この項目では『DOOM3』と、リマスター版である『DOOM 3: BFG Edition』を紹介しています。



DOOM 3

【どぅーむ すりー】

ジャンル ホラーFPS
対応機種 Windows
Mac OS X
Linux
Xbox
発売元 Activision(オリジナル版)
サイバーフロント(日本発売版)
【Mac】Aspyr Media
id Software(DL版)
開発元 id Software
【Mac】Aspyr Media
【Xb】Vicarious Visions
発売日 2004年8月3日
【Linux】2004年10月1日
【Mac】2005年3月24日
【Xb】2005年4月3日
定価 【Steam】1,100円
配信 Win版はSteamにてオンライン販売中
判定 なし
ポイント 10年ぶりのナンバリング作
リアルFPSに路線変更
DOOM3エンジンの性能が話題に
ホラー部分はやや単調
DOOMシリーズ

概要

id Softwareの代表作であるFPS『DOOM』シリーズのナンバリング第3作にして、シリーズ初のリブート作。
1994年に発売された前作『DOOM II: Hell on Earth』から10年後の2004年に発売された。
2000年頃のFPSエンジンから大きく進歩したDOOM3エンジン(id Tech 4)の性能を見せ付ける圧倒的なグラフィックが話題を集め、批評・商業面で大成功。
ソフトの売上本数は350万本を超え、DOOM II以上の売り上げを達成した。
拡張パックである『Resurrection of Evil』が2005年4月に発売された。

知名度と販売本数が高かった反面プレイヤーからの改善要求も数多く寄せられ、前作ほど盛んではないとはいえ有志MODによる修正も行われる。
その後、改善・拡張を含んだ完全版『DOOM 3: BFG Edition』が本編発売から8年も後の2012年に発売された。
また、本作を原案にした映画がアメリカで製作されるなど、長期間に渡って根気強く手が加えられた作品である。


ストーリー

2145年、火星。

巨大法人「ユニオン・エアロスペース・コーポレーション(UAC)」は、その資金と権力を利用して火星に研究基地を建造、法の管理の及ばない遥か彼方の惑星で、違法な実験や非人道的な実験を裏で繰り返していた。

しかし、新しい研究部門「デルタラボ」の実験開始を期に従業員たちは徐々にパラノイアや精神病に侵されていく。謎の研究によって所員の一部は発狂し、しばしば火星基地の運営に支障が出ていた。

同乗した2人のエージェントと共に、失踪した海兵隊員の補充として火星に配属された主人公が火星基地の玄関「マーズシティ」に降り立ったのは、そんなある日のことだった。

地球から視察に訪れたエージェントとデルタラボ主任のベトルーガーのただならぬ空気を横目に、現地の上官と対面する主人公。しかし海兵隊員は皆任務に追われており、上官であるトーマス・ケリーは新人である主人公にも「失踪したデルタラボ職員の捜索」を命じる。

閉鎖されたはずの通信区画へと向かった主人公は、そこで火星基地で行われているポータル実験の危険性について地球へ警告を試みる職員に出会う。失踪したデルタラボ職員は、発狂した同僚の無謀なポータル実験を阻止すべく独自に活動していたのだった。

主人公に真相の説明をしようとする職員。しかしもう一人の研究者により、一旦は阻止したはずのポータル実験が再び決行されてしまう。そのポータルの行き先は、かつて人々が『地獄』と呼んでいたあの世界だった。

ゾンビと化した所員や襲い掛かる悪魔を薙ぎ倒し、命からがらマーズシティへ帰り着いた主人公だったが、既に海兵隊の指揮系統は麻痺寸前だった。孤立無援の中先へ進む主人公は、同乗していた二人のエージェントとベトルーガー主任の対立と陰謀に巻き込まれていく。


ゲームシステム

  • 「キーカードを集めて出口を目指し、ゴールにたどり着くとステージクリア」を繰り返していた前作までと異なり、「要所要所で追加・達成・更新されるさまざまな任務をこなしつつ、いくつかの広大なマップを進んでいく」という方式に変化。同社の過去作であり同じくリブート作である『Return to Castle Wolfenstein』を踏襲している。
    • ミッション内容はエリアの移動指定から特定の装置の操作、パズルまで様々。一度だけだが2人の人物から異なる任務を命じられることもある。
  • プレイヤーは序盤で職員用の携帯情報端末(PDA)を支給される。これはTABキーで随時チェックすることが可能であり、現在進行中の任務やダウンロードした他のPDFのデータの閲覧といった行動が可能。
  • 道中には多くの兵士や研究員といったNPCが登場。それぞれに個性があり、極限環境下でのサバイバル感演出に一役買っている。
    • 各職員にもPDAが支給されており、セキュリティクリアランス解除という用途以外にもEメールやオーディオログによるストーリー補完が行われている。これは『System Shock 2』でも見られた要素。

武器

  • 武器はハンドガン、ショットガン、チェーンガン、パルスライフル、BFGといった旧作の要素が受け継がれているが、新武器として「サブマシンガン」「ソウルキューブ」も登場。
    • サブマシンガンは連射が可能であり、威力には乏しいものの連続して小型ザコを倒す際には極めて便利。ソウルキューブにはソウルの充填が必要ながら体力回復効果があるなど、どちらも既存武器の隙間を埋める形の武器として追加されている。

アイテム

  • 地面に一列に並んで配置されることが多かった前作までと比べ、コンテナの横や倉庫の棚、机の上などアイテム配置場所がより現実的になった。

マルチプレイ

  • 4つのモードを備えた最大4人のオンラインマルチプレイを実装していたが、プレイ人数を8~16人に増やすファンメイドMODが好評だったことを受け拡張パック『Resurrection of Evil*1』公開時に8人に増えた。
    • 内容はどれもデスマッチであり、通常のデスマッチ、チームデスマッチ、リスポーン制限のあるラストマンスタンディング、1vs1のトーナメントの4種類。

評価点

高度なエンジンで実現する、様々なホラー演出

  • 当時最新鋭のゲームエンジン「DOOM3エンジン(id tech 4)」による表現力向上により、前作とは比較にならないほどのグラフィックで火星基地の惨状が描かれる。
    • 無残な死体やグロテスクな肉塊、火花を散らす電気系統、放置された日用品などマップは非常に良く作り込まれており、構造も基地として現実的なものとなっている。
    • 無線通信も定期的に入り、緊迫した状況報告や断末魔などでプレイヤーの恐怖感を煽る。
    • また中盤以降ともなると生存者はほとんど居なくなり、無線も聴こえなくなるなどストーリーとも連動した作りになっている。
    • 音声ログが充実しており、職員のPDFを集めてEメールや音声ログを聴くことで世界観へより深く没入することが可能。日常生活の出来事から同僚への伝言などバリエーションは多岐に渡る。

豊富な収集要素

  • 職員のPDFを集めることで世界観を掘り下げることが可能。それだけでなく、弾薬庫やアイテムの入ったロッカーの暗証番号も知ることができる。
    • 基本的に弾薬は枯渇しがちなため、職員の遺したPDFを集めて解析することでより有利にゲームを進められる。

賛否両論点

ホラーへの路線変更

  • パニックホラーへの路線変更に伴い、武器の威力・敵の数や能力・プレイヤーの機動性・マップ構造など多くの要素が変更された。
    • シリーズの評価点となっていた「圧倒的火力と機動力で強敵を始末していくハイテンポゆえの爽快感」は本作では鳴りを潜めており、前作までのゲームテンポに慣れた愛好家の一部からは「遅すぎる」と不評になった。
    • Half-Life』がヒットした影響もあってか多くの大規模FPSがゲーム的な爽快感よりもグラフィックやスクリプト演出を重視し始めたのに加え、『DOOM』のフォロワータイトルとして『Serious Sam』が2001年に登場していたというのも本作の演出重視の傾向に拍車を掛けていた*2
    • 結局本作の発売後も『Call of Duty 4: Modern Warfare』のようにスクリプト演出を重視した作品がシングルプレイFPS界の主流となっていき、旧DOOMフォロワーが表向きに台頭することはなかった。
    • それを考えると、時代に逆行せずに新しい路線を選んだことはあながち間違いではなかったと言えるが、高速FPSの代名詞として定着した『DOOM』の名前を冠するリブートとして考えるとやはり疑問は残る。

非常に暗い

  • DOOM3エンジン・ホラー演出の見せ所の1つでもあるのだが、光源の少なさに起因する死角が非常に多い。
    • 暗闇部分に入った敵はほぼ視認不可能であり、一部マップでは電灯に持ち替えられず憶測で発砲しなければならない場面も頻発する。
    • 影が多いこと自体は恐怖演出として作用しており、影を利用した巧妙なトラップも存在するため一概に暗いこと自体が悪いとはいえないが、一部マップの照明の少なさはゲームの阻害に繋がっており不親切。
    • 日中はサングラスが必須アイテム…とまで言われるほど光に敏感な人種が多い欧米のゲーマーからも「暗い」のレビューが溢れかえるほどであった。
    • QUAKE II』同様に、コンフィグファイルを直接書き換えるか、コンソールコマンドで明るさとガンマ値を上げるとある程度解決するが、そうすると今度は逆に「ホラー要素が薄れる」という痛し痒しな弱点もある。

クリーチャーの造形

  • クリーチャーは全面的にデザインが変更され、より緻密かつ猟奇的な造形に進化した。しかし全体的に色が白い敵ばかりであり、一部の敵はオリジナル版の良さを損なってしまっている部分もある。
    • ただし、白いということ自体は暗めな本作においては視認性は良いため一概に悪いとも言えない。

武器の性能調整

  • ゲーム性の低速変化に合わせてか、ショットガンやサブマシンガンなどのプレイヤーの初期武器は威力が低い。上位武器も弾薬が枯渇しがちであり、好きなだけ高威力な武器を叩き込む前作までにあった爽快感はない。

拡張パック『Resurrection of Evil』が短すぎる

  • 本編の1/3ぐらいのボリュームしかない。DOOM3の6割程度の値段で販売されていたが、それなら6割程度のボリュームを持たせろという意見が多かった。
  • またマップデザインも爆発するドラム缶が多すぎて巻き込まれやすい難点がある。
    • 『HL2』のグラビティガン風の武器があるため、それを使ってドラム缶を投げようとしてミスって爆死というのが定番であった。
  • スーパーショットガンの復活は喜ばれたが、往年のような威力は持っていなかったため微妙とも。

問題点

ひたすら湧いてくる敵

  • 特定の場所を通った際にプレイヤーの位置から前後にそれぞれ1体ずつ敵がワープしてくる場面が非常に多い。序盤から中盤にかけての主要な敵であるインプの多くは初期配置でなく、しつこく背後に湧いてくるため処理が面倒。
    • インプに限らず地獄系クリーチャーは基本的に初期配置ではなく、その多くが至近距離へのワープか進入不可能箇所(ダクトなど)からのスクリプト処理で登場する。
    • このため敵の配置を覚えにくい、乱戦中に全方向から同時出没して処理が追いつかない、交戦距離が近すぎて爆発系武器を使いにくい、処理の面倒な敵を倒したらそれがトリガーとなり同じ種類の敵が目の前にワープしてくる、などややゲームプレイを阻害する要因となりやすい。
  • 敵の出現タイミングもやや連続的すぎるきらいがあり、プレイヤーは探索中も戦闘中も、パズル中であろうと怯える暇なくひたすら敵に対処しなければならない。
    • 実質的な敵の出現数は一般的なFPSとさほど変わらず、ゲームプレイにおいて戦闘が占める割合はホラーFPSにしてはなかなか多い。

懐中電灯が武器扱い

  • 懐中電灯は近接武器扱いとなっているため、暗闇を照らしながら進んでいると銃に持ち替えるまで発砲が不可能*3
    • 敵に襲われると対応に時間が掛かるだけでなく、暗いエリアでいちいち持ち替えなければいけない不便さもあり、「使用頻度が高い割にはいまいち使い勝手が悪い」という結果に。
    • 先駆者である『Half-Life』ではスイッチで即座にオンオフが可能となっており、暗闇の中でも比較的快適な探索を実現していた。
    • それと比較された本作は「火星基地には懐中電灯を縛り付けるダクトテープすらないのか」と揶揄され、武器を装備しながら懐中電灯が使える「Ductape MOD」というタイトルのMODも公開されることに。
  • 結局、改良版の『BFG edition』では「Ductape MOD」を公式が逆輸入。暗闇でも探索がより快適となり、この欠点は解消された。
    • 同じようなデザインとなっていた『QUAKE 4』では、マシンガンにフラッシュライトを装着していて、少しだけだが快適になっている。

視覚的に単調なゲームプレイ

  • ゲームを進めることでストーリーは進み敵の種類も追加されていくものの、暗く色彩に乏しい風景ばかりが続く。
    • 一部屋外へ出ることも可能だが長時間居ると窒息死するため、探索可能範囲は基本的に基地内部のみ。移動範囲は広いがロケーションには乏しいため、途中で飽きてしまう。
    • 地形も狭い通路が多く、撃ち合いには不向き。プレイヤーの移動スピードも遅いため、通路上で敵と遭遇した場合は選択肢がごり押しに絞られる。
      • 一応ストレイフジャンプもできるが、初速が遅いのでQ3ほど加速したという感覚は得られない。

一本道な本編

  • ただ通路を進んでいき出てきた敵を倒すだけの箇所が多く、マップ構造は基本的にシンプル。
    • 自由度の高いルート攻略やパズル要素といった概念が見られる箇所は少なく、お化け屋敷的な出現構造に慣れてしまうと単調さが目に付く。

重い

  • 描画処理技術自体は新しいものを使用しているわけではなく、旧世代のビデオカードでも動作が可能な仕様。
    • しかし最新エンジン故に要求スペックは尋常ではなく、同年のゲームエンジン「Source Engine」と比較してもかなり重かった。
    • 1マップに割り当てられたグラフィックは約500MBにも膨れ上がっており、グラフィックレベルをUltraまで上げるのであれば「VRAMを512MB以上搭載しているグラボ」が必要となった。
    • だが、この当時、VRAMを512MB搭載しているグラボと言ったらGeForce 6800 UltraやRadeon X800XLといったハイエンド製品しかなかった。
    • 故に重いという評価は仕方なく、「最高画質にしたくても出来ないゲーム」とまで言われたゲームでもある。
    • 性能水準が遥かに向上した現在では頑張れば普通のノートパソコンでも遊べるレベルなため、問題点では無くなっている。ちなみに本作のエンジンを改良した『QUAKE 4』は更に軽量化が進んでいる。

怖くない

  • ある意味最大の問題点。一応ホラーゲームを目指してはいるものの、「悪魔が山ほど出てくる」ゲーム本編とホラーの相性は凄まじく悪い。
    • 変異するゾンビやロストソウル、演出に拘っているピンキーデーモンなどスクリプト演出できちんと描かれる部分は悪くないものの、雑なビックリ演出で所構わず大量に出現するゾンビ兵士やインプなどの雑魚敵がその雰囲気をぶち壊している。
    • 元々ホラー映画やスプラッター映画などでも勢いだけに頼るジャンプスケア演出は嫌われがちだが、本作ではこれでもかというほど「突然敵が湧いてきてビックリ」というシチュエーションに付き合わされる。
    • 怖さの演出を理解しないままホラーゲームを作ったかのような演出が多く、単調な展開も相まってすぐに怖さを感じなくなってしまう。

劣化Q3なマルチプレイ

  • 『DOOM』ということで一番望まれていたのはCO-OPだったがまさかの非対応。
  • アリーナFPSとしても「狭い」「遅い」「1サーバーに入れる人数が少ない」の三重苦で、結局プレイヤーのほとんどはQUAKE3に残ってしまった。
  • 一応『RoE』で1サーバー8人まで増えたが、日本国内のQ3マルチ界隈では1vs1のduelでなければ6vs6のチームゲームが主流だったので、結局人数が少ない事には変わりなかった。

総評

単に敵を薙ぎ倒すステージクリア型FPSだった前作から方針を転換し、『System Shock 2』や『Half-Life』のような極限環境下でのパニックホラーを全面的に押し出した作品。
イマーシブシムとしての側面も強く、ゲームとしての作り込みはかなり高い。

やや単調でレール的すぎる本編内容や不便な暗所探索、根本的なゲームバランスの変更など粗は多い。
だが、当時としては格段に美しいグラフィックが批評家やゲーマーを中心に絶賛、結果としてid software作品としては当時最高の売り上げを記録するに至った。

本作で見つかった欠点は後の『BFG Edition』で改善され、より洗練されることとなる。


DOOM 3: BFG Edition

【どぅーむ すりー びーえふじーえでぃしょん】

ジャンル ホラーFPS

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows
発売元 Bethesda Softworks
開発元 id Software
発売日 2012年10月16日
定価 【Steam】1,100円
配信 Win版はSteamの『DOOM 3』に同梱
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
ポイント 『DOOM 3』をベースに調整・拡張
日本語化・吹替も追加
初代『DOOM』『DOOM II』も収録
追加エピソードも登場

概要(BFG)

本編発売から8年後の2012年に発売された『DOOM 3』の完全版。
8年の期間を経てオリジナル版で発覚した様々な問題点を修正し、より快適なゲームプレイを実現した。
2バイト文字による日本語化の難しさも公式が日本語対応することで解決し、英語が苦手なプレイヤーも安心して楽しめる作品となった。

2009年6月24日にBethesda Softworksの親会社であるZenimax Mediaがid softwareを買収。
Zenimaxの傘下会社になったことを受け、本作のパブリッシャーもBethesdaとなっている。
また、Steam版は2022年8月11日より『DOOM 3』のバンドルとして無印版とともに一括販売される形式となり、単品での販売が終了することとなった。


変更点(BFG)

グラフィック向上

  • オリジナルから8年が経過したこともあり、グラフィック部分は大幅に強化。音響部分にも手が加えられ、時代にふさわしい物へと変化している。
  • モニターに加え新たに3DTVとVRヘッドマウントディスプレイ*4に対応。さまざまな方法で楽しめるようになった。

拡張パック・旧作追加

  • 旧verに存在した拡張シナリオパック『Resurrection of Evil』もリマスターされ本作単体でプレイ可。
    • さらに、新規シナリオとして新たに『The Lost Mission』が追加。ボリュームはさらに増加した。
    • 加えて旧作『DOOM』『DOOM II: Hell on Earth』もプレイ可能。これ一本でこれまでのナンバリング作が網羅できる。

フラッシュライトの変更

  • 不評だったのを踏まえ、持ち運び式の武器の1つだったフラッシュライトはアーマーの備え付けのものに変更。
    • これにより銃を持ちながらでも暗所を照らせるようになり、より探索が快適になった。
    • その代わりとしてか、点灯中はバッテリーを消費するため常時点灯させることができなくなる*5制限が設けられた。

日本語対応

  • 字幕、音声双方が吹き替えられ、英語が苦手なプレイヤーでも内容がより分かりやすくなった。
    • テキスト量が非常に多い作品であるため、本作の最大の評価点と言える。

チェックポイントセーブシステム

  • セーブを怠っても大丈夫なよう、一定区間でセーブが入る仕様に変更。ミスのカバーが比較的容易になった。

実績・トロフィーの追加

  • 新たに実績・トロフィーシステムに対応。やりこみ要素として機能しており、トロフィー集めに奔走するのもやりこみの1つとなった。

光源の増加

  • 地形が暗すぎたオリジナル版から新たに複数の光源が追加され、フラッシュライトの改善と合わせていくらか探索がラクになった。

ゲームバランスの調整・改善

  • 各難易度ごとの敵・アイテム配置のバランスが見直され、よりまともな難易度に再設定された。
    • また、旧版と比較して体力と装甲及び携行できる弾薬量が大幅に増えたことで、アイテムや弾薬配置の少なさに頭を抱える必要が無くなり、連射系武器の使い勝手が向上している。
  • その他、Windows 7に対応し画像ファイル圧縮方法の変更によるテクスチャ解像度の改善、120Hzゲームエンジン*6、影の投影、オリジナル版MODとの互換性維持などさまざまな調整・改良が加えられている。

総評(BFG)

日本語に対応したことが最大の評価点とも言える作品。
英語が読めないプレイヤーであっても膨大なテキストを全て理解できるようになり、より『DOOM 3』の世界へ手軽に没入することが可能となった。
代わりにマルチプレイ部分がごっそりと省略されているが、元々有るようで無いになどしかったため、ここは気にするほどのレベルではないだろう。
id Tech 5*7の改良を盛り込んだid Tech 4.5とも言えるエンジンによってグラフィックも更に美しくなり、初代『DOOM』と『DOOM II』も追加されこれ一本で全ての『DOOM』ナンバリング作がプレイ可能。
リブート作として理想的な環境が整えられた、『DOOM 3』の完全版と呼ぶにふさわしいボリュームとなっている。


余談

  • BFG版の『DOOM II』は、ドイツでの販売をクリアするためナチスに関する要素が全て省かれているため、『Wolfenstein 3D』を再現したシークレットはステージデータごと抹消され、進入することが不可能となった。
    • このため『DOOM II』を利用したマップMODの数割が互換性を失っている。
  • もともとid softwareのオーナーであり『Wolfenstein 3D』『DOOM』に携わったオリジナルメンバーの1人であるジョン・カーマックはDOOMシリーズのそのままのリメイクには乗り気ではなかった。
    • だが、2000年に映像が発表された『Wolfenstein』シリーズのリメイク作『Return to Castle Wolfenstein』の(エンジンとグラフィックに関する)反響を目の当たりにした開発チームの多くは『DOOM』もこのタイミングでリメイクするべきだという意見で一致。
    • アーティストの1人の報復解雇を得てリメイクが承諾され、『RtCW』発売を待たずに2000年から開発がスタートした。
    • 結局『RtCW』『DOOM 3』共々シリーズの再来とまではいかず、リブート後の展開はあまり芳しいものではなかった。
    • その後2009年にid softwareはZemimax Mediaの傘下となるが、2014年に『Wolfenstein: The New Order』が、2016年に『DOOM (2016)』が発売。
    • こちらはオリジナルの作風を意識した再リブートが評価点となり、シリーズの再復活に成功した。
  • ゲームプレイの本筋とは関係ないが、あるエリアに『Super Turbo Turkey Puncher 3』というゲームの筐体が設置されている。
    • 調べると実際に遊ぶことができるが…できることと言えばボタン連打でシチメンチョウを殴り、スコアを稼いでいくだけというあまりに単調なもの。BFG Editionでは専用の実績が用意され、全くの無駄ではなくなった。
    • おまけにゲームのロゴもどこかで見たようなデザインになっていたりと、ツッコミどころが多い。
  • それまでのシリーズ作と比べると異端とも言える内容だった本作だが、本作以降にリリースされた『DOOM(2016)』や『DOOM Eternal』においても本作を意識した要素が取り入れられている。
    • わかりやすいのがヘルナイト*8のデザイン。『2016』や『Eternal』の殆どのデーモンが『I/II』のデザインがベースとなっている中、ヘルナイトだけは『3』をベースとしたデザインとなっているのが特徴。
    • それ以外にも、特定のエリアにソウルキューブが飾ってあったり、『Super Turbo Turkey Puncher 3』の実際に遊べる筐体が置いてあったりするなどのファンサービスもちらほら見られる。
最終更新:2023年11月22日 15:15

*1 同拡張パックの開発は『DOOM』『DOOM II』などの360以降のCS機移植を手掛けているNerve Softwareによるもの。

*2 実際、インタビュー内で「なんで路線変更したのですか?」という問に対する答えとして、名指しで「(かつての)『DOOM』がやりたいなら『Serious Sam』をやればいい」と言わしめたほど。

*3 一応近接武器として攻撃することは可能で威力もそこそこあるが、射程が短すぎて実用に堪えない。

*4 対応機器にOculus Riftの名が出ている。

*5 消灯すると時間経過で回復する。

*6 端的に言うと120Hz以上のリフレッシュレートに対応した液晶モニタを使うと120fpsでの描画が可能になるというもの。また、3D立体視表示には右目・左目それぞれの画面を60フレームで描画させる仕様上、毎秒120フレームでの描画が必須となり、それに対応させる必要があった。

*7 id Softwareが手掛けた2011年発売の『RAGE』が初採用。他にも『Dishonored 2』や『The Evil Within』などで採用されている。

*8 無印版のパッケージに描かれているデーモンがそれ。