降は内容が読めてしまう。
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なお、ほたる自身のルートでも同じ展開である。
総評
2001年当時のコンシューマギャルゲーは『シスター・プリンセス』と『ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~』の実質一騎打ちとも言える状況だった。
この状況で後のメモリーズオフシリーズの方向性や、KID作品のシステム周りの基幹を作りだした事は評価に値するだろう。
余談
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「恋人を振る」というテーマ上、女性や同人作家の受けは悪かった。
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男性と女性では「恋人を振る」という事の価値観があまりにも異なり、同人誌などで扱うには重くネタバレを伴う。
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かつて『センチメンタルグラフティ』が発売後女性の人気を暴落させたのと同じ現象である。
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『メモリーズオフ』シリーズにおいて恋愛の「陰の面」が強調されるきっかけともいえる。
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同じテーマの先駆者としては『WHITE ALBUM』(Leaf・1998年作品)、同年代の作品では『君が望む永遠』(age・2001年作品)などがある。
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この年のKID作品の裏のテーマが「恋人との別れ」であり、『てんたま』『Close to ~祈りの丘~』でもそれらが根底に流れていた。
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『Never7』と同様、本作でも一般公募のアペンドストーリーが公開された。
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DC版で、インターネットを通して公式サイトからファイルをダウンロードすることで追加される他、この作品以降に発売されたKIDのDC版ゲームソフトで「おまけデータ」という形で提供された。
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PS2版『メモリーズオフ デュエット』には全アペンドストーリーが収録されている。
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20周年のシリーズキャラ人気投票では「白河ほたる」が3位となった。
最終更新:2021年12月08日 01:20