1943
【いちきゅうよんさん】
| ジャンル | シューティング |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | 1M+64KROMカートリッジ | 
| 発売元 | カプコン | 
| 発売日 | 1988年6月20日 | 
| 定価 | 5,300円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 自機のカスタマイズ、中断パスワードなどの思い切ったアレンジ 実在した艦船から三国志の武将の名を冠した艦船へ変更
 一部、1943改の要素を輸入
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| カプコン19シリーズ | 
 
概要
アーケード『1943 ミッドウェイ海戦』(以下原作)のファミコン移植版。
移植にあたって大胆なアレンジが施されており、『1943改 ミッドウェイ海戦』とは異なる調整が施された作品である。
変更点
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2人同時プレイが廃止され、シングルプレイ専用になった。タイトル画面にもその旨が書かれている。
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原作は大日本帝国海軍が敵だったが、架空の国となっており、それに伴い、敵艦の名前が三国志の武将(主に董卓軍)の名前に変更されている。
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大飛龍編隊の名前が「ガンリョウ」と「ブンシュウ」だったり、長門級にあたる戦艦「カユウ」と「リョフ」が同型艦だったり、空母に「リジュ」、「カク」といった軍師の名前が付けられていたりと、敵艦にも一定の命名規則がある。
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敵艦の名前は主に三国志演義の主役と言える劉備軍の敵役となっている。その割に「ロシュク」(呉の軍師である魯粛と思われる)といった、作中では劉備寄りだった人物の名が何故か入っている。
 
 
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地味に自軍側も自機こそP-38のままだが空母は「ホークネスト」と架空の物になり国旗の描写も無くなる等、
必ずしもアメリカ軍とは限らなくなった。
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戦闘も「ヴァルハラ沖海戦」となり、自機以外は架空の設定による戦争となった。
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舞台の変更により、ストーリーにもアレンジが加えられ、原作よりもストーリー性が増している。原作にはなかった意表を突く展開や、印象的なエンディングが用意されている。
 
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ステージ数が16→24に増加。原作の最終ステージに相当する16面をクリアすると…。
    
    
        | + | ネタバレ | 
「トウタク」だと思っていた戦艦は実は「トウビン」であり、「トウビン」の陽動作戦にひっかかった軍は新たに現れたトウタク率いる機動艦隊を迎え撃つために出動するのだった。唐突に三国志における董卓の弟の董旻というマイナーな人物を押し上げてくるあたり、なかなかのひねりようである。以後はそれまでのステージのいくつかの他、亜也虎I-II-IIIの三機を一度に相手をするステージを挟んで
戦艦「トウタク」との戦いになる。
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自機をカスタマイズする事が出来、ポイントを使用して、RPGさながらに「攻撃力」、「防御力」、「特殊武器」、「エネルギータンク」、「特殊武器」、「武器使用時間」に割り振って自機を強化させる。
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これに伴い、原作ではスコアアイテムだったトンボとタケノコを取得する事でポイントを取得し、自機を強化できるようになった。取り逃すと後半が厳しくなる為、毎ステージで見つけておきたい。
 
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原作で隠しスコアアイテムだった「タル」や「象」などにも武器やエネルギーの回復効果が付加され、重要な存在になった。
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宙返り後にエネルギー消費無しで、メガクラッシュが発動するようになった。この為、原作では影が薄かった宙返りも使用されるようになった。
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一定時間、ショットボタンを押し続けることで使用武器に関わらず、レーザーが発射できるようになった。
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当然、原作に比べると威力は落ちているが、武器を使い果たして弱体化した状態でも逆転を狙えるようになった。
 
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メガクラッシュは「雷」に統一。艦隊戦で使用するとスクロールが一定時間止まり、原作の「津波」と同様の効果になる。
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ゲームオーバー時に表示されるパスワードをタイトル画面で入力する事で、最後に到達したステージから同様のカスタマイズで再開できる。
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シューティングゲームに中断用のパスワードが実装されているというケースは中々珍しい。
 
評価点
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原作の空気の再現度は高め
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爽快感、BGM、撃破時のデモ、巨大ボスとの戦闘等、原作のウリとなった部分は高いレベルで表現されている。
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BGMは原作のテンポはそのままに重厚さを意識した良アレンジである。
 
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追加要素
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原作ではなかった、ステージによる背景の変化(夕暮れ、朝焼け)が存在する。
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自機のカスタマイズにより、原作よりも戦略性が増している。特殊武器のレベルを抑える事でPowアイテムの変化の回数を少なくし、素早くエネルギータンクに変えられるようにする…といった事が可能。
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タイトルデモでは戦況の解説がされる、トウタク撃沈画面では喜びの声が上がる、先述の事実が発覚した際は再出撃の依頼が来る、EDは無事帰還したパイロットが帰りを待つ者へ電話をする内容へと変更等、世界観やストーリー性の補強がなされている。全てカタカナとはいえ日本語表記なのでプレイヤーにもわかりやすい。
 
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武器の調整が行われているが、バランスは比較的良好。
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原作で使えない武器だったショットガンはパワーアップさせる事で前方に弾消し可能な通常弾を放ちつつ、敵の弾を消す弾を扇状に放つという調整がされた。
 弾消し能力は『1943改』のショットガンに近く、かなりの弾幕に押し勝てる為、非常に使い勝手が良い。ただし威力は高くないため、それ一辺倒で全て立ち回れるわけではない。
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3WAYはボタンを押し続けることである程度、自動連射が働くようになり、攻撃をしつつレーザーの溜め撃ちが出来るという本作のアレンジにあわせた調整がされている。
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ただし、通常ショットよりも攻撃力が劣る為、3WAYを取ったが為に敵が落としづらくなったという原作からは考えられなかった現象も起こる。
 
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レーザーが標準装備となった。
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それなりに特殊武器のレベルが必要となる他、出現させるまでに結構な撃ち込みが必要なため、『1943改』ほど他の武器の存在を食っていない。
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チャージによるレーザーによって一度に艦船の砲台を破壊するといった本作特有の爽快感が得られるようになった。
 
 
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ボス出現時の演出が秀逸
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艦隊戦の最後になると、BGMがおどろおどろしい物に変化し、海面がフェードアウトしてから画面全体を使ってボスが出現する。
 ボスも原作に負けず劣らずのサイズで迫力があり、ハードの制約をうまく演出でカバーしたものと言える。
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ボスBGMは原作に存在しなかった為、演出にメリハリがついた。
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大飛龍ステージでのボス戦に入る際に、「ワレ、テキホンタイト、ソウグウセリ」という追加メッセージもある。
 
 
賛否両論点
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架空の敵が相手になったため、原作や史実が好きな人には盛り上がりに欠けるシチュエーションになっている(大和→トウタクなど)。
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半面「国産のゲームなのに大日本帝国海軍が敵なのは如何なものか」という指摘もあったため、この点は一概に問題点とも言い切れないか。
 
問題点
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処理落ちがかなり激しい場面も存在する。
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原作後半ステージの艦隊戦における敵の猛攻をファミコンなりに再現しているが、その為に恐ろしく処理落ちする。
 
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ステージ関連
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後半のステージになると、通常の雑魚敵ですら一撃で落とせない耐久力を持つようになり、連射機が必要になってくる。
 しかし当時の連射パッドは「連射ボタンと通常ボタン」の使い分けが無いパッドしかなかったため、連射パッドをつなぐと溜めレーザーを撃てなくなる弊害も起こる。
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ゲームオーバー時のコンティニューはステージの最初からやり直しになる為、クリアできない場合はひたすら同じステージのリトライを繰り返す事になる。
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ステージ数が増加したが、焼き直しのステージが多く、間延びした感がある。
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やはり最終面にあたるステージではパスワードが表示されないため、非常に厳しい。
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また、そのステージもボスラッシュ的な構成となっている為、非常に長丁場となり、ゲームオーバーになると堪える。
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時間と共にエネルギーが減少していくというシステムのため、長丁場となる最終面ではボス到達時にエネルギーがかなり少なくなり(道中にエネルギー回復の隠しキャラは配置されているが、全部取得したとしてもである)、防御力を最大にしていても一撃被弾するとほぼミスとなる非常にシビアなバランスである。
 
 
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カスタマイズ関連
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カスタマイズによる強化はかなりの影響をおよぼすので、「エネルギータンク」や「武器使用時間」を疎かにするとあっという間に息切れする。
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機体のカスタマイズを行うにはステージ中の隠しアイテムを取得する必要があるため、入門プレイヤーに対するハードルはやや高いと言える。
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一度、カスタマイズするとポイントの再振り分けは出来ない為、極端な割り振りにして詰まった場合は最初からやり直す事になる。
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システム上仕方ないが、ステージの途中でカスタマイズのために進行が止められる。
 
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BGM関連
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エネルギーが残り少なくなった時にBGMがピンチ時のものに固定される。1ループが短い単調な曲な為、聞き続けると滅入ってくる。
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原作から一部のBGMが削除された。
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他のBGMの完成度が高い為、原作の「空中戦B~艦隊戦B(扶桑や飛龍ステージのBGM)」が存在しないのが惜しまれる。
 
 
総評
原作の良作たりえた部分を可能な限り再現し、自機カスタマイズ機能や、パスワードコンティニューといった意欲的なアレンジを加え、その他調整された点も遊びやすさや爽快感についてよく考えられており、原作からの劣化部分を感じさせないような作りとなっている。
余談
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空母発進時にモールス信号を思わせるSEが挿入されるが、打電としては「-・-・ --・- -・・ ・ -・-・ ・- ・--・ -・-・ --- -- -・・ -・ ・・・ -・-」となっている。
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欧文符号では「CQDECAPCOMDNSK」、和文符号では「ニネホヘニイツニレヨホタラワ」となり、平文打電としては特に意味のない電文となっている。
 
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GB『カプコンクイズ ハテナ?の大冒険』では、6つのステージの内1つが本作(AC版ではなくFC版)をモチーフとしており、ステージボスの巨大戦艦は「トウタク」の名義。
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ただし、あちらの作風に合わせて大幅にデフォルメ化されている。艦体の両脇には手が生え、艦首にはいかつい顔があり、あまつさえパイプまで咥えている。
 
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本作は当初、アーケード版同様に「ミッドウェイ海戦」として作られていた節があり、チラシも存在している。発売までに何らかの事情で変更された模様。
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本作が発売されるにあたってCMが作られたが、その内容がゲーム画面の上を赤子が浮遊しまくるという謎のモノだったため、妙にシュールかつ印象に残る。
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『ファミリーコンピュータMagazine』1988年15号でパスワードに「REACH」と入れると攻撃目標が「イデ」となり『井出洋介名人の実戦麻雀』の井出洋介のデカい顔と戦うというウソテクがあった。
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いかにもまるわかりの合成写真、しかもやり方も上記の通りすこぶる簡単なことから正解率は91%と破格の高さだった。
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翌号の正解発表でも「これはカンタンでしたね」と編集部もあっさり認めるほど。
 
 
最終更新:2025年02月03日 19:35