Serious Sam The First Encounter
【しりあす さむ ざ ふぁーすとえんかうんたー】
ジャンル
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FPS/アクション
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対応機種
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Windows XP/Vista/7
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開発元
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Croteam
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発売元
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Gathering of Developers / 2K Games Devolver Digital (Steam)
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国内版発売元
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サイバーフロント
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発売日
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2001年3月21日
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定価
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パッケージ版:19.99ドル Steam:5.99ドル
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備考
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体験版あり
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判定
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良作
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概要
2000年代、ストーリーとFPSの融合を目指し見事それを果たした『Half-Life』が世に出され、
その影響からか以前のようなアクション一辺倒ではなくストーリーも重視するFPS作品が出てくるようになった。
だがその一方で、古き良きアクション性に富んだ、今となっては「古典的」とまで言われるようなスタイルのFPSは衰退しつつあった。
そんな中、クロアチアの小規模なデベロッパーであるCroteamの開発した『Serious Sam』は「撃って避ける」を追求したゲーム性で勝負に挑んだ。
派手で強力な武器、ステレオタイプな主人公、単純明快なストーリー、コミカルな敵造形といった基本は抑えつつも、圧倒的な敵の物量が生み出す独特で歯ごたえのあるゲームバランスは古参FPSファンを中心に高い評価を獲得。
またゲーム性だけでなく、ビビッドなグラフィックはいま見ても通用するものとなっている。
特徴
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このゲームの醍醐味は「とにかく湧き出てくる敵をひたすら撃つ」こと。非常にシンプルではあるがマニアックな傾向のバランス。
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今までのFPSでは珍しかった「あまりにも大量に湧いてくる敵の数」がこの作品を象徴しており、ゲームクリアまでに数千の敵に(通常は)1人で立ち向かうというのが基本的なプレイになる。
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どの武器も使いどころがあり、それぞれ有効な場面や敵がいる。それを見分ける事が重要。
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いわゆる「覚えゲー」であり、トライ&エラーを繰り返して徐々に覚えていかなければならない。
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そのためかデータのセーブ・ロードに制限はなく自由に行なうことが可能で、それとは別にクイックセーブの履歴も8回分保存されると言った配慮がされている。
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難易度は6つ。
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最低難易度の「Tourist」はダメージを受けても体力が自動回復、弾薬や体力の最大値もNORMALの2倍で自爆ダメージも無しという非常に優しい仕様。EASYも体力の自動回復がないことを除けばTouristと同じ。だが、NORMALからが本番で、生半可な気持ちだとクリアすら許されない。ここからこのゲームの本質がわかってくるようになる。
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最高難度のSERIOUSを全ステージクリアすると更に上の「MENTAL」が開放される。難易度HARDの内容に加え敵が不可視の状態でプレイという、まさにプレイヤーに挑戦状を叩きつけるかの如くな仕様となっている。
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大量の敵が出現するこのゲームで敵が消えると予想以上の手強さになり、SERIOUS以上に難しいという意見は絶えない。
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マルチプレイはCO-OPに特化
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昔からのデスマッチプレイもあるが、このゲームのマルチプレイは「CO-OP」即ち協力プレイに特化されている。実際、当時は有志が立てているサーバーも
こっちの方が多く、「大量に湧く敵を複数人で攻略するというスタイル」が定着するきっかけとなったのは本作からともいえる。
評価点
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「撃つこと」と「避けること」に特化したオールドスクール型FPS
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本作が出た当時は、概要にもあるようにパズルやストーリー重視のFPSが席巻するようになり、ハイテンションな撃ち合いを求めるFPSがほぼないという有様で、開発メンバー自身が「『DOOM』を最高難易度までやりこんだ経験」を元に、「『DOOM』を超える作品を作ろう」というところから生まれただけあって、基本的にはこの2点に集中できるようなシステムになっている。
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大量に湧く敵に対抗しうる強力な武器の数々
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ミニガン・レーザーガン・ロケットランチャー・グレネードランチャーとFPSでおなじみの武器がデメリットはありながらもそこそこ強い威力をもっており、最強兵器である「SBC Cannon」は弾数の少ないデメリットを覆せるくらいの単発の破壊力に加え、溜め撃ちが可能でこれを使うと遠方や突進してくる敵を一掃できるという、「使って気持ちいい武器」として重宝される。
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CO-OPの充実
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最大16人まで参加可能だが、参加人数に合わせた各種詳細設定が可能で、トラブルになりがちなネットコードも優秀な方でワープやラグも起きにくいことからCO-OPプレイの側面でも高評価。また、ローカルCO-OPでは最大4分割画面でのプレイも可能。
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個性的な敵
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後述の「Kamikaze」はシリーズを代表する唯一無二の存在。続編が出るたびに見た目が変わってもやはり「Kamikaze」のインパクト無しでは本シリーズは語れないといっても良い。
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アーケードライクの要素
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FPSでは珍しいスコアの概念があり、ステージをクリアするとリザルトが表示され、その時点でハイスコアを出していれば記録される。そういう意味ではスコアアタック狙いのプレイも可能。
おバカなキャラ達
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B級SFなノリと悪ふざけが同居したキャラが大量に襲いかかる。
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代表的な敵として「アアァァアアァアーー!!」と絶叫しながら首無しの人間らしきものが両手に爆弾を掲げ特攻してくる、その名もズバリな「Kamikaze」は一度見たら忘れられない。
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「kamikaze」は外国語で戦死を前提とした体当たり・自爆攻撃として通じている。
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なお、『2』ではコミカルな姿だったが、『3:BFE』では使用エンジンの進化もあってかリアリティかつ初代のような見た目に戻った。
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ビルほどの大きさがある「Aludran Reptiloid」や、ラスボス等超巨大モンスターが登場するのも売りの1つ。
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主人公もおバカなノリで作られていて、Tシャツジーパンのマッチョであり、脳筋としてどんな敵でも野太い声を振りまきながら戦う。
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開発者も隠しキャラとして存在するが、気持ち悪く、バカなノリを上乗せしている。
問題点
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お世辞にも一般向きとは言えない高難度。
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確かにFPSの原点である「弾薬のある限りとにかく撃つ」という色が強いが、それに勝る敵の物量と攻撃があるため反射神経などもそれなりに要求される。
「何も考えずに撃ちまくれて楽しそうな雰囲気」だからという理由で手を出すと痛いしっぺ返しにあう。特に難易度NORMAL以上は敵の物量と耐久力自体EASYと結構な差があるので半端な覚悟で望んではならない。
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少ない弾薬。
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マシンガン(ミニガン)の弾薬数999発は意外と少なく、あっという間に無くなってしまう。これ以外に強力で扱いやすい武器は安易に無駄遣いすると要所で弾薬不足になり手詰まりの危険性もはらんでいる。
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爽快感に欠けるゲーム展開。
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マップを把握できない初心者はどこで弾薬を補充できるか分からないため、つい節約してしまい、必然的にせせこましい戦い方を要求される。
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全体的にグロテスク。
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敵を倒せば肉片になるといった所が爽快感を生み出しているのだが、それが苦手な人には向かないだろう。ESRBのレーティング「M」がそれを物語っている。
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エジプトの風景ばかりなので飽きやすい。
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ステージの構造こそ違うものの延々とエジプトの遺跡でドンパチするので、マップに新鮮感が薄れていく。
総評
CO-OP対応であり、ボイスチャットを使ってみんなで笑いながらプレーするのが一番しっくり来る、良作でありバカゲー(主にKAMIKAZE的な意味で)。
現在ではそのビビットなグラフィックのままさらに高精細化された『Gold Edition』もあるが、お馬鹿っぽさを求めるのならあえて旧版をプレーするのもありだろう。
余談
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実際本作が参考にしたのは初代『DOOM』だが、そのid Softwareのスタッフに「あのタイプのゲームはシリアスサムで十分」や「今までの『DOOM』がやりたければシリアスサムをやればいい」とまで言わせ、『DOOM 3』を全く違う方向性にシフトさせたというエピソードがある。
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後にSaber InteractiveがPC用に開発し、2003年に発売されたFPS『WILL ROCK』は本作の影響をかなり受けていることを開発チームが語っており、独自の仕様を除けば純粋なシリアスサムフォロワーな作品である。
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2016年3月14日にシリーズ生誕15周年に先駆け、Croteamは『The First Encounter』と『The Second Encounter』で使われていた「Serious Engine Ver.1.10」をGitHubを通じての無償配布を開始した。これは実際に初代両作の開発に使われていたエンジンを改めてまとめたもので、昨今の最先端グラフィックを作成することには向かないが、改造が容易でコメントも多数用意されており、学習用には適しているとのこと。
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2020年10月21日、パブリッシャーであるDevolver Digitalが同社の公式サイトにてCroteamを買収、同社の傘下となったことを発表。
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そもそもの両社の出会いはかなり古く、Croteamが本作のプロトタイプを複数のパブリッシャーに持ち込んだものの、どこからも快い返事がもらえず、Gathering of Developers(当時)が唯一興味を示してくれたおかげで世に出せたことから、それ以来お互いに信頼を保ちながら提携を続けてきたことが述べられている。
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ちなみにCroteamの他、『Enter the Gungeon』のDodge Roll、『Reigns』や『Card Shark』のNerial、『Strongholdシリーズ』のFireFly Studiosの各デベロッパーも同日に買収を受け、傘下会社となった。
続編・派生作品
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『Serious Sam The Second Encounter』(Win 2002年2月5日発売)
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初代の続編。本作で問題視された武器数や弾薬数の問題を解消したことで、さらなる良作という評価を受けている。
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『Serious Sam: Next Encounter』(PS2/GC 2004年4月14日発売)
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『2』のXb版が出る前に北米/欧州のみで発売されたスピンオフ。 開発はClimax Solent、販売はGlobal Star Software games。Croteamはライセンス貸与のみ。
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見た目やシステムは『FE』と『SE』に近くUIは『2』のスタイル寄りだが、古代ローマ・古代中国・アトランティスといったナンバリングシリーズとは違った舞台での戦いが繰り広げられる。
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『Serious Sam 2』(Xb/Win 2005年10月11日発売)
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ナンバリング第2作。初代から続く『Serious Sam』3部作の完結編。ストーリー自体は『The Second Encounter』のエンディング直後から始まる為、直接の続編と呼べるのは『2』までとなる。
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元々3部作だった初代の最終作を開発する際、本来なら「Serious Sam: The 3rd Encounter」で出す予定だったが、グラフィックの進化に伴い新エンジンである「Serious Engine 2」での開発に変更された為、それに合わせてタイトルも「2」となった。
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なお、Xb版との並行開発の影響かマップスケールが前作よりも狭く、レベルクリアごとにCGムービーが入ったりでテンポや緊張感が削がれたという下馬評もあってか総合的な評価も前作よりかはやや低い扱いである。
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『Serious Sam HD Gold Edition』(Win 2010年11月26日発売)
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初代と『The Second Encounter』のリマスター版をカップリング。リマスターには当時最新の「Serious Engine 3」が使用されていた。
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『Serious Sam 3: BFE』(Win 2011年11月22日発売 360 2012年10月17日発売 PS3 2014年5月13日発売)
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ナンバリング第3作。タイトルの「BFE」は「Before First Encounter」の略であり、時系列は初代よりも前の物語となっている。
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エンジンは『Gold Edition』で使用されたものをアップデートした「Serious Engine 3.5」が 使われておりグラフィックもさらに磨きがかかっている。
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またWin版は標準で日本語対応になってはいるが、当初は珍訳や主人公のセリフがオカマっぽいなど問題が見られたものの、現在はいくらか修正はされている。
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『Serious Sam 4』(Win 2020年9月24日発売 PS5/XSX/PS4/One 2021年12月7日発売)
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ナンバリング第4作。『3』よりさらに過去が舞台となっており、『3』で欠点とされていた要素が改善された他、武器の2丁持ちや各種ビークル、スキルツリー等の新要素、過去最大の敵出現数が特色となっている。
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エンジンも『The Talos Principle』で使われていた、自社製の「Serious Engine 4.0」よりも新しいものを使用。最大数千体もの敵を出現可能な他、グラフィック品質も向上した。
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シリーズの伝統的なデザインを保ちつつ初期2作のようなド派手な撃ち合いが楽しめる点は評価された一方、発売当初はパフォーマンスの低さやカットシーンでのキャラモーションの酷さ等作り込みの甘さが批判された。
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2021年12月7日には当時の次世代機であるPS5/XSXでも発売された。
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『Serious Sam: Siberian Mayhem』(Win 2022年1月26日発売)
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シリーズのスピンオフ。『4』のスタンドアロンDLCであり、ロシアのTimelock StudioによってMODとして開発されていたものが正式採用された作品。
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舞台はタイトルにもあるようにシベリアの広大な寒冷地帯。主人公のサム・“シリアス”・ストーンは『4』でも戦ったメンタルと呼ばれるエイリアンの軍勢に再び対峙する。
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なお、ゲーム内は日本語表示に対応しており、『4』所有者には特別な割引価格で提供される。
最終更新:2024年06月05日 14:38