うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 / うたわれるもの PORTABLE
【うたわれるもの ちりゆくものへのこもりうた / うたわれるもの ぽーたぶる】
ジャンル
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アドベンチャー+シミュレーションRPG
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 PS2
 PSP
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対応機種
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プレイステーション2 プレイステーション・ポータブル
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メディア
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【PS2】DVD-ROM 1枚 【PSP】UMD 1枚
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発売元
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AQUAPLUS
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開発元
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AQUAPLUS フライト・プラン スティング
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発売日
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【PS2】2006年10月26日 【PSP】2009年5月28日 【PSP廉価版】AQUAPRICE2800:2011年10月27日
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定価
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【PS2】通常版:6,800円 / 初回限定版:7,800円 【PSP】通常版:4,800円 / 初回限定版:6,980円 / PSP廉価版:2,800円 (全て税抜)
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レーティング
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CERO:C(15歳以上対象)
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配信
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【PS3】ゲームアーカイブス:2015年5月20日/617円 【PSP】2014年6月26日/2,057円 (全て税込)
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判定
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良作
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Leaf/AQUAPLUS作品リンク
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ストーリー
大陸の北東に位置する辺境の小國の村、主人公はそこで目を覚ます。
「エルルゥ」によって大怪我をして倒れていたところを発見され、助けてもらったらしい。
だが、一命は取り留めたもののそれまでの記憶を失っていた…。
自分の名前さえも思い出せない主人公は「ハクオロ」と名づけられる。
「エルルゥ」達の手厚い看護を受け徐々に回復した「ハクオロ」は、村の貧しい生活を見て自分が出来得る限りの力を貸すことにする。
傷を治療しつつ、畑を耕したり、村人との交流を深める等、ゆったりとした時間が過ぎていく…。
そして「ハクオロ」の傷も大分癒え、村人皆が待ち望んでいた収穫の時季になる。
皆が協力して頑張った甲斐もあり、今までより多くの収穫量となった。
だが、その噂を聞きつけた藩主が難癖をつけ、税として貴重な食料を徴収してしまう。
更に様々な要因が絡み、ついに「ハクオロ」達は叛乱軍として蜂起せざるを得なくなってしまった…。
(公式サイトより抜粋)
概要
Leafが2002年に発売したWindows用18禁シミュレーションRPG『うたわれるもの』の一般向け移植版。
声優によるキャラクターボイスや完全新規のシナリオなどが追加された。
シミュレーションパートは『サモンナイトシリーズ』などで有名な「フライト・プラン」が担当している。
特徴
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本作はアドベンチャーパートとシミュレーションパートを交互に繰り返すというシミュレーションRPGとしては良くあるゲーム形式である。但し、ストーリーを重視したゲーム構成となっており、一般的なシミュレーションRPGと比べると、シミュレーションパートよりもアドベンチャーパートの比重が高い。そのため、ジャンル名も「アドベンチャー+シミュレーションRPG」を謳っている。
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長時間アドベンチャーパートが続く事も多い。ただし戦闘中以外はいつでもセーブ出来るため、長時間の拘束を強いられる事はない。
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連撃
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敵を攻撃する際に敵の周囲に○が出現してその○が敵の中心の方に小さくなっていく演出があるのだが(的を射る様な演出と捉える事もできる。)その○が消える瞬間に○ボタンを押す事で追加で攻撃する事ができる。ただし追加攻撃は最初の一撃よりも与えるダメージは小さい。
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また気力がMAXの時は通常よりも1回多く攻撃する事ができ、その場合気力を消費して各キャラ固有の必殺技が発生する。
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協撃
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特定のキャラ同士が近くにいる場合、双方のキャラクターの気力を消費して連携技を使用する事ができる。広範囲・高威力の攻撃となる以外にも、状態異常を付与するものなどもある。
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PC版からの主な変更点
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18禁から一般年齢用に。
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フルボイス化。
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シミュレーションパートは大幅変更
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協撃のシステムを追加。
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アイテムやキャラ特性の能力などのシステムを追加。
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「技」が任意で育成するのではなく自動上昇になった。
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ストーリーと関係ない戦闘でレベル上げやアイテム集めをできる「演習」追加。
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PCのDVD版にあったやりこみ要素の称号はない。
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当然のことだが「P/ECE」連動要素もない。
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PCのDVD版にあった5段階の高難度モードはない。
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PSP版にはPC版高難度参相当の高難度モードが追加された。
評価点
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ストーリー
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本作の大筋は「藩主の圧政に苦しむ辺境の村に住む一人の少女に助けられた記憶喪失の主人公が、成り行きから叛乱軍のリーダーとなり蜂起する。」という戦記モノとしては王道なストーリーである。
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また、中盤以降は主人公は叛乱軍を指揮していた事から新たな國の皇に祭り上げられるのだが、誕生したばかりで政治形態の安定していない新国家は周辺国家からその領土を狙われる事になり、いわゆる「国盗り合戦」へと発展していく。
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戦争シーンは、主人公の采配と奇策によって困難な戦況を打ち破る展開も多く評価が高い。
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また、戦争の合間に日常のシーンも描かれるのだが、アットホーム感溢れるエピソードは評価が高く、戦争よりも日常の話の方が好きというファンも多い。
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本作は美少女ゲームであるが、女性キャラクターのみならず男性キャラクターも魅力的で人気の高いキャラクターが多い。
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音楽
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和を基調にしたBGMは評価が高く、特に「子守唄~ユカウラ」「命~ミコト」などイベント曲に良曲が多い。また、ED曲の「キミガタメ」は非常に人気が高い。
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戦闘システム
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基本システムはオーソドックスなWT制シミュレーション。いわゆる『タクティクスオウガ』ライク。
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システムはシンプルで分かりやすく、また、難易度も低く且つテンポも非常に良いため、ストレスを感じにくい造りになっている。戦闘をストーリーの演出と捉えるならこれ以上無いシステムとも言える。
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PSP版では更に「高難度モード」とクリア特典CGも追加されており、やり応えを求めるならこちらがオススメ。
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CS版の追加エピソード
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ストーリーの途中でCS版のオリジナルエピソードが追加されている。
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直前のエピソードで一部キャラクターが一時的に離脱するのだが、追加エピソードはその離脱したキャラクターが中心となっている。
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原作では離脱したキャラとそうでないキャラのレベルが差が開いてしまうのだが、本作ではこの追加エピソードのおかげでレベル差を埋めることができ全キャラクターが使いやすくなっている。
問題点
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戦闘システム
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評価点の通り、本作の戦闘システムは本作のメインとも言えるアドベンチャーパートを引き立てるための演出と考えるならこれ以上無いシステムである。
しかし、純粋なシミュレーションとしての面白さを見るなら、システムがシンプルすぎる上に難易度も低く、やや物足りない出来であるとも言える。
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初期PC版(CD-ROM版)でも上げられていた問題点であり、後のPC版(DVD-ROM)版では「高難度」が追加されていた。移植にあたって再び高難度が廃されたことは残念である。
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PSP版では高難度モードが追加。ただしPC版(DVD-ROM)版で隠し要素になっていた高難度・伍のような超高難度のモードはない。
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本作のシミュレーションパートを担当した「フライト・プラン」は、『サモンナイトシリーズ』などでゲーム性の高いシミュレーションRPGを作れる事を証明済みであり、アドベンチャーパートを立てるためにあえてこういうシステムにした事をインタビューで語っている。
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キャラクターの性能差
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キャラクター間の性能バランスは良好とは言い難い。
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特に全キャラクター中1位の素早さ(スポット参戦キャラクターを除く)とZOC無視を両立しつつ攻撃力も高い「オボロ」と、全体的に高い能力を持ち隣接する味方の気力も上げる効果を持つ「ベナウィ」は、最強キャラクターとの呼び声が高い。
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逆に弱いと言われるキャラクターは「ウルトリィ」「カミュ」「クロウ」の3人。
ウルトリィ、カミュは魔法使い系のキャラクターで複数の敵を範囲魔法で攻撃できるのが魅力なのだが、攻撃力が低いためその性能を活かしにくい。
クロウは決して弱くは無いのだが、戦闘スタイルが上記のベナウィと被っている上に攻撃力が僅かに勝る以外にほとんどの能力が劣っており、「劣化ベナウィ」と言われる事が多い。
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また、短期間のスポット参戦であるため一概に問題とは言い切れないが「ゲンジマル」というキャラも非常に強い。HPがダントツに高い上に防御力や術防御もトップクラスの重戦士キャラであるにもかかわらず素早さもスピード型のオボロよりも高い。終盤での参戦であるため序盤から攻撃力を集中的に上げたキャラと比べれば火力は劣るが、それを差し引いても間違いなく最強キャラと言える。
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ただしPC版と比べて技ポイントが自動になった為に攻撃回数で困ることがなくなり、PC版と比べればほとんどのキャラクターの使い勝手は向上している。
総評
シミュレーションゲームとしては簡潔に纏められているが、ストーリーの評価が高く、「アクアプラス」の代表作の一つとも言える作品である。
余談
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本作発売の半年前よりアニメ版も放映されており、そちらのメディア展開も好評を博した。
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シミュレーションパートでは前述の通り強キャラであった「オボロ」だが、ストーリー中では逆にかませ犬的な役割が多かったため、アニメ版から入ったファンには「うたわれ界のヤムチャ」と言われる事もある。
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本作のOP・EDを歌っているSuara氏がアニメ版のOP「夢想歌」も担当し、氏を代表する名曲となって大きく知名度を上げた。「キミガタメ」も最終話のEDに使われている。
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アニメのインターネットラジオ「うたわれるものらじお」が、ネットラジオ界に旋風を巻き起こす番組となったことも有名。脱線するので詳細は各自調べていただきたい。
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格闘ゲーム『AQUAPAZZA -AQUAPLUS DREAM MATCH-』は本作のキャラクターも出演している。因みに男性のプレイヤーキャラはハクオロと、『ティアーズ・トゥ・ティアラ 花冠の大地』の主人公アロウンのみ。
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本作出典のプレイヤーキャラはハクオロ、カルラ、トウカ。サポートキャラはウルトリィ、カミュ。
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後のアップデートにより、プレイヤーキャラにオボロが追加された。
続編・リメイク
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2011年、1点のイメージイラストと共に『うたわれるもの2』の製作が発表されたが、長らく音沙汰が無かった。
その後実に4年の時を経た2015年、『うたわれるもの 偽りの仮面』へとタイトルを改めて発表。同年9月24日に発売された。
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『偽りの仮面』の発表と前後して、前作である本作のアニメ版の再放送、ダウンロード版の発売が行われた。
この時に同アニメ放送枠内で、ダウンロード版ソフト(それも廉価版)では珍しいテレビCMも放送されている。
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2018年4月26日にPS4/PSVでリメイク作『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』が発売。
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変更点は戦闘グラフィックの3D化とアクション変更、BGM変更や追加など。DLCで続編2作のキャラも使える。場面回想や戦闘回想など便利な機能も追加されている。
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2025年2月27日に、Nintendo Switchで3本をセットにした『うたわれるもの トリロジーセット』が発売された。後日に単体販売もされる。
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2019年10月18日にスマホアプリ『うたわれるもの ロストフラグ』のキャンペーンの一環として、「散りゆく者への子守唄」「偽りの仮面」「二人の白皇」の三部作が完全無料のiOS/Androidアプリとして配信された。
最終更新:2025年02月27日 00:07